(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168336
(43)【公開日】2022-11-07
(54)【発明の名称】マンコンベヤ
(51)【国際特許分類】
B66B 21/04 20060101AFI20221028BHJP
B66B 29/08 20060101ALI20221028BHJP
【FI】
B66B21/04 Z
B66B29/08 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144295
(22)【出願日】2022-09-12
(62)【分割の表示】P 2020109036の分割
【原出願日】2020-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 晉治
(57)【要約】
【課題】 物を乗せるスペースを十分に確保することができるマンコンベヤを提供する。
【解決手段】 マンコンベヤは、人を搬送する基本コンベヤと、基本コンベヤの横に並べ
られ、物を搬送する補助コンベヤと、を備え、補助コンベヤは、物を乗せて搬送する搬送
面を備え、搬送面は、物の搬送方向に沿って、平坦状に構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人を搬送する基本コンベヤと、
前記基本コンベヤの横に並べられ、物を搬送する補助コンベヤと、を備え、
前記補助コンベヤは、物を乗せて搬送する搬送面を備え、
前記搬送面は、物の搬送方向に沿って、平坦状に構成され、
前記基本コンベヤは、乗せた人を水平方向に対して傾斜する方向に搬送するために、階段状に構成される複数の踏面を備え、
前記踏面は、水平方向に沿って配置され、
前記搬送面は、物を水平方向に搬送するために、水平方向に対して平行な方向に沿って配置される部分と、物を水平方向に対して傾斜する方向に搬送するために、水平方向に対して傾斜する方向に沿って配置される部分と、を含み、
水平方向に対する物の搬送方向の最大傾斜角は、水平方向に対する人の搬送方向の最大傾斜角よりも、大きい、マンコンベヤ。
【請求項2】
前記搬送面の滑り抵抗係数は、前記踏面の滑り抵抗係数よりも、大きい、請求項1に記載のマンコンベヤ。
【請求項3】
前記補助コンベヤが物を搬送する速度は、前記基本コンベヤが人を搬送する速度よりも、遅い、請求項1又は2に記載のマンコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、マンコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、マンコンベヤは、人を搬送する基本コンベヤと、基本コンベヤの横に並べられ、物を搬送する補助コンベヤとを備えている(例えば、特許文献1及び2)。そして、補助コンベヤは、物を乗せて搬送する複数のステップを備えており、複数のステップは、階段状に構成されている。しかしながら、斯かる構成によれば、物を乗せるスペースを十分に確保することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62-218386号公報
【特許文献2】実開昭64-584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、課題は、物を乗せるスペースを十分に確保することができるマンコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
マンコンベヤは、人を搬送する基本コンベヤと、前記基本コンベヤの横に並べられ、物を搬送する補助コンベヤと、を備え、前記補助コンベヤは、物を乗せて搬送する搬送面を備え、前記搬送面は、物の搬送方向に沿って、平坦状に構成される。
【0006】
また、マンコンベヤにおいては、前記基本コンベヤは、乗せた人を水平方向に対して傾斜する方向に搬送するために、階段状に構成される複数の踏面を備え、前記踏面は、水平方向に沿って配置され、前記搬送面は、物を水平方向に対して傾斜する方向に搬送するために、水平方向に対して傾斜する方向に沿って配置され、前記搬送面の滑り抵抗係数は、前記踏面の滑り抵抗係数よりも、大きい、という構成でもよい。
【0007】
また、マンコンベヤにおいては、前記基本コンベヤは、乗せた人を水平方向に対して傾斜する方向に搬送するために、階段状に構成される複数の踏面を備え、前記踏面は、水平方向に沿って配置され、前記搬送面は、物を水平方向に対して傾斜する方向に搬送するために、水平方向に対して傾斜する方向に沿って配置され、水平方向に対する物の搬送方向の最大傾斜角は、水平方向に対する人の搬送方向の最大傾斜角よりも、小さい、という構成でもよい。
【0008】
また、マンコンベヤにおいては、前記補助コンベヤは、上流側に、物が下方を通過する規制部を備える、という構成でもよい。
【0009】
また、マンコンベヤにおいては、前記補助コンベヤが物を搬送する速度は、前記基本コンベヤが人を搬送する速度よりも、遅い、という構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るマンコンベヤの概要図である。
【
図6】
図6は、他の実施形態に係るマンコンベヤの概要図である。
【
図7】
図7は、さらに他の実施形態に係るマンコンベヤの制御ブロック図である。
【
図8】
図8は、さらに他の実施形態に係るマンコンベヤの制御ブロック図である。
【
図9】
図9は、さらに他の実施形態に係る補助コンベヤの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、マンコンベヤにおける一実施形態について、
図1~
図5を参照しながら説明する。なお、各図(
図6~
図9)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0012】
図1に示すように、マンコンベヤ10は、人を搬送する基本コンベヤ1と、基本コンベヤ1の横に並べられ、物を搬送する補助コンベヤ11とを備えている。なお、基本コンベヤ1が人を搬送する方向は、人搬送方向D4といい、補助コンベヤ11が物を搬送する方向は、物搬送方向D5という。
【0013】
また、各図において、第1方向D1は、水平方向であって、前後方向D1といい、第2方向D2は、水平方向で且つ前後方向D1と直交する方向であって、幅方向D2といい、第3方向D3は、鉛直方向であって、上下方向D3という。なお、前後方向D1において、内側は、マンコンベヤ10の前後方向D1の中心に近い側となり、外側は、マンコンベヤ10の前後方向D1の中心から遠い側となる。
【0014】
図1及び
図2に示すように、基本コンベヤ1は、躯体に設置される構造体2と、人を人搬送方向D4へ搬送する人搬送部3と、人搬送部3を幅方向D2で挟むように配置される一対の欄干部4,4とを備えている。また、基本コンベヤ1は、人搬送部3及び欄干部4を駆動させる第1駆動部5と、各部3,4,5を制御する制御部6とを備えている。
【0015】
人搬送部3は、第1駆動部5に駆動されることによって無端回転する環状のチェーン3aと、チェーン3aに対して回転可能に接続され、人が乗る踏面3bを有する複数のステップ3cとを備えている。チェーン3aは、幅方向D2に離れて一対設けられている(
図2においては、一つのみ図示している)。
【0016】
複数のステップ3cは、一対のチェーン3a,3aの間に配置され、それぞれのチェーン3aに対して回転可能に接続されている。そして、人が水平方向に対して傾斜する方向へ搬送されるために、複数の踏面3bは、人搬送領域1aにおいて、階段状に構成されている。即ち、基本コンベヤ1は、人搬送領域1aにおいて複数の踏面3bが階段状に構成されるエスカレータである。
【0017】
これにより、人搬送領域1aにおいて、複数の踏面3bのそれぞれは、水平方向に沿って配置されている。なお、人搬送領域1aとは、ステップ3cの踏面3bが上向きに露出している領域であって、人が踏面3bに乗ることによって人搬送部3に搬送される領域である。
図2において、人搬送領域1aは、破線で図示されている。
【0018】
また、特に限定されないが、本実施形態においては、人搬送方向D4は、人搬送領域1aの前後方向D1の両端部で、水平方向に沿う方向となっており、人搬送領域1aの前後方向D1の中間部で、水平方向に対して傾斜する方向となっている。なお、例えば、人搬送方向D4は、人搬送領域1aの前後方向D1の全長に亘って、水平方向に対して傾斜する方向となっていてもよく、また、例えば、人搬送領域1aの前後方向D1の中間部の一部で、水平方向に沿う方向になっていてもよい。
【0019】
第1駆動部5は、ステップ3cが反転するようにチェーン3aが巻き掛けられる一対の第1回転部(例えば、スプロケット)5a,5aと、第1回転部5aを回転させる駆動源(例えば、モータ)5bと、駆動源5bの駆動を第1回転部5aに伝達させる第1伝達部5cとを備えている。そして、第1回転部5aが駆動源5bの駆動によって回転するため、ステップ3cは、走行する。
【0020】
また、基本コンベヤ1は、人搬送部3の前後方向D1の両側に、人が乗り降りするための人乗降部7を備えている。例えば、人搬送部3が人を斜め上方へ搬送する場合に、下方の人乗降部7は、人乗り部となり、上方の人乗降部7は、人降り部となる。そして、人乗降部7は、構造体2を上方から覆うように、構造体2に取り付けられる床プレート7aを備えている。なお、床プレート7aは、水平方向に沿って配置されている。
【0021】
図1及び
図3に示すように、補助コンベヤ11は、躯体に設置される構造体12と、物を物搬送方向D5へ搬送する物搬送部13と、物搬送部13を駆動させる第2駆動部14と、物搬送部13の前後方向D1の両外側に、物が乗り降りするための物乗降部15,15とを備えている。また、補助コンベヤ11は、各部13,14を制御する制御部6(
図2参照)を備えている。
【0022】
なお、補助コンベヤ11の構造体12は、例えば、基本コンベヤ1の構造体2と一体構造であってもよく、また、例えば、別体構造であってもよい。また、補助コンベヤ11の制御部6は、例えば、基本コンベヤ1の制御部6と一体構造であってもよく、また、例えば、別体構造であってもよい。
【0023】
物搬送部13は、第2駆動部14に駆動されることによって無端回転する走行部13aを備えている。走行部13aは、物を乗せて無端回転することによって、物を搬送する搬送面13bを備えている。なお、特に限定されないが、本実施形態のように、走行部13aは、平ベルトで構成されていてもよい。また、特に限定されないが、走行部13aは、本実施形態のように、一つ備えられていてもよく、また、例えば、物搬送方向D5に複数並べられていてもよい。
【0024】
搬送面13bは、物搬送方向D5に沿って、平坦状に構成されている。具体的には、物が水平方向に対して傾斜する方向へ搬送されるために、搬送面13bは、水平方向に対して傾斜する方向に沿って、平坦状に延びている。これにより、物搬送領域11aにおいて、搬送面13bは、水平方向に対して傾斜する方向沿って、配置されている。
【0025】
その結果、物を乗せるスペースを搬送面13bに十分に確保することができるため、例えば、長さの長い物を搬送面13bに乗せて搬送することができる。なお、物搬送領域11aとは、搬送面13bが上向きに露出している領域であって、物が搬送面13bに乗ることによって物搬送部13に搬送される領域である。
図3において、物搬送領域11aは、破線で図示されている。
【0026】
特に限定されないが、本実施形態においては、物搬送方向D5は、物搬送領域11aの前後方向D1の全長に亘って、水平方向に対して傾斜する方向となっている。なお、例えば、物搬送方向D5は、物搬送領域11aの前後方向D1の両端部で、水平方向に沿う方向となっていてもよく、また、例えば、物搬送領域11aの前後方向D1の中間部の一部で、水平方向に沿う方向になっていてもよい。
【0027】
また、特に限定されないが、搬送面13bが水平方向に対して傾斜する方向に連続して沿って配置される範囲は、例えば、物搬送領域11aの前後方向D1の30%以上の範囲としてもよい。なお、特に限定されないが、搬送面13bの当該範囲は、例えば、物搬送領域11aの前後方向D1における、50%以上の範囲であることが好ましく、また、例えば、70%以上の範囲であることがさらに好ましく、また、例えば、90%以上の範囲であることが非常に好ましい。
【0028】
ところで、物を乗せるスペースが搬送面13bに十分に確保されるため、大き過ぎる物が搬送面13bに乗って搬送された場合に、補助コンベヤ11で物を安定して搬送できない虞がある。そこで、補助コンベヤ11は、上流側に、内部を通過する規制手段16を備えている。規制手段16は、物が下方を通過する第1規制部16aと、幅方向D2に離れて配置され、物が互いの間を通過する一対の第2規制部16b,16bとを備えている。
【0029】
そして、第1規制部16aによって、高さの高い物が搬送面13bに侵入することを規制することができるため、例えば、補助コンベヤ11で物を安定して搬送することができる。特に限定されないが、本実施形態においては、第1規制部16aは、棒状に形成され、幅方向D2に沿って延びている。
【0030】
また、第2規制部16b,16bによって、幅の広い物が搬送面13bに侵入することを規制することができるため、例えば、補助コンベヤ11で物を安定して搬送することができる。特に限定されないが、本実施形態においては、第2規制部16bは、棒状に形成され、上下方向D3に沿って延びている。
【0031】
また、特に限定されないが、本実施形態においては、補助コンベヤ11が、物搬送方向D5が斜め上方又は斜め下方となるように切り替え可能であるため、規制手段16は、物搬送領域11aの前後方向D1の両端部にそれぞれ配置されている。なお、規制手段16は、例えば、間隔を有して物搬送方向D5に沿って複数並べられていてもよく、また、例えば、物搬送方向D5に沿って連続して延びていてもよい。
【0032】
また、特に限定されないが、第1規制部16aは、本実施形態のように、搬送面13bよりも上方に配置され、且つ、上下方向D3視で搬送面13bと重なるように配置されていてもよい(
図5参照)。なお、例えば、第1規制部16aは、物乗降部15よりも上方に配置され、且つ、上下方向D3視で物乗降部15と重なるように、即ち、搬送面13bよりもさらに上流側(搬送面13bよりも前後方向D1の外側)に配置されていてもよい。
【0033】
第2駆動部14は、走行部13aが巻き掛けられる一対の第2回転部(例えば、プーリ)14a,14aと、駆動源5bの駆動を第2回転部14aに伝達させる第2伝達部14bとを備えている。そして、第2回転部14aが駆動源5bの駆動によって回転するため、走行部13aは、走行する。
【0034】
なお、特に限定されないが、本実施形態のように、補助コンベヤ11の駆動源5bは、基本コンベヤ1の駆動源5bと共通であってもよい。これにより、本実施形態においては、基本コンベヤ1の踏面3b及び補助コンベヤ11の搬送面13bの走行は、同期している。即ち、踏面3b及び搬送面13bの走行の開始、停止、減速、及び加速は、連動する。
【0035】
物乗降部15は、搬送面13bの前後方向D1の端部に隣接される水平部15aと、搬送面13bから離れるように、水平部15aから前後方向D1の外側へ延びる傾斜部15bとを備えている。水平部15aは、水平方向に沿って配置されており、傾斜部15bは、水平方向に対して傾斜する方向に沿って配置されている。なお、特に限定されないが、水平部15a及び傾斜部15bの少なくとも一方は、回転軸と直交する方向に並べられる複数の搬送ローラを備えていてもよい。
【0036】
ところで、
図1~
図3に示すように、基本コンベヤ1の踏面3bのそれぞれは、水平方向に沿って配置されていることに対して、補助コンベヤ11の搬送面13bは、水平方向に対して傾斜する方向に沿って配置されている。これにより、補助コンベヤ11が物を搬送する際に、物が搬送面13bの上で滑る虞がある。
【0037】
そこで、水平方向に対する物搬送方向D5の最大傾斜角θ2は、水平方向に対する人搬送方向D4の最大傾斜角θ1よりも、小さくなっている。これにより、補助コンベヤ11が物を搬送する際に、物が搬送面13bの上で滑ることを抑制することができる。なお、人搬送方向D4は、隣接するステップ3cの同じ位置を結んだ仮想線(
図2においては、ステップ3cの角部同士を結んだ仮想線であって、二点鎖線で示されている)である。
【0038】
特に限定されないが、水平方向に対する人搬送方向D4の最大傾斜角θ1は、例えば、15°~35°としてもよい。また、特に限定されないが、水平方向に対する物搬送方向D5の最大傾斜角θ2は、例えば、10°~25°としてもよい。
【0039】
また、特に限定されないが、人搬送方向D4の当該最大傾斜角θ1に対する、物搬送方向D5の当該最大傾斜角θ2の比は、例えば、90%以下としてもよい。なお、特に限定されないが、当該比は、例えば、80%以下であることが好ましく、また、例えば、70%以下であることがさらに好ましく、また、例えば、60%以下であることが非常に好ましい。
【0040】
しかも、補助コンベヤ11の搬送面13bの滑り抵抗係数は、基本コンベヤ1の踏面3bの滑り抵抗係数よりも、大きくなっている。これにより、補助コンベヤ11が物を搬送する際に、物が搬送面13bの上で滑ることを抑制することができる。なお、例えば、滑り抵抗係数(CSR:Coefficient of Slip Resistance)は、JISA1454に定める床材の滑り性試験によって測定される滑り抵抗係数の値とすることができる。
【0041】
そして、物に対する搬送面13bの摩擦係数は、物に対する踏面3bの摩擦係数よりも、大きくなっている。特に限定されないが、当該摩擦係数は、例えば、金属、硬質樹脂、軟質樹脂、紙、布のうち少なくとも一つで形成される物(例えば、スーツケース、鞄、箱)に対する摩擦係数としてもよい。
【0042】
例えば、搬送面13bは、物との間に生じる摩擦力が大きくなる材質で形成されていてもよい。特に限定されないが、踏面3bは、例えば、金属(例えば、ステンレス鋼、鉄鋼等)で形成されていることに対して、搬送面13bは、例えば、樹脂(例えば、ゴム)で形成されていてもよい。
【0043】
また、例えば、搬送面13bは、物との接触面積が小さくなるように、形成されていてもよい。特に限定されないが、踏面3bの表面は、凹凸状に形成されていることに対して、搬送面13bの表面は、凹凸がなく平滑状に形成されていてもよい。
【0044】
加えて、走行部13aの走行速度は、チェーン3aの走行速度よりも、遅くなっている。これにより、搬送面13bの走行速度が、踏面3bの走行速度よりも、遅くなるため、補助コンベヤ11の物搬送部13が物を搬送する速度は、基本コンベヤ1の人搬送部3が人を搬送する速度よりも、遅くなる。
【0045】
したがって、物の搬送速度が遅くなるため、物を安定して搬送することができる。その結果、例えば、物が搬送面13bの上で滑ることを抑制することができる。しかも、物が物搬送領域11aの上流端から下流端まで搬送される時間は、長くなる。これにより、例えば、基本コンベヤ1で搬送された人が補助コンベヤ11から物を受け取ることを、容易にすることができる。
【0046】
特に限定されないが、人の搬送速度に対する物の搬送速度の比は、例えば、95%以下としてもよく、また、例えば、70%以上としてもよい。なお、特に限定されないが、当該比は、例えば、90%以下であることが好ましく、また、例えば、85%以下であることがさらに好ましい。また、特に限定されないが、当該比は、例えば、75%以上であることが好ましく、また、例えば、80%以上であることがさらに好ましい。
【0047】
図2~
図5に示すように、特に限定されないが、本実施形態のように、物搬送領域11aの前後方向D1の端部位置P2は、人搬送領域1aの前後方向D1の端部位置P1よりも、前後方向D1の外側に位置してもよい。これにより、物が物搬送部13によって搬送される前後方向D1の距離S2は、人が人搬送部3によって搬送される前後方向D1の距離S1よりも、長くなる。
【0048】
そして、特に限定されないが、本実施形態のように、物が物搬送部13によって搬送される距離は、人が人搬送部3によって搬送される距離よりも、長くてもよい。これにより、物が物搬送領域11aの上流端から下流端まで搬送される時間は、長くなる。したがって、例えば、基本コンベヤ1で搬送された人が補助コンベヤ11から物を受け取ることを、容易にすることができる。
【0049】
なお、特に限定されないが、本実施形態のように、物が物搬送部13によって搬送される上下方向D3の距離H2は、人が人搬送部3によって搬送される上下方向D3の距離H1と、同じ(完全に同じ場合だけでなく、±5%の誤差を有する略同じ場合も含む)であってもよい。
【0050】
なお、本実施形態のように、物搬送方向D5が、物搬送領域11aの前後方向D1の全長に亘って、水平方向に対して傾斜している構成においては、物が上下方向D3の所定距離H2だけ搬送される際に、物搬送方向D5の最大傾斜角θ2が小さいほど、物が物搬送部13によって搬送される距離は、長くなる。これにより、物搬送方向D5の最大傾斜角θ2が人搬送方向D4の最大傾斜角θ1よりも小さいため、物が物搬送部13によって搬送される距離を長くすることができている。
【0051】
また、特に限定されないが、本実施形態のように、物搬送領域11aの前後方向D1の端部位置P2は、欄干部4の前後方向D1の端部位置P3よりも、前後方向D1の内側に位置してもよい。これにより、欄干部4が、幅方向D2視において、物搬送領域11aに位置する搬送面13bの全体と重なっているため、人が物搬送領域11aへ侵入することを抑制することができる。
【0052】
図4及び
図5に示すように、物乗降部15の上面は、人乗降部7の上面よりも、高くなっている。具体的には、物乗降部15の水平部15a及び傾斜部15bは、人乗降部7の床プレート7aよりも、上方に配置されている。これにより、例えば、人が補助コンベヤ11に侵入することを抑制することができる。
【0053】
また、水平部15aの位置が高いため、例えば、人が屈むことなく物を水平部15aに乗せることができる。これにより、例えば、水平部15a及び搬送面13bに物を容易に乗せることができる。また、傾斜部15bをスロープとして用いることによって、例えば、水平部15a及び搬送面13bに物を容易に乗せることもできる。
【0054】
以上より、本実施形態に係るマンコンベヤ10は、人を搬送する基本コンベヤ1と、前記基本コンベヤ1の横に並べられ、物を搬送する補助コンベヤ11と、を備え、前記補助コンベヤ11は、物を乗せて搬送する搬送面13bを備え、前記搬送面13bは、物の搬送方向D5に沿って、平坦状に構成される。
【0055】
斯かる構成によれば、物は、搬送面13bに乗せられて搬送され、そして、搬送面13bは、物の搬送方向D5に沿って、平坦状に構成されている。これにより、物を乗せるスペースを十分に確保することができる。
【0056】
また、本実施形態に係るマンコンベヤ10においては、前記基本コンベヤ1は、乗せた人を水平方向に対して傾斜する方向に搬送するために、階段状に構成される複数の踏面3bを備え、前記踏面3bは、水平方向に沿って配置され、前記搬送面13bは、物を水平方向に対して傾斜する方向に搬送するために、水平方向に対して傾斜する方向に沿って配置され、前記搬送面13bの滑り抵抗係数は、前記踏面3bの滑り抵抗係数よりも、大きい、という構成である。
【0057】
斯かる構成によれば、踏面3bは、水平方向に沿って配置されており、搬送面13bは、水平方向に対して傾斜する方向に沿って配置されている。それに対して、搬送面13bの滑り抵抗係数は、踏面3bの滑り抵抗係数よりも、大きくなっている。これにより、物が搬送面13bの上で滑ることを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態に係るマンコンベヤ10においては、前記基本コンベヤ1は、乗せた人を水平方向に対して傾斜する方向に搬送するために、階段状に構成される複数の踏面3bを備え、前記踏面3bは、水平方向に沿って配置され、前記搬送面13bは、物を水平方向に対して傾斜する方向に搬送するために、水平方向に対して傾斜する方向に沿って配置され、水平方向に対する物の搬送方向D5の最大傾斜角θ2は、水平方向に対する人の搬送方向D4の最大傾斜角θ1よりも、小さい、という構成である。
【0059】
斯かる構成によれば、踏面3bは、水平方向に沿って配置されており、搬送面13bは、水平方向に対して傾斜する方向に沿って配置されている。それに対して、水平方向に対する物の搬送方向D5の最大傾斜角θ2は、水平方向に対する人の搬送方向D4の最大傾斜角θ1よりも、小さくなっている。これにより、物が搬送面13bの上で滑ることを抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態に係るマンコンベヤ10においては、前記補助コンベヤ11は、上流側に、物が下方を通過する規制部16aを備える、という構成である。
【0061】
斯かる構成によれば、物を乗せるスペースが搬送面13bに十分に確保されていることに対して、補助コンベヤ11は、上流側に、物が下方を通過する規制部16aを備えている。これにより、高さの高い物が搬送面13bに侵入することを規制することができる。
【0062】
また、本実施形態に係るマンコンベヤ10においては、前記補助コンベヤ11が物を搬送する速度は、前記基本コンベヤ1が人を搬送する速度よりも、遅い、という構成である。
【0063】
斯かる構成によれば、補助コンベヤ11が物を搬送する速度を、遅くすることができる。また、物が補助コンベヤ11によって搬送される時間を、長くすることができる。
【0064】
なお、マンコンベヤ10は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、マンコンベヤ10は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0065】
(1)マンコンベヤ10においては、
図6に示すように、補助コンベヤ11は、搬送面13bから突出する突出部13cを備えている、という構成でもよい。斯かる構成によれば、物を突出部13cで止めることができるため、物が搬送面13bの上で滑ることを抑制することができる。
【0066】
(2)また、マンコンベヤ10においては、
図7に示すように、補助コンベヤ11は、搬送面13bの下流側に、物の有無を検出する物検出部17を備えている、という構成でもよい。物検出部17は、例えば、搬送面13bの下流端で、物の有無を検出してもよく、また、例えば、下流側の物乗降部15(例えば、水平部15a)で、物の有無を検出してもよい。
【0067】
そして、制御部6は、物検出部17の検出に基づいて、補助コンベヤ11の第2駆動部14を制御することによって、搬送面13bの走行速度を制御する、という構成でもよい。例えば、制御部6は、物の滞留が有ると判定した場合に、基本コンベヤ1の踏面3bの走行速度とは独立して、補助コンベヤ11の搬送面13bの走行速度を減速(停止も含む)する、という構成でもよい。
【0068】
これにより、例えば、踏面3bの走行速度を減速することなく、搬送面13bの走行速度を減速(停止も含む)することができる。したがって、搬送面13bの下流側で、物の滞留が有る場合に、搬送面13bの下流側へ物が搬送され続けることを抑制することができる。
【0069】
なお、斯かる構成においては、補助コンベヤ11の駆動源は、基本コンベヤ1の駆動源5bと別であってもよい。また、補助コンベヤ11の駆動源5bが、基本コンベヤ1の駆動源5bと共通である場合には、補助コンベヤ11の第2駆動部14は、例えば、駆動源5bの駆動を伝達する状態と当該伝達を停止する状態とを切り替え可能なクラッチを備えている、という構成でもよい。
【0070】
(3)また、マンコンベヤ10においては、
図8に示すように、補助コンベヤ11は、搬送面13bの上流側及び下流側の少なくとも一方に、人の有無を検出する人検出部18と、情報を出力する出力部19とを備えている、という構成でもよい。そして、制御部6は、人検出部18の検出に基づいて、出力部19を制御する、という構成でもよい。例えば、制御部6は、補助コンベヤ11への人の侵入が有ると判定した場合に、出力部19で警告音、警告表示等を出力する、という構成でもよい。
【0071】
(4)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ10においては、基本コンベヤ1は、人を水平方向に対して傾斜する方向へ搬送し、補助コンベヤ11は、物を水平方向に対して傾斜する方向へ搬送する、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ10は、斯かる構成に限られない。例えば、基本コンベヤ1は、全長に亘って、人を水平方向へ搬送し、補助コンベヤ11は、全長に亘って、物を水平方向へ搬送する、という構成でもよい。
【0072】
(5)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ10においては、複数の踏面3bは、人搬送領域1aにおいて、階段状に構成される、という構成である。即ち、基本コンベヤ1は、エスカレータである、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ10は、斯かる構成に限られない。
【0073】
例えば、複数の踏面3bは、人搬送領域1aにおいて、人搬送方向D4(例えば、水平方向に対して傾斜する方向)に沿って平坦状に配置される、という構成でもよい。即ち、基本コンベヤ1は、移動歩道(動く歩道)である、という構成でもよい。また、基本コンベヤ1の人搬送部3の踏面3bは、複数のステップ3cで構成されている、という構成だけでなく、例えば、平ベルトで構成されており、人搬送領域1aにおいて、人搬送方向D4に沿って平坦状に配置される、という構成でもよい。
【0074】
(6)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ10においては、搬送面13bの滑り抵抗係数は、踏面3bの滑り抵抗係数よりも、大きい、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ10は、斯かる構成に限られない。搬送面13bの滑り抵抗係数は、例えば、踏面3bの滑り抵抗係数と、同じ、という構成でもよく、また、例えば、踏面3bの滑り抵抗係数よりも、小さい、という構成でもよい。
【0075】
(7)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ10においては、水平方向に対する物の搬送方向D5の最大傾斜角θ2は、水平方向に対する人の搬送方向D4の最大傾斜角θ1よりも、小さい、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ10は、斯かる構成に限られない。物の搬送方向D5の最大傾斜角θ2は、例えば、人の搬送方向D4の最大傾斜角θ1と、同じ、という構成でもよく、また、例えば、人の搬送方向D4の最大傾斜角θ1よりも、大きい、という構成でもよい。
【0076】
(7-1)例えば、
図9に示すように、上記実施形態に係る構成と比較して、物搬送領域11aの前後方向D1の端部位置P2,P2が同じ位置であっても、物の搬送方向D5の最大傾斜角θ2が変わることによって、物搬送部13による物の搬送距離は、変わる。即ち、物搬送部13による上下方向D3及び前後方向D1の物の搬送距離H2,S2が同じ構成であっても、物の搬送方向D5の最大傾斜角θ2が変わることによって、物搬送部13による物の搬送距離は、変わる。
【0077】
例えば、
図9に示すように、物搬送方向D5が水平方向に対して平行方向と傾斜方向とによって構成される場合には、物の搬送方向D5の最大傾斜角θ2が大きくなるほど、物搬送部13による物の搬送距離は、長くなる。これにより、例えば、物の搬送方向D5の最大傾斜角θ2が、人の搬送方向D4の最大傾斜角θ1よりも、大きくすることによって、物搬送部13による物の搬送距離を長くすることがきる。
【0078】
そして、例えば、物の搬送速度が人の搬送速度と同じである場合でも、物が物搬送領域11aの上流端から下流端まで搬送される時間は、人が人搬送領域1aの上流端から下流端まで搬送される時間よりも、長くすることもできる。斯かる構成によれば、例えば、物の搬送速度が人の搬送速度と同じであっても、物が遅れて搬送されるため、基本コンベヤ1で搬送された人が補助コンベヤ11から物を受け取ることを、容易にすることができる。
【0079】
(8)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ10においては、補助コンベヤ11は、上流側に、物が下方を通過する第1規制部16aと、物が互いの間を通過する第2規制部16bとを備える、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ10は、斯かる構成に限られない。例えば、補助コンベヤ11は、第1規制部16a及び第2規制部16bの少なくとも一方を備えていない、という構成でもよい。
【0080】
(9)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ10においては、補助コンベヤ11が物を搬送する速度は、基本コンベヤ1が人を搬送する速度よりも、遅い、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ10は、斯かる構成に限られない。補助コンベヤ11が物を搬送する速度は、例えば、基本コンベヤ1が人を搬送する速度と、同じ、という構成でもよく、また、例えば、基本コンベヤ1が人を搬送する速度よりも、速い、という構成でもよい。
【0081】
(10)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ10においては、走行部13aは、平ベルトで構成されており、走行部13aは、搬送面13bを備えている、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ10は、斯かる構成に限られない。
【0082】
例えば、物搬送部13は、上記実施形態に係る人搬送部3の構成と同様に、無端回転する一対の環状のチェーンと、チェーンに対してそれぞれ回転可能に接続され、物が乗る搬送面13bを有する複数のステップとを備えている、という構成でもよい。そして、複数の搬送面13bは、物搬送領域11aにおいて、水平方向に対して傾斜する方向に沿って平坦状に配置される、という構成でもよい。即ち、補助コンベヤ11は、移動歩道(動く歩道)である、という構成でもよい。
【0083】
(11)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ10においては、物乗降部15の高さは、人乗降部7の高さよりも、高い、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ10は、斯かる構成に限られない。
【0084】
物乗降部15の高さは、例えば、人乗降部7の高さと、同じ、という構成でもよく、また、例えば、人乗降部7の高さよりも、低い、という構成でもよい。なお、特に限定されないが、斯かる構成においては、物搬送領域11aの前後方向D1の端部位置P2において、物搬送部13の搬送面13bの位置は、人乗降部7の床プレート7aの位置よりも、上方に配置される、という構成が好ましい。
【0085】
(12)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ10においては、基本コンベヤ1は、補助コンベヤ11に隣接する第1欄干部4と、幅方向D2の反対側に配置される第2欄干部4とを備えている、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ10は、斯かる構成に限られない。
【0086】
例えば、基本コンベヤ1は、補助コンベヤ11に隣接する第1欄干部4を備えておらず、幅方向D2の反対側に配置される第2欄干部4のみ備えている、という構成でもよい。また、第1欄干部4の高さは、例えば、第2欄干部4の高さと、同じ、という構成でもよく、また、例えば、第2欄干部4の高さよりも、高い、という構成でもよく、また、例えば、第2欄干部4の高さよりも、低い、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0087】
1…基本コンベヤ、1a…人搬送領域、2…構造体、3…人搬送部、3a…チェーン、3b…踏面、3c…ステップ、4…欄干部、5…第1駆動部、5a…第1回転部、5b…駆動源、5c…第1伝達部、6…制御部、7…人乗降部、7a…床プレート、10…マンコンベヤ、11…補助コンベヤ、11a…物搬送領域、12…構造体、13…物搬送部、13a…走行部、13b…搬送面、13c…突出部、14…第2駆動部、14a…第2回転部、14b…第2伝達部、15…物乗降部、15a…水平部、15b…傾斜部、16…規制手段、16a…第1規制部、16b…第2規制部、17…物検出部、18…人検出部、19…出力部、D1…前後方向、D2…幅方向、D3…上下方向、D4…人搬送方向、D5…物搬送方向