(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168311
(43)【公開日】2022-11-07
(54)【発明の名称】ケレップ交換補助具
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20221028BHJP
F16L 55/00 20060101ALI20221028BHJP
F16L 55/18 20060101ALI20221028BHJP
F16K 43/00 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
E03C1/042 Z
E03C1/042 H
F16L55/00 C
F16L55/18 B
F16L55/00 Z
F16K43/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073710
(22)【出願日】2021-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】506228250
【氏名又は名称】株式会社アクアリンク
(74)【代理人】
【識別番号】100167081
【弁理士】
【氏名又は名称】本谷 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】荒井 俊輔
【テーマコード(参考)】
2D060
3H066
【Fターム(参考)】
2D060BB03
2D060BC00
2D060BF00
3H066AA01
3H066BA19
3H066BA38
(57)【要約】
【課題】
本発明の基本的目的は、主開閉弁を閉じることなく、かつ、周囲に実質的に水道水を飛散させることなくケレップを交換できるケレップ交換補助具を提供することである。
【解決手段】
蛇口本体のスピンドル保持孔に連なると共に、ケレップが通過可能な脱着通路が形成され、かつ当該脱着通路を開閉する弁体を有する補助具本体を蛇口本体に取り付ける。弁体が脱着通路を開いた状態において、ケレップを弁体部を通過する位置まで引き出した後、弁体によって脱着通路を閉じる。この後、新ケレップを脱着通路に位置させる。弁体を開弁位置へ移動させた後、新ケレップを脱着通路からスピンドル保持孔へ進行させて装着することにより、スピンドル保持孔56からの水道水の流出がほとんど無い状態でケレップの交換をすることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛇口本体(20)のスピンドル保持孔(56)に交換可能に組み込まれたケレップ(22)を交換するためのケレップ交換補助具であって、
少なくとも、
前記蛇口本体(20)に取付けられ、前記スピンドル保持孔(56)に連なると共に、前記ケレップ(22)が通過可能な脱着通路(102、2102)と、前記脱着通路(102、2102)を開弁または閉弁する弁体(104、2104)を有する補助具本体(106、2106)を含む
ことを特徴とするケレップ交換補助具。
【請求項2】
前記弁体(104)は、仕切弁(120)である
ことを特徴とする請求項1のケレップ交換補助具。
【請求項3】
前記弁体(104)は、ボール弁(300)である
ことを特徴とする請求項1に記載したケレップ交換補助具。
【請求項4】
前記スピンドル保持孔(56)と前記脱着通路(102、2102)は同一の軸線(116)上に配置されている
ことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載したケレップ交換補助具。
【請求項5】
前記蛇口本体(20)と前記補助具本体(106、2106)の間に、前記蛇口本体(20)に対し前記補助具本体(106、2106)が前記軸線(116)の回りに相対回転可能に支持される相対回転装置(108)を含む
ことを特徴とする請求項4に記載したケレップ交換補助具。
【請求項6】
さらに、一部が前記脱着通路(102、2102)に配置されて前記ケレップ(22)の一部に接続可能であって、他部が前記脱着通路(102、2102)外に配置されるケレップ脱着具(114)を含む
ことを特徴とする請求項5に記載したケレップ交換補助具。
【請求項7】
前記補助具本体(106、2106)の下流側に前記脱着通路(102、2102)に接続する中空の下流側保留通路(230)を有する下流側流出抑制装置(112)が設けられ、前記ケレップ脱着具(114)が前記下流側保留通路(230)を密に貫通している
ことを特徴とする請求項6に記載したケレップ交換補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓におけるケレップ交換作業を、水道の元栓を閉じることなく可能にするケレップ交換補助具に関する。
特に、水道の蛇口におけるケレップ交換作業を、水道の元栓を閉じること無く、かつ、水道水を多量に流出させること無く可能にするケレップ交換補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
図14に示すように、一般家庭や事業場等の各需用者における水道10の配管は、配水本管から配水支管(図示せず)を介して各需用者における給水管12に水道メータ14及び主開閉弁(元栓)16が介設された後、台所、洗面所等における個別の蛇口18に接続される。
図15に示すように、蛇口18は、主に、蛇口本体20と、ケレップ22、及び、スピンドル52によって構成されている。蛇口18における水の吐出、停止は一般的には、ケレップ(水栓コマ)22が用いられ、当該ケレップ22は円盤状のパッキン受部24と弁パッキン26によって構成されている。当該弁パッキン26が摩耗し、水漏れが生じるようになった場合には、ケレップ22を交換する。次に蛇口18の概要を
図15を参照しつつ説明する。蛇口本体20は、通常、壁28に埋設された金属又は樹脂からなる水道管(図示せず)に一端部がねじ込まれ、固定される。蛇口本体20は、全体的には中空であって、内部の中間に形成された区画壁32によって給水管12に連なる入口30たる入口部通路34と、吐出口36に連なる出口部通路38に区画されている。したがって、蛇口18は入口部通路34と出口部通路38とよりもなる通水路40を含んでいる。区画壁32には入口部通路34と出口部通路38を接続する円形の連通孔42が形成され、連通孔42の出口部通路38側の周縁にはリング状の弁座44が形成されている。換言すれば、通水路40の途中には弁座44が配置されている。連通孔42の軸線46と同軸に出口部通路38に所定の角度をもって連通するスピンドル収納筒48が形成され、スピンドル52が螺合されるスピンドル雌ねじ部54がその内面に形成されている。換言すれば、出口部通路38に対し交差する方向にスピンドル保持孔56が形成され、当該スピンドル保持孔56の中間にスピンドル雌ねじ部54が形成されている。スピンドル52は、大径部にスピンドル雄ねじ部58が形成され、下端部にケレップ装着穴60が軸線46に沿って形成されている。スピンドル雄ねじ部58がスピンドル雌ねじ部54に螺合され、ねじ込み方向に回転される場合、ケレップ22は弁座44に近づき、緩み方向に回転される場合、座金62から離隔される。スピンドル52の中間には座金62及び三角パッキン64が装着され、キャップナット66の下端部内面に形成されたキャップナット雌ねじ部68がスピンドル収納筒48の上端部外周面に形成された収納筒雄ねじ部72に螺合されて保持される。スピンドル52の上端部小径部70の端部にハンドル74が装着され、ビス76によって固定されている。なお、ハンドル74は、上端部小径部70の先端のセレーション部70sに嵌合されているので、上端部小径部70には、当該セレーション部70sも含むものである。ケレップ22のパッキン受部24は、上端部が小径の円柱部78、中間が弁座44よりも大径の円盤状のパッキン受部24が形成され、パッキン受部24の端面に円形の弁パッキン26が固定されている。これにより、ハンドル74を回してスピンドル雄ねじ部58がねじ込み方向に回転された場合、スピンドル雌ねじ部54との協働によって、弁パッキン26が弁座44へ圧接されて蛇口18は閉止状態となり、吐出口36からの水の流出は停止される。一方、ハンドル74がスピンドル雄ねじ部58の緩み方向に回転された場合、弁パッキン26は弁座44から離れて吐出口36から水道水が勢いよく流出することになる。
【0003】
弁パッキン26が摩耗して弁座44に密着せず、漏水状態になった場合、ケレップ22を交換する必要がある。ケレップ22の交換作業を
図16及び
図17を参照しつつ説明する。まず
図16(A)に示すように、ビス76を緩めてハンドル74をスピンドル52の上端部小径部70の上端部から取り外し、次いで、同図(B)に示すようにキャップナット66を緩めて収納筒雄ねじ部72(スピンドル収納筒48)から取り外す。次いで、
図17に示すように、スピンドル52を緩み方向に回してスピンドル雄ねじ部58とスピンドル雌ねじ部54との螺合を解消した後、スピンドル収納筒48からスピンドル52を抜き出す。スピンドル52を抜き出した際、ケレップ22が一体的に抜き出され、又は、ケレップ22がスピンドル収納筒48内に残留する。残留したケレップ22はピンセット等によってつまみだし、新しいケレップ22の円柱部78をケレップ装着穴60に挿入した後、前述と逆の手順でケレップ22を蛇口本体20に組み付ける。通常、この交換作業は、主開閉弁16を閉じた状態で行なわれる。スピンドル保持孔56から水道水の漏出による周囲への飛散防止、床面の浸水防止、及び、作業の容易化のためである。しかしながら、多くの蛇口18が設置された工場や食堂の厨房等においては、主開閉弁16と多数の蛇口18との間の配管が複雑に設置されている場合があり、蛇口18に対応する主開閉弁16を探し出すことが困難な場合がある。また、主開閉弁16と蛇口18との距離が離れている場合もあり、作業の効率化のため、主開閉弁16を閉止せずともケレップ22を容易に交換できるようにすることが強く要請されている。また、室内に蛇口18が設置されている場合は、ケレップ22の交換に伴う浸水問題を生じないことは必須の要件である。さらに、ハンドル74は、通常、上側に付いているが、希に、逆の下側に配置されている場合もあり、ハンドル74の位置限らず、主開閉弁16を閉じること無く、ケレップ22の交換を出来るようにすることが要請されていた。これらの要請を達成するため、以下の技術が提案されている。
【0004】
第1の従来技術として、略縦長ボール形状の布袋を形成し、該布袋の一方側面中央部に水平方向に突出した開口を設け、該開口部に近接して、開口の片側縁部にロープを上下方向に均等長さにふりわけた中央部を固着し、布袋の他方側面中央部に縦方向に設けたチャックと、上端部に設けた仮止栓と、該仮止栓付近に設けたドライバーと、下端部に設けたネットよりなり、既存の水道蛇口を、上記の開口より布袋内部に封止し、既存の水道蛇口のコマパッキングを、新コマパッキングに入れ替える事を特徴とするコマパッキング取替え具が知られている(特許文献1)。
【0005】
第2の従来技術として、止水栓の止水栓コマ及び上部セットの交換作業に好適なディープソケット形状の水道工具であって、ソケット部の口径側の外周端縁部からガイド用周壁が突設されている水道工具が知られている(特許文献2)。
【0006】
第3の従来技術として、配管の先端部に取り付けられたドレンキャップなどの締結具を緩めたり外す場合に、万が一内圧が作用していても漏れた液体や気体を作業者にかからないようにしながら締結具を外すことができ、作業の安全性を向上させるため、螺子部を有するドレンキャップなどの締結具に係合する係合部をロッド部の先端側に有した本体部と、該本体部に装着されて前記係合部の周囲を囲繞するカバー部材とを具備してなり、該カバー部材の前記本体部側と反対側に前記締結具を挿通自在な開口部を形成した被液などの防止カバー付レンチが知られている(特許文献3)。
【0007】
第4の従来技術として、本出願人の出願に係る、内部に入口から吐出口へ連通されると共に、途中に弁座が形成された通水路と、前記通水路に交差するよう設けられ、中間にスピンドル雌ねじ部が設けられたスピンドル保持孔が形成されると共に、前記スピンドル保持孔の周囲にキャップナット螺合用の収納筒雄ねじ部が設けられた蛇口本体と、外周にスピンドル雄ねじ部が設けられ、端部に一体的に移動可能、かつ、分離可能にケレップが装着され、前記スピンドル雄ねじ部が前記スピンドル雌ねじ部に螺合されて前記弁座に接近又は離隔可能に前記ケレップ保持孔に保持されるスピンドルと、前記収納筒雄ねじ部に螺合され、前記スピンドルを前記ケレップ保持孔に保持するキャップナット、を含み、前記ケレップの弁パッキンを前記弁座に圧接又は離隔させることにより前記吐出口からの水道水の吐出を制御するようにした蛇口用のケレップ交換補助具であって、前記収納筒雄ねじ部に装着可能な被装着体と、前記被装着体に着脱可能な装着体と、前記装着体に付設され、作業者の手が挿入可能な開口を有する集水カバーと、を含むケレップ交換補助具が知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4740311号(段落0007~0014,
図1~
図8)
【特許文献2】実用新案登録第3197807号(段落0009~0026,
図1-
図3)
【特許文献3】特開2005-125434(段落0006~0012,
図1-
図4)
【特許文献4】特開2019-94710(段落0012,
図1-
図13)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
第1の従来技術においては、略縦長ボール形状の布袋内に水道蛇口を収納した後、ロープで当該布袋を水道蛇口に括り付ける。次いで、布袋の縦方向に設けたチャックを空けてそこから手を挿入し、古いケレップ(コマ)を取り外した後、新しいケレップを装着し、元の状態に戻す。本第1の従来技術においては、作業開始前に布袋をロープで水道蛇口にロープで括り付け、終了後は当該ロープを取り外す必要があり、極めて煩雑である。また、主開閉弁を閉じないでケレップの交換を行った場合、スピンドル保持孔から流出する水道水は布袋に阻止されて広範囲に飛散することはないが、布袋の底部はネットであることから、床面に落下することは明らかである。落下した床面が排水構造又は屋外である場合、問題は無いが、その他の場合は床面が浸水すると共に、水道蛇口のハンドルが逆さまに設置された場合も同様にロープで水道蛇口に布袋を括り付けなければならず、俄に採用しがたい。
【0010】
第2の従来技術においては、ソケット部の口径側の外周端縁部からガイド用周壁が突設されているので、当該ガイド用周壁に案内させてケレップ等の交換作業ができ、主開閉弁が閉弁されておらず、水道水がスピンドル孔から勢いよく噴出する場合であっても、作業が容易に行える利点があるが、ソケット部(スピンドル保持孔)から流出した水道水は、貫通孔を介して周囲へ流出し、床面を浸水するため、第1の従来技術と同様に俄に採用しがたい。
【0011】
第3の従来技術においては、締結具に係合する係合部をロッド部の先端側に有した本体部と、該本体部に装着されて前記係合部の周囲を囲繞するカバー部材とを具備してなり、該カバー部材の前記本体部側と反対側に前記締結具を挿通自在な開口部が形成されているので、ドレンキャップを緩めた際に、パイプから想定しないタイミングで液体等が漏れた場合であっても、吹き出した液体や気体はカバー部材の内面に当たってカバー部材の内部を伝わり、カバー部材の開口部から外に流れ落ちるか外部に出るので、作業者への悪影響を回避できる利点はあるが、カバー部材は締付具に係合する本体部と一体であるので、締付具と分離して作業が必要なケレップ交換作業においては俄に採用しがたい問題がある。
【0012】
第4の従来技術においては、ケレップの収納筒の外周面に形成された収納筒雄ねじ部に被装着体を係合し,当該被装着体に着脱可能な装着体を用いて集水カバーを取り付けるので、作業性は向上するが、集水カバー内で高圧水が流出する中で交換作業を行う必要があるので、更なる改善が要望されている。
【0013】
本発明の基本的目的である第1の目的は、主開閉弁を閉じること無く、かつ、周囲に水道水を実質的に流出させることなくケレップを交換できるケレップ交換補助具を提供することである。したがって、第1の目的が本発明の基本的目的であるので、少なくとも本第1の目的を達成できる場合、本発明の技術的範囲に属するものであり、以下に記載する従的な目的を達成する必要性はない。
本発明の従的な目的である第2の目的は、主開閉弁を閉じること無く、かつ、周囲に水道水を飛散させることなく、更に、狭い場所でも利用できるケレップ交換補助具を提供することである。
なお、ケレップは、従来技術において説明したように、スピンドルに着脱可能に装着される構成の他、スピンドルとケレップが一体化された構成があり、本発明は両構成とも対象にするものである。
また、当然のことながら、本発明は主開閉弁を閉じた状態で用いることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するため、請求項1にかかる第1の発明は以下のように構成されている。
蛇口本体のスピンドル保持孔に交換可能に組み込まれたケレップを交換するためのケレップ交換補助具であって、少なくとも、前記蛇口本体に取付けられ、前記スピンドル保持孔に連なると共に、前記ケレップが通過可能な脱着通路と、前記脱着通路を開弁または閉弁する弁体を有する補助具本体を含むことを特徴とするケレップ交換補助具である。
【0015】
請求項2に係る第2の発明は、以下のように構成されている。
前記弁体は、仕切弁である ことを特徴とする第1の発明のケレップ交換補助具である。
【0016】
請求項3に係る第3の発明は、以下のように構成されている。
前記弁体は、ボール弁であることを特徴とする第1の発明のケレップ交換補助具である。
【0017】
請求項4に係る第4の発明は、以下のように構成されている。
前記スピンドル保持孔と前記脱着通路は同一軸線上に配置されていることを特徴とする第1~第3の発明のケレップ交換補助具である。
【0018】
請求項5に係る第5の発明は、以下のように構成されている。
前記蛇口本体と前記補助具本体の間に、前記蛇口本体に対し前記補助具本体が前記軸線回りに相対回転可能に支持される相対回転装置を含むことを特徴とする第4の発明のケレップ交換補助具である
【0019】
請求項6に係る第6の発明は、以下のように構成されている。
さらに、一部が前記脱着通路に配置されて前記ケレップの一部に接続可能であって、他部が前記脱着通路外に配置されるケレップ脱着具を含む ことを特徴とする第5の発明のケレップ交換補助具である。
【0020】
請求項7に係る第7の発明は、以下のように構成されている。
前記補助具本体の下流側に前記脱着通路に接続する中空の下流側保留通路を有する下流側流出抑制装置が設けられ、前記ケレップ脱着具が前記下流側保留通路を密に貫通している ことを特徴とする第6の発明のケレップ交換補助具である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係る第1の発明において、ケレップを交換する場合、主開閉弁を閉じること無く、ハンドルを外した後、蛇口本体からキャップナットを外す。次いで、蛇口本体に直接または間接的に補助具本体を取り付け、スピンドル保持孔に連なる脱着通路を構成する。補助具本体には、脱着通路を開弁または閉弁可能に弁体が配置され、蛇口本体に取り付ける際には開弁状態にされる。この状態でスピンドル保持孔からケレップを取出し、脱着通路へ引き出す。ケレップが脱着通路における弁体位置を通過した後、弁体によって脱着通路を閉弁する。したがって、弁体による脱着通路の閉弁が完了する迄の間、スピンドル保持孔からの水道水の流出はあるが、脱着通路とケレップの間の隙間は小さいので、流出量は少ない。次に交換用のケレップを脱着通路へ挿入した後、弁体を開弁させ、ケレップをスピンドル保持孔へ移動させた後、装着する。ケレップをスピンドル保持孔へ移動させる場合も水道水の流出があるが、前述同様に流出量は少ない。したがって、ケレップが脱着通路を通過する際は水道水が脱着通路とケレップとの間の隙間を経由して流出するが、それ以外は、脱着通路は閉弁されるので流出しない。よって、脱着通路、したがって、スピンドル保持孔からの水道水の流出を制限できるので、本発明の基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。
【0022】
請求項2に係る第2の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であることから、第1の目的を達成できる。さらに、第2の発明において、前記弁体は、仕切弁である。仕切弁は、脱着通路の閉口または開口を確実に行うことができる利点がある。
【0023】
請求項3に係る第3の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であることから、第1の目的を達成できる。さらに、第3の発明において、前記弁体はボール弁である。ボール弁は、小角度の操作で開閉弁できるので、迅速に脱着通路を開閉でき、水道水の流出量を減らすことができる利点がある。
【0024】
請求項4に係る第4の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であることから、第1の目的を達成できる。さらに、第4の発明においては、前記スピンドル保持孔と前記脱着通路は同一軸線上に配置されている。これによって、スピンドル保持孔と脱着通路は直線的に配置されるので、ケレップを直線的に移動できることから、脱着作業が容易である利点がある。
【0025】
請求項5に係る第5の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であることから、第1の目的を達成できる。さらに、第5の発明においては、前記蛇口本体と前記補助具本体の間に、前記補助具本体が前記蛇口本体に対し前記軸線回りに相対回転可能に支持する相対回転装置を含む。これにより、補助具本体を蛇口本体に取り付け、または取り外す際、補助具本体を回転させることなく、相対回転装置を回転させて蛇口本体に係止することができるので、狭い場所でも利用できることから、第2の目的を達成できる利点がある。
【0026】
請求項6に係る第6の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であるので、本発明の基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。さらに、一部が前記脱着通路に配置されて前記ケレップの一部に接続可能であって、他部が前記脱着通路外に配置されるケレップ脱着具を含む。これによって、ケレップ脱着具を用いてケレップを引き出し、または装着できるので、脱着通路からの水道水の流出の抑制を十分に行う事が出来、より一層水道水の流出を抑制できる利点がある。
【0027】
請求項7に係る第7の発明において、基本的構成は第1の発明と同一であるので、本発明の基本的目的たる第1の目的を達成できる利点がある。さらに、前記補助具本体の下流側に前記脱着通路に接続する中空の下流側保留通路を有する下流側流出抑制装置が設けられ、前記ケレップ脱着具が前記下流側保留通路を密に貫通している。この構成によって、ケレップが脱着通路を通過する際に、スピンドル保持孔から流出する水道水は、下流側流出抑制装置の下流側保留通路内に密封され、当該下流側保留通路部から流出することができない。よって、より一層水道水の流出を抑制できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1のケレップ交換補助具の分解正面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例1のケレップ交換補助具の分解断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1のケレップ交換補助具の補助具本体の部分断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例1のケレップ交換補助具に用いる相対回転装置であり、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は分解断面図、(D)は(A)中のX―X線断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例1のケレップ交換補助具の下流側流出防止装置であり、(A)は正面図、(B)は(A)中のY―Y線断面図、(C)は分解断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例1のケレップ交換補助具の脱着具であり、(A)は正面図、(B)は一部断面図、(C)は頭部片の正面図、(D)は(C)中のD―D線断面図、(E)は(B)中E―E線断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例1のケレップ交換補助具を用いたケレップ交換作業の説明図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例1のケレップ交換補助具を蛇口本体に取り付けた状態の説明断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施例1のケレップ交換補助具を用いてケレップを引き上げた状態の説明断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施例1のケレップ交換補助具を用いてケレップを引き上げた後、脱着通路を閉弁した状態の説明図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施例1のケレップ交換補助具を用いてケレップを交換する際の説明断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施例2のケレップ交換補助具の断面図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施例2のケレップ交換補助具を用いてケレップを交換する際の説明断面図である。
【
図14】
図14は、従来技術を説明するための家庭における水道配管の説明図である。
【
図15】
図15は、従来技術を説明するための蛇口本体の縦断面図である。
【
図16】
図16は、従来のケレップ交換手順を説明するための縦断面図であり、(A)はハンドルを取り外した状態、(B)はキャップナットを取り外した状態である。
【
図17】
図17は、従来のケレップ交換手順を説明するための縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明におけるケレップ交換補助具の最良の形態は、蛇口本体のスピンドル保持孔に交換可能に組み込まれたケレップを交換するためのケレップ交換補助具であって、
少なくとも、
前記蛇口本体に取付けられ、前記スピンドル保持孔に連なると共に、前記ケレップが通過可能な脱着通路と、前記脱着通路を開弁または閉弁する弁体を有する補助具本体を含み、
前記弁体は、仕切弁であり、
前記スピンドル保持孔と前記脱着通路は同一軸線上に配置され、
前記蛇口本体と前記補助具本体の間に、前記蛇口本体に対し前記補助具本体が前記軸線回りに相対回転可能に支持される相対回転装置を含み、
さらに、一部が前記脱着通路に配置されて前記ケレップの一部に接続可能であって、他部が前記脱着通路外に配置されるケレップ脱着具を含み、
前記補助具本体の下流側に前記脱着通路に接続する中空の下流側保留通路を有する下流側流出抑制装置が設けられ、前記ケレップ脱着具が前記下流側保留通路を密に貫通している
ことが好ましい。
【実施例0030】
まず実施例1のケレップ交換補助具100を
図1~
図11を参照して説明する。なお、従来技術において説明した構成と同一部位には同一符号を付して説明を省略し、異なる構成を説明する。
本実施例1におけるケレップ交換補助具100は水道の蛇口18に取り付け、主開閉弁16を閉弁せずに、スピンドル保持孔56からの水道水の流出を可及的に抑制しつつ、ケレップ22を交換できるようにする機能を有する。本実施例1においては、少なくとも、蛇口本体20に取付けられ、スピンドル保持孔56に連なると共に、ケレップ22が通過可能な脱着通路102と、前記脱着通路102を開閉する弁体104を有する補助具本体106を含んでいる。本実施例1は、さらに、相対回転装置108、および下流側流出抑制装置112、およびケレップ脱着具114を含んでいる。
【0031】
まず、補助具本体106を主に
図3を参照しつつ説明する。
補助具本体106は、脱着通路102が形成されると共に、当該脱着通路102を開弁または閉弁する弁体104が配置され、かつ蛇口本体20に直接または間接的に装着される機能を有する。本実施例1において、補助具本体106は、大凡筒型であって、中心部に第1軸線116を有する円柱状の脱着通路102が形成されている。補助具本体106は、金属、樹脂等によって形成されている。補助具本体106には、弁体104が脱着通路102を開閉弁するように設けられている。
本実施例1の補助具本体106には、蛇口本体20に取り付けるための蛇口取付部118、下流側取付部122、および弁体取付部124が同一の第1軸線116上に形成されている。
【0032】
まず、脱着通路102を説明する。
脱着通路102は、スピンドル保持孔56に直接的、または間接的に接続され、交換される旧ケレップ22、または新ケレップ22が移動され、および弁体104によって当該脱着通路102は開弁され、または閉弁される機能を有する。本実施例1において、脱着通路102は、ケレップ22、したがって、ケレップ22が装着されるスピンドル52の外径よりも僅かに大きな直径Dを有する円形断面の通路に形成されている。円形断面の通路であるから、換言すれば、円柱状の通路である。脱着通路102の上流側の上流側脱着通路101には蛇口取付部118が形成され、下流側の下流側脱着通路103には下流側取付部122が形成されている。上流側脱着通路101と下流側脱着通路103は、脱着通路102の第1軸線116と同軸に円形に形成されているが、直径は脱着通路102よりも大きい。
【0033】
次に弁体104を説明する。
弁体104は、脱着通路102を閉弁、または開弁する機能を有する。本実施例1において、弁体104は、仕切弁120である。なお、本明細書において開弁とは、弁体104によって邪魔されることなく、脱着通路102をケレップ22、具体的にはスピンドル52が通過可能な状態をいい、閉弁とは、弁体104によって脱着通路102が遮断され、水道水が流出できない状態をいう。本実施例1において、弁体104は、板状の弁体であり、仕切弁120を構成する。よって、弁体104は、脱着通路102を横切るように横断した場合、当該脱着通路102を閉弁し、脱着通路102から退出して後述する弁体通路136に全体が位置した場合、当該脱着通路102を開弁することになる。
【0034】
次に蛇口取付部118を説明する。
蛇口取付部118は、蛇口本体20に直接的または間接的に取り付けられる機能を有する。具体的には、直接的または間接的にスピンドル収納筒48に装着される。本実施例1においては、スピンドル収納筒48の上端部に形成された収納筒雄ねじ部72に螺合可能な蛇口側雌ねじ部119が脱着通路102の上流側に隣接して形成されている。したがって、補助具本体106は、蛇口側雌ねじ部119を蛇口本体20の収納筒雄ねじ部72に螺合することにより直接的に、又は後述する相対回転第2体174に形成された相対回転第2体取付穴部184を介して蛇口側雌ねじ部119に間接的に、容易に外れないように取り付けることが出来る。しかしながら、蛇口取付部118は、蛇口側雌ねじ部119に限らず、スピンドル保持孔56から流出する水道水の流出を抑止できる構成であれば、異なる構成を採用することができる。
【0035】
次に下流側取付部122を説明する。
下流側取付部122は、下流側流出抑制装置112が取り付けられる機能を有する。しかし、下流側取付部122は設けずとも良い。本実施例1において下流側取付部122は、弁体104よりも下流側の脱着通路102に連通する通路を形成する下流側流出抑制装置112の一端部が螺合される下流側雌ねじ部128によって構成されている。しかしながら、下流側取付部122は下流側雌ねじ部128に限らず、水道水の流出を抑制しつつ下流側流出抑制装置112を取り付けることができる他の構造を採用することができる。
よって、補助具本体106には、上流側脱着通路101、脱着通路102、および下流側脱着通路103が同一の第1軸線116上に配置され、断面が円形であって、かつ所定の長さを有する一直線状の通路が構成されている。本実施例1においては、規格化された仕切弁120が用いられているため、蛇口側雌ねじ部119および下流側雌ねじ部128ともテーパーねじが採用されている。したがって、これらに螺合される相対回転第2体雄ねじ部206、及び接続体第1雄ねじ部222もテーパーねじが採用される。テーパーねじを螺合させる場合、シーリングテープを雄ねじ部
【0036】
次ぎに弁体取付部124を主に
図3を参照しつつ説明する。
弁体取付部124は、弁体104を収納すると共に、脱着通路102を開弁し、または閉弁する弁体機構部132が取り付けられる機能を有する。本実施例1において、弁体取付部124は、脱着通路102から横向きに延在される弁体通路136を構成するように、筒状に構成されている。
【0037】
次に弁体通路136を説明する。
弁体通路136は、弁体104が脱着通路102を開弁するように脱着通路102から退避できる機能を有する。本実施例1において、弁体通路136は、脱着通路102の第1軸線116に対し直交する第2軸線134に沿って形成された中空部である。
【0038】
次ぎに弁体機構部132を主に
図3を参照しつつ説明する。
弁体機構部132は、弁体104を脱着通路102を開弁または閉弁するように移動させる機能を有する。本実施例1において弁体機構部132は、機構部本体142、弁体移動ねじ部144、静止ねじ部146、弁棒148、手回しハンドル152、弁体係止部154、および閉止キャップ156を含んでいる。
【0039】
次ぎに機構部本体142を説明する。
機構部本体142は、弁体移動ねじ部144、静止ねじ部146、弁棒148、および閉止キャップ156が形成または保持される機能を有する。本実施例1において、機構部本体142は、中空部158を有する円筒状であって、フランジ形状の弁体取付部124に固定される。中空部158は弁体通路136に連通され、内周面に静止ねじ部146が形成されている。中空部158は、第2軸線134を軸線として円形に形成されている。
【0040】
次に弁体移動ねじ部144を説明する。
弁体移動ねじ部144は、静止ねじ部146に螺合され、自身の回転によって、
図2において左右方向、換言すれば、弁体104を閉弁し、または開弁する機能を有する。本実施例1において、弁体移動ねじ部144は、中空部158内に配置された弁棒148の中間に固定され、外周面に静止ねじ部146に螺合可能なねじ部を構成された円柱体である。
【0041】
次ぎに静止ねじ部146を説明する。
静止ねじ部146は、弁体移動ねじ部144に螺合し、当該弁体移動ねじ部144を弁棒148の回転によって第2軸線134に沿って移動させる機能を有する。本実施例1においては、静止ねじ部146は、機構部本体142の中空部158の内面に形成されたねじ部である。
【0042】
次に、弁棒148を説明する。
弁棒148は、弁体移動ねじ部144に対し同軸状態に固定され、手回しハンドル152の回転を受けて静止ねじ部146に対して相対回転する機能を有する。本実施例1において弁棒148は直状の丸棒であり、大部分は中空部158内に配置され、先端部は機構部本体142の外側に突出している。
【0043】
次に手回しハンドル152を説明する。
手回しハンドル152は、弁棒148を第2軸線134の回りに回転させる機能を有する。本実施例1においては弁棒148の先端に固定された手回し用のハンドルである。手回しハンドル152は同様の機能を有する他の構成を採用することができる。
【0044】
次に弁体係止部154を説明する。
弁体係止部154は、弁棒148を弁体104に対し相対回転自在に関係付けると共に、第2軸線134の延在方向に一体的に移動させる機能を有する。本実施例1において、弁体係止部154は、弁棒148の先端に固定した円盤体であり、弁体104に形成された係止穴162に、相対回転、及び一体移動可能に挿入される。弁体係止部154の端部によって形成され、弁棒148よりも周方向へ突出するフランジ部が係止穴162の鉤部164に係止されることによって、弁体104は弁棒148に対し相対回転可能、かつ第2軸線134に沿って一体的に移動される。
【0045】
次に閉止キャップ156を説明する。
閉止キャップ156は、弁棒148が機構部本体142から脱落しないように保持する機能を有する。本実施例1において、閉止キャップ156は、倒立鍋型型であって、底部の中心部に弁棒148が貫通する貫通穴166が形成され、周壁内面に形成された雌ねじ部を機構部本体142の先端部外周面に形成された雄ねじ部に螺合することにより、着脱可能に取り付けられる。弁体移動ねじ部144は貫通穴166を通過出来ないので、閉止キャップ156によって、弁棒148は機構部本体142に保持される。
【0046】
以上の構成によって、手回しハンドル152を締め込み方向へ回転させることにより、弁体移動ねじ部144が静止ねじ部146に対し、
図2において右方へ移動し、弁体係止部154に押された弁体104は、右方へ移動され、脱着通路102を横断し、弁体104の先端が脱着通路102の壁面に接して閉弁される。逆に手回しハンドル152を緩め方向へ回転させることにより、弁体移動ねじ部144が
図2において左方へ移動され、弁体係止部154の端部によって鉤部164を係止して弁体104を左方へ移動させ、弁体104を弁体通路136へ移動させて脱着通路102を開弁する。
【0047】
次に相対回転装置108を主に
図4を参照しつつ説明する。
相対回転装置108は、補助具本体106を蛇口本体20に対し相対回転自在に取り付ける機能を有する。換言すれば、相対回転装置108は、補助具本体106を蛇口本体20に対し間接的に取り付ける機能を有する。蛇口本体20は固定状態に配置され、壁面に近接配置されているため、補助具本体106を収納筒雄ねじ部72に螺合する際、収納筒雄ねじ部72の回りに回転させることが出来ない場合がある。このような場合であっても、相対回転装置108を用いることによって、補助具本体106を蛇口本体20に対し回転させることなく螺合させることが出来る利点がある。したがって、相対回転装置108は、同一機能を有する他の構成に変更することができる。本実施例1において、相対回転装置108は、相対回転第1体172、相対回転第2体174、及び保持体176を含んでいる。
【0048】
まず、相対回転第1体172を説明する。
相対回転第1体172は、一部が蛇口本体20に対し係止され、他部は相対回転第2体174を回転自在に保持する機能を有する。本実施例1において、相対回転第1体172は、円筒状体であって、第3軸線200を共通軸線とし、蛇口取付穴部178、中継穴部182、および相対回転第2体取付穴部184の順に形成されている。
【0049】
次に、蛇口取付穴部178を説明する。
蛇口取付穴部178は、蛇口本体20に取り付けられる機能を有する。本実施例1において、蛇口取付穴部178は第3軸線200の回りに形成された断面が円形の穴部であり、内周面に収納筒雄ねじ部72に螺合可能な相対回転第1体雌ねじ部186が形成されている。蛇口取付穴部178に相対する相対回転第1体172の外面には、相対回転第1体工具係止部180が形成されている。
【0050】
次に、相対回転第1体工具係止部180を説明する。
相対回転第1体工具係止部180は、工具を係止して、相対回転第1体172を蛇口本体20に対し回転させ、または静止状態に保持する機能を有する。本実施例1において、相対回転第1体工具係止部180は六角ナット形状に形成されている。しかしながら、相対回転第1体工具係止部180は同様の機能を有する異なる構成をとることができる。
【0051】
次に、相対回転第2体取付穴部184を説明する。
相対回転第2体取付穴部184は、相対回転第2体174を回転自在に支持する機能を有する。本実施例1において相対回転第2体取付穴部184は、蛇口取付穴部178よりも大径の円形に形成され、端部内面にスナップリング溝188が形成されている。
【0052】
次に、中継穴部182を説明する。
中継穴部182は、蛇口取付穴部178と相対回転第2体取付穴部184との間に形成された円形の穴であり、スピンドル52がぎりぎりに通過できる直径Dに形成されている。これによって、蛇口取付穴部178と相対回転第2体取付穴部184との間にフランジ状に段部192が形成される。スピンドル保持孔56からの水道水の流出を防止するため、段部192に係止して、蛇口取付穴部178にパッキン194を配置することが好ましい。
【0053】
次に、相対回転第2体174を説明する。
相対回転第2体174は、補助具本体106に一体化されると共に、相対回転第1体172に対し、相対回転第1体172と同軸の第3軸線200の回りに相対回転可能に保持される機能を有する。本実施例1において、相対回転第2体174は、円筒状体であり、中心部に直径Dの相対回転第2体脱着通路196が形成されている。相対回転第2体174の外面の一端部にはフランジ部198が形成され、他端部には補助具取付部202が形成され、それらの間には相対回転第2体工具係止部204が形成されている。
【0054】
次に、フランジ部198を説明する。
フランジ部198は、相対回転第2体取付穴部184の直径よりも僅かに小径の円形リング形に形成され、相対回転第2体取付穴部184内において、中継穴部182と同一の第3軸線200回りに回転可能である。
【0055】
次に、補助具取付部202を説明する。
補助具取付部202は、ケレップ交換補助具100を構成する補助具本体106が取り付けられる機能を有する。本実施例1において補助具取付部202は、蛇口側雌ねじ部119が螺合される相対回転第2体雄ねじ部206が形成される。したがって、補助具取付部202は同様の機能を有する他の構成を採用することができる。
【0056】
次に、相対回転第2体工具係止部204を説明する。
相対回転第2体工具係止部204は、工具を係止して、相対回転第2体174を相対回転第1体172に対し第3軸線200回りを回転させ、または静止状態に保持する機能を有する。本実施例1において、相対回転第2体工具係止部204は六角ナット形状に形成されている。しかしながら、相対回転第2体工具係止部204は同様の機能を有する異なる構成をとることができる。
【0057】
次に、保持体176を説明する。
保持体176は、相対回転第2体174を相対回転第1体172に対し回転可能、かつ離脱しないように一体化する機能を有する。本実施例1において保持体176は、スナップリング溝188に外周縁部が挿入されるリング状のスナップリング208である。
【0058】
相対回転装置108は、相対回転第2体174のフランジ部198が相対回転第2体取付穴部184に挿入された後、スナップリング208をスナップリング溝188に装着することにより、フランジ部198が、スナップリング208と段部192との間に挟まれて、第3軸線200の回りに回転自在であるが、相対回転第2体取付穴部184から離脱する軸線方向の移動は制限される構成を採用することで実質的に一体に構成される。これによって、相対回転装置108は、中継穴部182、及び相対回転第2体脱着通路196が直径Dを有する一つの相対回転装置脱着通路210を構成する。
【0059】
この構成によって、相対回転装置108は、相対回転第1体172の相対回転第1体雌ねじ部186を収納筒雄ねじ部72に螺合させる際、相対回転第2体174が静止状態であっても、第3軸線200回りに回転させて螺合させることができる。また、相対回転第1体172を収納筒雄ねじ部72から離脱させる際、相対回転第2体174を静止させた状態で相対回転第1体172を第3軸線200回りに回転させて収納筒雄ねじ部72から離脱させることができる。逆に、相対回転第1体172が静止状態であっても、相対回転第2体174を回転させて補助具本体106の蛇口側雌ねじ部119に螺合させることができ、当該螺合を解除することができる。
【0060】
次に、下流側流出抑制装置112を主に
図5を参照しつつ説明する。
下流側流出抑制装置112は、脱着通路102から流出する水道水の外部への流出を抑制する機能を有する。本実施例1において下流側流出抑制装置112は、接続体212、ケレップ保留体214、および抑制装置キャップ216を含んでいる。しかしながら、下流側流出抑制装置112は同様の機能を有する他の構成を採用することができる。
【0061】
まず、接続体212を説明する。
接続体212は、補助具本体106に接続され、ケレップ保留体214が取り付けられる機能を有する。本実施例1において接続体212は、中心部に直径Dの接続体脱着通路218が形成された円筒状であって、外周面の一端部に補助具本体106の下流側雌ねじ部128に螺合するための接続体第1雄ねじ部222、他端部に形成された接続体第2雄ねじ部224、およびそれらの間に形成された接続体工具係止部226を有する。接続体脱着通路218は、脱着通路102の下流側に連通し、脱着通路102の延長通路として機能する。接続体工具係止部226は、工具を係止して接続体212を軸線回りに回転、または静止させる機能を有し、本実施例1においては六角ナット形状に形成されているが、同様の機能を有する他の構造を採用することができる。
【0062】
次に、ケレップ保留体214を説明する。
ケレップ保留体214は、スピンドル保持孔56から引き出し、脱着通路102を通過させたケレップ22、したがって、スピンドル52を、弁体104によって脱着通路102を閉弁する間、保留させる機能を有する。本実施例1においてケレップ保留体214は、直径Dであって、所定の長さで真っ直ぐのびる保留体脱着通路228を有する円筒体232である。ケレップ保留体214の一端部内面には、接続体第2雄ねじ部224に螺合可能な保留体雌ねじ部234が形成されている。また、ケレップ保留体214の外周面には、保留体工具係止部236および保留体雄ねじ部238が形成されている。保留体工具係止部236は、工具を係止してケレップ保留体214を接続体212に対し第4軸線240回りに相対回転させる機能を有し、本実施例1においては六角ナット形状に形成されているが、同様の機能を有する他の構成を採用することができる。
【0063】
次に、抑制装置キャップ216を説明する。
抑制装置キャップ216は、保留体脱着通路228からの水道水の流出を抑制する機能を有する。本実施例1において抑制装置キャップ216は、倒立平鍋型であって、底部の中央に係止工具貫通孔242が形成され、円筒壁部の内周面に保留体雄ねじ部238に螺合するキャップ雌ねじ部244が形成され、外周面にキャップ工具係止部246が形成されている。キャップ工具係止部246は、本実施例1においては六角ナット形状に形成されているが、同様の機能を有する他の構成を採用することができる。抑制装置キャップ216の内部に嵌め合わされるように、キャップパッキン248が装着される。
【0064】
次に、キャップパッキン248を説明する。
キャップパッキン248は、ケレップ脱着具114が密接した状態で摺動可能であり、保留体脱着通路228からの水道水の流出を防止する機能を有する。本実施例1においてキャップパッキン248は、皿形であって、中央にケレップ脱着具114の棒体254が密接状体で摺動可能に貫通するパッキン貫通孔252が形成されている。棒体254はパッキン貫通孔252に密に摺接し、これらの間から水道水が実質的に漏れないように構成されている。
【0065】
接続体212の接続体第2雄ねじ部224にケレップ保留体214の保留体雌ねじ部234を螺合した場合、直径Dの接続体脱着通路218の延長上に同一直径Dの保留体脱着通路228が位置するので、一の下流側保留通路230を構成する。
【0066】
この構成によって、接続体212を補助具本体106の下流側雌ねじ部128に螺合させた状態で、ケレップ保留体214を回転させることで下流側雌ねじ部128に対し保留体雌ねじ部234を螺合または螺合を解除し、ケレップ保留体214を接続体212に対して着脱することができる。
【0067】
本実施例1において、ケレップ22を交換するために、補助具本体106、相対回転装置108、および下流側流出抑制装置112を組み合わせた場合、スピンドル保持孔56、蛇口取付穴部178、相対回転第2体脱着通路196、脱着通路102、接続体脱着通路218、保留体脱着通路228、パッキン貫通孔252および係止工具貫通孔242の軸線は、同一の第1軸線116上に位置する。
【0068】
次に、ケレップ脱着具114を主に
図6を参照しつつ説明する。
ケレップ脱着具114は、下流側流出抑制装置112と共に用いることにより、ケレップ22の交換のための操作、およびケレップ交換時の水道水の流出を大幅に抑制し、実質的に水道水が流出しないようにする機能を有する。
ケレップ脱着具114は、脱着通路102を経由してケレップ22、したがってスピンドル52をスピンドル保持孔56から離脱させ、またはスピンドル保持孔56へ装着するために用いる専用工具である。本実施例1においてケレップ脱着具114は、少なくとも、棒体254、およびケレップ保持具256を含んでいる。
【0069】
まず棒体254を説明する。
棒体254は、ケレップ保持具256が一端に固定され、頭部片258が他端に固定される機能を有する。本実施例1において棒体254は、金属の所定の直径及び長さを有する真っ直ぐな中空管によって構成されている。
【0070】
次にケレップ保持具256を説明する。
ケレップ保持具256は、ケレップ22が装着されるスピンドル52の先端たる上端部小径部70を着脱可能に固定する機能を有する。本実施例1において、ケレップ保持具256は、一端面に開口262を有する第2中空部264を構成する円筒体であり、底面部に固定された円柱266を棒体254の一端に挿入することにより、棒体254に固定される。ケレップ保持具256の周面には、第4軸線240を指向するように、120度間隔で3つのねじ穴268a~268cが形成されている。これらねじ穴268a~268cにはそれぞれねじ272a~272cが螺合され、先端をスピンドル52の上端部小径部70に圧接させることにより、スピンドル52をケレップ保持具256に一体化することができる。なお、ねじ272a~272c先端の圧接部は、上端部小径部70の上端部のセレーション部70sであってもよい。
【0071】
次に頭部片258を説明する。
頭部片258は、棒体254を容易にパッキン貫通孔252を貫通させることができるようにする機能を有する。本実施例1において頭部片258は、先端を円錐形に形成した円錐部274と、当該円錐部274の下方に所定の長さで延在する円柱体276により構成されている。円柱体276の端部には、円柱体276を横断するように、係止孔278が形成されている。円柱体276が棒体254の一端の中空部に挿入され、係止孔278および棒体254を横断する工具係止穴282が形成されている。この工具係止穴282に棒状工具284を貫通させ、棒状工具284を操作することにより、棒体254を第4軸線240回りに回転させ、スピンドル52を回転させることができる。しかしながら、頭部片258は、その頂部が平たんであってもよい。
【0072】
次ぎに本発明に係る実施例1のケレップ交換補助具100を用いてケレップ22を交換する作業を
図7~
図10をも参照しつつ説明する。本説明において、蛇口18は通常の設置状態である。すなわち、吐出口36が下向きであって、スピンドル保持孔56が上向きの状態において垂立する壁28に設置されているものとする。
【0073】
まず、ケレップ交換補助具100を準備する。
補助具本体106の蛇口側雌ねじ部119に、相対回転装置108の相対回転第2体雄ねじ部206を螺合する。この際、オーリング等によって接続部から水漏れしないようにすることが好ましい。これによって、補助具本体106に相対回転装置108が一体化される。この螺合作業の際、相対回転第2体工具係止部204に工具を係止して回転させることにより、螺合する事ができる。
次に補助具本体106の下流側雌ねじ部128に、接続体212の接続体第1雄ねじ部222を螺合する。この螺合作業の際、接続体工具係止部226に工具を係止して締め付けることにより、螺合することができる。
次いで接続体212の接続体第2雄ねじ部224に、抑制装置キャップ216が螺合されたケレップ保留体214の保留体雌ねじ部234を螺合する。この螺合作業の際、保留体工具係止部236に工具を係止して締め付けることにより、螺合する事ができる。
これによって、補助具本体106に下流側流出抑制装置112が一体化され、相対回転装置脱着通路210、脱着通路102、および下流側保留通路230が一直線に整列され、直径Dを有する一直線のケレップ脱着通路250が形成される。
最後に、ケレップ脱着具114の先端部の頭部片258をパッキン貫通孔252に貫通させることにより、補助具本体106、相対回転装置108、下流側流出抑制装置112、およびケレップ脱着具114が一体化され、ケレップ交換補助具100が構成される。当然のことながら、弁体104は、開弁位置に保持される。
また、通常は、ケレップ交換補助具100として一体化した状態で持ち運びすることができるので、前述した組立作業は不要である。
しかしながら、前述のように、ケレップ交換補助具100として組み立てることなく、補助具本体106、相対回転装置108、下流側流出抑制装置112及びケレップ脱着具114を個別に準備した後、ケレップ脱着具114、相対回転装置108、補助具本体106、および下流側流出抑制装置112を順次組み付けてもよい。
【0074】
次に蛇口18側の交換準備作業を行う。
まず、従来技術において説明したように、ビス76を取り外してハンドル74をスピンドル52の上端部小径部70の先端から取り外す。
【0075】
次いで、キャップナット66をスパナ等の工具を用いて緩めて収納筒雄ねじ部72とキャップナット雌ねじ部68の螺合を解除し、スピンドル収納筒48から取り外す。
【0076】
次いで、三角パッキン64及び座金62を取り外す。この状態において、スピンドル52は、スピンドル雄ねじ部58がスピンドル雌ねじ部54に螺合され、弁座44に弁パッキン26が密着されているので、水道水がスピンドル保持孔56から流出することはない。
【0077】
次いで、ケレップ交換補助具100のケレップ脱着具114を上端部小径部70に装着する。具体的には、ケレップ脱着具114のケレップ保持具256を、相対回転第1体172の蛇口取付穴部178から突出させた状態において、上端部小径部70の先端に被せ、ねじ穴268a~268cにねじ272a~272cを螺合し、上端部小径部70の先端に圧着してスピンドル52にケレップ脱着具114を一体化する。
図7に示す状態がこの状態である。これによって、スピンドル52の延長上にケレップ脱着具114が一体化されて位置する。これにより、ケレップ脱着具114を第4軸線240回りに回転させることにより、上端部小径部70を介してスピンドル52を軸線回りに回転させることができる。
【0078】
次いで、相対回転装置108をスピンドル収納筒48に装着する。具体的には、一体化された、補助具本体106、相対回転装置108および下流側流出抑制装置112をケレップ脱着具114に沿わせて下方へ下ろした後、相対回転第1体雌ねじ部186をスピンドル収納筒48の外周面の収納筒雄ねじ部72に螺合させ、スピンドル収納筒48の先端によって押動されてパッキン194が変形するまでねじ込む。この螺合作業の際、相対回転第1体172は、相対回転第2体174に対して相対回転することができるので、補助具本体106と相対回転第2体174を静止させた状態でねじ込むことができる。また、このねじ込みの際、相対回転第1体工具係止部180にスパナ等の工具を係止してねじ込み作業を行うことができる。
【0079】
これによって、スピンドル保持孔56に連続し、相対回転装置脱着通路210、脱着通路102、および下流側保留通路230が一直線に整列された直径Dを有する一直線のケレップ脱着通路250が形成される。
図8に示す状態がこの状態である。
【0080】
次いで、ケレップ脱着具114を棒状工具284等を用いてスピンドル雌ねじ54およびスピンドル雄ねじ58の緩め方向に回転させる。
これにより、スピンドル雄ねじ58がスピンドル雌ねじ54から離脱し、スピンドル保持孔56から引き出すことができる状態になる。
【0081】
次に、ケレップ脱着具114に係止した棒状工具284を持って引き上げる。これによって、ケレップ22、したがってスピンドル52を相対回転装置脱着通路210、および脱着通路102を介して、接続体脱着通路218および保留体脱着通路228からなる下流側保留通路230へ移動させることができる(
図9)。なお、ケレップ22とスピンドル52のケレップ装着穴60は、密に嵌め込まれた摩擦接触のみであるが、水道水の圧力によって、ケレップ22はスピンドル52と一体に移動する。この際、スピンドル52の外周と相対回転装置脱着通路210、脱着通路102の内周面との隙間はそれほど大きくなく、また、棒体254とパッキン194のパッキン貫通孔252とは密接しているので、水道水は実質的に漏れることはない。
【0082】
次に、手回しハンドル152を回して弁体104を脱着通路102へ進出させ、
図10に示すように、脱着通路102を閉弁する。すなわち、手回しハンドル152の回転によって弁棒148、したがって、弁体移動ねじ部144が静止ねじ部146に対して相対回転されるので、弁体移動ねじ部144が脱着通路102側へ移動する。これによって、弁棒148も脱着通路102側へ移動することから、弁体係止部154が弁体104を脱着通路102を横断するように移動させ、最終的に、脱着通路102を閉弁する。これにより、スピンドル保持孔56から流出する水道水は、脱着通路102を通って流出することが出来ない。換言すれば、スピンドル保持孔56から水道水が流出することはない。
【0083】
次に、ケレップ保留体214、抑制装置キャップ216、ケレップ脱着具114およびスピンドル52を一体として補助具本体106から取りはずす。すなわち、接続体212の接続体工具係止部226に工具を係止して静止状態を維持した状態において、保留体工具係止部236に工具を係止してケレップ保留体214を緩め方向へ回転させて、保留体雌ねじ部234を接続体第2雄ねじ部224から離脱させる。これにより、
図11に示すように、古いケレップ22の円柱部78をケレップ装着穴60から抜き出し、古いケレップ22を取り出外すことができる。ケレップ22が接続体脱着通路218に残った場合、指先又は工具で円柱部78を摘まんで取り出す。
【0084】
次に、交換用ケレップ22の円柱部78をケレップ装着穴60に挿入した後、下流側流出抑制装置112を構成するケレップ保留体214の保留体雌ねじ部234を接続体212の接続体第2雄ねじ部224に螺合する。これにより、
図10に示す状態になる。
【0085】
次に、手回しハンドル152を緩め方向へ回転させ、弁体104を脱着通路102から退出させる。これにより、弁体104の位置は
図9に示す状態になる。これにより、スピンドル保持孔56から流出した水道水は、下流側保留通路230に流入するが、パッキン194によってパッキン貫通孔252から流出することはない。
【0086】
次に、棒体254を下方へ移動させ、脱着通路102に次いで相対回転装置脱着通路210を通過させてケレップ22、したがってスピンドル52をスピンドル収納筒48の端部に突き当たるまで押し下げる。
【0087】
次に、棒体254を棒状工具284を用いて第1軸線116(第4軸線240)の回りに回転させてスピンドル52をスピンドル雌ねじ54に螺合する。ある程度螺合した後、相対回転第1体172の相対回転第1体工具係止部180に工具を係止し、相対回転第1体雌ねじ部186と収納筒雄ねじ部72の螺合を解除する。この作業の際、相対回転第1体172は相対回転第2体174に対して相対回転させることができるので、補助具本体106を第1軸線116回りに回転させる必要はない。これにより、補助具本体106及び相対回転装置108を蛇口本体20から取り外し可能になる。この際、ケレップ脱着通路250内に保留されていた水道水が流出するので、蛇口18の下方に落下水のための容器または吸収体を設置しておくことが好ましい。床面への落下を防止するためである。
【0088】
相対回転第1体雌ねじ部186と収納筒雄ねじ部72の螺合解除後、一体化されている相対回転装置108、補助具本体106、及び下流側流出抑制装置112を上方へ引き上げ、
図7に示すように、ケレップ保持具256を相対回転第1体172の下端開口から露出させる。
【0089】
次に、ねじ272a~272cを緩め、上端部小径部70の先端に対する圧着を解除してケレップ脱着具114をスピンドル52から取り外す。
【0090】
次に、スピンドル52を上端部小径部70を利用して更にスピンドル雌ねじ54にねじ込んで標準状態に装着する。
【0091】
次に、スピンドル収納筒48の上端部に座金62、及び、三角パッキン64を設置し、キャップナット66のキャップナット雌ねじ部68を収納筒雄ねじ部72に螺合する。
【0092】
次に、ハンドル74を上端部小径部70のセレーション部70sに嵌め合わせ、ビス76をねじ込んで脱落しないように固定する。これによって、ケレップ22の交換作業は終了する。本実施例1において、ケレップ22を交換する場合、スピンドル保持孔56、相対回転装置脱着通路210、脱着通路102、および下流側保留通路230は実質的に密閉状態に保たれるから、スピンドル保持孔56から流出した水道水が、実質的に流出することはない。
次ぎに第2補助具本体2106を第2ケレップ脱着具2114に被せた後、下方へ移動させ、第2蛇口側雌ねじ部2118を収納筒雄ねじ部72に螺合する。この場合、第2補助具本体2106をスピンドル収納筒48の回りに回転させる。ボール弁300である場合、実施例1における仕切弁120よりも小型化が可能であるため、第2補助具本体2106を第6軸線SL22回りに回転させる場合の制約は少ない。
次に第2手回しハンドル2152を操作して第5軸線SL21回りに回転軸302を90度回転させる。結果、ボール弁300は90度回転され、第2脱着通路2102を閉弁する。これによって、スピンドル保持孔56から流出する水道水は、第2弁体2104たるボール弁300によって閉止される。
次に、第2手回しハンドル2152を操作して第2弁体2104を開弁させる。これにより、第2上流側脱着通路2101と第2脱着通路2102が連通される。この際も第2下流側脱着通路2103とスピンドル52との隙間通って水道水が流出するが、隙間は狭いので、流出量は制限される。
次に第2補助具本体2106を収納筒雄ねじ部72に対し緩め方向へ回動させて第2蛇口側雌ねじ部2118の螺合を解除した後、第2補助具本体2106を上方へ引き上げ、第2補助具本体2106をスピンドル収納筒48から取り外す。
実施例2は、ケレップ22の交換の際、水道水がスピンドル保持孔56から流出することは避けられないが、流出量は少なく、少量の流出が許される状況においては、作業が簡単化される利点がある。
以上の説明から明らかなように、本発明は、少なくとも、蛇口本体20に取付けられ、スピンドル保持孔56に連なると共に、ケレップ22が通過可能な脱着通路102、2102と、この脱着通路102、2102を開弁または閉弁する弁体104、2104を有する補助具本体106、2106を構成要件とする。また、相対回転装置108を蛇口本体20と補助具本体106、2106の間に介在させた場合、ケレップ交換の作業性が向上することから、好ましい実施形態である。さらに、下流側保留通路230を有する下流側流出抑制装置112を用いることにより、実質的にスピンドル保持孔56からの水道水を流出させることがないので、より一層好ましい実施形態である。なお、本発明は、前述した実施例に限らず、本発明の技術的思想の範囲内で変更が可能である。また、補助具本体106、相対回転装置108、下流側流出抑制装置112、ケレップ脱着具114自体、およびそれらの接続部からの水漏れを防止するため、適宜オーリング、シーリングテープ等の水漏れ防止手段を採用することが好ましい。