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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022167945
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】補償回路を備える増幅装置
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/26 20060101AFI20221027BHJP
   H03F 3/217 20060101ALI20221027BHJP
   H03F 3/68 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
H03F1/26
H03F3/217
H03F3/68 210
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022131112
(22)【出願日】2022-08-19
(62)【分割の表示】P 2019510653の分割
【原出願日】2017-08-21
(31)【優先権主張番号】1657841
(32)【優先日】2016-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】512228750
【氏名又は名称】ドゥビアル
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100119987
【氏名又は名称】伊坪 公一
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル ウフェヌ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール-エマニュエル カルメル
(57)【要約】
【課題】誘導要素により生成されるノイズ成分を削減した増幅装置を提供する。
【解決手段】本発明は、入力信号の増幅装置(10)に関し、増幅装置(10)は、第1増幅段(12)と、第2増幅段(14)と、を備え、各増幅段(12、14)は、出力(22A、22B)として、少なくとも2つの状態を有するスイッチされた信号を生成できるスイッチング回路(22)と、スイッチされた信号を平滑して、有効成分およびノイズ成分を有する平滑された信号(11、13)を得ることができる誘導要素(24)と、を備える。増幅装置(10)は、更に、各増幅段(12、14)に対して、対応する増幅段(12、14)の誘導要素(24)において生成される平滑された信号(I1、I3)のノイズ成分の補償信号(I2、I4)を生成できる補償回路(16)を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号の増幅装置(10)であって、
前記入力信号に対する差分入力(10A、10B)と、
出力信号(I5)に対する差分出力(20A、20B)と、
入力(10A)を有する第1増幅段(12)と、
入力(10B)を有する第2増幅段(14)と、を備え、
各増幅段(12、14)の前記入力(10A、10B)は、前記差分入力を形成し、
各増幅段(12、14)は、
各増幅段(12、14)の出力が前記差分出力を形成する、負荷(26)に対する出力(20A、20B)と、
出力(22A、22B)として、少なくとも2つの状態を有するスイッチされた信号を生成できるスイッチング回路(22)と、
前記スイッチング回路(22)の前記出力(22A、22B)と前記増幅段(12、14)の前記出力(20A、20B)との間に接続され、前記スイッチング回路(22)により生成される前記スイッチされた信号を平滑して、有効成分およびノイズ成分を有する平滑された信号(I1、I3)を得ることができる誘導要素(24)と、を備え、
各増幅段(12、14)の前記スイッチング回路(22)の前記出力(22A、22B)における前記スイッチされた信号は逆であり、
前記増幅装置(10)は、更に、各増幅段(12、14)に対して、前記増幅段(12、14)の前記誘導要素(24)において生成される前記平滑された信号(I1、I3)の前記ノイズ成分の補償信号(I2、I4)を生成でき、それぞれが、前記対応する増幅段(12、14)の前記出力(20A、20B)と他の増幅段(12、14)の前記スイッチング回路(22)の前記出力(22A、22B)とに接続される補償回路(16)を備え、
各平滑された信号(I1、I3)と前記対応する補償信号(I2、I4)との差は、前記増幅装置(10)の前記出力(22A、22B)における前記出力信号(I5)を形成する、ことを特徴とする増幅装置(10)。
【請求項2】
各補償回路(16)は、少なくとも1つの誘導要素(36)を備え、前記補償回路(16)の前記誘導要素(36)のインダクタンスと、前記対応する増幅段(12、14)の前記誘導要素(24)のインダクタンスと、の間の相対的なずれは、30パーセント以下である、請求項1に記載の増幅装置(10)。
【請求項3】
各補償回路(16)は、ハイパスフィルタ(38)を備える、請求項1または2に記載の増幅装置(10)。
【請求項4】
前記ハイパスフィルタ(38)は、容量を備える、請求項3に記載の増幅装置(10)。
【請求項5】
前記入力信号は、搬送周波数により変調された信号であり、
前記ハイパスフィルタ(38)は、前記入力信号の搬送周波数よりも厳密に低い遮断周波数を有する、請求項3または4に記載の増幅装置(10)。
【請求項6】
前記入力信号は、有効周波数であり、
前記ハイパスフィルタ(38)は、前記入力信号の前記有効周波数よりも厳密に高い遮断周波数を有する、請求項3~5のいずれか一項に記載の増幅装置(10)。
【請求項7】
前記増幅段(12、14)は、デジタル信号の増幅段であり、
前記装置(10)は、更に、前記増幅段(12、14)のうちの1つの前記出力(20A、20B)において接続される少なくとも1つのアナログ増幅器(40)を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の増幅装置(10)。
【請求項8】
前記アナログ増幅器または各アナログ増幅器(40)は、クラスAまたはクラスABの増幅器である、請求項7に記載の増幅装置(10)。
【請求項9】
前記装置(10)は、更に、各アナログ増幅器(40)の出力電流を測定するための装置(47)と、各アナログ増幅器(40)の前記出力電流の少なくとも測定値を受信できる制御モジュール(11)と、を備え、
前記制御モジュール(11)は、前記増幅段(12、14)の前記入力(10A、10B)における信号を、前記測定された出力電流に関連して、一方では、前記段(12、14)の前記スイッチング回路(22)の前記出力(22A、22B)における前記スイッチされた信号が逆であり、他方では、前記アナログ増幅器(40)のそれぞれの前記出力電流が最小化される、ように生成できる、請求項7または8に記載の増幅装置(10)。
【請求項10】
各増幅段(12、14)の前記入力信号(10A、10B)は、時間の70パーセントを超える間逆位相である、請求項9に記載の増幅装置(10)。
【請求項11】
オーディオシステムであって、
請求項1~10のいずれか一項に記載の増幅装置と、
各増幅段(12、14)の出力に接続されるスピーカ(26)と、を備える、オーディオシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力信号の増幅装置であって、
入力信号に対する差分入力と、
出力信号に対する差分出力と、
入力を有する第1増幅段と、
入力を有する第2増幅段と、を備え、
各増幅段の入力は、上記差分入力を形成し、
各増幅段は、
・各増幅段の出力が上記差分出力を形成する、負荷に対する出力と、
・出力として、少なくとも2つの状態を有するスイッチされた信号を生成できるスイッチング回路と、
・スイッチング回路の出力と増幅段の出力との間に接続され、スイッチング回路により生成されるスイッチされた信号を平滑して、有効成分(composante utile)およびノイズ成分(composante parasite)を有する平滑された信号を得ることができる誘導要素と、を備え、
各増幅段のスイッチング回路の出力におけるスイッチされた信号は、逆である(oppose’s)、増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような増幅装置は、例えば、負荷の端子間の電圧の増幅器として使用される。
【0003】
負荷がスピーカなどのオーディオ構成要素である場合は、増幅段の誘導要素において生成される三角形状の高周波数ノイズ成分(la composante parasite haute fre’quence, de forme triangulaire)は、スピーカにより回収されるオーディオ信号の品質を損なう。
【0004】
更に、このようなノイズ成分は、増幅装置の出力における性能の損失の原因となる増幅装置および負荷の加熱の源である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、このような増幅装置の誘導要素により生成されるノイズ成分を削減する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のため、本発明は、前述したような増幅装置に関し、該増幅装置は、更に、各増幅段に対して補償回路(un circuit de compensation)を備え、該補償回路は、増幅段の誘導要素において生成される平滑された信号のノイズ成分の補償信号を生成でき、各補償回路は、対応する増幅段の出力と他の増幅段のスイッチング回路の出力とに接続され、各平滑された信号と対応する補償信号との差は、増幅装置の出力における出力信号を形成する。
【0007】
特定の実施形態によれば、増幅装置は、単独で考慮され、または任意の技術的に可能な組み合わせに係る、下記の特徴の1つまたは複数を備える。
各補償回路は、少なくとも1つの誘導要素を備え、補償回路の誘導要素のインダクタンスと対応する増幅段の誘導要素のインダクタンスとの間の相対的なずれ(e’cart relatif)は、30パーセント以下である。
各補償回路は、ハイパスフィルタを備える。
ハイパスフィルタは、容量を備える。
入力信号は、搬送周波数により変調された信号であり、ハイパスフィルタは、入力信号の搬送周波数よりも厳密に低い遮断周波数を有する。
入力信号は、有効周波数であり、ハイパスフィルタは、入力信号の有効周波数よりも厳密に高い遮断周波数を有する。
増幅段は、デジタル信号の増幅段であり、装置は、更に、増幅段の1つの出力において接続される少なくとも1つのアナログ増幅器を備える。
該アナログ増幅器または各アナログ増幅器は、クラスAまたはクラスABの増幅器である。
装置は、更に、各アナログ増幅器の出力電流を測定するための装置と、各アナログ増幅器の出力電流の少なくとも測定値を受信可能な制御モジュールと、を備え、制御モジュールは、増幅段の入力における信号を、測定された出力電流に関連して、一方では、段のスイッチング回路の出力におけるスイッチされた信号が逆であり、他方では、アナログ増幅器のそれぞれの出力電流が最小化される、ように生成可能である。
各増幅段の入力信号は、時間の70パーセントを超える間逆位相である。
【0008】
本発明は、また、オーディオシステムにも関し、オーディオシステムは、
前述したような増幅装置と、
各増幅段の出力に接続されるスピーカと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る増幅装置の1つの例の模式図である。
図2】増幅装置の各増幅段のスイッチング回路の出力電圧を示す第1クロノグラフの例を示す図である。
図3】平滑された信号のノイズ成分と、上記ノイズ成分の補償信号と、これらの2つの信号の合成と、を示す第2クロノグラフの例を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る増幅装置の1つの例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の他の特徴および利点は、例としてのみ提供され、図面を参照してなされる、本発明の実施形態の下記の記述を読むことにより明らかになるであろう。
【0011】
本発明の第1実施形態に係る増幅装置10は、図1に例示される。
【0012】
増幅装置10は、また、「増幅ブリッジ」という名前でも知られる。
【0013】
増幅装置10は、増幅される差分入力信号を形成する逆位相の信号を受信する2つの入力10A、10Bと、増幅された差分出力信号に対する2つの出力20A、20Bと、を備える。増幅装置10の2つの入力10A、10Bは、差分入力を形成する。増幅装置10の2つの出力20A、20Bは、差分出力を形成する。
【0014】
入力信号は、例えば、図1に示されるように、制御モジュール11およびインバータ13により生成される。入力信号は、例えば、搬送周波数および有効周波数帯域(bande de fre’quence utile)により特徴付けられるパルス幅変調信号である。有効周波数帯域は、例えば、20ヘルツ(Hz)と100キロヘルツ(kHz)との間で構成される間隔である。搬送周波数は、例えば、400kHz以上である。
【0015】
入力信号は、電圧である。図1に示されるように、増幅装置の2つの入力10A、10Bの1つにより受信される信号は、2つの入力10A、10Bのそれぞれにより受信される信号が逆位相であり、差分入力信号を形成するようにインバータ13により反転される。
【0016】
増幅装置10は、更に、第1増幅段12と、第2増幅段14と、増幅段12、14のそれぞれに対する補償回路16と、を備える。
【0017】
増幅段12、14のそれぞれは、増幅装置10の入力10A、10Bに対応する入力と、増幅装置10の出力20A、20Bに対応する出力20A、20Bと、スイッチング回路22と、誘導要素24と、を備える。増幅段12、14のそれぞれの出力20A、20Bは、スピーカなどの同一の負荷26に接続されるよう意図され、オーディオシステムを形成する。
【0018】
2つの増幅段12、14は、同じ供給電圧V1により電力が供給される。供給電圧V1は、例えば、正である。
【0019】
各スイッチング回路22は、供給電圧V1と接地との間に直列に接続される少なくとも2つのトランジスタ31、32を備える。各スイッチング回路22の入力は、対応する増幅段12、14の入力10A、10Bに対応する。段12、14の各スイッチング回路22の出力は、段12、14のそれぞれの2つのトランジスタ31、32の間の中点22A、22Bにより形成される。
【0020】
増幅段12、14のそれぞれのトランジスタ31、32のゲートは、入力信号が供給されるように、スイッチング回路22の入力に接続される。増幅段12、14のそれぞれのトランジスタ31、32のうちの1つのゲートは、トランジスタ31、32の1つがオンで、トランジスタ31、32の他方がオフのときに、インバータ34に接続される。
【0021】
トランジスタは、例えば、MOSFETトランジスタである。
【0022】
増幅段12、14のそれぞれのスイッチング回路22は、少なくとも2つの状態を有するスイッチされた信号を、上記増幅段12、14の入力信号10A、10Bおよび供給電圧V1から生成できる。2つの段12、14の供給電圧V1は同一であり、上記段12、14の入力信号10A、10Bは逆位相なので、段12、14のそれぞれのスイッチング回路22のスイッチされた出力信号22A、22Bは、逆の状態を有する。このように、第1増幅段12のスイッチング回路22のスイッチされた出力信号22Aが、それぞれゼロ電圧に等しい供給電圧V1に等しい電圧を有するときは、第2増幅段12のスイッチング回路22のスイッチされた出力信号22Bは、それぞれが供給電圧V1に等しいゼロ電圧に等しい電圧を有する。
【0023】
誘導要素24は、例えば、コイルにより形成される。増幅段12、14のそれぞれの誘導要素24は、一方では、上記段12、14のスイッチング回路22の出力22A、22Bに接続され、他方では、上記段12、14の出力20A、20Bに接続される。
【0024】
誘導要素24は、平滑された信号I1、I3を得るために、対応するスイッチング回路22により生成されるスイッチされた信号を平滑することができる。平滑された信号I1、I3は、有効成分およびノイズ成分を有する。有効成分は低周波数であり、ノイズ成分は高周波数である。
【0025】
平滑された信号I1、I3の有効成分は、増幅される入力信号の有効部分を搬送する成分である。オーディオ増幅器の場合、有効成分は、増幅される音楽であり、例えば、20Hzと100kHとの間の周波数信号である。
【0026】
平滑された信号I1、I3のノイズ成分は、誘導要素24において生成される三角形状のリップル電流に関する成分である。このようなリップル電流は、誘導要素24の端子間の電圧の高周波数変動によるものである。このようなリップル電流は、例えば、400kHに等しい搬送周波数を有する。
【0027】
各補償回路16は、一方では、対応する増幅段12、14の出力20A、20Bに接続され、他方では、他の増幅段12、14のスイッチング回路22の出力22A、22Bに接続される。言い換えれば、増幅段12、14の補償回路16は、他の増幅段12、14の誘導要素24および出力22A、22Bに並列に接続される。
【0028】
各補償回路16は、対応する増幅段12、14の誘導要素24において生成される平滑された信号I1、I3のノイズ成分の補償信号I2、I4を生成できる。
【0029】
各補償回路16は、少なくとも誘導要素36およびハイパスフィルタ38を備える。
【0030】
理想的には、対応する補償回路の誘導要素24および誘導要素36のそれぞれのインダクタンスは、同じ値を有する。実際は、補償回路16の誘導要素36のインダクタンスと、対応する増幅段12、14の誘導要素24のインダクタンスと、の間の相対的なずれは、30パーセント(%)以下である。この場合、相対的なずれは、補償回路16の誘導要素36のインダクタンスと、対応する増幅段12、14の誘導要素24のインダクタンスと、の差の絶対値の、上記増幅段12、14の誘導要素24のインダクタンスに対する比である。
【0031】
ハイパスフィルタ38は、対応する補償回路16の誘導要素36との相互作用における容量により形成される。
【0032】
ハイパスフィルタ38は、上記ハイパスフィルタ38の補償回路16における平滑された信号I1、I3の高周波数ノイズ成分の通過を許可する(autoriser)ことができる。
【0033】
各補償回路16のハイパスフィルタ38は、搬送周波数よりも厳密に低い遮断周波数(fre’quence de coupure)を有する。
【0034】
ハイパスフィルタ38は、平滑された信号I1、I3の有効周波数よりも厳密に高い遮断周波数を有する。
【0035】
遮断周波数は、例えば、100kHzと300kHzとの間である。
【0036】
こうして、このような補償回路16は、補償回路16により生成される補償信号I2、I4を介して、増幅段12、14のそれぞれの誘導要素24において生成される平滑された信号I1、I3の高周波数ノイズ成分を補償することを可能にする。補償信号I2、I4は、平滑された信号I1、I3の高周波数ノイズ成分が負荷26を通過することを防止することを可能にする。
【0037】
増幅段12、14のそれぞれの平滑された信号I1、I3と補償信号I2、I4との差は、増幅装置10の出力20A、20Bにおける増幅された出力信号I5を形成する。増幅された信号は、電流である。
【0038】
図2および図3のクロノグラフは、信号の形状を例示する。
【0039】
特に、図2は、点線で、第1増幅段12のスイッチング回路22の出力電圧22Aを例示し、実線で、第2増幅段14のスイッチング回路22の出力電圧22Bを例示する。図2において示されるように、このような電圧は、逆の状態を有しており、20ボルト(V)と0Vとに等しい2つのそれぞれの電圧状態の間で、400kHzでスイッチする。
【0040】
図3は、細い実線で、第1増幅段12の平滑された信号I1の高周波数三角形状のノイズ成分を例示し、点線で、上記ノイズ成分の補償信号I2を例示し、太い実線で、平滑された信号I1と補償信号I2との間の差により得られる出力信号I5を例示する。図3の例においては、平滑された信号I1は、プラスまたはマイナス0.4アンペア内で、400kHzの周波数に等しい振幅の電流である。図3の例においては、出力信号I5は、平滑された信号I1の高周波数三角形状のノイズ成分が取り除かれ(est de’barrasse’ de la composante parasite triangulaire haute fre’quence du signal lisse’ I1)、信号の低周波数部分、すなわち、有効成分のみを備える。
【0041】
第1増幅段12および第2増幅段14の構成は、補償回路16の簡単な製造を可能にする。実際には、各補償回路16は、他の増幅段12、14のスイッチング回路22により直接供給される。したがって、他の追加的供給は必要なく、例えば、トランジスタなどの他のいかなる能動構成要素も必要でない。
【0042】
第2実施形態に係る増幅装置10を、図4に例示する。
【0043】
第2実施形態に係る増幅装置10は、第1実施形態と同じ要素を備える。したがって、これらの要素については、再び記述しない。
【0044】
増幅装置10は、更に、少なくとも1つのアナログ増幅器40を備える。図4においては、2つのアナログ増幅器40が示される。
【0045】
各アナログ増幅器40は、増幅段12、14のうちの1つの出力20A、20Bに接続される。この場合において、図4に例示される増幅器40の1つは、第1増幅段12の出力20Aに接続され、他方の増幅器40は、第2増幅段14の出力20Bに接続される。
【0046】
各増幅器40は、例えば、クラスAまたはクラスABの増幅器である。クラスA増幅器は、非常に高い線形性および低い出力インピダンスを有する増幅器である。好ましくは、クラスA増幅器の出力インピダンスは、0.2オーム未満である。クラスB増幅器は、半分の時間だけ線形状態において動作し、他の半分の時間は、実質的にオフである増幅要素を含む増幅器である。クラスAB増幅器は、低電力に対しては増幅器がクラスAであり、高電力に対してはクラスBとなるように、オン状態からオフ状態に切り替え可能である増幅器である。
【0047】
図4に例示される例においては、増幅される信号41は、ゲインが-1で増幅器43により反転されて、中間信号44を発生させる。したがって、増幅される信号41と中間信号44とは、差分信号を構成する。
【0048】
基準電圧(tension de re’fe’rence)Vcomが、加算器(additionneurs)45により、増幅される信号41および中間信号44のそれぞれに加えられ、増幅器40のそれぞれの各入力信号46Aおよび46Bを形成する。基準電圧Vcomは、供給電圧V1と接地との間である。有利には、基準電圧Vcomは供給電圧V1の半分に等しい。増幅器40の入力信号46Aおよび46Bは、電圧である。
【0049】
このように、増幅器40の入力信号46Aおよび46Bは、同じ直流成分Vcomと逆の交流成分とを有する。
【0050】
図4に例示されるように、測定装置47は、増幅器40のそれぞれの出力電流を測定でき、得られた測定値を制御モジュール11に提供できる。例えば、測定装置47は、増幅器40のそれぞれの供給電流の差を介して、出力電流を測定できるホール効果センサを備える。
【0051】
制御モジュール11は、増幅段の12、14のそれぞれを、増幅器40のそれぞれにより供給される電流を最小にしながら、増幅段12、14の入力信号10A、10Bが逆になる(したがって、上記段12、14のスイッチング回路22のスイッチされた出力信号22A、22Bが逆になる)ように制御できる。増幅器40の入力信号46Aおよび46Bは、逆位相であり、基準電圧Vcomの周りに集中されるので、基準電圧Vcomが供給電圧V1の半分に等しく、段12、14のそれぞれのすべての構成要素22、31、32、24、36、および38が、段12、14のそれぞれに対して同じ値を有する場合、増幅段12、14の入力信号10Aおよび10Bもまた逆の状態を有する。実際には、これらの構成要素の値の分散の程度が30%未満のように低いことにより、増幅段12、14の入力信号10A、10Bが、時間の70%を超えて逆位相であることが保証される。
【0052】
第2実施形態に係る増幅装置10は、増幅されるアナログ信号41のアナログ増幅およびデジタル増幅の両方を行うことを可能にする。増幅装置10は、アナログ増幅器40が非常に少ない電流を消費し、したがって、非常に小さな電力を消費する限り、システムにおいて使用されるアナログ増幅器40の線形性に少なくとも等しい線形性と、使用されるデジタル増幅段12、14のエネルギ効率に非常に近いエネルギ効率と、を有する。例えば、増幅器40は、負荷26に提供される電流I5の1%未満を供給する。こうして、このような増幅器40は、例えば、スピーカに対して意図されるオーディオ信号を、非常に高い線形性および非常に高いエネルギ効率で増幅するのに適する。
【0053】
更に、補償回路16は、平滑された信号の高周波数三角形状ノイズ成分が、アナログ増幅器40に吸収されて、アナログ増幅器40が加熱し、このような増幅器40の出力信号の品質および性能を劣化させることを防止することを可能にする。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号の増幅装置(10)であって、
前記入力信号に対する差分入力(10A、10B)と、
出力信号(I5)に対する差分出力(20A、20B)と、
入力(10A)を有する第1増幅段(12)と、
入力(10B)を有する第2増幅段(14)と、を備え、
各増幅段(12、14)の前記入力(10A、10B)は、前記差分入力を形成し、
各増幅段(12、14)は、
各増幅段(12、14)の出力(20A、20B)が前記差分出力を形成する、負荷(26)に対する出力(20A、20B)と、
出力(22A、22B)として、少なくとも2つの状態を有するスイッチされた信号を生成できるスイッチング回路(22)と、
前記スイッチング回路(22)の前記出力(22A、22B)と前記増幅段(12、14)の前記出力(20A、20B)との間に接続され、前記スイッチング回路(22)により生成される前記スイッチされた信号を平滑して、有効成分およびノイズ成分を有する平滑された信号(I1、I3)を得ることができる誘導要素(24)と、を備え、
各増幅段(12、14)の前記スイッチング回路(22)の前記出力(22A、22B)における前記スイッチされた信号は逆であり、
前記増幅装置(10)は、更に、各増幅段(12、14)に対して、前記増幅段(12、14)の前記誘導要素(24)において生成される前記平滑された信号(I1、I3)の前記ノイズ成分の補償信号(I2、I4)を生成でき、それぞれが、前記対応する増幅段(12、14)の前記出力(20A、20B)と他の増幅段(12、14)の前記スイッチング回路(22)の前記出力(22A、22B)とに接続される補償回路(16)を備え、
各平滑された信号(I1、I3)と前記対応する補償信号(I2、I4)との差は、前記増幅装置(10)の前記出力(20A、20B)における前記出力信号(I5)を形成し、
前記増幅段は、デジタル増幅段であり、
前記増幅装置は、前記増幅段の前記入力における前記入力信号のアナログ増幅およびデジタル増幅の両方を行うのに適合するように、前記第1増幅段の出力に接続される第1アナログ増幅器と、前記第2増幅段の出力に接続される第2アナログ増幅器と、を有し、各アナログ増幅器の入力は、増幅される信号に依存し前記入力信号と異なる信号であり、
前記増幅装置は、各アナログ増幅器の出力電流を測定する装置と、前記各アナログ増幅器の前記出力電流の少なくとも測定値を受信するよう適応した制御モジュールと、を備え、
前記制御モジュールは、前記増幅段の前記入力信号を、前記測定された出力電流に関連して、各増幅段の前記スイッチング回路の前記出力における前記スイッチされた信号が逆であり、前記各アナログ増幅器の前記出力電流が最小化される、ように生成するよう適応し、
前記第1アナログ増幅器は、前記第1増幅段の前記誘導要素と前記第1増幅段の前記出力との間に接続される唯一の構成要素であり、前記第2アナログ増幅器は、前記第2増幅段の前記誘導要素と前記第2増幅段の前記出力との間に接続される唯一の構成要素である、ことを特徴とする増幅装置(10)。
【請求項2】
各補償回路(16)は、少なくとも1つの誘導要素(36)を備え、前記補償回路(16)の前記誘導要素(36)のインダクタンスと、前記対応する増幅段(12、14)の前記誘導要素(24)のインダクタンスと、の間の相対的なずれは、30パーセント以下である、請求項1に記載の増幅装置(10)。
【請求項3】
各補償回路(16)は、ハイパスフィルタ(38)を備える、請求項1または2に記載の増幅装置(10)。
【請求項4】
前記ハイパスフィルタ(38)は、容量を備える、請求項3に記載の増幅装置(10)。
【請求項5】
前記入力信号は、搬送周波数により変調された信号であり、
前記ハイパスフィルタ(38)は、前記入力信号の搬送周波数よりも厳密に低い遮断周波数を有する、請求項3または4に記載の増幅装置(10)。
【請求項6】
前記入力信号は、有効周波数であり、
前記ハイパスフィルタ(38)は、前記入力信号の前記有効周波数よりも厳密に高い遮断周波数を有する、請求項3~5のいずれか一項に記載の増幅装置(10)。
【請求項7】
前記アナログ増幅器または各アナログ増幅器(40)は、クラスAまたはクラスABの増幅器である、請求項1~6のいずれか一項に記載の増幅装置(10)。
【請求項8】
各増幅段(12、14)の前記入力信号(10A、10B)は、時間の70パーセントを超える間逆位相である、請求項1~6のいずれか一項に記載の増幅装置(10)。
【請求項9】
オーディオシステムであって、
請求項1~のいずれか一項に記載の増幅装置と、
各増幅段(12、14)の出力に接続されるスピーカ(26)と、を備える、オーディオシステム。
【外国語明細書】