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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168032
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 63/10 20060101AFI20221027BHJP
   A01B 61/04 20060101ALI20221027BHJP
   A01B 71/02 20060101ALI20221027BHJP
   A01D 34/43 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
A01B63/10 B
A01B61/04
A01B71/02
A01D34/43
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141257
(22)【出願日】2022-09-06
(62)【分割の表示】P 2018099464の分割
【原出願日】2018-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宝蔵 伸行
(72)【発明者】
【氏名】有村 洋三
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 準
(57)【要約】
【課題】作業部の動作が規制されたロック状態において作業部が回動しようとしたときに、作業部の回動を規制する部材にかかる負荷を軽減することができる作業機を提供すること。
【解決手段】作業機は、第1方向に延びた第1回動軸を中心に回動する作業部と、前記作業部を、前記第1方向と交差する第2方向に延びた第2回動軸を中心に回動させる回動機構部と、長手を有し、一方が前記作業部に接続され、他方が前記回動機構部に接続されることで、前記作業部の前記第1回動軸を中心とする回動及び前記第2回動軸を中心とする回動の両方の回動を規制するストッパと、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びた第1回動軸を中心に回動する作業部と、
前記作業部を、前記第1方向と交差する第2方向に延びた第2回動軸を中心に回動させる回動機構部と、
長手を有し、一方が前記作業部に接続され、他方が前記回動機構部に接続されることで、前記作業部の前記第1回動軸を中心とする回動及び前記第2回動軸を中心とする回動の両方の回動を規制するストッパと、
を有する作業機。
【請求項2】
前記作業部は、第1接続部を有し、
前記ストッパは、前記第1接続部が貫通可能な貫通孔を有し、
前記貫通孔の形状は、前記ストッパの長手方向に長手を有する形状である、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記作業部は、
第1接続部と、
前記第1接続部とは異なる位置で前記ストッパを接続する第3接続部と、
前記第1回動軸を中心に前記作業部を回動させる動力部と、を有し、
前記ストッパが前記第1接続部及び前記第3接続部に接続された状態において、前記ストッパは、前記第1方向から見た場合に、前記動力部と重なる、請求項1に記載の作業機。
【請求項4】
長手を有し、前記長手の方向に異なる位置に第1部材及び第2部材を有する固定部材をさらに有し、
前記回動機構部は、第2接続部を有し、
前記ストッパ及び前記第2接続部が前記第1部材と前記第2部材との間にある第1状態で、前記ストッパと前記第2接続部とが接続され、前記ストッパ及び前記第3接続部が前記第1部材と前記第2部材との間にある第2状態で、前記ストッパと前記第3接続部とが接続され、前記第2状態における前記第1部材と前記第2部材との距離は、前記第1状態における前記第1部材と前記第2部材との距離より小さい、請求項3に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業機に関する。特に、本発明は、異なる方向に延びた2つの回動軸を中心に回動する作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農道や荒れ地の雑草を除去するための草刈り作業を行う作業機として草刈り機が知られている。このような草刈り機は、トラクタ等の走行機体によって牽引されながら草刈り作業を進める。近年は、草刈り作業を行う作業部が走行機体の側方に移動可能となっていて、走行機体の側方において草刈り作業を行うオフセットタイプの草刈り機が知られている(特許文献1)。このようなオフセットタイプの草刈り機では、土手などの水平面に対して傾斜した地面に対して作業をすることができるように、オフセットした状態で作業部を傾斜させる機能が備えられている。つまり、上記のような作業機は、作業部を側方にオフセットするために第1方向に延びた第1回動軸を中心に回動し、当該作業部を傾斜させるために第1方向とは異なる第2方向に延びた第2回動軸を中心に回動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-35029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなオフセットタイプの草刈り機では、草刈り機を走行機体から取り外して保管する際に、作業部の自重に起因する負荷がかかる。例えば、上記のような作業部をオフセットさせる動作、及び作業部を傾斜させる動作を、電動油圧シリンダを用いて行うような草刈り機では、作業部の自重に起因する負荷によってこれらの電動油圧シリンダが伸縮してしまう。草刈り機を保管中に電動油圧シリンダが伸縮すると、草刈り機のバランスが崩れ、草刈り機が転倒してしまう場合がある。
【0005】
このような不具合を抑制するために、例えば特許文献1では、草刈作業部5に設けられた草刈作業部係合プレート814と、オフセット機構部6に設けられた回動アーム係合プレート813と、に固定ピン810’を差し込んで固定することで、草刈作業部5の側方への水平移動を阻止している。また、二股状の回動アーム係合プレート813の二股の間に、草刈作業部係合プレート814を配置し、これらを固定ピン810’で固定することで、草刈作業部5の下方への回動を阻止している。
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すような草刈り機では、草刈作業部5の回動を規制するために、上面視において草刈作業部係合プレート814と回動アーム係合プレート813とが重なった状態で固定ピン810’を差し込む必要がある。そのため、草刈作業部5の回動中心に近い位置で固定ピン810’、草刈作業部係合プレート814、及び回動アーム係合プレート813が接触するため、草刈作業部5が回動しようとしたときに、これらの部材に強い負荷がかかり、これらの部材が変形又は破損する場合があった。また、固定ピン810’を差し込むために、上面視において草刈作業部係合プレート814に設けられた貫通孔、及び回動アーム係合プレート813に設けられた貫通孔を精度良く位置合わせする必要がある。この位置合わせの作業は作業者にとって大きな負担となっていた。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、作業部の動作が規制されたロック状態において作業部が回動しようとしたときに、作業部の回動を規制する部材にかかる負荷を軽減することができる作業機を提供することを目的の一つとする。又は、ロック状態にする際に、作業者への負担を少なくすることができる作業機を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態における作業機(草刈り機10)は、第1方向(D1方向)に延びた第1回動軸(回動軸401)を中心に回動し、第1接続部(接続部460)を有する作業部(作業部400)と、前記作業部を、前記第1方向と交差する第2方向(D2方向)に延びた第2回動軸(回動軸211)を中心に回動させ、第2接続部(接続部250)を有する回動機構部(オフセット機構部200)と、前記第2方向から見た場合に、前記第1接続部と前記第2接続部とが重ならない位置で、前記第1接続部及び前記第2接続部に接続されるストッパ(ストッパ500)と、を有する。
【0009】
前記ストッパは、前記第1接続部が貫通可能な貫通孔(貫通孔501)を有し、前記貫通孔の形状は、前記ストッパの長手方向(L1方向)に長手を有する形状であってもよい。
【0010】
前記作業部は、前記第1接続部とは異なる位置で前記ストッパを接続する第3接続部(接続部481)と、前記第1回動軸を中心に前記作業部を回動させる動力部(動力部450)と、を有し、前記ストッパが前記第1接続部及び前記第3接続部に接続された状態において、前記ストッパは、前記第1方向から見た場合に、前記動力部と重なってもよい。
【0011】
長手を有し、前記長手の方向に異なる位置に第1部材(係止ピン255A)及び第2部材(係止部257A)を有する固定部材(固定部材253A)をさらに有し、前記ストッパ(ストッパ500A)及び前記第2接続部(接続部250A)が前記第1部材と前記第2部材との間にある第1状態で、前記ストッパと前記第2接続部とが接続され、前記ストッパ及び前記第3接続部(接続部481A)が前記第1部材と前記第2部材との間にある第2状態で、前記ストッパと前記第3接続部とが接続され、前記第2状態における前記第1部材と前記第2部材との距離は、前記第1状態における前記第1部材と前記第2部材との距離より小さくてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態における作業機(草刈り機10)は、第1方向(D1方向)に延びた第1回動軸(回動軸401)を中心に回動する作業部(作業部400)と、前記作業部を、前記第1方向と交差する第2方向(D2方向)に延びた第2回動軸(回動軸211)を中心に回動させる回動機構部(オフセット機構部200)と、長手を有し、前記作業部の前記第1回動軸を中心とする回動及び前記第2軸を中心とする回動の両方の回動を規制するストッパ(ストッパ500)と、を有する。
【発明の効果】
【0013】
上述した本発明の一実施形態における作業機によると、作業部の動作が規制されたロック状態において作業部が回動しようとしたときに、作業部の回動を規制する部材にかかる負荷を軽減することができる作業機を提供することができる。又は、ロック状態にする際に、作業者への負担を少なくすることができる草刈り機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る走行機体及び草刈り機の構成を示す上面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る草刈り機(ロック状態)の一部を拡大した上面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る草刈り機(ロック状態)の構成を示す正面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る草刈り機のストッパの構成を示す正面図及び上面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る草刈り機(ロック解除状態)の一部を拡大した上面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る草刈り機(ロック解除状態)の構成を示す正面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る草刈り機(オフセット状態)の構成を示す上面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る草刈り機の作業部が下方に回動した状態を示す正面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る草刈り機に用いられる固定部材の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の作業機の実施形態について、オフセットタイプの草刈り機を用いて説明する。但し、本発明の作業機は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は同一の符号の後にアルファベットを付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0016】
説明の便宜上、上方、下方、前方、後方、右方、左方といった方向を示す語句を用いるが、重力の働く方向が下方であり、その逆が上方である。また、走行機体の進行する方向が前方であり、その逆が後方である。さらに、前方に向かって、右側が右方であり、左側が左方である。右方及び左方を特に区別しない場合、単に側方という場合がある。
【0017】
本実施形態に係る作業機は、オフセットタイプの草刈り機の他に、それぞれが異なる方向に延びた2つの回動軸を中心に回動する作業機に適用することができる。例えば、本実施形態に係る作業機は、第1方向に延びた第1回動軸を中心に回動する作業部が、第1方向とは異なる第2方向に延びた第2回動軸を中心に当該作業部を回動させる回動機構を有する作業機に適用することができる。
【0018】
〈第1実施形態〉
[ロック状態における草刈り機10の構成]
第1実施形態に係る草刈り機10の概略の構成について、図1図3を用いて説明する。図1図3は、後述するロック状態における草刈り機10の構成を示す。図1は、本発明の一実施形態に係る走行機体及び草刈り機の構成を示す上面図である。図2は、本発明の一実施形態に係る草刈り機(ロック状態)の一部を拡大した上面図である。図3は、本発明の一実施形態に係る草刈り機(ロック状態)の構成を示す正面図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態における草刈り機10は、装着部100、オフセット機構部200、動力伝達部300、作業部400、及びストッパ500を備えている。草刈り機10は装着部100によってトラクタ等の走行機体20に連結される。装着部100及び作業部400は、オフセット機構部200及び動力伝達部300を介して連結される。この構成によって、走行機体20の走行に伴って草刈り機10が牽引され、作業部400による草刈り作業が行われる。
【0020】
装着部100は、走行機体20の2つの後方タイヤ21の間に設けられた三点リンク機構23(ただし、図1ではロワーリンクのみ示す)に対して連結される。三点リンク機構23は、通常、トップリンク、リフトロッド及びロワーリンクで構成される。三点リンク機構23は、公知の機構であるため、ここでの説明は省略する。
【0021】
装着部100は、走行機体20の幅方向である左右方向に延びるヒッチフレーム110を備える。ヒッチフレーム110は、走行機体20の後部に設けられた三点リンク機構23に連結可能に構成されている。ヒッチフレーム110の中央下部にはギアボックス(図示せず)が設けられ、このギアボックスに走行機体20から動力を受ける入力軸(図示せず)が設けられている。入力軸には、走行機体20に設けられたPTO軸25からユニバーサルジョイント(図示せず)を介して動力が伝達される。
【0022】
オフセット機構部200(回動機構部)は、作業部400のオフセット移動を行うための回動機構である。オフセット機構部200は、作業部400を、走行機体20の進行方向に対して側方にオフセットした位置に移動させることができる。本実施形態のオフセット機構部200は、オフセットフレーム210、リンクロッド220、支持フレーム230、及び動力部240を有する。オフセットフレーム210は、回動軸211において装着部100に回動可能に接続されており、回動軸211を中心に回動する。リンクロッド220は、回動軸211とは異なる位置に設けられた回動軸221において装着部100に回動可能に接続されており、回動軸221を中心に回動する。オフセットフレーム210及びリンクロッド220が、それぞれ回動軸211及び221を中心として回動することで、作業部400が走行機体20の進行方向に対する側方に移動する。なお、図1では、オフセット機構部200は走行機体20の前進方向に対して左側(時計回り)に回動した状態である。この状態では、作業部400は走行機体20の後方に位置している。この状態を「収納状態」という。
【0023】
オフセットフレーム210は、中空状部材で構成される長尺のフレームであり、動力伝達部300の下方に配置される(図3参照)。上記のように、オフセットフレーム210の一端は、回動軸211において、ヒッチフレーム110に対して回動可能に接続されている。一方、オフセットフレーム210の他端は、回動軸213において、作業部400及び支持フレーム230に対して回動可能に接続されている。オフセットフレーム210は、回動軸211を中心としてヒッチフレーム110に対して水平面上で回動する。作業部400は、回動軸213を中心としてオフセットフレーム210に対して水平面上で回動する。このような構成によって、作業部400は装着部100に対して水平面上で回動する。オフセットフレーム210は、動力伝達部300に接続されており、動力伝達部300と共に移動する。なお、回動軸213は回動軸フレーム260によって支持されている。
【0024】
リンクロッド220は、筒状部材で構成される長尺の部材であり、オフセットフレーム210と同程度の長さを有する。上記のように、リンクロッド220の一端は、回動軸221において、ヒッチフレーム110に対して回動可能に接続されている。一方、リンクロッド220の他端は、回動軸223において、支持フレーム230に対して回動可能に接続されている。
【0025】
支持フレーム230は、筒状部材で構成され、オフセットフレーム210及びリンクロッド220に比べて短尺の部材であり、オフセットフレーム210とリンクロッド220とを相互に連結する部材である。上記のように、支持フレーム230に対し、オフセットフレーム210及びリンクロッド220は、共に回動可能に連結される。支持フレーム230は、作業部400に接続されており、作業部400のオフセット動作の際に作業部400と一体に動く。換言すると、支持フレーム230の長手方向と作業部400の長手方向との間の角度は一定に保たれている。
【0026】
回動軸211、213、221、223の4点を結ぶ形状は略平行四辺形である。以上の構成により、ヒッチフレーム110、オフセットフレーム210、リンクロッド220、及び支持フレーム230は、それぞれの回動軸を頂点とする平行四辺形の回動機構を構成する。この回動機構により、オフセット機構部200は、走行機体20の進行方向に対する作業部400の角度を保持したまま、作業部400をオフセット移動させることができる。
【0027】
動力部240は、オフセット機構部200の動力源(アクチュエータ)であり、例えばガスシリンダ、油圧シリンダ等で構成される伸縮部材である。動力部240の一端は、ヒッチフレーム110に連結され、他端は、オフセットフレーム210の後方側に連結される。動力部240の伸縮により、オフセット機構部200が駆動され、作業部400のオフセット量(オフセット方向への移動量)を制御することができる。換言すると、オフセット機構部200は、動力部240の伸縮によって、回動軸211を中心に作業部400を回動させる。
【0028】
動力伝達部300は、装着部100の入力軸(図示せず)で受けた走行機体20からの動力を、作業部400側に伝達するための機構である。動力伝達部300として、チェーン駆動機構が用いられている。具体的には、動力伝達部300は、少なくとも駆動スプロケット、従動スプロケット、及びローラーチェーンを備えている。ローラーチェーンが駆動スプロケット及び従動スプロケットに巻き掛けられ、駆動スプロケットの動力がローラーチェーンを介して従動スプロケットに伝達される。作業部400は、従動スプロケットから動力を受けて草刈り作業を行う。
【0029】
作業部400は、草刈り作業を行う部位である。作業部400は、走行機体20の進行方向に交差する方向に長手を有する。本実施形態では、作業部400は、走行機体20の進行方向に直交する方向に長手を有している。作業部400は、作業ロータ410(図3参照)、ロータカバー420、2枚の側板430、刈刃駆動部440、動力部450、接続部460(第1接続部)、接続部470(図3参照)、リンクアーム480(図3参照)、及び接続部490(図3参照)を有する。作業部400は、刈刃駆動部440が、動力伝達部300より伝達された動力を受けて作業ロータ410を駆動することにより草刈り作業を行う。
【0030】
動力部450の一端は、接続部460に対して回動可能に接続されている。接続部460はロータカバー420に固定されているため、動力部450はロータカバー420に対して回動可能に接続されている、ということもできる。動力部450の他端は、後述する接続部470に対して回動可能に接続されている。詳細は後述するが、作業部400は、動力部450の伸縮によって、回動軸401(第1回動軸)を中心に回動する。なお、回動軸401が延びる方向は回動軸211(第2回動軸)が延びる方向と交差する。本実施形態では、回動軸401が延びるD1方向(第1方向)は回動軸211が延びるD2方向(第2方向)と略直交する。なお、回動軸401は回動軸フレーム260によって支持されている。作業部400の各部材の詳細は、図2及び図3を用いて詳しく説明する。
【0031】
図2は、図1の草刈り機10の一部を拡大した図である。図2に示す草刈り機10は、ストッパ500によって、作業部400の回動軸211を中心とする回動(作業部400をオフセットさせる動作)及び回動軸401を中心とする回動(作業部400を水平面に対して傾斜させる動作)の両方の回動が規制された状態である。この状態を「ロック状態」という。一方、詳細は後述するが、上記の作業部400の回動の規制が解除された状態を「ロック解除状態」という。以下の説明において、「ロック状態」及び「ロック解除状態」における草刈り機10の状態を説明するために、オフセットフレーム210の一部(切り欠き領域215)が切り欠きされた状態で表示されている。
【0032】
ロータカバー420には接続部460が設けられている。接続部460は、取付座461、ピン463、ストッパ係止部465、ピン固定部467、及びピン係止部469を有する。取付座461は、ロータカバー420に固定されている。取付座461には円筒形状の部材が設けられており、その円筒形状の中空部にピン463が挿入されている。ピン463の両端付近には、ピン463を貫通する貫通孔が設けられており、これらの貫通孔にストッパ係止部465及びピン係止部469が配置されている。ストッパ係止部465をピン463から取り外すことで、ストッパ500を接続部460から取り外すことができる。また、ピン係止部469をピン463から取り外すことで、ピン463を取付座461から取り外すことができる。ピン固定部467は、取付座461の円筒形状の部材に設けられた窓に差し込まれ、当該円筒形状の部材の中空部に挿入されたピン463に当接する。ピン固定部467がピン463に当接することで、ピン463の位置が固定される。
【0033】
オフセットフレーム210には接続部250(第2接続部)が設けられている。接続部250は取付座251を有しており、取付座251に固定部材253が配置されている。取付座251は、オフセットフレーム210に固定されている。取付座251は、オフセットフレーム210から突出する二股形状の突出部である。取付座251の突出部には貫通孔が設けられており、その貫通孔に固定部材253が挿入されている。固定部材253は、取付座251の貫通孔に挿入された状態で、当該貫通孔から抜けないように固定される。なお、固定部材253を取付座251から取り外すことで、ストッパ500を接続部250から取り外すことができる。
【0034】
ストッパ500は長手を有する部材である。本実施形態では、ストッパ500は平板状の部材である。詳細は後述するが、ストッパ500の両端付近には、ストッパ500を貫通する貫通孔が設けられている。ロック状態において、ストッパ500の一端の貫通孔(図4の貫通孔501)にピン463が挿入されることで、ストッパ500が接続部460に接続される。同様に、ストッパ500の他端の貫通孔(図4の貫通孔503)が取付座251の貫通孔に一致した状態で、これらの貫通孔に固定部材253が挿入されることで、ストッパ500が接続部250に接続される。
【0035】
回動軸211を中心とする円弧方向において、ピン463及び固定部材253は、それぞれストッパ500の貫通孔の内壁に接することで、ストッパ500を係止する。この構成によって、ストッパ500は、作業部400が回動軸211を中心として回動することを規制する。なお、ロック状態において、上面視で接続部460と接続部250とが重ならない位置で、ストッパ500が接続部460及び接続部250に接続されている。上記の構成を換言すると、回動軸211が延びるD2方向から見た場合に、接続部460と接続部250とが重ならない位置で、ストッパ500が接続部460及び接続部250に接続されている。
【0036】
図3は、図1の草刈り機10を走行機体20側から見た正面図である。作業ロータ410は、両端の側板430の間に回転軸を有している。当該回転軸に複数の刈刃411が設けられている。上記の回転軸は、走行機体20の進行方向に対して直交する水平方向に設けられる。作業ロータ410は、回転軸を回転させて刈刃411を回転させることにより雑草等を刈り取る。なお、図3において、装着部100、並びに、リンクロッド220、支持フレーム230、及び動力部240は省略されている。
【0037】
ロータカバー420は、作業ロータ410の上方を覆うカバー部材である。ロータカバー420は、刈刃411によって刈り取られた雑草、雑草に付着する土、作業面(地表面)に落ちている小石などの飛散を防止すると共に、刈り取られた雑草を再び刈刃411に戻し、細かく破砕する効果を有する。ロータカバー420の前方には、カバー部材421が設けられている。カバー部材421は、刈刃411によって跳ね飛ばされた小石などが前方に飛散することを抑制する。
【0038】
側板430は、ボールベアリング等を介して作業ロータ410の回転軸を回転可能に支持すると共に、ロータカバー420を支持する。本実施形態では、進行方向に対して左端の側板430に対して刈刃駆動部440が設けられている。
【0039】
刈刃駆動部440は、走行機体20から動力伝達部300を介して伝達された回転動力を、作業ロータ410の回転軸に伝達する。図示しないが、刈刃駆動部440は、駆動プーリー、従動プーリー、ベルト、及びテンショナーを含む。ベルトは、駆動プーリーと従動プーリーとの間に巻き掛けられている。テンショナーは、駆動プーリー及び従動プーリーに巻き掛けられたベルトの内側に配置され、当該ベルトの内側から外側に向かってベルトへ張力を与える。ただし、刈刃駆動部440は上記以外の構成であってもよい。
【0040】
上述した構造の刈刃駆動部440では、駆動プーリーが動力伝達部300から伝達された回転動力により回転し、ベルトを介して従動プーリーへ回転動力を伝達する。従動プーリーは、駆動プーリーから与えられた回転動力を作業ロータ410の回転軸に伝達し、作業ロータ410を駆動する。
【0041】
動力部450は、接続部460と接続部470との間に設けられ、これらに対して回動可能に接続されている。接続部470は回動軸フレーム260に固定されている。換言すると、接続部470は回動軸フレーム260に対して回動不可能に接続されている。つまり、作業部400が回動軸401を中心に回動する場合であっても、接続部470は作業部400と共に回動しない。
【0042】
リンクアーム480は、接続部460に対して接続されており、接続部490に固定されている。リンクアーム480は接続部481(第3接続部)及び保持部483を有する。接続部481は、リンクアーム480から下方に突出した突出部4811に貫通孔4813が設けられた形状を有している。換言すると、突出部4811はリンクアーム480よりも動力部450側に突出しており、貫通孔4813はリンクアーム480と動力部450との間に設けられている。詳細は後述するが、ロック解除状態において、ストッパ500が接続部481に接続される。具体的には、ストッパ500の貫通孔(図4の貫通孔503)が貫通孔4813に一致した状態で、これらの貫通孔に固定部材253が挿入されることで、ストッパ500が接続部481に接続される。保持部483は、リンクアーム480が接続部460に接続された箇所(つまり、接続部460に対するリンクアーム480の回動中心)と接続部481との間に設けられている。換言すると、保持部483は接続部460と接続部481との間に設けられている。詳細は後述するが、ロック解除状態において、保持部483はストッパ500を保持する。
【0043】
接続部490はロータカバー420及びリンクアーム480に固定されている。つまり、作業部400が回動軸401を中心に回動するときに、リンクアーム480及び接続部490は作業部400と共に回動する。
【0044】
上記の構成を有することで、動力部450が収縮したときに、動力部450は接続部460及び接続部470に対して作用し、接続部460が接続部470に向かって引き寄せられる。この作用によって、接続部460、リンクアーム480、及び接続部490を介して、作業部400には回動軸401を中心とした反時計回り方向の回転動力が生じる。しかし、図3に示すロック状態では、回動軸401を中心とする円弧方向において、ピン463及び固定部材253は、それぞれストッパ500の貫通孔の内壁に接することで、ストッパ500を係止する。この構成によって、ストッパ500は、作業部400が回動軸401を中心として回動することを規制する。なお、ロック状態において、正面視で接続部460と接続部250とが重ならない位置で、ストッパ500が接続部460及び接続部250に接続されている。上記の構成を換言すると、回動軸401が延びるD1方向から見た場合に、接続部460と接続部250とが重ならない位置で、ストッパ500が接続部460及び接続部250に接続されている。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る草刈り機10によると、ロック状態において、作業部400を回動させようとすると、ピン463、固定部材253、及びストッパ500には強い負荷がかかるため、これらの部材が変形又は破損する場合がある。しかし、これらの部材が容易に取り替え可能であるため、これらの部材が変形又は破損した場合であっても、メンテナンスに係る負担を小さくすることができる。また、上面視及び正面視で接続部460と接続部250とが重ならない位置で、ストッパ500が接続部460及び接続部250に接続されることで、ストッパ500及びストッパ500を接続させるための接続部250、460の設計自由度を向上させることができる。特に、本実施形態では、ストッパ500は、作業部400の回動中心から離れた位置で作業部400の回動を規制する。したがって、作業部400を回動させようとしたときに、ストッパ500、並びに、ピン463及び固定部材253にかかる負荷が小さくなるため、これらの部材の変形又は破損を抑制することができる。
【0046】
[ストッパ500の構成]
図4を用いてストッパ500の構成について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る草刈り機のストッパの構成を示す正面図(A)及び上面図(B)である。図4(B)は、図4(A)の矢印の方向から見た図である。ストッパ500はL1方向に長手を有している。ストッパ500には、ストッパ500を貫通する貫通孔501、503が設けられている。図4(A)に示すように、貫通孔501の形状はL1方向に長手を有する形状である。図4(B)に示すように、ピン463はD1方向に貫通孔501を貫通している。この状態において、ピン463はストッパ500の移動範囲を規制する。換言すると、接続部460は、接続部460に接続された状態におけるストッパ500の移動範囲を規制する。ピン463によってストッパ500の移動範囲が規制された状態において、L1方向におけるストッパ500の可動範囲は、L1方向に直交するL2方向におけるストッパ500の可動範囲より大きい。
【0047】
ストッパ500よりもD1方向側において、ピン463の周囲にワッシャー466が設けられている。貫通孔501の短手方向(L2方向)において、ワッシャー466のサイズは貫通孔501のサイズよりも大きい。ワッシャー466よりもD1方向側において、ストッパ係止部465は、ピン463を貫通することで、ワッシャー466のD1方向への動きを規制している。上記のように、ストッパ係止部465及びワッシャー466によって、ピン463が貫通孔501から脱離することが規制される。一方で、貫通孔501がL1方向に長手を有しているため、ストッパ500は、ピン463に対して相対的にL1方向に移動可能である。
【0048】
貫通孔503の形状は、固定部材253の断面形状と同様に円形である。貫通孔503のサイズは、固定部材253のサイズよりも大きいため、図4(B)のように、固定部材253が貫通孔503に対して、ストッパ500の斜め方向から挿入することが可能である。固定部材253が取付座251の貫通孔及び貫通孔503を貫通した状態で、固定部材253に係止ピン255が設けられている。係止ピン255によって、固定部材253が取付座251の貫通孔及び貫通孔503から脱離することが規制される。
【0049】
本実施形態では、貫通孔503の形状が円形である構成を例示したが、この構成に限定されない。貫通孔503の形状は、固定部材253の断面形状に合わせて、適宜調整することができる。また、貫通孔503の形状がL1方向に長手を有する形状であってもよい。
【0050】
以上のように、本実施形態に係る草刈り機10及びストッパ500によると、ピン463が貫通孔501に挿入された状態において、ストッパ500がピン463に対して相対的にL1方向に移動可能である。したがって、図2を参照すると、作業部400の回動軸211に対する回動角度が所定の範囲内にあれば、草刈り機10をロック状態にすることができる。同様に、図3を参照すると、作業部400の回動軸401に対する回動角度が所定の範囲内にあれば、草刈り機10をロック状態にすることができる。つまり、ロック状態にするための、接続部460に対する接続部250の位置合わせに対する自由度を大きくすることができる。
【0051】
[ロック解除状態における草刈り機10の構成]
ロック解除状態における草刈り機10の構成について、図5図6を用いて説明する。図5は、本発明の一実施形態に係る草刈り機(ロック解除状態)の一部を拡大した上面図である。図6は、本発明の一実施形態に係る草刈り機(ロック解除状態)の構成を示す正面図である。ロック解除状態では、ストッパ500が、接続部250ではなく、リンクアーム480に設けられた接続部481に接続されており、作業部400が回動軸211及び回動軸401に対して回動可能である。
【0052】
図5及び図6に示すように、ストッパ500は接続部460及び接続部481に接続されている。接続部481は、作業部400において、接続部460とは異なる位置に設けられている。このように、ロック解除状態において、ストッパ500は、作業部400の異なる位置に設けられた2つの接続部に接続される。この状態において、固定部材253はストッパ500の貫通孔503(図4参照)及び接続部481の貫通孔4813(図3参照)を貫通している。ストッパ500は、その両端がリンクアーム480に接続されるため、作業部400と共に回動する。また、この状態において、保持部483はストッパ500を保持する。保持部483は、可撓性を有する金属であり、ストッパ500が接続部481に接続された状態で、ストッパ500を巻き込むように保持する。
【0053】
図6に示すように、ストッパ500が接続部481に接続された状態において、ストッパ500の一部はリンクアーム480の下方に位置する。換言すると、ストッパ500が接続部460及び接続部481に接続された状態において、ストッパ500は、正面視でリンクアーム480から露出された領域の動力部450と重なる。上記の状態において、ストッパ500の長手方向は動力部450の伸縮方向に延びている。換言すると、ストッパの長手方向は、動力部450の動作方向に直交する成分に比べて、動力部450の動作方向に平行な成分の方が大きい。上記の構成によって、正面視において、リンクアーム480及びストッパ500の両方が動力部450を覆う領域は、リンクアーム480が動力部450を覆う領域に比べて大きい。この構成によって、正面側から動力部450に向かって飛来する小石などから、動力部450を保護することができる。さらに、ストッパ500の長手方向が動力部450の伸縮方向に延びていることで、飛来した小石などが動力部450に到達する確率を低減することができる。
【0054】
なお、ストッパ500は、図6よりも下方(つまり、動力部450に近い位置)で接続部481に接続されていてもよい。その構成を実現するために、突出部4811の長さが調整されていてもよい。又は、ストッパ500の形状が、保護したい領域に応じて変形されていてもよい。例えば、ストッパ500が下方に延びる突出部を有していてもよい。
【0055】
上記のように、ロック解除状態では、作業部400が回動軸211及び回動軸401に対して回動可能である。図7は、本発明の一実施形態に係る草刈り機(オフセット状態)の構成を示す上面図である。図7に示すように、ロック解除状態において、動力部240が伸長すると、オフセット機構部200の動作によって作業部400が回動軸211を中心に回動し、作業部400が走行機体20の進行方向(D1方向)に対する側方に移動する。図7に示す状態をオフセット状態という。
【0056】
図8は、本発明の一実施形態に係る草刈り機の作業部が下方に回動した状態を示す正面図である。図8に示すように、オフセット状態において、動力部450が収縮すると、動力部450は接続部460及び接続部470に対して作用し、接続部460が接続部470に向かって引き寄せられる。この作用によって、接続部460、リンクアーム480、及び接続部490を介して、作業部400には、回動軸401を中心とした反時計回り方向の回転動力が生じる。このようにして、作業部400を、作業場30の傾斜面31に沿って傾斜させることができる。
【0057】
上記の実施形態では、接続部481が作業部400側に設けられ、ロック解除状態において、ストッパ500が作業部400側に格納される構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、接続部481がオフセット機構部200側(例えば、オフセットフレーム210)に設けられ、ロック解除状態において、ストッパ500がオフセット機構部200側に格納されてもよい。
【0058】
〈第2実施形態〉
第2実施形態に係る草刈り機10Aの概略の構成について、図9を用いて説明する。図9は、本発明の一実施形態に係る草刈り機に用いられる固定部材の構造を示す図である。第2実施形態に係る草刈り機10Aでは、固定部材253Aの構成が、第1実施形態に係る草刈り機10の固定部材253とは相違する。
【0059】
図9(A)は、図4(B)の一部と同様の図である。図9(B)は、固定部材253Aをその長手方向から見た図である。図9(C)は、固定部材253Aをその長手方向の側方から見た図である。図9(C)に示すように、長手を有する固定部材253Aには、固定部材253Aを貫通する二つの貫通孔2531A、2533Aが設けられており、固定部材253Aの端部には係止部257Aが設けられている。上記の二つの貫通孔は、固定部材253Aの長手方向に異なる位置に設けられている。これらの貫通孔2531A、2533Aに係止ピン255Aが挿入されることで、係止ピン255Aと係止部257Aとの間でストッパ500Aが接続部250A又は接続部481Aに接続される。係止ピン255Aは、弾性を有する金属であり、いわゆるRピン又はスナップピンと呼ばれる部材である。係止ピン255Aは、その弾性を利用して固定部材253Aに取り付けられる。係止ピン255Aを「第1部材」という場合がある。同様に、係止部257Aを「第2部材」という場合がある。
【0060】
図9(A)の状態において、固定部材253Aが取付座251Aの貫通孔及びストッパ500Aの貫通孔503Aを貫通した状態で、貫通孔2531Aに係止ピン255Aが挿入されることで、ストッパ500Aが接続部250Aに接続される。この状態において、取付座251Aは係止ピン255A及び係止部257Aに係止する。換言すると、ストッパ500A及び接続部250Aが係止ピン255Aと係止部257Aとの間にある状態(第1状態)で、ストッパ500Aと接続部250Aとが接続される。ロック状態では、ストッパ500Aが、取付座251Aの突出方向に対して傾斜した状態で、取付座251Aの二股形状の間に配置される。したがって、取付座251Aの二股形状の幅は、ストッパ500Aの幅に対して十分な大きさに設計される。したがって、係止ピン255Aは固定部材253Aの先端に近い側の貫通孔2531Aに配置される。
【0061】
図9(D)は、図5の一部と同様の図である。図9(E)は、図9(D)の状態における固定部材253Aをその長手方向の側方から見た図である。図9(D)の状態において、固定部材253Aがストッパ500Aの貫通孔503A(図4参照)及び接続部481Aの貫通孔4813A(図3参照)を貫通した状態で、貫通孔2533Aに係止ピン255Aが挿入されることで、ストッパ500Aが接続部481Aに接続される。この状態において、ストッパ500A及びリンクアーム480Aは係止ピン255A及び係止部257Aに係止する。換言すると、ストッパ500A及び接続部481Aが係止ピン255Aと係止部257Aとの間にある状態(第2状態)で、ストッパ500Aと接続部481Aとが接続される。上記の第1状態では係止ピン255Aが貫通孔2531Aに配置され、第2状態では係止ピン255Aが貫通孔2533Aに配置されるため、第2状態における係止ピン255Aと係止部257Aとの距離は、第1状態における係止ピン255Aと係止部257Aとの距離より小さい。ロック解除状態では、ストッパ500Aは、リンクアーム480Aに概略平行な状態で、接続部481Aに接続される。したがって、ロック解除状態では、ストッパ500Aをリンクアーム480Aに近接させることができる。
【0062】
ここで、貫通孔2533Aに係止ピン255Aを配置することで、ロック解除状態におけるストッパ500Aの可動範囲を狭くすることができる。その結果、ロック解除状態におけるストッパ500Aのガタつきを抑制することができる。図9(D)に示す状態において、ストッパ500Aがリンクアーム480Aに最も近接した状態で、保持部483Aによってストッパ500Aを保持することで、さらにストッパ500Aのガタつきを抑制することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、「第1部材」としてピン形状の部材が用いられた構成を例示したが、第1部材は、接続部(250A又は481A)及びストッパ500Aを係止すればよく、ピン形状以外の部材(例えば、板状の部材)であってもよい。また、本実施形態では、固定部材253Aに設けられた貫通孔(2531A、2533A)に係止ピン255Aが挿入されることで、接続部(250A又は481A)及びストッパ500Aが形成される構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、固定部材253Aに溝が設けられ、当該溝に係止ピン255Aに相当する部材を嵌合してもよい。又は、固定部材253Aには貫通孔や溝が形成されることなく、固定部材253Aを囲むリング状の部材からネジなどによって固定部材253Aを締めつけることで係止ピン255Aを代替えしてもよい。また、本実施形態では、「第2部材」として、固定部材253Aの端部に固定された突出部が用いられた構成を例示したが、第1部材と同様に、第2部材は、接続部(250A又は481A)及びストッパ500Aを係止すればよく、上記の形状以外の部材であってもよい。例えば、係止部257Aの代わりに係止ピン255Aの構成を適用してもよい。
【0064】
以上のように、本実施形態に係る草刈り機10Aによると、ロック解除状態において、ストッパ500Aのガタつきを抑制することができる。
【0065】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態の連結位置調整機構及び作業機を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0066】
また、上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0067】
10:草刈り機、 20:走行機体、 21:後方タイヤ、 23:三点リンク機構、 25:PTO軸、 30:作業場、 31:傾斜面、 100:装着部、 110:ヒッチフレーム、 200:オフセット機構部、 210:オフセットフレーム、 211、213、221、223、401:回動軸、 220:リンクロッド、 230:支持フレーム、 240、450:動力部、 250、460、470、481、490:接続部、 251、461:取付座、 253:固定部材、 255:係止ピン、 257A:係止部、 260:回動軸フレーム、 300:動力伝達部、 400:作業部、 410:作業ロータ、 411:刈刃、 420:ロータカバー、 421:カバー部材、 430:側板、 440:刈刃駆動部、 463:ピン、 465:ストッパ係止部、 466:ワッシャー、 467:ピン固定部、 469:ピン係止部、 480:リンクアーム、 483:保持部、 500:ストッパ、 501、503、2531A、2533A、4813:貫通孔、 4811:突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9