(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168345
(43)【公開日】2022-11-07
(54)【発明の名称】アンカー設置方法
(51)【国際特許分類】
E02D 5/80 20060101AFI20221028BHJP
【FI】
E02D5/80 Z
E02D5/80 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147005
(22)【出願日】2022-09-15
(62)【分割の表示】P 2021072522の分割
【原出願日】2021-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】507183310
【氏名又は名称】アビエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】土居 学
(57)【要約】
【課題】設置の手間を少なくするアンカー設置方法を提供する。
【解決手段】掘削工程(S2)にて、ビットによって地中を掘削しつつアンカーパイプを地中に挿入する。次に、アンカーパイプ引き上げ工程(S3)にて、掘削孔の途中にアンカーパイプの前端部が位置するように、アンカーパイプを引き抜き方向に移動させる。次に、ビット取り外し工程(S4)にてアンカーパイプからビットを取り外す。次に、アンカーロッド挿入工程(S6)にて、アンカーパイプ内に地上からアンカーロッドを挿入すると共に、凝固剤注入部内にアンカーロッドを突出させる。次に、凝固剤投入工程(S7)にて凝固剤を凝固剤投入部に投入する。次に、キャップ固定工程(S9)にて、地中に固定されたアンカーロッドがアンカーパイプに作用する外力の引き抜き方向成分に対抗するようにアンカーパイプとアンカーロッドを接続する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状の第1アンカーの前端部に設置されたビットによって地中を掘削しつつ第1アンカーを地中に挿入する第1アンカー挿入工程と、
前記第1アンカー挿入工程後に、前記第1アンカー挿入工程によって形成された掘削孔の途中に前記第1アンカーの前端部が位置するように、前記第1アンカーを前記掘削孔に沿って引き抜き方向に移動させる移動工程と、
前記移動工程後に、前記第1アンカー内に地上から第2アンカーを挿入すると共に、前記第2アンカーの前端部を前記第1アンカーの前端部から、前記掘削孔における前記第1アンカーの前端部より奥の部分に形成された空間内に突出させる第2アンカー挿入工程と、
前記第2アンカー挿入工程中又はその前後において、前記第2アンカーを地中に固定するための凝固剤を前記空間に投入する凝固剤投入工程と、
前記第2アンカー挿入工程中又はその後において、地中に固定された前記第2アンカーが前記第1アンカーに作用する外力の引き抜き方向成分に対抗するように前記第1アンカーと前記第2アンカーを接続するアンカー接続工程とを備えていることを特徴するアンカー設置方法。
【請求項2】
前記第1アンカーが、前記前端部を含む本体管と、前記本体管の後端部に取り外し可能に接続された部分管とを有しており、
前記移動工程において、前記部分管が前記掘削孔から出ると共に、前記本体管の後端部が前記掘削孔から出るように前記第1アンカーを移動させ、
前記移動工程後において、前記本体管から前記部分管を取り外す部分管取り外し工程を備えていることを特徴とする請求項1に記載のアンカー設置方法。
【請求項3】
前記部分管取り外し工程後に実行される前記アンカー接続工程において、前記本体管の後端部に接続部材を介して前記第2アンカーを接続することを特徴とする請求項1又は2に記載のアンカー設置方法。
【請求項4】
前記第1アンカー内の空間を仕切る仕切り板が前記第2アンカーに設けられており、
前記仕切り板が、前記第1アンカー中を前記前端部とは反対側へと前記凝固剤が進入するのを抑制する手段、及び、前記第1アンカーの内表面に設けられた段差部に掛けられることで前記アンカー接続工程における前記第1アンカーと前記第2アンカーを接続する手段の少なくともいずれかとして機能することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のアンカー設置方法。
【請求項5】
前記第1アンカー挿入工程において、前記段差部が前記ビットに形成された係合部と係合することによって、前記ビットが掘削方向に前進するのに連動して前記第1アンカーが前進し、
前記アンカー接続工程において、前記第1アンカーの内表面に設けられた段差部に掛けられることで前記アンカー接続工程における前記第1アンカーと前記第2アンカーを接続する手段として前記仕切り板が機能することを特徴とする請求項4に記載のアンカー設置方法。
【請求項6】
前記第2アンカーの前端部に前記凝固剤を撹拌するための撹拌構造が形成されており、
前記第2アンカー挿入工程中又はその後において、前記第2アンカーを回転させることで前記撹拌構造に前記凝固剤を撹拌させることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のアンカー設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンカー設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雪崩予防柵等の構造物を固定するための装置として、例えば特許文献1のようなアンカー装置がある。特許文献1のアンカー装置は、アンカーパイプ及びこれと係合させたアンカーロッドを備え、アンカーロッドが凝固剤によって地中に固定されている。アンカーパイプを引き抜こうとするような外力がアンカーパイプに作用した際、アンカーパイプに係合したアンカーロッドが外力に対抗することになる。
【0003】
特許文献1によると、かかるアンカー装置の設置方法の一例は以下の通りである。まず、第1のエアハンマーを用いてアンカーパイプ用の穴を地中に形成しつつアンカーパイプを地中に埋め込む。その後、第1のエアハンマーをアンカーパイプから引き抜き、第2のエアハンマーをアンカーパイプ内に挿入する。次に、第2のエアハンマーのビットをアンカーパイプの下端開口から突出させ、アンカーパイプの下方をさらに掘削させる。次に、第2のエアハンマーをアンカーパイプから引き抜いた後、第2のエアハンマーの掘削によって地中に形成した穴に凝固剤を充填する。そして、アンカーロッドをアンカーパイプ内に挿入し、アンカーパイプの下端部と係合させると共に、エアーパイプの下端開口から凝固剤中にアンカーロッドを突出させる。凝固剤の凝固により、アンカーロッドが地中に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の設置方法によると、第1及び第2の2つのエアハンマーを用いた2段階の掘削工程を行っている。従って、掘削とエアハンマーの引き抜きをそれぞれ2回繰り返す必要があり、全体として手間が掛かる。
【0006】
そこで、本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、設置の手間を少なくするアンカー設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のアンカー設置方法は、管状の第1アンカーの前端部に設置されたビットによって地中を掘削しつつ第1アンカーを地中に挿入する第1アンカー挿入工程と、前記第1アンカー挿入工程後に、前記第1アンカー挿入工程によって形成された掘削孔の途中に前記第1アンカーの前端部が位置するように、前記第1アンカーを前記掘削孔に沿って引き抜き方向に移動させる移動工程と、前記移動工程後に、前記第1アンカー内に地上から第2アンカーを挿入すると共に、前記第2アンカーの前端部を前記第1アンカーの前端部から、前記掘削孔における前記第1アンカーの前端部より奥の部分に形成された空間内に突出させる第2アンカー挿入工程と、前記第2アンカー挿入工程中又はその前後において、前記第2アンカーを地中に固定するための凝固剤を前記空間に投入する凝固剤投入工程と、前記第2アンカー挿入工程中又はその後において、地中に固定された前記第2アンカーが前記第1アンカーに作用する外力の引き抜き方向成分に対抗するように前記第1アンカーと前記第2アンカーを接続するアンカー接続工程とを備えている。
【0008】
本発明によると、第1アンカーの前端部に設置されたビットによる掘削後、第1アンカーを引き抜き方向に移動させることで、第1アンカーの前端部より奥の部分に形成された第2アンカーの固定用の空間を形成する。そして、この空間に第2アンカーを突出させると共に、この空間に投入された凝固剤によって第2アンカーを地中に固定する。このように、1回の掘削工程で第1アンカーを地中に設置すると共に第2アンカーの固定用の空間を地中に形成する。このため、掘削工程を1回実施すれば第1アンカー及び第2アンカーの両方を設置可能となるので、設置の手間が省かれる。
【0009】
本発明において、前記第1アンカーが、前記前端部を含む本体管と、前記本体管の後端部に取り外し可能に接続された部分管とを有しており、前記移動工程において、前記部分管が前記掘削孔から出ると共に、前記本体管の後端部が前記掘削孔から出るように前記第1アンカーを移動させ、前記移動工程後において、前記本体管から前記部分管を取り外す部分管取り外し工程を備えていることが好ましい。上記の通り、本発明では、移動工程において第1アンカーを移動させることで、第2アンカーの固定用の空間を形成する。このため、当該空間の長さに対応した長さで、第1アンカーの後端部が地表から外部に突出することになる。これに対し、上記の通り第1アンカーが部分管と本体管を有し、移動工程において掘削孔から出た部分管を本体管から取り外す。このため、部分管を取り外した後の第1アンカー、つまり本体管の後端部が地面から突出し過ぎないようにすることができる。
【0010】
本発明において、前記部分管取り外し工程後に実行される前記アンカー接続工程において、前記本体管の後端部に接続部材を介して前記第2アンカーを接続することが好ましい。これによると、本体管の後端部、つまり、地面から外部に露出した部分において接続部材を利用して第1アンカーと第2アンカーを接続させることが出来る。よって、第1アンカーと第2アンカーの接続作業を行いやすい。
【0011】
本発明において、前記第1アンカー内の空間を仕切る仕切り板が前記第2アンカーに設けられており、前記仕切り板が、前記第1アンカー中を前記前端部とは反対側へと前記凝固剤が進入するのを抑制する手段、及び、前記第1アンカーの内表面に設けられた段差部に掛けられることで前記アンカー接続工程における前記第1アンカーと前記第2アンカーを接続する手段の少なくともいずれかとして機能することが好ましい。これによると、仕切り板が、第1アンカー中を前端部とは反対側へと凝固剤が進入するのを抑制したり、第1アンカーの内表面に設けられた段差部に掛けられることでアンカー接続工程における第1アンカーと第2アンカーを接続したりする。
【0012】
本発明において、前記第1アンカー挿入工程において、前記段差部が前記ビットに形成された係合部と係合することによって、前記ビットが掘削方向に前進するのに連動して前記第1アンカーが前進し、前記アンカー接続工程において、前記第1アンカーの内表面に設けられた段差部に掛けられることで前記アンカー接続工程における前記第1アンカーと前記第2アンカーを接続する手段として前記仕切り板が機能することが好ましい。これによると、ビットの前進に連動して第1アンカーを前進させるために用いられる段差部を、アンカー接続工程において第1アンカーと第2アンカーを接続するための手段としても使用できる。このため、簡易な構成で本発明を実施することが可能となる。
【0013】
本発明において、前記第2アンカーの前端部に前記凝固剤を撹拌するための撹拌構造が形成されており、前記第2アンカー挿入工程中又はその後において、前記第2アンカーを回転させることで前記撹拌構造に前記凝固剤を撹拌させることが好ましい。これによると、凝固剤を撹拌することで、空間内の土砂と凝固剤が混ざり合って、空間内にむらなく凝固剤が広がる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るアンカー装置のアンカーパイプ、アンカーロッドの正面図である。
【
図2】
図1のアンカーパイプのA-A線に沿った部分拡大断面図及びアンカーロッドの部分拡大図である。
【
図3】アンカーパイプの本体管と接続部材の接続を示す斜視図である。
【
図4】アンカーロッドに設けられた仕切り板を示す斜視図である
【
図5】本発明の実施形態に係るアンカー設置方法のフロー図である。
【
図6】
図5の掘削工程におけるアンカーパイプの断面図及びビットの正面図である。
【
図7】
図5のアンカーパイプ引き上げ工程と、アンカー上部取り外し工程の様子を示す図である。
【
図8】凝固剤撹拌工程において、アンカーロッドの撹拌構造が凝固剤を撹拌する様子を示す部分断面図である。
【
図9】(a)アンカーロッドの撹拌構造の変形例を示す図である。(b)アンカーロッドの撹拌構造の別の変形例を示す図である。
【
図10】(a)~(d)アンカーロッドの撹拌構造のさらに別の変形例を示す図である。
【
図11】(a)前端部に構造体が設けられたアンカーロッドの斜視図である。(b)(c)アンカーロッドの前端部に設けられる構造体の変形例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0016】
本実施形態に係るアンカー装置1は、例えば、法面に設置される防護柵等の構造体とワイヤー等で連結して構造体を固定するために設けられる。
図1に示すように、アンカー装置1は、アンカーパイプ100(本発明でいう第1アンカー)、アンカーロッド200(本発明でいう第2アンカー)、及びキャップ300(本発明でいう接続部材)を有している。図中、アンカー装置1を地中に埋設する際の掘削方向を前方、その逆を後方とし、その前後方向と直角に交わる方向を左方向及び右方向とする。アンカー装置1は鋼製又はステンレス製である。
【0017】
図2に示すように、アンカーパイプ100は本体管110を有する。本体管110は円筒状の部材であり、後端部111の内表面には後述の部分管120(
図6参照)と取り外し可能に接続する雌螺子部112が形成されている。本体管110の前端部113付近の内表面には段差部117が形成されている。段差部117は、本体管110の内周面に沿ってアンカーパイプ100の円周方向(以下、円周方向)全体に亘ってリング状に延びている。本体管110の壁部における雌螺子部112付近には貫通孔115及び116が形成されている。貫通孔115は図中左側の壁部を、貫通孔116は図中右側の壁部をそれぞれ左右方向に貫通している。貫通孔115にはボルト151、貫通孔116にはボルト152が通されている。ボルト151及び152のボルト頭151a及び152aは本体管110の内表面に接するように固定されている。ボルト頭151a及び152aと左右方向の逆側には、雄螺子部151b及び152bがそれぞれ形成されている。
【0018】
図2に示すように、アンカーロッド200は円柱状であり、アンカーパイプ100において、内部空間の中心を通る部材である。アンカーロッド200は、円柱状の本体部230及び本体部230に固定された仕切り板250を有している。本体部230において、その後端部210の外表面には雄螺子部211が形成されている。本体部230の前端部220には、アンカーパイプ100の円周方向に広がる螺旋羽根221(本発明でいう撹拌構造)が形成されている。本体部230の径は、アンカーパイプ100の段差部117の内径より小さい。
図4に示すように、仕切り板250は本体部230に固定された円盤状の部材である。仕切り板250には、円盤の中心に前後方向に貫通する貫通孔251が形成されている。本体部230が貫通孔251に通されており、前後方向に関してアンカーロッド200の中心よりも螺旋羽根221に近い位置で、溶接により貫通孔251と本体部230とが固定されている。仕切り板250の外径は、アンカーパイプ100の最大内径とほぼ同じ大きさである。仕切り板250は、アンカーパイプ100の前端部113付近の位置において、アンカーパイプ100内の空間を仕切っている。仕切り板250が、段差部117に後方から掛けられることで、アンカーパイプ100とアンカーロッド200が接続されている。また、仕切り板250は、後述する凝固剤400がアンカーパイプ100中を前端部113とは反対側の後端部111側へと進入するのを抑制する。
【0019】
図2に示すように、キャップ300は、蓋部310、ボルト掛け部320及び330を有する。蓋部310は、円盤状の部材であり、その円盤の軸方向に沿った貫通孔311を有している。キャップ300は、円盤状の蓋部310の円周方向、径方向及び軸方向がアンカーパイプ100の円周方向、径方向及び軸方向と概ね一致するようにアンカーパイプ100の後端部111に設置されている。貫通孔311の径は、アンカーロッド200の後端部210の外径より僅かに大きい。ボルト掛け部320及び330は、蓋部310の外周に沿って湾曲した板状の部材であり、蓋部310の中心軸に関して対称に位置する。ボルト掛け部320は、蓋部310の左端部から前方に延びている。ボルト掛け部330は、蓋部310の右端部から前方に延びている。径方向に関してボルト掛け部320の内表面からボルト掛け部330の内表面までの距離は、アンカーパイプ100の後端部111の外径とほぼ同じである。
図3に示すように、ボルト掛け部320には、円周方向に沿った一方向であるr1方向に面した端面から円周r2方向に切れ込んだ切り欠き部321が形成されている。r1方向及びr2方向とは円周方向に沿った方向である。r1方向とは後方から見て時計回りの方向である。r2方向とは後方から見て反時計回りの方向である。ボルト掛け部330には、r1方向に面した端面からr2円周方向に切れ込んだ切り欠き部331が形成されている。切り欠き部321及び331は、左右方向から見てほぼ矩形の概略形状をしており、前後方向に関する長さがボルト151及び152の径より僅かに大きくなるように形成されている。また、r1方向に関する長さは、ボルト151及び152の径より大きい。なお、防護柵等の構造体とアンカー装置1とを連結するワイヤー等は、先端が輪状に形成された上で、
図3の二点鎖線に示すようにボルト151及び152と地面との間に掛けられる。
【0020】
キャップ300は、ボルト掛け部320及び330の切り欠き部321及び331にボルト151及び152の雄螺子部151b及び152bが掛けられ、且つ、貫通孔311にアンカーロッド200の後端部210が貫通した状態で、アンカーパイプ100の後端部111に被されている。アンカーロッド200の後端部210には後方からナット350が取り付けられている。ナット350は、蓋部310に対して締め付けられている。雄螺子部151b及び152bには、ボルト掛け部320及び330の左右方向の外側からカラー260が挿入されている。カラー260は、円筒状の鋼又はステンレス製の部材である。カラー260の外径は、ナット270の外径よりも小さい。さらにその外側からナット270が雄螺子部151b及び152bに取り付けられている。ナット270はカラー260に対して締め付けられている。
【0021】
アンカーロッド200を地中に固定する凝固剤400には、グラウト材、モルタル、及びセメント等のいずれかが単独で、又は複数が組み合わされて使用される。
【0022】
次に、本実施形態のアンカー装置1の設置手順の一例について、
図5のフロー図に基づいて説明する。
【0023】
まず、アンカーを設置する現場において、アンカーパイプ100、アンカーロッド200等、アンカー装置1を構成する部材と合わせて、
図6に示すエアハンマー600や部分管120等のその他の機材や部材を準備する。次に、アンカー延長工程(S1)において、
図6に示すように、部分管120の雄螺子部123と本体管110の雌螺子部112が接続される。部分管120は、
図6及び
図7に示すように、円筒状の部材であり、本体管110の外径と同じ大きさの外径を有する。部分管120の前端部122の外表面には雄螺子部123が形成されている。雄螺子部123は本体管110の雌螺子部112と接続される。
【0024】
次に、掘削工程(S2、本発明でいう第1アンカー挿入工程)において、エアハンマー600を用いて地表から前方に向かって地中を掘削しつつアンカーパイプ100を地中に挿入する。
図6に示すように、エアハンマー600は、削岩機610、インナーロッド620、及びビット650を有する。ビット650は、ビット本体651、パイロットビット652、及び可変ビット653を有する。ビット650は、一方向に回転させると可変ビット653がビット本体651からその側方へと飛び出し、逆方向に回転させると可変ビット653がビット本体651中に収容されるように構成されている。ビット本体651内に可変ビット653が収容された状態では、ビット本体651がアンカーパイプ100内に挿入された際に段差部117の内側を通過可能である。ビット本体651の後端部には係合部651aが設けられている。係合部651aの外径は、アンカーパイプ100の内径とほぼ同じ大きさである。また、エアハンマー600は、図示しない圧搾空気供給用のコンプレッサ、圧搾空気用レシーバータンク、稼働時に生じるオイルを回収するオイルタンク等を備えている。
【0025】
まず、アンカーパイプ100内空にインナーロッド620及びビット650を挿入させて、前端部113にビット650を設置させる。アンカーパイプ100の段差部117と係合部651aを係合させる。これにより、係合部651aが段差部117の後端部の端面を押すことにより、ビット650が前進するのに連動してアンカーパイプ100が地中を前進する。パイロットビット652及び可変ビット653の両方の掘削により、アンカーパイプ100より若干大きい径の掘削孔500が形成される。部分管120の後端部121が地表に出る程度まで、ビット650によって地中を掘削しつつアンカーパイプ100を地中に挿入させる。
【0026】
次に、アンカーパイプ引き上げ工程(S3、本発明でいう移動工程)において、
図7に示すように掘削工程によって形成された掘削孔500の途中にアンカーパイプ100の前端部113が位置するように、アンカーパイプ100を掘削孔500に沿って引き抜き方向に移動させる。具体的には、可変ビット653がビット本体651からアンカーパイプ100の若干外側まで飛び出した状態で削岩機610を駆動して掘削方向とは逆方向の引き抜き方向にインナーロッド620を後退させる。そして、部分管120が掘削孔500から出ると共に、本体管110の後端部111が掘削孔500から出て、貫通孔115及び116がわずかに地表に出る程度まで、アンカーパイプ100を引き抜き方向に移動させる。これにより、掘削孔500には、前端部113より奥の空間に凝固剤投入部700
(本発明でいう、空間)が形成される。
【0027】
次に、ビット取り外し工程(S4)において、アンカーパイプ100からインナーロッド620及びビット650を取り外す。まず、削岩機610にビット650を掘削時とは逆方向に回転させることで、可変ビット653をビット本体651内に収容する。次に、削岩機610を駆動し、掘削方向とは逆方向の引き抜き方向にインナーロッド620を後退させて、インナーロッド620及びビット650をアンカーパイプ100から取り出す。
【0028】
次に、アンカー上部取り外し工程(S5、本発明でいう部分管取り外し工程)において、
図7に示すように、部分管120の雄螺子部123と本体管110の雌螺子部112との接続を外す。
【0029】
次に、アンカーロッド挿入工程(S6、本発明でいう第2アンカー挿入工程)において、地上の後端部111の開口からアンカーパイプ100内にアンカーロッド200を挿入する。そして、アンカーロッド200の仕切り板250をアンカーパイプ100の段差部117に掛ける。これにより、アンカーパイプ100とアンカーロッド200を接続させる。また、アンカーパイプ100の前端部113から、掘削孔500における凝固剤投入部700内にアンカーロッド200の前端部220を突出させる。
【0030】
次に、凝固剤投入工程(S7)において、アンカーロッド200を地中に固定するため、凝固剤400を凝固剤投入部700に投入する。アンカーパイプ100の後端部111の開口から粉末状の凝固剤400を投入すると、凝固剤400が凝固剤投入部700に溜まる。なお、ゲル状の凝固剤400を使用する場合、凝固剤400を凝固剤投入部700に導くためのガイドパイプ(図示なし)等をアンカーパイプ100内に挿入する。ガイドパイプに伝わせるようにして、凝固剤投入部700に凝固剤400を注入する。
【0031】
次に、凝固剤撹拌工程(S8)において、凝固剤投入部700に投入された凝固剤400を螺旋羽根221で撹拌する。
図8に示すように、アンカーロッド200を円周方向に時計回り又は反時計回りに回転させることで、凝固剤投入部700内の土砂、土砂中の水分及び凝固剤400が混ざり合って、凝固剤投入部700内にむらなく凝固剤400が広がる。
【0032】
次に、キャップ固定工程(S9、本発明でいうアンカー接続工程)において、アンカーパイプ100とアンカーロッド200をしっかりと接続させる。ボルト掛け部320及び330の前方にボルト151及び152が配置されていない状態で、
図3に示すようにキャップ300をアンカーパイプ100の後方から前方へと移動させ、
図2に示すようにアンカーロッド200の後端部210が貫通孔311を貫通するようにアンカーパイプ100の後端部111に被せる。次に、キャップ300をr1方向に回転させて、ボルト151及びボルト152をそれぞれ切り欠き部321及び331に係合させる。次に、カラー260を、それぞれボルト151及び152に貫通させて接続させる。次に、ナット270を雄螺子部151b及び152bにそれぞれかみ合わせた状態で緊締する。これによって、ボルト頭151aとナット270の間に、カラー260、ボルト掛け部320、及びアンカーパイプ100の壁部が挟み込まれ、ボルト頭152aとナット270の間に、カラー260、ボルト掛け部330、及びアンカーパイプ100の壁部が挟み込まれて、互いに固定される。このように、キャップ300とアンカーパイプ100とを接続させる。アンカーロッド200の雄螺子部211にナット350を緊締させて、アンカーロッド200とキャップ300とを接続する。このようにして、アンカーパイプ100の本体管110の後端部111にキャップ300を介して、アンカーロッド200が接続される。
【0033】
次に、固化工程(S10)において、凝固剤400が固化する。これにより、アンカーロッド200の前端部220が凝固剤投入部700において地中に固定される。アンカーロッド200が地中に固定されることで、アンカー装置1が確実に地中に固定される。例えば、地表とボルト151及び152の間においてアンカーパイプ100の後端部111に、
図3に示すようにワイヤーが掛けられる。そして、ワイヤーが引っ張られることで、後方に引き抜こうとする外力(本発明でいう引き抜き方向成分)がアンカーパイプ100に作用したとする。この外力に対し、アンカーパイプ100とこれに接続されたアンカーロッド200が対抗する。すなわち、側方からの土圧を受けたアンカーパイプ100自体が引き抜き方向の外力に対抗する。さらに、アンカーロッド200が仕切り板250及びキャップ300を介してアンカーパイプ100に接続されている。したがって、アンカーパイプ100が外力によって後方に移動しようとすると、ボルト151及び152を介してキャップ300に引き抜き方向の力が作用する。この引き抜き方向の力は、さらに、後方からキャップ300に対して緊締されたナット350を介してアンカーロッド200に作用する。同様に、後方から段差部117に掛けられた仕切り板250を通じ、引き抜き方向の力がアンカーロッド200に作用する。これに対し、凝固剤投入部700において地中に固定されていることにより、アンカーロッド200がかかる引き抜き方向の力に対抗する。なお、アンカーロッド200の前端部220には螺旋羽根221が形成されている。かかる螺旋羽根221は、固化した凝固剤400からの前端部220の引き抜けに対する抵抗となる。したがって、アンカーロッド200が引き抜き方向の力に対抗しやすい。
【0034】
以上のようなアンカー設置方法によると、アンカーパイプ100の前端部113に設置したビット650による掘削後、アンカーパイプ100を引き抜き方向に移動させることで、前端部113より奥の部分に凝固剤投入部700を形成する。そして、凝固剤投入部700にアンカーロッド200を突出させると共に、凝固剤投入部700に投入された凝固剤400によってアンカーロッド200を地中に固定する。このように、1回の掘削工程でアンカーパイプ100を地中に設置すると共にアンカーロッド200の固定用の空間である凝固剤投入部700を地中に形成する。このため、掘削工程を1回実施すればアンカーパイプ100及びアンカーロッド200の両方を設置可能となるので、設置の手間が省かれる。
【0035】
また、アンカーパイプ引き上げ工程(S3)においてアンカーパイプ100を後方に移動させることで、アンカーロッド200の固定用の空間である凝固剤投入部700を形成している。このため、凝固剤投入部700の長さに対応した長さで、アンカーパイプ100の後端部が地面から外部に一旦突出することになる。これに対し、アンカーパイプ100が部分管120と本体管110を有し、アンカーパイプ上部取り外し工程において掘削孔500から出た部分管120を本体管110から取り外す。このため、部分管120を取り外した後のアンカーパイプ100、つまり本体管110の後端部111が地表から突出し過ぎないようにすることができる。
【0036】
また、本体管110の後端部111、つまり、地表から外部に露出した部分においてキャップ300を利用してアンカーパイプ100とアンカーロッド200を接続させることが出来る。よって、アンカーパイプ100とアンカーロッド200の接続作業を行いやすい。
【0037】
また、仕切り板250が、アンカーパイプ100中を前端部113とは反対側へと凝固剤400が進入するのを抑制する役割と、アンカーパイプ100の内表面に設けられた段差部117に掛けられることで、アンカーパイプ100とアンカーロッド200を接続する役割との両方を担う。このため、アンカー装置1の構成を簡易にできる。
【0038】
また、ビット650の掘削方向への前進に連動してアンカーパイプ100を前進させるために用いられる段差部117を、キャップ固定工程(S9)においてアンカーパイプ100とアンカーロッド200を接続するための手段としても使用できる。このため、アンカー装置1の構成を簡易にできる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。以下、上述の実施形態に係る変形例について説明する。また、上述の実施形態と共通の部分については上述と同じ符号を用いると共に、説明を適宜省略する。
【0040】
前記実施形態では、アンカーパイプ引き上げ工程(S3)は、掘削工程(S2)後、且つ、ビット取り外し工程(S4)前に行っている。しかし、アンカーパイプ引き上げ工程は、掘削工程後であれば、ビット取り外し工程後に行ってもよいし、ビット取り外し工程中に行ってもよい。例えば、アンカーパイプ100の後端部111に引き上げ用のワイヤー等の引き上げ部材を固定し、アンカーパイプ100を引き抜く方向に当該引き上げ部材を引き上げることでアンカーパイプ100を移動させてもよい。この場合、ビット650の取り外しとは独立にアンカーパイプ100を移動できるため、アンカー引き上げ工程をビット取り外し工程中やその後に行うことができる。
【0041】
前記実施形態では、アンカーロッド挿入工程(S6)後、凝固剤投入工程(S7)及び凝固剤撹拌工程(S8)を行っている。しかし、アンカーロッド挿入工程前又はその工程中に、凝固剤投入工程を行ってもよい。例えば、アンカーロッド200をアンカーパイプ100内に挿入する前や挿入中に、アンカーパイプ100の後端部111の開口から粉末状の凝固剤を投入してもよい。また、アンカーロッド200の前端部220が凝固剤投入部700内に到達していれば、アンカーロッド挿入工程が完了する前にアンカーロッド200を回転させて凝固剤撹拌工程を開始してもよい。
【0042】
前記実施形態では、アンカーロッド200の本体部230に仕切り板250が固定されている。しかし、本体部の外表面に雄螺子部、仕切り板に雌螺子部が形成されており、前後方向に本体部と仕切り板の接続位置が変更できるようにしてもよい。また、本体部の外表面に雄螺子部が形成されており、その雄螺子部と噛み合うように本体部に取り付けられた一対のナットで前後から仕切り板が締め付けられることで仕切り板が固定されてもよい。
【0043】
前記実施形態では、アンカーロッド200の前端部220に円周方向に広がる螺旋羽根221が形成されている。しかし、
図9(a)のアンカーロッド800に示すように、その前端部801に外表面と直角をなすように固定された4つの台形状の羽根部材802によって撹拌構造が形成されていてもよい。かかる撹拌構造は、螺旋羽根221と同様、凝固剤400の撹拌に用いられると共に、凝固剤400が固化した後、引き抜きに対する抵抗として機能する。また、
図9(b)のアンカーロッド810に示すように、その前端部811に固定された、前方に向かって延びる複数のワイヤー812が設けられていてもよい。かかるワイヤー812は、凝固剤400が固化した後、引き抜きに対する抵抗として機能する。ワイヤー812は、螺旋羽根221や羽根部材802等の撹拌構造と併せて設けられてもよい。
【0044】
さらに、
図10(a)~
図10(d)のアンカーロッド820~850のようにロッドの前端部に撹拌部821~851が設けられてもよい。撹拌部821は、ロッドの下端部をらせん状に湾曲させることで形成されている。撹拌部831は、平板をらせん状に捩ることで形成されている。撹拌部841は、円環状の平板を一か所、その円周方向に沿って切断した後、らせん状になるように捻ることで形成されている。撹拌部851は、半円状の平板851a及び851bを互いに対して若干傾斜するように配置しつつロッドの下端に固定することで形成されている。
【0045】
また、
図11(a)に示すように、アンカーロッド200を引き抜き方向の外力に強固に対抗させるための構造体860がロッドの前端部に設けられていてもよい。構造体860は、側壁に複数の貫通孔861が形成された円筒部材を有している。構造体860はナット862及び863によってアンカーロッド200に固定されている。アンカーロッド200の前端部には前後方向に連続するように雄螺子部が形成されている。なお、雄螺子部はナット862の固定位置及びナット863の固定位置にそれぞれ部分的に形成されていてもよい。ナット862及び863はかかる雄螺子部と噛み合いつつ構造体860を前後から強固に挟み込むように緊締されている。これによると、アンカーロッド200の前端部の周囲に凝固剤400が流し込まれた際に、凝固剤が貫通孔861を通じて構造体860内に進入する。その後に凝固剤が凝固することにより、アンカーロッド200が構造体860と一体になって地中に固定される。よって、アンカーロッド200を引き抜こうとする外力に対して構造体860が抵抗する。したがって、アンカーロッド200が外力に強固に対抗する。円筒部材である構造体860の代わりに、
図11(b)に示す角型の筒状部材である構造体870が用いられてもよい。構造体870の側壁には複数の貫通孔871が形成されている。これにより、貫通孔871を通じて構造体870内に凝固剤が侵入するので、構造体860と同様、アンカーロッド200が構造体870と一体になって地中に固定される。
【0046】
なお、構造体860や870が、ナット862及び863を用いず溶接等によりアンカーロッド200に固定されてもよい。この場合、例えば、
図11(c)に示す角型の筒状部材である構造体880が用いられてもよい。構造体880の側壁には複数の貫通孔881が形成されている。また、構造体880には前壁882及び後壁884が形成されている。前壁882には貫通孔883が、後壁884には貫通孔885が形成されている。構造体880がアンカーロッド200に固定される際、貫通孔883及び885を前後方向にアンカーロッド200の前端部に貫通させる。そして、アンカーロッド200の表面と前壁882及び後壁884とを溶接によって固定する。
【0047】
前記実施形態では、アンカーパイプ100の地中への設置に際し、インナーロッド620を通じてアンカーパイプ100の前端部220に設けられたビット650と削岩機610が連結されている。しかし、インナーロッド620が用いられず、アンカーパイプ100の前端部113にビットが設けられ、アンカーパイプ100の後端部111に直接削岩機が連結される方法が用いられてもよい。この場合、アンカーパイプ引き上げ工程においては、削岩機を引き上げることでアンカーパイプ100を移動可能である。また、この場合、ビットはアンカーパイプ100の前端部113に固定されているため、アンカーパイプ引き上げ工程(S3)後においてビット取り外し工程(S4)が実行されない。さらに、アンカーパイプ100の前端部113に設けられたビットと、インナーロッド620の先端に設けられたビットとの両方が掘削に用いられてもよい。この場合、ビット取り外し工程においては、掘削に用いられたビットのうち、インナーロッド620に設けられた一部のビットのみが取り外されることになる。
【0048】
前記実施形態では、アンカーパイプ100の地中への設置に際し、アンカー延長工程(S1)において部分管120を本体管110に接続してから掘削工程(S2)を開始している。しかし、部分管120を本体管110に接続せずに掘削工程を開始すると共に、本体管110をある程度地中に打ち込んでから掘削を途中で一旦停止し、部分管120を本体管110に接続してあらためて掘削を進めてもよい。
【0049】
前記実施形態では、本発明の第1アンカーに対応する部材としてアンカーロッド200が用いられている。このアンカーロッド200の代わりに、ワイヤーを多数束ねて棒状に形成した部材が第1アンカーに対応する部材として用いられてもよい。
【0050】
前記実施形態では、掘削工程(S2)において、アンカーパイプ100の本体管110と部分管120を接続した状態で掘削が実行される。つまり、2本の管部材を接続したものを掘削に用いている。しかし、3本以上の管部材を互いに接続したものを掘削に用いてもよい。この場合、最初に1本の管部材を用いて掘削を開始し、掘削が進むに連れて管部材を1本ずつ接続して本体管110を順に延長していくことで深い位置まで掘削を進めることができる。この場合、最後に接続される管部材が部分管120に対応する。
【符号の説明】
【0051】
1 アンカー装置
100 アンカーパイプ
110 本体管
117 段差部
120 部分管
200 アンカーロッド
221 螺子羽根
250 仕切り板
300 キャップ
400 凝固剤
500 掘削孔
650 ビット
651a 係合部
700 凝固剤投入部
【手続補正書】
【提出日】2022-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状の第1アンカーの前端部に設置されたビットによって地中を掘削しつつ第1アンカーを地中に挿入する第1アンカー挿入工程と、
前記第1アンカー挿入工程後に、前記第1アンカー挿入工程によって形成された掘削孔の途中に前記第1アンカーの前端部が位置するように、前記第1アンカーを前記掘削孔に沿って引き抜き方向に移動させる移動工程と、
前記移動工程後に、前記第1アンカー内に地上から第2アンカーを挿入すると共に、前記第2アンカーの後端部が前記第1アンカーの後端部から外部に突出した状態で、前記第2アンカーの前端部を前記第1アンカーの前端部から、前記掘削孔における前記第1アンカーの前端部より奥の部分に形成された空間内に突出させる第2アンカー挿入工程と、
前記第2アンカー挿入工程中又はその前後において、前記第2アンカーを地中に固定するための凝固剤を前記空間に投入する凝固剤投入工程と、
前記第2アンカー挿入工程中又はその後において、地中に固定された前記第2アンカーが前記第1アンカーに作用する外力の引き抜き方向成分に対抗するように前記第1アンカーと前記第2アンカーを接続するアンカー接続工程とを備えており、
前記第1アンカー内から前記第1アンカーの側壁部を貫通して前記第1アンカー外へと突出する第1突出部材と、前記第1突出部材との間に前記第2アンカーを挟む位置に配置され、前記第1アンカー内から前記第1アンカーの側壁部を貫通して前記第1アンカーの外側へと突出する第2突出部材とが、前記第1アンカーの後端部における地面から離れた位置に固定されることを特徴とするアンカー設置方法。
【請求項2】
前記第1アンカーが、前記前端部を含む本体管と、前記本体管の後端部に取り外し可能に接続された部分管とを有しており、
前記移動工程において、前記部分管が前記掘削孔から出ると共に、前記本体管の後端部が前記掘削孔から出るように前記第1アンカーを移動させ、
前記移動工程後において、前記本体管から前記部分管を取り外す部分管取り外し工程を備えていることを特徴とする請求項1に記載のアンカー設置方法。
【請求項3】
前記部分管取り外し工程後に実行される前記アンカー接続工程において、前記本体管の後端部に接続部材を介して前記第2アンカーを接続することを特徴とする請求項1又は2に記載のアンカー設置方法。
【請求項4】
前記第1アンカー内の空間を仕切る仕切り板が前記第2アンカーに設けられており、
前記仕切り板が、前記第1アンカー中を前記前端部とは反対側へと前記凝固剤が進入するのを抑制する手段、及び、前記第1アンカーの内表面に設けられた段差部に掛けられることで前記アンカー接続工程における前記第1アンカーと前記第2アンカーを接続する手段の少なくともいずれかとして機能することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のアンカー設置方法。
【請求項5】
前記第1アンカー挿入工程において、前記段差部が前記ビットに形成された係合部と係合することによって、前記ビットが掘削方向に前進するのに連動して前記第1アンカーが前進し、
前記アンカー接続工程において、前記第1アンカーの内表面に設けられた段差部に掛けられることで前記アンカー接続工程における前記第1アンカーと前記第2アンカーを接続する手段として前記仕切り板が機能することを特徴とする請求項4に記載のアンカー設置方法。
【請求項6】
前記第2アンカーの前端部に前記凝固剤を撹拌するための撹拌構造が形成されており、
前記第2アンカー挿入工程中又はその後において、前記第2アンカーを回転させることで前記撹拌構造に前記凝固剤を撹拌させることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のアンカー設置方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明のアンカー設置方法は、管状の第1アンカーの前端部に設置されたビットによって地中を掘削しつつ第1アンカーを地中に挿入する第1アンカー挿入工程と、前記第1アンカー挿入工程後に、前記第1アンカー挿入工程によって形成された掘削孔の途中に前記第1アンカーの前端部が位置するように、前記第1アンカーを前記掘削孔に沿って引き抜き方向に移動させる移動工程と、前記移動工程後に、前記第1アンカー内に地上から第2アンカーを挿入すると共に、前記第2アンカーの後端部が前記第1アンカーの後端部から外部に突出した状態で、前記第2アンカーの前端部を前記第1アンカーの前端部から、前記掘削孔における前記第1アンカーの前端部より奥の部分に形成された空間内に突出させる第2アンカー挿入工程と、前記第2アンカー挿入工程中又はその前後において、前記第2アンカーを地中に固定するための凝固剤を前記空間に投入する凝固剤投入工程と、前記第2アンカー挿入工程中又はその後において、地中に固定された前記第2アンカーが前記第1アンカーに作用する外力の引き抜き方向成分に対抗するように前記第1アンカーと前記第2アンカーを接続するアンカー接続工程とを備えており、前記第1アンカー内から前記第1アンカーの側壁部を貫通して前記第1アンカー外へと突出する第1突出部材と、前記第1突出部材との間に前記第2アンカーを挟む位置に配置され、前記第1アンカー内から前記第1アンカーの側壁部を貫通して前記第1アンカーの外側へと突出する第2突出部材とが、前記第1アンカーの後端部における地面から離れた位置に固定される。