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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168397
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/21 20060101AFI20221031BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20221031BHJP
   B41J 2/205 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
B41J2/21
B41J2/01 213
B41J2/01 203
B41J2/205
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073801
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】西澤 遼
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EC72
2C056EC74
2C056ED07
2C056EE10
2C056FA04
2C056FA11
2C056HA37
2C056HA44
2C057AF21
2C057AG12
2C057AM15
2C057AN02
2C057BA14
2C057CA07
(57)【要約】
【課題】マルチパス方式で印刷媒体に双方向印刷を行うインクジェットプリンタにおいて、インクジェットプリンタの印刷品質を確保することが可能なインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】このインクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドに形成されるノズル列13~16は、印刷媒体の印刷時にインクを吐出するインク吐出パス列13a~13e、14b~14f、15c~15g、16d~16hと、インクを吐出しないインク不吐出パス列13f~13h、14a、14g、14h、15a、15b、15h、16a~16cとによって構成されている。最も副走査方向の一方側に配置されるインク吐出パス列であるインク吐出パス列13a、14b、15c、16dは、副走査方向において互いにずれた位置に配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体に向かってインクを吐出可能な複数のノズルが形成される1個以上のM個のインクジェットヘッドと、M個の前記インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、前記キャリッジを主走査方向に移動させるキャリッジ駆動機構と、前記キャリッジに対して上下方向と主走査方向とに直交する副走査方向に前記印刷媒体を相対的に送る送り機構とを備え、主走査方向の一方側への前記キャリッジの移動と、前記キャリッジに対する副走査方向への前記印刷媒体の相対的な送りと、主走査方向の他方側への前記キャリッジの移動と、前記キャリッジに対する副走査方向への前記印刷媒体の相対的な送りとを繰り返し行って、マルチパス方式で前記印刷媒体に印刷を行うインクジェットプリンタであって、
前記インクジェットヘッドには、副走査方向に配列される複数の前記ノズルからなるノズル列が形成され、
前記キャリッジに搭載されるM個の前記インクジェットヘッドには、合計で2個以上のN個の前記ノズル列が形成され、
N個の前記ノズル列は、主走査方向に配列されるとともに副走査方向において同じ位置に配置され、
前記ノズル列は、副走査方向において一定のバンド幅で区切られるN個以上の複数のパス列によって構成されるとともに、前記印刷媒体の印刷時にインクを吐出する前記パス列であるインク吐出パス列とインクを吐出しない前記パス列であるインク不吐出パス列とによって構成され、
前記送り機構は、前記印刷媒体の印刷時に前記バンド幅と同じ量だけ前記キャリッジに対して副走査方向に前記印刷媒体を相対的に送り、
N個の前記ノズル列のそれぞれが有する前記インク吐出パス列の数は等しくなっており、
N個の前記ノズル列のそれぞれが複数の前記インク吐出パス列を有する場合には、N個の前記ノズル列のそれぞれにおいて、全ての前記インク吐出パス列が副走査方向で連なって配列され、
N個の前記ノズル列のそれぞれにおいて、最も副走査方向の一方側に配置される前記インク吐出パス列を一端側パス列とすると、
N個の前記ノズル列のそれぞれの前記一端側パス列は、副走査方向において互いにずれた位置に配置されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記ノズル列は、N+2個以上の前記パス列によって構成され、
N個の前記ノズル列のそれぞれは、3個以上の前記インク吐出パス列を備え、
N個の前記ノズル列のそれぞれにおいて、複数の前記インク吐出パス列のうちの、最も副走査方向の他方側に配置される前記インク吐出パス列を他端側パス列とし、副走査方向で前記一端側パス列と前記他端側パス列との間に配置される所定の前記インク吐出パス列を特定パス列とすると、
N個の前記ノズル列のそれぞれにおいて、前記特定パス列が吐出するインクの量は、前記特定パス列を除いた他の前記インク吐出パス列が吐出するインクの量よりも多くなっており、かつ、前記一端側パス列から前記特定パス列に向かうにしたがって、前記インク吐出パス列が吐出するインクの量が次第に増えるとともに、前記特定パス列から前記他端側パス列に向かうにしたがって、前記インク吐出パス列が吐出するインクの量が次第に減り、
N個の前記ノズル列のそれぞれの前記特定パス列は、副走査方向において互いにずれた位置に配置されるとともに、副走査方向において、N個の前記ノズル列のそれぞれの前記一端側パス列がずれている順番でずれていることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記キャリッジに対する前記印刷媒体の相対移動方向側を第1方向側とすると、
M個の前記インクジェットヘッドには、前記ノズル列として、相対的に濃い色のカラーインクを吐出する濃インクノズル列と、相対的に薄い色のカラーインクを吐出する淡インクノズル列とが形成され、
前記濃インクノズル列の前記一端側パス列は、前記淡インクノズル列の前記一端側パス列よりも第1方向側に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記キャリッジに対する前記印刷媒体の相対移動方向側を第1方向側とすると、
M個の前記インクジェットヘッドには、前記ノズル列として、相対的に濃い色のカラーインクを吐出する濃インクノズル列と、相対的に薄い色のカラーインクを吐出する淡インクノズル列とが形成され、
前記淡インクノズル列の前記一端側パス列は、前記濃インクノズル列の前記一端側パス列よりも第1方向側に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
印刷媒体に向かってインクを吐出可能な複数のノズルが形成される1個以上のM個のインクジェットヘッドと、M個の前記インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、前記キャリッジを主走査方向に移動させるキャリッジ駆動機構と、前記キャリッジに対して上下方向と主走査方向とに直交する副走査方向に前記印刷媒体を相対的に送る送り機構とを備え、主走査方向の一方側への前記キャリッジの移動と、前記キャリッジに対する副走査方向への前記印刷媒体の相対的な送りと、主走査方向の他方側への前記キャリッジの移動と、前記キャリッジに対する副走査方向への前記印刷媒体の相対的な送りとを繰り返し行って、マルチパス方式で前記印刷媒体に印刷を行うインクジェットプリンタであって、
前記インクジェットヘッドには、副走査方向に配列される複数の前記ノズルからなるノズル列が形成され、
前記キャリッジに搭載されるM個の前記インクジェットヘッドには、合計で2個以上のN個の前記ノズル列が形成され、
N個の前記ノズル列は、主走査方向に配列されるとともに副走査方向において同じ位置に配置され、
前記ノズル列は、副走査方向において一定のバンド幅で区切られるN+2個以上の複数のパス列によって構成されるとともに、前記印刷媒体の印刷時にインクを吐出する前記パス列であるインク吐出パス列を3個以上備え、
前記送り機構は、前記印刷媒体の印刷時に前記バンド幅と同じ量だけ前記キャリッジに対して副走査方向に前記印刷媒体を相対的に送り、
N個の前記ノズル列のそれぞれにおいて、複数の前記インク吐出パス列のうちの、最も副走査方向の一方側に配置される前記インク吐出パス列を一端側パス列とし、最も副走査方向の他方側に配置される前記インク吐出パス列を他端側パス列とし、副走査方向で前記一端側パス列と前記他端側パス列との間に配置される所定の前記インク吐出パス列を特定パス列とすると、
N個の前記ノズル列のそれぞれにおいて、前記特定パス列が吐出するインクの量は、前記特定パス列を除いた他の前記インク吐出パス列が吐出するインクの量よりも多くなっており、かつ、前記一端側パス列から前記特定パス列に向かうにしたがって、前記インク吐出パス列が吐出するインクの量が次第に増えるとともに、前記特定パス列から前記他端側パス列に向かうにしたがって、前記インク吐出パス列が吐出するインクの量が次第に減り、
N個の前記ノズル列のそれぞれの前記特定パス列は、副走査方向において互いにずれた位置に配置されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記キャリッジに搭載されるM個の前記インクジェットヘッドには、互いに異なる色のカラーインクを吐出する合計で4個の前記ノズル列が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチパス方式で印刷媒体に双方向印刷を行うインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マルチパス方式で印刷媒体に印刷を行うインクジェットプリンタが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のインクジェットプリンタは、インクを吐出する4個のインクジェットヘッドと、4個のインクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、キャリッジを主走査方向に移動させるキャリッジ駆動機構と、副走査方向に印刷媒体を送る媒体送り機構とを備えている。インクジェットヘッドには、副走査方向に配列される複数のノズルからなるノズル列が1個形成されており、キャリッジに搭載される4個のインクジェットヘッドには、合計で4個のノズル列が形成されている。4個のインクジェットヘッドに形成される合計4個のノズル列は、主走査方向に配列されるとともに副走査方向において同じ位置に配置されている。ノズル列は、たとえば、一定のバンド幅で区切られる4個のパス列によって構成されている。
【0003】
特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、印刷媒体の印刷が行われる領域である印刷領域は、副走査方向においてバンド幅で区切られる複数の分割印刷領域によって構成されている。このインクジェットプリンタでは、各分割印刷領域に、たとえば、4パスで印刷が行われる。すなわち、このインクジェットプリンタでは、たとえば、印刷媒体に対して双方向印刷が行われており、主走査方向の一方側へのキャリッジの移動と、キャリッジに対する副走査方向への印刷媒体の送り動作と、主走査方向の他方側へのキャリッジの移動と、キャリッジに対する副走査方向への印刷媒体の送り動作とをこの順番で繰り返し行って、各分割印刷領域に4回の印刷を行うと、各分割印刷領域への印刷が完了する。
【0004】
特許文献1に記載のインクジェットプリンタにおいて、複数の分割印刷領域のうちの任意の1つの分割印刷領域を第1分割印刷領域とし、第1分割印刷領域と副走査方向で隣り合う分割印刷領域を第2分割印刷領域とすると、このインクジェットプリンタでは、第1分割印刷領域に行われる1パス目の印刷時および3パス目の印刷時に、キャリッジは主走査方向の一方側に移動し、第1分割印刷領域に行われる2パス目の印刷時および4パス目の印刷時に、キャリッジは主走査方向の他方側に移動する。一方、第2分割印刷領域に行われる1パス目の印刷時および3パス目の印刷時には、キャリッジは主走査方向の他方側に移動し、第2分割印刷領域に行われる2パス目の印刷時および4パス目の印刷時に、キャリッジは主走査方向の一方側に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-62788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、第1分割印刷領域に行われる1パス目の印刷時のキャリッジの移動方向と、第2分割印刷領域に行われる1パス目の印刷時のキャリッジの移動方向とが逆方向になる。同様に、このインクジェットプリンタでは、第1分割印刷領域に行われる2パス目~4パス目のそれぞれの印刷時のキャリッジの移動方向と、第2分割印刷領域に行われる2パス目~4パス目のそれぞれの印刷時のキャリッジの移動方向とが逆方向になる。そのため、特許文献1に記載のインクジェットプリンタの場合、主走査方向に配列される4個のノズル列のそれぞれから吐出されるインクの着弾順が第1分割印刷領域と第2分割印刷領域とで逆になる。
【0007】
したがって、特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、たとえば、4個のノズル列のそれぞれが異なる色のカラーインクを吐出する場合、印刷完了後の第1分割印刷領域の色合いと印刷完了後の第2分割印刷領域の色合いとに差が生じるおそれがある。すなわち、このインクジェットプリンタでは、たとえば、4個のノズル列のそれぞれが異なる色のカラーインクを吐出する場合、副走査方向で隣接する分割印刷領域に色合いの差が生じる色転びが生じて、印刷品質を確保できなくなるおそれがある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、主走査方向の一方側へのキャリッジの移動と、キャリッジに対する副走査方向への印刷媒体の相対的な送りと、主走査方向の他方側へのキャリッジの移動と、キャリッジに対する副走査方向への印刷媒体の相対的な送りとを繰り返し行って、マルチパス方式で印刷媒体に双方向印刷を行うインクジェットプリンタにおいて、インクジェットプリンタの印刷品質を確保することが可能なインクジェットプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明のインクジェットプリンタは、印刷媒体に向かってインクを吐出可能な複数のノズルが形成される1個以上のM個のインクジェットヘッドと、M個のインクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、キャリッジを主走査方向に移動させるキャリッジ駆動機構と、キャリッジに対して上下方向と主走査方向とに直交する副走査方向に印刷媒体を相対的に送る送り機構とを備え、主走査方向の一方側へのキャリッジの移動と、キャリッジに対する副走査方向への印刷媒体の相対的な送りと、主走査方向の他方側へのキャリッジの移動と、キャリッジに対する副走査方向への印刷媒体の相対的な送りとを繰り返し行って、マルチパス方式で印刷媒体に印刷を行うインクジェットプリンタであって、インクジェットヘッドには、副走査方向に配列される複数のノズルからなるノズル列が形成され、キャリッジに搭載されるM個のインクジェットヘッドには、合計で2個以上のN個のノズル列が形成され、N個のノズル列は、主走査方向に配列されるとともに副走査方向において同じ位置に配置され、ノズル列は、副走査方向において一定のバンド幅で区切られるN個以上の複数のパス列によって構成されるとともに、印刷媒体の印刷時にインクを吐出するパス列であるインク吐出パス列とインクを吐出しないパス列であるインク不吐出パス列とによって構成され、送り機構は、印刷媒体の印刷時にバンド幅と同じ量だけキャリッジに対して副走査方向に印刷媒体を相対的に送り、N個のノズル列のそれぞれが有するインク吐出パス列の数は等しくなっており、N個のノズル列のそれぞれが複数のインク吐出パス列を有する場合には、N個のノズル列のそれぞれにおいて、全てのインク吐出パス列が副走査方向で連なって配列され、N個のノズル列のそれぞれにおいて、最も副走査方向の一方側に配置されるインク吐出パス列を一端側パス列とすると、N個のノズル列のそれぞれの一端側パス列は、副走査方向において互いにずれた位置に配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明のインクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドに形成されるノズル列は、印刷媒体の印刷時にインクを吐出するパス列であるインク吐出パス列とインクを吐出しないパス列であるインク不吐出パス列とによって構成されており、N個のノズル列のそれぞれが有するインク吐出パス列の数は等しくなっている。また、本発明では、N個のノズル列のそれぞれにおいて、最も副走査方向の一方側に配置されるインク吐出パス列を一端側パス列とすると、N個のノズル列のそれぞれの一端側パス列は、副走査方向において互いにずれた位置に配置されている。
【0011】
そのため、上述のように第1分割印刷領域と第2分割印刷領域とを規定した場合、本発明では、マルチパス方式での印刷が完了した後の第1分割印刷領域におけるインクの着弾順と第2分割印刷領域におけるインクの着弾順とは完全には一致しないものの、マルチパス方式での印刷が完了した後の第1分割印刷領域および第2分割印刷領域を全体として見た場合に、第1分割印刷領域におけるインクの着弾順と第2分割印刷領域におけるインクの着弾順とを近づけることが可能になる。したがって、本発明では、印刷完了後の第1分割印刷領域の色合いと印刷完了後の第2分割印刷領域の色合いとの差を抑制することが可能になる。そのため、本発明では、副走査方向で隣接する分割印刷領域に色合いの差が生じる色転びの発生を抑制することが可能になり、その結果、インクジェットプリンタの印刷品質を確保することが可能になる。
【0012】
また、本発明では、N個のノズル列のそれぞれの一端側パス列が副走査方向において互いにずれた位置に配置されているため、各分割印刷領域に対して行われるNパスの印刷の中で、インクを吐出するノズル列の数が少なくなるパスが生じる。したがって、本発明では、インクを吐出するノズル列の数が少なくなるパスにおける混色の発生を抑制することが可能になる。
【0013】
なお、複数のノズル列を副走査方向にずらして配置することで(すなわち、複数のノズル列をスタガ配列することで)、マルチパス方式での印刷が完了した後の第1分割印刷領域におけるインクの着弾順と第2分割印刷領域におけるインクの着弾順とを完全に一致させることも可能である。しかしながら、この場合には、副走査方向でキャリッジが大型化する。また、この場合には、印刷媒体の印刷に時間がかかる。
【0014】
本発明において、ノズル列は、N+2個以上のパス列によって構成され、N個のノズル列のそれぞれは、3個以上のインク吐出パス列を備え、N個のノズル列のそれぞれにおいて、複数のインク吐出パス列のうちの、最も副走査方向の他方側に配置されるインク吐出パス列を他端側パス列とし、副走査方向で一端側パス列と他端側パス列との間に配置される所定のインク吐出パス列を特定パス列とすると、N個のノズル列のそれぞれにおいて、特定パス列が吐出するインクの量は、特定パス列を除いた他のインク吐出パス列が吐出するインクの量よりも多くなっており、かつ、一端側パス列から特定パス列に向かうにしたがって、インク吐出パス列が吐出するインクの量が次第に増えるとともに、特定パス列から他端側パス列に向かうにしたがって、インク吐出パス列が吐出するインクの量が次第に減り、N個のノズル列のそれぞれの特定パス列は、副走査方向において互いにずれた位置に配置されるとともに、副走査方向において、N個のノズル列のそれぞれの一端側パス列がずれている順番でずれていることが好ましい。
【0015】
このように構成すると、マルチパス方式での印刷が完了した後の第1分割印刷領域および第2分割印刷領域を全体として見た場合に、第1分割印刷領域におけるインクの着弾順と第2分割印刷領域におけるインクの着弾順とをより近づけることが可能になる。したがって、印刷完了後の第1分割印刷領域の色合いと印刷完了後の第2分割印刷領域の色合いとの差をより抑制することが可能になる。そのため、分割印刷領域ごとに色合いの差が生じる色転びの発生をより抑制することが可能になり、その結果、インクジェットプリンタの印刷品質を高めることが可能になる。
【0016】
また、このように構成すると、N個のノズル列のそれぞれの特定パス列が副走査方向において互いにずれた位置に配置されているため、N個のノズル列のそれぞれの特定パス列が副走査方向において同じ位置に配置されている場合と比較して、特定パス列がインクを吐出したときの混色の発生を抑制することが可能になる。
【0017】
本発明において、キャリッジに対する印刷媒体の相対移動方向側を第1方向側とすると、たとえば、M個のインクジェットヘッドには、ノズル列として、相対的に濃い色のカラーインクを吐出する濃インクノズル列と、相対的に薄い色のカラーインクを吐出する淡インクノズル列とが形成され、濃インクノズル列の一端側パス列は、淡インクノズル列の一端側パス列よりも第1方向側に配置されている。この場合には、相対的に薄い色のインクよりも相対的に濃い色のインクをより多く、印刷完了後の画像の表面に近い側に配置することが可能になる。したがって、輪郭等がはっきりした画像を印刷媒体に印刷することが可能になる。
【0018】
本発明において、キャリッジに対する印刷媒体の相対移動方向側を第1方向側とすると、M個のインクジェットヘッドには、ノズル列として、相対的に濃い色のカラーインクを吐出する濃インクノズル列と、相対的に薄い色のカラーインクを吐出する淡インクノズル列とが形成され、淡インクノズル列の一端側パス列は、濃インクノズル列の一端側パス列よりも第1方向側に配置されていても良い。この場合には、相対的に濃い色のインクよりも相対的に薄い色のインクをより多く、印刷完了後の画像の表面に近い側に配置することが可能になる。したがって、インクの粒状感を抑制したファジーな画像を印刷媒体に印刷することが可能になる。
【0019】
また、上記の課題を解決するため、本発明のインクジェットプリンタは、印刷媒体に向かってインクを吐出可能な複数のノズルが形成される1個以上のM個のインクジェットヘッドと、M個のインクジェットヘッドが搭載されるキャリッジと、キャリッジを主走査方向に移動させるキャリッジ駆動機構と、キャリッジに対して上下方向と主走査方向とに直交する副走査方向に印刷媒体を相対的に送る送り機構とを備え、主走査方向の一方側へのキャリッジの移動と、キャリッジに対する副走査方向への印刷媒体の相対的な送りと、主走査方向の他方側へのキャリッジの移動と、キャリッジに対する副走査方向への印刷媒体の相対的な送りとを繰り返し行って、マルチパス方式で印刷媒体に印刷を行うインクジェットプリンタであって、インクジェットヘッドには、副走査方向に配列される複数のノズルからなるノズル列が形成され、キャリッジに搭載されるM個のインクジェットヘッドには、合計で2個以上のN個のノズル列が形成され、N個のノズル列は、主走査方向に配列されるとともに副走査方向において同じ位置に配置され、ノズル列は、副走査方向において一定のバンド幅で区切られるN+2個以上の複数のパス列によって構成されるとともに、印刷媒体の印刷時にインクを吐出するパス列であるインク吐出パス列を3個以上備え、送り機構は、印刷媒体の印刷時にバンド幅と同じ量だけキャリッジに対して副走査方向に印刷媒体を相対的に送り、N個のノズル列のそれぞれにおいて、複数のインク吐出パス列のうちの、最も副走査方向の一方側に配置されるインク吐出パス列を一端側パス列とし、最も副走査方向の他方側に配置されるインク吐出パス列を他端側パス列とし、副走査方向で一端側パス列と他端側パス列との間に配置される所定のインク吐出パス列を特定パス列とすると、N個のインクジェットヘッドのそれぞれにおいて、特定パス列が吐出するインクの量は、特定パス列を除いた他のインク吐出パス列が吐出するインクの量よりも多くなっており、かつ、一端側パス列から特定パス列に向かうにしたがって、インク吐出パス列が吐出するインクの量が次第に増えるとともに、特定パス列から他端側パス列に向かうにしたがって、インク吐出パス列が吐出するインクの量が次第に減り、N個のノズル列のそれぞれの特定パス列は、副走査方向において互いにずれた位置に配置されていることを特徴とする。
【0020】
本発明のインクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドに形成されるノズル列は、印刷媒体の印刷時にインクを吐出するパス列であるインク吐出パス列を3個以上備えている。また、本発明では、N個のノズル列のそれぞれにおいて、複数のインク吐出パス列のうちの、最も副走査方向の一方側に配置されるインク吐出パス列を一端側パス列とし、最も副走査方向の他方側に配置されるインク吐出パス列を他端側パス列とし、副走査方向で一端側パス列と他端側パス列との間に配置される所定のインク吐出パス列を特定パス列とすると、N個のノズル列のそれぞれにおいて、特定パス列が吐出するインクの量は、特定パス列を除いた他のインク吐出パス列が吐出するインクの量よりも多くなっており、かつ、一端側パス列から特定パス列に向かうにしたがって、インク吐出パス列が吐出するインクの量が次第に増えるとともに、特定パス列から他端側パス列に向かうにしたがって、インク吐出パス列が吐出するインクの量が次第に減っている。さらに、本発明では、N個のノズル列のそれぞれの特定パス列は、副走査方向において互いにずれた位置に配置されている。
【0021】
そのため、上述のように第1分割印刷領域と第2分割印刷領域とを規定した場合、本発明では、マルチパス方式での印刷が完了した後の第1分割印刷領域におけるインクの着弾順と第2分割印刷領域におけるインクの着弾順とは完全には一致しないものの、マルチパス方式での印刷が完了した後の第1分割印刷領域および第2分割印刷領域を全体として見た場合に、第1分割印刷領域におけるインクの着弾順と第2分割印刷領域におけるインクの着弾順とを近づけることが可能になる。したがって、本発明では、印刷完了後の第1分割印刷領域の色合いと印刷完了後の第2分割印刷領域の色合いとの差を抑制することが可能になる。そのため、本発明では、副走査方向で隣接する分割印刷領域に色合いの差が生じる色転びの発生を抑制することが可能になり、その結果、インクジェットプリンタの印刷品質を確保することが可能になる。
【0022】
また、本発明では、N個のノズル列のそれぞれの特定パス列が副走査方向において互いにずれた位置に配置されているため、N個のノズル列のそれぞれの特定パス列が副走査方向において同じ位置に配置されている場合と比較して、特定パス列がインクを吐出したときの混色の発生を抑制することが可能になる。
【0023】
本発明において、たとえば、キャリッジに搭載されるM個のインクジェットヘッドには、互いに異なる色のカラーインクを吐出する合計で4個のノズル列が形成されている。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明では、主走査方向の一方側へのキャリッジの移動と、キャリッジに対する副走査方向への印刷媒体の相対的な送りと、主走査方向の他方側へのキャリッジの移動と、キャリッジに対する副走査方向への印刷媒体の相対的な送りとを繰り返し行って、マルチパス方式で印刷媒体に双方向印刷を行うインクジェットプリンタにおいて、インクジェットプリンタの印刷品質を確保することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態にかかるインクジェットプリンタの構成を説明するための概略図である。
図2図1に示すインクジェットヘッドの構成を説明するための概略図である。
図3図2に示すノズル列の構成を説明するための概略図である。
図4図1に示すインクジェットプリンタの印刷時の動作を説明するための図である。
図5図1に示すインクジェットプリンタの印刷時の動作を説明するための図である。
図6図1に示すインクジェットプリンタの印刷時の動作を説明するための図である。
図7図1に示すインクジェットプリンタの印刷時の動作を説明するための図である。
図8】(A)は、図4~7に示す分割印刷領域の特定箇所におけるインクの着弾順を説明するための図であり、(B)は、図1に示すインクジェットプリンタの効果を説明するための図である。
図9】本発明の参考形態にかかるノズル列の構成を説明するための概略図である。
図10】本発明の他の実施の形態にかかるノズル列の構成を説明するための概略図である。
図11】本発明の他の実施の形態にかかるノズル列の構成を説明するための概略図である。
図12】本発明の他の実施の形態にかかるノズル列の構成を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
(インクジェットプリンタの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるインクジェットプリンタ1の構成を説明するための概略図である。図2は、図1に示すインクジェットヘッド3~6の構成を説明するための概略図である。
【0028】
本形態のインクジェットプリンタ1(以下、「プリンタ1」とする。)は、たとえば、業務用のインクジェットプリンタであり、印刷媒体2に印刷を行う。印刷媒体2は、たとえば、印刷用紙、布帛または樹脂製のフィルム等である。プリンタ1は、インクを吐出するインクジェットヘッド3~6(以下、「ヘッド3~6」とする。)を備えている。本形態のプリンタ1は、複数のヘッド3~6を備えている。具体的には、プリンタ1は、4個のヘッド3~6を備えている。ヘッド3~6は、紫外線硬化型のインク(UVインク)を吐出する。
【0029】
また、プリンタ1は、ヘッド3~6から吐出されたインクに紫外線を照射してインクを硬化させる紫外線照射器7と、4個のヘッド3~6および紫外線照射器7が搭載されるキャリッジ8と、キャリッジ8を主走査方向(図1等のY方向)に移動させるキャリッジ駆動機構9と、キャリッジ8を主走査方向に案内するガイドレール10と、印刷時の印刷媒体2が載置されるプラテン11と、上下方向(図1等のZ方向)と主走査方向とに直交する副走査方向(図1等のX方向)に印刷媒体2を送る媒体送り機構12とを備えている。本形態の媒体送り機構12は、キャリッジ8に対して副走査方向に印刷媒体2を相対的に送る送り機構である。
【0030】
なお、プリンタ1は、ガイドレール10に代えて、ガイド軸を備えていても良い。また、プリンタ1は、プラテン11および媒体送り機構12に代えて、印刷媒体2が載置されるテーブルと、副走査方向にテーブルを送るテーブル送り機構とを備えていても良い。この場合のテーブル送り機構は、キャリッジ8に対して副走査方向に印刷媒体2を相対的に送る送り機構である。また、プリンタ1は、プラテン11および媒体送り機構12に代えて、印刷媒体2が載置されるテーブルと、ガイドレール10と一緒にキャリッジ8を副走査方向に送るキャリッジ送り機構とを備えていても良い。この場合のキャリッジ送り機構は、キャリッジ8に対して副走査方向に印刷媒体2を相対的に送る送り機構である。
【0031】
本形態のプリンタ1は、主走査方向へのキャリッジ8の移動と、副走査方向への印刷媒体2の送りとを交互に複数回行って、マルチパス方式で印刷媒体2に印刷を行う。具体的には、プリンタ1は、主走査方向の一方側へのキャリッジ8の移動と、副走査方向への印刷媒体2の送りと、主走査方向の他方側へのキャリッジ8の移動と、副走査方向への印刷媒体2の送りとを繰り返し行って、マルチパス方式で印刷媒体2に印刷を行う。すなわち、ヘッド3~6は、主走査方向の一方側へのキャリッジ8の移動時、および、主走査方向の他方側へのキャリッジ8の移動時の両方においてインクを吐出しており、プリンタ1は、印刷媒体2に双方向印刷を行う。
【0032】
以下の説明では、主走査方向(Y方向)を「左右方向」とし、副走査方向(X方向)を「前後方向」とする。また、前後方向の一方側である図1等のX1方向側を「前」側とし、その反対側である図1等のX2方向側を「後ろ」側とする。本形態では、印刷媒体2の印刷時に、印刷媒体2は前側に送られる。すなわち、本形態の前側(X1方向側)は、キャリッジ8に対する印刷媒体2の相対移動方向側である第1方向側となっている。
【0033】
キャリッジ駆動機構9は、たとえば、2個のプーリと、2個のプーリに架け渡されるとともに一部がキャリッジ8に固定されるベルトと、プーリを回転させるモータとを備えている。キャリッジ8は、プラテン11の上側に配置されている。上述のように、キャリッジ8には、4個のヘッド3~6が搭載されている。4個のヘッド3~6は、左右方向で隣接するようにキャリッジ8に搭載されている。すなわち、4個のヘッド3~6は、左右方向に配列されている。4個のヘッド3~6は、左右方向の一方側から他方側に向かってこの順番で配列されている。また、4個のヘッド3~6は、前後方向において同じ位置に配置されている。
【0034】
紫外線照射器7は、左右方向におけるヘッド3~6の両側でキャリッジ8に搭載されている。すなわち、キャリッジ8には、2個の紫外線照射器7が搭載されている。紫外線照射器7は、たとえば、複数の発光素子と、複数の発光素子が実装される基板とを備えている。発光素子は、たとえば、紫外線を射出するUVLEDチップである。なお、キャリッジ8に搭載される紫外線照射器7の数は、1個であっても良い。また、ヘッド3~6が吐出するインクは、紫外線硬化型のインク以外のインクであっても良い。この場合には、紫外線照射器7が不要になる。
【0035】
キャリッジ8に搭載されるヘッド3~6は、プラテン11に載置される印刷媒体2の上面に向かってインクを吐出する。すなわち、ヘッド3~6は、下側に向かってインクを吐出する。ヘッド3~6の下面には、印刷媒体2に向かってインクを吐出可能な複数のノズルが形成されている。ヘッド3~6は、複数のノズルのそれぞれからインクを吐出させるための複数の圧電素子(ピエゾ素子)を備えている。圧電素子は、ヘッド3~6を制御するヘッド制御部によって制御されている。また、圧電素子は、たとえば、PWM(Pulse Width Modulation)制御されている。
【0036】
ヘッド3~6に形成される複数のノズルは、前後方向に配列されており、複数のノズルによってノズル列13~16が構成されている。すなわち、ヘッド3~6には、副走査方向に配列される複数のノズルからなるノズル列13~16が形成されている。具体的には、ヘッド3に1個のノズル列13が形成され、ヘッド4に1個のノズル列14が形成され、ヘッド5に1個のノズル列15が形成され、ヘッド6に1個のノズル列16が形成されている。すなわち、キャリッジ8に搭載される4個のヘッド3~6には、合計で4個のノズル列13~16が形成されている。ノズル列13~16は、たとえば、320個のノズルによって構成されている。ノズル列13~16のそれぞれの前後方向の長さは互いに等しくなっている。4個のノズル列13~16は、左右方向に配列されている。また、4個のノズル列13~16は前後方向において同じ位置に配置されている。
【0037】
ノズル列13~16は、互いに異なる色のカラーインク(色付きのインク)を吐出する。すなわち、4個のヘッド3~6には、互いに異なる色のカラーインクを吐出する4個のノズル列13~16が形成されている。本形態では、ノズル列13が吐出するインクの色はシアン(C)であり、ノズル列14が吐出するインクの色はマゼンタ(M)であり、ノズル列15が吐出するインクの色はイエロー(Y)であり、ノズル列16が吐出するインクの色はブラック(K)である。
【0038】
上述のように、プリンタ1は、マルチパス方式で印刷媒体2に印刷を行う。たとえば、プリンタ1は、8パス、16パスまたは32パスで印刷媒体2に印刷を行うが、以下では、プリンタ1が8パスで印刷媒体2の印刷を行う場合のノズル列13~16の構成等を説明する。
【0039】
ノズル列13は、前後方向(副走査方向)において一定のバンド幅BWで区切られる複数のパス列13a~13hによって構成されている。プリンタ1が8パスで印刷媒体2の印刷を行うため、ノズル列13は、8個のパス列13a~13hに区切られている。すなわち、ノズル列13は、8個のパス列13a~13hによって構成されている。同様に、ノズル列14は、前後方向においてバンド幅BWで区切られる8個のパス列14a~14hによって構成され、ノズル列15は、前後方向においてバンド幅BWで区切られる8個のパス列15a~15hによって構成され、ノズル列16は、前後方向においてバンド幅BWで区切られる8個のパス列16a~16hによって構成されている。ノズル列13~16のより具体的な構成については後述する。
【0040】
媒体送り機構12は、たとえば、印刷媒体2の一方の面に接触する駆動ローラと、駆動ローラに対向配置されるとともに印刷媒体2の他方の面に接触する従動ローラと、駆動ローラを回転させるモータ等を備えている。媒体送り機構12は、印刷媒体2の印刷時にバンド幅BWと同じ量だけ副走査方向に印刷媒体2を送る。具体的には、媒体送り機構12は、印刷媒体2の印刷時にバンド幅BWと同じ量だけ前側に印刷媒体2を送る。
【0041】
(ノズル列の構成)
図3は、図2に示すノズル列13~16の構成を説明するための概略図である。
【0042】
上述のように、ノズル列13は、8個のパス列13a~13hによって構成され、ノズル列14は、8個のパス列14a~14hによって構成され、ノズル列15は、8個のパス列15a~15hによって構成され、ノズル列16は、8個のパス列16a~16hによって構成されている。パス列13a~13h、14a~14h、15a~15h、16a~16hのそれぞれは、複数のノズルによって構成されている。
【0043】
パス列13a~13hは、後ろ側から前側に向かってこの順番で配置されており、パス列13aは、ノズル列13の後端部を構成し、パス列13hは、ノズル列13の前端部を構成している。同様に、パス列14a~14h、15a~15h、16a~16hは、後ろ側から前側に向かってこの順番で配置されており、パス列14a、15a、16aは、ノズル列14~16の後端部を構成し、パス列14h、15h、16hは、ノズル列14~16の前端部を構成している。
【0044】
パス列13a~13e、14b~14f、15c~15g、16d~16hは、所定の印刷モードにおける印刷媒体2の印刷時にインクを吐出する。一方、パス列13f~13h、14a、14g、14h、15a、15b、15h、16a~16cは、所定の印刷モードにおける印刷媒体2の印刷時にインクを吐出しない。すなわち、所定の印刷モードにおける印刷媒体2の印刷時に、パス列13f~13h、14a、14g、14h、15a、15b、15h、16a~16cを構成するノズルはマスクされており、パス列13f~13h、14a、14g、14h、15a、15b、15h、16a~16cを構成するノズルに対応する圧電素子に電圧が印加されない。
【0045】
本形態のパス列13a~13e、14b~14f、15c~15g、16d~16hは、印刷媒体2の印刷時にインクを吐出するインク吐出パス列となっており、パス列13f~13h、14a、14g、14h、15a、15b、15h、16a~16cは、印刷媒体2の印刷時にインクを吐出しないインク不吐出パス列となっている。ノズル列13~16のそれぞれは、5個のインク吐出パス列を備えている。すなわち、4個のノズル列13~16のそれぞれが有するインク吐出パス列の数は等しくなっている。
【0046】
ノズル列13は、インク吐出パス列であるパス列13a~13eと、インク不吐出パス列であるパス列13f~13hとによって構成されている。また、ノズル列14は、インク吐出パス列であるパス列14b~14fと、インク不吐出パス列であるパス列14a、14g、14hとによって構成され、ノズル列15は、インク吐出パス列であるパス列15c~15gと、インク不吐出パス列であるパス列15a、15b、15hとによって構成され、ノズル列16は、インク吐出パス列であるパス列16d~16hと、インク不吐出パス列であるパス列16a~16cとによって構成されている。
【0047】
ノズル列13では、インク吐出パス列であるパス列13a~13eは前後方向で連なって配列されており(すなわち、前後方向で連続的に配置されており)、インク吐出パス列であるパス列13a~13eの間にインク不吐出パス列は配置されていない。同様に、ノズル列14では、インク吐出パス列であるパス列14b~14fが前後方向で連なって配列され、ノズル列15では、インク吐出パス列であるパス列15c~15gが前後方向で連なって配列され、ノズル列16では、インク吐出パス列であるパス列16d~16hが前後方向で連なって配列されている。すなわち、4個のノズル列13~16のそれぞれにおいて、全てのインク吐出パス列が前後方向で連なって配列されている。
【0048】
ノズル列13では(すなわち、ヘッド3では)、パス列13cが吐出するインクの量は、パス列13a、13b、13d、13eが吐出するインクの量よりも多くなっている。また、パス列13aからパス列13cに向かうにしたがって、パス列13a~13cが吐出するインクの量が次第に増えるとともに、パス列13cからパス列13eに向かうにしたがって、パス列13c~13eが吐出するインクの量が次第に減っている。本形態では、たとえば、パス列13aが吐出するインクの量とパス列13eが吐出するインクの量とが等しくなっており、パス列13bが吐出するインクの量とパス列13dが吐出するインクの量とが等しくなっている。
【0049】
ノズル列14では(すなわち、ヘッド4では)、パス列14dが吐出するインクの量は、パス列14b、14c、14e、14fが吐出するインクの量よりも多くなっている。また、パス列14bからパス列14dに向かうにしたがって、パス列14b~14dが吐出するインクの量が次第に増えるとともに、パス列14dからパス列14fに向かうにしたがって、パス列14d~14fが吐出するインクの量が次第に減っている。本形態では、たとえば、パス列14bが吐出するインクの量とパス列14fが吐出するインクの量とが等しくなっており、パス列14cが吐出するインクの量とパス列14eが吐出するインクの量とが等しくなっている。
【0050】
ノズル列15では(すなわち、ヘッド5では)、パス列15eが吐出するインクの量は、パス列15c、15d、15f、15gが吐出するインクの量よりも多くなっている。また、パス列15cからパス列15eに向かうにしたがって、パス列15c~15eが吐出するインクの量が次第に増えるとともに、パス列15eからパス列15gに向かうにしたがって、パス列15e~15gが吐出するインクの量が次第に減っている。本形態では、たとえば、パス列15cが吐出するインクの量とパス列15gが吐出するインクの量とが等しくなっており、パス列15dが吐出するインクの量とパス列15fが吐出するインクの量とが等しくなっている。
【0051】
ノズル列16では(すなわち、ヘッド6では)、パス列16fが吐出するインクの量は、パス列16d、16e、16g、16hが吐出するインクの量よりも多くなっている。また、パス列16dからパス列16fに向かうにしたがって、パス列16d~16fが吐出するインクの量が次第に増えるとともに、パス列16fからパス列16hに向かうにしたがって、パス列16f~16hが吐出するインクの量が次第に減っている。本形態では、たとえば、パス列16dが吐出するインクの量とパス列16hが吐出するインクの量とが等しくなっており、パス列16eが吐出するインクの量とパス列16gが吐出するインクの量とが等しくなっている。
【0052】
また、たとえば、パス列13cが吐出するインクの量とパス列14dが吐出するインクの量とパス列15eが吐出するインクの量とパス列16fが吐出するインクの量とが等しくなっており、パス列13aが吐出するインクの量とパス列14bが吐出するインクの量とパス列15cが吐出するインクの量とパス列16dが吐出するインクの量とが等しくなっており、パス列13bが吐出するインクの量とパス列14cが吐出するインクの量とパス列15dが吐出するインクの量とパス列16eが吐出するインクの量とが等しくなっている。
【0053】
パス列13a~13eのそれぞれが吐出するインクの量は、パス列13a~13eを構成するノズルに対応する圧電素子に印加される電圧のオンオフ時間の割合(デューティ比)を調整することや、パス列13a~13eを構成するノズルの中の、インクを吐出するノズルの数を調整することで、調整されている。パス列14b~14fのそれぞれが吐出するインクの量、パス列15c~15gのそれぞれが吐出するインクの量、および、パス列16d~16hのそれぞれが吐出するインクの量も同様に調整されている。
【0054】
4個のノズル列13~16のそれぞれにおいて、複数のインク吐出パス列のうちの、最も副走査方向の一方側に配置される(具体的には、後ろ側に配置される)インク吐出パス列を一端側パス列とし、最も副走査方向の他方側に配置される(具体的には、前側に配置される)インク吐出パス列を他端側パス列とすると、ノズル列13では、パス列13aが一端側パス列となっており、パス列13eが他端側パス列となっている。ノズル列14では、パス列14bが一端側パス列となっており、パス列14fが他端側パス列となっている。ノズル列15では、パス列15cが一端側パス列となっており、パス列15gが他端側パス列となっている。ノズル列16では、パス列16dが一端側パス列となっており、パス列16hが他端側パス列となっている。
【0055】
また、4個のノズル列13~16のそれぞれにおいて、副走査方向で一端側パス列と他端側パス列との間に配置される所定のインク吐出パス列を特定パス列とすると、ノズル列13では、パス列13cが特定パス列となっており、ノズル列14では、パス列14dが特定パス列となっており、ノズル列15では、パス列15eが特定パス列となっており、ノズル列16では、パス列16fが特定パス列となっている。
【0056】
ノズル列13において、特定パス列であるパス列13cが吐出するインクの量は、パス列13cを除いたインク吐出パス列であるパス列13a、13b、13d、13eが吐出するインクの量よりも多くなっている。また、ノズル列14において、特定パス列であるパス列14dが吐出するインクの量は、パス列14dを除いたインク吐出パス列であるパス列14b、14c、14e、14fが吐出するインクの量よりも多くなっており、ノズル列15において、特定パス列であるパス列15eが吐出するインクの量は、パス列15eを除いたインク吐出パス列であるパス列15c、15d、15f、15gが吐出するインクの量よりも多くなっており、ノズル列16において、特定パス列であるパス列16fが吐出するインクの量は、パス列16fを除いたインク吐出パス列であるパス列16d、16e、16g、16hが吐出するインクの量よりも多くなっている。
【0057】
本形態では、ノズル列13の一端側パス列であるパス列13aと、ノズル列14の一端側パス列であるパス列14bと、ノズル列15の一端側パス列であるパス列15cと、ノズル列16の一端側パス列であるパス列16dとが前後方向において互いにずれた位置に配置されている。すなわち、4個のノズル列13~16のそれぞれの一端側パス列は、副走査方向において互いにずれた位置に配置されている。具体的には、パス列13a、14b、15c、16dは、前後方向において後ろ側から前側に向かってこの順番で配置されている。また、4個のノズル列13~16のそれぞれの他端側パス列も副走査方向において互いにずれた位置に配置されている。
【0058】
また、本形態では、ノズル列13の特定パス列であるパス列13cと、ノズル列14の特定パス列であるパス列14dと、ノズル列15の特定パス列であるパス列15eと、ノズル列16の特定パス列であるパス列16fとが前後方向において互いにずれた位置に配置されている。すなわち、4個のノズル列13~16のそれぞれの特定パス列は、副走査方向において互いにずれた位置に配置されている。具体的には、パス列13c、14d、15e、16fは、前後方向において後ろ側から前側に向かってこの順番で配置されている。すなわち、4個のノズル列13~16のそれぞれの特定パス列は、副走査方向において、4個のノズル列13~16のそれぞれの一端側パス列がずれている順番でずれている。
【0059】
(印刷媒体の印刷方法)
図4図7は、図1に示すプリンタ1の印刷時の動作を説明するための図である。図8(A)は、図4図7に示す分割印刷領域PA1、PA2の特定箇所におけるインクの着弾順を説明するための図である。
【0060】
印刷媒体2の印刷が行われる領域である印刷領域は、前後方向においてバンド幅BWで区切られる複数の分割印刷領域PAによって構成されている。以下では、図4図7に示す10個の分割印刷領域PA(前後方向で連なる10個の分割印刷領域PA)のそれぞれを個別に示す場合には、10個の分割領域PAのそれぞれを分割印刷領域PA1~PA10とする。分割印刷領域PA1~PA10は、前側から後ろ側に向かってこの順番で配置されている。また、以下では、ノズル列13が吐出するインクを「C」とし、ノズル列14が吐出するインクを「M」とし、ノズル列15が吐出するインクを「Y」とし、ノズル列16が吐出するインクを「K」とする。
【0061】
印刷媒体2の印刷が行われるときには、たとえば、まず、前後方向において、分割印刷領域PA1がパス列13a、14a、15a、16aと同じ位置に配置されるまで、印刷媒体2を送る(図4(A)参照)。その後、キャリッジ8を左右方向の一方側へ移動させながら、パス列13aから分割印刷領域PA1の全体または一部にインクを吐出する。
【0062】
その後、前後方向において、分割印刷領域PA2がパス列13a、14a、15a、16aと同じ位置に配置されるまで、印刷媒体2を送る(図4(B)参照)。すなわち、前後方向において、分割印刷領域PA1がパス列13b、14b、15b、16bと同じ位置に配置されるまで、バンド幅BWと同じ量だけ前側に印刷媒体2を送る。その後、キャリッジ8を左右方向の他方側へ移動させながら、パス列13aから分割印刷領域PA2の全体または一部にインクを吐出し、パス列13b、14bから分割印刷領域PA1の全体または一部にインクを吐出する。このとき、分割印刷領域PA1の特定箇所では、C・Mの順番でインクが着弾する。
【0063】
その後、前後方向において、分割印刷領域PA3がパス列13a、14a、15a、16aと同じ位置に配置されるまで、バンド幅BWと同じ量だけ前側に印刷媒体2を送る(図4(C)参照)。その後、キャリッジ8を左右方向の一方側へ移動させながら、パス列13aから分割印刷領域PA3の全体または一部にインクを吐出し、パス列13b、14bから分割印刷領域PA2の全体または一部にインクを吐出し、パス列13c、14c、15cから分割印刷領域PA1の全体または一部にインクを吐出する。このとき、分割印刷領域PA1の特定箇所では、Y・M・Cの順番でインクが着弾し、分割印刷領域PA2の特定箇所では、M・Cの順番でインクが着弾する。
【0064】
その後、前後方向において、分割印刷領域PA4がパス列13a、14a、15a、16aと同じ位置に配置されるまで印刷媒体2を送る(図5(A)参照)。その後、キャリッジ8を左右方向の他方側へ移動させながら、パス列13aから分割印刷領域PA4の全体または一部にインクを吐出し、パス列13b、14bから分割印刷領域PA3の全体または一部にインクを吐出し、パス列13c、14c、15cから分割印刷領域PA2の全体または一部にインクを吐出し、パス列13d、14d、15d、16dから分割印刷領域PA1の全体または一部にインクを吐出する。このとき、分割印刷領域PA1の特定箇所では、C・M・Y・Kの順番でインクが着弾し、分割印刷領域PA2の特定箇所では、C・M・Yの順番でインクが着弾し、分割印刷領域PA3の特定箇所では、C・Mの順番でインクが着弾する。
【0065】
その後、前後方向において、分割印刷領域PA5がパス列13a、14a、15a、16aと同じ位置に配置されるまで印刷媒体2を送る(図5(B)参照)。その後、キャリッジ8を左右方向の一方側へ移動させながら、パス列13aから分割印刷領域PA5の全体または一部にインクを吐出し、パス列13b、14bから分割印刷領域PA4の全体または一部にインクを吐出し、パス列13c、14c、15cから分割印刷領域PA3の全体または一部にインクを吐出し、パス列13d、14d、15d、16dから分割印刷領域PA2の全体または一部にインクを吐出し、パス列13e、14e、15e、16eから分割印刷領域PA1の全体または一部にインクを吐出する。このとき、分割印刷領域PA1の特定箇所および分割印刷領域PA2の特定箇所では、K・Y・M・Cの順番でインクが着弾し、分割印刷領域PA3の特定箇所では、Y・M・Cの順番でインクが着弾し、分割印刷領域PA4の特定箇所では、M・Cの順番でインクが着弾する。
【0066】
その後、前後方向において、分割印刷領域PA6がパス列13a、14a、15a、16aと同じ位置に配置されるまで印刷媒体2を送る(図6(A)参照)。その後、キャリッジ8を左右方向の他方側へ移動させながら、パス列13aから分割印刷領域PA6の全体または一部にインクを吐出し、パス列13b、14bから分割印刷領域PA5の全体または一部にインクを吐出し、パス列13c、14c、15cから分割印刷領域PA4の全体または一部にインクを吐出し、パス列13d、14d、15d、16dから分割印刷領域PA3の全体または一部にインクを吐出し、パス列13e、14e、15e、16eから分割印刷領域PA2の全体または一部にインクを吐出し、パス列14f、15f、16fから分割印刷領域PA1の全体または一部にインクを吐出する。
【0067】
このとき、分割印刷領域PA1の特定箇所では、M・Y・Kの順番でインクが着弾し、分割印刷領域PA2の特定箇所および分割印刷領域PA3の特定箇所では、C・M・Y・Kの順番でインクが着弾し、分割印刷領域PA4の特定箇所では、C・M・Yの順番でインクが着弾し、分割印刷領域PA5の特定箇所では、C・Mの順番でインクが着弾する。
【0068】
その後、前後方向において、分割印刷領域PA7がパス列13a、14a、15a、16aと同じ位置に配置されるまで印刷媒体2を送る(図6(B)参照)。その後、キャリッジ8を左右方向の一方側へ移動させながら、パス列13aから分割印刷領域PA7の全体または一部にインクを吐出し、パス列13b、14bから分割印刷領域PA6の全体または一部にインクを吐出し、パス列13c、14c、15cから分割印刷領域PA5の全体または一部にインクを吐出し、パス列13d、14d、15d、16dから分割印刷領域PA4の全体または一部にインクを吐出し、パス列13e、14e、15e、16eから分割印刷領域PA3の全体または一部にインクを吐出し、パス列14f、15f、16fから分割印刷領域PA2の全体または一部にインクを吐出し、パス列15g、16gから分割印刷領域PA1の全体または一部にインクを吐出する。
【0069】
このとき、分割印刷領域PA1の特定箇所では、K・Yの順番でインクが着弾し、分割印刷領域PA2の特定箇所では、K・Y・Mの順番でインクが着弾し、分割印刷領域PA3の特定箇所および分割印刷領域PA4の特定箇所では、K・Y・M・Cの順番でインクが着弾し、分割印刷領域PA5の特定箇所では、Y・M・Cの順番でインクが着弾し、分割印刷領域PA6の特定箇所では、M・Cの順番でインクが着弾する。
【0070】
その後、前後方向において、分割印刷領域PA8がパス列13a、14a、15a、16aと同じ位置に配置されるまで印刷媒体2を送る(図7(A)参照)。その後、キャリッジ8を左右方向の他方側へ移動させながら、パス列13aから分割印刷領域PA8の全体または一部にインクを吐出し、パス列13b、14bから分割印刷領域PA7の全体または一部にインクを吐出し、パス列13c、14c、15cから分割印刷領域PA6の全体または一部にインクを吐出し、パス列13d、14d、15d、16dから分割印刷領域PA5の全体または一部にインクを吐出し、パス列13e、14e、15e、16eから分割印刷領域PA4の全体または一部にインクを吐出し、パス列14f、15f、16fから分割印刷領域PA3の全体または一部にインクを吐出し、パス列15g、16gから分割印刷領域PA2の全体または一部にインクを吐出し、パス列16fから分割印刷領域PA1の全体または一部にインクを吐出する。
【0071】
このとき、分割印刷領域PA2の特定箇所では、Y・Kの順番でインクが着弾し、分割印刷領域PA3の特定箇所では、M・Y・Kの順番でインクが着弾し、分割印刷領域PA4の特定箇所および分割印刷領域PA5の特定箇所では、C・M・Y・Kの順番でインクが着弾し、分割印刷領域PA6の特定箇所では、C・M・Yの順番でインクが着弾し、分割印刷領域PA7の特定箇所では、C・Mの順番でインクが着弾する。また、分割印刷領域PA1にパス列16fからインクが吐出されると、分割印刷領域PA1に対する印刷が終了する。
【0072】
その後、前後方向において、分割印刷領域PA9がパス列13a、14a、15a、16aと同じ位置に配置されるまで印刷媒体2を送る(図7(B)参照)。その後、キャリッジ8を左右方向の一方側へ移動させながら、パス列13aから分割印刷領域PA9の全体または一部にインクを吐出し、パス列13b、14bから分割印刷領域PA8の全体または一部にインクを吐出し、パス列13c、14c、15cから分割印刷領域PA7の全体または一部にインクを吐出し、パス列13d、14d、15d、16dから分割印刷領域PA6の全体または一部にインクを吐出し、パス列13e、14e、15e、16eから分割印刷領域PA5の全体または一部にインクを吐出し、パス列14f、15f、16fから分割印刷領域PA4の全体または一部にインクを吐出し、パス列15g、16gから分割印刷領域PA3の全体または一部にインクを吐出し、パス列16fから分割印刷領域PA2の全体または一部にインクを吐出する。
【0073】
このとき、分割印刷領域PA3の特定箇所では、K・Yの順番でインクが着弾し、分割印刷領域PA4の特定箇所では、K・Y・Mの順番でインクが着弾し、分割印刷領域PA5の特定箇所および分割印刷領域PA6の特定箇所では、K・Y・M・Cの順番でインクが着弾し、分割印刷領域PA7の特定箇所では、Y・M・Cの順番でインクが着弾し、分割印刷領域PA8の特定箇所では、M・Cの順番でインクが着弾する。また、分割印刷領域PA2にパス列16fからインクが吐出されると、分割印刷領域PA2に対する印刷が終了する。
【0074】
以下、上記の動作が繰り返されて印刷媒体2の印刷が行われる。なお、分割印刷領域PA1の特定箇所と、左右方向において分割印刷領域PA1の特定箇所と同じ位置に配置される分割印刷領域PA2の特定箇所(すなわち、分割印刷領域PA1の特定箇所と前後方向で隣接する分割印刷領域PA2の特定箇所)とにおいては、たとえば、図8(A)に示す順番でインクが着弾する。
【0075】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ノズル列13~16のそれぞれは、インク吐出パス列とインク不吐出パス列とによって構成されており、4個のノズル列13~16のそれぞれが有するインク吐出パス列の数は等しくなっている。また、本形態では、4個のノズル列13~16のそれぞれの一端側パス列であるパス列13aとパス列14bとパス列15cとパス列16dとが前後方向において互いにずれた位置に配置されている。そのため、本形態では、上述のように、分割印刷領域PA1の特定箇所と、左右方向において分割印刷領域PA1の特定箇所と同じ位置に配置される分割印刷領域PA2の特定箇所とにおいて、たとえば、図8(A)に示す順番でインクが着弾する。
【0076】
すなわち、本形態では、マルチパス方式での印刷が完了した後の分割印刷領域PA1におけるインクの着弾順と分割印刷領域PA2におけるインクの着弾順とは完全には一致しないものの、マルチパス方式での印刷が完了した後の分割印刷領域PA1および分割印刷領域PA2を全体として見た場合に、図8(A)に示すように、分割印刷領域PA1におけるインクの着弾順と分割印刷領域PA2におけるインクの着弾順とを近づけることが可能になる。
【0077】
したがって、本形態では、印刷完了後の分割印刷領域PA1の色合いと印刷完了後の分割印刷領域PA2の色合いとの差を抑制することが可能になる。すなわち、本形態では、前後方向で隣接する2個の分割印刷領域PAの印刷完了後の色合いの差を抑制することが可能になる。そのため、本形態では、前後方向で隣接する分割印刷領域に色合いの差が生じる色転びの発生を抑制することが可能になり、その結果、プリンタ1の印刷品質を確保することが可能になる。
【0078】
特に本形態では、吐出するインクの量が最も多い特定パス列であるパス列13cとパス列14dとパス列15eとパス列16fとが前後方向において互いにずれた位置に配置されている。また、本形態では、パス列13c、14d、15e、16fは、前後方向において後ろ側から前側に向かってこの順番で配置されており、パス列13a、14b、15c、16dがずれている順番でずれている。
【0079】
そのため、本形態では、マルチパス方式での印刷が完了した後の分割印刷領域PA1および分割印刷領域PA2を全体として見た場合に、分割印刷領域PA1におけるインクの着弾順と分割印刷領域PA2におけるインクの着弾順とをより近づけることが可能になる。したがって、本形態では、印刷完了後の分割印刷領域PA1の色合いと印刷完了後の分割印刷領域PA2の色合いとの差をより抑制することが可能になる。そのため、本形態では、前後方向で隣接する分割印刷領域PAに色合いの差が生じる色転びの発生をより抑制することが可能になり、その結果、プリンタ1の印刷品質を高めることが可能になる。
【0080】
なお、全てのパス列13a~13h、14a~14h、15a~15h、16a~16hがインク吐出パス列である場合には、分割印刷領域PA1の特定箇所と、左右方向において分割印刷領域PA1の特定箇所と同じ位置に配置される分割印刷領域PA2の特定箇所とにおいて、たとえば、図8(B)に示す順番でインクが着弾する。そのため、この場合には、たとえば、前後方向で同じ位置に配置されるパス列13a~16aが同じ量のインクを吐出し、パス列13b~16bが同じ量のインクを吐出し、パス列13c~16cが同じ量のインクを吐出し、パス列13d~16dが同じ量のインクを吐出し、パス列13e~16eが同じ量のインクを吐出し、パス列13f~16fが同じ量のインクを吐出し、パス列13g~16gが同じ量のインクを吐出し、パス列13h~16hが同じ量のインクを吐出すると、印刷完了後の分割印刷領域PA1の色合いと印刷完了後の分割印刷領域PA2の色合いとに差が生じるおそれがある。
【0081】
本形態では、パス列13aとパス列14bとパス列15cとパス列16dとが前後方向において互いにずれた位置に配置されている。そのため、各分割印刷領域PAに対して行われる8パスの印刷の中で1~3パス目の印刷および6~8パス目の印刷では、インクを吐出するノズル列13~16の数が少なくなる。したがって、本形態では、1~3パス目の印刷および6~8パス目の印刷において混色の発生を抑制することが可能になる。また、本形態では、吐出するインクの量が最も多いパス列13cとパス列14dとパス列15eとパス列16fとが前後方向において互いにずれた位置に配置されているため、4、5パス目の印刷においても混色の発生を抑制することが可能になるとともに、1~3パス目の印刷および6~8パス目の印刷において混色の発生をより抑制することが可能になる。
【0082】
なお、ノズル列13~16を前後方向にずらして配置することで(すなわち、ヘッド3~6を前後方向にずらして配置することで)、マルチパス方式での印刷が完了した後の分割印刷領域PA1におけるインクの着弾順と分割印刷領域PA2におけるインクの着弾順とを完全に一致させることも可能である。しかしながら、この場合には、前後方向でキャリッジ8が大型化する。また、この場合には、印刷媒体2の印刷に時間がかかる。これに対して本形態では、ノズル列13~16が前後方向において同じ位置に配置されているため、このような問題は生じない。
【0083】
(インクジェットヘッドの配置順の変更例)
上述した形態では、4個のヘッド3~6が左右方向の一方側から他方側に向かってこの順番で配列されているが、4個のヘッド3~6は、左右方向の一方側から他方側に向かってどのような順番で配置されていても良い。すなわち、4個のノズル列13~16は、左右方向の一方側から他方側に向かってどのような順番で配置されていても良い。また、以下に説明する変更例においても、4個のノズル列13~16は、左右方向の一方側から他方側に向かってどのような順番で配置されていても良い。
【0084】
(インクジェットヘッドが吐出するインク色の変更例1)
上述した形態において、ノズル列13が吐出するインクの色がイエロー(Y)であり、ノズル列14が吐出するインクの色がシアン(C)であり、ノズル列15が吐出するインクの色がマゼンタ(M)であり、ノズル列16が吐出するインクの色がブラック(K)であっても良い。この場合には、相対的に薄いイエローのインクよりも相対的に濃い黒色のインクをより多く、印刷完了後の画像の表面に近い側に配置することが可能になる。そのため、輪郭等がはっきりした(エッジがはっきりとした)画像を印刷媒体2に印刷することが可能になる。
【0085】
この場合のノズル列16は、相対的に濃い色のカラーインクを吐出する濃インクノズル列であり、ノズル列13は、相対的に薄い色のカラーインクを吐出する淡インクノズル列である。すなわち、4個のヘッド3~6には、濃インクノズル列と淡インクノズル列とが形成されている。また、濃インクノズル列であるノズル列16の一端側パス列(パス列16d)は、淡インクノズル列であるノズル列13の一端側パス列(パス列13a)よりも前側に配置されている。
【0086】
また、上述した形態において、ノズル列13が吐出するインクの色がライトシアン(Lc)であり、ノズル列14が吐出するインクの色がライトマゼンタ(Lm)であり、ノズル列15が吐出するインクの色がシアン(C)であり、ノズル列16が吐出するインクの色がマゼンタ(M)であっても良い。この場合であっても、相対的に薄いライトシアン、ライトマゼンタのインクよりも相対的に濃いシアン、マゼンタのインクをより多く、印刷完了後の画像の表面に近い側に配置することが可能になるため、輪郭等がはっきりした画像を印刷媒体2に印刷することが可能になる。
【0087】
この場合のノズル列15、16は、相対的に濃い色のカラーインクを吐出する濃インクノズル列であり、ノズル列13、14は、相対的に薄い色のカラーインクを吐出する淡インクノズル列である。すなわち、4個のヘッド3~6には、濃インクノズル列と淡インクノズル列とが形成されている。また、濃インクノズル列であるノズル列15、16の一端側パス列(パス列15c、16d)は、淡インクノズル列ヘッドであるノズル列13、14の一端側パス列(パス列13a、14b)よりも前側に配置されている。
【0088】
なお、ノズル列13が吐出するインクの色がライトシアン(Lc)であり、ノズル列14が吐出するインクの色がライトマゼンタ(Lm)であり、ノズル列15が吐出するインクの色がシアン(C)であり、ノズル列16が吐出するインクの色がマゼンタ(M)である場合には、たとえば、図9に示すように、パス列13a~13e、14a~14e、15d~15h、16d~16hがインク吐出パス列になっており、パス列13f~13h、14f~14h、15a~15c、16a~16cがインク不吐出パス列になっているとともに、パス列13c、14c、15f、16fが、最も多くインクを吐出する特定パス列になっていても、相対的に薄いライトシアン、ライトマゼンタのインクよりも相対的に濃いシアン、マゼンタのインクをより多く、印刷完了後の画像の表面に近い側に配置することが可能になるため、輪郭等がはっきりした画像を印刷媒体2に印刷することが可能になる。
【0089】
(インクジェットヘッドが吐出するインク色の変更例2)
上述した形態において、ノズル列13が吐出するインクの色がブラック(K)であり、ノズル列14が吐出するインクの色がマゼンタ(M)であり、ノズル列15が吐出するインクの色がシアン(C)であり、ノズル列16が吐出するインクの色がイエロー(Y)であっても良い。この場合には、相対的に濃い黒色のインクよりも相対的に薄いイエローのインクをより多く、印刷完了後の画像の表面に近い側に配置することが可能になる。そのため、インクの粒状感を抑制したファジーな画像を印刷媒体2に印刷することが可能になる。
【0090】
この場合のノズル列13は、相対的に濃い色のカラーインクを吐出する濃インクノズル列であり、ノズル列16は、相対的に薄い色のカラーインクを吐出する淡インクノズル列である。また、淡インクノズル列であるノズル列16の一端側パス列(パス列16d)は、濃インクノズル列ヘッドであるノズル列13の一端側パス列(パス列13a)よりも前側に配置されている。
【0091】
また、上述した形態において、ノズル列13が吐出するインクの色がマゼンタ(M)であり、ノズル列14が吐出するインクの色がシアン(C)であり、ノズル列15が吐出するインクの色がライトマゼンタ(Lm)であり、ノズル列16が吐出するインクの色がライトシアン(Lc)であっても良い。この場合であっても、相対的に濃いマゼンタ、シアンのインクよりも相対的に薄いライトマゼンタ、ライトシアンのインクをより多く、印刷完了後の画像の表面に近い側に配置することが可能になるため、インクの粒状感を抑制したファジーな画像を印刷媒体2に印刷することが可能になる。
【0092】
この場合のノズル列13、14は、相対的に濃い色のカラーインクを吐出する濃インクノズル列であり、ノズル列15、16は、相対的に薄い色のカラーインクを吐出する淡インクノズル列である。また、淡インクノズル列であるノズル列15、16の一端側パス列(パス列15c、16d)は、濃インクノズル列であるノズル列13、14の一端側パス列(パス列13a、14b)よりも前側に配置されている。
【0093】
なお、ノズル列13が吐出するインクの色がマゼンタ(M)であり、ノズル列14が吐出するインクの色がシアン(C)であり、ノズル列15が吐出するインクの色がライトマゼンタ(Lm)であり、ノズル列16が吐出するインクの色がライトシアン(Lc)である場合には、たとえば、図9に示すように、パス列13a~13e、14a~14e、15d~15h、16d~16hがインク吐出パス列になっており、パス列13f~13h、14f~14h、15a~15c、16a~16cがインク不吐出パス列になっているとともに、パス列13c、14c、15f、16fが、最も多くインクを吐出する特定パス列になっていても、相対的に濃いマゼンタ、シアンのインクよりも相対的に薄いライトマゼンタ、ライトシアンのインクをより多く、印刷完了後の画像の表面に近い側に配置することが可能になるため、インクの粒状感を抑制したファジーな画像を印刷媒体2に印刷することが可能になる。
【0094】
(ノズル列の変更例1)
上述した形態において、パス列13a~13eのそれぞれが吐出するインクの量が互いに等しくなっており、パス列14b~14fのそれぞれが吐出するインクの量が互いに等しくなっており、パス列15c~15gのそれぞれが吐出するインクの量が互いに等しくなっており、パス列16d~16gのそれぞれが吐出するインクの量が互いに等しくなっていても良い。
【0095】
(ノズル列の変更例2)
図10は、本発明の他の実施の形態にかかるノズル列13~16の構成を説明するための概略図である。
【0096】
上述した形態において、図10に示すように、パス列13a~13h、14a~14h、15a~15h、16a~16hの全てがインク吐出パス列となっていても良い。この場合には、たとえば、上述した形態と同様に、パス列13c、14d、15e、16fが、最も多くインクを吐出する特定パス列になっており、4個のノズル列13~16のそれぞれの特定パス列が前後方向において互いにずれた位置に配置されている。
【0097】
この変更例では、4個のノズル列13~16のそれぞれの特定パス列が前後方向において互いにずれた位置に配置されているため、マルチパス方式での印刷が完了した後の分割印刷領域PA1および分割印刷領域PA2を全体として見た場合に、分割印刷領域PA1におけるインクの着弾順と分割印刷領域PA2におけるインクの着弾順とを近づけることが可能になる。したがって、印刷完了後の分割印刷領域PA1の色合いと印刷完了後の分割印刷領域PA2の色合いとの差を抑制することが可能になる。すなわち、前後方向で隣接する2個の分割印刷領域PAの印刷完了後の色合いの差を抑制することが可能になる。そのため、前後方向で隣接する分割印刷領域PAに色合いの差が生じる色転びの発生を抑制することが可能になり、その結果、プリンタ1の印刷品質を確保することが可能になる。
【0098】
また、この変更例では、最も多くの量のインクを吐出する4個のノズル列13~16のそれぞれの特定パス列が前後方向において互いにずれた位置に配置されているため、特定パス列がインクを吐出したときの混色の発生を抑制することが可能になる。
【0099】
(ノズル列の変更例3)
図11は、本発明の他の実施の形態にかかるノズル列13~16の構成を説明するための概略図である。
【0100】
上述した形態において、たとえば、図11に示すように、パス列13a~13g、14a~14g、15b~15h、16b~16hがインク吐出パス列になるとともに、パス列13h、14h、15a、16aがインク不吐出パス列になっていて、ノズル列13の一端側パス列であるパス列13aとノズル列14の一端側パス列であるパス列14aとが前後方向において同じ位置に配置され、ノズル列15の一端側パス列であるパス列15bとノズル列16の一端側パス列であるパス列16bとが前後方向において同じ位置に配置されていても良い。
【0101】
この場合には、たとえば、上述した形態と同様に、パス列13c、14d、15e、16fが、最も多くインクを吐出する特定パス列になっている。この場合であっても、4個のノズル列13~16のそれぞれの特定パス列が前後方向において互いにずれた位置に配置されているため、マルチパス方式での印刷が完了した後の分割印刷領域PA1および分割印刷領域PA2を全体として見た場合に、分割印刷領域PA1におけるインクの着弾順と分割印刷領域PA2におけるインクの着弾順とを近づけることが可能になる。したがって、印刷完了後の分割印刷領域PA1の色合いと印刷完了後の分割印刷領域PA2の色合いとの差を抑制することが可能になる。
【0102】
(ノズル列の変更例4)
図12は、本発明の他の実施の形態にかかるノズル列13~16の構成を説明するための概略図である。
【0103】
上述した形態において、プリンタ1は、8パス以外のマルチパスで印刷媒体2に印刷を行っても良い。たとえば、プリンタ1は、11パスで印刷媒体2に印刷を行っても良い。この場合には、たとえば、図12に示すように、ノズル列13は、11個のパス列13a~13kによって構成され、ノズル列14は、11個のパス列14a~14kによって構成され、ノズル列15は、11個のパス列15a~15kによって構成され、ノズル列16は、11個のパス列16a~16kによって構成されている。
【0104】
図12に示す例では、パス列13a~13h、14b~14i、15c~15j、16d~16kは、インク吐出パス列となっており、パス列13i~13k、14a、14j、14k、15a、15b、15k、16a~16cは、インク不吐出パス列となっている。すなわち、ノズル列13~16のそれぞれは、8個のインク吐出パス列を備えている。この場合には、印刷媒体2に印刷される画像の解像度を、従来の8パス方式で印刷媒体2に印刷を行ったときの画像の解像度と同程度にすることが可能になる。
【0105】
また、図12に示す例では、たとえば、パス列13d、13e、14e、14f、15f、15g、16g、16hが、最も多くインクを吐出する特定パス列になっており、4個のノズル列13~16のそれぞれの特定パス列が前後方向において互いにずれた位置に配置されている。また、プリンタ1は、たとえば、16パスで印刷媒体2に印刷を行っても良いし、32パスで印刷媒体2に印刷を行っても良い。プリンタ1が16パスで印刷媒体2に印刷を行う場合には、ノズル列13~16は、たとえば、16個のパス列を備えている。プリンタ1が32パスで印刷媒体2に印刷を行う場合には、ノズル列13~16は、たとえば、32個のパス列を備えている。
【0106】
(他の実施の形態)
上述した形態および変更例は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0107】
上述した形態および変更例において、ノズル列13~16が特定パス列を有する場合には、ノズル列13~16が有するインク吐出パス列の数は3個以上であれば良い。また、上述した形態および変更例では、ノズル列13~16は主として1個の特定パス列を備えているが、ノズル列13~16が2個以上の特定パス列を備えていても良い。たとえば、図12に示す変更例のように、ノズル列13~16が2個の特定パス列を備えていても良い。また、たとえば、上述した形態において、ノズル列13~16が9個以上のパス列によって構成されている場合には、ノズル列13~16のそれぞれの特定パス列が前後方向において同じ位置に配置されていても良い。
【0108】
上述した形態および変更例において、キャリッジ8に搭載されるヘッドの数は1個であっても良い。この場合には、4個のノズル列13~16が1個のヘッドに形成されている。また、キャリッジ8に搭載されるヘッドの数は2個または3個であっても良い。キャリッジ8に搭載されるヘッドの数が2個である場合には、たとえば、2個のヘッドのうちの一方のヘッドに2個のノズル列13、14が形成され、他方のヘッドに2個のノズル列15、16が形成されている。
【0109】
また、上述した形態および変更例において、キャリッジ8に搭載されるヘッドの数は5個以上であっても良い。すなわち、プリンタ1が有するヘッドの数は、1個以上のM個であれば良い。この場合には、M個のヘッドがキャリッジ8に搭載されている。また、この場合には、キャリッジ8に搭載されるM個のヘッドに合計で2個以上のN個のノズル列が形成されていれば良い。キャリッジ8に搭載されるM個のヘッドに合計で2個以上のN個のノズル列が形成されている場合であって、かつ、ノズル列が特定パス列を有する場合には、ノズル列は、N+2個以上のパス列によって構成されていれば良い。このように構成されていれば、N個のノズル列のそれぞれの特定パス列を前後方向において互いにずれた位置に配置することが可能になる。
【0110】
また、キャリッジ8に搭載されるM個のヘッドに合計で2個以上のN個のノズル列が形成されている場合であって、かつ、ノズル列が特定パス列を有しない場合(すなわち、N個のノズル列のそれぞれにおいて、インク吐出パス列が吐出するインクの量が等しい場合)には、ノズル列は、N個以上のパス列によって構成されていれば良い。このように構成されていれば、N個のノズル列のそれぞれの一端側パス列を前後方向において互いにずれた位置に配置することが可能になる。なお、キャリッジ8に搭載されるM個のヘッドに合計で2個以上のN個のノズル列が形成されている場合であって、かつ、ノズル列が特定パス列を有しない場合に、ノズル列がN個のパス列によって構成されていれば、N個のノズル列が有するインク吐出パス列の数は1個である。
【符号の説明】
【0111】
1 プリンタ(インクジェットプリンタ)
2 印刷媒体
3~6 ヘッド(インクジェットヘッド、濃インクヘッド、淡インクヘッド)
8 キャリッジ
9 キャリッジ駆動機構
12 媒体送り機構(送り機構)
13~16 ノズル列
13a、14b、15d、16e パス列(インク吐出パス列、一端側パス列)
13b、13d、14c、14e、15d、15f、16e、16g パス列(インク吐出パス列)
13c、14d、15e、16f パス列(インク吐出パス列、特定パス列)
13e、14f、15g、16h パス列(インク吐出パス列、他端側パス列)
13f~13h、14a、14g、14h、15a、15b、15h、16a~16c パス列(インク不吐出パス列)
BW バンド幅
X 副走査方向
X1 第1方向
Y 主走査方向
Z 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12