(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168081
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】抗原をカップリングさせたハイブリダイゼーション試薬
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20221027BHJP
C12Q 1/6813 20180101ALI20221027BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20221027BHJP
C12Q 1/6841 20180101ALI20221027BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
C12Q1/6813 Z
C12Q1/6876 Z
C12Q1/6841 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022142054
(22)【出願日】2022-09-07
(62)【分割の表示】P 2019502168の分割
【原出願日】2017-07-18
(31)【優先権主張番号】62/363,825
(32)【優先日】2016-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517274914
【氏名又は名称】セル アイディーエックス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エー. シュワルツ
(57)【要約】
【課題】様々なハイブリダイゼーションアッセイおよび他の関連技術に使用される、高性能のハイブリダイゼーション試薬を提供すること。
【解決手段】ハイブリダイゼーション試薬は、オリゴヌクレオチドプローブおよび架橋抗原を含み、架橋抗原が、検出可能な抗体により高親和性で認識される。複数の異なる標的核酸に特異的なハイブリダイゼーション試薬のパネルを含む組成物、およびハイブリダイゼーション試薬とそれらの相補的な検出可能な抗体のペアを含む組成物もまた提供される。ペアになったハイブリダイゼーション試薬と検出可能な抗体は、様々なハイブリダイゼーションアッセイ、特に、高度に多重化されたアッセイにおいて有用であり、単一アッセイにおいて標的核酸の多重性を同時に検出することができるハイブリダイゼーション試薬の多重性が提供されるように、架橋抗原の構造は、検出可能な抗体のバリエーションと並行して変わる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2016年7月18日に出願された米国仮特許出願第62/363,825号に対する利益を主張し、この米国仮特許出願の開示内容は、その全体が参照により本明細書において援用される。
【背景技術】
【0002】
細胞アッセイにおいて高い感度および特異性で、タンパク質および核酸を含む低発現標的マーカー(いくつかの場合にはピコグラム未満のレベル)を検出する能力は、依然として満たされていないニーズである。分析に利用可能な細胞および組織の試料サイズが小さくなるにつれて、そのようなアプローチはさらにより重要になる。さらに、単一のアッセイで複数の低発現標的を同時に検出することが可能であることには、さらなる利益がある。
【0003】
インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)は、生物学的試料中の核酸を検出するために使用される強力な標識技術である。一般的な方法は、典型的には、固定された組織または細胞試料中の目的の標的核酸に相補的である標識されたDNA、RNA、または修飾核酸プローブの使用を伴う。標識されたプローブは、試料中の標的DNAまたはRNA配列とハイブリダイズさせられ、そうすることで、1つもしくは複数の遺伝子座(例えば、ゲノムDNA標的について)または1つもしくは複数の発現遺伝子(例えば、RNA標的について)についての時間的情報および空間的情報を提供する。
【0004】
インサイチュハイブリダイゼーション技術は、プローブを修飾するために使用される標識の種類、そして結果として標的を同定するために使用される検出方法に従って互いに区別することができる。発色インサイチュハイブリダイゼーション(CISH)アッセイについて、IHC染色において従来使用されている反応および標識などのペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ反応が、標的の位置に発色シグナルを生成するために使用される。続いて、シグナルは、明視野顕微鏡法を用いて可視化される。CISHは、例えば、遺伝子増幅、遺伝子欠失、染色体転座、および染色体数を測定するために使用され得る。それは、特に、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織、中期染色体スプレッド、固定細胞、および血液または骨髄塗抹標本(smear)に適用することができる。
【0005】
蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)アッセイについて、蛍光標識が検出プロセスにおいて使用され、シグナルは、蛍光顕微鏡法または関連する分光学的技術を使用して検出される。分光的に明確に異なる蛍光特性を有する複数の蛍光標識の使用は、単一の試料内の複数の核酸標的の同時検出および共局在化を可能にする。したがって、DNA標的について、FISHは、例えば、目的のゲノム遺伝子座の存在、コピー数、および位置を検出するため、および遺伝子変異体および染色体欠損を同定するために使用することができる。RNA標的について、FISHは、例えば、時間的および空間的の両方で遺伝子発現を評価するために使用し、そうすることで、生理学的プロセスおよび疾患の病因に対する洞察を提供することができる。
【0006】
インサイチュハイブリダイゼーション技術はさらに、免疫組織化学的(IHC)染色技術と組み合わせて使用されて、組織試料中または別の適切な表面上の標的核酸および発現標的タンパク質を同時に標識することができる。
【0007】
しかし、上記のアプローチの有用性にもかかわらず、感度がより高く、特異性がより高く、単一のアッセイにおいて複数の核酸標的を検出する能力がより高い、向上したハイブリダイゼーションアッセイの試薬、方法、およびキットの開発が引き続き、必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、一態様では、様々なハイブリダイゼーションアッセイにおいて有用性がある、ハイブリダイゼーション試薬組成物を提供することにより、これらおよびその他の必要性に対処する。具体的には、本発明のこの態様によれば、ハイブリダイゼーション試薬組成物は、
架橋抗原とカップリングしたオリゴヌクレオチドプローブ;および
検出可能な抗体
を含み、該検出可能な抗体が該架橋抗原に対して高親和性で特異的である。
【0009】
一部の実施形態では、架橋抗原はペプチドまたは低分子ハプテンである。
【0010】
一部の実施形態では、架橋抗原は複数の抗原決定基を含む。具体的な実施形態では、複数の抗原決定基における各抗原決定基は同じである。別の具体的な実施形態では、複数の抗原決定基は線状反復構造を含む。より具体的には、線状反復構造は線状反復ペプチド構造である。
【0011】
別の具体的な実施形態では、複数の抗原決定基は少なくとも3個の抗原決定基を含むか、または架橋抗原は分岐型構造を含む。
【0012】
一部の実施形態では、架橋抗原は、非天然残基を含むペプチドである。具体的には、 非天然残基は、非天然立体異性体またはβ-アミノ酸であり得る。
【0013】
一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブおよび架橋抗原は、コンジュゲーション部分を介して化学的カップリング反応によりカップリングしている。具体的な実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブおよび架橋抗原が、高効率コンジュゲーション部分によりカップリングされる。これらの実施形態の一部では、高効率コンジュゲーション部分は、ヒドラゾンまたはオキシムなどのシッフ塩基である。一部の実施形態では、高効率コンジュゲーション部分は、クリック反応により形成される。一部の実施形態では、コンジュゲーション部分は、開裂可能なリンカーを含む。
【0014】
実施形態では、検出可能な抗体は検出可能な標識を含む。一部の実施形態では、検出可能な標識は、フルオロフォア、酵素、アップコンバージョンナノ粒子、量子ドット、または検出可能なハプテンである。具体的な実施形態では、検出可能な標識はフルオロフォアである。他の具体的な実施形態では、酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼもしくはダイズペルオキシダーゼなどのペルオキシダーゼであり、アルカリホスファターゼであり、またはグルコースオキシダーゼである。
【0015】
一部の実施形態によれば、検出可能な抗体は、架橋抗原に対して特異的であり、最大で100nM、最大で30nM、最大で10nM、最大で3nM、最大で1nM、最大で0.3nM、最大で0.1nM、最大で0.03nM、最大で0.01nM、または最大で0.003nMまたはさらに低い解離定数を有する。
【0016】
一部の組成物の実施形態は、複数の、架橋抗原をカップリングさせた(bridging antigen-coupled)オリゴヌクレオチドプローブ、および複数の検出可能な抗体を含み、それらには、3個、5個、10個、またはさらにそれ超の試薬ペアを含む組成物が挙げられる。
【0017】
別の態様では、本開示は、架橋抗原にカップリングしたオリゴヌクレオチドプローブを含む免疫試薬を提供する。
【0018】
具体的な実施形態では、ハイブリダイゼーション試薬は、上記のハイブリダイゼーション試薬組成物のハイブリダイゼーション試薬の特徴のうちの1つまたは複数を含む。
【0019】
別の態様によれば、本開示は、上記のハイブリダイゼーション試薬のいずれか複数を含む多重化ハイブリダイゼーション試薬組成物を提供する。具体的な実施形態では、組成物は、少なくとも3個、少なくとも5個、少なくとも10個、またはさらにそれ超のハイブリダイゼーション試薬を含む。
【0020】
別の態様では、本開示は、
第1の標的核酸を含む第1の試料を供給するステップ;
該第1の標的核酸を第1のハイブリダイゼーション試薬と反応させるステップであって、該第1のハイブリダイゼーション試薬が、該第1の標的核酸に相補的な上記ハイブリダイゼーション試薬のいずれかである、ステップ;
該第1のハイブリダイゼーション試薬を第1の検出可能な抗体と反応させるステップであって、該第1の検出可能な抗体が、該第1のハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原に対して、高親和性で特異的である、ステップ;および
該第1のハイブリダイゼーション試薬の該架橋抗原と会合している該第1の検出可能な抗体を検出するステップ
を含む、ハイブリダイゼーションアッセイのための方法を提供する。
【0021】
具体的な実施形態では、第1の検出可能な抗体は検出可能な標識を含む。より具体的には、検出可能な標識は、フルオロフォア、酵素、アップコンバージョンナノ粒子、量子ドット、または検出可能なハプテンである。一部の実施形態では、検出可能な標識はフルオロフォアであり、一部の実施形態では、酵素は、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはグルコースオキシダーゼである。具体的な実施形態では、ペルオキシダーゼは西洋ワサビペルオキシダーゼまたはダイズペルオキシダーゼである。
【0022】
一部の実施形態では、第1の標的核酸は組織切片内にある。これらの実施形態では、検出するステップは、蛍光検出ステップまたは酵素的検出ステップであり得る。
【0023】
一部の実施形態では、第1の標的核酸は、細胞内または細胞上に存在し得る。これらの実施形態では、第1の標的核酸は、細胞の細胞質内、または細胞の核内に存在し得る。
【0024】
一部の実施形態では、検出するステップは、蛍光検出ステップであり、具体的な実施形態では、方法は、第1の検出可能な抗体を結合している細胞を選別するステップをさらに含み得る。
【0025】
一部の実施形態では、方法は、
前記第1の試料における第2の標的核酸を第2のハイブリダイゼーション試薬と反応させるステップであって、該第2のハイブリダイゼーション試薬が、該第2の標的核酸に相補的な上記ハイブリダイゼーション試薬のいずれかである、ステップ;
該第2のハイブリダイゼーション試薬を第2の検出可能な抗体と反応させるステップであって、該第2の検出可能な抗体が、該第2のハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原に対して、高親和性で特異的である、ステップ;および
該第2のハイブリダイゼーション試薬の該架橋抗原と会合している該第2の検出可能な抗体を検出するステップをさらに含む。
【0026】
より具体的な方法の実施形態は、試料における少なくとも3個の標的核酸、試料における少なくとも5個の標的核酸、またはさらに、試料における少なくとも10個の標的核酸を検出することをさらに含む。
【0027】
一部の方法の実施形態は、第2の試料における第2の標的核酸を第2のハイブリダイゼーション試薬と反応させるステップであって、該第2のハイブリダイゼーション試薬が、該第2の標的核酸に相補的な上記ハイブリダイゼーション試薬のいずれかである、ステップ;
該第2のハイブリダイゼーション試薬を第2の検出可能な抗体と反応させるステップであって、該第2の検出可能な抗体が、該第2のハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原に対して、高親和性で特異的である、ステップ;および
該第2のハイブリダイゼーション試薬の該架橋抗原と会合している該第2の検出可能な抗体を検出するステップ
をさらに含み、前記第1の試料および該第2の試料が、組織試料の連続切片である。
【0028】
別の方法の実施形態は、第1の標的核酸を含む試料を供給するステップ;
該第1の標的核酸を第1のハイブリダイゼーション試薬と反応させるステップであって、該第1のハイブリダイゼーション試薬が、該第1の標的核酸に相補的な上記ハイブリダイゼーション試薬のいずれかである、ステップ;
該第1のハイブリダイゼーション試薬を第1の反応性抗体と反応させるステップであって、該第1の反応性抗体が、該第1のハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原と高親和性で結合する、ステップ;および
該第1の反応性抗体を第1の検出可能な試薬と反応させるステップであって、該第1の検出可能な試薬が、該第1の標的核酸の近くで該試料と結合している、ステップ
を含む。
【0029】
一部の実施形態では、これらの方法は、第1の反応性抗体を前記試料から解離させるステップをさらに含む。
【0030】
一部の実施形態では、これらの方法は、前記試料における第2の標的核酸を第2のハイブリダイゼーション試薬と反応させるステップであって、該第2のハイブリダイゼーション試薬が、該第2の標的核酸に相補的な上記ハイブリダイゼーション試薬のいずれかである、ステップ;
該第2のハイブリダイゼーション試薬を第2の反応性抗体と反応させるステップであって、該第2の反応性抗体が、該第2のハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原と高親和性で結合する、ステップ;および
該第2の反応性抗体を第2の検出可能な試薬と反応させるステップであって、該第2の検出可能な試薬が、該第2の標的核酸の近くで該試料に結合している、ステップ
をなおさらに含む。
【0031】
一部の実施形態では、これらの方法は、前記試料において前記第1の検出可能な試薬および前記第2の検出可能な試薬を検出するステップを含む。
【0032】
別の態様によれば、本開示は、ハイブリダイゼーションアッセイのためのキットを提供する。実施形態では、キットは、上記のハイブリダイゼーション試薬のいずれか、ハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原に対して高親和性で特異的である検出可能な抗体、およびキットを使用するための指示(instruction)を含む。具体的な実施形態では、キットは、上記のハイブリダイゼーション試薬のいずれかの少なくとも3個、少なくとも5個、またはさらに、少なくとも10個;ハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原に対して高親和性で特異的である、少なくとも3個、少なくとも5個、またはさらに、少なくとも10個の検出可能な抗体;およびキットを使用するための指示を含む。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
架橋抗原とカップリングしたオリゴヌクレオチドプローブ;および
検出可能な抗体
を含むハイブリダイゼーション試薬組成物であって、該検出可能な抗体が該架橋抗原に対して高親和性で特異的である、ハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目2)
前記架橋抗原がペプチドである、項目1に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。(項目3)
前記架橋抗原が複数の抗原決定基を含む、項目1に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目4)
前記複数の抗原決定基における各抗原決定基が同じである、項目3に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目5)
前記複数の抗原決定基が線状反復構造を含む、項目3に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目6)
前記線状反復構造が線状反復ペプチド構造である、項目5に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目7)
前記複数の抗原決定基が少なくとも3個の抗原決定基を含む、項目3に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目8)
前記架橋抗原が分岐型構造を含む、項目3に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目9)
前記架橋抗原が、非天然残基を含むペプチドである、項目1に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目10)
前記非天然残基が非天然立体異性体である、項目9に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目11)
前記非天然残基がβ-アミノ酸である、項目9に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目12)
前記オリゴヌクレオチドプローブおよび前記架橋抗原が、コンジュゲーション部分を介して化学的カップリング反応によりカップリングしている、項目1に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目13)
前記オリゴヌクレオチドプローブおよび前記架橋抗原が高効率コンジュゲーション部分を介してカップリングしている、項目12に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。(項目14)
前記高効率コンジュゲーション部分がシッフ塩基である、項目13に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目15)
前記シッフ塩基がヒドラゾンまたはオキシムである、項目14に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目16)
前記高効率コンジュゲーション部分がクリック反応によって形成される、項目13に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目17)
前記コンジュゲーション部分が切断可能なリンカーを含む、項目12に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目18)
前記オリゴヌクレオチドプローブが、細胞マーカーをコードする遺伝子または前記遺伝子によって発現されるRNAの少なくとも断片に相補的である、項目1に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目19)
前記細胞マーカーが、4-1BB、AFP、ALK1、アミロイドA、アミロイドP、アンドロゲン受容体、アネキシンA1、ASMA、BCA225、BCL-1、BCL-2、BCL-6、BerEP4、ベータ-カテニン、ベータ-HCG、BG-8、BOB-1、CA19-9、CA125、カルシトニン、カルデスモン、カルポニン-1、カルレチニン、CAM5.2、CD1a、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD10、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD31、CD33、CD34、CD38、CD42b、CD43、CD45 LCA、CD45RO、CD56、CD57、CD61、CD68、CD79a、CD99、CD117、CD138、CD163、CDX2、CEA、クロモグラニンA、CMV、c-kit、c-MET、c-MYC、IV型コラーゲン、補体3c(C3c)、COX-2、CXCR5、CK1、CK5、CK6、CK7、CK8、CK14、CK18、CK17、CK19、CK20、CK903、CK AE1、CK AE1/AE3、D2-40、デスミン、DOG-1、E-カドヘリン、EGFR、EMA、ER、ERCC1、第VIII因子関連抗原、活性化第XIII因子、ファスシン、FoxP1、FoxP3、ガレクチン-3、GATA-3、GCDFP-15、GCET1、GFAP、グリコホリンA、グリピカン3、グランザイムB、HBME-1、Helicobacter Pylori、ヘモグロビンA、Hep Par1、HER2、HHV-8、HMB-45、HSV l/ll、ICOS、IFNガンマ、IgA、IgD、IgG、IgM、IL17、IL4、インヒビン、iNOS、カッパIg軽鎖、Ki67、LAG-3、ラムダIg軽鎖、リゾチーム、マンマグロビンA、MART-1/メランA、マスト細胞トリプターゼ、MLH1、MOC-31、MPO、MSA、MSH2、MSH6、MUC1、MUC2、MUM1、MyoD1、ミオゲニン、ミオグロビン、ナプシンA、ネスチン、NSE、Oct-2、OX40、OX40L、p16、p21、p27、p40、p53、p63、p504s、PAX-5、PAX-8、PD-1、PD-L1、PHH3、PIN-4、PLAP、PMS2、Pneumocystis jiroveci(carinii)、PR、PSA、PSAP、RCC、S-100、SMA、SMM、スムーセリン、SOX10、SOX11、サーファクタントアポプロテインA、シナプトフィジン、TAG72、TdT、トロンボモジュリン、チログロブリン、TIA-1、TIM3、TRAcP、TTF-1、チロシナーゼ、ウロプラキン、VEGFR-2、ビリン、ビメンチン、およびWT-1からなる群から選択される、項目18に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目20)
前記検出可能な抗体が検出可能な標識を含む、項目1に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目21)
前記検出可能な標識が、フルオロフォア、酵素、アップコンバージョンナノ粒子、量子ドット、または検出可能なハプテンである、項目20に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目22)
前記検出可能な標識がフルオロフォアである、項目21に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目23)
前記酵素が、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはグルコースオキシダーゼである、項目21に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目24)
前記ペルオキシダーゼが西洋ワサビペルオキシダーゼまたはダイズペルオキシダーゼである、項目23に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目25)
前記架橋抗原が検出可能な標識を含む、項目1に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目26)
前記架橋抗原の前記検出可能な標識がフルオロフォアである、項目25に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目27)
前記検出可能な抗体が検出可能な標識を含む、項目25に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目28)
前記架橋抗原の前記検出可能な標識および前記二次抗体の前記検出可能な標識がどちらも、同じ波長の蛍光によって検出可能である、項目27に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目29)
前記検出可能な抗体が、前記架橋抗原に対して特異的であり、最大で100nM、最大で30nM、最大で10nM、最大で3nM、最大で1nM、最大で0.3nM、最大で0.1nM、最大で0.03nM、最大で0.01nM、または最大で0.003nMの解離定数を有する、項目1に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目30)
複数の、項目1~29のいずれか一項に記載のハイブリダイゼーション試薬組成物を含む、多重化ハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目31)
少なくとも3個のハイブリダイゼーション試薬組成物を含む、項目30に記載の多重化ハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目32)
少なくとも5個のハイブリダイゼーション試薬組成物を含む、項目30に記載の多重化ハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目33)
少なくとも10個のハイブリダイゼーション試薬組成物を含む、項目30に記載の多重化ハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目34)
架橋抗原とカップリングしたオリゴヌクレオチドプローブを含むハイブリダイゼーション試薬。
(項目35)
前記架橋抗原がペプチドである、項目34に記載のハイブリダイゼーション試薬。
(項目36)
前記架橋抗原が複数の抗原決定基を含む、項目34に記載のハイブリダイゼーション試薬。
(項目37)
前記複数の抗原決定基における各抗原決定基が同じである、項目36に記載のハイブリダイゼーション試薬。
(項目38)
前記複数の抗原決定基が線状反復構造を含む、項目36に記載のハイブリダイゼーション試薬。
(項目39)
前記線状反復構造が線状反復ペプチド構造である、項目38に記載のハイブリダイゼーション試薬。
(項目40)
前記複数の抗原決定基が少なくとも3個の抗原決定基を含む、項目36に記載のハイブリダイゼーション試薬。
(項目41)
前記架橋抗原が分岐型構造を含む、項目36に記載のハイブリダイゼーション試薬。
(項目42)
前記架橋抗原が、非天然残基を含むペプチドである、項目34に記載のハイブリダイゼーション試薬。
(項目43)
前記非天然残基が非天然立体異性体である、項目42に記載のハイブリダイゼーション試薬。
(項目44)
前記非天然残基がβ-アミノ酸である、項目42に記載のハイブリダイゼーション試薬。
(項目45)
前記オリゴヌクレオチドプローブおよび前記架橋抗原が、コンジュゲーション部分を介して化学的カップリング反応によりカップリングしている、項目34に記載のハイブリダイゼーション試薬。
(項目46)
前記オリゴヌクレオチドプローブおよび前記架橋抗原が高効率コンジュゲーション部分を介してカップリングしている、項目45に記載のハイブリダイゼーション試薬。
(項目47)
前記高効率コンジュゲーション部分がシッフ塩基である、項目46に記載のハイブリダイゼーション試薬。
(項目48)
前記シッフ塩基がヒドラゾンまたはオキシムである、項目47に記載のハイブリダイゼーション試薬。
(項目49)
前記高効率コンジュゲーション部分がクリック反応によって形成される、項目46に記載のハイブリダイゼーション試薬。
(項目50)
前記コンジュゲーション部分が切断可能なリンカーを含む、項目45に記載のハイブリダイゼーション試薬。
(項目51)
前記オリゴヌクレオチドプローブが、細胞マーカーをコードする遺伝子または該遺伝子によって発現されるRNAの少なくとも断片に相補的である、項目34に記載のハイブリダイゼーション試薬。
(項目52)
前記細胞マーカーが、4-1BB、AFP、ALK1、アミロイドA、アミロイドP、アンドロゲン受容体、アネキシンA1、ASMA、BCA225、BCL-1、BCL-2、BCL-6、BerEP4、ベータ-カテニン、ベータ-HCG、BG-8、BOB-1、CA19-9、CA125、カルシトニン、カルデスモン、カルポニン-1、カルレチニン、CAM5.2、CD1a、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD10、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD31、CD33、CD34、CD38、CD42b、CD43、CD45 LCA、CD45RO、CD56、CD57、CD61、CD68、CD79a、CD99、CD117、CD138、CD163、CDX2、CEA、クロモグラニンA、CMV、c-kit、c-MET、c-MYC、IV型コラーゲン、補体3c(C3c)、COX-2、CXCR5、CK1、CK5、CK6、CK7、CK8、CK14、CK18、CK17、CK19、CK20、CK903、CK AE1、CK AE1/AE3、D2-40、デスミン、DOG-1、E-カドヘリン、EGFR、EMA、ER、ERCC1、第VIII因子関連抗原、活性化第XIII因子、ファスシン、FoxP1、FoxP3、ガレクチン-3、GATA-3、GCDFP-15、GCET1、GFAP、グリコホリンA、グリピカン3、グランザイムB、HBME-1、Helicobacter Pylori、ヘモグロビンA、Hep Par1、HER2、HHV-8、HMB-45、HSV l/ll、ICOS、IFNガンマ、IgA、IgD、IgG、IgM、IL17、IL4、インヒビン、iNOS、カッパIg軽鎖、Ki67、LAG-3、ラムダIg軽鎖、リゾチーム、マンマグロビンA、MART-1/メランA、マスト細胞トリプターゼ、MLH1、MOC-31、MPO、MSA、MSH2、MSH6、MUC1、MUC2、MUM1、MyoD1、ミオゲニン、ミオグロビン、ナプシンA、ネスチン、NSE、Oct-2、OX40、OX40L、p16、p21、p27、p40、p53、p63、p504s、PAX-5、PAX-8、PD-1、PD-L1、PHH3、PIN-4、PLAP、PMS2、Pneumocystis jiroveci(carinii)、PR、PSA、PSAP、RCC、S-100、SMA、SMM、スムーセリン、SOX10、SOX11、サーファクタントアポプロテインA、シナプトフィジン、TAG72、TdT、トロンボモジュリン、チログロブリン、TIA-1、TIM3、TRAcP、TTF-1、チロシナーゼ、ウロプラキン、VEGFR-2、ビリン、ビメンチン、およびWT-1からなる群から選択される、項目51に記載のハイブリダイゼーション試薬。
(項目53)
前記架橋抗原が検出可能な標識を含む、項目34に記載のハイブリダイゼーション試薬。
(項目54)
前記検出可能な標識が、フルオロフォアである、項目53に記載のハイブリダイゼーション試薬。
(項目55)
複数の、項目34~54のいずれか一項に記載のハイブリダイゼーション試薬を含む、多重化ハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目56)
少なくとも3個のハイブリダイゼーション試薬を含む、項目55に記載の多重化ハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目57)
少なくとも5個のハイブリダイゼーション試薬を含む、項目55に記載の多重化ハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目58)
少なくとも10個のハイブリダイゼーション試薬を含む、項目55に記載の多重化ハイブリダイゼーション試薬組成物。
(項目59)
第1の標的核酸を含む第1の試料を供給するステップ;
該第1の標的核酸を第1のハイブリダイゼーション試薬と反応させるステップであって、該第1のハイブリダイゼーション試薬が、該第1の標的核酸に相補的な、項目34~54のいずれか一項に記載のハイブリダイゼーション試薬である、ステップ;
該第1のハイブリダイゼーション試薬を第1の検出可能な抗体と反応させるステップであって、該第1の検出可能な抗体が、該第1のハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原に対して、高親和性で特異的である、ステップ;および
該第1のハイブリダイゼーション試薬の該架橋抗原と会合している該第1の検出可能な抗体を検出するステップ
を含む、ハイブリダイゼーションアッセイのための方法。
(項目60)
前記第1のハイブリダイゼーション試薬の前記オリゴヌクレオチドプローブが、細胞マーカーをコードする遺伝子または該遺伝子によって発現されるRNAの少なくとも断片に相補的である、項目59に記載の方法。
(項目61)
前記細胞マーカーが、4-1BB、AFP、ALK1、アミロイドA、アミロイドP、アンドロゲン受容体、アネキシンA1、ASMA、BCA225、BCL-1、BCL-2、BCL-6、BerEP4、ベータ-カテニン、ベータ-HCG、BG-8、BOB-1、CA19-9、CA125、カルシトニン、カルデスモン、カルポニン-1、カルレチニン、CAM5.2、CD1a、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD10、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD31、CD33、CD34、CD38、CD42b、CD43、CD45 LCA、CD45RO、CD56、CD57、CD61、CD68、CD79a、CD99、CD117、CD138、CD163、CDX2、CEA、クロモグラニンA、CMV、c-kit、c-MET、c-MYC、IV型コラーゲン、補体3c(C3c)、COX-2、CXCR5、CK1、CK5、CK6、CK7、CK8、CK14、CK18、CK17、CK19、CK20、CK903、CK AE1、CK AE1/AE3、D2-40、デスミン、DOG-1、E-カドヘリン、EGFR、EMA、ER、ERCC1、第VIII因子関連抗原、活性化第XIII因子、ファスシン、FoxP1、FoxP3、ガレクチン-3、GATA-3、GCDFP-15、GCET1、GFAP、グリコホリンA、グリピカン3、グランザイムB、HBME-1、Helicobacter Pylori、ヘモグロビンA、Hep Par1、HER2、HHV-8、HMB-45、HSV l/ll、ICOS、IFNガンマ、IgA、IgD、IgG、IgM、IL17、IL4、インヒビン、iNOS、カッパIg軽鎖、Ki67、LAG-3、ラムダIg軽鎖、リゾチーム、マンマグロビンA、MART-1/メランA、マスト細胞トリプターゼ、MLH1、MOC-31、MPO、MSA、MSH2、MSH6、MUC1、MUC2、MUM1、MyoD1、ミオゲニン、ミオグロビン、ナプシンA、ネスチン、NSE、Oct-2、OX40、OX40L、p16、p21、p27、p40、p53、p63、p504s、PAX-5、PAX-8、PD-1、PD-L1、PHH3、PIN-4、PLAP、PMS2、Pneumocystis jiroveci(carinii)、PR、PSA、PSAP、RCC、S-100、SMA、SMM、スムーセリン、SOX10、SOX11、サーファクタントアポプロテインA、シナプトフィジン、TAG72、TdT、トロンボモジュリン、チログロブリン、TIA-1、TIM3、TRAcP、TTF-1、チロシナーゼ、ウロプラキン、VEGFR-2、ビリン、ビメンチン、およびWT-1からなる群から選択される、項目60に記載の方法。
(項目62)
前記第1の検出可能な抗体が検出可能な標識を含む、項目59に記載の方法。
(項目63)
前記検出可能な標識が、フルオロフォア、酵素、アップコンバージョンナノ粒子、量子ドット、または検出可能なハプテンである、項目62に記載の方法。
(項目64)
前記検出可能な標識がフルオロフォアである、項目63に記載の方法。
(項目65)
前記酵素が、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはグルコースオキシダーゼである、項目63に記載の方法。
(項目66)
前記ペルオキシダーゼが西洋ワサビペルオキシダーゼまたはダイズペルオキシダーゼである、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記第1の検出可能な抗体が、前記第1のハイブリダイゼーション試薬の前記架橋抗原に対して特異的であり、最大で100nM、最大で30nM、最大で10nM、最大で3nM、最大で1nM、最大で0.3nM、最大で0.1nM、最大で0.03nM、最大で0.01nM、または最大で0.003nMの解離定数を有する、項目59に記載の方法。
(項目68)
前記第1の標的核酸が組織切片内にある、項目59に記載の方法。
(項目69)
前記検出するステップが蛍光検出ステップである、項目68に記載の方法。
(項目70)
前記検出するステップが酵素的検出ステップである、項目68に記載の方法。
(項目71)
前記第1の標的核酸が細胞内または細胞上にある、項目59に記載の方法。
(項目72)
前記第1の標的核酸が前記細胞の細胞質内にある、項目71に記載の方法。
(項目73)
前記第1の標的核酸が前記細胞の核内にある、項目71に記載の方法。
(項目74)
前記検出するステップが蛍光検出ステップである、項目71に記載の方法。
(項目75)
前記第1の検出可能な抗体に結合している細胞を選別するステップをさらに含む、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記第1の試料における第2の標的核酸を第2のハイブリダイゼーション試薬と反応させるステップであって、該第2のハイブリダイゼーション試薬が、該第2の標的核酸に相補的な、項目34~54のいずれか一項に記載のハイブリダイゼーション試薬である、ステップ;
該第2のハイブリダイゼーション試薬を第2の検出可能な抗体と反応させるステップであって、該第2の検出可能な抗体が、該第2のハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原に対して、高親和性で特異的である、ステップ;および
該第2のハイブリダイゼーション試薬の該架橋抗原と会合している該第2の検出可能な抗体を検出するステップ
をさらに含む、項目59に記載の方法。
(項目77)
前記試料において少なくとも3個の標的核酸を検出するステップをさらに含む、項目76に記載の方法。
(項目78)
前記試料において少なくとも5個の標的核酸を検出するステップをさらに含む、項目76に記載の方法。
(項目79)
前記試料において少なくとも10個の標的核酸を検出するステップをさらに含む、項目76に記載の方法。
(項目80)
第2の試料における第2の標的核酸を第2のハイブリダイゼーション試薬と反応させるステップであって、該第2のハイブリダイゼーション試薬が、該第2の標的核酸に相補的な、項目35~56のいずれか一項に記載のハイブリダイゼーション試薬である、ステップ;
該第2のハイブリダイゼーション試薬を第2の検出可能な抗体と反応させるステップであって、該第2の検出可能な抗体が、該第2のハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原に対して、高親和性で特異的である、ステップ;および
該第2のハイブリダイゼーション試薬の該架橋抗原と会合している該第2の検出可能な抗体を検出するステップ
をさらに含み、前記第1の試料および該第2の試料が、組織試料の連続切片である、項目59に記載の方法。
(項目81)
前記第1の試料において複数の標的核酸が検出され、前記第2の試料において複数の標的核酸が検出される、項目80に記載の方法。
(項目82)
前記第1の試料において少なくとも3個の標的核酸が検出され、前記第2の試料において少なくとも3個の標的核酸が検出される、項目81に記載の方法。
(項目83)
少なくとも3個の試料において、少なくとも3個の標的核酸が検出され、該少なくとも3個の試料が組織試料の連続切片である、項目80に記載の方法。
(項目84)
前記少なくとも3個の試料のそれぞれにおいて、複数の標的核酸が検出される、項目83に記載の方法。
(項目85)
前記少なくとも3個の試料のそれぞれにおいて、少なくとも3個の標的核酸が検出される、項目84に記載の方法。
(項目86)
第1の標的核酸を含む試料を供給するステップ;
該第1の標的核酸を第1のハイブリダイゼーション試薬と反応させるステップであって、該第1のハイブリダイゼーション試薬が、該第1の標的核酸に相補的な、項目34~54のいずれか一項に記載のハイブリダイゼーション試薬である、ステップ;
該第1のハイブリダイゼーション試薬を第1の反応性抗体と反応させるステップであって、該第1の反応性抗体が、該第1のハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原と高親和性で結合する、ステップ;および該第1の反応性抗体を第1の検出可能な試薬と反応させるステップであって、該第1の検出可能な試薬が、該第1の標的核酸の近くで該試料と結合している、ステップ
を含む、ハイブリダイゼーションアッセイのための方法。
(項目87)
前記第1の反応性抗体が酵素活性を含む、項目86に記載の方法。
(項目88)
前記酵素活性がペルオキシダーゼ活性である、項目87に記載の方法。
(項目89)
前記ペルオキシダーゼ活性が西洋ワサビペルオキシダーゼ活性である、項目88に記載の方法。
(項目90)
前記第1の検出可能な試薬がチラミドを含む、項目86に記載の方法。
(項目91)
前記第1の検出可能な試薬がフルオロフォアまたは発色団を含む、項目86に記載の方法。
(項目92)
前記第1の反応性抗体を前記試料から解離させるステップをさらに含む、項目86に記載の方法。
(項目93)
前記第1の反応性抗体が選択的処理により前記試料から解離する、項目92に記載の方法。
(項目94)
前記選択的処理が可溶性架橋抗原での処理を含む、項目93に記載の方法。
(項目95)
前記選択的処理が切断可能なリンカーの切断を含む、項目93に記載の方法。
(項目96)
前記第1の反応性抗体が熱処理により前記試料から解離する、項目92に記載の方法。(項目97)
前記試料における第2の標的核酸を第2のハイブリダイゼーション試薬と反応させるステップであって、該第2のハイブリダイゼーション試薬が、該第2の標的核酸に相補的な、項目34~54のいずれか一項に記載のハイブリダイゼーション試薬である、ステップ;
該第2のハイブリダイゼーション試薬を第2の反応性抗体と反応させるステップであって、該第2の反応性抗体が、該第2のハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原と高親和性で結合する、ステップ;および
該第2の反応性抗体を第2の検出可能な試薬と反応させるステップであって、該第2の検出可能な試薬が、該第2の標的核酸の近くで該試料に結合している、ステップ
をさらに含む、項目92に記載の方法。
(項目98)
前記第2の反応性抗体が酵素活性を含む、項目97に記載の方法。
(項目99)
前記酵素活性がペルオキシダーゼ活性である、項目98に記載の方法。
(項目100)
前記ペルオキシダーゼ活性が西洋ワサビペルオキシダーゼ活性である、項目99に記載の方法。
(項目101)
前記第2の検出可能な試薬がチラミドを含む、項目97に記載の方法。
(項目102)
前記第2の検出可能な試薬がフルオロフォアまたは発色団を含む、項目97に記載の方法。
(項目103)
前記第1の反応性抗体が選択的処理により前記試料から解離する、項目97に記載の方法。
(項目104)
前記選択的処理が可溶性架橋抗原での処理を含む、項目103に記載の方法。
(項目105)
前記選択的処理が切断可能なリンカーの切断を含む、項目103に記載の方法。
(項目106)
前記第1の反応性抗体が熱処理により前記試料から解離する、項目97に記載の方法。(項目107)
前記試料において前記第1の検出可能な試薬および前記第2の検出可能な試薬を検出するステップをさらに含む、項目97に記載の方法。
(項目108)
項目34~54のいずれか一項に記載のハイブリダイゼーション試薬、
前記架橋抗原に対して、高親和性で特異的な検出可能な抗体、および
キットを使用するための指示
を含む、ハイブリダイゼーションアッセイのためのキット。
(項目109)
前記検出可能な抗体が検出可能な標識を含む、項目108に記載のキット。
(項目110)
前記検出可能な標識が、フルオロフォア、酵素、アップコンバージョンナノ粒子、量子ドット、または検出可能なハプテンである、項目109に記載のキット。
(項目111)
前記検出可能な標識がフルオロフォアである、項目110に記載のキット。
(項目112)
前記酵素が、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはグルコースオキシダーゼである、項目111に記載のキット。
(項目113)
前記ペルオキシダーゼが西洋ワサビペルオキシダーゼまたはダイズペルオキシダーゼである、項目112に記載のキット。
(項目114)
前記検出可能な抗体が、前記架橋抗原に対して特異的であり、最大で100nM、最大で30nM、最大で10nM、最大で3nM、最大で1nM、最大で0.3nM、最大で0.1nM、最大で0.03nM、最大で0.01nM、または最大で0.003nMの解離定数を有する、項目108に記載のキット。
(項目115)
項目108に記載のキットであって、
項目34~54のいずれか一項に記載の少なくとも3個のハイブリダイゼーション試薬、前記架橋抗原に対して、高親和性で特異的な、少なくとも3個の検出可能な抗体、および該キットを使用するための指示
を含む、キット。
(項目116)
項目108に記載のキットであって、
項目34~54のいずれか一項に記載の少なくとも5個のハイブリダイゼーション試薬、前記架橋抗原に対して、高親和性で特異的な、少なくとも5個の検出可能な抗体、および該キットを使用するための指示
を含む、キット。
(項目117)
項目108に記載のキットであって、
項目34~54のいずれか一項に記載の少なくとも10個のハイブリダイゼーション試薬、
前記架橋抗原に対して、高親和性で特異的な、少なくとも10個の検出可能な抗体、および
該キットを使用するための指示
を含む、キット。
【発明を実施するための形態】
【0033】
抗原をカップリングさせたハイブリダイゼーション試薬
本開示は、一態様では、オリゴヌクレオチドプローブおよび架橋抗原を含む高性能のハイブリダイゼーション試薬であって、オリゴヌクレオチドプローブおよび架橋抗原がカップリングされており、架橋抗原が、高親和性の検出可能な抗体により認識可能である、ハイブリダイゼーション試薬を提供する。
【0034】
本ハイブリダイゼーション試薬は、ハイブリダイゼーションアッセイに使用されて、そのアッセイにおいて、目的の標的核酸を同定し、それと結合し得、標的結合の特異性は、ハイブリダイゼーション試薬を調製するために使用されたオリゴヌクレオチドプローブの相補性によって決定される。特に、本ハイブリダイゼーション試薬のオリゴヌクレオチドプローブは、細胞内か、または細胞の無細胞系のいずれかで、これらに限定されないがデオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、および任意のそれらの天然または合成のバリアントを含む目的の標的核酸に向けられ得る。標的核酸は、ある場合には、細胞内小器官内、例えば、細胞の核内またはミトコンドリア内に見出され得る。あるいは、標的核酸は、目的の表面上、例えば、核酸ブロットまたは他の型の2次元媒体上などにディスプレイされ得る。標的核酸は、ある場合には、不純な形態、部分的に精製された形態、または精製された形態であり得る。一般的に、標的核酸は、ハイブリダイゼーション試薬と特異的に相互作用することが有効である限り、任意の適切な表面上、もしくはその中にあり得、またはさらに溶液中で遊離していてもよい。
【0035】
本ハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原は、二次抗体により、理想的には高親和性で認識可能であるように選択される。したがって、架橋抗原の構造は、適切な動物において免疫応答を誘発することができる分子、または別の手段により適切な二次抗体を生じるように使用することができる分子によってのみ限定される。
【0036】
一部の実施形態では、架橋抗原と、オリゴヌクレオチドプローブとは別々に調製され、化学的カップリング反応により互いに結合される。これらの実施形態では、架橋抗原は、架橋抗原をハイブリダイゼーション試薬のオリゴヌクレオチドプローブに化学的にカップリングすることができる少なくとも1つの基を含有するように設計される。下記でより詳細に記載されているように、カップリング基は、具体的な実施形態では、架橋抗原が、オリゴヌクレオチドプローブに、高い特異性および効率性でコンジュゲートされるように、選択され得る。加えて、架橋抗原のオリゴヌクレオチドプローブへのカップリングは、検出可能な抗体により認識される架橋抗原の能力に有意には影響を及ぼすべきではない。架橋抗原およびカップリング基は、いかなるバックグラウンドシグナルも避けるために、それら自体、干渉する吸光度(absorbance)または蛍光を有しないことも望ましい。さらに、架橋抗原およびカップリング基は、高純度で、理想的には低費用で、利用可能であるべきである。
【0037】
一部の実施形態では、本開示の架橋抗原は合成架橋抗原である。一部の実施形態では、架橋抗原は、天然産物である。具体的な実施形態では、架橋抗原はペプチドである。
【0038】
合成か、または天然源から単離されたかのいずれかのペプチドは、当業者により広く知られ、理解されているように、様々な手段により特異的な高親和性抗体を生じるために広範囲に使用されている。ペプチドに関して可能な構造バリエーションの範囲は、ほとんど無制限であり、したがって、そのことが、ペプチドを、本ハイブリダイゼーション試薬における架橋抗原としての使用に理想的に適したものにさせている。さらに、合成ペプチドは、例えば、固相ペプチド合成中、または合成後、C末端もしくはN末端に、または内部に取り込まれたアミノ酸残基または他の連結部分を含むことにより、ペプチド配列内の望ましい反応特性と共に、オリゴヌクレオチドプローブへのそれらのカップリングを促進するための反応基を含むように設計することができる。ペプチド架橋抗原は、天然および人工のどちらも、任意のサイズであり得、任意の適切なアミノ酸または他の残基を含有し得る。それらは線状または環状であり得る。ペプチド架橋抗原は、これらの実施形態では、目的の抗体にコンジュゲートするそれらの能力、および検出可能な抗体により認識可能であるそれらの能力によってのみ限定される。
【0039】
一部の実施形態では、架橋抗原は、非天然残基を含むペプチドである。例えば、架橋抗原は、D-アミノ酸などの非天然立体異性体を含み得る。一部の実施形態では、非天然残基は、β-アミノ酸などの非天然アミノ酸であり得る。一部の実施形態では、架橋抗原の残基は、当業者により理解されているように、非ペプチド結合を使用してカップリングされ得る。
【0040】
本ハイブリダイゼーション試薬に有用に含まれる他の適切な架橋抗原には、非ペプチドの小分子抗原が挙げられる。ペプチド架橋抗原に関して当てはまるように、そのような抗原は、オリゴヌクレオチドプローブにカップリングされるそれらの能力、および検出可能な抗体により認識可能であるそれらの能力によってのみ限定される。本明細書で「ハプテン」とも呼ばれる場合がある、例示的な非ペプチドの小分子抗原には、非限定的に、ニトロフェニル、ジニトロフェニル、トリニトロフェニル、ジゴキシゲニン、ビオチン、5-ブロモデオキシウリジン、3-ニトロチロシン、小分子薬物、および任意の他の類似した化学的タグが挙げられる。
【0041】
ハイブリダイゼーション試薬あたりの結合部位の数を増加させるために、ある場合には、単一の架橋抗原が、複数の抗原決定基またはエピトープを含むことが有利であり得る。架橋抗原における抗原決定基の多重度は、そのハイブリダイゼーション試薬と結合することができる二次抗体の数、および、それにしたがって、そのハイブリダイゼーション試薬を使用するアッセイの感度を増加させ得る。一部の実施形態では、複数の抗原決定基は、同じ抗原決定基の複数のコピーを含み得、一方、一部の実施形態では、複数の抗原決定基は、異なる抗原決定基を含み得る。一部の実施形態では、複数の抗原決定基は、線状反復構造を含み得る。より具体的には、線状反復構造は、線状反復ペプチド構造であり得る。一部の実施形態では、複数の抗原決定基は、少なくとも2個の抗原決定基、少なくとも3個の抗原決定基、少なくとも4個の抗原決定基、少なくとも6個の抗原決定基、またはさらにより多くの抗原決定基を含み得る。
【0042】
一部の実施形態では、架橋抗原は、分岐型構造を含み得る。例えば、分岐型構造は、当業者により理解されているように、例えば、他の重合構築物などのデンドリマー構造などを含み得る。
【0043】
さらに、複数の抗原決定基を含む架橋抗原は、抗原決定基間、例えば、ペプチド抗原決定基間に1つまたは複数のポリエチレングリコールリンカーなどを含み得ることが理解されるものとする。
【0044】
一部の実施形態では、ペプチド抗原決定基は、抗原決定基あたり、少なくとも4個、少なくとも6個、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、またはさらにより多くのアミノ酸残基を含む。
【0045】
オリゴヌクレオチドプローブおよび架橋抗原が別々の分子実体から調製される場合、オリゴヌクレオチドプローブと架橋抗原のカップリングは、所望の結果に依存して多種多様な方法で達成され得ることが理解されるものとする。架橋抗原のオリゴヌクレオチドプローブへのカップリングの位置および度合の制御が重要ではない場合には、非特異的化学クロスリンカーがカップリングを達成するのに使用され得る。しかしながら、架橋抗原が、オリゴヌクレオチドプローブに、制御された特異的な様式でカップリングされることは一般的に望ましく、カップリング方法およびカップリング剤の選択は、カップリングの位置、度合、および効率に影響し得る。例えば、反応性のチオールおよびアミノ基は、核酸中に天然には見出されないが、それらは、オリゴヌクレオチドの合成の間にオリゴヌクレオチドプローブ内の様々な位置に含まれて、チオールまたはアミノ反応性架橋抗原の結合のための特定の位置を提供することができる。
【0046】
一部のハイブリダイゼーション試薬の実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブと架橋抗原は、コンジュゲーション部分を介して化学的カップリング反応によりカップリングされる。具体的な実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブと架橋抗原は、高効率コンジュゲーション部分によりカップリングされる。ハイブリダイゼーション試薬は、好ましくは、相対的に低いモル濃度の出発材料で合成されるため、およびそれらの出発材料は、高価で相対的に少ない化学量で入手可能であり得るため、コンジュゲーション部分の形成は、できる限り効率的で特異的であること、およびそれの形成は、低いモル濃度の反応物で完了、またはほぼ完了することが非常に望ましい。具体的には、コンジュゲーション部分は、オリゴヌクレオチドプローブと架橋抗原を速い反応速度および/または高い会合定数でカップリングすることができること、および、したがって、会合反応が、それの完了に関してできる限り効率的であることが望ましい。
【0047】
本ハイブリダイゼーション試薬の高効率コンジュゲーション部分は、典型的には、下記でより詳細に記載されているように、ハイブリダイゼーション試薬の各構成成分の相補的コンジュゲート試薬での別々の修飾により、形成される。相補的コンジュゲート試薬は、追加として、コンジュゲート試薬が、関連したハイブリダイゼーション試薬構成成分、例えば、オリゴヌクレオチドプローブへ、および架橋抗原へ結合するのを可能にする、さらなる反応性部分、例えば、チオール反応性部分またはアミノ反応性部分を含む。オリゴヌクレオチドプローブおよび架橋抗原が、それぞれの相補的コンジュゲート試薬により、修飾された後、修飾された構成成分上の相補的コンジュゲート形体(conjugating feature)は、非常に効率的で特異的な様式でお互いに会合して、コンジュゲーション部分を形成する。
【0048】
状況に応じて、本ハイブリダイゼーション試薬の高効率コンジュゲーション部分は、共有結合性または非共有結合性コンジュゲーション部分であり得る。具体的な実施形態では、高効率コンジュゲーション部分は、共有結合性コンジュゲーション部分、例えば、ヒドラゾン、オキシム、または別の適切なシッフ塩基部分である。そのようなコンジュゲーション部分の非限定的例は、例えば、米国特許第7,102,024号に見出すことができ、その特許は、全ての目的のために、その全体が、本明細書に参照により組み入れられている。これらのコンジュゲーション部分は、ハイブリダイゼーション試薬の一方の構成成分(例えば、アミノ基で修飾された合成オリゴヌクレオチドプローブ)に結合したコンジュゲート試薬上の一級アミノ基の、免疫試薬の他方の構成成分(例えば、架橋抗原)に結合したコンジュゲート試薬上の相補的カルボニル基との反応により、形成され得る。
【0049】
例えば、ヒドラゾンコンジュゲーション部分は、ヒドラジノ基、または保護されたヒドラジノ基の、カルボニル部分との反応により形成され得る。例示的なヒドラジノ基には、脂肪族、芳香族、もしくはヘテロ芳香族のヒドラジン基、セミカルバジド基、カルバジド基、ヒドラジド基、チオセミカルバジド基、チオカルバジド基、炭酸ジヒドラジン(carbonic acid dihydrazine)基、またはヒドラジンカルボキシレート基が挙げられる。米国特許第7,102,024号参照。オキシムコンジュゲーション部分は、オキシアミノ基、または保護されたオキシアミノ基の、カルボニル部分との反応により形成され得る。例示的なオキシアミノ基は下に記載されている。ヒドラジノ基およびオキシアミノ基は、ヒドラジノ基またはオキシアミノ基の塩の形成(非限定的に塩酸塩および硫酸塩などの鉱酸塩、ならびに非限定的に、酢酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、酪酸塩、吉草酸塩、およびフマル酸塩などの有機酸の塩が挙げられるが、それらに限定されない)により、または当業者に公知の任意のアミノもしくはヒドラジノ保護基(例えば、Greeneら(1999年)Protective Groups in Organic Synthesis(第3版)(J. Wiley Sons, Inc.)参照)により保護され得る。シッフ塩基コンジュゲーション部分を生成するために使用されるカルボニル部分は、上記のヒドラジノ部分またはオキシアミノ部分の1つまたは複数とヒドラゾン結合またはオキシム結合を形成することができる任意のカルボニル含有基である。好ましいカルボニル部分には、アルデヒドおよびケトン、特に芳香族アルデヒドおよびケトンが挙げられる。本開示の好ましい実施形態では、高効率コンジュゲーション部分は、オキシアミノ含有構成成分と芳香族アルデヒド含有構成成分の、アニリン触媒の存在下での反応により形成される(Dirksenら(2006年)Angew. Chem. 45巻:7581~7584頁(DOI:10.1002/anie.200602877))。
【0050】
あるいは、本免疫試薬の高効率コンジュゲーション部分は、「クリック」反応、例えば、トリアゾールコンジュゲーション部分を形成する、アジド置換構成成分のアルキン置換構成成分との銅触媒による反応により形成され得る。Kolbら(2001年)Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 40巻:2004頁;Evans(2007年)Aus. J. Chem. 60巻:384頁参照。この反応の銅を含まない変形型、例えば、歪促進アジド-アルキンクリック反応もまた、高効率コンジュゲーション部分を形成するために使用され得る。例えば、Baskinら(2007年)Proc. Natl Acad. Sci. U.S.A. 104巻:16793~97頁参照。他のクリック反応の変形型には、テトラジン置換構成成分の、イソニトリル置換構成成分(Stoeckmannら(2011年)Org. Biomol. Chem. 9巻:7303頁)か、または歪んだアルケン置換構成成分(Karverら(2011年)Bioconjugate Chem. 22巻:2263頁)のいずれかとの反応が挙げられる。
【0051】
クリック反応の基本的特徴は、当業者によってよく理解されている。Kolbら(2001年)Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 40巻:2004頁参照。有用なクリック反応には、一般的に、[3+2]環化付加、例えば、ヒュスゲン1,3-双極子環化付加、および、特に、Cu(I)触媒による段階的変形型、チオール-エンクリック反応、ディールス-アルダー反応および逆電子要求ディールス-アルダー反応、イソニトリル(イソシアニド)とテトラジンの間の[4+1]環化付加、特にエポキシおよびアジリジン化合物のような小さい歪んだ環への、求核置換、尿素のカルボニル化学反応様形成、ならびに炭素-炭素二重結合へのいくつかの付加反応が挙げられるが、それらに限定されない。上記の反応のいずれも、非限定的に、本ハイブリダイゼーション試薬において共有結合性の高効率コンジュゲーション部分を生成するために使用され得る。
【0052】
一部の実施形態では、本ハイブリダイゼーション試薬のコンジュゲーション部分は切断可能なリンカーを含む。本高効率コンジュゲーション部分に有用に含まれる例示的な切断可能なリンカーは、当技術分野において公知である。例えば、Lericheら(2012年)Bioorg. Med. Chem. 20巻:571~582頁(doi:10.1016/j.bmc.2011.07.048)参照。高効率コンジュゲーション部分に切断可能なリンカーを含ませることにより、本ハイブリダイゼーション試薬において、架橋抗原のオリゴヌクレオチドプローブからの選択的切断が可能になる。そのような選択的切断は、いくつかのハイブリダイゼーションアッセイ方法において、例えば、架橋抗原およびそれの会合した二次抗体の試料表面からの放出が望ましい場合、有利であり得る。
【0053】
他の実施形態では、高効率コンジュゲーション部分は、非共有結合性コンジュゲーション部分である。非共有結合性コンジュゲーション部分の非限定的例には、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションペアまたはタンパク質-リガンド結合ペアが挙げられる。具体的な実施形態では、タンパク質-リガンド結合ペアは、アビジン-ビオチンペア、ストレプトアビジン-ビオチンペア、または別のタンパク質-ビオチン結合ペア(一般的には、Avidin-Biotin Technology、Meth. Enzymol.(1990年)184巻、Academic Press;Avidin-Biotin
Interactions: Methods and Applications(2008年)McMahon編、Humana;Molecular Probes(登録商標)Handbook、4章(2010年)参照)、抗体-ハプテン結合ペア(一般的には、Molecular Probes(登録商標)Handbook、4章(2010年)参照)、S-ペプチドタグ-S-タンパク質結合ペア(KimおよびRaines(1993年)Protein Sci. 2巻:348~56頁)、または任意の他の高親和性ペプチド-ペプチドもしくはペプチド-タンパク質結合ペアである。そのような高親和性非共有結合性コンジュゲーション部分は、当技術分野において周知である。それぞれのコンジュゲートペアの反応性バージョン、例えば、チオール反応性バージョンまたはアミノ反応性バージョンもまた、当技術分野において周知である。これらのコンジュゲート試薬は、それぞれのオリゴヌクレオチドプローブおよび架橋抗原を修飾するために使用され得る。修飾されたオリゴヌクレオチドプローブおよび架橋抗原は、その後、相補的形体、例えば、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションペアまたはタンパク質-リガンド結合ペアが、お互いに会合し、非共有結合性高効率コンジュゲーション部分を形成することを可能にするために、混合され得る。上記の共有結合性および非共有結合性連結基は高効率の会合反応を行うことができ、したがって、本ハイブリダイゼーション試薬の作製に使用するのによく適している。
【0054】
一部の実施形態では、高効率コンジュゲーション部分は、オリゴヌクレオチドプローブと架橋抗原をカップリングすることにおいて、少なくとも50%、80%、90%、93%、95%、97%、98%、99%、またはさらにより効率的である。より具体的な実施形態では、高効率コンジュゲーション部分は、0.5mg/mL以下の反応物濃度において、少なくとも50%、80%、90%、93%、95%、97%、98%、99%、またはさらにより効率的である。一部の実施形態では、効率は、0.5mg/mL以下、0.2mg/mL以下、0.1mg/mL以下、0.05mg/mL以下、0.02mg/mL以下、0.01mg/mL以下、またはそれよりも低い反応物濃度で達成される。
【0055】
別の態様では、本開示は、複数の上記のハイブリダイゼーション試薬を含む、ハイブリダイゼーション試薬パネルとも呼ばれる、ハイブリダイゼーション試薬組成物を提供する。実施形態では、組成物は、少なくとも3個、5個、10個、20個、30個、50個、100個、またはさらにそれ超のハイブリダイゼーション試薬を含む。一部の実施形態では、含まれるハイブリダイゼーション試薬のオリゴヌクレオチドプローブは、特定の細胞マーカーをコードする遺伝子、またはそれらの遺伝子によって発現されるRNAの少なくとも断片(segment)に相補的であり、そうすることで、マーカーについての遺伝子またはマーカーについての遺伝子の発現のいずれかにハイブリダイズし、これを検出することができる。具体的な実施形態では、細胞マーカーは、少なくともERおよびPRである。他の具体的な実施形態では、細胞マーカーは、少なくともHER2、ER、およびPR、または少なくともHER2、ER、およびKi67である。なお他の具体的な実施形態では、細胞マーカーは、少なくともHER2、ER、PR、およびKi67である。まだなお他の具体的な実施形態では、細胞マーカーは、少なくともKi67、EGFR、およびCK5である。さらに他の具体的な実施形態では、細胞マーカーは、少なくともKi67、EGFR、CK5、およびCK6であり、または少なくともCK5、CK6、およびKi-67である。なお他の具体的な実施形態では、細胞マーカーは、少なくともCK5、EGFR、p40、およびKi-67であり、または少なくともIgA、補体3c(C3c)、コラーゲンIV型アルファ鎖5(COL4A5)、およびIgGである。一部の実施形態では、含まれる免疫試薬の架橋抗原はペプチドである。
【0056】
一部の実施形態では、本開示の免疫試薬組成物は、免疫細胞上の細胞マーカー、例えば、任意の組合せでの、CD3、CD4、CD8、CD20、CD68、および/またはFoxP3、ならびに上記で列挙された細胞マーカーのいずれかに特異的である。一部の実施形態では、免疫試薬組成物は、例えば、CTLA-4、CD152、PD-1、PD-L1などのようなチェックポイント経路に関連するマーカーに特異的である。
【0057】
架橋抗原にカップリングした一次抗体を含む抗原をカップリングさせた免疫試薬は、両方とも2016年2月6日に出願された米国特許出願第15/017,626号およびPCT国際出願PCT/US16/16913号において以前に開示されており、これらの開示は、その全体が、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。当業者に理解されるように、架橋抗原連結免疫試薬を作製および使用するためのそれらの開示において例示される方法は、本ハイブリダイゼーション試薬の合成および使用に容易に適合させることができる。
検出可能な抗体
【0058】
上記で言及されているように、本ハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原は、検出可能な抗体により認識可能である。本ハイブリダイゼーション試薬を使用するハイブリダイゼーションアッセイにおいて感度を増加させ、バックグラウンドを減少させるために、それぞれの検出可能な抗体の、それの対応する架橋抗原に対する親和性および/または特異性を最大限にすることが一般的に望ましい。当業者により理解されているように、抗体の抗原に対する親和性は、典型的には、平衡パラメータ、解離定数または「KD」を使用して評価される。所定の濃度の抗体について、解離定数は、大まかに、抗体の半分が抗原に結合しており、抗体の半分が抗原に結合していない場合の抗原の濃度に対応する。したがって、より低い解離定数は、抗体の抗原に対するより高い親和性に対応する。
【0059】
解離定数はまた、抗体と抗原の解離および会合についての動力学速度定数の比に関係する。したがって、解離定数は、平衡結合測定によるか、または反応速度測定によるかのいずれかで、推定され得る。そのようなアプローチは当技術分野において周知である。例えば、抗体-抗原結合パラメータは、Biacore表面プラズモン共鳴に基づいた装置(GE Healthcare、Little Chalfont、Buckinghamshire、UK)、Octetバイオレイヤー干渉法システム(Pall ForteBio Corp.、Menlo Park、CA)などを使用して得られるセンサーグラムの動態分析から日常的に決定される。例えば、一連の抗体クローンおよびそれらの対応するペプチド抗原結合パートナーについての解離定数の決定の記載に関する米国特許出願公開第2013/0331297号参照。
【0060】
典型的な抗体は、マイクロモル濃度から高いナノモル濃度まで(すなわち、10-6M~10-8M)の範囲の平衡解離定数を有する。高親和性抗体は、一般的に、より低いナノモル濃度から高いピコモル濃度(すなわち、10-8M~10-10M)の範囲の平衡解離定数を有する。超高親和性抗体は、一般的に、ピコモル濃度範囲(すなわち、10-10M~10-12M)の平衡解離定数を有する。ペプチドまたは他の大分子に対する抗体は、典型的には、小分子ハプテンに対する抗体(マイクロモル濃度範囲またはさらにより高い解離定数を示し得る)より、それらの抗原に対するより高い親和性(より低いKD)を有する。
【0061】
本ハイブリダイゼーション試薬組成物の二次抗体は、抗原をカップリングさせたオリゴヌクレオチドプローブに対するそれらの親和性を増加させるために最適化され得る。例えば、米国特許出願公開第2013/0331297号は、本ハイブリダイゼーション試薬組成物に利用される検出可能な抗体を生じるために適切に修飾され得る、高親和性の抗体クローンを同定するための方法を開示する。これらの方法において、合成ペプチドをコードする短いDNAフラグメントが、目的の抗体ライブラリーをコードする遺伝子プールの重鎖に融合され、酵母細胞が、酵母ディスプレイ抗体ライブラリーを作製するように形質転換される。酵母細胞は、高特異性を有する高親和性抗体クローンを単離するために、高速蛍光活性化細胞選別機(FACS)でスクリーニングされる。Aga2などの他の酵母ディスプレイシステムと比較して、このシステムは、形質転換された酵母細胞が、十分な量の抗体を培養培地へ分泌して、所望の特異性および親和性を有する候補クローンの同定のためのクローニングおよび抗体精製の追加のステップを必要とすることなしに、個々の酵母クローンの培養培地を直接アッセイして、発現した抗体の特異性および親和性を決定することができるという追加の利点を有する。
【0062】
上記の酵母ディスプレイライブラリーシステムは、高特異性および親和性を有するウサギモノクローナル抗体を産生するために免疫されたウサギから作製される抗体ライブラリーを使用し、したがって、優れた親和性および特異性を有する抗体クローンを単離するための酵母ディスプレイの効率と共に、小さいハプテンまたはペプチドに対する抗体を生じるためのウサギ免疫系の優れた能力を利用している。このアプローチを使用して、<0.01~0.8nMの範囲の抗体親和性を有する、小分子、ペプチド、およびタンパク質に対するウサギモノクローナル抗体のパネルが作製された。これらの親和性は、従来のハイブリドーマ技術を使用して生じるげっ歯類由来のほとんどのモノクローナル抗体の親和性を凌ぐ。そのアプローチはまた、ウサギハイブリドーマ技術で遭遇する低い融合効率および乏しい安定性の固有の問題を克服する。
【0063】
上記の酵母ディスプレイライブラリーシステムは、本ハイブリダイゼーション試薬組成物に使用される二次抗体の結合親和性を最適化するための1つのアプローチであるが、任意の適切なアプローチが、非限定的に、親和性を最適化するために使用され得ることが理解されるものとする。場合によっては、適切な高親和性抗体が最適化なしに利用可能であり得る。
【0064】
したがって、一部の実施形態では、検出可能な抗体は、架橋抗原に対して特異的であり、最大で100nM、最大で30nM、最大で10nM、最大で3nM、最大で1nM、最大で0.3nM、最大で0.1nM、最大で0.03nM、最大で0.01nM、最大で0.003nM、またはそれよりも低い解離定数を有する。より具体的な実施形態では、検出可能な抗体は、架橋抗原に対して特異的であり、最大で1nM、最大で0.3nM、最大で0.1nM、最大で0.03nM、最大で0.01nM、最大で0.003nM、またはそれよりも低い解離定数を有する。さらにより具体的な実施形態では、検出可能な抗体は、架橋抗原に対して特異的であり、最大で100pM、最大で30pM、最大で10pM、最大で3pM、またはそれよりも低い解離定数を有する。
【0065】
本ハイブリダイゼーション試薬組成物の抗体は、好ましくは、検出可能な抗体であり、したがって、実施形態では、それは、検出可能な標識を含む。当業者により理解されているように、検出可能な抗体の検出可能な標識は、抗体への適切な結合が可能であるべきであり、その結合は、その抗体の架橋抗原との相互作用を有意に損なうことなく、実行されるべきである。
【0066】
一部の実施形態では、検出可能な標識は、それが、いかなる追加の構成成分も必要とすることなく検出され得るように、直接検出可能であり得る。例えば、直接検出可能な標識は、蛍光色素、生物蛍光タンパク質、例えば、フィコエリトリン、アロフィコシアニン、ペリジニンクロロフィルタンパク質複合体(「PerCP」)、緑色蛍光タンパク質(「GFP」)、もしくはそれらの誘導体(例えば、赤色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、または青色蛍光タンパク質)、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、遺伝子改変型ルシフェラーゼ、またはコメツキムシルシフェラーゼ)、もしくはサンゴ由来シアンおよび赤色蛍光タンパク質(加えて、サンゴ由来の赤色蛍光タンパク質のバリアント、例えば、黄色、オレンジ色、および遠赤のバリアント)、化学発光種、電気化学発光種、もしくは生物発光種を含む発光種、リン光種、放射性物質、ナノ粒子、SERSナノ粒子、量子ドットもしくは他の蛍光結晶ナノ粒子、回折粒子、ラマン粒子、キレート金属を含む金属粒子、磁気粒子、ミクロスフェア、RFIDタグ、マイクロバーコード粒子、またはこれらの標識の組合せであり得る。
【0067】
他の実施形態では、検出可能な標識は、それが、検出のために1つまたは複数の追加の構成成分の使用を必要とし得るように、間接的に検出可能であり得る。例えば、間接的に検出可能な標識は、適切な基質において色の変化をもたらす酵素、および標識を有する別の物質によって特異的に認識され得、または標識を有する物質と反応し得る他の分子であり得る。適切な間接的に検出可能な標識の非限定的例には、例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼなどの酵素が挙げられる。具体的な実施形態では、ペルオキシダーゼは、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはダイズペルオキシダーゼである。間接的に検出可能な標識の他の例には、ハプテン、例えば、小分子またはペプチドなどのハプテンが挙げられる。非限定的例示的ハプテンには、ニトロフェニル、ジニトロフェニル、ジゴキシゲニン、ビオチン、Mycタグ、FLAGタグ、HAタグ、Sタグ、Streptag、Hisタグ、V5タグ、ReAshタグ、FlAshタグ、ビオチン化タグ、Sfpタグ、または別の化学的タグもしくはペプチドタグが挙げられる。
【0068】
具体的な実施形態では、検出可能な標識は蛍光色素である。適切な蛍光色素の非限定的例は、その全体が参照により本明細書に組み入れられている、Life Technologies/Molecular Probes(Eugene、OR)およびThermo Scientific Pierce Protein Research Products(Rockford、IL)のカタログに見出され得る。例示的な色素には、フルオレセイン、ローダミン、および他のキサンテン色素誘導体、シアニン色素およびそれらの誘導体、ナフタレン色素およびそれらの誘導体、クマリン色素およびそれらの誘導体、オキサジアゾール色素およびそれらの誘導体、アントラセン色素およびそれらの誘導体、ピレン色素およびそれらの誘導体、ならびにBODIPY色素およびそれらの誘導体が挙げられる。好ましい蛍光色素には、Thermo Scientific Pierce Protein Research Productsから入手できるDyLightフルオロフォアファミリーが挙げられる。
【0069】
一部の実施形態では、検出可能な標識は、二次抗体へ直接結合しなくてもよいが、通常結合し得るよりも多数の検出可能な標識が二次抗体に結合することを可能にする、ポリマーまたは他の適切なキャリア中間体に結合し得る。
【0070】
具体的な実施形態では、検出可能な標識はオリゴヌクレオチドバーコードタグ、例えば、PCT国際特許公開第WO2012/071428A2号(その開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられている)に開示されたバーコードタグである。そのような検出可能な標識は、標的とされた試料の単離および/または選別を含むハイブリダイゼーションアッセイ、例えば、フローサイトメトリに基づいた多重化アッセイなどにおいて、特に有利である。これらの標識はまた、試料中の標的核酸のレベルが低く、検出の可能な限りの感度が必要とされる場合のハイブリダイゼーションアッセイにおいても有用である。
【0071】
いくつかの実施形態では、本開示の検出可能な抗体は、複数の検出可能な標識を含み得る。これらの実施形態では、所定の二次抗体と会合した複数の検出可能な標識は、同じ標識の複数のコピーであってもよいし、または適切な検出可能なシグナルを生じる異なる標識の組合せでもよい。
【0072】
一部のハイブリダイゼーション試薬組成物の実施形態では、1つまたは複数の検出可能な標識を架橋抗原自体に結合させることは、組成物からのシグナル出力を増加させるために有利であり得る。架橋抗原へ有用に結合する検出可能な標識は、上記の検出可能な標識のいずれでもあり得る。そのような検出可能な標識は、オリゴヌクレオチドプローブ-架橋抗原と二次抗体のペアからのシグナルが相加的であるように、理想的には、二次抗体の検出可能な標識と検出能において重なるべきである。さらに、検出可能な標識の架橋抗原への結合は、理想的には、架橋抗原への二次抗体の結合に有意には影響するべきではない。同様に、架橋抗原への二次抗体の結合は、理想的には、検出可能な標識の検出能に有意には影響するべきではない。
【0073】
好ましい実施形態では、架橋抗原の検出可能な標識は、フルオロフォアである。より好ましい実施形態では、架橋抗原の検出可能な標識および二次抗体の検出可能な標識は、どちらもフルオロフォアである。他の好ましい実施形態では、架橋抗原の検出可能な標識および二次抗体の検出可能な標識は、同じ波長の蛍光によってどちらも検出可能である。まだ他の好ましい実施形態では、架橋抗原の検出可能な標識および二次抗体の検出可能な標識は、同じである。
ハイブリダイゼーション試薬組成物ペア
【0074】
上記の通り、本開示は、いくつかの場合において、架橋抗原とカップリングしたオリゴヌクレオチドプローブ、および架橋抗原に特異的な検出可能な抗体を含むハイブリダイゼーション試薬組成物を提供する。これらの組成物において、検出可能な抗体および抗原コンジュゲート化オリゴヌクレオチドプローブは、架橋抗原に対する二次抗体の高親和性によりペアになる。ペアになった組成物は、組成物の別々の構成成分が水溶液中で一緒に混合された時はいつでも、例えば、その試薬がハイブリダイゼーションアッセイに一緒に使用された時はいつでも、形成されると理解される。
【0075】
オリゴヌクレオチドプローブおよびカップリングした架橋抗原を含むハイブリダイゼーション試薬は、本ハイブリダイゼーション試薬ペアに使用されるのに適した検出可能な抗体と同様、上記で詳細に記載される。当業者により理解されているように、これらの構成成分を含む組成物は、ハイブリダイゼーションッセイの実施に有用性が見出され、そのハイブリダイゼーションアッセイには、CISH、FISHなど単独、またはこれらを以下のような他の診断アッセイと組み合わせたもの、IHC、サイトメトリ、フローサイトメトリ、例えば、蛍光活性化細胞選別、顕微鏡画像化、プレターゲティングイメージング、ならびにin vivoでの腫瘍および組織画像化の他の型、ハイコンテンツスクリーニング(HCS)、免疫細胞化学法(ICC)、免疫磁気細胞除去(immunomagnetic cellular depletion)、免疫磁気細胞捕捉、サンドイッチアッセイ、一般的なアフィニティアッセイ、酵素イムノアッセイ(EIA)、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、ELISpot、マスサイトメトリ(CyTOF)、マイクロスフェアアレイ、多重化マイクロスフェアアレイ、マイクロアレイ、抗体アレイ、細胞アレイを含むアレイ、液相捕捉、側方フローアッセイ、化学発光検出、赤外線検出、ウェスタンブロット、サウスウェスタンブロット、ドットブロット、組織ブロットなどを含むブロッティング方法、またはそれらの組合せが挙げられる。
多重化ハイブリダイゼーション試薬ペア
【0076】
別の態様にしたがうと、本開示は、複数の架橋抗原にカップリングした複数のオリゴヌクレオチドプローブ、および複数の検出可能な抗体を含むハイブリダイゼーション試薬組成物を提供する。これらの組成物における各架橋抗原は、異なるオリゴヌクレオチドプローブにカップリングされており、少なくとも1個の検出可能な抗体は各架橋抗原と高親和性で結合する。これらの組成物における複数の抗原をカップリングさせたオリゴヌクレオチドプローブおよび検出可能な抗体は、前のセクションに記載されたハイブリダイゼーション試薬組成物ペアのいずれかであり得る。
【0077】
具体的な実施形態では、組成物は、少なくとも3個のハイブリダイゼーション試薬組成物ペアを含む。より具体的な実施形態では、組成物は、少なくとも5個のハイブリダイゼーション試薬組成物ペアを含む。なおより具体的な実施形態では、組成物は、少なくとも10個のハイブリダイゼーション試薬組成物ペアを含む。さらにより具体的な実施形態では、組成物は、少なくとも20個、30個、50個、100個、またはさらにより多いハイブリダイゼーション試薬組成物ペアを含む。
ハイブリダイゼーション試薬パネル
【0078】
上記のハイブリダイゼーション試薬は、目的のある特定の組織、特に、腫瘍組織などの目的の罹患組織において、特定の遺伝子座または染色体パターンを同定することに、または遺伝子マーカーの特定の組合せの発現をモニターすることに使用される診断パネルを作製するためにあらかじめ定義された群に組み合わせることができる。そのようなパネルは、そのような罹患組織を同定するための診断アッセイに有用であり、さらに、コンパニオン診断として有用であり、その場合、パネルは、特定の処置レジメンの経過中に時間と共に罹患組織において核酸マーカーをモニターするために使用される。そのようなコンパニオン診断は、処置レジメンの有効性の適時で信頼できる評価を提供し、さらに、処置投与量および頻度を特定の患者について最適化することを可能にし得る。当該技術分野において公知のように、現在のインサイチュハイブリダイゼーション技術を使用する標的組織のモニタリングは、組織切片あたりのオリゴヌクレオチドプローブの数に制限され得るし、または異なるオリゴヌクレオチドプローブでの別々の、もしくは逐次的な組織切片の染色を必要とし得る。対照的に、本明細書に開示されたハイブリダイゼーション試薬パネルは、目的の組織または他の試料の染色が、単一組織切片または他の試料において多数のオリゴヌクレオチドプローブで同時に実施することができるような、高レベルの多重化を可能にする。
【0079】
したがって、この態様によれば、本発明は、本開示の少なくとも3個のハイブリダイゼーション試薬を含むハイブリダイゼーション試薬を提供する。具体的な実施形態では、ハイブリダイゼーション試薬は、上記で詳細に記載されているように、本開示の少なくとも5個、少なくとも少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも30個、またはさらにより多いハイブリダイゼーション試薬を含む。
【0080】
特に関心が高いのは、例えば自己免疫疾患およびがんの処置において、免疫療法のレジメンを使用して処置される患者において組織試料をプロファイリングするための本ハイブリダイゼーション試薬パネルの使用である。例えば、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原-4(CTLA-4、CD152)を標的とする抗体(例えば、イピリムマブ)またはプログラム死受容体もしくはそれらのリガンド(PD-1またはPD-L1)を標的とする抗体(例えば、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、ピジリズマブなど)を使用する、チェックポイント経路の遮断における最近の進歩は、特に効果的であることが示されている。例えば、Adamsら(2015年)Nature Rev. Drug Discov. 14巻:603~22頁;Mahoneyら(2015年)Nature Rev. Drug Discov. 14巻:561~84頁;Shinら(2015年)Curr.
Opin. Immunol. 33巻:23~35頁参照。
【0081】
他の最近承認された抗がん剤は、腫瘍および他の疾患において上方制御または増幅される他の細胞表面タンパク質または遺伝子産物を標的とする(例えば、リンパ腫細胞におけるCD20に対するリツキシマブ、乳がん細胞におけるHER2/neuに対するトラスツズマブ、様々な腫瘍細胞におけるEGFRに対するセツキシマブ、様々ながん細胞および目におけるVEGFに対するベバシズマブ、ならびに骨における破骨細胞に対するデノスマブ参照)。したがって、これらの薬剤で処置される患者由来の組織試料のプロファイリングもまた、臨床医学において大きな現在の関心事となっている。
【0082】
同様に、抗がん剤での処置前か、または処置中のいずれかで患者から得られた組織試料もまた、分子プロファイリングから恩恵を受け得る。例えば、イマチニブ、レナリドミド、ペメトレキセド、ボルテゾミブ、リュープロレリン、アビラテロン酢酸エステル、イブルチニブ、カペシタビン、エルロチニブ、エベロリムス、シロリムス、ニロチニブ、スニチニブ、ソラフェニブなどで処置される患者は、有利には、本免疫試薬パネルを使用する、組織、特に罹患組織のプロファイリングによりモニターすることができる。
【0083】
免疫モジュレーターの分析を含む組織の分子プロファイリングのための方法およびシステム、ならびに疾患処置を評価およびモニターするためのそれらのプロファイルの使用もまた報告されている。例えば、米国特許第8,700,335B2号;同第8,768,629B2号;同第8,831,890B2号;同第8,880,350B2号;同第8,914,239B2号;同第9,053,224B2号;同第9,058,418B2号;同第9,064,045B2号;同第9,092,392B2号;PCT国際特許公開第WO2015/116868号参照。そのようなアプローチは、有利には、本ハイブリダイゼーション試薬の適切なパネルを使用して実施される。
【0084】
例示的なパネルは、以下のマーカーを含む腫瘍細胞、免疫細胞および種々の疾患関連遺伝子マーカーの組み合わせの発現を同定する:4-1BB、AFP、ALK1、アミロイドA、アミロイドP、アンドロゲン受容体、アネキシンA1、ASMA、BCA225、BCL-1、BCL-2、BCL-6、BerEP4、ベータ-カテニン、ベータ-HCG、BG-8、BOB-1、CA19-9、CA125、カルシトニン、カルデスモン、カルポニン-1、カルレチニン、CAM5.2、CD1a、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD10、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD31、CD33、CD34、CD38、CD42b、CD43、CD45 LCA、CD45RO、CD56、CD57、CD61、CD68、CD79a、CD99、CD117、CD138、CD163、CDX2、CEA、クロモグラニンA、CMV、c-kit、c-MET、c-MYC、IV型コラーゲン、補体3c(C3c)、COX-2、CXCR5、CK1、CK5、CK6、CK7、CK8、CK14、CK18、CK17、CK19、CK20、CK903、CK AE1、CK
AE1/AE3、D2-40、デスミン、DOG-1、E-カドヘリン、EGFR、EMA、ER、ERCC1、第VIII因子関連抗原、活性化第XIII因子、ファスシン、FoxP1、FoxP3、ガレクチン-3、GATA-3、GCDFP-15、GCET1、GFAP、グリコホリンA、グリピカン3、グランザイムB、HBME-1、Helicobacter Pylori、ヘモグロビンA、Hep Par1、HER-2、HHV-8、HMB-45、HSV l/ll、ICOS、IFNガンマ、IgA、IgD、IgG、IgM、IL17、IL4、インヒビン、iNOS、カッパIg軽鎖、Ki-67、LAG-3、ラムダIg軽鎖、リゾチーム、マンマグロビンA、MART-1/メランA、マスト細胞トリプターゼ、MLH1、MOC-31、MPO、MSA、MSH2、MSH6、MUC1、MUC2、MUM1、MyoD1、ミオゲニン、ミオグロビン、ナプシンA、ネスチン、NSE、Oct-2、OX40、OX40L、p16、p21、p27、p40、p53、p63、p504s、PAX-5、PAX-8、PD-1、PD-L1、PHH3、PIN-4、PLAP、PMS2、Pneumocystis
jiroveci(carinii)、PgR、PSA、PSAP、RCC、S-100、SMA、SMM、スムーセリン、SOX10、SOX11、サーファクタントアポプロテインA、シナプトフィジン、TAG72、TdT、トロンボモジュリン、チログロブリン、TIA-1、TIM3、TRAcP、TTF-1、チロシナーゼ、ウロプラキン、VEGFR-2、ビリン、ビメンチン、およびWT-1など。
【0085】
好ましくは、パネルは、以下のマーカーの1個または複数の発現を同定する:CD4、CD8、CD20、CD68、PD-1、PD-L1、FoxP3、SOX10、グランザイムB、CD3、CD163、IL17、IL4、IFNガンマ、CXCR5、FoxP1、LAG-3、TIM3、CD34、OX40、OX40L、ICOS、および4-1BB。
【0086】
パネルは、下で詳細に記載されたインサイチュハイブリダイゼーションのための方法での使用のための、キットの形態か、または別々に提供される一群の異なるハイブリダイゼーション試薬としてかのいずれかで、提供される。特に、パネルは、試料を同時検出のために複数のハイブリダイゼーション試薬と反応させる多重化方法において、使用される。ハイブリダイゼーション試薬は、上記のハイブリダイゼーション試薬のいずれかであり、特に、上記で定義された遺伝子マーカーのいずれかに相補的なオリゴヌクレオチドプローブおよび架橋抗原を含むハイブリダイゼーション試薬であって、オリゴヌクレオチドプローブおよび架橋抗原がカップリングされており、架橋抗原が検出可能な抗体により高親和性で認識されるハイブリダイゼーション試薬である。
【0087】
具体的な実施形態では、パネルは、遺伝子マーカーの以下の例示的な組合せの発現を同定する:
CD4、CD8、CD68、およびPD-L1;
CD4、CD8、FoxP3、およびCD68(任意の固形腫瘍について);
CD8、CD68、PD-L1、加えて、腫瘍関連マーカー(頭頚部腫瘍および膵腫瘍について);
SOX10、CD8、PD-1、およびPD-L1(メラノーマについて);
CD4、CD8、CD20、およびサイトケラチン(乳がんTILについて);
CD8、CD34、FoxP3、およびPD-L1(メラノーマ免疫学について);
CD8、CD34、PD-L1、およびFoxP1(がん免疫学について);
CD3、PD1、LAG-3、およびTIM3(T細胞疲弊について);
CD4およびFoxP3(Tregについて);
CD4およびIL17(Th17について);
CD8およびグランザイムB(活性化CD8について);
CD4およびCXCR5(TFhについて);
CD4およびIL4(Th2について);
CD4およびIFNg(Th1について);
CD4、CD8、CD3、およびCD20(一般的なリンパ球について);
CD4、CD8、CD68、およびCD20(リンパ球およびマクロファージについて);
CD4、FoxP3、CD8、およびCD20(Tregおよびリンパ球について);
CD4、FoxP3、CD8、およびグランザイムB(TregおよびAct CTLについて);
CD68(マクロファージについて);
CD68およびCD163(M2マクロファージについて);
CD20(B細胞について);ならびに
OX40、OX40L、ICOS、および41BB(目的の他の分子について)。
インサイチュハイブリダイゼーションの方法
【0088】
別の態様では、本開示は、ハイブリダイゼーション試薬を標的核酸と反応させるステップ、検出可能な抗体をハイブリダイゼーション試薬と反応させるステップであって、検出可能な抗体がハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原と高親和性で結合する、ステップ、および結合した検出可能な抗体を検出するステップを含む、インサイチュハイブリダイゼーションの方法を提供する。これらの方法におけるハイブリダイゼーション試薬および検出可能な抗体は、有用には、任意の適切な組合せでの、上記のハイブリダイゼーション試薬および検出可能な抗体のいずれかであり得る。
【0089】
実施形態では、検出の方法は、インサイチュハイブリダイゼーション方法である。上で記載されているように、インサイチュハイブリダイゼーションは、腫瘍細胞などの異常細胞の診断に頻繁に適用される、広く使用されている技術である。具体的な遺伝子マーカーの発現は、特定の腫瘍細胞、例えば、乳がん細胞の特性を示す。インサイチュハイブリダイゼーションアッセイもまた、染色体マーカー、および生物学的組織の異なる部分における差次的に発現した核酸マーカーの分布および局在化を理解するために頻繁に使用される。
【0090】
具体的な実施形態では、標的核酸は、組織切片内に存在する。組織切片内の核酸の検出は、臨床病理学分野の当業者によってよく理解されている。このようなアプローチは、単一分子/単一細胞レベルで無傷な細胞および組織中のmRNAの全コピー数を同定するた
めに今まで使用されてきた。例えば、Rajら、(2008) Nature Methods 5:877;Larsonら、(2009) Trends Cell Biol. 19:630;www.singlemoleculefish.comを参照のこと。典型的には固定化プロセス後の、固形組織試料が、試料の表面上の目的の1個または複数の標的核酸を露出させるために、薄片に切り分け得ることが理解されるものとする。連続組織切片、すなわち、最初の組織試料においてお互いに隣接、またはほとんど隣接していた切片の分析は、下でより詳細に記載されているように、最初の組織試料の3次元モデルの再構築、または標的核酸の多重化に関する能力の増加を可能にする。好ましい実施形態では、第1の標的核酸は、腫瘍試料の組織切片内の標的核酸である。
【0091】
他の具体的な実施形態では、方法により検出される核酸は、細胞内または細胞上にある。そのような検出は、例えば、サイトメトリの分野の当業者によって、よく理解されている。一部の実施形態では、核酸は細胞の表面上に存在し得る。他の実施形態では、核酸は、細胞の細胞質内に存在し得る。まだ他の実施形態では、核酸は細胞の核内に存在し得る。一部の実施形態では、核酸は、細胞内の1つより多い位置に存在し得る。
【0092】
上記方法に従って分析される組織は、任意の適切な組織試料であり得る。例えば、一部の実施形態では、組織は、結合組織、筋肉組織、神経組織、または上皮組織であり得る。同様に、分析される組織は、目的の任意の器官から入手され得る。適切な組織の非限定的例には、乳房、結腸、卵巣、皮膚、膵臓、前立腺、肝臓、腎臓、心臓、リンパ系、胃、脳、肺、および血液が挙げられる。
【0093】
一部の実施形態では、検出するステップは、蛍光検出ステップである。適切な蛍光検出標識は上で詳細に記載されている。
【0094】
一部の実施形態では、検出の方法は、検出可能な抗体に結合している細胞を選別するステップをさらに含む。細胞選別は、フローサイトメトリの分野内のよく理解された技術である。例示的なフローサイトメトリ検出方法は、例えば、Practical Flow
Cytometry、第4版、Shapiro、Wiley-Liss、2003年;Handbook of Flow Cytometry Methods、Robinson編、Wiley-Liss、1993年;およびFlow Cytometry in Clinical Diagnosis、第4版、Careyら編、ASCP
Press、2007年に提供されている。定量的多重化免疫学的アッセイ、特に、定量的フローサイトメトリアッセイにおけるヒドラゾン連結抗体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートの使用は、PCT国際公開第WO2013/188756号およびFlorら(2013年)Chembiochem. 15巻:267~75頁に記載されている。
【0095】
一部の実施形態では、ハイブリダイゼーションアッセイの方法は、多重化アッセイにおいて追加のハイブリダイゼーション試薬を追加の標的核酸と反応させるステップであって、追加のハイブリダイゼーション試薬が追加の標的核酸に相補的な上記で定義されたハイブリダイゼーション試薬のいずれかである、ステップ、追加のハイブリダイゼーション試薬を追加の検出可能な抗体と反応させるステップであって、追加の検出可能な抗体が追加のハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原と高親和性で結合する、ステップ、および結合した検出可能な追加の抗体を検出するステップを含む。多重化方法における追加のハイブリダイゼーション試薬および抗体の反応の順番は、当業者によって理解されているように、所望の結果を達成するために、任意の適切な方法において変わり得る。一部の実施形態では、異なるハイブリダイゼーション試薬の全部が、複数の標的核酸を含有する標的試料へ同時に加えられ得る。他の実施形態では、異なるハイブリダイゼーション試薬が、任意の順番で逐次的に加えられ得る。二次抗体に関しても同様に、同時か、または任意の順番で逐次的かのいずれかで加えられ得る。多重化アッセイにおいて、方法は、単一のアッセイにおいて、2個、3個、5個、10個、20個、30個、50個、100個、またはさらにより多い異なる標的核酸を検出し得る。上で詳細に記載されているように、本ハイブリダイゼーション試薬をそのようなより高いレベルの多重化ハイブリダイゼーションアッセイに使用できることは、本ハイブリダイゼーション試薬の主な利点である。特に、これらのハイブリダイゼーション試薬は、優れた感度、選択性、およびバックグラウンドシグナルの極めて低いレベルを有するハイブリダイゼーションアッセイを可能にする。
【0096】
一部の実施形態では、ハイブリダイゼーションアッセイの本方法は、所定の組織試料について可能な、検出可能な核酸の多重化のレベルを増加させるために、または試料の3次元画像を再構築するために、固定化組織試料の隣接した、またはほとんど隣接した切片の分析を含む。例えば、一部の実施形態では、方法は、第2のハイブリダイゼーション試薬を第2の試料上の第2の標的核酸と反応させるステップをさらに含む。これらの方法の一部において、第1の試料および第2の試料は、組織試料の連続切片(すなわち、試料においてお互いに隣接し、またはほとんど隣接している切片)であり得、第2のハイブリダイゼーション試薬は、第2の核酸に相補的な上記のハイブリダイゼーション試薬のいずれかである。方法は、第2の検出可能な抗体を第2のハイブリダイゼーション試薬と反応させるステップであって、第2の検出可能な抗体が第2のハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原に対して高親和性で特異的である、ステップ、および第2のハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原と会合している第2の検出可能な抗体を検出するステップをさらに含む。
【0097】
所定の組織試料の連続切片のハイブリダイゼーションアッセイは、現在のハードウェアおよびソフトウェアの限界を考慮しても、核酸検出の多重化の著しい増加を提供することは理解される。例えば、本明細書に記載されたハイブリダイゼーション試薬および方法は、原理上は、架橋抗原および二次抗体の無制限のバリエーションに起因して無制限の多重化を可能にするが、それでもやはり、そのようなアッセイは、現在、利用可能な検出デバイスで単一の組織切片上で同時に区別することができる蛍光色素の数によって制限される。しかしながら、同じ組織試料の連続切片を、オリゴヌクレオチドプローブの異なるパネルで染色して、異なる切片上での検出可能な標識、例えば、蛍光標識の同じパネルの再使用により標的核酸の異なるセットを同定することができる。検出可能な標識は、第1の試料切片を標識するのに使用された同じセットの二次抗体に結合し得、その場合、オリゴヌクレオチドプローブの第2のパネルは、オリゴヌクレオチドプローブの第1のパネルと共に使用されたのと同じセットの架橋抗原で標識される。代替として、および任意選択で、検出可能な標識は、第1の試料切片を標識するのに使用されたのとは異なるセットの二次抗体に結合し得、その場合、オリゴヌクレオチドプローブの第2のパネルは、オリゴヌクレオチドプローブの第1のパネルと共に使用されたのとは異なるセットの架橋抗原で標識される。
【0098】
所定の組織試料の連続切片のハイブリダイゼーションアッセイは、3次元での標的組織核酸の分析を可能にし、それにしたがって、例えば、断層撮影技術により、試料組織の全体的構造に関するさらなる情報を提供することもまた理解される。一部の実施形態では、第1の試料および第2の試料は、試料の連続切片ではなく、代わりに、最初の組織内の空間で引き離されている場合があり、それゆえに、3次元における標的核酸の相対的空間的配置についてのなおさらなる情報を提供する。当業者は、3次元組織構造の再構築における連続切片画像の利用を理解している。
【0099】
一部の実施形態では、試料のそれぞれにおいて、複数の標的核酸が検出される。具体的な実施形態では、試料のそれぞれにおいて、少なくとも2個の標的核酸、少なくとも3個の標的核酸、少なくとも5個の標的核酸、少なくとも10個の標的核酸、少なくとも15個の標的核酸、少なくとも25個の標的核酸、またはさらにより多い標的核酸が検出される。一部の実施形態では、1個または複数の標的核酸が、少なくとも3個の試料、少なくとも4個の試料、少なくとも5個の試料、少なくとも10個の試料、少なくとも15個の試料、少なくとも25個の試料、またはさらにより多くの試料において検出される。
【0100】
別の態様では、本開示は、試料中の複数の標的核酸が、架橋抗原を含むオリゴヌクレオチドプローブでの最初の処理、および架橋抗原に特異的な反応性抗体でのその後の逐次処理により標識される、ハイブリダイゼーションアッセイの方法を提供する。具体的には、第1の標的核酸および第2の標的核酸を含む試料を、第1の標的核酸に相補的な第1のハイブリダイゼーション試薬および第2の標的核酸に相補的な第2のハイブリダイゼーション試薬と反応させ、その場合、第1のハイブリダイゼーション試薬および第2のハイブリダイゼーション試薬が上記のハイブリダイゼーション試薬のいずれかである。第1のハイブリダイゼーション試薬を、第1の反応性抗体と反応させ、その場合、第1の反応性抗体が第1のハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原と高親和性で結合する。その後、試料中の第1の核酸の位置は、第1の反応性抗体を第1の検出可能な試薬と反応させることにより強調され、それにより、第1の検出可能な試薬が、第1の核酸の近くで試料に結合している。その後、第1の反応性抗体を、試料から選択的に解離させ、第2のハイブリダイゼーション試薬を、第2の反応性抗体と反応させ、その場合、第2の反応性抗体が第2のハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原と高親和性で結合する。その後、試料中の第2の核酸の位置は、第2の反応性抗体を第2の検出可能な試薬と反応させることにより強調され、それにより、第2の検出可能な試薬が、第2の抗原の近くで試料に結合している。その後、第1の検出可能な試薬および第2の検出可能な試薬を検出し、それにしたがって、試料における第1の標的核酸および第2の標的核酸の位置を同定する。
【0101】
これらの方法の具体的な実施形態では、第1の反応性抗体および第2の反応性抗体はそれぞれ、酵素活性、より具体的には、西洋ワサビペルオキシダーゼ活性などのペルオキシダーゼ活性を含む。他の具体的な実施形態では、第1の検出可能な試薬か、もしくは第2の検出可能な試薬のいずれかが、チラミドを含み、または第1の検出可能な試薬および第2の検出可能な試薬のそれぞれが、チラミドを含む。まだ他の具体的な実施形態では、第1の検出可能な試薬か、もしくは第2の検出可能な試薬のいずれかが、フルオロフォアもしくは発色団を含み、または第1の検出可能な試薬および第2の検出可能な試薬のそれぞれが、フルオロフォアもしくは発色団を含む。
【0102】
好ましい実施形態では、第1の反応性抗体は、選択的処理により試料から解離する。具体的には、選択的処理は、オリゴヌクレオチドプローブを試料から解離させることなく、第1の反応性抗体を試料から解離させ得る。より具体的には、選択的処理は、可溶性架橋抗原での処理を含み得る。そのような処理は、当業者により理解されているように、相対的に高い濃度の可溶性架橋抗原、例えば、少なくとも1μM、少なくとも10μM、少なくとも100μM、少なくとも1mM、少なくとも10mM、またはさらにより高い濃度の可溶性架橋抗原の使用を含み得る。
【0103】
上記方法において、反応性抗体を試料から解離させるステップ、追加のハイブリダイゼーション試薬を試料上の追加の標的核酸と反応させるステップ、追加の反応性抗体を追加のハイブリダイゼーション試薬と反応させるステップ、および追加の反応性抗体を追加の検出可能な試薬と反応させるステップであって、その結果、追加の検出可能な試薬が追加の標的核酸の近くで試料に結合している、ステップが、試料上の望まれるだけの数の標的核酸の位置を検出するために、必要とされるだけの回数、繰り返され得ることも理解されるものとする。一部の実施形態では、ステップは、試料上の少なくとも3個の標的核酸、少なくとも4個の標的核酸、少なくとも5個の標的核酸、少なくとも10個の標的核酸、またはさらにより多い標的核酸の位置を検出するために繰り返される。
【0104】
これらのアッセイ方法に使用されるステップの順番は、使用される特定の反応条件に依存し得ること、および場合によっては、アッセイを完了させるために追加の反応ステップもまた必要であり得ることも理解されるものとする。例えば、反応性抗体を試料から解離させるために、非選択的方法(例えば、熱、変性など)が使用される場合には、アッセイにおいて追加の反応ステップを含むことが必要になる場合がある。具体的には、解離条件がまたオリゴヌクレオチドプローブを試料から除去する場合には、追加の反応性抗体および追加の検出可能な試薬との反応の前に、追加のハイブリダイゼーション試薬とのさらなる反応がプロセスに含まれてよい。言い換えれば、新しいハイブリダイゼーション試薬の新しい標的核酸との反応が、各標的核酸についてのプロセスに含まれる。しかしながら、好ましい実施形態では、反応性抗体が選択的に解離する場合、所望の標的核酸の全部との反応のために所望のハイブリダイゼーション試薬の全部を、最初の反応ステップに加えることができ、反応性抗体だけが、次のサイクルにおいて加えられる。反応性抗体を試料から解離させるための選択的処理の使用は、過酷な処理からの試料への損傷を最小限にし、それにしたがって、アッセイからの結果を向上させる。
【0105】
本開示のハイブリダイゼーション試薬は、様々なインサイチュハイブリダイゼーション検出方法に有用に用いられ得、そのインサイチュハイブリダイゼーション検出方法には、非限定的に、発色インサイチュハイブリダイゼーション(CISH)、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)など単独または組み合わせ、および任意選択でこれらを以下のような他の診断アッセイと組み合わせたもの、顕微鏡画像化、プレターゲティングイメージング、ならびにin vivoでの腫瘍および組織画像化の他の型、ハイコンテンツスクリーニング(HCS)、免疫細胞化学法(ICC)、免疫磁気細胞除去、免疫磁気細胞捕捉、サンドイッチアッセイ、一般的なアフィニティアッセイ、酵素イムノアッセイ(EIA)、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、ELISpot、マスサイトメトリ(CyTOF)、マイクロスフェアアレイ、多重化マイクロスフェアアレイ、マイクロアレイ、抗体アレイ、細胞アレイを含むアレイ、液相捕捉、側方フローアッセイ、化学発光検出、赤外線検出、ウェスタンブロット、サウスウェスタンブロット、ドットブロット、組織ブロットなどを含むブロッティング方法、またはそれらの組合せが挙げられる。これらのアッセイのそれぞれは、本ハイブリダイゼーション試薬を使用して達成される高レベルの多重化から恩恵を受け得る。
【0106】
上記方法は、制限なしに、研究および臨床実践場面に使用される。それらは、予測スクリーニングを含め診断を目的として、および他の型の予後アッセイにおいて、例えば、診断検査室の環境において、または臨床現場即時検査として、使用され得る。当該多重化ハイブリダイゼーション技術はまた、ハイスループットスクリーニングにおける使用にも十分適している。
【0107】
架橋抗原標識一次抗体および検出可能な抗架橋抗原二次抗体を用いた組織切片の多重化免疫組織化学染色を含む免疫組織化学染色は、米国特許出願第15/017,626号およびPCT国際出願PCT/US16/16913に例示されている。そのような技術は、当業者に理解されるように、本開示のハイブリダイゼーション試薬組成物を使用したインサイチューハイブリダイゼーションアッセイにおける使用に適合させることができる。
調製の方法
【0108】
別の態様では、本開示は、上記のハイブリダイゼーション試薬などの抗原をカップリングさせたハイブリダイゼーション試薬を調製する新規な方法を提供する。一部の実施形態では、方法は、化学的カップリング反応を使用して、オリゴヌクレオチドプローブを架橋抗原にカップリングするステップを含む。具体的な実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブと架橋抗原は、高効率コンジュゲーション部分によってカップリングされる。一部の実施形態では、方法は、オリゴヌクレオチドプローブを第1のコンジュゲート試薬で修飾するステップ、架橋抗原を第2のコンジュゲート試薬で修飾するステップ、および修飾されたオリゴヌクレオチドプローブを修飾された架橋抗原と反応させて、抗原をカップリングさせたハイブリダイゼーション試薬を生成するステップを含む。具体的な実施形態では、第1のコンジュゲート試薬および第2のコンジュゲート試薬は、高効率でお互いに会合する。
【0109】
高効率とは、オリゴヌクレオチドプローブの抗原をカップリングさせたオリゴヌクレオチドプローブへの変換の効率が、コンジュゲーション反応の条件下で、少なくとも50%、70%、90%、95%、または99%完了であることを意味する。一部の実施形態では、これらの効率は、0.5mg/mL以下、0.2mg/mL以下、0.1mg/mL以下、0.05mg/mL以下、0.02mg/mL以下、0.01mg/mL以下、またはそれよりも低いタンパク質濃度で達成される。
【0110】
調製方法に有用に用いられるオリゴヌクレオチドプローブおよび架橋抗原には、上記のオリゴヌクレオチドプローブおよび架橋抗原のいずれかが挙げられる。第1および第2のコンジュゲート試薬は、所望の結果に従って選択される。特に、アミノ基またはチオール基と特異的で選択的に反応することができる高効率コンジュゲート試薬が、アミノまたはチオール修飾オリゴヌクレオチドプローブおよびアミノまたはチオール含有架橋抗原の修飾において特に有用である。加えて、第1および第2のコンジュゲート試薬は、高効率でお互いに会合するそれらの能力、および、それにしたがって、上記の抗原をカップリングさせたハイブリダイゼーション試薬の一部において高効率コンジュゲーション部分を生じるそれらの能力について選択される。
【0111】
上で記載されているように、生じたコンジュゲーション部分は、共有結合性部分または非共有結合性部分であり得、それに応じて、修飾されたオリゴヌクレオチドプローブおよび修飾された架橋抗原を調製するために使用される第1および第2のコンジュゲート試薬が選択される。例えば、非共有結合性コンジュゲーション部分の場合、第1のコンジュゲート試薬は、好ましくは、その試薬をオリゴヌクレオチドの特定の反応性残基に結合させるための選択的反応基、およびコンジュゲーションペアの第1の構成成分を含む。同様に、第2のコンジュゲート試薬は、好ましくは、その試薬を架橋抗原の特定の反応性残基に結合させるための選択的反応基、およびコンジュゲーションペアの第2の構成成分を含む。コンジュゲーションペアの第1および第2の構成成分は、高効率で、非共有結合的にお互いに会合することができ、それにしたがって、抗原をカップリングさせたハイブリダイゼーション試薬を生成することができる。
【0112】
前に記載されているように、非共有結合性コンジュゲーション部分の例には、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションペアおよびタンパク質-リガンド結合ペアが挙げられる。例えば、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションペアの場合、オリゴヌクレオチドプローブを、ハイブリダイゼーションペアの1つのメンバーを含む第1のコンジュゲート試薬と反応させ、架橋抗原を、ハイブリダイゼーションペアの第2のメンバーを含む第2のコンジュゲート試薬と反応させる。したがって、修飾されたオリゴヌクレオチドプローブおよび修飾された架橋抗原は、お互いと混合することができ、ハイブリダイゼーションペアの2つのメンバーの会合により、高効率コンジュゲーション部分が生じる。
【0113】
同様に、抗原をカップリングさせたハイブリダイゼーション試薬の非共有結合性コンジュゲーション部分を生じるためにタンパク質-リガンド結合ペアが使用される場合、オリゴヌクレオチドを、タンパク質-リガンドペアの一方または他方を含む第1のコンジュゲート試薬と反応させ、架橋抗原を、タンパク質-リガンドペアの相補的メンバーを含む第2のコンジュゲート試薬と反応させる。そのように修飾されたオリゴヌクレオチドおよび架橋抗原は、その後、お互いと混合され、高効率コンジュゲーション部分が生じる。
【0114】
上で詳細に記載されているように、高効率共有結合性コンジュゲーション部分の例には、ヒドラゾン、オキシム、他のシッフ塩基、および様々なクリック反応のいずれかの生成物が挙げられる。高効率コンジュゲーション部分を形成するのに使用される例示的なヒドラジノ、オキシアミノ、およびカルボニルコンジュゲート試薬は、米国特許第7,102,024号に例証されており、本反応方法での使用に適応することができる。そこに記載されているように、ヒドラジン部分は、脂肪族、芳香族、もしくはヘテロ芳香族のヒドラジン、セミカルバジド、カルバジド、ヒドラジド、チオセミカルバジド、チオカルバジド、炭酸ジヒドラジン、またはヒドラジンカルボキシレートであり得る。カルボニル部分は、上記のヒドラジンまたはオキシアミノ部分の1つまたは複数とヒドラジンまたはオキシム結合を形成することができる任意のカルボニル含有基であり得る。好ましいカルボニル部分には、アルデヒドおよびケトンが挙げられる。本方法においてコンジュゲート試薬として使用されるこれらの試薬の一部の活性化バージョンは、例えば、Solulink,Inc.(San Diego、CA)およびJena Bioscience GmbH(Jena、Germany)から市販されている。一部の実施形態では、試薬は、オリゴヌクレオチドまたは架橋抗原の合成中、例えば、固相合成反応中に、オリゴヌクレオチドまたは架橋抗原へ取り込まれ得る。
【0115】
固定化および他のコンジュゲーション反応に使用される、オリゴヌクレオチドへのヒドラジン、オキシアミノ、およびカルボニルに基づいたモノマーの取り込みは、米国特許第6,686,461号;同第7,173,125号;および同第7,999,098号に記載されている。生体分子のコンジュゲーションおよび固定化に使用されるヒドラジンに基づいた、およびカルボニルに基づいた二官能性架橋試薬は、米国特許第6,800,728号に記載されている。様々な検出アッセイおよび他の適用においてオリゴヌクレオチドコンジュゲートを形成するための高効率ビスアリール-ヒドラゾンリンカーの使用は、PCT国際公開第WO2012/071428号に記載されている。上記参考文献のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み入れられている。
【0116】
一部の実施形態では、本開示のハイブリダイゼーション試薬は、新規なコンジュゲート試薬および条件を使用して調製される。例えば、抗原をカップリングさせたハイブリダイゼーション試薬の調製に有用なチオール反応性マレイミドオキシアミノ(MOA)コンジュゲート試薬は、スキーム1に示されているように調製され得る:
【化1】
アミノ反応性オキシアミノコンジュゲート試薬(AOA)は、スキーム2に示されているように調製され得る:
【化2】
【0117】
代替のチオール反応性およびアミノ反応性コンジュゲート試薬は、合成化学の分野の当業者によって理解されているように、上記の反応スキームの変形型を使用して調製され得る。そのような代替試薬は、本明細書に開示された調製方法の範囲内と見なされるべきである。
【0118】
上記のオキシアミノ含有試薬の一方または他方を使用して修飾されたオリゴヌクレオチドおよび架橋抗原は、有用には、カルボニル含有試薬、例えば、ホルミルベンゾエート基などの芳香族アルデヒドでそれ自体、修飾される相補的オリゴヌクレオチドまたは架橋抗原と反応し得る。そのようなコンジュゲーション反応の代替の例は、スキーム3および4(R
1基およびR
2基は、独立して、オリゴヌクレオチドプローブまたは架橋抗原を表す)に示されている。
【化3】
【0119】
オリゴヌクレオチドプローブ上および架橋抗原上のコンジュゲーション部分を形成する基の異なるメンバーの相対的配向は、その基がお互いに反応して、高効率コンジュゲーション部分を形成することができる限り、重要であるとは一般的に考えられていないことが理解されるものとする。言い換えれば、スキーム3および4の例において、R1基はオリゴヌクレオチドプローブであり得、R2基は架橋抗原であり得、またはR1基は架橋抗原であり得、R2基はオリゴヌクレオチドプローブであり得る。上記のコンジュゲートペアの全部について、共有結合性であろうと非共有結合性であろうと、一般的に同じことが当てはまる。
【0120】
上記のコンジュゲーション方法は、従来の架橋方法、例えば、二官能性架橋試薬を使用する方法と比べていくつかの利点を提供する。特に、その反応は、特異的、効率的、安定的である。特異性は、ホモ共役反応などの副反応が起こらず、または極めて低レベルで起こることを意味する。効率は、反応が、低試薬濃度でさえも完了、または完了近くまで進み、したがって、化学量論的量で、またはそれ近くで生成物を生じることを意味する。形成されるコンジュゲーション部分の安定性は、生じたハイブリダイゼーション試薬が、コンジュゲートされた生成物が使用中に解離するという心配なしに、多種多様な目的のために使用することができることを意味する。場合によっては、上記コンジュゲーション方法は、その反応の一部において反応が起こるにつれて、発色団(chromaphore)が形成されるため、コンジュゲーション反応の過程が分光学的にモニターされ得るというさらなる利点を与える。
【0121】
ヒドラゾン連結アドリアマイシン/モノクローナル抗体コンジュゲートの合成および安定性は、Kanekoら(1991年)Bioconj. Chem. 2巻:133~41頁に記載されている。一連の芳香族ヒドラジド、ヒドラジン、およびチオセミカルバジドの合成およびタンパク質修飾特性は、米国特許第5,206,370号;同第5,420,285号;および同第5,753,520号に記載されている。コンジュゲーション的に拡張されたヒドラジン化合物および蛍光ヒドラジン化合物の作製は、米国特許第8,541,555号に記載されている。
【0122】
架橋抗原標識一次抗体の調製は、米国特許出願第15/017,626号およびPCT国際出願PCT/US16/16913に例示されている。当業者に理解されるように、同様の手法を本ハイブリダイゼーション試薬の調製のために使用することができる。
診断キット
【0123】
別の態様では、本開示は、診断または研究を目的としたハイブリダイゼーションアッセイに使用されるキットを提供する。診断キットは、本開示の1つまたは複数のハイブリダイゼーション試薬を、ハイブリダイゼーションアッセイにおける使用のための指示と共に含む。一部の実施形態では、キットはさらに、二次抗体、例えば、ハイブリダイゼーション試薬の架橋抗原に対して、高親和性で特異的である二次抗体を含む。さらに、本キットに含まれるハイブリダイゼーション試薬は、典型的には、特異的遺伝子マーカーに向けられたオリゴヌクレオチドプローブを含み、それにより、キットは、特異的な遺伝子座または染色体パターンを同定するため、または組織試料内の1つまたは複数の遺伝子マーカーの発現をモニターするためのハイブリダイゼーションアッセイに使用され得ることが理解されるべきである。
【0124】
さらなる実施形態では、キットは、さらなる構成成分、例えば、細胞または組織を染色するためのキットの利用を可能にするための様々な組成のバッファー、および試料形態(morphology)の可視化を可能にするための細胞の対比染色剤などを含み得る。キットは、様々な様式で提供されて、上記の列挙された構成成分の一部もしくは全部を含み得、または本明細書に列挙されていない追加の構成成分を含み得る。
【0125】
本発明の他の態様は、米国特許出願第15/017,626号およびPCT国際出願PCT/US16/16913を参照することによって理解される。
【0126】
本明細書において記述した全ての特許、特許刊行物、および他の公表された参照文献は、それぞれが本明細書において参照により個々にかつ具体的に組み込まれているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0127】
具体的な例を提供してきたが、上記の説明は例示的なものであり、限定されるものではない。上記実施形態の特色のうちの任意の1つまたは複数は、本発明における任意の他の実施形態のうちの1つまたは複数の特色と任意の様式で合わせることができる。さらに、本発明の多くのバリエーションは、明細書を見直せば当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲をそれらの均等物の完全な範囲と共に参照することにより決定すべきである。
【外国語明細書】