(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168304
(43)【公開日】2022-11-04
(54)【発明の名称】積込機械の制御装置、遠隔操作システム、および制御方法
(51)【国際特許分類】
E02F 3/43 20060101AFI20221027BHJP
【FI】
E02F3/43 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147186
(22)【出願日】2022-09-15
(62)【分割の表示】P 2018170738の分割
【原出願日】2018-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根田 知樹
(72)【発明者】
【氏名】畠 一尋
(72)【発明者】
【氏名】大井 健
(72)【発明者】
【氏名】逢澤 正憲
(57)【要約】
【課題】積込対象とバケットとが干渉しないように、バケットを掘削点へ移動させる。
【解決手段】積込対象特定部は、積込対象の位置および形状を特定する。回避位置特定部は、積込対象の位置および形状に基づいて積込対象より所定距離だけ外側の位置である干渉回避位置を特定する。移動処理部は、バケットが干渉回避位置に到達するまで旋回体のみを駆動させてバケットを干渉回避位置へ移動させる操作信号を出力する。移動制御部は、バケットが干渉回避位置に到達した後に旋回体および作業機を駆動させてバケットを掘削対象上の掘削位置へ移動させる操作信号を出力する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回中心回りに旋回する旋回体と、バケットを有し前記旋回体に取り付けられた作業機とを備える積込機械の制御装置であって、
積込対象の位置および形状を特定する積込対象特定部と、
前記積込対象の位置および形状に基づいて前記積込対象より所定距離だけ外側の位置である干渉回避位置を特定する回避位置特定部と、
前記バケットが前記積込対象上の積込位置から前記干渉回避位置に到達するまで前記旋回体のみを駆動させて前記バケットを前記干渉回避位置へ移動させる操作信号を出力し、前記バケットが前記干渉回避位置に到達した後に前記旋回体および前記作業機を駆動させて前記バケットを掘削対象上の掘削位置へ移動させる操作信号を出力する移動処理部と を備える積込機械の制御装置。
【請求項2】
前記移動処理部は、前記バケットが前記干渉回避位置に到達した後に前記旋回体および前記作業機を駆動させて前記バケットを前記掘削位置より上方の旋回終了位置へ移動させる操作信号を出力し、前記バケットが前記旋回終了位置に到達した後に前記作業機のみを駆動させて前記バケットを前記掘削位置へ移動させる操作信号を出力する
請求項1に記載の積込機械の制御装置。
【請求項3】
前記積込機械は、検出方向に存在する対象物の位置を検出する検出装置を備え、
前記積込対象特定部は、前記検出装置の検出結果に基づいて前記積込対象の位置および形状を特定する
請求項1または請求項2に記載の積込機械の制御装置。
【請求項4】
前記積込機械は、検出方向に存在する対象物の位置を検出する検出装置を備え、
前記検出装置の検出結果に基づいて前記掘削位置を特定する掘削位置特定部を備える 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の積込機械の制御装置。
【請求項5】
前記積込機械は、積込機械のオペレータの指示に基づいて前記掘削位置を特定する掘削位置特定部を備える
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の積込機械の制御装置。
【請求項6】
旋回中心回りに旋回する旋回体と、バケットを有し前記旋回体に取り付けられた作業機とを備える積込機械の制御方法であって、
積込対象の位置および形状を特定するステップと、
前記積込対象の位置および形状に基づいて前記積込対象より所定距離だけ外側の位置である干渉回避位置を特定するステップと、
前記バケットが前記積込対象上の積込位置から前記干渉回避位置に到達するまで前記旋回体のみを駆動させて前記バケットを前記干渉回避位置へ移動させる操作信号を出力するステップと、
前記バケットが前記干渉回避位置に到達した後に前記旋回体および前記作業機を駆動させて前記バケットを掘削対象上の掘削位置へ移動させる操作信号を出力するステップと を備える積込機械の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積込機械の制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、積込機械の自動積込制御に関する技術が開示されている。自動積込制御とは、制御装置が積込機械のオペレータ等から積込点の指定を受け付け、制御装置が積込機械および作業機の動作を制御することで、バケットを積込点へ移動させる制御である。特許文献1に記載の技術によれば、制御装置は、予め作業機の位置の時系列を記憶しておき、当該時系列に従って作業機を作動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、作業機は予め記憶された積込点まで自動的に移動し、積込点において排土がなされる。他方、積込点で排土した後に、自動的に掘削点まで移動させたいという要望がある。このとき、作業機は、バケットが積込対象に干渉しないように移動する必要がある。
本発明の目的は、積込対象とバケットとが干渉しないように、バケットを掘削点へ移動させることができる積込機械の制御装置および制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、積込機械の制御装置は、旋回中心回りに旋回する旋回体と、バケットを有し前記旋回体に取り付けられた作業機とを備える積込機械の制御装置であって、積込対象の位置および形状を特定する積込対象特定部と、前記積込対象の位置および形状に基づいて前記積込対象より所定距離だけ外側の位置である干渉回避位置を特定する回避位置特定部と、前記バケットが前記積込対象上の積込位置から前記干渉回避位置に到達するまで前記旋回体のみを駆動させて前記バケットを前記干渉回避位置へ移動させる操作信号を出力し、前記バケットが前記干渉回避位置に到達した後に前記旋回体および前記作業機を駆動させて前記バケットを掘削対象上の掘削位置へ移動させる操作信号を出力する移動処理部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
上記態様のうち少なくとも1つの態様によれば、積込機械の制御装置は、積込対象とバケットとの干渉を防止しながら、バケットを掘削点へ移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る積込機械の構成を示す概略図である。
【
図2】第1の実施形態に係る制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る自動掘削積込制御における掘削前のバケットの経路の例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る自動掘削積込制御における掘削後のバケットの経路の例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る自動掘削積込制御を示すフローチャートである。
【
図6】第1の実施形態に係る自動掘削積込制御を示すフローチャートである。
【
図7】第1の実施形態に係る自動掘削積込制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
〈第1の実施形態〉
《積込機械の構成》
図1は、第1の実施形態に係る積込機械の構成を示す概略図である。
積込機械100は、土砂を運搬車両などの積込点へ積込を行う作業機械である。第1の実施形態に係る積込機械100は、油圧ショベルである。なお、他の実施形態に係る積込機械100は、油圧ショベル以外の積込機械であってもよい。また
図1に示す積込機械100はバックホウショベルであるが、フェイスショベルやロープショベルであってもよい。
積込機械100は、走行体110と、走行体110に支持される旋回体120と、油圧により駆動し旋回体120に支持される作業機130とを備える。旋回体120は、旋回中心回りに旋回自在に支持される。
【0009】
作業機130は、ブーム131と、アーム132と、バケット133と、ブームシリンダ134と、アームシリンダ135と、バケットシリンダ136と、ブームストロークセンサ137と、アームストロークセンサ138と、バケットストロークセンサ139とを備える。
【0010】
ブーム131の基端部は、旋回体120にピンを介して取り付けられる。
アーム132は、ブーム131とバケット133とを連結する。アーム132の基端部は、ブーム131の先端部にピンを介して取り付けられる。
バケット133は、土砂などを掘削するための刃と掘削した土砂を搬送するための容器とを備える。バケット133の基端部は、アーム132の先端部にピンを介して取り付けられる。
【0011】
ブームシリンダ134は、ブーム131を作動させるための油圧シリンダである。ブームシリンダ134の基端部は、旋回体120に取り付けられる。ブームシリンダ134の先端部は、ブーム131に取り付けられる。
アームシリンダ135は、アーム132を駆動するための油圧シリンダである。アームシリンダ135の基端部は、ブーム131に取り付けられる。アームシリンダ135の先端部は、アーム132に取り付けられる。
バケットシリンダ136は、バケット133を駆動するための油圧シリンダである。バケットシリンダ136の基端部は、アーム132に取り付けられる。バケットシリンダ136の先端部は、バケット133を回動させるリンク機構に取り付けられる。
【0012】
ブームストロークセンサ137は、ブームシリンダ134のストローク量を計測する。ブームシリンダ134のストローク量は、旋回体120に対するブーム131の傾斜角に換算可能である。以下、旋回体120に対する傾斜角を、絶対角度ともいう。つまり、ブームシリンダ134のストローク量は、ブーム131の絶対角度に換算可能である。
アームストロークセンサ138は、アームシリンダ135のストローク量を計測する。アームシリンダ135のストローク量は、ブーム131に対するアーム132の傾斜角に換算可能である。以下、ブーム131に対するアーム132の傾斜角を、アーム132の相対角度ともいう。
バケットストロークセンサ139は、バケットシリンダ136のストローク量を計測する。バケットシリンダ136のストローク量は、アーム132に対するバケット133の傾斜角に換算可能である。以下、アーム132に対するバケット133の傾斜角をバケット133の相対角度ともいう。
なお、他の実施形態に係る積込機械100は、ブームストロークセンサ137、アームストロークセンサ138、およびバケットストロークセンサ139に代えて、地平面に対する傾斜角または旋回体120に対する傾斜角を検出する角度センサを備えてもよい。
【0013】
旋回体120には、運転室121が設けられる。運転室121の内部には、オペレータが着座するための運転席122、積込機械100を操作するための操作装置123、検出方向に存在する対象物の3次元位置を検出するための検出装置124が設けられる。操作装置123は、オペレータの操作に応じて、ブーム131の上げ操作信号および下げ操作信号、アーム132の押し操作信号および引き操作信号、バケット133のダンプ操作信号および掘削操作信号、旋回体120の左右への旋回操作信号を生成し、制御装置128に出力する。また操作装置123は、オペレータの操作に応じて作業機130に自動掘削積込制御を開始させるための掘削積込指示信号を生成し、制御装置128に出力する。自動掘削積込制御とは、旋回体120を旋回させて掘削点へ作業機130を移動させ、掘削点の土砂を掘削し、旋回体120を旋回させてバケット133に収容された土砂を積込対象200(例えば、運搬車両やホッパ)へ積み込む一連の動作を自動的に実行する制御である。
操作装置123は、例えばレバー、スイッチおよびペダルにより構成される。掘削積込指示信号は自動制御用のスイッチの操作により生成される。例えば、スイッチがONになったときに、掘削積込指示信号が出力される。操作装置123は、運転席122の近傍に配置される。操作装置123は、オペレータが運転席122に座ったときにオペレータの操作可能な範囲内に位置する。
検出装置124の例としては、ステレオカメラ、LiDAR装置、レーザスキャナなどが挙げられる。検出装置124は、例えば検出方向が積込機械100の運転室121の前方を向くように設けられる。検出装置124は、対象物の3次元位置を、検出装置124の位置を基準とした座標系で特定する。
なお、第1の実施形態に係る積込機械100は、運転席122に着座するオペレータの操作に従って動作するが、他の実施形態においてはこれに限られない。例えば、他の実施形態に係る積込機械100は、積込機械100の外部で操作するオペレータの遠隔操作によって操作信号や掘削積込指示信号が送信され動作するものであってもよい。
【0014】
積込機械100は、位置方位演算器125、傾斜計測器126、油圧装置127、制御装置128を備える。
【0015】
位置方位演算器125は、旋回体120の位置および旋回体120が向く方位を演算する。位置方位演算器125は、GNSSを構成する人工衛星から測位信号を受信する2つの受信器を備える。2つの受信器は、それぞれ旋回体120の異なる位置に設置される。位置方位演算器125は、受信器が受信した測位信号に基づいて、現場座標系における旋回体120の代表点(ショベル座標系の原点)の位置を検出する。
位置方位演算器125は、2つの受信器が受信した各測位信号を用いて、一方の受信器の設置位置に対する他方の受信器の設置位置の関係として、旋回体120の向く方位を演算する。旋回体120が向く方位とは、旋回体120の正面方向であって、作業機130のブーム131からバケット133へ伸びる直線の延在方向の水平成分に等しい。
【0016】
傾斜計測器126は、旋回体120の加速度および角速度を計測し、計測結果に基づいて旋回体120の姿勢(例えば、ロール角およびピッチ角)を検出する。傾斜計測器126は、例えば旋回体120の下面に設置される。傾斜計測器126は、例えば、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)を用いることができる。
【0017】
油圧装置127は、作動油タンク、油圧ポンプ、および流量制御弁を備える。油圧ポンプは、図示しないエンジンの動力で駆動し、流量制御弁を介して走行体110を走行させる図示しない走行油圧モータ、旋回体120を旋回させる図示しない旋回油圧モータ、ブームシリンダ134、アームシリンダ135、およびバケットシリンダ136に作動油を供給する。流量制御弁はロッド状のスプールを有し、スプールの位置によって走行油圧モータ、旋回油圧モータ、ブームシリンダ134、アームシリンダ135、およびバケットシリンダ136に供給する作動油の流量を調整する。スプールは、制御装置128から受信する制御指令に基づいて駆動される。つまり、走行油圧モータ、旋回油圧モータ、ブームシリンダ134、アームシリンダ135、およびバケットシリンダ136に供給される作動油の量は、制御装置128によって制御される。上記のとおり、ブームシリンダ134、アームシリンダ135、およびバケットシリンダ136は共通の油圧装置127から供給される作動油によって駆動する。
【0018】
制御装置128は、操作装置123から操作信号を受信する。制御装置128は、受信した操作信号に基づいて、作業機130、旋回体120、または走行体110を駆動させる。
【0019】
《制御装置の構成》
図2は、第1の実施形態に係る制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
制御装置128は、プロセッサ1100、メインメモリ1200、ストレージ1300、インタフェース1400を備えるコンピュータである。ストレージ1300は、プログラムを記憶する。プロセッサ1100は、プログラムをストレージ1300から読み出してメインメモリ1200に展開し、プログラムに従った処理を実行する。
【0020】
ストレージ1300の例としては、HDD、SSD、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM等が挙げられる。ストレージ1300は、制御装置128の共通通信線に直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース1400を介して制御装置128に接続される外部メディアであってもよい。ストレージ1300は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0021】
プロセッサ1100は、プログラムの実行により、車両情報取得部1101、検出情報取得部1102、操作信号入力部1103、バケット位置特定部1104、マップ生成部1105、積込対象特定部1106、回避位置特定部1107、掘削対象特定部1108、掘削位置特定部1109、下げ停止判定部1110、積込位置特定部1111、移動処理部1112、操作信号出力部1113を備える。
【0022】
車両情報取得部1101は、例えば旋回体120の旋回速度、位置および方位、ブーム131、アーム132およびバケット133の傾斜角、ならびに旋回体120の姿勢を取得する。以下、車両情報取得部1101が取得する積込機械100に係る情報を車両情報とよぶ。
【0023】
検出情報取得部1102は、検出装置124から深度情報を取得する。深度情報は、検出範囲R内の複数の点の三次元位置を示す。深度情報の例としては、深度を表す複数の画素からなる深度画像や、直交座標系(x,y,z)で表現される複数の点からなる点群データが挙げられる。
【0024】
操作信号入力部1103は、操作装置123から操作信号の入力を受け付ける。操作信号にはブーム131の上げ操作信号および下げ操作信号、アーム132の押し操作信号および引き操作信号、バケット133のダンプ操作信号および掘削操作信号、旋回体120の旋回操作信号、走行体110の走行操作信号、ならびに積込機械100の掘削積込指示信号が含まれる。
【0025】
図3は、第1の実施形態に係る自動掘削積込制御における掘削前のバケットの経路の例を示す図である。
バケット位置特定部1104は、車両情報取得部1101が取得した車両情報に基づいて、ショベル座標系におけるアーム132の先端部の位置P(
図1参照)およびアーム132の先端からバケット133の最下通過点までの高さHbを特定する。バケット133の最下通過点とは、バケット133のダンプ操作の間に刃先と地表面との距離が最も短くなるときに刃先が位置する点をいう。すなわち、アーム132の先端からバケット133の最下通過点までの高さHbは、バケット133の基端部のピンから刃先までの長さと一致する。なお、バケット133の基端部はアーム132の先端部に接続されているため、アーム132の先端部の位置Pは、バケット133の基端部の位置に等しい。
【0026】
具体的には、バケット位置特定部1104は、以下の手順でアーム132の先端部の位置Pを特定する。バケット位置特定部1104は、ブームシリンダ134のストローク量から求められるブーム131の絶対角度と既知のブーム131の長さ(基端部のピンから先端部のピンまでの距離)とに基づいて、ブーム131の先端部の位置を求める。バケット位置特定部1104は、ブーム131の絶対角度と、アームシリンダ135のストローク量から求められるアーム132の相対角度とに基づいて、アーム132の絶対角度を求める。バケット位置特定部1104は、ブーム131の先端部の位置と、アーム132の絶対角度と、既知のアーム132の長さ(基端部のピンから先端部のピンまでの距離)とに基づいて、アーム132の先端部の位置Pを求める。
【0027】
マップ生成部1105は、車両情報取得部1101が取得した旋回体120の位置、方位、および姿勢と、検出情報取得部1102が取得した深度情報とに基づいて、現場座標系によって積込機械100の周囲のうち少なくとも一部の形状を表す三次元マップを生成する。マップ生成部1105は、旋回体120が旋回することで、検出装置124が異なる検出範囲について検出した複数の深度情報を重ね合わせることで、積込対象200および掘削対象を含む三次元マップを生成する。なお、他の実施形態においては、マップ生成部1105は、旋回体120を基準としたショベル座標系に係る三次元マップを生成してもよい。
【0028】
積込対象特定部1106は、マップ生成部1105が生成した三次元マップに基づいて、積込対象200の位置および形状を特定する。例えば、積込対象特定部1106は、三次元マップが示す三次元形状と積込対象200の既知の形状とをマッチングすることで、積込対象200の位置および形状を特定する。
【0029】
回避位置特定部1107は、車両情報取得部1101が取得した積込機械100の位置と、積込対象特定部1106が特定した積込対象200の位置および形状に基づいて、作業機130と積込対象200とが上方からの平面視において干渉しない点である干渉回避位置P02を特定する。干渉回避位置P02は、自動掘削積込制御の開始時のアーム132の先端の位置P(空荷旋回開始位置P01)と同じ高さを有し、かつ旋回体120の旋回中心からの距離が、当該旋回中心から空荷旋回開始位置P01までの距離と等しく、かつ下方に積込対象200が存在しない位置である。回避位置特定部1107は、例えば、旋回体120の旋回中心を中心とし、当該旋回中心と空荷旋回開始位置P01との距離を半径とする円を特定し、当該円上の位置のうち、バケット133の外形が上方からの平面視で積込対象200と干渉せず、かつ空荷旋回開始位置P01に最も近い位置を、干渉回避位置P02と特定する。回避位置特定部1107は、積込対象200の位置および形状、ならびにバケット133の既知の形状に基づいて、積込対象200とバケット133とが干渉するか否かを判定することができる。ここで、「同じ高さ」、「距離が等しい」とは、必ずしも高さまたは距離が完全に一致するものに限られず、多少の誤差やマージンが許容されるものとする。
【0030】
掘削対象特定部1108は、マップ生成部1105が生成した三次元マップに基づいて、掘削対象の掘削点P22の位置を特定する。掘削点P22は、例えばバケット133の刃先をその点からアーム132およびバケット133を掘削方向へ移動させることで、バケット133の最大容量に相当する量の土砂を掘削できる点である。例えば、掘削対象特定部1108は、三次元マップが示す三次元形状から掘削対象の土砂の分布を特定し、当該分布に基づいて掘削点P22を特定する。
【0031】
掘削位置特定部1109は、掘削対象特定部1108が特定した掘削点P22から、バケット133の基端部から刃先までの距離だけ離れた点を、掘削位置P05として特定する。つまり、バケット133は、ダンプ方向に刃先を向けた所定の掘削姿勢をとっている場合において、バケット133の刃先が掘削点P22に位置するとき、アーム132の先端は掘削位置P05に位置することとなる。掘削点P22は三次元マップに基づいて特定されるため、掘削位置特定部1109は、検出装置124の検出結果に基づいて掘削位置P05を特定しているといえる。なお、他の実施形態においては、掘削位置特定部1109は、積込機械100のオペレータの指示に基づいて掘削位置P05を特定してもよい。例えば、オペレータは、バケット133を掘削位置P05に当てて所定のボタンを押下することで掘削位置P05を指示してもよいし、タッチパネルなどの入力装置によって掘削位置P05を指示してもよい。
また掘削位置特定部1109は、掘削位置P05より所定高さだけ上方の位置を、旋回終了位置P04に決定する。
【0032】
下げ停止判定部1110は、旋回体120の空荷旋回と同時に作業機130の下げ操作をしているときに、アーム132の先端の高さが旋回終了位置P04と同じ高さになったか否かを判定する。このときのアーム132の先端の位置を、下げ停止位置P03という。
【0033】
積込位置特定部1111は、積込対象特定部1106が特定した積込対象200の位置および形状に基づいて、積込位置P07を特定する。具体的には、積込位置特定部1111は、以下のように積込位置P07を特定する。
図4は、第1の実施形態に係る自動掘削積込制御における掘削後のバケットの経路の例を示す図である。
積込位置特定部1111は、積込対象200上の積込点P21を、積込位置P07の平面位置として特定する。つまり、アーム132の先端が積込位置P07に位置するとき、アーム132の先端は積込点P21の上方に位置することとなる。積込点P21の例としては、積込対象200がダンプトラックの場合におけるベッセルの中心点、および積込対象200がホッパの場合における開口の中心点が挙げられる。積込位置特定部1111は、積込対象200の高さHtに、バケット位置特定部1104が特定したアーム132の先端からバケット133最下通過点までの高さHbと、バケット133の制御余裕分の高さとを加算することで、積込位置P07の高さを特定する。なお、他の実施形態においては、積込位置特定部1111は、制御余裕分の高さを加算せずに積込位置P07を特定してもよい。すなわち、積込位置特定部1111は、高さHtに高さHbを加算することで、積込位置P07の高さを特定してもよい。なお、第1の実施形態に係る高さHtは、地面からベッセルの上面までの高さである。
【0034】
移動処理部1112は、操作信号入力部1103が掘削積込指示信号の入力を受け付けた場合に、掘削位置特定部1109が特定した掘削位置P05、回避位置特定部1107が特定した干渉回避位置P02に基づいて、バケット133を掘削位置P05まで移動させるための回動操作信号を生成する。すなわち、移動処理部1112は、空荷旋回開始位置P01から、干渉回避位置P02、下げ停止位置P03、および旋回終了位置P04を経由して、掘削位置P05に到達するように、回動操作信号を生成する。移動処理部1112は、バケット133が掘削位置P05に到達すると、バケット133を掘削方向へ回転させ、また移動させるための掘削操作信号を生成する。
移動処理部1112は、積込位置特定部1111が特定した積込位置P07、回避位置特定部1107が特定した干渉回避位置P02に基づいて、バケット133を積込位置P07まで移動させるための回動操作信号を生成する。すなわち、移動処理部1112は、掘削完了位置P05´から、積荷旋回開始位置P06、および干渉回避位置P02を経由して、積込位置P07に到達するように、回動操作信号を生成する。このとき、移動処理部1112は、ブーム131およびアーム132が駆動してもバケット133の対地角度が変化しないように、バケット133の回動操作信号を生成する。移動処理部1112は、バケット133が積込位置P07に到達すると、バケット133をダンプ方向へ回転させるためのダンプ操作信号を生成する。
【0035】
操作信号出力部1113は、操作信号入力部1103に入力された操作信号、または移動処理部1112が生成した操作信号を出力する。具体的には、操作信号出力部1113は、自動掘削積込制御中である場合に、移動処理部1112が生成した自動制御に係る操作信号を出力し、自動掘削積込制御中でない場合に、操作信号入力部1103に入力されたオペレータの手動操作に係る操作信号を出力する。
【0036】
《自動掘削積込制御》
積込機械100のオペレータは、積込機械100と積込対象200とが積込処理可能な位置関係にあると判断すると、操作装置123の自動制御用のスイッチをONにする。これにより、操作装置123は、掘削積込指示信号を生成し出力する。
【0037】
図5-
図7は、第1の実施形態に係る自動掘削積込制御を示すフローチャートである。制御装置128は、オペレータから掘削積込指示信号の入力を受け付けると、
図5-
図7に示す自動掘削積込制御を実行する。なお、自動掘削積込制御の開始時におけるバケット133の位置である空荷旋回開始位置P01は、積込対象200の上方であって、旋回によって積込対象200と干渉しない位置である。自動掘削積込制御を連続して実行する場合には、空荷旋回開始位置P01は、積込位置P07と一致する。
【0038】
車両情報取得部1101は、旋回体120の位置および方位、ブーム131、アーム132およびバケット133の傾斜角、ならびに旋回体120の姿勢を取得する(ステップS1)。車両情報取得部1101は、取得した旋回体120の位置および方位に基づいて、旋回体120の旋回中心の位置を特定する(ステップS2)。
【0039】
検出情報取得部1102は、検出装置124から、積込機械100の周囲の深度を示す深度情報を取得する(ステップS3)。マップ生成部1105は、車両情報取得部1101が取得した旋回体120の位置、方位、および姿勢と、検出情報取得部1102が取得した深度情報とに基づいて、現場座標系における積込機械100の周囲のうち少なくとも一部の形状を表す三次元マップを更新する(ステップS4)。つまり、マップ生成部1105は、過去に生成した三次元マップに、今回検出した深度情報を重ね合わせることで三次元マップを更新する。積込対象特定部1106は、更新したマップ情報に基づいて、積込対象200の位置および形状を特定する(ステップS5)。
【0040】
バケット位置特定部1104は、車両情報取得部1101が取得した車両情報に基づいて、掘削積込指示信号の入力時のアーム132の先端部の位置Pを、空荷旋回開始位置P01に決定するとともに、アーム132の先端からバケット133の最下通過点までの高さHbを特定する(ステップS6)。
【0041】
掘削対象特定部1108は、ステップS4で生成した三次元マップに基づいて掘削点P22を特定する(ステップS7)。掘削位置特定部1109は、掘削対象特定部1108が特定した掘削点P22の位置に基づいて、掘削位置P05および旋回終了位置P04を特定する(ステップS8)。
回避位置特定部1107は、ステップS6で決定した空荷旋回開始位置P01と、積込対象特定部1106が特定した積込対象200の位置および形状に基づいて干渉回避位置P02を特定する(ステップS9)。
【0042】
移動処理部1112は、アーム132の先端部の位置Pが旋回終了位置P04に至ったか否かを判定する(ステップS10)。アーム132の先端部の位置Pが旋回終了位置P04に至っていない場合(ステップS10:NO)、移動処理部1112は、アーム132の先端部の位置Pが干渉回避位置P02を通過したか否かを判定する(ステップS11)。アーム132の先端部の位置Pが干渉回避位置P02を通過していない場合(ステップS11:NO)、移動処理部1112は、ブーム131、アーム132およびバケット133の操作信号を生成しない。つまり、アーム132の先端部の位置Pが干渉回避位置P02を通過していない場合、移動処理部1112は、作業機130を下げる操作信号の出力を禁止する。
【0043】
他方、アーム132の先端部の位置Pが干渉回避位置P02を通過した場合(ステップS11:YES)、下げ停止判定部1110は、アーム132の先端の位置Pが、旋回終了位置P04より高いか否かを判定する(ステップS12)。アーム132の先端の位置Pが、旋回終了位置P04より高い場合(ステップS12:YES)、移動処理部1112は、アーム132の先端部の位置Pを降下させるためのブーム131およびアーム132の操作信号を生成する(ステップS13)。
【0044】
他方、アーム132の先端の位置Pの高さが、旋回終了位置P04の高さ以下である場合(ステップS13:NO)、移動処理部1112は、アーム132の先端部の位置Pを降下させるためのブーム131およびアーム132の操作信号の生成を一時停止する。
【0045】
次に、移動処理部1112は、現在時刻から旋回操作信号の出力を停止した場合に、アーム132の先端の平面位置が旋回終了位置P04に到達するか否かを判定する(ステップS14)。現在時刻から旋回操作信号の出力を停止した場合に、アーム132の先端の平面位置が旋回終了位置P04に到達しない場合(ステップS14:NO)、移動処理部1112は、旋回操作信号を生成する(ステップS15)。
【0046】
他方、現在時刻から旋回操作信号の出力を停止した場合に、アーム132の先端の平面位置が旋回終了位置P04に到達する場合(ステップS14:YES)、移動処理部1112は、旋回操作信号を生成しない。つまり、現在時刻から旋回操作信号の出力を停止した場合に、アーム132の先端の平面位置が旋回終了位置P04に到達する場合、移動処理部1112は、旋回操作信号の出力を禁止する。これにより、慣性により旋回し続けようとする旋回体120は減速を始める。
【0047】
ステップS10からステップS15の処理でブーム131およびアーム132の操作信号、並びに旋回体120の旋回操作信号の少なくともいずれか1つを生成すると、操作信号出力部1113は、生成した操作信号を油圧装置127に出力する(ステップS16)。
【0048】
そして、車両情報取得部1101は、車両情報を取得する(ステップS17)。これにより、車両情報取得部1101は、出力した操作信号によって駆動した後の車両情報を取得することができる。制御装置128は、処理をステップS14に戻し、操作信号の生成を繰り返し実行する。
【0049】
ステップS10において、アーム132の先端部の位置Pが旋回終了位置P04に至った場合(ステップS10:YES)、移動処理部1112は、ブーム131およびアーム132を下げる操作信号を生成し、操作信号出力部1113は、生成した操作信号を油圧装置127に出力する(ステップS18)。車両情報取得部1101は、車両情報を取得し、アーム132の先端部の位置Pが掘削位置P05に至ったか否かを判定する(ステップS19)。アーム132の先端部の位置Pが掘削位置P05に至っていない場合(ステップS19:NO)、制御装置128はステップS22に処理を戻し、作業機130を下げる操作信号の出力を継続する。したがって、アーム132の先端部の位置Pが旋回終了位置P04から掘削位置P05に移動する間、旋回体120は旋回しない。
【0050】
アーム132の先端部の位置Pが掘削位置P05に至った場合(ステップS19:YES)、移動処理部1112は、バケット133を掘削方向に駆動させる掘削操作信号を生成し、操作信号出力部1113は、生成した操作信号を油圧装置127に出力する(ステップS20)。これにより、制御装置128は、バケット133に掘削対象を掘削させることができる。
【0051】
次に、車両情報取得部1101は、車両情報を取得する(ステップS21)。また検出情報取得部1102は、検出装置124から、積込機械100の周囲の深度を示す深度情報を取得する(ステップS22)。マップ生成部1105は、車両情報取得部1101が取得した車両情報と、検出情報取得部1102が取得した深度情報とに基づいて三次元マップを更新する(ステップS23)。積込対象特定部1106は、更新した三次元マップに基づいて積込対象200の位置および形状を特定する(ステップS24)。積込位置特定部1111は、積込対象特定部1106が特定した積込対象200の位置および形状に基づいて、積込位置P07の平面位置を特定する(ステップS25)。積込位置特定部1111は、積込対象200の高さHtに、ステップS6で特定したアーム132の先端部からバケット133の最下通過点までの高さHbと、バケット133の制御余裕分の高さとを加算することで、積込位置P07の高さを特定する(ステップS26)。
【0052】
移動処理部1112は、アーム132の先端部の位置Pが積込位置P07に至ったか否かを判定する(ステップS27)。アーム132の先端部の位置Pが積込位置P07に至っていない場合(ステップS27:NO)、移動処理部1112は、アーム132の先端部の位置Pが干渉回避位置P02の近傍にあるか否かを判定する(ステップS28)。例えば、移動処理部1112は、アーム132の先端の高さと干渉回避位置P02の高さとの差が所定の閾値未満であり、または旋回体120の旋回中心からアーム132の先端までの平面距離と旋回中心から干渉回避位置P02までの平面距離との差が所定の閾値未満であるか否かを判定する(ステップS28)。アーム132の先端部の位置Pが干渉回避位置P02の近傍にない場合(ステップS28:NO)、移動処理部1112は、ブーム131およびアーム132を干渉回避位置P02の高さまで上昇させる操作信号を生成する(ステップS29)。このとき、移動処理部1112は、ブーム131およびアーム132の位置および速度に基づいて、操作信号を生成する。
【0053】
また移動処理部1112は、生成したブーム131およびアーム132の操作信号に基づいてブーム131およびアーム132の角速度の和を算出し、当該角速度の和と同じ速度でバケット133を回動させる操作信号を生成する(ステップS30)。これにより、移動処理部1112は、バケット133の対地角を保持する操作信号を生成することができる。
【0054】
アーム132の先端部の位置Pが干渉回避位置P02の近傍にある場合(ステップS28:YES)、移動処理部1112は、ブーム131、アーム132およびバケット133の操作信号を生成しない。つまり、アーム132の先端部の位置Pが干渉回避位置P02の近傍にある場合、移動処理部1112は、作業機130を積込点へ移動させるための作業機130の操作信号の出力を禁止する。
【0055】
移動処理部1112は、車両情報取得部1101が取得した車両情報に基づいて、旋回体120の旋回速度が所定速度未満であるか否かを判定する(ステップS31)。すなわち、移動処理部1112は、旋回体120が旋回中であるか否かを判定する。
旋回体120の旋回速度が所定速度未満である場合(ステップS31:YES)、移動処理部1112は、バケット133の高さが掘削完了位置P05´の高さから干渉回避位置P02の高さに至るまでの時間である上昇時間を特定する(ステップS32)。移動処理部1112は、バケット133の上昇時間に基づいて、現在時刻から旋回操作信号を出力した場合に、アーム132の先端が干渉回避位置P02または干渉回避位置P02より高い点を通過することになるか否かを判定する(ステップS33)。現在時刻から旋回操作信号を出力した場合に、アーム132の先端が干渉回避位置P02または干渉回避位置P02より高い点を通過することになる場合(ステップS33:YES)、移動処理部1112は、旋回操作信号を生成する(ステップS34)。
【0056】
現在時刻から旋回操作信号を出力した場合に、アーム132の先端が干渉回避位置P02より低い点を通過することになる場合(ステップS34:NO)、移動処理部1112は、旋回操作信号を生成しない。つまり、アーム132の先端が干渉回避位置P02より低い点を通過することになる場合、移動処理部1112は、旋回操作信号の出力を禁止する。
【0057】
旋回体120の旋回速度が所定速度以上である場合(ステップS31:NO)、移動処理部1112は、現在時刻から旋回操作信号の出力を停止した場合に、アーム132の先端が積込位置P07に到達するか否かを判定する(ステップS35)。なお、旋回体120は、旋回操作信号の出力の停止後、減速しながらも慣性により旋回し続け、その後停止する。現在時刻から旋回操作信号の出力を停止した場合に、アーム132の先端が積込位置P07に到達する場合(ステップS35:YES)、移動処理部1112は、旋回操作信号を生成しない。つまり、現在時刻から旋回操作信号の出力を停止した場合に、アーム132の先端が積込位置P07に到達する場合、移動処理部1112は、旋回操作信号の出力を禁止する。これにより、旋回体120は減速を始める。
他方、現在時刻から旋回操作信号の出力を停止した場合に、アーム132の先端が積込位置P07より手前で停止することになる場合(ステップS35:NO)、移動処理部1112は、旋回操作信号を生成する(ステップS36)。
【0058】
ステップS27からステップS36の処理でブーム131、アーム132およびバケット133の回動操作信号、並びに旋回体120の旋回操作信号の少なくともいずれか1つを生成すると、操作信号出力部1113は、生成した操作信号を油圧装置127に出力する(ステップS37)。
【0059】
そして、車両情報取得部1101は、車両情報を取得する(ステップS38)。これにより、車両情報取得部1101は、出力した操作信号によって作動した後の車両情報を取得することができる。制御装置128は、処理をステップS31に戻し、操作信号の生成を繰り返し実行する。
【0060】
他方、ステップS27にて、アーム132の先端部の位置Pが積込位置P07に至った場合(ステップS27:YES)、移動処理部1112は、ダンプ操作信号を生成し、操作信号出力部1113は、ダンプ操作信号を油圧装置127に出力する(ステップS39)。これにより、バケット133に収容された土砂は、積込対象200に積み込まれる。なお、アーム132の先端部の位置Pが積込位置P07に至ったとき、旋回体120の旋回は停止している。
【0061】
これにより、制御装置128は、自動掘削積込制御を終了する。または制御装置128は、処理をステップS1に戻し、積込対象200の積載量が最大積載量を超えない範囲で、自動掘削積込制御を繰り返し実行する。
【0062】
《作用・効果》
このように、第1の実施形態に係る制御装置128は、積込対象200の位置および形状に基づいて積込対象200より所定距離だけ外側の位置である干渉回避位置P02を特定し、バケット133が干渉回避位置P02に到達するまで旋回体120のみを駆動させてバケット133を干渉回避位置P02へ移動させる。その後、制御装置128は、旋回体120および作業機130を駆動させてバケット133を掘削対象上の掘削位置P05へ移動させる。これにより、制御装置128は、積込対象200とバケット133との干渉を防止しながら、バケット133の刃先を掘削点P22へ移動させることができる。
【0063】
また、第1の実施形態に係る制御装置128は、バケット133が干渉回避位置P02に到達した後に旋回体120および作業機130を駆動させてバケット133を掘削位置P05より上方の旋回終了位置P04へ移動させる。その後、制御装置128は、作業機130のみを駆動させてバケット133を掘削位置P05へ移動させる。これにより、バケット133の刃先を、刃の伸びる方向に沿って掘削対象に当てることができる。なお、旋回しながらバケット133を掘削対象に当てると、バケット133の刃に横方向の力が掛かり、刃の摩耗および作業機130の曲がりが生じやすくなる。
【0064】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、第1の実施形態に係る制御装置128は、積込点P21を、深度情報を用いて特定するが、これに限られない。他の実施形態に係る制御装置128は、深度情報を用いずに、積込対象200に位置方位演算器を設けて、積込対象特定部1106は積込対象200の位置方位演算器が出力する積込対象200の位置と方位と形状を受信して、積込位置特定部1111は積込点P21を特定してもよい。
また、第1の実施形態に係る制御装置128は、掘削点P22を深度情報を用いて特定するが、これに限られない。他の実施形態に係る制御装置128は、掘削位置特定部1109は掘削点P22をオペレータが教示できるようにして特定してもよい。具体的には、掘削位置特定部1109はオペレータが手動操作にて掘削操作を行ったときの掘削位置を記憶して、掘削点P22としてもよい。あるいは、運転室121内に、掘削点P22を指示するタッチパネル式のデータ入力端末装置を備えて、掘削位置特定部1109はデータ入力端末装置から指示されたデータを受信して、掘削点P22を特定してもよい。
また、第1の実施形態に係る制御装置128は、自動掘削積込制御を行うが、これに限られない。他の実施形態に係る制御装置128は自動掘削制御を行い、積込作業がオペレータの手動操作によって行われてもよい。 また、第1の実施形態に係る制御装置128は、掘削点P22を特定して、掘削点P22への旋回操作のあとに掘削操作を実行するが、これに限らず、制御装置128は、掘削点P22への旋回操作までを実行して制御を終了し掘削作業がオペレータの手動操作によって行われてもよい。
また、第1の実施形態に係る制御装置128は、バケット133は積込対象200の上方に位置する空荷旋回開始位置P01にあって自動掘削積込制御を開始するが、これに限られない。他の実施形態に係る制御装置128は、バケット133は掘削終了位置P05´’にあって、自動掘削積込制御を開始すると、バケット133を干渉回避位置P02を通過して積込位置P07へ移動して、ダンプ操作をした後に、バケット133を干渉回避位置P02を通過して掘削点P22へ移動してもよい。
【0065】
また、第1の実施形態に係る制御装置128の積込対象特定部1106は、深度情報から生成されたマップ情報に基づいて積込対象200の位置および形状を特定するが、これに限られない。例えば、他の実施形態において、積込対象200がGNSSなどによる測位機能を有する場合、積込対象特定部1106は、車車間通信により、ローディングポイントに到着した積込対象200からその位置および方位に係る情報を受信することで、積込対象200の位置および形状を特定してもよい。また他の実施形態において、積込対象200が管制システムによって制御される無人車両である場合、積込対象特定部1106は、管制システムから積込対象200の位置および方位に係る情報を受信することで、積込対象200の位置および形状を特定してもよい。
【0066】
また、第1の実施形態に係る積込機械100はバケット133を備えるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る積込機械100は、バックオールとクラムシェルとを開閉可能に備えるクラムバケットを備えるものであってもよい。
【0067】
また、第1の実施形態に係る積込機械100は、オペレータが搭乗して操作する有人運転車両であるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る積込機械100は、遠隔の事務所にいるオペレータがモニタの画面を見ながら操作する遠隔操作装置から、通信により取得する操作信号によって作動する遠隔運転車両であってもよい。この場合、制御装置128の一部の機能が遠隔操作装置に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0068】
100…積込機械 110…走行体 120…旋回体 121…運転室 122…運転席 123…操作装置 124…検出装置 125…位置方位演算器 126…傾斜計測器 127…油圧装置 128…制御装置 130…作業機 131…ブーム 132…アーム 133…バケット 134…ブームシリンダ 135…アームシリンダ 136…バケットシリンダ 137…ブームストロークセンサ 138…アームストロークセンサ 139…バケットストロークセンサ 1100…プロセッサ 1200…メインメモリ 1300…ストレージ 1400…インタフェース 1101…車両情報取得部 1102…検出情報取得部 1103…操作信号入力部 1104…バケット位置特定部 1105…マップ生成部 1106…積込対象特定部 1107…回避位置特定部 1108…掘削対象特定部 1109…掘削位置特定部 1110…下げ停止判定部 1111…積込位置特定部 1112…移動処理部 1113…操作信号出力部 200…積込対象 P01…空荷旋回開始位置 P02…干渉回避位置 P03…下げ停止位置 P04…旋回終了位置 P05…掘削位置 P05´…掘削終了位置 P06…積荷旋回開始位置 P07…積込位置 P21…積込点 掘削点P22
【手続補正書】
【提出日】2022-10-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回中心回りに旋回する旋回体と、バケットを有し前記旋回体に取り付けられた作業機とを備える積込機械の制御装置であって、
前記バケットが、上方からの平面視において運搬車両と干渉しない位置に到達するまで、前記作業機を下げる操作信号の出力を禁止し、前記バケットが前記干渉しない位置に到達した後、前記作業機を下げる操作信号を出力する移動処理部
を備える積込機械の制御装置。
【請求項2】
前記移動処理部は、前記バケットが前記干渉しない位置に到達するまで前記バケットを水平に移動させる操作信号を出力する
請求項1に記載の積込機械の制御装置。
【請求項3】
前記移動処理部は、前記バケットが前記干渉しない位置に到達するまで前記旋回体のみを駆動させる操作信号を出力する
請求項1または請求項2に記載の積込機械の制御装置。
【請求項4】
前記干渉しない位置は、前記運搬車両の位置および形状に基づいて特定される
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の積込機械の制御装置。
【請求項5】
前記積込機械は、検出方向に存在する対象物の位置を検出する検出装置を備え、
前記検出装置の検出結果に基づいて前記運搬車両の位置および形状を特定する積込対象特定部を備える
請求項4に記載の積込機械の制御装置。
【請求項6】
旋回中心回りに旋回する旋回体と、バケットを有し前記旋回体に取り付けられた作業機とを備える積込機械を遠隔操作する遠隔操作システムであって、
前記バケットが、上方からの平面視において運搬車両と干渉しない位置に到達するまで、前記作業機を下げる操作信号の出力を禁止し、前記バケットが前記干渉しない位置に到達した後、前記作業機を下げる操作信号を出力する移動処理部
を備える遠隔操作システム。
【請求項7】
旋回中心回りに旋回する旋回体と、バケットを有し前記旋回体に取り付けられた作業機とを備える積込機械の制御方法であって、
前記バケットが、上方からの平面視において運搬車両と干渉しない位置に到達するまで、前記作業機を下げる操作信号の出力を禁止するステップと、
前記バケットが前記干渉しない位置に到達した後、前記作業機を下げる操作信号を出力するステップと、
を備える積込機械の制御方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、積込機械の制御装置、遠隔操作システム、および制御方法に関する。