(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168165
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】駐車装置における架台構造物
(51)【国際特許分類】
E04H 6/20 20060101AFI20221027BHJP
E04H 6/18 20060101ALI20221027BHJP
【FI】
E04H6/20 D
E04H6/18 610
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143855
(22)【出願日】2022-09-09
(62)【分割の表示】P 2017102387の分割
【原出願日】2017-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 克之
(72)【発明者】
【氏名】篠塚 博之
(72)【発明者】
【氏名】小野 右季
(72)【発明者】
【氏名】巽 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】緑川 亨平
(57)【要約】
【課題】駐車装置における架台構造物の強度を確保すること。
【解決手段】駐車スペースが形成された架台構造物と、駐車スペース内に車両を載置する複数の駐車パレットと、架台構造物に格子状に配置され駐車パレットを格納する複数の駐車棚とを具備し、架台構造物が駐車棚の複数の棚取付部を有し、各駐車棚が、棚取付部に設けられ、架台構造物と別体として構成された棚フレームと、棚フレームに設けられ、駐車パレットを搬送する搬送ユニットとを有する駐車装置における架台構造物に係る。架台構造物は、格子状に配置された複数の継手部材と、縦方向に隣接する一対の継手部材間に設けられ縦方向へ延びる第1梁部材と、横方向に隣接する一対の継手部材間に設けられ横方向へ延びる第2梁部材とを有する。各棚取付部は横方向に隣接する一対の第1梁部材と縦方向に隣接する一対の第2梁部材とによって区画されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆体に設置され、複数の車両を駐車させるための駐車スペースが形成された架台構造物と、前記架台構造物の前記駐車スペース内において前記車両を載置するための複数の駐車パレットと、前記架台構造物に格子状に配置され、前記駐車パレットを格納する複数の駐車棚とを具備し、前記架台構造物が、縦方向及び横方向に格子状に配置されかつ前記駐車棚を取付けるための複数の棚取付部を有し、各駐車棚が、前記棚取付部に設けられ、前記架台構造物と別体として構成された棚フレームと、前記棚フレームに設けられ、前記駐車パレットを縦方向及び/又は横方向へ搬送する搬送ユニットとを有する駐車装置における前記架台構造物であって、
縦方向及び横方向に格子状に間隔を置いて配置された複数の継手部材と、
縦方向に各隣接する一対の前記継手部材の間に接続するように設けられ、縦方向へ延びた第1梁部材と、
横方向に各隣接する一対の前記継手部材の間に接続するように設けられ、横方向へ延びた第2梁部材と、を有し、
各棚取付部は、横方向に隣接する一対の前記第1梁部材と縦方向に隣接する一対の前記第2梁部材とによって区画されている、架台構造物。
【請求項2】
前記駐車スペースが前記架台構造物の各階層に形成され、複数の継手部材が前記架台構造物の各階層に縦方向及び横方向に格子状に間隔を置いて配置されており、
上下方向に各隣接する一対の前記継手部材の間に、上下方向へ延びた支柱部材が接続するように設けられている、請求項1に記載の架台構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の車両を駐車させる駐車装置における架台構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の車両を駐車させる水平循環式の駐車装置等の駐車装置に用いられる駐車棚について種々の開発がなされている。そして、従来の水平循環式の駐車装置の構成について簡単に説明すると、次の通りである。
【0003】
駐車装置は、駆体に設置された架台構造物を具備しており、架台構造物の各階層には、複数の前記車両を駐車させるための駐車スペースが形成されている。また、架台構造物は、各階層に縦方向及び横方向に間隔を置いて配置された複数の棚受け部材(サポート部材)と、上下に隣接する各棚受け部材の間に設けられた支柱部材とを有している。更に、架台構造物は、各階層において縦方向と横方向と対角線方向(縦方向と横方向に傾斜する方向)に各隣接する4つの棚受け部材の間に設けられた棚フレームを有している。換言すれば、架台構造物の各階層には、架台構造物の一部として複数の棚フレームが格子状に配置されている。
【0004】
駐車装置は、架台構造物の各階層の駐車スペース内において車両を載置するための複数の駐車パレットを具備している。また、駐車装置は、各棚フレームに設けられかつ駐車パレットを縦方向及び/又は横方向へ搬送する搬送ユニットを具備している。ここで、棚フレームと搬送ユニットは、駐車パレットを格納する駐車棚を構成している。換言すれば、架台構造物の各階層には、複数の駐車棚が格子状に配置されている。
【0005】
なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1及び特許文献2に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2863705号公報
【特許文献2】特許第2983097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述のように、棚フレームが駐車棚の一部を構成する他に、架台構造物の一部を構成するため、棚フレームの大きさ(縦方向及び横方向の寸法)が駐車パレットと同等以上の大きさになり、駐車棚の占有スペースが大きくなる。そのため、複数の駐車棚の輸送作業及び駐車装置の据付作業に多くの時間を要し、それらの作業が煩雑化すると共に、複数の駐車棚の保管スペース等が増大して、高コスト化を招くという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成からなる駐車装置用の架台構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、駆体に設置され、複数の車両を駐車させるための駐車スペースが形成された架台構造物と、前記架台構造物の前記駐車スペース内において前記車両を載置するための複数の駐車パレットと、前記架台構造物に格子状に配置され、前記駐車パレットを格納する複数の駐車棚とを具備し、前記架台構造物が、縦方向及び横方向に格子状に配置されかつ前記駐車棚を取付けるための複数の棚取付部を有し、各駐車棚が、前記棚取付部に設けられ、前記架台構造物と別体として構成された棚フレームと、前記棚フレームに設けられ、前記駐車パレットを縦方向及び/又は横方向へ搬送する搬送ユニットとを有する駐車装置における前記架台構造物であって、
縦方向及び横方向に格子状に間隔を置いて配置された複数の継手部材と、縦方向に各隣接する一対の前記継手部材の間に接続するように設けられ、縦方向へ延びた第1梁部材と、横方向に各隣接する一対の前記継手部材の間に接続するように設けられ、横方向へ延びた第2梁部材とを有し、各棚取付部は、横方向に隣接する一対の前記第1梁部材と縦方向に隣接する一対の前記第2梁部材とによって区画されている。
【発明の効果】
【0010】
前記架台構造物を含む前記駐車装置は駐車棚の小型化及び軽量化と、これによる複数の駐車棚の輸送作業及び前記駐車装置の据付作業に要する時間の短縮化及び作業能率の向上を可能とし、また、複数の駐車棚の保管スペース等の削減及びコスト低減を可能とする。本発明は前記駐車装置における前記架台構造物の構造を提供する。本発明に係る架台構造物においては、縦方向に各隣接する一対の継手部材の間に前記第1梁部材を接続するように設けられ、横方向に各隣接する一対の継手部材の間に、前記第2梁部材を接続するように設けられており、横方向に各隣接する一対の第1梁部材と縦方向に各隣接する一対の第2梁部材とによって、前記駐車棚を取付けるための前記棚取付部が区画されている。このため、前記棚フレームが前記架台構造物と別体として構成されても、前記架台構造物の強度を十分に確保して、前記駐車棚を前記架台構造物の棚取付部に強固に取付けることができる。
【0011】
また、前記架台構造物の強度を十分に確保して、前記駐車棚を前記架台構造物の棚取付部に強固に取付けることができるため、前記搬送ユニットによる前記駐車パレットの搬送動作を安定させることができる。
【0012】
前記駐車スペースは前記架台構造物の各階層に形成され、複数の継手部材は前記架台構造物の各階層に縦方向及び横方向に格子状に間隔を置いて配置され、また、上下方向に各隣接する一対の前記継手部材の間に、上下方向へ延びた支柱部材が接続するように設けられているものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】
図2は、駐車装置における架台構造物及びリフターを示す模式的な平面図である。
【
図3】
図3は、
図2におけるIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る架台構造物に複数の駐車棚を取付け、かつ本発明の実施形態に係るリフターに昇降棚を取付けた様子を示す模式的な平面図である。
【
図5】
図5(a)は、本発明の実施形態に係る架台構造物の下階層における継手部材の周辺の平面図であり、
図5(b)は、
図5(a)におけるVB-VB線に沿った図である。
【
図6】
図6(a)は、本発明の実施形態に係る架台構造物の上階層における継手部材の周辺の平面図であり、
図6(b)は、
図6(a)におけるVIB-VIB線に沿った図である。
【
図7】
図7は、駐車パレットの平面図であり、4つの転向ガイドレールが縦方向へ転向した様子を示している。
【
図8】
図8(a)は、駐車パレットの縦側面図(縦方向に沿った側面図)であり、
図8(a)では、横送りガイドレールを省略している。
図8(b)は、
図7におけるVIIIB-VIIIB線に沿った断面図である。
【
図9】
図9(a)は、駐車パレットの横側面図(横方向に沿った側面図)であり、
図9(a)では、縦送りガイドレールを省略している。
図9(b)は、
図7におけるIXB-IXB線に沿った断面図である。
【
図10】
図10は、駐車棚の平面図であり、4つの搬送車輪が横方向へ転向した様子を示している。
【
図13】
図13は、駐車棚の平面図であり、4つの搬送車輪が縦方向へ転向した様子を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について
図1から
図13を参照して説明する。
【0015】
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「設けられる」とは、直接的に設けられることの他に、別部材を介して間接的に設けられることを含む意であり、「備えられる」と同義である。「備える」とは、直接的に備えることの他に、別部材を介して間接的に備えることを含む意であり、「設ける」と同義である。「及び/又は」とは、2つのうちのいずれか一方と両方を含む意である。図面中において、「CD」は、横方向(換言すれば、駐車パレットの短手方向)、「LD」は、縦方向(換言すれば、駐車パレットの長手方向)、「HD」は、上下方向(高さ方向)をそれぞれ指している。
【0016】
図1及び
図2に示すように、水平循環方式の駐車装置10は、複数の車両Mを水平循環させながら駐車させる装置であり、一例として、地下の駆体(基礎)Bに設置されている。また、駐車装置10は、駆体Bに設置された架台構造物(駐車装置用の架台構造物)12を具備している。架台構造物12(駐車装置10)は、2階層になっている。架台構造物12の各階層には、複数の車両Mを駐車させるための駐車スペース12Sが形成されている。架台構造物12の一部には、車両Mを入庫又は出庫させるため入出庫口(図示省略)と各階層の駐車スペース12Sを連絡する昇降路12Hが形成されており、昇降路12Hは、上下方向へ延びている。なお、架台構造物12(駐車装置10)は、1階層又は3階層以上であってもよい。
【0017】
駐車装置10は、架台構造物12の各階層の駐車スペース12S内において車両Mを載置するための複数の駐車パレット14と、架台構造物12の各階層に格子状に配置されかつ駐車パレット14を格納する複数の駐車棚16とを具備している。また、駐車装置10は、架台構造物12の昇降路12Hに昇降可能(上下方向へ移動可能)に設けられたリフター18と、リフター18に設けられかつ駐車パレット14を一時的に載置する昇降棚(リフター棚)20とを具備している。更に、駐車装置10は、リフター18を入出庫口に対応する高さ位置と各階層の駐車スペース12Sに対応する高さ位置との間で昇降させる昇降機構(図示省略)を具備している。
【0018】
続いて、本発明の実施形態に係る駐車装置用の架台構造物12の構成の詳細について説明する。
【0019】
図2から
図6(a)(b)に示すように、架台構造物12は、各階層に縦方向及び横方向に間隔を置いて格子状に配置された複数の継手部材22を有している。各継手部材22は、複数のH形鋼を溶接によって接合して構成されかつ複数(4つ)のアングル材によって補強されている。各継手部材22の平面視形状は、X字形状、T字形状、又はL字形状になっている。また、架台構造物12の下階層における各継手部材22は、駆体Bに設置したベース板24に複数の固定ボルト26によって固定されている。
【0020】
上下方向に各隣接する一対の継手部材22は、それらの間に、上下方向へ延びた角パイプ状の支柱部材28を接続(連結)するように備えている。具体的には、上下方向に各隣接する一対の継手部材22のうちの一方の継手部材22の上面には、支柱部材28の一端部(下端部)が溶接によって固定されている。上下方向に各隣接する一対の継手部材22のうちの他方の継手部材22の下面には、支柱部材28の他端部(上端部)が溶接によって固定されている。
【0021】
架台構造物12の各階層において、縦方向に各隣接する一対の継手部材22は、それらの間に、縦方向へ延びた第1梁部材30を接続(連結)するように備えており、第1梁部材30は、例えばH形鋼により構成されている。具体的には、架台構造物12の各階層において、縦方向に各隣接する一対の継手部材22のうちの一方の継手部材22には、第1梁部材30の一端部が複数の接続プレート32及び複数の接続ボルト34を介して接続(連結)されている。架台構造物12の各階層において、縦方向に各隣接する一対の継手部材22のうちの他方の継手部材22には、第1梁部材30の他端部が複数の接続プレート32及び複数の接続ボルト34を介して接続(連結)されている。
【0022】
架台構造物12の各階層において、横方向に各隣接する一対の継手部材22は、それらの間に、横方向へ延びた第2梁部材36を接続(連結)するように備えており、第2梁部材36は、例えばH形鋼により構成されている。具体的には、架台構造物12の各階層において、横方向に各隣接する一対の継手部材22のうちの一方の継手部材22には、第2梁部材36の一端部が複数の接続プレート38及び複数の接続ボルト40を介して接続(連結)されている。架台構造物12の各階層において、横方向に各隣接する一対の継手部材22のうちの他方の継手部材22には、第2梁部材36の他端部が複数の接続プレート38及び複数の接続ボルト40を介して接続(連結)されている。
【0023】
架台構造物12の各階層において、横方向に各隣接する一対の第1梁部材30と縦方向に各隣接する一対の第2梁部材36とによって、駐車棚16を取付けるための棚取付部42が区画されている。各棚取付部42は、横方向に平行な2辺と縦方向に平行な2辺を有する矩形状に形成されている。換言すれば、架台構造物12は、各階層に縦方向及び横方向に格子状に配置された複数の棚取付部42を有している。また、横方向に各隣接する一対の第1梁部材30は、それらの間に、横方向へ延びた一対の取付バー44を接続(連結)するように備えており、一対の取付バー44は、溝形鋼により構成されている。換言すれば、架台構造物12の各棚取付部42は、縦方向に離隔した一対の取付バー44を有している。
【0024】
続いて、駐車パレット14の構成について簡単に説明する。
【0025】
図7から
図9(a)(b)に示すように、駐車パレット14は、パレットフレーム(パレット本体)46を具備しており、パレットフレーム46は、横方向に平行な2つの短辺と縦方向に平行な2つの長辺を有する矩形状に形成されている。また、パレットフレーム46は、その裏面(裏側)に、縦方向に離隔した一対の横送りガイドレール48を備えており、各横送りガイドレール48は、例えばH形鋼により構成されかつ横方向へ延びている。更に、パレットフレーム46は、その裏面に、横方向に離隔した一対の縦送りガイドレール50を備えており、各縦送りガイドレール50は、例えばH形鋼により構成されかつ縦方向へ延びている。横送りガイドレール48と縦送りガイドレール50は、4箇所で交差しており、換言すれば、パレットフレーム46は、その裏面に、横送りガイドレール48と縦送りガイドレール50を交差させるための4つの交差部52を備えている。4つの交差部52は、横方向に平行な2つの短辺と縦方向に平行な2つの長辺を有する矩形状に配置されている。
【0026】
パレットフレーム46は、各交差部52に、横方向及び縦方向のうちのいずれかの方向に転向する転向ガイドレール54を備えている。各転向ガイドレール54は、複数のベアリング56を介して垂直(鉛直)な旋回軸心54c周りに旋回自在(旋回可能)になっている。4つの転向ガイドレール54は、4つの交差部52と同様に、横方向に平行な2つの短辺と縦方向に平行な2つの長辺を有する矩形状に配置されている。各転向ガイドレール54は、横方向に転向すると横送りガイドレール48に接続し、かつ縦方向に転向すると縦送りガイドレール50に接続するようになっている。
【0027】
続いて、駐車棚16の構成の詳細について説明する。
【0028】
図10及び
図11に示すように、駐車棚16は、架台構造物12の棚取付部42の一対の取付バー44に複数の取付ボルト58を介して設けられた棚フレーム(駐車棚本体)60を具備している。棚フレーム60は、架台構造物12と別体として構成されており、横方向に平行な2つの短辺と縦方向に平行な2つの長辺を有する矩形状に形成されている。棚フレーム60は、縦方向に離隔した2つ(一対)の角パイプ状の第1骨格部材62を有しており、各第1骨格部材62は、例えばアングル材により構成されかつ横方向へ延びている。棚フレーム60は、2つの第1骨格部材62の間に接続(連結)するようにそれぞれ設けられた4つ(二対)の角パイプ状の第2骨格部材64を有しており、各第2骨格部材64は、縦方向へ延びている。
【0029】
棚フレーム60の取付バー44に対する縦方向の位置は、複数(本発明の実施形態にあっては、4つ)の第1調整ねじとしての第1押しボルト66によって調整可能になっている。棚フレーム60の取付バー44に対する横方向の位置は、複数(本発明の実施形態にあっては、4つ)の第2調整ねじとしての第2押しボルト68によって調整可能になっている。棚フレーム60の取付バー44に対する上下方向の位置は、複数(本発明の実施形態にあっては、4つ)の第3調整ねじとしての第3押しボルト70によって調整可能になっている。
【0030】
なお、棚フレーム60の横方向の寸法は、パレットフレーム46の横方向の寸法よりも短くなっており、例えば、パレットフレーム46の横方向の寸法の半分程度に設定されている。棚フレーム60の縦方向の寸法は、パレットフレーム46の縦方向の寸法よりも短くなっており、例えば、パレットフレーム46の縦方向の寸法の半分程度になっている。
【0031】
棚フレーム60は、その表側に、駐車パレット14を縦方向及び/又は横方向へ搬送する搬送ユニット72を備えている。そして、搬送ユニット72の具体的な構成は、次の通りである。
【0032】
図10から
図13に示すように、棚フレーム60は、その表側(表面側)に、角パイプ状の4つの旋回部材74を備えており、各旋回部材74は、複数のベアリング76を介して垂直な旋回軸心74c周りに旋回可能になっている。4つの旋回部材74は、4つの転向ガイドレール54と同様に、横方向に平行な2つの短辺と縦方向に平行な2つの長辺を有する矩形状に配置されている。各旋回部材74は、その下部に、連結プレート78を有しており、前記矩形の対角線上に位置する各組の旋回部材74における連結プレート78は、同形状になっている。
【0033】
各旋回部材74は、その内側に、駐車パレット14を搬送するための搬送車輪80を備えており、各搬送車輪80は、ベアリング(図示省略)を介して水平な回転軸心80c周りに回転可能になっている。4つの搬送車輪80は、4つの旋回部材74と同様に、横方向に平行な2つの短辺と縦方向に平行な2つの長辺を有する矩形状に配置されている。また、各搬送車輪80は、旋回部材74から上方向へ突出しており、横送りガイドレール48、縦送りガイドレール50、及び転向ガイドレール54のいずれかを下方向から支持可能になっている(
図7参照)。
【0034】
前記矩形の対角線上に位置する1組(2つ)の旋回部材74は、それらの側部に、対応する搬送車輪80を回転(回動)させる搬送アクチュエータとしての搬送モータ82を備えている。換言すれば、前記矩形の対角線上に位置する1組の搬送車輪80は、搬送モータ82の駆動により回転駆動する駆動車輪になっている。前記矩形の対角線上に位置するもう1組の搬送車輪80は、フリー車輪になっている。なお、2つの搬送車輪80を駆動車輪とする代わりに、4つの搬送車輪80を駆動車輪としてもよい。
【0035】
各旋回部材74は、その上部に、複数(4つ)のガイドローラ84を備えており、各ガイドローラ84は、ベアリング(図示省略)を介して垂直な回転軸心84c周りに回転可能になっている。また、複数のガイドローラ84は、横送りガイドレール48、縦送りガイドレール50、及び転向ガイドレール54のいずれかを水平方向の両側から挟むように支持可能になっている。
【0036】
横方向に各隣接する一対の旋回部材74の連結プレート78は、それらの間に、横方向へ延びた第1連結バー86を連結して備えている。具体的には、横方向に各隣接する一対の旋回部材74のうちの一方の旋回部材74の連結プレート78には、第1連結バー86の一端部が回転自在に連結されている。横方向に各隣接する一対の旋回部材74のうちの他方の旋回部材74の連結プレート78には、第1連結バー86の他端部が回転自在に連結されている。また、縦方向に各隣接する一対の旋回部材74の連結プレート78は、それらの間に、縦方向へ延びた第2連結バー88を連結して備えている。具体的には、縦方向に各隣接する一対の旋回部材74のうちの一方の旋回部材74の連結プレート78には、第2連結バー88の一端部が回転自在に連結されている。縦方向に各隣接する一対の旋回部材74のうちの他方の旋回部材74の連結プレート78には、第2連結バー88の他端部が回転自在に連結されている。
【0037】
図10及び
図13に示すように、棚フレーム60は、その表側に、ギヤードモータ90を備えており、ギヤードモータ90は、垂直な出力軸90sを有している。ギヤードモータ90の出力軸90sには、揺動アーム92の基端部が固定しており、揺動アーム92は、垂直な揺動軸心(ギヤードモータ90の出力軸90sの軸心)周りに正逆方向へ揺動可能になっている。換言すれば、揺動アーム92は、棚フレーム60の表側にギヤードモータ90を介して設けられており、ギヤードモータ90は、揺動アーム92を正逆方向へ揺動させる揺動アクチュエータに相当する。揺動アーム92は、第2連結バー88に対して平行な第1揺動位置(
図10において実線で示す位置)と、第2連結バー88に対して平行でかつ第1揺動位置から180度変位した第2揺動位置(
図12において実線で示す位置)との間で、正逆方向へ揺動可能である。
【0038】
いずれかの第1連結バー86は、その一部に、横方向へ突出した連結リンク94を備えており、連結リンク94には、横方向(水平方向)へ延びた長穴94hが形成されている。また、揺動アーム92の先端部は、連結リンク94の長穴94hに移動可能に連結されている。換言すれば、揺動アーム92の先端部は、連結リンク94を介していずかの第1連結バー86の一部に連結されている。そして、複数の搬送車輪80は、揺動アーム92が第1揺動位置に位置すると、連結リンク94、一対の第1連結バー86、及び一対の第2連結バー88の連結作用によって横方向に転向するようになっている。複数の搬送車輪80は、揺動アーム92が第2揺動位置に位置すると、連結リンク94等の連結作用によって縦方向に転向するようになっている。
【0039】
続いて、本発明の実施形態に係る昇降棚20の構成について簡単に説明する。
【0040】
図1及び
図4に示すように、昇降棚20は、リフター18に設けられた棚フレーム(昇降棚本体)96と、棚フレーム96の表側に設けられかつ駐車パレット14を縦方向及び/又は横方向へ搬送する搬送ユニット98とを有している。棚フレーム96は、駐車棚16における棚フレーム60と同様の構成を有しており、搬送ユニット98は、駐車棚16における搬送ユニット72と同様の構成を有している。
【0041】
続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0042】
(駐車装置10の全体的な動作)
適宜の駐車棚16に横方向に隣接する駐車棚16が空の状態である場合に、適宜の駐車棚16におけるギヤードモータ90の駆動により揺動アーム92を正方向へ180度揺動させて、第2揺動位置から第1揺動位置へ位置させる。すると、適宜の駐車棚16における連結リンク94等の連結作用によって4つの旋回部材74を正方向へ同期旋回させて、4つの搬送車輪80を横方向に転向(同期転向)させる。或いは、予め、適宜の駐車棚16における4つの搬送車輪80を横方向に転向させておく。そして、適宜の駐車棚16における2つの搬送モータ82の駆動により2つの搬送車輪80を回転(回転駆動)させる。これにより、駐車パレット14を横方向へ搬送して、横方向に隣接する駐車棚16間で駐車パレット14の受け渡しを行うことができる。
【0043】
適宜の駐車棚16に縦方向に隣接する駐車棚16が空の状態である場合に、ギヤードモータ90の駆動により揺動アーム92を逆方向へ180度揺動させて、第1揺動位置から第2揺動位置へ位置させる。すると、適宜の駐車棚16における連結リンク94等の連結作用によって4つの旋回部材74を逆方向へ同期旋回させて、4つの搬送車輪80を縦方向に転向(同期転向)させる。或いは、予め、適宜の駐車棚16における4つの搬送車輪80を縦方向に転向させておく。そして、適宜の駐車棚16における2つの搬送モータ82の駆動により2つの搬送車輪80を回転(回転駆動)させる。これにより、駐車パレット14を縦方向へ搬送して、縦方向に隣接する駐車棚16間で駐車パレット14の受け渡しを行うことができる。
【0044】
前述の動作を適宜に繰り返すことにより、各階層の駐車スペース12Sにおいて複数の駐車パレット14を水平循環させながら格納することができる。換言すれば、各階層の駐車スペース12Sにおいて複数の車両Mを水平循環させながら駐車させることができる。
【0045】
入出庫口から入庫した所定の車両Mを上階層又は下階層の駐車スペース12Sに駐車させる際には、次のように行う。
【0046】
昇降装置の駆動によりリフター18を下降させて、上階層又は下階層の駐車スペース12Sに対応する高さ位置に位置させる。そして、昇降棚20の搬送ユニット98を駐車棚16の搬送ユニット72と同様に動作させる。これにより、所定の車両Mを載置した所定の駐車パレット14を横方向又は縦方向へ搬送して、昇降棚20から空の状態の駐車棚16に送り出して、所定の車両Mを上階層又は下階層の駐車スペース12Sに駐車させることができる。
【0047】
上階層又は下階層の駐車スペース12Sに駐車した車両Mを入出庫口から出庫させる際には、次のように行う。
【0048】
前述のように、上階層又は下階層の駐車スペース12Sにおいて複数の駐車パレット14を水平循環させながら、所定の車両Mを載置した所定の駐車パレット14を空の昇降棚20に横方向又は縦方向に隣接させる。そして、所定の駐車パレット14を格納した所定の駐車棚16における2つの搬送モータ82の駆動により2つの搬送車輪80を回転させる。すると、所定の駐車パレット14を横方向又は縦方向へ搬送して、所定の駐車棚16から空の状態の昇降棚20に送り出すことができる。更に、昇降装置の駆動によりリフター18を上昇させて、入出庫口に対応する高さ位置に位置させ、所定の車両Mを入出庫口から出庫させることができる。
【0049】
(本発明の実施形態の特有の作用)
前述のように、架台構造物12が各階層に縦方向及び横方向に格子状に配置された複数の棚取付部42を有している。各駐車棚16の棚フレーム60が架台構造物12の棚取付部42に設けられかつ架台構造物12と別体として構成されている。そのため、駐車棚16の棚フレーム60の大きさ(縦方向及び横方向の寸法)を駐車パレット14と同等以上の大きさにする必要がなく、駐車棚16の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0050】
また、前述のように、縦方向に各隣接する一対の継手部材22の間には、第1梁部材30を接続するように設けられ、横方向に各隣接する一対の継手部材22の間には、第2梁部材36を接続するように設けられている。横方向に各隣接する一対の第1梁部材30と縦方向に各隣接する一対の第2梁部材36とによって、駐車棚16を取付けるための棚取付部42が区画されている。そのため、棚フレーム60が架台構造物12と別体として構成されても、架台構造物12の強度を十分に確保して、駐車棚16を架台構造物12の棚取付部42に強固に取付けることができる。
【0051】
(本発明の実施形態の効果)
以上の如き、本発明の実施形態によれば、駐車棚16の小型化及び軽量化を図ることができるため、複数の駐車棚16の輸送作業及び前記駐車装置の据付作業に要する時間の短縮化を図り、それらの作業能率を向上させる。また、複数の駐車棚16の保管スペース等を削減して、コストを低減することができる。
【0052】
本発明の実施形態によれば、架台構造物12の強度を十分に確保して、駐車棚16を架台構造物12の棚取付部42に強固に取付けることができるため、搬送ユニット72による駐車パレット14の搬送動作を安定させることができる。特に、棚フレーム60の取付バー44に対する縦方向等の位置、換言すれば、搬送ユニット72の取付バー44に対する縦方向等の位置を調整することができるため、搬送ユニット72による駐車パレット14の搬送動作をより安定させることができる。
【0053】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、適宜の変更を行うことにより、その他、種々の態様で実施可能である。そして、本発明に包含される権利範囲は、前述の実施形態に限定されないものである。
【符号の説明】
【0054】
M 車両
B 駆体
10 駐車装置
12 架台構造物
12H 昇降路
12S 駐車スペース
14 駐車パレット
16 駐車棚
18 リフター
20 昇降棚
22 継手部材
24 ベース板
28 支柱部材
30 第1梁部材
36 第2梁部材
42 棚取付部
44 取付バー
46 パレットフレーム
48 横送りガイドレール
50 縦送りガイドレール
54 転向ガイドレール
60 棚フレーム(駐車棚本体)
62 第1骨格部材
64 第2骨格部材
66 第1押しボルト
68 第2押しボルト
70 第3押しボルト
72 搬送ユニット
74 旋回部材
80 搬送車輪
82 搬送モータ
90 ギヤードモータ
96 棚フレーム(昇降棚本体)
98 搬送ユニット