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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168370
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】取付装置及びアンカー補助具
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/60 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
E06B1/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073756
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005005
【氏名又は名称】不二サッシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】藤田 浩嗣
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA01
2E011KB02
2E011KC01
2E011KD26
2E011KD35
(57)【要約】
【課題】開口枠の取付強度の向上を図る。
【解決手段】躯体に形成された開口部Hに開口枠1を取り付ける取付装置100であって、開口枠1における互いに対向する一対の側壁部32,33の間に装着されるアンカー部材110と、開口枠1の一対の側壁部32,33に対して外側から対向する一対の係止部122を有するアンカー補助具120とを備える。
アンカー補助具120の一対の係止部122は、開口枠1の一対の側壁部32,33を外側から拘束し、アンカー部材110の両側の端部とそれぞれの側壁部32,33との間の相対的な移動を規制して、一対の側壁部32,33に対するアンカー部材110の装着状態を維持する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体に形成された開口部に開口枠を取り付ける取付装置であって、
前記開口枠における互いに対向する一対の側壁部の間に装着されるアンカー部材と、
前記開口枠の前記一対の側壁部に対して外側から対向する一対の係止部を有するアンカー補助具とを備えることを特徴とする取付装置。
【請求項2】
前記アンカー部材は、前記開口枠の前記一対の側壁部の各々から互いに向かい合うように延出されたリップ部を個別に受け入れる被挿入部を両側の端部に備えることを特徴とする請求項1に記載の取付装置。
【請求項3】
前記アンカー補助具は、前記アンカー部材に重ねて前記開口枠に取り付け可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の取付装置。
【請求項4】
前記アンカー部材と前記アンカー補助具とを連結する連結構造を有することを特徴とする請求項3に記載の取付装置。
【請求項5】
前記連結構造は、前記アンカー部材に対して前記アンカー補助具が回動可能であることを特徴とする請求項4に記載の取付装置。
【請求項6】
前記アンカー部材は、その中間部から立設して延出された連結部を備え、
前記アンカー補助具は、前記連結部を通すことが可能な挿通部を有することを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の取付装置。
【請求項7】
前記アンカー補助具は、その中間部から立設して延出された連結部を備えることを特徴とする請求項4又は5に記載の取付装置。
【請求項8】
躯体に形成された開口部に取り付けるためのアンカー部材が一対の側壁部の間に装着された開口枠に取り付けられるアンカー補助具であって、
前記一対の側壁部に対して外側から対向する一対の係止部を有することを特徴とするアンカー補助具。
【請求項9】
前記アンカー部材に重ねて前記開口枠に取り付け可能であることを特徴とする請求項8に記載のアンカー補助具。
【請求項10】
前記アンカー部材に対する連結構造が設けられていることを特徴とする請求項9に記載のアンカー補助具。
【請求項11】
前記アンカー部材の中間部から立設して延出された連結部を通す挿通部を有することを特徴とする請求項9又は10に記載のアンカー補助具。
【請求項12】
前記アンカー補助具の中間部から立設して延出された連結部を備えることを特徴とする請求項10に記載のアンカー補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口枠の取り付けに適した取付装置及びアンカー補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
躯体に形成された開口部に窓枠等の開口枠を取り付ける技術として、開口枠の外縁部に複数のアンカーを装着し、各アンカーから延出された連結部を、開口部の内壁に固定された複数の固定具の先端部に溶接等により連結する方法が実施されている(例えば、特許文献1又は2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭56-74176号公報
【特許文献2】特開平9-88431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、台風の大型化等、環境の変化が顕著となり、開口部に対する開口枠の取り付けにあっては、取り付け強度の向上が求められている。
上記従来の工法の場合、開口部と開口枠の間にモルタルを充填し、アンカーと固定具の連結部の周囲を固めることで取り付け強度を向上させることが可能である。
しかしながら、躯体の開口部と開口枠の間の空間がモルタルの充填に適した構造であるとは限らず、モルタルに依存しないで、又は、モルタルと併用して、開口部に対する開口枠の取り付け強度の向上を図る構造が望まれていた。
【0005】
本発明は、開口部に対する開口枠の取り付け強度の向上を図ることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、
本発明は、躯体に形成された開口部に開口枠を取り付ける取付装置であって、
前記開口枠における互いに対向する一対の側壁部の間に装着されるアンカー部材と、
前記開口枠の前記一対の側壁部に対して外側から対向する一対の係止部を有するアンカー補助具とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、躯体に形成された開口部に取り付けるためのアンカー部材が一対の側壁部の間に装着された開口枠に取り付けられるアンカー補助具であって、
前記一対の側壁部に対して外側から対向する一対の係止部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、アンカー補助具の一対の係止部が、開口枠の一対の側壁部を外側から拘束し、アンカー部材の両側の端部とそれぞれの側壁部との間の相対的な移動(変位)を規制して、一対の側壁部に対するアンカー部材の装着状態を維持する。
従って、アンカー部材による開口枠の取付強度を高く維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】発明の第1実施形態である取付装置を適用した窓枠の内観を示す正面図である。
図2図1におけるA-A線に沿った窓枠の横断面図である。
図3図1におけるB-B線に沿った窓枠の縦断面図である。
図4図4(A)は取付装置の平面図、図4(B)は取付装置を左方から見た窓枠に対する納まり図である。
図5図4の取付装置を左方から見た組立図である。
図6】窓枠に対する取付装置の取り付け作業の工程を示す斜視図である。
図7】窓枠に対する取付装置の取り付け作業の図6に続く工程を示す斜視図である。
図8】窓枠に対する取付装置の取り付け作業の図7に続く工程を示す斜視図である。
図9図9(A)はアンカー部材の平面図、図9(B)はアンカー部材の左側面図、図9(C)はアンカー部材の正面図である。
図10図10(A)はアンカー補助具の平面図、図10(B)はアンカー補助具の左側面図、図10(C)はアンカー補助具の斜視図である。
図11図11(A)は無風状態の窓枠の模式図、図11(B)は強風を受けた状態の窓枠の模式図である。
図12】第2実施形態にかかる取付装置のアンカー補助具を閉じた状態の平面図である。
図13図13(A)はアンカー補助具を開いた状態の取付装置の斜視図、図13(B)は図13(A)とは異なる方向から見た斜視図である。
図14】アンカー補助具を閉じた状態の取付装置を左方から見た窓枠に対する納まり図である。
図15図15(A)はアンカー補助具を開いた状態の取付装置を左方から見た窓枠に対する納まり図、図15(B)は取付装置の正面図である。
図16】第2実施形態にかかる取付装置の窓枠に対する取り付け作業の工程を示す斜視図である。
図17】第2実施形態にかかる取付装置の窓枠に対する取り付け作業の図16に続く工程を示す斜視図である。
図18】第2実施形態にかかる取付装置の窓枠に対する取り付け作業の図17に続く工程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
本発明の取付装置を適用した開口枠を第1実施形態として、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態はあくまで本発明の一例であり、本発明が下記に説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で適宜変更可能である。
下記の実施形態は、本発明に係る取付装置を開口部装置である窓枠の取り付けに適用した場合について示している。
【0011】
[窓枠]
図1は窓枠1の内観を示す正面図、図2図1におけるA-A線に沿った窓枠1の縦断面図、図3図1におけるB-B線に沿った窓枠1の横断面図である。
窓枠1は、建物の躯体に形成された矩形の開口部Hに対して、取付装置100を介して取り付けが行われる。また、窓枠1は、枠にガラス板等の面材が収容されたFIX窓となっている。
【0012】
以下、窓枠1が備える全ての構成の説明については、窓枠1の幅方向を左右方向(見付け方向、面内方向という場合もある)、高さ方向を上下方向(見付け方向という場合もある)、図1における紙面垂直方向(図3における紙面左右方向)を前後方向(見込み方向、面外方向という場合もある)と定義して説明する。
また、窓枠1については、屋内側から見た場合の上下左右を窓枠1の上下左右と定義する。さらに、窓枠1については、屋内側を前、屋外側を後と定義する。
なお、本実施の形態では、特に断りがない場合には、窓枠1の上下が鉛直上下方向に平行となり、窓枠1の前後左右が水平方向に平行となるように建物に設置されている前提で各部の方向について説明する。
【0013】
窓枠1は、互いに上下方向に離隔してそれぞれ左右方向に沿って配設された上枠3及び下枠4と、互いに左右方向に離隔してそれぞれ上下方向に沿って配設された一対の縦枠5A,5Bとを備え、これらが矩形状に組み合わされてガラス板等の面材25を四方から囲むように支持する枠体を構成している。
上枠3、下枠4及び縦枠5A,5Bは、アルミニウム合金の押し出し型材により形成されている。
【0014】
縦枠5Aと縦枠5Bは、窓枠1の左右の枠を構成するもので、図2に示すように、互いに同一構造なので、同一の符号を用いて説明する。
縦枠5A,5Bは、図2に示したように、窓枠1の内側を向いた内壁部51と、内壁部51の前端部と後端部とに設けられた互いに対向する一対の側壁部52,53と、内壁部51に設けられ、ガラス板等の面材25の左右の一端を収容する面材収容溝部54とを備えている。
【0015】
内壁部51は、上下方向に延在し、上下方向及び前後方向に略平行な平板状を呈する。そして、内壁部51には、その上下方向全長に渡って溝状の面材収容溝部54が形成されている。
縦枠5Aの面材収容溝部54は、右側に向かって開口し、縦枠5Bの面材収容溝部54は、左側に向かって開口している。
そして、それぞれの面材収容溝部54の内側に面材25の左端部と右端部とが挿入されている。各面材収容溝部54の内面と面材25との間には、バックアップ材55及びシール材56が挿入されている。
【0016】
側壁部52,53は、いずれも、上下方向及び左右方向に略平行な平板状を呈する。そして、前側の側壁部52は、内壁部51の前端部に対して上下方向の全長に渡って連接されている。また、後側の側壁部53は、内壁部51の後端部に対して上下方向の全長に渡って連接されている。
さらに、側壁部52,53の内壁部51とは逆側の端部には、各々から互いに向かい合うように延出されたリップ部521,531が上下方向の全長に渡って形成されている。
【0017】
上枠3は、図3に示すように、窓枠1の上側の枠を構成するもので、縦枠5A,5Bとほぼ同一の構造を有する。即ち、上枠3は、図3に示したように、内壁部31、一対の側壁部32,33、面材収容溝部34を備えている。
【0018】
内壁部31は、窓枠1の内側(下側)を向いており、左右方向に延在している。内壁部31は、左右方向及び前後方向に略平行な平板状を呈する。内壁部31には、その左右方向全長に渡って溝状の面材収容溝部34が形成されている。面材収容溝部34は、下側に向かって開口し、バックアップ材35及びシール材36を介して面材25の上端部が挿入されている。
【0019】
側壁部32,33は、いずれも、上下方向及び左右方向に略平行な平板状を呈する。そして、前側の側壁部32は、内壁部31の前端部に左右方向全長に渡って連接され、後側の側壁部33は、内壁部31の後端部に左右方向の全長に渡って連接されている。また、各側壁部32,33の上端部には、各々から互いに向かい合うように延出されたリップ部321,331が左右方向の全長に渡って形成されている。
【0020】
下枠4は、図3に示すように、窓枠1の下側の枠を構成するもので、本体401と、この本体401から取外し可能で、ガラス板等の面材25の組入れ、組外し等の際に、分離される押縁402とからなる。
【0021】
本体401は、内壁部41と一対の側壁部42,43とを備えている。
内壁部41は、窓枠1の内側(上側)を向いており、左右方向に延在している。そして、内壁部41は、左右方向及び前後方向に略平行な平板状を呈する。内壁部41の後端部には、左右方向の全長に渡って段差部411が形成されている。
前側の側壁部42は、上下方向及び左右方向に略平行な平板状を呈する。そして、側壁部42は、内壁部41の前端部に連接され、左右方向に延在している。
後側の側壁部43は、内壁部41の段差部411の後端部に連接され、左右方向に延在している。
また、各側壁部42,43の下端部には、各々から互いに向かい合うように延出されたリップ部421,431が左右方向の全長に渡って形成されている。
【0022】
押縁402は、内壁部47と側壁部48とを備えている。
内壁部47は、窓枠1の内側(上側)を向いており、左右方向に延在している。さらに、内壁部47は、左右方向及び前後方向に略平行な平板状を呈する。そして、押縁402が本体401に装着された状態で、押縁402の内壁部47は、本体401の内壁部41と同一平面上となるように形成されている。
側壁部48は、上下方向及び左右方向に略平行な平板状を呈する。側壁部48は、内壁部47の後端部に連接され、左右方向に延在している。側壁部48の下端部は、係止爪481を有し、本体401の側壁部43の上端部に連結可能となっている。
【0023】
押縁402の内壁部47の前端部には、左右方向の全長に渡って段差部471が形成されている。この段差部471は、前述した本体401の内壁部41の段差部411に対して、係止爪472によって連結可能であり、連結された段差部411,471は、左右方向全長に渡って溝状となる面材収容溝部44を構成する。
この面材収容溝部44は上側に向かって開口し、バックアップ材45及びシール材46を介して面材25の下端部が挿入されている。
【0024】
[取付装置]
窓枠1を躯体の開口部Hに取り付けるための取付装置100について説明する。
図1に示すように、躯体の開口部Hは、窓枠1よりも一回りほど大きなサイズの矩形の開口である。そして、窓枠1の上枠3、下枠4及び縦枠5A,5Bの各々と対向する開口部Hの内面からそれぞれの枠3,4,5A,5Bに向かって複数(図1では四つ)の連結材H1が延出されている。連結材H1は、例えば、アングル材や棒状の鉄筋等からなる。
取付装置100は、各連結材H1に対応する配置でそれぞれの枠3,4,5A,5Bに装着され、部材を連結するための周知の工法(例えば、溶接等)により、連結材H1と連結される。
なお、取付装置100及び連結材H1の取り付け数は、窓枠1の左右方向及び上下方向の大きさに応じて適宜変更される。
【0025】
図4(A)は取付装置100の平面図、図4(B)は取付装置100を左方から見た窓枠に対する納まり図、図5は左方から見た組立図、図6図8は取付装置100の取り付け作業の工程を示す斜視図である。
これらの図に示すように、取付装置100は、上枠3の一対の側壁部32,33の間に装着されるアンカー部材110と、一対の側壁部32,33に対してこれらの外側から対向する一対の係止部122を有するアンカー補助具120と、アンカー部材110とアンカー補助具120とを連結する連結構造130とを備えている。
【0026】
上記アンカー部材110及びアンカー補助具120は、いずれもアルミニウム合金よりも強度が高い材料であり、例えばスチールやステンレス等の金属平板から打ち抜き加工、プレス加工等の加工を施して形成されている。
以下、本実施形態では、窓枠1における上枠3、下枠4及び縦枠5A,5Bのそれぞれに装着される取付装置100がいずれも同一の構造である場合を例示する。また、以下の説明では、窓枠1の上枠3に取り付けられた取付装置100を例にして説明する。
また、アンカー部材110及びアンカー補助具120の各部の方向については、特に断りがない場合には、これらの各部材が誤差やズレ、ガタつきのない状態で取り付けられていることを前提として説明する。
【0027】
[取付装置:アンカー部材]
図9(A)はアンカー部材110の平面図、図9(B)はアンカー部材110の左側面図、図9(C)はアンカー部材110の正面図である。
アンカー部材110は、対向する上枠3の一対の側壁部32,33の間に装着することが可能である。アンカー部材110は、各側壁部32,33に設けられたリップ部321,331を利用して装着が行われる。
アンカー部材110は、全体形状が略長方形状の平板であって、前後方向に延在した状態で上枠3に装着される。そして、装着されたアンカー部材110は、その平板面が前後方向及び左右方向に平行となっている。
【0028】
アンカー部材110の前端部は、前後方向に沿ったスリット111により、延出部112と分離片113とに分離している。延出部112は、アンカー部材110の全体的な平板面に沿って前方に延出されており、分離片113は延出部112に対して上方に幾分起伏するように傾斜している。これにより、左右方向から見ると、被挿入部を構成する延出部112と分離片113とが分離して前方に向かって開口した隙間が形成される。そして、後方に向かって延出されたリップ部321を、延出部112と分離片113との隙間に差し込ませて受け入れることができる。従って、アンカー部材110の前端部をリップ部321に係止することができる。
【0029】
また、アンカー部材110の後端部は、上方から見たアンカー部材110の中心線(例えば、上方から見たアンカー部材110に外接する長方形の中心を鉛直上下方向に通過する線)について上記前端部と線対称となる構造となっている。従って、アンカー部材110の後端部は、スリット111を介してその左側が延出部112、右側が分離片113に分離されており、これらは後方に向かって開口した隙間が形成されている。
これにより、前方に向かって延出されたリップ部331を延出部112と分離片113との隙間に差し込ませて受け入れることで、アンカー部材110の後端部をリップ部331に係止することができる。
【0030】
なお、アンカー部材110を上枠3に装着する際には、当該アンカー部材110を図9(A)における時計方向に回動させて斜め向きとする。これにより、アンカー部材110の前端部からの後端部までの前後方向の距離がリップ部321の後端部からリップ部331の前端部までの距離よりも短くすることができる。
この状態で、アンカー部材110を各リップ部321,331の間に通し、各延出部112の上面をリップ部321,331の下面に当接又は近接させながら、アンカー部材110を反時計方向に回動させて前後方向に沿った状態に戻すことにより、リップ部321を前側の延出部112と分離片113との隙間に差し込ませると共に、リップ部331を後側の延出部112と分離片113との隙間に差し込ませることができる。これにより、アンカー部材110の前端部と後端部とが各リップ部321,331に係止された状態となり、上枠3に対してアンカー部材110を装着することができる。
【0031】
なお、上枠3の左端部又は右端部が開放された状態である場合には、当該左端部又は右端部から前後方向を向いたままの状態でアンカー部材110の両端部の隙間に各リップ部321,331を差し込むことができる。従って、アンカー部材110を上枠3の左端部又は右端部から差し込んで、目標とする取り付け位置まで上枠3に沿ってスライドさせて装着を行っても良い。
【0032】
また、アンカー部材110は、前後方向の中間部115から開口部H側(上側)に延出された連結部114を備えている。連結部114は、アンカー部材110の中間部115の平面から垂直に立設された平板状を呈し、その平板面は上下方向及び前後方向に沿っている。
連結部114は、アンカー部材110の中間部をコ字状に切り欠いて矩形に画成された部分を直角に折曲して立ち上げられて形成されている構成を例示する。但し、連結部114の平板面の向きは図示の例に限定されず、アンカー部材110が窓枠1に取り付けられた状態で開口部H側に延出していれば異なる向きであっても良い。例えば、連結部114の平板面は、上下左右に平行な向きでも良い。
【0033】
さらに、連結部114は、上記のような構造に限定されない。例えば、連結部114は、アンカー部材110の中間部にアングル材等の別部材をネジ止め、接着、溶接等によって固定されたものであっても良い。また、連結部114は、平板形状でなくとも良く、棒状、ネジ棒状、筒状、U字材、環状体、フック材等の態様でも良い。
【0034】
上記のように、アンカー部材110が開口部H側に延出された連結部114を有する構造は、連結材H1に対する取り付け性の向上を図ることができるので好ましい。
しかしながら、連結材H1の構造によっては、アンカー部材110には開口部H側に延出された連結部114が必須とはならない。例えば、アンカー部材110の平板面に対して開口部H側から延出された連結材H1の先端部を直接的に溶接しても良いし、連結材H1の先端部をネジ軸とし、アンカー部材110の中間部115の平面にネジ孔を設け、連結材H1を螺嵌させてもよい。
【0035】
[取付装置:アンカー補助具]
図10(A)はアンカー補助具120の平面図、図10(B)はアンカー補助具120の左側面図、図10(C)はアンカー補助具120の斜視図である。
アンカー補助具120は、平面視矩形であって上枠3の一方の側壁部32から他方の側壁部33まで前後方向に沿って延在する板状の本体部121と、本体部121の両端部において下方に垂下された一対の係止部122とを有する。
このアンカー補助具120は、全体的に前後方向に長い短冊状の平板の各部を折曲されて形成されている。
【0036】
アンカー補助具120は、アンカー部材110を開口部H側(上側)から覆うように重ねて配置される。
本体部121は、左右方向の幅がアンカー部材110と同一又は幾分広く、前後方向の長さがアンカー部材110よりも幾分長い。このため、本体部121は、後述する挿通部125を除いて、アンカー部材110全体を覆うことができる。なお、左右方向の幅がアンカー部材110より狭くともアンカー部材110を覆うことはできるが、同一又は幾分広い方がアンカー部材110全体を抑えることができるため、取付強度がさらに向上する。
本体部121は、前後方向中央にアンカー部材110の上面と当接する当接部123を有し、前後の両端部にはアンカー部材110から離隔する離隔部124を有する。これら当接部123及び離隔部124は、前後方向及び左右方向に沿った平板状である。また、当接部123と離隔部124の境界部分は、離隔部124がアンカー部材110から離隔するように傾斜部が曲成されている。
本体部121の前後両端部に位置する離隔部124は、アンカー補助具120をアンカー部材110に重ねて配置した時に、延出部112から起伏している分離片113や上枠3のリップ部321,331との干渉を回避するための逃げ部となっている。
【0037】
本体部121の前端部において下方に垂下された一方の係止部122は、上下方向及び左右方向に沿った板状であり、上枠3の前側の側壁部32の前面に対して外側から当接又は近接対向している。また、本体部121の後端部において下方に垂下された他方の係止部122も、上下方向及び左右方向に沿った板状であり、上枠3の後側の側壁部33の後面に対して外側から当接又は近接対向している。
ここで、一対の側壁部32,33の「外側」とは、一対の側壁部32,33が互いに離隔する方向を示すものとする。
アンカー補助具120の一対の係止部122は、上枠3の一対の側壁部32,33に対して外側から対向しているので、一対の側壁部32,33を外側から押さえることができる。
【0038】
また、上記各係止部122の上下方向の高さは、一対の側壁部32,33の全高に及ぶ高さ以下であって、各係止部122が上枠3の一対の側壁部32,33に対して引っ掛かりを生じる最低限の高さ以上の範囲で適宜定められてよい。
例えば、上枠3の側壁部32又は33に対して、装飾ボード等の別部材の取り付けの用途が予定されている場合には、各係止部122の高さを低く定めてもよい。
【0039】
本体部121の前後方向の中間部126には、アンカー部材110の連結部114を挿通する挿通部125が形成されている。挿通部125は、上下方向に貫通形成された開口であり、アンカー補助具120がアンカー部材110を覆った状態であっても、アンカー部材110の連結部114を上方に通して、当該連結部114を開口部Hの連結材H1に連結することを可能とする。
なお、図示の挿通部125は略正方形状を例示しているが、連結部114を通すことが可能な形状であれば良い。例えば、挿通部125は、スリット状等であっても良い。
【0040】
[取付装置:連結構造]
連結構造130は、アンカー部材110に前後に並ぶ配置で上下に貫通形成された二つのネジ孔131,132と、アンカー補助具120に前後に並ぶ配置で貫通形成された二つのネジ挿通孔133,134と、アンカー部材110とアンカー補助具120とを連結する少なくとも一つのネジ135とを備えている。
【0041】
アンカー部材110にアンカー補助具120を重ねて配置した状態で、アンカー部材110の二つのネジ孔131,132は、アンカー補助具120の二つのネジ挿通孔133,134とそれぞれ配置が一致する。
これにより、上方からネジ135をネジ挿通孔133に通し、さらに、ネジ孔131に螺入することで、アンカー部材110とアンカー補助具120とを締結固定することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、ネジ135のみで締結固定しているが、例えば図4に示すように、二つのネジ135,136で締結固定してもよい。その場合、アンカー部材110は、その下面が面材収容溝部34の上面に当接または近接した状態で上枠3に装着されるため、アンカー部材110の後側のネジ孔132は、面材収容溝部34の上面に塞がれる位置にある。そのため、当該ネジ孔132に螺入されるネジ136は、締結時に、面材収容溝部34に当接しない長さに調整されている。
【0043】
[窓枠に対する取付装置の取り付け]
上記取付装置100を窓枠1に取り付ける作業を図6図8に基づいて順番に説明する。
まず、図6に示すように、上枠3において、開口部H内の連結材H1に対向する位置を目標取り付け位置としてアンカー部材110の取り付けを行う。
上枠3にアンカー部材110を取り付ける場合には、前述したように、前後方向に対してアンカー部材110を図9(A)における時計方向に回動させて上枠3のリップ部321,331の間を通し、反時計回りに回動させて元の向きに戻す。これにより、アンカー部材110の前端部と後端部とにおいて、延出部112と分離片113との隙間に各リップ部321,331が差し込まれ、上枠3に対してアンカー部材110を装着することができる。
【0044】
次に、図7に示すように、上枠3に装着されたアンカー部材110に対して上からアンカー補助具120を重ねて配置する。このとき、アンカー補助具120の挿通部125にアンカー部材110の連結部114を挿通し、位置合わせを行う。また、アンカー補助具120の各係止部122が上枠3の一対の側壁部32,33に対して外側から対向するようにアンカー補助具120を配置する。
【0045】
そして、図8に示すように、アンカー部材110のネジ孔131に対してアンカー補助具120のネジ挿通孔133の配置をそれぞれ合致させた状態で、ネジ135によりアンカー部材110とアンカー補助具120とを締結固定する。
これにより、上枠3に対する取付装置100の取り付けが完了する。
【0046】
また、窓枠1の上枠3、下枠4及び縦枠5A,5Bにおける各連結材H1に対向する位置の全てに取付装置100を取り付けた後には、各取付装置100のアンカー部材110の連結部114の先端部と連結材H1の先端部とを溶接等の周知の接続方法により連結する。
これにより、窓枠1を開口部Hに取り付けることができる。
【0047】
なお、取付装置100については、上枠3に設けられるものを例として説明を行ったが、下枠4、縦枠5A,5Bに設けられる取付装置100についても、その構成及び取り付け作業は、実質的に同一である。
但し、下枠4に設けられる取付装置100は、上枠3に設けられた取付装置100の説明における「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」をそれぞれ「下」、「上」、「右」、「左」、「前」、「後」に置き換えることにより適正な位置又は方向となる。
また、縦枠5Aに設けられる取付装置100は、上枠3に設けられた取付装置100の説明における「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」をそれぞれ「左」、「右」、「下」、「上」、「前」、「後」に置き換えることにより適正な位置又は方向となる。
また、縦枠5Bに設けられる取付装置100は、上枠3に設けられた取付装置100の説明における「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」をそれぞれ「右」、「左」、「上」、「下」、「前」、「後」に置き換えることにより適正な位置又は方向となる。
【0048】
[技術的効果]
図11(A)は無風状態の窓枠1の模式図、図11(B)は強風を受けた状態の窓枠1の模式図である。
図11(B)の矢印(本図は正圧であり、負圧の場合は矢印が逆向きになる)に示すように、窓枠1は強風を受けると、面材25の中央部が前方に撓むため、上枠3の前端部と下枠4の前端部とが互いに離隔する方向に傾斜(変位)を生じる。なお、図示を省略しているが、縦枠5A,5Bの場合も互いの前端部が離隔する方向に傾斜する。
その結果、アンカー部材110の前端部及び後端部に負荷となる荷重が集中し、リップ部321,331の外れが懸念される。
しかしながら、上記取付装置100は、アンカー補助具120が窓枠1の上枠3の一対の側壁部32,33に対してこれらの外側から対向する一対の係止部122を有するので、アンカー補助具120が上下方向(アンカー部材110と開口部Hの対向する方向)や前後方向(アンカー部材110の延在する方向)についてアンカー部材110を拘束するため、強風下でもアンカー部材110の前端部及び後端部に対するリップ部321,331の外れを抑止することができる。
これにより、取付装置100による開口部Hに対する窓枠1の取付強度の向上を図ることが可能となる。
【0049】
また、アンカー部材110は、被挿入部を構成する延出部112及び分離片113を両側の端部に備え、窓枠1の上枠3の一対のリップ部321,331を受け入れて上枠3に装着される構造であり、アンカー補助具120はアンカー部材110に対するリップ部321,331の相対的な前後方向の移動(変位)を規制する。このため、アンカー補助具120がアンカー部材110をより強固に上枠3に保持することができ、開口部Hに対する窓枠1の取付強度のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0050】
また、アンカー補助具120は、アンカー部材110の開口部H側でアンカー部材110に重ねて窓枠1の上枠3に取り付けられているので、アンカー部材110に近接した適正な位置でアンカー部材110に対するリップ部321,331の移動を規制することができる。これにより、アンカー補助具120がアンカー部材110を上枠3により強固に保持することができ、開口部Hに対する窓枠1の取付強度のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0051】
また、取付装置100は、アンカー部材110とアンカー補助具120とを連結する連結構造130を有するので、アンカー補助具120が上枠3に対するアンカー部材110の前後方向や上下方向の相対的な移動動作をより強固に規制することができ、開口部Hに対する窓枠1の取付強度のさらなる向上を図ることが可能となる。
【0052】
また、アンカー補助具120は、アンカー部材110の連結部114を通す挿通部125を有するので、アンカー補助具120がアンカー部材110の開口部H側で保持する構造であっても、アンカー補助具120が妨げとならず、アンカー部材110と連結材H1との良好な接続状態を維持することが可能である。
【0053】
[第2実施形態]
第2実施形態にかかる取付装置100Aを、図面を参照して説明する。取付装置100Aについて前述した取付装置100と同一の構成については同符号を付して重複する説明は省略する。
図12はアンカー補助具120Aを閉じた状態の取付装置100Aの平面図、図13(A)はアンカー補助具120Aを開いた状態の取付装置100Aの斜視図、図13(B)は図13(A)とは異なる方向から見た取付装置100Aの斜視図、図14はアンカー補助具120Aを閉じた状態の取付装置100Aを左方から見た窓枠に対する納まり図、図15(A)はアンカー補助具120Aを開いた状態の取付装置100Aを左方から見た窓枠に対する納まり図、図15(B)は取付装置100Aの正面図である。
【0054】
本実施形態の場合も、窓枠1における上枠3、下枠4及び縦枠5A,5Bのそれぞれに同一の取付装置100Aが取り付けられる場合を例示する。また、上枠3に取り付けられた取付装置100Aを例にして説明する。
【0055】
取付装置100Aは、主に、アンカー部材110Aとアンカー補助具120Aとを回動可能に連結する連結構造130Aを有する点が、前述した取付装置100と異なっている。
連結構造130Aは、前述したネジ孔131,132、ネジ挿通孔133,134、ネジ135に加えて、アンカー部材110Aに一体的に設けられた第一ブラケット137Aと、アンカー補助具120Aに一体的に設けられた第二ブラケット138Aと、第一ブラケット137Aと第二ブラケット138Aと回動可能に連結する軸体139Aとを備えている。
【0056】
第一ブラケット137Aは、アンカー部材110Aの前後方向の中間部115Aから右方に延びる延出部と、当該延出部の前後に立設された一対の縦板部とを有し、当該一対の縦板部には、軸体139Aを挿通する挿通孔が形成されている。
なお、アンカー部材110Aは、前述したアンカー部材110とほぼ同一の構造である。
【0057】
第二ブラケット138Aは、アンカー補助具120Aの前後方向の中間部126Aから右方に延びる延出部と、当該延出部の前後に立設された一対の縦板部とを有し、当該一対の縦板部には、軸体139Aを挿通する挿通孔が形成されている。
そして、第二ブラケット138Aの一対の縦板部は、第一ブラケット137Aの一対の縦板部の内側に位置している。
また、アンカー補助具120Aの前後方向の中間部126Aには、各係止部122の延出方向(下方)とは反対方向(上方)に向かって延出された連結部125Aが立設されている。この連結部125Aは、アンカー補助具120Aの中間部をコ字状に切り欠いて矩形に画成された部分を直角に折曲して立ち上げられて形成されている。連結部125Aは、その平板面が上下方向及び前後方向に沿っているが、アンカー補助具120Aが窓枠1に取り付けられた状態で開口部H側に延出していれば平板面の向きは変更可能である。また、平板形状でなくとも良く、棒状、ネジ棒状、筒状、U字材、環状体、フック材等の態様でも良い。
なお、アンカー補助具120Aは、上記以外は前述したアンカー補助具120と同一構造である。
【0058】
軸体139Aは、第一ブラケット137Aの一対の縦板部の挿通孔と第二ブラケット138Aの一対の縦板部の挿通孔とを全て貫通すると共に、前後方向に平行となるように配置されている。また、軸体139Aには、例えば両端部がカシメられる等の抜け止め構造が施されている。
これにより、連結構造130Aは、アンカー部材110Aに対してアンカー補助具120Aを前後方向に沿った軸回りに回動可能に連結することを可能としている。
【0059】
なお、上記連結構造130Aは、アンカー部材110Aに対してアンカー補助具120Aを回動可能とし、アンカー補助具120Aを適正な取り付け位置とアンカー部材110Aから離隔した位置とに切り替え可能であれば、上記構造に限定されない。
【0060】
図16図18は取付装置100Aの取り付け作業の工程を示す斜視図である。これらの図により、上記取付装置100Aを窓枠1に取り付ける作業を順番に説明する。
まず、図16に示すように、アンカー部材110Aに対してアンカー補助具120Aを開いた状態(アンカー部材110Aから離隔した状態)で上枠3の目標取り付け位置にアンカー部材110Aの取り付けを行う。アンカー部材110Aの取り付けは、アンカー部材110の場合と同様である。
【0061】
次に、図17に示すように、アンカー部材110Aに対してアンカー補助具120Aを閉じた状態(アンカー部材110Aとアンカー補助具120Aとが重合した状態)とし、アンカー補助具120Aをアンカー部材110Aの上に重なるように配置する。
また、回動によりアンカー補助具120Aの各係止部122が上枠3の一対の側壁部32,33に対して外側から対向する配置にする。
【0062】
そして、図18に示すように、アンカー補助具120Aのネジ挿通孔133を介してアンカー部材110Aのネジ孔131に対してネジ135を螺入し、アンカー部材110Aとアンカー補助具120Aとを締結固定する。
これにより上枠3に対する取付装置100Aの取り付けが完了する。
【0063】
また、窓枠1の上枠3、下枠4及び縦枠5A,5Bにおける各連結材H1に対向する位置の全てに取付装置100Aを取り付けた後には、各取付装置100Aのアンカー補助具120Aの連結部125Aの先端部と連結材H1の先端部とを溶接等の周知の接続方法により連結する。
これにより、窓枠1を開口部Hに取り付けることができる。
なお、下枠4、縦枠5A,5Bに設けられる取付装置100Aの向きについては、前述した取付装置100の場合と同じである。
【0064】
上記取付装置100Aは、前述した取付装置100と同一の技術的効果を有する。
さらに、取付装置100Aは、連結構造130Aがアンカー部材110Aに対してアンカー補助具120Aを回動可能に連結しているので、アンカー部材110Aに対してアンカー補助具120Aの位置調整等が不要となり、取付装置100Aの取り付け作業を容易且つ迅速に行うことが可能となる。
【0065】
また、取付装置100Aでは、連結部125Aがアンカー補助具120Aに設けられているので、窓枠1が強風による風圧を受けた場合に連結部125Aに加わる開口部H側への荷重がアンカー部材110Aに直接的に加わることを回避するため、アンカー部材110Aの上枠3に対する取り付け状態を維持することが可能となる。
なお、アンカー部材110Aにアンカー部材110の連結部114と同様の取付部を設けてもよい。その場合、アンカー補助具120Aの左右方向の幅を少し広げ、アンカー補助具120Aを回動させてもアンカー部材110Aの取付部と干渉しない程度に広げた挿通部を貫通形成しても良い。
【0066】
[その他]
上記各実施形態では、開口枠としてFIX窓の窓枠を例示したが、これに限定されず、引違い窓や開き窓であっても良い。また、窓枠を取り付ける開口部を有する躯体は、RC構造、ALC構造又はSC構造等、あらゆる躯体を対象とすることができる。
【0067】
また、上記第1実施形態では、それぞれの上枠3,下枠4及び縦枠5A,5Bにおける、連結材H1に対する連結部114の配置を同一に揃えた例を図示しているがこれに限定されない。
例えば、上枠3に設けられる一部のアンカー部材110と他の一部のアンカー部材110とについて、連結材H1に対する連結部114の配置が異なっていてもよい。下枠4や縦枠5A,5Bに設けられる取付装置100の場合も同様である。また、第2実施形態の取付装置100Aの連結部125Aについても同様である。
【0068】
また、上記第1実施形態の窓枠1において、全てのアンカー部材110に対してアンカー補助具120を設けなくとも良い。例えば、アンカー部材110に対して一つ飛びにアンカー補助具120を設ける等、並んで設けられた複数のアンカー部材110に対して一定の間隔を空けてアンカー補助具120を設けてもよい。
【0069】
また、上記第1実施形態の窓枠1では、アンカー部材110の開口部H側にアンカー補助具120を重ねて配置する例を示しているが、アンカー補助具120を連結構造130以外の方法で上枠3,下枠4又は縦枠5A,5Bに固定することができるのであれば、アンカー補助具120は、アンカー部材110に重ならないように配置してもよい。
但し、アンカー補助具120は、アンカー部材110のより近傍であることが望ましい。例えば、アンカー部材110に対して、アンカー補助具120を上枠3等の延在方向について隣に配置する等である。
【0070】
また、上記各実施形態において例示した連結構造130,130Aについては、ネジ止めによりアンカー部材110,110Aとアンカー補助具120,120Aとを締結固定しているが、これに限定されず、部材同士を固定的に連結可能なあらゆる周知の構成を適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 窓枠(開口枠)
3 上枠
4 下枠
5A,5B 縦枠
25 面材
31 内壁部
32,33 側壁部
34 面材収容溝部
42,43 側壁部
52,53 側壁部
100,100A 取付装置
110,110A アンカー部材
112 延出部
113 分離片
114 連結部
120,120A アンカー補助具
122 係止部
125A 連結部
130,130A 連結構造
131,132 ネジ孔
133,134 ネジ挿通孔
135,136 ネジ
137A 第一ブラケット
138A 第二ブラケット
139A 軸体
321,331 リップ部
421,431 リップ部
521,531 リップ部
H 開口部
H1 連結材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18