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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168387
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】回路基板ユニット及び電力機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20221031BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20221031BHJP
   H01L 23/467 20060101ALI20221031BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20221031BHJP
【FI】
H05K7/20 E
H01L23/36 Z
H01L23/46 C
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073786
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 恵輔
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
5H770
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AB02
5E322AB06
5E322AB07
5E322AB08
5E322AB10
5E322BA01
5E322BB03
5E322EA10
5E322FA04
5F136BA30
5F136BB18
5F136CA06
5F136DA27
5F136FA02
5H770AA21
5H770PA02
5H770PA28
5H770PA42
5H770QA01
5H770QA27
(57)【要約】
【課題】第1には、放熱部材の放熱性能を担保しつつ放熱部材の設置スペースを小さくし、第2には、放熱部材の放熱性能を向上させる。
【解決手段】
回路基板ユニットは、回路基板と、前記回路基板に搭載される電力素子と、前記回路基板に取り付けられて前記電力素子に接する本体部と、前記本体部に連なる前記回路基板の板面に対して間隔があるフランジ部と、を含む放熱部材と、を備え、前記放熱部材は、前記本体部同士が間隔を空けて配置されるとともに、前記フランジ部の少なくとも一部同士が前記回路基板の板面の法線方向から視て重なり合うように向かいあって配置される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
前記回路基板に搭載される電力素子と、
前記回路基板に取り付けられて前記電力素子に接する本体部と、前記本体部に連なる前記回路基板の板面に対して間隔があるフランジ部と、を含む放熱部材と、を備え、
前記放熱部材は、前記本体部同士が間隔を空けて配置されるとともに、前記フランジ部の少なくとも一部同士が前記回路基板の板面の法線方向から視て重なり合うように向かいあって配置される回路基板ユニット。
【請求項2】
前記フランジ部は、分割された片部を有しており、
前記の片部には、第1片部と、前記第1片部とは前記本体部に対する角度が異なる第2片部と、を有する請求項1記載の回路基板ユニット。
【請求項3】
回路基板と、
前記回路基板に搭載される電力素子と、
前記回路基板に取り付けられて前記電力素子に接する本体部と、前記本体部に連なる前記回路基板の板面に対して間隔があるフランジ部と、を含む放熱部材と、を備え、
前記放熱部材は、前記本体部同士が間隔を空けて配置されるとともに、前記フランジ部がそれぞれ前記本体部から内向きに突き出すように向かいあって配置されており、
前記フランジ部は、第1片部と、前記第1片部とは前記本体部に対する角度が異なる第2片部と、を有するように配置される回路基板ユニット。
【請求項4】
前記フランジ部は、前記第1片部及び前記第2片部の少なくとも一方を複数含むとともに、前記第1片部と前記第2片部とが交互に繰り返し並ぶよう構成される請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回路基板ユニット。
【請求項5】
向かいあう前記放熱部材のうちの一方の前記放熱部材に備わる前記第1片部と、他方の前記放熱部材に備わる前記第2片部と、が、前記回路基板の板面の法線方向から視て重なり合うように配置される請求項3または請求項4記載の回路基板ユニット。
【請求項6】
前記第1片部は、前記本体部に対する角度が90°以下とされるのに対し、前記第2片部は、前記本体部に対する角度が前記第1片部よりも小さい請求項5記載の回路基板ユニット。
【請求項7】
向かいあう前記放熱部材は、同一部品とされる請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の回路基板ユニット。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の回路基板ユニットと、
前記回路基板ユニットを冷却する冷却ファンと、を備える電力機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、回路基板ユニット及び電力機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートシンクを備えた電子機器の放熱構造の一例として下記特許文献1に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-131520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力機器に備わる基板に実装される電力素子の増加事情に伴い、1つの基板に対して複数設置する場合がある。本発明が解決しようとする第1の課題は放熱部材となるヒートシンクの冷却面を増やしつつ、設置スペースを小さくすることである。
【0005】
本発明が解決しようとする第2の課題は、放熱部材となるヒートシンクの設置スペースを十分に確保できる場合においても、基板に設置される複数のヒートシンクの放熱性能を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の回路基板ユニットは、回路基板と、前記回路基板に搭載される電力素子と、前記電力素子に接する本体部と、前記本体部に連なる前記回路基板に対して間隔があるフランジ部と、を含む放熱部材と、を備え、前記放熱部材は、前記本体部同士が間隔を空けて配置されるとともに、前記フランジ部の少なくとも一部同士が前記回路基板の板面の法線方向から視て重なり合うように向かいあって配置される。
【0007】
第2の回路基板ユニットは、回路基板と、前記回路基板に搭載される電力素子と、前記電力素子に接する本体部と、前記本体部に連なる前記回路基板に対して間隔があるフランジ部と、を含む放熱部材と、を備え、前記放熱部材は、前記本体部同士が間隔を空けて配置されるとともに、前記フランジ部がそれぞれ前記本体部から内向きに突き出すように向かいあって配置されており、前記フランジ部は、第1片部と、前記第1片部とは前記本体部に対する角度が異なる第2片部と、を有するように分割される。
【0008】
上記技術は、電力機器に適用することができる。
【発明の効果】
【0009】
第1には、放熱部材の放熱性能を確保しつつ放熱部材の設置スペースを小さくすることができる。電力機器に備わる基板に実装される電力素子の増加事情に伴い、1つの基板に対してL字曲げ構造や櫛型構造などの単純形状のヒートシンクを複数設置する場合がある。例えば、省スペース化を行うためにヒートシンクの寸法を短くし、隣り合わせで配置するなどの方法が考えられるが、冷却面を増やすために設けられたフィンが奥行幅を持つ。発明者は、放熱部材となるヒートシンクの冷却効率を高めるため、前記本体部と連なるフランジ部に分割部を設けることを考えた。これにより、分割部が複数のフィンとなるため、冷却面が増え、冷却効率が向上する。さらに、第1片部と、前記第1片部とは前記本体部に対する角度が異なる第2片部と、を有する前記フランジ部とすることで、前記フランジ部がそれぞれ前記本体部から内向きに突き出すように向かいあって前記フランジ部の少なくとも一部同士が前記回路基板の板面の法線方向から視て重なり合うように向かいあって配置された場合に、単純形状のヒートシンクを複数設置する場合よりも、設置スペースを小さくできる。
【0010】
第2には、放熱部材の放熱性能を向上させることができる。回路基板に搭載される電力素子は、通電に伴って発熱する。電力素子から発せられた熱は、電力素子に接する本体部と、本体部に連なるフランジ部と、を含む放熱部材となるヒートシンクに伝達されて熱放散する。第1片部と、前記第1片部とは前記本体部に対する角度が異なる第2片部と、を有する前記フランジ部とすることで、前記フランジ部がそれぞれ前記本体部から内向きに突き出すように向かいあって前記フランジ部の少なくとも一部同士が前記回路基板の板面の法線方向から視て重なり合うように向かいあって配置された場合に、回路基板とヒートシンクとの間に囲まれた空間ができる。囲まれた空間に空気を流通させれば、本体部に対する角度が互いに異なる第1片部及び第2片部が突起物となり、乱流が生じ易くなる。乱流の発生は熱拡散を促進させるので、ヒートシンクの放熱性能が向上する。
【0011】
発明者が見出した第1と第2の本発明の効果は、電力機器に適用することができる。例えば、ネットワークサーバー向け電力機器や携帯電話基地局向け電力機器は建物内に設置される。電力機器に用いる電力素子は発熱を起こすため、電力素子の冷却に放熱部材としてヒートシンクを用いることが一般的であるものの、ヒートシンクを用いて冷却効率を高めるにはヒートシンクの冷却面を増やす必要があり、ヒートシンクが大型化しまうため、電力機器が大型化してしまう。しかしながら、本発明により、放熱部材の冷却効率を確保しつつも、電力機器の小型化・軽量化を実現することができ、電力機器の設置スペースを小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係る電力機器の斜視図
図2】電力機器のケース内を示す平面図
図3】回路基板ユニットの側面図
図4】放熱部材の側面図
図5】回路基板ユニットにおける図3のA-A線断面図
図6】回路基板ユニットにおける図3のB-B線断面図
図7】一対の放熱部材を組み付ける前の斜視図
図8】一対の放熱部材を組み付ける前の平面図
図9】一対の放熱部材における図5及び図6のC-C線断面図
図10】一対の放熱部材を回路基板に対して搭載する前の状態を示す図2のA-A線断面図
図11】一対の放熱部材を回路基板に対して搭載する前の状態を示す図2のB-B線断面図
図12】実施形態2に係る回路基板ユニットにおける図5と同じ断面図
図13】回路基板ユニットにおける図6と同じ断面図
図14】実施形態3に係る回路基板ユニットにおける図5と同じ断面図
図15】回路基板ユニットにおける図6と同じ断面図
図16】実施形態4に係る回路基板ユニットの断面図
図17】実施形態5に係る回路基板ユニットにおける図5と同じ断面図
図18】回路基板ユニットにおける図6と同じ断面図
図19】実施形態6に係る回路基板ユニットにおける図5と同じ断面図
図20】回路基板ユニットにおける図6と同じ断面図
図21】実施形態7に係る回路基板ユニットにおける図5と同じ断面図
図22】回路基板ユニットにおける図6と同じ断面図
図23】電力機器のケース内を示す平面図
図24】実施形態8に係る回路基板ユニットにおける図5と同じ断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
回路基板ユニットの概要について説明する。
第1の回路基板ユニットは、回路基板と、前記回路基板に搭載される電力素子と、前記電力素子に接する本体部と、前記本体部に連なる前記回路基板に対して間隔があるフランジ部と、を含む放熱部材と、を備え、前記放熱部材は、前記本体部同士が間隔を空けて配置されるとともに、前記フランジ部の少なくとも一部同士が前記回路基板の板面の法線方向から視て重なり合うように向かいあって配置される。
【0014】
回路基板に搭載される電力素子は、通電に伴って発熱する。電力素子から発せられた熱は、電力素子に接する本体部と、本体部に連なるフランジ部と、を含む放熱部材に伝達されて放散される。前記放熱部材において間隔を空けて配置される本体部の空間は、回路基板と、回路基板の板面に対して間隔を空けて配置されるフランジ部で囲まれている。従って、この空間に空気を流通させれば、本体部及びフランジ部の放熱が効率的に促進される。
【0015】
前記放熱部材のフランジ部は、少なくとも一部同士が回路基板の板面の法線方向から視て重なり合うように配置されている。仮にフランジ部同士が回路基板の板面の法線方向から視て重なり合わない配置とされた場合よりも、本体部からのフランジ部の突出寸法を大きくしつつ本体部の間隔を小さくできる。各フランジ部の突出寸法代が大きくなれば、放熱部材の表面積が増加して放熱性能が向上する。本体部の間隔が小さくなれば、放熱部材の設置スペースが小さくなる。
【0016】
前記フランジ部は、複数の片部を有してもよい。フランジ部が複数の片部を有することで、フランジ部の表面積が増加する。よって放熱部材の放熱性能が向上する。
【0017】
前記複数の片部は、第1片部と、前記第1片部とは前記本体部に対する角度が異なる第2片部と、を有してもよい。
【0018】
回路基板、本体部及びフランジ部により囲まれた空間には、本体部に対する角度が互いに異なる第1片部及び第2片部が配置されているから、同空間に空気を流通させた場合に乱流が生じ易くなる。乱流の発生により、放熱部材から空気へと熱を伝達できるので、放熱部材の放熱性能がより向上する。
【0019】
第2の回路基板ユニットは、回路基板と、前記回路基板に搭載される電力素子と、前記電力素子に接する本体部と、前記本体部に連なる前記回路基板に対して間隔を空けて配置されるフランジ部と、を含む放熱部材と、を備え、前記放熱部材は、前記本体部同士が間隔を空けて配置されるとともに、前記フランジ部が前記本体部から内向きに突き出すように向かい合って配置されており、前記フランジ部は、第1片部と、前記第1片部とは前記本体部に対する角度が異なる第2片部と、を有する。
【0020】
回路基板に搭載される電力素子は、通電に伴って発熱する。電力素子から発せられた熱は、電力素子に接する本体部と、本体部に連なるフランジ部と、を含む放熱部材に伝達されて放散が図られる。フランジ部が本体部から外向きに突き出していると、放熱部材間の空間が、フランジ部によって閉じられることなく、開放される。これに対し、フランジ部が本体部から内向きに突き出していると、放熱部材間の空間が、回路基板と各フランジ部とによって囲まれる。従って、囲まれた空間に空気を流通させれば、本体部及びフランジ部から放熱される。
【0021】
向かいあう放熱部材におけるフランジ部は、第1片部と、第1片部とは本体部に対する角度が異なる第2片部と、に分割される。フランジ部が分割構造とされることで、フランジ部の表面積は増加し、放熱性能が向上する。さらに、間隔を空けて配置される本体部の間の空間は、本体部に対する角度が互いに異なる第1片部及び第2片部が配置されることから、同空間に空気を流通させた場合に乱流が生じ易くなる。乱流の発生により、放熱部材から空気に熱を伝達でき、放熱性能が向上する。これにより、放熱部材を小型化しても十分な放熱性能が得られる。
【0022】
向かいあう前記放熱部材のうちの一方の前記放熱部材に備わる前記第1片部と、他方の前記放熱部材に備わる前記第2片部と、が、前記回路基板の板面の法線方向から視て重なり合うように配置されてもよい。回路基板の板面の法線方向から視て重なり合うように配置される第1片部及び第2片部は、本体部に対する角度が互いに異なるので、本体部に連なる位置を回路基板の板面の法線方向と同じにすることが可能となる。これにより、回路基板の板面の法線方向に対して放熱部材の配置スペースを小さくできる。
【0023】
前記第1片部は、前記本体部に対する角度が90°以下とされるのに対し、前記第2片部は、前記本体部に対する角度が前記第1片部よりも小さくてもよい。回路基板の板面の法線方向から視て重なり合うように配置される第1片部及び第2片部は、本体部に対する角度が90°よりも小さくなる。これにより、回路基板の板面の法線方向に対して放熱部材の配置スペースが小さくなる。
【0024】
前記一方の放熱部材に備わる前記第1片部は、前記他方の放熱部材に備わる前記第2片部に接触してもよい。前記一方の放熱部材に備わる前記第2片部は、前記他方の放熱部材に備わる前記法線方向から視て重なり合う前記第1片部に接触してもよい。
【0025】
回路基板の板面の法線方向から視て重なり合う第1片部と第2片部は、相互に接触する関係となっているので、向かいあう放熱部材は、回路基板の板面の法線方向に対していずれの向きにも位置ずれしにくい。第1片部と第2片部が接触することにより、放熱部材の間で熱移動するので、向かいあう放熱部材を1つの部材と見なすことができる。これにより、放熱部材の冷却面は増え、冷却効率が向上する。放熱部材の温度測定や温度管理を行う場合、いずれかの放熱部材に温度センサを設置すればよい。
【0026】
前記一方の放熱部材に備わる前記第1片部は、前記他方の放熱部材に備わる前記第1片部と端面同士が向かいあって配置され、前記一方の放熱部材に備わる前記第2片部は、前記他方の放熱部材に備わる前記第2片部と端面同士が向かいあって配置されてもよい。回路基板の板面の法線方向から視て重なり合わない各片部の端面同士が向かいあう関係となる。放熱部材は、回路基板の板面の法線方向から視て重なり合わない各片部の並び方向についていずれの向きにも位置ずれしにくい。
【0027】
前記フランジ部は、前記第1片部または前記第2片部の少なくとも一方を含み、前記第1片部と前記第2片部が交互に並ぶように構成されてもよい。回路基板、本体部及びフランジ部により囲まれた空間には、本体部に対する角度が異なる第1片部と第2片部が交互に並ぶように配置される。上記空間に空気を流通させた場合、乱流が生じ易くなり、放熱部材の放熱性能がより向上する。
【0028】
前記放熱部材は、前記本体部に連なって前記回路基板と前記フランジ部の中間に配置される中間フランジ部が設けられてもよい。間隔を空けて配置される本体部の空間は、回路基板とフランジ部の中間に中間フランジ部が配置されるので、この空間に空気を流通させれば、放熱が促進される。
【0029】
向かいあう前記放熱部材の前記放熱部材に備わる前記フランジ部は、前記本体部からの突出先端面が、もう片方の前記放熱部材に備わる前記フランジ部に接触されるのに対し、向かいあう前記放熱部材のいずれかの前記放熱部材に備わる前記中間フランジ部は、前記本体部からの突出先端面が、もう片方の前記放熱部材に備わる前記中間フランジ部に接触してもよい。
【0030】
間隔を空けて配置される本体部から突き出すフランジ部同士が接触するとともに中間フランジ部同士が接触するので、向かいあう放熱部材は、本体部の間隔が確保される。フランジ部同士が接触するとともに中間フランジ部同士が接触することで、向かいあう放熱部材の間で熱移動するので、向かいあう放熱部材を1つの部材と見なすことができる。放熱部材の温度測定や温度管理を行う場合、いずれかの放熱部材に温度センサを設置すればよい。
【0031】
向かいあう前記放熱部材は、前記中間フランジ部の少なくとも一部同士が前記回路基板の板面の法線方向から視て重なり合うように配置されてもよい。中間フランジ部同士が回路基板の板面の法線方向から視て重なり合わない配置と比べ、本体部から突き出す中間フランジ部の突出寸法代が大きくなる。これにより、放熱部材の表面積が増加するので、放熱部材の放熱性能が向上する。
【0032】
前記中間フランジ部は、第1中間片部と、前記第1中間片部とは前記本体部に対する角度が異なる第2中間片部と、を有してもよい。中間フランジ部が分割構造とされることで、表面積は増加し、放熱部材の放熱性能が向上する。間隔を空けて配置される本体部の空間は、本体部に対する角度が互いに異なる第1中間片部及び第2中間片部が配置されることから、同空間に空気を流通させた場合に乱流が生じ易くなる。乱流の発生により、放熱部材から空気に熱を伝達させることができ、放熱部材の放熱性能が向上する。
【0033】
向かいあう前記放熱部材は、同一部品とされてもよい。部品の種類数を削減することができるので、製造時の組み付け作業が容易になるとともに部品に係る在庫管理が容易となる。
【0034】
前記電力素子は、前記本体部に対して前記フランジ部が突き出す側とは反対側に配置されてもよい。仮に電力素子が本体部に対してフランジ部が突き出す側に配置される場合に比べると、回路基板のうち、間隔を空けて配置される本体部の間に挟まれた部分を有効利用することができる。
【0035】
前記回路基板のうち、間隔を空けて配置される前記本体部の間の空間には、前記電力素子を駆動する駆動回路が設けられてもよい。電力素子は、駆動回路によって駆動される。回路基板のうち、間隔を空けて配置される本体部の間の空間を利用して駆動回路を設置できるので、回路基板のスペースを有効利用することができる。
【0036】
前記電力素子は、間隔を空けて配置される前記本体部の間に挟まれるように配置されてもよい。回路基板、本体部及びフランジ部により囲まれた空間に空気を流通させれば、流通される空気に電力素子から発せられる熱を直接的に伝達させることができる。これにより、電力素子を効率的に冷却できる。
【0037】
前記電力素子は、前記本体部に対して前記フランジ部が突き出す側と、突き出す側とは反対側と、に配置されてもよい。本体部に対してフランジ部が突き出す側に配置される電力素子と本体部に対してフランジ部が突き出す側とは反対側に配置される電力素子が共通の本体部に接することで、放熱が図られる。回路基板に電力素子が多く搭載される場合、電力素子を効率的に冷却できる。
【0038】
電力機器は、前記回路基板ユニットと、前記回路基板ユニットを冷却する冷却ファンと、を備える。冷却ファンから回路基板ユニットへ送風されると、回路基板、本体部及びフランジ部により囲まれた空間に空気が効率的に流通される。これにより、放熱部材の放熱性能がより向上する。
【0039】
<実施形態1>
本明細書で開示される技術を電力機器10に適用した実施形態1について図1から図11を参照して説明する。各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。上下方向については、図3から図6図9から図11を基準とし、且つ同図上側を表側とするとともに同図下側を裏側とする。
【0040】
図1は実施形態1に係る電力機器の斜視図である。図1に示すように、本実施形態の電力機器10は、全体として箱型をなすケース11を備える。ケース11には、電源スイッチ12などが設けられている。ケース11の壁面には、内外の空気を流通させる通風口13が設けられている。電力機器10は、例えばコンバーター、インバーターなどである。本実施形態では、交流電力を直流電力に変換するスイッチング電源(スイッチングレギュレータ)を電力機器10として例示する。
【0041】
図2は電力機器のケース内を示す平面図である。図1及び図2に示すように、ケース11内には、冷却ファン14と、回路基板ユニット20と、が少なくとも収容されている。冷却ファン14は、ケース11の壁面にある通風口13と、回路基板ユニット20と、の間に介在する形で配置されている。冷却ファン14が駆動されると、通風口13を通してケース11内に外気が取り込まれる。取り込まれた空気が回路基板ユニット20に吹き付けられるようになっている。
【0042】
図2及び図3に示すように、回路基板ユニット20は、回路基板21と、回路基板21に搭載される電力素子22と、回路基板21に取り付けられる放熱部材23と、が含まれる。回路基板21は、ケース11の平面形状に倣って方形の板状をなしている。回路基板21は、板面21Aの短辺方向がX軸方向と、板面21Aの長辺方向がY軸方向と、板面21Aの法線方向(板厚方向)がZ軸方向と、それぞれ一致する。ケース11内には、上記した回路基板21とは異なる回路基板などが収容されている。
【0043】
本実施形態では電力素子22をFET(電界効果トランジスタ)とする。入力される交流電流をパルス幅変調または周波数変調して直流電流に変換して出力する機能を有する。電力素子22は、通電に伴って発熱する。
【0044】
図2及び図3に示すように、電力素子22は、回路基板21の表側の板面21A上に搭載される。電力素子22は、端子部22Aを複数(具体的には3つ)有する。複数の端子部22Aは、回路基板21に形成された端子孔に挿入される。電力素子22は、回路基板21の各端子孔に挿入された各端子部22Aに半田付けされる。これにより、電力素子22は、回路基板21に形成された回路パターンに対して電気的に接続されている。
【0045】
電力素子22は、回路基板21の板面21A内において、Y軸方向について間隔を空けて3つが列をなして配置される。電力素子22の列は、X軸方向について間隔を空けた位置に2つ配されている。本実施形態では、合計6つの電力素子22が回路基板21の板面21A内において順番に配置されている。回路基板21には、上記電力素子22以外の回路素子(ダイオード、コンデンサ、トランスなど)も搭載されている。この回路素子には、後述する駆動回路素子26Aも含まれる。
【0046】
放熱部材23は、金属板材に曲げ加工などを施して所定形状に成形されている。この金属板材は、アルミニウムなどの伝熱性に優れた金属材料からなる。放熱部材23は、通電された電力素子22から発せられる熱を放散させる。
【0047】
図2から図4に示すように、放熱部材23は、本体部30と、本体部30に連なるフランジ部31と、を有する。本体部30は、回路基板21に取り付けられる。本体部30は、側方から視て横長の方形をなしている。本体部30は、板面の短辺方向がZ軸方向と、板面の長辺方向がY軸方向と、板面の法線方向がX軸方向と、それぞれ一致する。
【0048】
本体部30は、取付脚部30Aを有する。取付脚部30Aは、回路基板21に形成された取付孔に挿入される。取付脚部30Aは、本体部30の下端部におけるY軸方向についての両端位置に設けられ、それぞれ下向きに突き出している。本体部30は、各取付脚部30Aが回路基板21の各取付孔に挿入された状態で接着剤などにより固着される。これにより、本体部30は、回路基板21に対して取付状態となる。この取付状態の本体部30は、主要部分(取付脚部30A以外の部分)が回路基板21からZ軸方向に沿って表側に立ち上がった状態とされる。
【0049】
図2図4及び図5に示すように、本体部30には、板面に電力素子22が接した状態で取り付けられている。本体部30と電力素子22との間には、両者を絶縁状態に保つために絶縁シート24が介在するよう設けられている。各電力素子22及び絶縁シート24は、本体部30に対してY軸方向にほぼ等しい間隔を空けた位置に取り付けられている。
【0050】
絶縁シート24は、電力素子22から発せられた熱を本体部30に効率的に伝達させることができる。電力素子22及び絶縁シート24は、取付ネジ25により、本体部30に対して取付状態となる。本体部30には、取付ネジ25が取り付けられるネジ取付孔30Bが設けられている。絶縁シート24には、ネジ取付孔30Bに連通する連通孔が設けられている。
【0051】
図5に示すように、フランジ部31は、本体部30からX軸方向について片側に突き出すよう屈曲されている。フランジ部31は、本体部30からX軸方向について電力素子22側とは反対側に向けて突き出している。フランジ部31は、本体部30のうちZ軸方向について表側(取付脚部30A側とは反対側)の端部に連なる。フランジ部31は、回路基板21における表側の板面21Aに対して表側に間隔を空けて配置されている。
【0052】
図3及び図5に示すように、上記のような構成の放熱部材23は、回路基板21に対して取り付けられている。放熱部材23は、本体部30同士がX軸方向について間隔を空けて配置されるよう、回路基板21に取り付けられている。放熱部材23は、向かいあう本体部30から各フランジ部31がそれぞれ内向きに突き出すとともに、本体部30の外側に各電力素子22が配置されている。
【0053】
図5及び図6に示すように、回路基板21のうち、向かいあう本体部30の間に挟まれた部分には、駆動回路26が設けられている。駆動回路26は、電力素子22を駆動する。駆動回路26は、複数の駆動回路素子26Aでもよい。複数の駆動回路素子26Aは、回路基板21における裏側(電力素子22及び放熱部材23が搭載される側とは反対側)の板面21Aに搭載されている。
【0054】
発明者は、電力機器の高効率化を行いながら小型化を実現したかった。しかしながら、電力機器内の回路素子(電力素子22など)は発熱を起こす。特に、電力素子である半導体素子を冷却する方法としてヒートシンクを用いることが一般的であるが、熱を拡散かつ冷却効率を高めるためには、ヒートシンクの冷却面を増やす必要がある。一般的に冷却面を増やそうとすると、ヒートシンクが大型化してしまうため、電力機器が大型化してしまう。よって、小型化を実現するには、ヒートシンクサイズをできるだけ小さく、かつ表面積を増やせるようなヒートシンク構造を実現することが課題となる。
【0055】
課題解決のため、単なるL字曲げ構造のヒートシンクを適用することも考えられるが、発明者は、ヒートシンクの表面積を増やし、冷却効率を高めるために、L字部分に切り込みを設けることで切り込まれた部分が複数のフィンとなる構造を考えた。さらに、複数のフィンをL字側から見た際に、フィン同士が重ならないように交互に曲げられているような構造とすることで、このヒートシンクを対向に配置し、複数のフィンが重なりつつ噛み合うようにすると、単なるL字曲げ構造のヒートシンクを組み合わせるよりも、向かい合わせた際に、ヒートシンクが組み合わさり、配置スペースが小さくなるコの字型のヒートシンクユニットを構成できることを見出した。これにより、ヒートシンクの表面積を増やしつつ、L字曲げのヒートシンクを対向に配置するよりも省スペース化が可能となる。以下、その詳細を説明する。
【0056】
図5及び図6に示すように、本実施形態に係る放熱部材23は、それぞれの本体部30から内向きに突き出す各フランジ部31の一部が、回路基板21の板面21Aの法線方向であるZ軸方向から視て重なり合うように配置されている。
【0057】
向かいあう放熱部材23のうち、一方の放熱部材23に備わるフランジ部31の突出先端側部分と、他方の放熱部材23に備わるフランジ部31の突出先端側部分と、が、Z軸方向について上下に重なり合う。各フランジ部31における突出基端側部分同士は、Z軸方向について上下に重なり合わない。
【0058】
向かいあう放熱部材23は、向かいあって配置される本体部30の間の間隔が、各フランジ部31の突出代(突出寸法)の和よりも小さくなるように配置されている。
【0059】
図7に示すように、フランジ部31は、分割構造となっている。フランジ部31は、スリット31Sが入れられることで複数の片部32に分割されている。本実施形態では、5つのスリット31SがY軸方向に対し、ほぼ等間隔に入れられることで、フランジ部31は6つに分割された片部32となる。各片部32の幅寸法は、ほぼ同一となる。
【0060】
図5から図7に示すように、複数の片部32には、第1片部32Aと、第2片部32Bと、の2種類が含まれている。第2片部32Bは、第1片部32Aと比べて本体部30に対する屈曲角度(角度)が異なる。第1片部32A及び第2片部32Bは、本体部30に対する屈曲角度がいずれも90°以下という点が共通する。
【0061】
第1片部32Aは、本体部30に対する屈曲角度が90°程度とされる。これに対し、第2片部32Bは、本体部30に対する屈曲角度が45°程度とされる。つまり、第2片部32Bは、第1片部32Aよりも本体部30に対する屈曲角度が小さい。第1片部32Aは、全長にわたってZ軸方向についての位置がほぼ変わらない。これに対し、第2片部32Bは、突出基端から突出先端に近づくほどZ軸方向についての位置が次第に低くなり、回路基板21に接近している。
【0062】
本実施形態では、フランジ部31の第1片部32Aと第2片部32Bとが同数(3つ)ずつ含まれている。フランジ部31は、第1片部32Aと、第2片部32Bと、がY軸方向について交互に並ぶよう構成されている。
【0063】
図2に示すように、向かいあう放熱部材23は、各スリット31S及び各片部32におけるY軸方向の位置が、整合するように相互に配置されている。
【0064】
図5及び図6に示すように、向かいあう放熱部材23は、一方の放熱部材23に備わる第1片部32Aと、他方の放熱部材23に備わる第2片部32Bと、が、Z軸方向から視て重なり合うように配置されている。第1片部32Aは、第2片部32Bに対して外側(上側)に重なり合う。第2片部32Bは、第1片部32Aに対して内側(下側)に重なり合う。第2片部32Bは、回路基板21と、向かいあって配置される本体部30と、第1片部32Aと、によって囲まれた空間Sの内側に向けて斜めに突き出す形で配置されている。
【0065】
図7に示すように、向かいあう放熱部材23のうち、左側の放熱部材23では、Y軸方向に対し、第1片部32A、第2片部32Bの順で交互に並んでいる。向かいあう右側の放熱部材23では、Y軸方向に対し、第2片部32B、第1片部32Aの順で交互に並んでいる。向かいあう放熱部材23は、第1片部32A及び第2片部32Bの並び順が逆の関係となっている。
【0066】
向かいあう放熱部材23に備わる各片部32のうち、Z軸方向から視て重なり合うものは、第1片部32A及び第2片部32Bの組み合わせとなる。放熱部材23は、同一部品となる。
【0067】
図5及び図6に示すように、Z軸方向から視て互いに重なり合う第1片部32A及び第2片部32Bは、相互に接触する。図5及び図6に示すように、各第1片部32Aの突出端面32A1が、Z軸方向から視て重なり合う各第2片部32Bの外側の板面に対して接触されるので、放熱部材23がX軸方向について位置決めができる。
【0068】
図9に示すように、向かいあう放熱部材23は、Z軸方向から視て重なり合うことがなく、Y軸方向について隣り合う各片部32の側端面同士が向かいあって配置される。
【0069】
向かいあう放熱部材23のうち、Y軸方向について隣り合う2つの第1片部32Aは、本体部30からの突き出し方向に沿う側端面32A2同士が、スリット32S分の間隔を空けて配置されている。Y軸方向について隣り合う2つの第1片部32Aは、側端面32A2同士が接触できる。向かいあう放熱部材23のうち、Y軸方向について隣り合う2つの第2片部32Bは、本体部30からの突き出し方向に沿う側端面32B1同士が、スリット32S分の間隔を空けて配置されている。Y軸方向について隣り合う2つの第2片部32Bの側端面32B1同士が接触できる。これにより、放熱部材23は、Y軸方向についての位置ずれしにくい。
【0070】
図5及び図6に示すように、本実施形態では、上記した構成のフランジ部31に加えて、放熱部材23には中間フランジ部33が設けられている。
【0071】
中間フランジ部33は、回路基板21の板面21Aと、フランジ部31と、に対して間隔を空けて向かいあって配置されている。中間フランジ部33は、Z軸方向について回路基板21と、フランジ部31と、の中間に位置する。中間フランジ部33は、回路基板21と、向かいあって配置される本体部30と、第1片部32Aと、によって囲まれた空間S内に、Z軸方向に対して中間位置から突き出す形で配置されている。中間フランジ部33は、フランジ部31と同じ側へ突き出している。中間フランジ部33は、本体部30のうちZ軸方向に対し、裏側(フランジ部31側とは反対側)の端部に連ねる。
【0072】
図7に示すように、中間フランジ部33は、本体部30の下端部のうち、Y軸方向に対して中央側に配置されている。中間フランジ部33は、Y軸方向に対し、向かいあう取付脚部30Aによって両側から挟まれている。中間フランジ部33は、Y軸方向に対しての長さ寸法(形成範囲)がフランジ部31よりも小さい。
【0073】
中間フランジ部33は、分割構造となっている。中間フランジ部33は、スリット33Sが入れられることで複数の中間片部34に分割される。本実施形態では、3つのスリット33SがY軸方向に対し、ほぼ等間隔に入れられることで、中間フランジ部33は4つに分割された中間片部34となる。各中間片部34の幅寸法は、ほぼ同一となり、片部32の幅寸法とほぼ同一となる。4つの中間片部34は、6つの片部32のうちのY軸方向に対しての両端に位置するものを除いた4つの片部32と整合する配置となり、Z軸方向から視て重なり合う。
【0074】
図5から図7に示すように、複数の中間片部34には、第1中間片部34Aと、第2中間片部34Bと、の2種類が含まれている。第2中間片部34Bは、第1中間片部34Aと本体部30に対する屈曲角度(角度)が異なる。第1中間片部34A及び第2中間片部34Bは、本体部30に対する屈曲角度がいずれも90°以下という点が共通する。
【0075】
第1中間片部34Aは、本体部30に対する屈曲角度が90°程度とされる。これに対し、第2中間片部34Bは、本体部30に対する屈曲角度が45°程度とされる。つまり、第2中間片部34Bは、第1中間片部34Aよりも本体部30に対する屈曲角度が小さい。第1中間片部34Aは、本体部30に対する屈曲角度が第1片部32Aと同じとなる。同様に、第2中間片部34Bは、本体部30に対する屈曲角度が第2片部32Bと同じとなる。
【0076】
第1中間片部34Aは、全長にわたりZ軸方向についての位置がほぼ変わらない。これに対し、第2中間片部34Bは、突出基端から突出先端に近づくほどZ軸方向についての位置が次第に高くなって回路基板21から遠ざかる。中間フランジ部33には、第1中間片部34Aと第2中間片部34Bとが同数(2つ)ずつ含まれる。中間フランジ部33は、第1中間片部34Aと、第2中間片部34Bと、がY軸方向について交互に並ぶよう構成されている。
【0077】
図8及び図9に示すように、向かいあう放熱部材23は、各中間フランジ部33に備わる各スリット33S及び各中間片部34におけるY軸方向の位置が、整合するように相互に配置されている。
【0078】
図5及び図6に示すように、向かいあう放熱部材23は、一方の放熱部材23に備わる第1中間片部34Aと、他方の放熱部材23に備わる第2中間片部34Bと、が、Z軸方向から視て重なり合うように配置されている。第1中間片部34Aは、第2中間片部34Bに対して外側(下側)に重なり合う。これに対し、第2中間片部34Bは、第1中間片部34Aに対して内側(上側)に重なり合う。第2中間片部34Bは、回路基板21と、向かいあって配置される本体部30と、第1片部32Aと、によって囲まれた空間Sの内側に向けて斜めに突き出す形で配置されている。
【0079】
図8に示すように、向かいあう放熱部材23のうち、左側の放熱部材23では、図8に示すように、Y軸方向に対し、第1中間片部34A、第2中間片部34Bの順で交互に並んでいる。向かいあう右側の放熱部材23では、Y軸方向に対し、第2中間片部34B、第1中間片部34Aの順で交互に並んでいる。向かいあう放熱部材23は、第1中間片部34A及び第2中間片部34Bの並び順が逆の関係となっている。
【0080】
向かいあう放熱部材23に備わる各中間片部34のうち、Z軸方向から視て重なり合うものは、第1中間片部34A及び第2中間片部34Bの組み合わせとなる。放熱部材23は、同一部品となる。
【0081】
図8に示すように、第1中間片部34Aは、同一の放熱部材23に備わる第2片部32Bに対してZ軸方向から視て重なり合うように配置される。同様に、第2中間片部34Bは、同一の放熱部材23に備わる第1片部32Aに対してZ軸方向から視て重なり合うように配置される。
【0082】
図5及び図6に示すように、第2片部32B及び第2中間片部34Bは、回路基板21と、向かいあって配置される本体部30と、第1中間片部34Aと、によって囲まれた空間Sに対し、向かいあって配置される。第2片部32B及び第2中間片部34Bは、Y軸方向に対し、隣り合うもので上記空間Sの対角配置が交互に入れ替わるようになる。
【0083】
図5及び図6に示すように、Z軸方向から視て互いに重なり合う第1中間片部34A及び第2中間片部34Bは、相互に接触する。
【0084】
各第1中間片部34Aの突出端面34A1は、Z軸方向から視て重なり合う各第2中間片部34Bの外側の板面に対し、それぞれ接触される。向かいあう放熱部材23は、互いに接触する各第1片部32A及び各第2片部32Bと、互いに接触する各第1中間片部34A及び各第2中間片部34Bと、にそれぞれX軸方向に対し、位置決めができる。
【0085】
図9に示すように、向かいあう放熱部材23は、Z軸方向から視て重なり合うことがなく、Y軸方向に対して隣り合う各中間片部34の側端面同士が向かいあって配置される。
【0086】
回路基板ユニット20の組み付け手順について説明する。図8に示すように、放熱部材23に対して電力素子22及び絶縁シート24を取付ネジ25で取り付ける。電力素子22及び絶縁シート24を各放熱部材23に取り付けたら、向かいあう放熱部材23同士の組み付けを行う。組み付けは、本体部30の板面同士を向かいあって配置させた状態で両者をX軸方向に対して接近させる。
【0087】
図10及び図11に示すように、各第1片部32Aの突出端面32A1が対向する各第2片部32Bの外側の板面に接触されるとともに、各第1中間片部34Aの突出端面34A1が向かいあう各第2中間片部34Bの外側の板面に接触される。これにより、向かいあう放熱部材23は、Z軸方向について上下いずれの向きに対しても位置決めが図られるとともに、X軸方向について本体部30間の間隔が一定に保持される。
【0088】
図9に示すように、Y軸方向について隣り合う第1片部32Aの側端面32A2同士が向かいあって配置され、Y軸方向について隣り合う第2片部32Bの側端面32B1同士が向かいあって配置される。同様に、Y軸方向について隣り合う第1中間片部34Aの側端面34A2同士が向かいあって配置され、Y軸方向について隣り合う第2中間片部34Bの側端面34B1同士が向かいあって配置される。向かいあう放熱部材23は、Y軸方向について奥側及び手前側のいずれの向きにもスリット31S、33Sの幅以上に位置決めができる。
【0089】
向かいあう放熱部材23は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のいずれの向きについても位置決めされた状態となる。図5及び図6に示すように、放熱部材23を回路基板21に取り付けることができるので、各取付脚部30Aが各取付孔に、各端子部22Aが各端子孔に、それぞれ円滑に挿入される。回路基板ユニット20の組み付け作業性が優れたものとなる。
【0090】
各取付孔内に挿入された各取付脚部30Aが接着剤により固着され、各端子孔内に挿入された各端子部22Aが半田付けされる。以上により、回路基板ユニット20が製造される。
【0091】
図5及び図6に示すように、このようにして製造される回路基板ユニット20においては、向かいあう放熱部材23におけるフランジ部31の少なくとも一部同士がZ軸方向から視て重なり合うように配置されている。
【0092】
この構成によれば、仮にフランジ部同士がZ軸方向から視て重なり合わない配置とされる場合に比べると、各本体部30からの各フランジ部31の突出代を大きくしつつ向かいあって配置される本体部30の間の間隔を小さくできる。各フランジ部31の突出代が大きくなれば、放熱部材23の表面積が増加して放熱性能が向上する。対向する本体部30の間の間隔が小さくなれば、放熱部材23の設置スペースが小さくなり、電力機器10及び回路基板ユニット20の小型化を実現することができる。これにより、放熱部材23の放熱性能を確保しつつ電力機器10及び回路基板ユニット20の小型化を図ることができる。
【0093】
図5及び図6に示すように、放熱部材23における中間フランジ部33の少なくとも一部同士がZ軸方向から視て重なり合うように配置されている。
【0094】
この構成によれば、仮に中間フランジ部同士がZ軸方向から視て重なり合わない配置とされる場合に比べると、各本体部30から突き出す各中間フランジ部33の突出代が大きくなる。これにより、放熱部材23の表面積が増加するので、放熱部材23の放熱性能が向上する。
【0095】
図5及び図6に示すように、Z軸方向から視て重なり合うように配置される第1片部32A及び第2片部32Bは、各本体部30に対する角度が互いに異なるので、各本体部30に連なる位置がZ軸方向に対し、ほぼ同じとなる。同様に、Z軸方向から視て重なり合うように配置される第1中間片部34A及び第2中間片部34Bは、各本体部30に対する角度が互いに異なるので、各本体部30に連なる位置がZ軸方向に対し、ほぼ同じとなる。これにより、Z軸方向に対し、放熱部材23の配置スペースを小さくできる。
【0096】
図5及び図6に示すように、Z軸方向から視て重なり合うように配置される第1片部32A及び第2片部32Bは、いずれも各本体部30に対する角度が90°よりも小さくなる。同様に、Z軸方向から視て重なり合うように配置される第1中間片部34A及び第2中間片部34Bは、いずれも各本体部30に対する角度が90°よりも小さくなる。これにより、Z軸方向について放熱部材23の配置スペースがより小さくなる。
【0097】
図7及び図8に示すように、放熱部材23は、同一部品なので、回路基板ユニット20を構成する部品の種類数を削減できる。これにより、部品に係る在庫管理が容易となる。
【0098】
図5及び図6に示すように、電力素子22は、本体部30に対してフランジ部31が突き出す側とは反対側に配置されている。
【0099】
このようにすれば、仮に電力素子が本体部30に対してフランジ部31が突き出す側に配置される場合に比べると、回路基板21のうち、間隔を空けて配置される本体部30の間の空間を有効利用できる。本実施形態では、有効利用を図るべく、回路基板21のうち、間隔を空けて対向する本体部30の間に挟まれた部分に、駆動回路26が設けられている。これにより、回路基板21のスペースを有効利用することができるので、回路基板21ひいては回路基板ユニット20の小型化を図ることができる。
【0100】
図2に示すように、上記のような組み付け手順で製造された回路基板ユニット20は、電力機器10のケース11内に収容されて使用される。使用に際しては、回路基板ユニット20に備わる各電力素子22が通電に伴って発熱するため、その冷却を図るべくケース11に備えられる冷却ファン14が駆動される。各電力素子22は、駆動回路26によって駆動される。
【0101】
図5及び図6に示すように、冷却ファン14が駆動されると、回路基板ユニット20を構成する回路基板21と、向かいあって配置される本体部30と、各本体部30からそれぞれ内向きに突き出した各フランジ部31と、によって囲まれた空間S内において空気の流通が促進される。空間Sを流通する空気によって電力素子22から放熱部材23へと伝達された熱が効率的に放散される。
【0102】
上記空間Sには、回路基板21と、フランジ部31と、の中間となる位置に中間フランジ部33が配置されるので、空間Sを流通する空気には、本体部30及びフランジ部31に加えて中間フランジ部33からも放熱が促進される。これにより、放熱部材23の放熱性能が向上する。
【0103】
図5及び図6に示すように、上記空間S内には、共に分割構造とされたフランジ部31及び中間フランジ部33を構成する片部32及び中間片部34が配置されている。これにより、空間Sを流通する空気に触れるフランジ部31及び中間フランジ部33の表面積が十分に確保されるので、放熱部材23の放熱性能が向上する。
【0104】
片部32及び中間片部34には、それぞれ本体部30に対する屈曲角度が異なる第1片部32A及び第2片部32Bと、第1中間片部34A及び第2中間片部34Bと、が含まれる。これら第1片部32A、第2片部32B、第1中間片部34A及び第2中間片部34Bが上記空間Sに配置されることで、空間Sを流通する空気に乱流が生じ易くなる。
【0105】
上記空間Sには、第1片部32A及び第2片部32Bが交互に並ぶとともに第1中間片部34A及び第2中間片部34Bが交互に並んでいるので、空間Sを流通する空気に乱流が生じ易くなる。特に、第2片部32B及び第2中間片部34Bは、上記空間Sの位置から空間S内にそれぞれ突き出す形で配置されているので、空間Sを流通する空気に乱流が生じ易くなる。
【0106】
第2片部32B及び第2中間片部34Bは、Y軸方向について隣り合うもので上記空間Sの配置が交互に入れ替わるので、空間Sを流通する空気に乱流が一層生じ易くなる。このような乱流の発生により放熱部材23から空間Sを流通する空気へと熱が効率的に伝達されるので、放熱部材23の放熱性能が向上する。
【0107】
図5及び図6に示すように、放熱部材23は、Z軸方向から視て重なり合う第1片部32A及び第2片部32Bが接触するとともに第1中間片部34A及び第2中間片部34Bが接触する。これにより、放熱部材23の間で伝熱が図られているので、向かいあう放熱部材23を1つの部材と見なすことができる。例えば向かいあう放熱部材23のいずれか一方に対して温度センサTSを設置すれば、1つの温度センサTSで放熱部材23の温度測定や温度管理を行うことが可能となる。
【0108】
以上のように、本実施形態によれば、放熱部材23に備わる各フランジ部31を分割構造とし、各片部32を交互に曲げて互いに噛み合う関係としている。これにより、(1)放熱部材23に係る配置スペース削減による小型化の効果、(2)放熱部材23の表面積の増大による放熱効率の向上効果、(3)空間Sでの乱流の発生による放熱効率の向上効果、(4)一対の放熱部材23同士が位置決めされることによる組付作業性の向上効果、などを得ることができる。
【0109】
<実施形態2>
本明細書で開示される技術を電力機器110に適用した実施形態2について図12または図13を参照して説明する。上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0110】
図12及び図13に示すように、本実施形態に係る電力素子122は、放熱部材123の本体部130に対して、本体部130からフランジ部131が突き出す側に配置されている。つまり、電力素子122は、間隔を空けて配置される本体部130の間に挟まれるように配置されている。従って、電力素子122は、回路基板ユニット120を構成する回路基板121と、向かいあって配置される本体部130と、フランジ部131と、によって囲まれた空間S内に位置することになる。これにより、上記空間S内に流通される空気に電力素子122からの熱を直接的に伝達させることができるので、電力素子122を効率的に冷却することができる。
【0111】
本実施形態に係る電力素子122は、ダイオードとされる。本実施形態では、上記した実施形態1に記載した絶縁シート24が省略されている。本実施形態では、上記した実施形態1に記載した中間フランジ部33が省略されている。
【0112】
<実施形態3>
本明細書で開示される技術を電力機器210に適用した実施形態3について図14または図15を参照して説明する。上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0113】
図14及び図15に示すように、本実施形態に係る電力素子222は、放熱部材223の本体部230における表裏両面にそれぞれ取り付けられている。電力素子222は、本体部230に対してフランジ部231が突き出す側と、その反対側と、にそれぞれ配置されている。
【0114】
本実施形態に係る電力素子222には、FETとダイオードとが含まれている。FETとされる電力素子222は、上記した実施形態1と同様に、本体部230に対し、それぞれ背中合わせとなる配置で取り付けられている。FETとされる電力素子222と、本体部230と、の間には、絶縁シート224が配置されている。ダイオードとされる電力素子222は、上記した実施形態2と同様に、本体部230の間に挟まれる配置で取り付けられている。ダイオードとされる電力素子222と本体部230との間には、絶縁シート224が配置されなくてもよい。
【0115】
FETとされる電力素子222と、ダイオードとされる電力素子222と、の共通の本体部230へと伝熱されることで、放熱が図られる。特に、回路基板221に電力素子222が多く搭載される場合においても、電力素子222を効率的に冷却することができる。
【0116】
FETとされる電力素子222と、ダイオードとされる電力素子222と、は、Y軸方向に対してずれた配置とされてもよい。本体部230に熱がこもりにくくなる。本実施形態では、上記した実施形態1に記載した中間フランジ部33が省略されている。
【0117】
<実施形態4>
本明細書で開示される技術を電力機器310に適用した実施形態4について図16を参照して説明する。上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0118】
図16に示すように、本実施形態に係る放熱部材323は、取付脚部330Aが本体部330とは別部品とされている。取付脚部330Aは、本体部330に対してネジ止めされている。取付脚部330Aは、本体部330(アルミニウム)とは異なる金属材料であり、半田付けに適した金属材料からなる。取付脚部330Aは、回路基板321の取付孔に挿入された状態で半田付けされることで、固定が図られている。
【0119】
<実施形態5>
本明細書で開示される技術を電力機器410に適用した実施形態5について図17または図18を参照して説明する。上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0120】
図17及び図18に示すように、本実施形態に係る放熱部材423は、固定部材35により、固定される。固定部材35は、回路基板421の板面421Aに並行する平板状をなしている。固定部材35は、放熱部材423に備わるフランジ部431に跨るように配置されるとともに、向かいあうフランジ部431に対して外側(上側)から取り付けられる。
【0121】
<実施形態6>
本明細書で開示される技術を電力機器510に適用した実施形態6について図19または図20を参照して説明する。上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0122】
図19及び図20に示すように、本実施形態に係る放熱部材523は、本体部530に対して第2片部532B及び第2中間片部534Bの屈曲角度がいずれも90°を超えた値とされる。第2片部532B及び第2中間片部534Bは、本体部530に対する屈曲角度が共に135°程度とされ、第1片部532A及び第1中間片部534Aよりも大きい。第2片部532Bは、回路基板521と、本体部530と、第1片部532Aと、により囲まれた空間Sの外側に向けて斜めに突き出すように配置されている。一方、第2中間片部534Bは、上記空間S内に配置されるものの、Z軸方向について回路基板521側に向けて斜めに突き出すように配置されている。
【0123】
第1片部532Aは、突出端面532A1が向かいあって配置される第2片部532Bの内側(下側)の板面に接触される。第1中間片部534Aは、突出端面534A1が向かいあって配置される第2中間片部534Bの内側(上側)の板面に接触される。上記した実施形態1と同様に、向かいあう放熱部材523は、Z軸方向及びX軸方向について位置決めができる。一対の放熱部材523は、Y軸方向についても位置決めができる。
【0124】
本実施形態では、向かいあう放熱部材523を回路基板521に対して取り付ける際に、各放熱部材523を個別に取り付ける。一方の放熱部材523を先行して回路基板521に取り付け、その後に他方の放熱部材523を回路基板521に取り付ける手順となる。
【0125】
第2片部532B及び第2中間片部534Bは、共に本体部530に連なる基端位置から上記空間Sの外側に向けて突き出している。他方の放熱部材523を回路基板521に取り付ける際に片部532同士や中間片部534同士が引っ掛かりにくくなっている(図19及び図20の二点鎖線を参照)。
【0126】
<実施形態7>
本明細書で開示される技術を電力機器610に適用した実施形態7について図21から図23を参照して説明する。上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0127】
図21から図23に示すように、本実施形態に係る放熱部材623は、フランジ部631同士がZ軸方向から視て重なり合わないように配置されている。放熱部材623に備わる各フランジ部631は、X軸方向に対して左右にずれており、その間に所定の間隔が空けられている。放熱部材623は、互いに向かいあって配置される本体部630の間の間隔が、各本体部630からの各フランジ部631の突出代の和よりも大きくなるように配置されている。
【0128】
図21から図23に示すように、放熱部材623に備わる各フランジ部631は、各本体部630に対し、屈曲角度が異なる第1片部632A及び第2片部632Bに分割される。同様に、放熱部材623に備わる各中間フランジ部633は、各本体部630に対し、屈曲角度が異なる第1中間片部634A及び第2中間片部634Bに分割される。
【0129】
図23に示すように、冷却ファン614が駆動されたときの各放熱部材623の放熱性能が上記した実施形態1と同等に確保される。第1片部632A、第2片部632B、第1中間片部634A及び第2中間片部634Bにより空間Sを流通する空気に乱流が生じ易くなる。乱流の発生により放熱部材623から空間Sを流通する空気へと熱が効率的に伝達されるので、放熱部材623の放熱性能が向上する。本実施形態では、放熱部材623を回路基板621に対して取り付ける際には、各放熱部材623を個別に取り付けている。
【0130】
<実施形態8>
本明細書で開示される技術を電力機器710に適用した実施形態8について図24を参照して説明する。上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0131】
図24に示すように、本実施形態に係る放熱部材723は、各本体部730に対する各フランジ部731及び各中間フランジ部733の屈曲角度がそれぞれ90°で統一されている。
【0132】
各フランジ部731は、各本体部730に連なる基端位置がZ軸方向について互いに異なることで、突出先端側部分同士がZ軸方向から視て重なり合う関係となる。各中間フランジ部733は、各本体部730に連なる基端位置がZ軸方向について互いに異なることで、突出先端側部分同士がZ軸方向から視て重なり合う関係となる。放熱部材723は、同一部品ではなく、異なる部品とされる。
【0133】
各フランジ部731及び各中間フランジ部733は、上記した実施形態1等のように分割構造でもよい。また、非分割構造でもよい。
【0134】
<他の実施形態>
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0135】
(1)本体部30に対するフランジ部31(各片部32A,32B)の屈曲角度は、各実施形態において例示した45°,90°,135°以外の数値に適宜に変更することが可能である。例えば、本体部30に対する第1片部32Aの屈曲角度が90°よりも小さくてもよいし、90°よりも大きくてもよい。本体部30に対する第1片部32A及び第2片部32Bの屈曲角度がいずれも90°よりも小さくてもよいし、90°よりも大きくてもよい。本体部30に対する第1片部32Aの屈曲角度が90°よりも小さいものの、本体部30に対する第2片部32Bの屈曲角度が90°よりも大きくてもよい。本体部30に対する第1片部32Aの屈曲角度が90°よりも大きいものの、本体部30に対する第2片部32Bの屈曲角度が90°よりも小さくてもよい。
【0136】
(2)中間フランジ部33(各中間片部34A,34B)に係る屈曲角度は、各実施形態において例示した45°,90°,135°以外の数値に適宜に変更することが可能である。例えば、本体部30に対する第1中間片部34Aの屈曲角度が90°よりも小さくてもよいし、90°よりも大きくてもよい。本体部30に対する第1中間片部34A及び第2中間片部34Bの屈曲角度がいずれも90°よりも小さくてもよいし、90°よりも大きくてもよい。本体部30に対する第1中間片部34Aの屈曲角度が90°よりも小さいものの、本体部30に対する第2中間片部34Bの屈曲角度が90°よりも大きくてもよい。本体部30に対する第1中間片部34Aの屈曲角度が90°よりも大きいものの、本体部30に対する第2中間片部34Bの屈曲角度が90°よりも小さくてもよい。
【0137】
(3)本体部30に対する屈曲角度が異なる片部32が3種類以上設定されていてもよい。同様に、本体部30に対する屈曲角度が異なる中間片部34が3種類以上設定されていてもよい。
【0138】
(4)本体部30に対する第1片部32Aの屈曲角度と、本体部30に対する第1中間片部34Aの屈曲角度と、が異なってもよい。同様に、本体部30に対する第2片部32Bの屈曲角度と、本体部30に対する第2中間片部34Bの屈曲角度と、が異なってもよい。
【0139】
(5)フランジ部31は、第1片部32Aや第2片部32BがY軸方向について複数続けて並んでいてもよい。同様に、中間フランジ部33は、第1中間片部34Aや第2中間片部34BがY軸方向について複数続けて並んでいてもよい。
【0140】
(6)第1片部32Aの設置数と、第2片部32Bの設置数と、が異なってもよい。例えば、第1片部32A及び第2片部32Bのうちのいずれか一方が1つで他方が複数であってもよい。同様に、第1中間片部34Aの設置数と、第2中間片部34Bの設置数と、が異なってもよい。例えば、第1中間片部34A及び第2中間片部34Bのうちのいずれか一方が1つで他方が複数であってもよい。
【0141】
(7)片部32の具体的な設置数(分割数)は、適宜に変更できる。同様に、中間片部34の具体的な設置数は、適宜に変更できる。例えば、中間片部34の設置数が片部32の設置数と同じでもよく、中間片部34の設置数が片部32の設置数よりも多くてもよい。第1片部32A及び第2片部32Bの設置数が1つずつであってもよい。第1中間片部34A及び第2中間片部34Bの設置数が1つずつであってもよい。
【0142】
(8)フランジ部31は、本体部30のうち回路基板21側とは反対側の端部(上端部)よりも回路基板21側(下側)の位置に連なるよう設けられてもよい。同様に、中間フランジ部33は、本体部30のうち回路基板21側の端部(下端部)よりも回路基板21側とは反対側(上側)の位置に連なるよう設けられてもよい。
【0143】
(9)向かいあう放熱部材23は、各フランジ部31がほぼ全域にわたり回路基板21の板面21Aの法線方向から視て重なり合う関係でもよい。回路基板21の板面21Aの法線方向から視て重なり合う各フランジ部31の重なり程度は、適宜に変更できる。
【0144】
(10)向かいあう放熱部材23は、各フランジ部31の少なくとも一部同士が回路基板21の板面21Aの法線方向から視て重なり合う関係であるものの、フランジ部31同士が接触せずに非接触に保たれるように配置されてもよい。放熱部材23は、各中間フランジ部33の少なくとも一部同士が回路基板21の板面21Aの法線方向から視て重なり合う関係であるものの、中間フランジ部33同士が接触せずに非接触に保たれるように配置されてもよい。
【0145】
(11)向かいあう放熱部材23は、各フランジ部31の各片部32A,32Bにおける側端面32A2,32B1同士が非対向となるように配置されてもよい。放熱部材23は、各中間フランジ部33の各中間片部34A,34Bにおける側端面34A2,34B1同士が非対向となるように配置されてもよい。
【0146】
(12)実施形態1~7において、向かいあう放熱部材23は、同一部品ではなくて異なる部品でもよい。その場合、例えば一方の放熱部材23に備わるフランジ部31や中間フランジ部33における本体部30からの突出代と、他方の放熱部材23に備わるフランジ部31や中間フランジ部33における本体部30からの突出代と、が異なっていてもよい。一方の放熱部材23に備わるフランジ部31や中間フランジ部33と、他方の放熱部材23に備わるフランジ部31や中間フランジ部33と、で本体部30に連なる基端位置が異なってもよい。
【0147】
(13)実施形態1~4,8において、向かいあう放熱部材23を回路基板21に対して取り付ける際に各放熱部材23を個別に取り付けるようにしてもよい。
【0148】
(14)実施形態6において、向かいあう放熱部材23を回路基板21に対して一括で取り付けるようにしてもよい。
【0149】
(15)各実施形態に記載した技術事項を適宜に組み合わせることも可能である。
【0150】
(16)電力素子22は、取付ネジ25以外にも、接着剤などによって放熱部材23に対して取り付けられてもよい。その場合、放熱部材23のネジ取付孔30Bを省略することも可能である。
【0151】
(17)ケース11内に向かいあう放熱部材23が複数組設置される構成であってもよい。
【0152】
(18)電力素子22は、FETやダイオード以外の種類であってもよい。
【0153】
(19)放熱部材23における電力素子22の設置数や配置は、適宜に変更できる。向かいあう放熱部材23で電力素子22の設置数が異なっていてもよい。
【0154】
(20)回路基板21における駆動回路26の配置は、適宜に変更できる。
【0155】
(21)冷却ファン14の設置数や配置は、適宜に変更できる。例えば、冷却ファン14は、上記のような吹き付けタイプ以外にも、吹き出しタイプであってもよい。
【0156】
(22)冷却ファン14を省略できる。
【0157】
(23)ケース11の形状、大きさ、付属部品などの構成は、適宜に変更できる。
【0158】
(24)電力機器10は、スイッチング電源以外であってもよい。例えば、直流電源機器や交流電源機器であってもよい。また、整流器、無停電電源機器(UPS)や太陽光発電用パワーコンディショナー(PCS)であってもよい。PCSは、蓄電装置を含んだPCSや電気自動車用PCSであってもよい。加えて、施設・屋外照明機器やUV機器などの照明機器に利用されてもよい。
【0159】
(25)ダイオードとされる電力素子22と本体部30との間にも絶縁シート24を介在させることもできる。
【符号の説明】
【0160】
10,110,210,310,410,510,610,710:電力機器、14,614:冷却ファン、20,120,420:回路基板ユニット、21,121,221,321,421,521,621:回路基板、21A,421A:板面、21A,421A:板面、22,122,222,622:電力素子、23,123,223,323,423,523,623,723:放熱部材、26:駆動回路、30,130,230,330,530,630,730:本体部、31,131,231,431,631,731:フランジ部、32,532:片部、32A,532A,632A:第1片部、32A2:側端面(端面)、32B,532B,632B:第2片部、32B1:側端面(端面)、33,633,733:中間フランジ部、34A,534A,634A:第1中間片部、34B,534B,634B:第2中間片部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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