(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168138
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】表示装置、コンテンツ表示方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20221027BHJP
【FI】
G06Q30/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143383
(22)【出願日】2022-09-09
(62)【分割の表示】P 2021114301の分割
【原出願日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】P 2020061855
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】516329543
【氏名又は名称】株式会社バカン
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 剛進
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 慎介
(72)【発明者】
【氏名】森永 哲郎
(57)【要約】
【課題】施設利用者に対する広告伝達効果を高めつつ、混雑状況に応じて施設利用時間の増加を抑制する。
【解決手段】本開示の表示装置は、表示部を有し、トイレ個室内に設置された表示装置であって、トイレ個室の利用状況を示す利用状況情報を取得する取得手段と、利用状況情報に基づいて、表示部の広告コンテンツの表示を制御する表示制御手段と、を有し、表示制御手段は、トイレ個室の利用中に、事前に設定されたN個の広告コンテンツを再生した後にN個の広告コンテンツのうち少なくとも1つの広告コンテンツを再度再生するか否かを判定する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を有し、トイレ個室内に設置された表示装置であって、
前記トイレ個室の利用状況を示す利用状況情報を取得する取得手段と、
前記利用状況情報に基づいて、前記表示部の広告コンテンツの表示を制御する表示制御手段と、を有し、
前記表示制御手段は、前記トイレ個室の利用中に、事前に設定されたN個の広告コンテンツを再生した後に前記N個の広告コンテンツのうち少なくとも1つの広告コンテンツを再度再生するか否かを判定することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記表示制御手段は、再度再生すると判定した場合には、前記N個の広告コンテンツのうち少なくとも1つの広告コンテンツを再度再生することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記取得手段は、前記トイレ個室を含むトイレ施設における混雑状況を示す混雑情報を含む前記利用状況情報を取得し、
前記表示制御手段は、前記混雑情報に基づいて前記N個の広告コンテンツのうち少なくとも1つの広告コンテンツを再度再生するか否かを判定することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記取得手段は、前記混雑情報を所定時間おきに取得し、
前記表示制御手段は、最初に前記N個の広告コンテンツを再生している間は、前記混雑情報が混雑していることを示していても前記広告コンテンツの表示を停止せず、前記N個の広告コンテンツのうち少なくとも1つの広告コンテンツを再度再生中に、前記混雑情報が混雑してることを示す情報に更新された場合には、前記広告コンテンツの表示を停止することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
トイレ個室内に設置された表示装置の表示部に広告コンテンツを表示するコンテンツ表示方法であって、
前記トイレ個室の利用状況を示す利用状況情報を取得することと、
前記利用状況情報に基づいて、前記表示部の広告コンテンツの表示を制御することと、を含み、
前記表示部の広告コンテンツの表示を制御することは、前記トイレ個室の利用中に、事前に設定されたN個の広告コンテンツを再生した後に前記N個の広告コンテンツのうち少なくとも1つの広告コンテンツを再度再生するか否かを判定することを含む、コンテンツ表示方法。
【請求項6】
コンピュータに請求項5に記載のコンテンツ表示方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置、コンテンツ表示方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ施設の個室等にディスプレイを設置し、利用者が便器に近づくとセンサにより利用者を検知し広告やイベント情報等の画像を表示することで、利用者に対する広告伝達効果を高めようとする広告やイベント情報等の画像を表示する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の発明によれば、利用者が広告を見るために1人あたりの利用時間が増加してしまい、その結果、施設が混雑してしまうという可能性があった。
【0005】
本開示は、上記の点に鑑み、一つの側面では、施設利用者に対する広告伝達効果を高めつつ、混雑状況に応じて施設利用時間の増加を抑制する技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本開示は、表示部を有し、トイレ個室内に設置された表示装置であって、トイレ個室の利用状況を示す利用状況情報を取得する取得手段と、利用状況情報に基づいて、表示部の広告コンテンツの表示を制御する表示制御手段と、を有し、表示制御手段は、トイレ個室の利用中に、事前に設定されたN個の広告コンテンツを再生した後にN個の広告コンテンツのうち少なくとも1つの広告コンテンツを再度再生するか否かを判定することを特徴とする表示装置を提案する。
【0007】
本開示に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本開示の態様は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される特許請求の範囲の様態により達成され実現される。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではないことを理解する必要がある。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態によれば、施設利用者に対する広告伝達効果を高めつつ、混雑状況に応じて施設利用時間の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る空室管理システムの構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る空室管理システムのトイレ施設設置例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る空室管理サーバ及び表示端末のハードウェア構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る空室管理サーバ及び表示端末のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る空室管理DB及び広告管理DBのデータ例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る空室管理サーバの空室情報の更新及び広告コンテンツの表示制御処理を示すフローチャート図である。
【
図7】本実施形態に係る空室管理システムのトイレ施設設置例を示す図である。
【
図8】本実施形態に係る空室管理DB及び広告管理DBのデータ例を示す図である。
【
図9】本実施形態に係る空室管理サーバの行列情報の更新処理を示すフローチャート図である。
【
図10】本実施形態に係る空室管理サーバの空室情報の更新及び広告コンテンツの表示制御処理を示すフローチャート図である。
【
図11】本変形例に係る空室管理サーバの空室情報の更新及び広告コンテンツの表示制御処理を示すフローチャート図である。
【
図12】実施形態3における、空室管理サーバ10の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図13】混雑度情報を有する空室管理DBのデータ構成例を示す図である。
【
図14】実施形態3における、各表示端末40の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図15】表示端末40において実行される退室監視および割り込み処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
(1)実施形態1
<システム構成>
(ネットワーク構成)
図1は、本実施形態に係る空室管理システムの構成例を示す図である。
図1の空室管理システム100は、空室管理サーバ10と、空室検知センサ30と、表示端末40とを含み、ネットワーク50を介して接続されている。
【0011】
空室管理サーバ10は、表示端末40に、広告画像、広告動画又はアンケート画像などをはじめとする表示コンテンツ(以下、広告コンテンツという)を配信する情報処理装置である。配信された広告コンテンツは、トイレ個室20内にそれぞれ設置された表示端末40のディスプレイ上に表示される。
【0012】
表示端末40は、トイレ施設Aのトイレ個室毎に設置され、利用者がトイレ個室利用中に広告などの広告コンテンツを表示する情報表示装置である。例えば表示端末40としてタブレット端末を利用する。
【0013】
空室検知センサ30は、トイレ施設Aのトイレ個室毎に設置され、利用者に利用されるトイレ個室20の空室情報(空室状況)を検知するための監視機器である。空室検知センサ30は、監視対象となる個室毎に設置される。空室検知センサ30は、トイレ個室20が利用者に利用されているか否かを検出する。
【0014】
空室検知センサ30としては、例えばトイレ個室20内の利用者の人感を検知する人感センサやトイレ個室20の扉の開閉を検知する磁気センサなどを用いることができる。人感センサを用いた場合にはトイレ個室20内に人感を検知したときに、トイレ個室20が利用者に利用されていると判定することができる。また、トイレ個室20が常開式である場合、磁気センサを用いてトイレ個室20の扉が閉まったことを検知したときに、トイレ個室20が利用者に利用されていると判定することができる。空室検知センサ30は、一定の時間ごとにトイレ個室20が利用者に利用されているか否かを検知し、ネットワーク50を介して空室管理サーバ10に対して、トイレ個室20の検知信号を送信する。本実施形態においては、扉の開閉を検知する磁気センサを空室検知センサ30として用いるものとする。空室検知センサ30は、例えば5秒おきに扉の開閉状態を検知する。さらに空室検知センサ30は、例えば、1分置きなどの一定時間が経過した時と開閉状態が変化した時に検知信号を出力する。ここでは空室検知センサ30は、ドアが閉まっている場合には検知信号1を、ドアが開いている場合には検知信号0を個室IDとともに出力するものとする。
【0015】
ネットワーク50は、有線、無線を含む通信ネットワークである。ネットワーク50は、例えば、インターネット、公衆回線網、WiFi(登録商標)などを含む。
【0016】
(設置例)
図2は、本実施形態に係る空室管理システムのトイレ施設設置例を示す図である。空室検知センサ30は、トイレ個室20の空室情報(空室状況)を監視するため、各トイレ個室20内の所定の場所に設置される。
図2のトイレ施設の場合には、合計5つの個室が設けられているため、トイレ個室20毎に、合計5台の空室検知センサ30が設置される。空室検知センサ30は、トイレ施設内の無線又は有線ネットワークを介して空室管理サーバ10と通信可能に接続される。
【0017】
上述したように、空室検知センサ30は、例えばトイレ個室20内の利用者の人感を検知する人感センサやトイレ個室20の扉の開閉を検知する磁気センサなどを用いることができる。空室検知センサ30に人感センサを用いた場合、空室検知センサ30はトイレ個室20の天井等に設置されうる。また、空室検知センサ30に磁気センサを用いた場合、空室検知センサ30はトイレ個室20の扉に設置されうる。
【0018】
表示端末40は、各トイレ個室20内の所定の場所に設置される。
図2のトイレ施設の場合には、合計5つの個室が設けられているため、トイレ個室20毎に、合計5台の表示端末40が設置される。表示端末40は、トイレ施設内の無線又は有線ネットワークを介して空室管理サーバ10と通信可能に接続される。
【0019】
(ハードウェア構成)
図3は、本実施形態に係る空室管理サーバ及び表示端末のハードウェア構成例を示す図である。
【0020】
図3(A)に示されるように、空室管理サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、HDD(Hard Disk Drive)14、及び通信装置15を有する。
【0021】
CPU11は、各種プログラムの実行や演算処理を行う。ROM12は、起動時に必要なプログラムなどが記憶されている。RAM13は、CPU11での処理を一時的に記憶したり、データを記憶したりする作業エリアである。HDD14は、各種データ及びプログラムを格納する。通信装置15は、ネットワーク50を介して他装置との通信を行う。
【0022】
図3(B)に示されるように、表示端末40は、CPU41、ROM42、RAM43、通信装置44、メモリ45、及びディスプレイ装置46を有する。
【0023】
CPU41は、各種プログラムの実行や演算処理を行う。ROM42は、起動時に必要なプログラムなどが記憶されている。RAM43は、CPU41での処理を一時的に記憶したり、データを記憶したりする作業エリアである。通信装置44は、ネットワーク50を介して空室管理サーバ10との通信を行う。メモリ45は、広告コンテンツデータを格納し保存する。ディスプレイ装置46は、空室管理サーバ10から配信された広告コンテンツを表示する。
【0024】
(ソフトウェア構成)
図4は、本実施形態に係る空室管理サーバ及び表示端末のソフトウェア構成例を示す図である。
図4(A)に示されるように、空室管理サーバ10は、主な機能部として、配信部101、検出部102、判定部103、表示制御部104、及び記憶部105を有する。
【0025】
配信部101は、トイレ個室20内に設置された表示端末40に、広告コンテンツを配信する。
【0026】
検出部102は、複数のトイレ個室20のそれぞれを利用する利用者の有無を検出する。具体的に検出部102は、トイレ個室20に設置された空室検知センサ30からの検知情報を、定期的又は検知情報が変化したタイミングで受信する。検知情報は、施設ID、個室ID、及び検知信号を含む。そして検出部102は、検知信号が1を示す場合に検出結果として当該施設における当該トイレ個室は利用者ありと検出し、検知信号が0を示す場合に検出結果として当該施設における当該トイレ個室は利用者なしと検出する。検出部102は、検知情報に基づいて、空室管理DB105aを更新する。
【0027】
判定部103は、検出部102による検出結果に基づいて、複数のトイレ個室20のうち利用者がいないトイレ個室20があるか否かを判定する。具体的に判定部103は、空室管理DB105aを参照することにより、同一施設における複数のトイレ個室20のうち、利用者なしのトイレ個室20があるか否かを判定する。
【0028】
表示制御部104は、判定部103により利用者がいないトイレ個室20があると判定された場合に、検出部102により利用者が検出されているトイレ個室20に備えられた表示端末40に、広告コンテンツを表示させる制御を実行する。また、表示制御部104は、判定部103により利用者がいないトイレ個室20がないと判定された場合に、検出部102により利用者が検出されているトイレ個室20に備えられた表示端末40に、広告コンテンツを表示させない制御を実行する。
【0029】
記憶部105は、空室管理DB(Data Base)105a及び広告管理DB105bを記憶する。空室管理DB105aは、トイレ施設におけるトイレ個室20の空室情報(空室状況)をリアルタイムに管理するためのデータベースである。広告管理DB105bは、トイレ個室20に備えられた表示端末40に表示させるための広告コンテンツを管理するためのデータベースである。
【0030】
図4(B)に示されるように、表示端末40は、主な機能部として、受信部401、記憶部402、及び表示制御部403を有する。受信部401は、空室管理サーバ10の配信部101により配信された広告コンテンツを受信する。記憶部402は、受信部401により受信された広告コンテンツをメモリ45に記憶する。表示制御部403は、空室管理サーバ10の表示制御部104の制御に従って広告コンテンツを表示又は非表示する。
【0031】
なお、各機能部は、空室管理サーバ10及び表示端末40を構成するコンピュータのCPU、ROM、RAM等のハードウェア資源上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されるものである。これらの機能部は、「手段」、「モジュール」、「ユニット」、又は「回路」に読替えてもよい。
【0032】
(空室管理DB及び広告管理DB)
図5は、本実施形態に係る空室管理DB及び広告管理DBのデータ例を示す図である。
図5(A)に示されるように、空室管理DB105aは、例えば、「施設ID」、「施設名」、「個室数」、「空室数」、「個室ID及び空室情報」などのデータ項目を有する。
【0033】
「施設ID」は、トイレ施設毎に付番される固有の識別子を示す。「施設名」は、トイレ施設の名称を示す。「個室数」は、トイレ施設に設けられたトイレ個室の総数を示す。「空室数」は、「個室数」のうち、空室であるトイレ個室の数を示す。「空室数」は、トイレ個室の空室状況に応じてリアルタイムに変動する。
【0034】
「個室ID及び空室情報」は、トイレ個室毎に付番される固有の識別子及び当該トイレ個室の空室情報を示す。
図5の場合、「個室ID」は、1、2、3、4、5に対応し、このうち「個室ID」を示す数字が下線表示になっているトイレ個室は利用状態を示す。一方、「個室ID」を示す数字が下線非表示になっているトイレ個室は非利用状態を示す。
【0035】
空室管理サーバ10は、トイレ個室20に設置された空室検知センサ30から検知情報を受信した場合、検知情報に含まれる施設ID及び個室IDを特定するとともに、検知情報に含まれる検知信号が1を示す場合には当該トイレ個室は満室状態であるとして空室管理DB105aを更新し、検知情報に含まれる検知信号が0を示す場合には当該トイレ個室は空室状態であるとして空室管理DB105aを更新する。
【0036】
図5(B)に示されるように、広告管理DB105bは、例えば、「広告ID」、「広告主ID」、「広告コンテンツデータ」などのデータ項目を有する。「広告ID」は、広告毎に付番される固有の識別子を示す。「広告主ID」は、広告を出稿した広告主毎に付番される固有の識別子を示す。「広告コンテンツデータ」は、出稿された広告のコンテンツデータを示す。
【0037】
<情報処理>
図6は、本実施形態に係る空室管理サーバの空室情報の更新及び広告コンテンツの表示制御処理を示すフローチャート図である。CPU11が
図6に示すフローチャートを実現可能なプログラムを読み込んで実行させることで、各ステップ(以下、「S」と表記する)を実現することができる。
【0038】
はじめに空室管理サーバ10は、事前設定として非運用稼働時間帯等(例えば深夜時間帯)に、トイレ個室20内に設置された表示端末40に、予め広告コンテンツデータを配信する。表示端末40は、広告コンテンツデータを受信し、広告コンテンツデータをメモリ45に予め記憶しておく。
【0039】
S101:検出部102は、施設ID、個室ID及び検知信号を含む検知情報を、定期的に受信する。検知情報は、空室検知センサ30から一定の時間おきとドアの開閉状態が変化したときに管理サーバ10に送信される。
【0040】
S102:検出部102は、S1で検出部102により受信された検知情報(検出結果)に基づいて、空室管理DB105a中、施設ID、個室IDに対応する「個室ID及び空室情報」を、検知信号に従って更新する。検知信号は、利用者を検知した場合は1、利用者を検知しない場合は0である。また、「個室ID及び空室情報」の更新に伴い、判定部103は「空室数」もあわせて更新する。
【0041】
S103:判定部103は、空室管理DB105aを参照し、S101で受信した検知情報の施設IDに対応する施設において、複数のトイレ個室20のうち何れかに空室があるか否かを判定する。複数のトイレ個室20のうち何れかに空室がある場合、S104へ進む。一方、複数のトイレ個室20のうち何れにも空室がない場合、即ち全てのトイレ個室20が満室の場合、S5へ進む。なお、空室があるか否かは、空室管理DB105aの「空室数」を参照すればよい。
【0042】
S104:表示制御部104は、空室管理DB105aを参照し、利用者がいるトイレ個室20に備えられた表示端末40に、広告コンテンツを表示させる制御を実行する。即ち、表示制御部104の制御の下、表示端末40(表示制御部403)は、メモリ45から広告コンテンツデータを呼び出してディスプレイ装置46に表示する。
【0043】
S105:表示制御部104は、トイレ個室20に備えられた表示端末40に、広告コンテンツを非表示させる制御(広告コンテンツを表示させない制御)を実行する。即ち、表示制御部104の制御の下、表示端末40(表示制御部403)は、広告コンテンツデータをディスプレイ装置46に表示しない。
【0044】
また、利用者がトイレ個室20を長時間利用している場合(空室検知センサ30がトイレ個室20において利用者の存在を検知してから所定時間以上経過した場合)、広告コンテンツを非表示としつつ、経過時間(滞在時間)を表示させる制御を行うことも可能である。これにより、利用時間の短縮及び長時間利用の抑制を促すことができる。
【0045】
トイレ個室20のうち何れにも空室がない場合、つまり全てのトイレ個室20が満室である場合に、トイレ個室20内の表示端末40に広告コンテンツを表示すると、利用者が広告を見るために1人あたりのトイレ個室20の利用時間が増加してしまい、その結果、トイレ施設が混雑してしまうという可能性がある。
【0046】
本実施形態によれば、トイレ個室20のうち何れにも空室がない場合、つまり全てのトイレ個室20が満室である場合に、トイレ個室20内の表示端末40には広告コンテンツを非表示する制御を実行するため、利用者が広告を見ることに伴うトイレ個室20の利用時間の増加を防止し、待ち行列が発生してしまうなどのトイレ施設の混雑を抑制することが可能である。
【0047】
その一方、トイレ個室20のうち何れかに空室がある場合、つまり全てのトイレ個室20が満室でない場合には、トイレ個室20内の表示端末40には広告コンテンツを表示する制御を実行するため、利用者に対する広告伝達効果を高めることができる。言うまでもなく、この場合にはトイレ個室20にはまだ空室があるため、トイレ施設の混雑を誘発することもない。
【0048】
(変形例)
なお実施形態1において、広告コンテンツを表示させる表示端末40は、利用者がいるトイレ個室20に限定した。この場合、利用者がいない空室中のトイレ個室の表示端末40には、広告コンテンツが表示されないので、消費電力等の節約等を行うことできる。
【0049】
また、利用者の動作に合わせて広告コンテンツを表示させるため表示制御部104は、トイレ施設Aのうちいずれかのトイレ個室の検知情報が、ドアが閉じている状態から開いている状態に変化したことを示す場合に、
図6に示すフローチャートを起動するようにしてもよい。この場合S103において判定部103は、複数のトイレ個室のうちドアが閉じている状態から開いている状態に変化したトイレ個室以外のトイレ個室の空室情報を空室管理DB105aから参照し、他の個室に空室があるか否かを判定するようにしてもよい。
【0050】
さらに、広告コンテンツを表示させるトイレ個室は利用者がいるトイレ個室20に限ることなく、S104において利用者がいない空室中のトイレ個室20の表示端末40を含めて広告コンテンツを表示させてもよい。
【0051】
また、表示端末40は、事前設定として非運用稼働時間帯等(例えば深夜時間帯)に、空室管理サーバ10から広告コンテンツデータを受信し、広告コンテンツデータをメモリ45に予め記憶しておくものとした。しかしながら、表示端末40は広告コンテンツデータをメモリ45に予め記憶せずに、空室管理サーバ10(配信部101)が表示端末40に、S4で広告コンテンツを表示させる制御を実行する際に、広告コンテンツデータをストリーミング配信してもよい。
【0052】
また、空室管理サーバ10(配信部101)が表示端末40に、S105で広告コンテンツを非表示させる制御を実行する際に、広告コンテンツデータのストリーミング配信を停止してもよい。もしくは、広告コンテンツデータのストリーミング配信するものの、当該広告コンテンツを非表示させる制御を実行するようにしてもよい。
【0053】
(2)実施形態2
次に実施形態2について説明する。なお、本実施形態において実施形態1と同様の構成については、詳細な説明を省略することがある。
【0054】
(設置例)
図7は、本実施形態に係る空室管理システムのトイレ施設設置例を示す図である。本実施形態に係るトイレ施設設置例は、
図2と比較すると、人感センサ60が追加されて設置されている。
【0055】
図7に示されるように、人感センサ60がトイレ施設の出入口の内側付近に設けられた行列待機スペースBの天井等に設置される。行列待機スペースBは、トイレ施設が混雑してきた際に、利用者がトイレ個室20の順番待ちを行う際に立つことが想定される領域である。人感センサ60は、所定の待ち行列ができる行列待機スペースBにおける人物を検知できるように位置が適切に設定され、設置される。
【0056】
人感センサ60は、トイレ施設内においてトイレ個室20の順番待ちを行っている利用待ち者(行列者)の人感を検知する例えば赤外線センサである。人感センサ60は、トイレ施設内の無線又は有線ネットワークを介して空室管理サーバ10と通信可能に接続される。人感センサ60は、所定の時間毎に利用者の有無を示す検知信号と、施設IDとを含む検知情報を空室管理サーバ10に送信する。検知信号は、人感を検知した場合は1、人感を検知しない場合は0を示す。
【0057】
(空室管理DB)
図8は、本実施形態に係る空室管理DB及び広告管理DBのデータ例を示す図である。
図5と比較すると、空室管理DB105aは、例えば、「施設ID」、「施設名」、「個室数」、「空室数」、「個室ID及び空室情報」に加え、「行列情報」などのデータ項目を有する。
【0058】
「行列情報」は、トイレ施設内に設けられた行列待機スペースBに行列している人物の有無を示す。具体的に、空室管理サーバ10は、人感センサ60から送信された検知情報に基づいてトイレ個室20の利用を待機する人がいるとみなせる場合、行列情報を1にセットする。一方、空室管理サーバ10は、人感センサ60から送信された検知情報に基づいてトイレ個室20の利用を待機する人がいないと見なした場合、行列情報を0にセットする。従って、「行列情報」が1の場合には、行列待機スペースBにおいてトイレ施設の利用待ち者(行列者)が存在することを意味している。
【0059】
<情報処理>
図9は、本実施形態に係る空室管理サーバの行列情報の更新処理を示すフローチャート図である。本実施形態に係る空室管理サーバは、トイレ施設Aの混雑状況を管理するため、各個室の空室検知センサ30と行列待機スペースの人感センサ60が検出した検出結果に基づいて、トイレ個室の利用を待機する行列の有無を示す行列情報を更新する。
【0060】
S201:検出部102は、人感センサ60から施設ID及び検知信号を含む検知情報を、定期的、かつ、検知情報が変化したタイミングで受信する。検知情報は、人感センサ60がトイレ施設内に設けられた行列待機スペースBにおいて人感を検知したか否かを示す情報である。
【0061】
S202:判定部103は、空室管理DB105aを参照し、S201で受信した検知情報の検知信号が1であるか否かを判定する。検知信号が1である場合、S203へ進む。一方、検知信号が1でない(検知信号が0である)場合、S204へ進む。
【0062】
S203:判定部103は、空室管理DB105aを参照し、S201で受信した検知情報の施設IDに対応する施設において、複数のトイレ個室20のうち何れかに空室があるか否かを判定する。複数のトイレ個室20のうち何れかに空室がある場合、S204へ進む。一方、複数のトイレ個室20のうち何れにも空室がない場合、S205へ進む。なお、空室があるか否かは、空室管理DB105aの「空室数」を参照すればよい。
【0063】
S204:検出部102は、空室管理DB105aの「行列情報」において、人感センサ60からの検知情報に含まれる検知信号値0をセットして更新する。具体的に、S202においてNOへ進んだ場合、検知信号は0であるので、検出部102は、空室管理DB105aの「行列情報」において、0をセットして更新する。S203においてYESへ進んだ場合、即ちS202で検知信号は1であっても(行列待機スペースBで人感を検知したにも関わらず)、S203で複数のトイレ個室20のうち何れかに空室がある場合、検出部102は、空室管理DB105aの「行列情報」において1ではなく0をセットする。行列待機スペースBはトイレ個室20が空いていない場合における利用者の待機場所であるから、複数のトイレ個室20のうち何れかに空室がある場合に、行列待機スペースBで人感が検知されたとしても、当該人感は、その人物は行列者ではない(例えば単なる通行者等)、もしくは人感センサ60の誤検知といえるためである。このようにすることで、非行列者の検知防止を図ることができる。空室管理サーバは、随時空室管理DB105aの行列情報を更新する。
【0064】
S205:検出部102は、記憶部105の空室管理DB105aの「行列情報」において、人感センサ60からの検知情報に含まれる検知信号値1をセットして更新する。
【0065】
図10は、本実施形態に係る空室管理サーバの空室情報の更新及び広告コンテンツの表示制御処理を示すフローチャート図である。本実施形態2に係る
図10のフローチャートは、
図9のフローチャート(S204及びS205)で更新された行列情報を用いてS305で分岐判定し、表示制御を分ける点で、本実施形態1に係る
図6とは異なっている。
【0066】
なお、
図9のフローチャートは、人感センサ60からの検知情報を受信したタイミングで開始される。
図10のフローチャートは、空室検知センサ30からの検知情報を受信したタイミングで開始される。また空室管理サーバ10は、
図9及び
図10のフローチャートをそれぞれのタイミングで独立して実行する。
【0067】
はじめに空室管理サーバ10は、事前設定として非運用稼働時間帯等(例えば深夜時間帯)に、トイレ個室20内に設置された表示端末40に、予め広告コンテンツデータを配信する。また、表示端末40は、広告コンテンツデータを受信し、広告コンテンツデータをメモリ45に予め記憶しておく。
【0068】
S301:検出部102は、施設ID、個室ID及び検知信号を含む検知情報を、定期的に受信する。検知情報は、空室検知センサ30から一定の時間おきとドアの開閉状態が変化したときに空室管理サーバ10に送信される。
【0069】
S302:検出部102は、S301で検出部102により受信された検知情報(検出結果)に基づいて、空室管理DB105a中、施設ID、個室IDに対応する「個室ID及び空室情報」を、検知信号に従って更新する。検知信号は、利用者を検知した場合は1、利用者を検知しない場合は0である。また、「個室ID及び空室情報」の更新に伴い、判定部103は「空室数」もあわせて更新する。
【0070】
S303:判定部103は、空室管理DB105aを参照し、S301で受信した検知情報の施設IDに対応する施設において、複数のトイレ個室20のうち何れかに空室があるか否かを判定する。複数のトイレ個室20のうち何れかに空室がある場合、S304へ進む。一方、複数のトイレ個室20のうち何れにも空室がない場合、S305へ進む。
【0071】
S304:表示制御部104は、トイレ個室20に備えられた表示端末40に、広告コンテンツを表示させる制御を実行する。即ち、表示制御部104の制御の下、表示端末40(表示制御部403)は、メモリ45から広告コンテンツデータを呼び出してディスプレイ装置46に表示する。
【0072】
S305:判定部103は、空室管理DB105aを参照し、S301で受信した検知情報の施設IDに対応する施設において、行列があるか否か、即ち利用待ち者(行列者)が存在するか否かを判定する。行列がある場合、S306へ進む。一方、行列がない場合、S304へ進む。なお、行列の有無は、空室管理DB105aの「行列情報」を参照すればよい。
【0073】
S306:表示制御部104は、トイレ個室20に備えられた表示端末40に、広告コンテンツを非表示させる制御(広告コンテンツを表示させない制御)を実行する。即ち、表示制御部104の制御の下、表示端末40(表示制御部403)は、広告コンテンツデータをディスプレイ装置46に表示しない。
【0074】
また、利用者がトイレ個室20を長時間利用している場合(空室検知センサ30がトイレ個室20において利用者の存在を検知してから所定時間以上経過した場合)、広告コンテンツを非表示としつつ、経過時間(滞在時間)を表示させる制御を行うことも可能である。これにより、利用時間の短縮及び長時間利用の抑制を促すことができる。
【0075】
本実施形態によれば、トイレ個室20のうち何れにも空室がなくとも、つまり全てのトイレ個室20が満室であっても利用待ち者(行列者)が存在しない場合には、トイレ個室20内の表示端末40に広告コンテンツを表示する。一方、トイレ個室20のうち何れにも空室がなく、つまり全てのトイレ個室20が満室であって利用待ち者(行列者)が存在する場合には、トイレ個室20内の表示端末40に広告コンテンツを非表示にする。
【0076】
トイレ個室20が満室であっても利用待ち者(行列者)がいない場合は、利用者のトイレ個室20の利用時間が増加してしまうものの、行列者を待たせるといったことはない。これにより、トイレ個室20が満室という環境下においても、利用者に対する広告伝達効果を高めることができる。
【0077】
また、トイレ個室20が満室であって利用待ち者(行列者)がいる場合には、トイレ個室20内の表示端末40には広告コンテンツを非表示する制御を実行するため、利用者が広告を見ることに伴うトイレ個室20の利用時間の増加を防止し、トイレ施設の混雑を抑制することが可能である。
【0078】
(変形例)
図11は、本変形例に係る空室管理サーバの空室情報の更新及び広告コンテンツの表示制御処理を示すフローチャート図である。本変形例に係るフローチャート図は、
図10と比較すると、S304-2が追加されている。以下、
図10との相違点を中心に説明する。
【0079】
S305:判定部103は、空室管理DB105aを参照し、S301で受信した検知情報の施設IDに対応する施設において、行列があるか否か、即ち利用待ち者(行列者)が存在するか否かを判定する。行列がない場合、S304-2へ進む。
【0080】
S304-2:表示制御部104は、トイレ個室20に備えられた表示端末40に、広告コンテンツを表示させる制御を実行する。即ち、表示制御部104の制御の下、表示端末40(表示制御部403)は、メモリ45から広告コンテンツデータを呼び出してディスプレイ装置46に表示する。
【0081】
ここで、S304-2における表示制御部104の制御は、S304において表示端末40に広告コンテンツを表示させる制御と比較し、表示時間(再生時間)を短縮して表示端末40に広告コンテンツを表示させる制御を行う。
【0082】
例えば、広告コンテンツが1つ10秒間の再生動画である場合、S304においては表示端末40に2つの広告コンテンツを表示させる制御を行う。この場合、広告コンテンツの表示時間は20秒間である。一方、S304-2においては表示端末40に1つの広告コンテンツを表示させる制御を行う。この場合、広告コンテンツの表示時間は10秒間である。
【0083】
また例えば、表示端末40は、広告コンテンツとして10秒間の再生動画と20秒間の再生動画といったように表示時間(再生時間)の異なる2以上の再生動画をメモリ45に予め記憶しておく。S304においては表示端末40に20秒間の再生動画を選択して表示させる制御を行う。一方、S304-2においては表示端末40に10秒間の再生動画を選択して表示させる制御を行う。
【0084】
本変形例によれば、全てのトイレ個室20が満室であっても利用待ち者(行列者)が存在しない場合には、トイレ個室20のうち何れに空室がある場合と比較して、トイレ個室20内の表示端末40に表示時間(再生時間)を短縮して広告コンテンツを表示する制御を行う。
【0085】
トイレ個室20が満室であっても利用待ち者(行列者)がいない場合は、表示時間(再生時間)を短縮して広告コンテンツが表示されるため、利用待ち者(行列者)が発生した場合のトイレ施設が混雑する影響度を低減しながら、利用者に対する広告伝達効果を高めることができる。
【0086】
(3)実施形態3
続いて実施形態3について説明する。実施形態3は、混雑度(混雑のレベル)に応じて表示端末40に表示する広告コンテンツの表示時間を制御することを開示する。なお、本実施形態において実施形態1と同様の構成については、詳細な説明を省略することがある。
【0087】
<空室管理サーバ10における処理>
図12は、実施形態3における、空室管理サーバ10の処理を説明するためのフローチャートである。以下の各ステップにおける動作主体は関連する各機能部(例えば、検出部102や判定部103など)であるが、各機能部は、CPU11が処理プログラムを実行することによって実現されるので、動作主体をCPU11としてもよい。
【0088】
S401:空室管理サーバ10の検出部102は、各施設(オフィスビルや商業施設など)の各トイレ施設の個室20に設置された各表示端末40から空室か否か(トイレ個室の利用の有無)を示す情報および行列の有無の情報を取得する。空室か否かを示す情報は、実施形態1および2と同様に、表示端末40の空室検知センサ30によって検知された情報に基づく情報である。行列の有無は、実施形態2と同様に人感センサ60によって検知された情報である。
【0089】
そして、検出部102は、同一エリアおよび同一属性(例えば、同一オフィスビルの同一階の同一トイレ施設(女性トイレ))の各トイレ個室20について、空室情報、および当該トイレ施設における行列の有無の情報に基づいて、空室管理DB105a(
図13参照:空室数、空室IDに対応する空室情報、および行列情報)に格納されている情報を更新する。
【0090】
S402:空室管理サーバ10の判定部103は、S401において更新した情報に基づいて、同一エリアおよび同一属性のトイレ個室20を有するトイレ施設A混雑度を決定する。混雑度は、当該トイレ施設Aの混雑のレベルを示す情報であり、例えば、以下のような混雑レベルで区分される。判定部103は、これらのどの区分に該当するか判断し、混雑度を決定する。
【0091】
混雑度1(混雑レベルが一番高いレベル):トイレ個室が満室であり、待ち行列もある状態;
混雑度2(混雑度1よりも混雑していないレベル):トイレ個室は満室だが、待ち行列はない状態;
混雑度3:トイレ個室は満室ではないが、0<空き個室数≦Nである状態(N=1,2,3,・・・:任意の整数);
混雑度4:トイレは満室ではなく、空き個室数>Nである状態
【0092】
S403:判定部103は、空室管理DB105aの最新の空室数の情報、空室情報、行列情報に基づいて、混雑度の区分(レベル)を決定し、空室管理DB105aの混雑度情報を更新する。例えば、上記N=1とすると、
図13の場合、各トイレ施設の混雑度は次のように決定される。施設ID=001の1F女性トイレは、空室が無く、待ち行列があるので混雑度が「1」となる。同施設における1F男子トイレは、空室数が1であり、0<空き個室数≦N=1となるため、混雑度が「3」となる。同施設における2F男子トイレは、空室はないが、待ち行列がないため、混雑度が「2」となる。施設ID=002の共用トイレは、空室数が6であり、空き個室数>N=1であるため、混雑度が「4」と決定される。なお、本実施形態では、行列の有無、および空き個室数と基準数Nとの比較に基づいて混雑度を決定しているが、行列の有無のみ、あるいは、空き個室数のみに基づいて混雑度を決定するようにしてもよいし、対象トイレ施設の全個室数に対する空き個室の割合によって混雑度を判定してもよい。
【0093】
<表示端末40における処理>
図14は、実施形態3における、各表示端末40の処理を説明するためのフローチャートである。以下の各ステップにおける動作主体は関連する各機能部(例えば、表示制御部403など)であるが、各機能部は、CPU41が処理プログラムを実行することによって実現されるので、動作主体をCPU41としてもよい。なお、
図14のフローチャートに示す処理を実行する前(例えば、施設がオープンしていない夜間)に、各表示端末40は、空室管理サーバ10から表示用コンテンツ(施設オープン時に表示するべきN個の広告コンテンツ(後述のように、短縮版の広告コンテンツを含めるようにしてもよい))を受信する処理を実行しているものとする。
【0094】
S501:各表示端末40の表示制御部403は、施設(オフィスビルや商業施設など)の識別情報(施設ID)、当該表示端末40が設置されているトイレ施設の属性情報(女性用、男性用、共用、多目的、設置階(1F、2Fなど)、エリア(オフィスビルなどにおける北側、南側などのトイレ施設の位置)などのトイレを特定するための情報)、表示すべきN個の広告動画を表示する際の最大ループ回数の情報などをメモリ45から取得する。
【0095】
S502:表示制御部403は、S501で取得した最大ループ回数を設定する(例えば、CPU41の内部メモリ(図示せず)に格納する)。
【0096】
S503:表示制御部403は、自表示端末40のディスプレイ装置46の画面上に初期画面(例えば、オフィスビルや商業施設などの情報やその他の固定情報を表示する静止画)を表示する。トイレ個室が利用されていない状態では、初期画面が画面上に表示される。
【0097】
S504:各表示端末40の受信部401は、空室管理サーバ10から送信される混雑度情報を取得する。混雑度情報は、定期的に(例えば、8秒毎に)空室管理サーバ10から送信されてくるようにしてもよいし、各表示端末40の通信装置44の送信機能を用いて、空室管理サーバ10に定期的に(例えば、8秒毎に)混雑度情報を送信するようにリクエストしてもよい。また、当該混雑度情報は、同一施設(同一の施設ID:例えば、同一オフィスビル、同一商業施設など)内の同一属性のトイレ施設(トイレ個室群)に関する混雑度(
図13参照)と、自表示端末40が設置されているトイレ個室の利用状況を示す情報と、を含んでいる。
【0098】
S505:表示制御部403は、自表示端末40が設置されたトイレ個室20に利用者が入室したか判定する。入室があったか否かは、前回取得したトイレ個室の利用状況を示す情報に基づく前回の入室有無の判定結果と、今回取得した該当トイレ個室の利用状況の情報に基づいて判定される。例えば、前回の入室有無の判定時に「利用者なし」と判定し、今回取得したトイレ個室の利用状況の情報が「利用者あり」を示す場合には、「入室あり」と判定される。「入室あり」と判定された場合(S505でYesの場合)、処理はS506に移行する。一方、「入室なし」と判定された場合(S505でNoの場合)、処理はS510に移行する。なお、後述する非広告静止画を表示している状態(トイレ個室の滞在時間が長く、退室を促す場合)では、前回の入室有無の判定結果が「入室あり」で、かつ今回取得した該当トイレ個室の利用状況の情報が「入室あり」となるため、この場合には、「入室あり」とは判断せず、処理をS510に移行させるようにしてもよいし、さらに厳しく退室を勧告する警告表示(利用者の犯罪への関与や病気の可能性もあるため、例えば「警備室に連絡します」などの表示)などを行うようにしてもよい。
【0099】
S506:表示制御部403は、1回目の「N個の広告コンテンツ(動画)再生」を行う。N個の広告コンテンツ(動画)は、例えば、必ず再生される優先度の高い、少なくとも1つの広告動画(第1レベルの広告動画)と、第1レベルの広告よりも優先度が低い複数の広告動画(第2レベルの広告動画)と、を含む。1回目再生時の表示順は、第1レベルの広告動画→第2レベルの広告動画となる。また、第2レベルの広告動画が複数ある場合のそれらの表示順はランダムに決定することができる。
【0100】
S507:表示制御部403は、S504で取得した混雑度の情報に基づいて、N個の広告コンテンツ(動画)をループ再生するか否か判断する。例えば、混雑度が3の場合の混雑以下の場合に再度ループ再生を行うと判断する。つまり、混雑度が1あるいは2の場合(混雑度3よりも混雑)には再度ループ再生しないと判断し(混雑度1の場合には全く再生しないが、混雑度2の場合には第1レベルの広告動画のみを再度再生するというように処理に差を設けてもよい)、混雑度が3あるいは4の場合には再度ループ再生すると判断する。また、混雑度が3の場合と混雑度が4の場合とで、ループ再生する広告コンテンツの時間を変えるようにしてもよい(混雑度4のときには通常の長さの広告コンテンツを再生し、混雑度3のときには短縮版の広告コンテンツを再生する)。なお、短縮版の広告コンテンツは、例えば、夜間に、通常の広告コンテンツと共に、空室管理サーバ10から各表示端末40に配信されるようにし、RAM43やメモリ45に格納しておくことができる。表示制御部403が広告コンテンツをループすると判断した場合(S507でYesの場合)、処理はS508に移行する。一方、表示制御部403が広告コンテンツをループしないと判断した場合(S507でNoの場合)、処理はS509に移行する。
【0101】
S508:表示制御部403は、N個の広告コンテンツ(動画)を再度ループ再生する。このとき、1回目再生時と同様に、第1レベルの広告動画→第2レベルの広告動画の順(第2レベルの広告動画の再生順はランダムに決定)でループ再生してもよいが、第1レベルの広告動画と第2レベルの広告動画をシャッフルし、ランダムに再生順を決定してもよい。また、上述のように、表示制御部403は、混雑度に応じて、通常時間長の広告コンテンツ、あるいは短縮版の広告コンテンツをループ再生することができる。なお、2度目以降のループ再生中に、空室管理サーバ10において混雑度が更新(変更)された場合には、次回のループ再生可否判断(S507)において新しい混雑度の情報が考慮されるようにしてもよい。
【0102】
S509:表示制御部403は、退室を促すなど、広告コンテンツとは関係ない非広告静止画を画面上に表示する(動画から静止画に表示を切り替える)。非広告静止画の例としては、「あなたの滞在時間は15分です。」、「ご利用ありがとうございます。」や「ただいまトイレが混雑しています。速やかな退室にご協力ください。」といったものが挙げられる。
【0103】
S510:表示制御部403は、ROM42あるいはメモリ45に格納された当該施設(オフィスビルや商業施設など)の営業時間と図示しないタイマー(時計)が示す時間とを比較し、施設営業時間が終了しているか判断する。施設営業時間が終了している場合(S510でYesの場合)には、表示端末40における処理は終了する。一方、施設営業時間中である場合(S510でNoの場合)には、処理はS511に移行する。
【0104】
S511:表示制御部403は、図示しないタイマーを用いて、最新の混雑度情報を取得してから所定時間(例えば、8秒間)経過しているか判断する。所定時間経過していれば(S511でYesの場合)、処理はS504に移行する。所定時間経過していなければ(S511でNoの場合)、表示制御部403は、所定時間経過するまで待機する。以下の各ステップにおける動作主体は関連する各機能部(例えば、表示制御部403など)であるが、各機能部は、CPU41が処理プログラムを実行することによって実現されるので、動作主体をCPU41としてもよい。
【0105】
<退室監視および割り込み処理>
図15は、表示端末40において実行される退室監視および割り込み処理を説明するためのフローチャートである。当該処理は、
図14の処理(広告コンテンツ表示管理処理)と並行して実行される。具体的には、施設(オフィスビルや商業施設)の営業が開始して表示端末40が起動した後、自表示端末40が設置されたトイレ個室20に利用者が入室してから当該処理は実行される。
【0106】
S601:表示制御部403は、自表示端末40が設置されたトイレ個室20に利用者が入室したことが確認できたときに、退室監視を開始する。
【0107】
S602:表示制御部403は、入室した利用者が退出したか(退室を検知したか)判断する。退室の確認は、前回取得した当該トイレ個室の利用状況を示す情報(空室管理サーバ10から取得)に基づいて入室(利用者あり)と判断された結果と、今回取得した当該トイレ個室の利用状況の情報(利用者なし)に基づいて判定することができる。あるいは、例えば、表示端末40が空室検知センサ30と定期的に直接通信(例えば、ブルートゥース(登録商標)などを用いて)を行い、自表示端末40が設置されたトイレ個室について、前回の通信で取得した利用状況の情報と今回の通信で取得した利用状況の情報とを比較して入退室の有無を検知するようにしてもよい。S602の処理は退室が検知されるまで継続され、退出が検知されたら(S602でYesの場合)、処理はS603に移行する。
【0108】
S603:表示制御部403は、割り込み処理を実行する。例えば、退室を検知した時点でN個の広告コンテンツが再生中(リピート再生を含む)であった場合(S506およびS508を実行中)、表示制御部403は、広告コンテンツ再生を停止する。また、非広告静止画を表示している場合も、表示制御部403は、非広告静止画の表示を停止する。
【0109】
S604:表示制御部403は、広告コンテンツ再生あるいは非広告静止画表示に替えて、初期画面表示(例えば、オフィスビルや商業施設などの情報やその他の固定の情報を表示する静止画)を行う。
以上の処理により、トイレ個室内の表示端末40は利用者が退室すると、強制的に広告コンテンツ再生が停止されることになる。すなわち、本実施形態において利用者がトイレ個室を、N個の広告コンテンツが表示される時間(以下、所定時間とする)内に退室した場合は、混雑度によらず退室するまで同じ長さの表示時間により広告コンテンツが表示されることになる。利用者がトイレ個室を所定時間以上利用すると、混雑度に応じて広告コンテンツか非広告静止画のいずれかが表示される。
【0110】
<変形例>
(i)上述(
図14のS504)では、表示端末40が空室管理サーバ10から混雑度情報を取得するように構成しているが、このような態様に限らない。例えば、1つのトイレ個室20において、表示端末40が空室検知センサ30と通信して直接情報取得を可能に構成し、かつ1つのトイレ施設Aにおいて各表示端末40同士で通信可能に構成する。あるいは、1つのトイレ施設Aにおける各トイレ個室20の各表示端末40と空室検知センサ30間で相互に通信可能に構成する。このように1つのトイレ施設Aで閉じたシステム空間にすることにより、トイレ施設Aにおける各表示端末40が混雑度を決定できるようにしてもよい。
【0111】
(ii)
図14の処理と並行して常に混雑状況をモニタしておき、N個の広告コンテンツ再生中に混雑度が変化した場合、コンテンツの再生態様を変化させてもよい。例えば、混雑度が「4」(空き個室数>Nで、トイレ空室数に余裕がある状態)や「3」(トイレ個室は満室ではないが、多少余裕がなくなっている状態)から「2」(トイレ個室は満室だが、待ち行列がない状態)や「1」(トイレ個室が満室で待ち行列もある状態)に変化した場合には、広告コンテンツ再生中であっても途中で再生を打ち切るようにしてもよい。また、例えば、ループ再生中であって第1レベルの広告コンテンツ再生中に混雑度が「4」(空き個室数>Nで、トイレ空室数に余裕がある状態)や「3」(トイレ個室は満室ではないが、多少余裕がなくなっている状態)に変化した場合、第2レベルの広告コンテンツを短縮版のコンテンツに変更して再生するようにしてもよい。
【0112】
(iii)混雑度に変化があっても初回のN個の広告コンテンツ再生を打ち切らないようにするが、別の態様を採用してもよい。例えば、初回のN個の広告コンテンツ再生中(S506)に混雑度が「3」や「4」に変化した場合、コンテンツ再生を途中で打ち切り、「現在トイレが大変混雑しています。誠に申し訳ございませんが、利用後は速やかに退室くださいますようお願い致します。」といった利用者にスピードアップへの協力をお願いするメッセージを流すように、画面表示を切り替えるようにしてもよい。
【0113】
<総括>
以上のように、本実施形態に係る空室管理システム100は、トイレ個室20のうち何れにも空室がない場合や混雑していると判定される場合、トイレ個室20内の表示端末40には広告コンテンツを非表示する制御や広告コンテンツの表示時間を短くする制御を実行するため、利用者が広告を見ることに伴うトイレ個室20の利用時間の増加を防止し、トイレ施設の混雑を抑制することが可能である。一方、トイレ個室20のうち何れかに空室がある場合や混雑していない場合、トイレ個室20内の表示端末40には広告コンテンツを表示する制御または、広告コンテンツの表示時間を長くする制御を実行するため、利用者に対する広告伝達効果を高めることができる。この場合にはトイレ個室20にはまだ空室があるため、トイレ施設の混雑を誘発することもない。
【0114】
また、上述の実施形態において、空き個室がない場合や待ち行列がある場合には、広告コンテンツを非表示制御するものとした。しかしながら、混雑している状況において必ずしも一切の表示コンテンツをしてはならないというものではない。例えば、空き個室がある場合や、待ち行列がない場合に表示される広告コンテンツと比べて表示時間を短くするようにしてもよい。空き個室がある場合には60秒の広告動画を、空き個室がない場合には10秒の広告動画を表示させてもよい。さらに、広告コンテンツ動画のように利用者の閲覧時間が一定以上要するものではなく、例えばトイレ施設の空室状況(混雑状況)、トイレ個室20の利用時間(滞在時間)、お知らせ事項、注意告知事項などのような1ページ又は数ページ程度の静止画像コンテンツなど、利用者の閲覧時間が少ない情報コンテンツを表示することが可能である。つまり、表示端末40に表示される表示コンテンツを、第1の表示コンテンツと第2の表示コンテンツとを定義し、第1の表示コンテンツは第2の表示コンテンツよりも利用者の閲覧時間が長く要する表示コンテンツ、第2の表示コンテンツは第1の表示コンテンツよりも利用者の閲覧時間が短い表示コンテンツということができる。このような第1の表示コンテンツと第2の表示コンテンツとを、トイレ施設の混雑状況に応じて各個室の表示端末40に表示させればよい。
【0115】
さらに、施設(オフィスビルやショッピングセンターなどの商業施設におけるトイレ施設)における複数のトイレ個室にはそれぞれ、利用者の有無(個室の入退室)を検知するセンサが設けられている。このセンサによる検知情報に基づいて、トイレ施設の利用状況(混雑状況:混雑度)が判定される。混雑状況の判定は、各トイレ個室の検知情報を取得することによって空室管理サーバ10や表示端末40で実行するように構成ことができる。そして、空室管理サーバ10あるいは表示端末40は、上記混雑状況の判定結果に応じた表示時間の広告コンテンツを各トイレ個室のそれぞれに設けられた表示デバイスに表示させる。例えば、混雑度が最高度(混雑度1)や2番目(混雑度2)の場合には1回目の通常コンテンツ再生のみ行い、混雑度が3番目(混雑度3)の場合には1回目の通常コンテンツ再生を行い、2回目以降は短縮版のコンテンツをループ再生する、混雑度が一番低い(混雑度4)の場合には1回目の通常コンテンツ再生に加えて2回目以降も通常コンテンツをループ再生する。このようにすることにより、混雑度に応じた広告コンテンツを各トイレ施設において表示することができ、トイレの混雑を助長することなく広告伝達効果を高めることが可能となる。
【0116】
なお、好適な実施の形態により、特定の具体例を示して本開示の技術について説明したが、特許請求の範囲に規定された内容の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本開示の技術が限定されるものと解釈してはならない。
【0117】
なお、本開示の技術は、上述の実施形態の1つ以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークまたは記録媒体を介してシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読み出し作動させる処理でも実現可能である。
【符号の説明】
【0118】
101 配信部
102 検出部
103 判定部
104 表示制御部
105 記憶部