(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168420
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 13/00 20060101AFI20221031BHJP
B60C 11/03 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
B60C13/00 D
B60C11/03 300D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073863
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 伸悟
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BC12
3D131EB11X
3D131EB31X
3D131EC11X
3D131GA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】サイドウォールのトラクション性能を向上させることができる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】空気入りタイヤは、タイヤ径方向へ延びるサイドウォール22を備え、サイドウォール22は、タイヤ軸方向の外方へ突出する第1サイドブロック6を備え、第1サイドブロック6は、タイヤ径方向に沿って延びる第1ベース部6aと、第1ベース部6aのタイヤ径方向の内端から延びる第1傾斜部6b及び第2傾斜部6cと、を備え、第1傾斜部6bは、タイヤ径方向の内側へいくにつれてタイヤ周方向の第1側へ延び、第2傾斜部6cは、タイヤ径方向の内側へいくにつれてタイヤ周方向の第2側へ延びる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ径方向へ延びるサイドウォールを備え、
前記サイドウォールは、タイヤ軸方向の外方へ突出する第1サイドブロックを備え、
前記第1サイドブロックは、
前記タイヤ径方向に沿って延びる第1ベース部と、
前記第1ベース部の前記タイヤ径方向の内端から延びる第1傾斜部及び第2傾斜部と、を備え、
前記第1傾斜部は、前記タイヤ径方向の内側へいくにつれてタイヤ周方向の第1側へ延び、
前記第2傾斜部は、前記タイヤ径方向の内側へいくにつれて前記タイヤ周方向の第2側へ延びる、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記サイドウォールは、タイヤ軸方向の外方へ突出する第2サイドブロックをさらに備え、
前記第2サイドブロックは、前記第1サイドブロックの前記タイヤ周方向の第1側に隣接され、
前記第1傾斜部と前記第2サイドブロックとは、それぞれ共通のタイヤ子午面と交差し、
前記第1傾斜部の前記タイヤ径方向の内端は、前記第2サイドブロックの前記タイヤ径方向の内端よりも、前記タイヤ径方向の内側に配置され、
前記第1サイドブロックの最大突出高さは、前記第2サイドブロックの最大突出高さよりも、高い、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記サイドウォールは、タイヤ軸方向の外方へ突出する第3サイドブロックをさらに備え、
前記第3サイドブロックは、前記第2サイドブロックの前記タイヤ周方向の第1側に隣接され、
前記第3サイドブロックの最大突出高さは、前記第2サイドブロックの最大突出高さよりも、高く、
前記第2サイドブロックは、
前記タイヤ径方向に沿って延びる第2ベース部と、
前記第2ベース部の前記タイヤ径方向の内端から延びる第3傾斜部と、を備え、
前記第3傾斜部は、前記タイヤ径方向の内側へいくにつれて前記タイヤ周方向の第1側へ延び、
前記第3傾斜部の前記タイヤ径方向の内端は、前記第3サイドブロックの前記タイヤ径方向の内端よりも、前記タイヤ径方向の内側に配置され、
前記第3傾斜部と前記第3サイドブロックとは、それぞれ共通のタイヤ子午面と交差する、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記サイドウォールは、タイヤ軸方向の外方へ突出する第4サイドブロックをさらに備え、
前記第4サイドブロックは、前記第1サイドブロックの前記タイヤ周方向の第2側に隣接され、
前記第2傾斜部と前記第4サイドブロックとは、それぞれ共通のタイヤ子午面と交差し、
前記第2傾斜部の前記タイヤ径方向の内端は、前記第4サイドブロックの前記タイヤ径方向の内端よりも、前記タイヤ径方向の内側に配置され、
前記第1サイドブロックの最大突出高さは、前記第4サイドブロックの最大突出高さよりも、高い、請求項2又は3に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記サイドウォールは、前記空気入りタイヤの前記タイヤ軸方向の寸法が最大となるタイヤ最大幅位置を備え、
前記第1サイドブロックは、前記タイヤ最大幅位置よりも、前記タイヤ径方向の外側に配置され、
前記第1傾斜部の最大突出高さは、前記第1ベース部の最大突出高さよりも、高く、
前記第2傾斜部の最大突出高さは、前記第1ベース部の最大突出高さよりも、高い、請求項1~4の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記サイドウォールの前記タイヤ径方向の外端に連接されるトレッドをさらに備え、
前記トレッドは、前記タイヤ周方向へ連続して延びる複数の主溝を備え、
前記複数の主溝は、前記タイヤ軸方向の最も外側に配置されるショルダー主溝を含み、
前記トレッドは、前記ショルダー主溝から前記タイヤ軸方向の外端まで延びる複数の幅溝と、前記ショルダー主溝と前記複数の幅溝によって区画される複数のトレッドブロックとを備え、
前記複数のトレッドブロックは、第1トレッドブロックと、前記第1トレッドブロックの前記タイヤ周方向の第1側に隣接される第2トレッドブロックと、前記第1トレッドブロックの前記タイヤ周方向の第2側に隣接される第3トレッドブロックと、を含み、
前記第1ベース部と前記第1トレッドブロックとは、共通のタイヤ子午面と交差し、
前記第1傾斜部と前記第2トレッドブロックとは、共通のタイヤ子午面と交差し、
前記第2傾斜部と前記第3トレッドブロックとは、共通のタイヤ子午面と交差する、請求項1~5の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、空気入りタイヤは、タイヤ径方向へ延びるサイドウォールを備え、サイドウォールは、タイヤ軸方向外方へ突出する複数のサイドブロックを備えている(例えば、特許文献1)。そして、サイドブロックによって、トラクション性能(例えば、サイドブロックの面やエッジ成分が雪、泥、砂、岩等に接するときに、トラクションを発生させる能力)を向上させることができる。
【0003】
ところで、特許文献1に係る空気入りタイヤにおいては、サイドブロックの全ては、タイヤ径方向に沿って延びている。これにより、サイドブロックのタイヤ径方向の寸法に対応したエッジ長さしか確保することができていないため、サイドウォールのトラクション性能をさらに向上させる余地があると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、サイドウォールのトラクション性能を向上させることができる空気入りタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
空気入りタイヤは、タイヤ径方向へ延びるサイドウォールを備え、前記サイドウォールは、タイヤ軸方向の外方へ突出する第1サイドブロックを備え、前記第1サイドブロックは、前記タイヤ径方向に沿って延びる第1ベース部と、前記第1ベース部の前記タイヤ径方向の内端から延びる第1傾斜部及び第2傾斜部と、を備え、前記第1傾斜部は、前記タイヤ径方向の内側へいくにつれてタイヤ周方向の第1側へ延び、前記第2傾斜部は、前記タイヤ径方向の内側へいくにつれて前記タイヤ周方向の第2側へ延びる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る空気入りタイヤのタイヤ子午面の要部断面図
【
図2】同実施形態に係る空気入りタイヤの要部斜視図
【
図3】同実施形態に係る空気入りタイヤの要部側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、空気入りタイヤにおける一実施形態について、
図1~
図6を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0009】
なお、後述する各寸法値、位置関係及び大小関係等は、空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ともいう)1を正規リムに装着して正規内圧を充填した無負荷の正規状態で測定したものである。正規リムは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ1ごとに定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRA及びETRTOであれば「Measuring Rim」となる。
【0010】
また、正規内圧は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ1ごとに定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、ETRTOであれば「INFLATION PRESSURE」である。
【0011】
各図において、第1の方向D1は、タイヤ回転軸と平行であるタイヤ軸方向D1であり、第2の方向D2は、タイヤ1の直径方向であるタイヤ径方向D2であり、第3の方向D3は、タイヤ回転軸周りの方向であるタイヤ周方向D3である。また、タイヤ赤道面S1とは、タイヤ回転軸に直交する面で且つタイヤ軸方向D1の中心に位置する面であり、タイヤ子午面S2~S7とは、タイヤ回転軸を含む面であって、タイヤ赤道面S1と直交する面である。
【0012】
なお、タイヤ軸方向D1において、内側とは、タイヤ赤道面S1に近い側のことであり、外側とは、タイヤ赤道面S1から遠い側のことである。また、タイヤ径方向D2において、内側とは、タイヤ回転軸に近い側のことであり、外側とは、タイヤ回転軸から遠い側のことである。また、タイヤ周方向D3のうち、第1側D31は、第1周方向側D31ともいい、第2側D32は、第2周方向側D32ともいう。
【0013】
図1に示すように、タイヤ1は、例えば、一対のビード部21と、各ビード部21からタイヤ径方向D2の外側へ延びるサイドウォール22と、一対のサイドウォール22,22の各々のタイヤ径方向D2の外端に連接され、地面と接するトレッド面23aをタイヤ径方向D2の外側に有するトレッド23とを備えていてもよい。なお、タイヤ1は、例えば、リム(図示していない)に装着されていてもよい。
【0014】
ビード部21は、例えば、環状に形成されるビードコア21aと、ビードコア21aのタイヤ径方向D2の外側に配置されるビードフィラー21bとを備えていてもよい。例えば、ビードコア21aは、ゴム被覆されたビードワイヤ(例えば、金属線)を積層して形成され、ビードフィラー21bは、硬質ゴムを、タイヤ径方向D2の外側に向けてテーパ状にして形成されている、という構成でもよい。
【0015】
また、タイヤ1は、例えば、一対のビードコア21a,21aの間に架け渡されるカーカス24と、カーカス24の内側に配置され、空気が充填されるタイヤ1の内部空間に面するインナーライナ25とを備えていてもよい。カーカス24及びインナーライナ25は、例えば、ビード部21、サイドウォール22及びトレッド23に亘って、タイヤ内周に沿って配置されていてもよい。
【0016】
ビード部21は、例えば、リムに接触する外表面を構成すべく、カーカス24のタイヤ軸方向D1の外側に配置されるリムストリップゴム21cを備えていてもよい。また、サイドウォール22は、例えば、外表面を構成すべく、カーカス24のタイヤ軸方向D1の外側に配置されるサイドウォールゴム22aを備えていてもよい。
【0017】
トレッド23は、例えば、トレッド面23aを構成するトレッドゴム23bと、トレッドゴム23bとカーカス24との間に配置されるベルト23cとを備えていてもよい。ベルト23cは、複数(
図1においては、4つ)のベルトプライ23dを備えていてもよい。例えば、ベルトプライ23dは、平行配列した複数本のベルトコード(例えば、有機繊維や金属)と、ベルトコードを被覆するトッピングゴムとを備えていてもよい。
【0018】
カーカス24は、少なくとも1つ(
図1においては、2つ)のカーカスプライ24aで構成されていてもよい。カーカスプライ24aは、例えば、ビードコア21aを巻き込むようにビードコア21aの周りで折り返されていてもよい。また、カーカスプライ24aは、例えば、タイヤ周方向D3に対して略直交する方向に配列した複数のプライコード(例えば、有機繊維や金属)と、プライコードを被覆するトッピングゴムとを備えていてもよい。
【0019】
インナーライナ25は、空気圧を保持するために、気体の透過を阻止する機能に優れている、という構成でもよい。なお、サイドウォール22において、本実施形態のように、インナーライナ25は、カーカス24の内周側に密接しており、インナーライナ25及びカーカス24間には、他の部材は介在していない、という構成でもよい。
【0020】
また、例えば、最も内周側に配置されるカーカスプライ24aとタイヤ内周面(インナーライナ25の内周面)との間の距離において、サイドウォール22の当該距離は、トレッド23の当該距離の90%~180%としてもよい。また、例えば、サイドウォール22の当該距離は、トレッド23の当該距離の120%~160%としてもよい。
【0021】
なお、サイドウォール22は、タイヤ最大幅となる位置(具体的には、カーカス24のタイヤ軸方向D1の外側同士間の距離W1のうち、最大距離となる位置)とタイヤ径方向D2で同じ位置22bを、外表面に備えている。以下、当該位置22bを、タイヤ最大幅位置22bという。
【0022】
また、サイドウォール22は、ビードフィラー21bのタイヤ径方向D2の外端21dと、タイヤ径方向D2で同じ位置22cを、外表面に備えている。以下、当該位置22cを、ビード端位置22cという。
【0023】
図1及び
図2に示すように、トレッドゴム23bは、トレッド面23aのタイヤ周方向D3の全域に亘って、タイヤ周方向D3へ連続して延びる複数の主溝23eを備えていてもよい。そして、トレッドゴム23bは、タイヤ軸方向D1の最も外側に配置される主溝(「ショルダー主溝」ともいう)23eからタイヤ軸方向D1の外端まで延びる複数の幅溝23fと、ショルダー主溝23eと複数の幅溝23fとによって区画される複数のトレッドブロック2とを備えていてもよい。
【0024】
図2に示すように、サイドウォールゴム22aは、例えば、本実施形態のように、タイヤ軸方向D1の外側へ突出する環状突起3と、タイヤ軸方向D1の外側へ突出するバットレスブロック4とを備えていてもよい。また、サイドウォールゴム22aは、例えば、本実施形態のように、タイヤ軸方向D1の外側へ突出するサイドブロック5を備えていることが好ましい。
【0025】
環状突起3は、例えば、サイドウォールゴム22aのタイヤ周方向D3の全域に亘って、タイヤ周方向D3へ連続して延びていてもよい。例えば、環状突起3のタイヤ径方向D2の寸法は、タイヤ周方向D3に亘って、一定(同じだけでなく、±10%の相違を有する略同じも含む。以下同じ。)であってもよい。また、例えば、環状突起3の突出高さは、タイヤ周方向D3に亘って、一定であってもよい。
【0026】
バットレスブロック4及びサイドブロック5は、例えば、それぞれタイヤ周方向D3に沿って、複数並べられていてもよい。そして、バットレスブロック4は、例えば、環状突起3よりも、タイヤ径方向D2の外側に配置されており、サイドブロック5は、例えば、環状突起3よりも、タイヤ径方向D2の内側に配置されている、という構成でもよい。
【0027】
なお、バットレスブロック4のタイヤ径方向D2の内端は、本実施形態においては、環状突起3に連接されているが、例えば、環状突起3から離れていてもよい。また、サイドブロック5のタイヤ径方向D2の外端は、本実施形態においては、環状突起3に連接されているが、例えば、環状突起3から離れていてもよい。
【0028】
そして、環状突起3、バットレスブロック4及びサイドブロック5は、例えば、ビード端位置22c(
図1参照)よりも、タイヤ径方向D2の外側に配置されていることが好ましい。また、環状突起3、バットレスブロック4及びサイドブロック5は、例えば、本実施形態のように、タイヤ最大幅位置22b(
図1参照)よりもタイヤ径方向D2の外側に配置されていることがさらに好ましい。
【0029】
これにより、環状突起3、バットレスブロック4及びサイドブロック5は、雪路、泥濘地、砂地等において、車両の重みによりタイヤ1が沈降し、雪、泥、砂等に埋没した状態で接地したり、また、岩場において、凹凸の岩に接地したりできる。即ち、環状突起3、バットレスブロック4及びサイドブロック5は、雪路や、泥濘地、砂地及び岩場等といった悪路において、接地する。
【0030】
そして、例えば、環状突起3、バットレスブロック4及びサイドブロック5が雪、泥、砂等をせん断するときに、当該せん断の抵抗によってトラクションが発生する。また、例えば、環状突起3、バットレスブロック4、及びサイドブロック5が岩と接触するときに、当該接触の摩擦によってトラクションが発生する。このように、車両が雪路や悪路を走行するときに、環状突起3、バットレスブロック4及びサイドブロック5によって、トラクション性能を向上させることができる。
【0031】
なお、環状突起3、バットレスブロック4及びサイドブロック5は、例えば、本実施形態のように、トレッド面23aよりもタイヤ径方向D2の内側に配置されていることが好ましい。これにより、環状突起3、バットレスブロック4及びサイドブロック5は、平坦な道路において、通常走行時に接地しない。
【0032】
ここで、本実施形態に係るトレッドブロック2、バットレスブロック4及びサイドブロック5のタイヤ周方向D3の位置関係について、
図3を参照しながら説明する。なお、トレッドブロック2、バットレスブロック4及びサイドブロック5のタイヤ周方向D3の位置関係は、以下の構成に限定されない。
【0033】
図3に示すように、例えば、複数のトレッドブロック2は、第1トレッドブロック2aと、第1トレッドブロック2aの第1周方向側D31に隣接される第2トレッドブロック2bと、第1トレッドブロック2aの第2周方向側D32に隣接される第3トレッドブロック2cとを含んでいる。
【0034】
例えば、複数のバットレスブロック4は、第1バットレスブロック4aと、第1バットレスブロック4aから第1周方向側D31へ順に並べられる第2バットレスブロック4b及び第3バットレスブロック4cと、第1バットレスブロック4aから第2周方向側D32へ順に並べられる第4バットレスブロック4d、第5バットレスブロック4e及び第6バットレスブロック4fとを含んでいる。
【0035】
なお、例えば、第1及び第2バットレスブロック4a,4bと、第4及び第5バットレスブロック4d,4eとは、それぞれ幅溝23fによって、区画されていてもよい。また、例えば、第1及び第4バットレスブロック4a,4dと、第2及び第3バットレスブロック4b,4cと、第5及び第6バットレスブロック4e,4fとは、それぞれトレッドブロック2の区画溝2dによって、区画されていてもよい。
【0036】
また、例えば、複数のサイドブロック5は、第1サイドブロック6と、第1サイドブロック6から第1周方向側D31へ順に並べられる第2サイドブロック7及び第3サイドブロック8と、第1サイドブロック6から第2周方向側D32へ順に並べられる第4サイドブロック9、第5サイドブロック10及び第6サイドブロック11とを含んでいる。
【0037】
そして、例えば、第1サイドブロック6と第1バットレスブロック4aと第1トレッドブロック2aとは、共通の第1タイヤ子午面S2と交差する、という構成でもよい。また、例えば、第2サイドブロック7と第2バットレスブロック4bと第2トレッドブロック2bとは、共通の第2タイヤ子午面S3と交差し、第3サイドブロック8と第3バットレスブロック4cと第2トレッドブロック2bとは、共通の第3タイヤ子午面S4と交差する、という構成でもよい。
【0038】
また、例えば、第4サイドブロック9と第4バットレスブロック4dと第1トレッドブロック2aとは、共通の第4タイヤ子午面S5と交差する、という構成でもよい。また、例えば、第5サイドブロック10と第5バットレスブロック4eと第3トレッドブロック2cとは、共通の第5タイヤ子午面S6と交差し、第6サイドブロック11と第6バットレスブロック4fと第3トレッドブロック2cとは、共通の第6タイヤ子午面S7と交差する、という構成でもよい。
【0039】
次に、本実施形態に係るサイドブロック6,7,8,9,10,11の構成について、
図3~
図6を参照しながら説明する。なお、サイドブロック6,7,8,9,10,11の構成は、以下の構成に限定されない。
【0040】
図3及び
図4に示すように、例えば、本実施形態のように、第1サイドブロック6の最大突出高さは、第2サイドブロック7及び第4サイドブロック9のそれぞれの最大突出高さよりも、高く、第3サイドブロック8の最大突出高さは、第2サイドブロック7の最大突出高さよりも、高く、第5サイドブロック10の最大突出高さは、第4サイドブロック9及び第6サイドブロック11のそれぞれの最大突出高さよりも、高い、という構成が好ましい。
【0041】
しかも、タイヤ径方向D2の同じ位置において、第1サイドブロック6の突出高さは、タイヤ径方向D2に亘って、第2サイドブロック7及び第4サイドブロック9のそれぞれの突出高さよりも、高く、第3サイドブロック8の突出高さは、タイヤ径方向D2に亘って、第2サイドブロック7の突出高さよりも、高く、第5サイドブロック10の突出高さは、タイヤ径方向D2に亘って、第4サイドブロック9及び第6サイドブロック11のそれぞれの突出高さよりも、高い、という構成がさらに好ましい。
【0042】
これにより、タイヤ周方向D3で隣接されるサイドブロック6,7,8,9,10,11間に、高低差が形成される。したがって、例えば、第1サイドブロック6、第3サイドブロック8及び第5サイドブロック10によって、タイヤ周方向D3へ作用するトラクションを十分に発生させることができるため、サイドウォール22のトラクション性能を向上させることができる。
【0043】
しかも、第2サイドブロック7、第4サイドブロック9及び第6サイドブロック11が存在することによって、タイヤ周方向D3の全長に亘って、サイドウォール22のプロテクション性能(例えば、石、岩等が衝突したときに、カット傷が生じることを抑制する性能)を向上させることができる。
【0044】
第1サイドブロック6は、例えば、本実施形態のように、タイヤ径方向D2に沿って延びる第1ベース部6aと、第1ベース部6aのタイヤ径方向D2の内端から延びる第1傾斜部6b及び第2傾斜部6cとを備えていることが好ましい。そして、第1傾斜部6b及び第2傾斜部6cは、例えば、タイヤ径方向D2に対して傾斜するように、延びていることが好ましい。
【0045】
これにより、ブロック全体がタイヤ径方向D2に沿って延びる構成と比較して、各傾斜部6b,6cのエッジ6dが、第1ベース部6aのエッジ6dと傾斜して交差するように、延びているため、第1サイドブロック6のエッジ長さを長くすることができる。これにより、第1サイドブロック6によってトラクションを十分に発生させることができる。
【0046】
また、例えば、本実施形態のように、第1傾斜部6bは、タイヤ径方向D2の内側へいくにつれて、第1周方向側D31へ延び、第2傾斜部6cは、タイヤ径方向D2の内側へいくにつれて、第2周方向側D32へ延びる、という構成が好ましい。これにより、第1傾斜部6b及び第2傾斜部6cは、タイヤ径方向D2に対して反対側に傾斜している。したがって、タイヤ1の回転方向に関わらず、第1サイドブロック6によって、トラクションを確実に発生させることができる。
【0047】
例えば、タイヤ1が第1周方向側D31に回転した場合に、第1ベース部6a及び第1傾斜部6bでタイヤ周方向D3へ作用するトラクションを発生させることができ、しかも、第1傾斜部6bでタイヤ径方向D2へ作用するトラクションも発生させることができる。また、タイヤ1が第2周方向側D32に回転した場合に、第1ベース部6a及び第2傾斜部6cでタイヤ周方向D3へ作用するトラクションを発生させることができ、しかも、第2傾斜部6cでタイヤ径方向D2へ作用するトラクションも発生させることができる。
【0048】
また、第1ベース部6aが第1タイヤ子午面S2と交差するように配置されていることに対して、例えば、第1傾斜部6bは、第2タイヤ子午面S3と交差するように、延びていることが好ましい。そして、例えば、第1傾斜部6bは、第1タイヤ子午面S2及び第2タイヤ子午面S3と交差するように、延びていることがさらに好ましい。
【0049】
これにより、第1傾斜部6bは、タイヤ周方向D3で隣接する第1及び第2トレッドブロック2a,2bとそれぞれ共通のタイヤ子午面S2,S3と交差するように、延びている。したがって、第1傾斜部6bの長さを長くすることができるため、第1傾斜部6bのエッジ長さを十分に確保することができる。
【0050】
そして、本実施形態においては、第1サイドブロック6の最大突出高さが、第2サイドブロック7の最大突出高さよりも高くなっているため、例えば、第1傾斜部6bのタイヤ径方向D2の内端は、第2サイドブロック7のタイヤ径方向D2の内端よりも、タイヤ径方向D2の内側に配置されていることが好ましい。
【0051】
これにより、第1ベース部6a及び第1傾斜部6bによって、タイヤ周方向D3へ作用するトラクションを発生させることができ、しかも、第1傾斜部6bによって、タイヤ径方向D2へ作用するトラクションも発生させることができる。なお、第1ベース部6a及び第1傾斜部6bのそれぞれの最大突出高さが、第2サイドブロック7の最大突出高さよりも高いことが好ましい。
【0052】
第2傾斜部6cは、例えば、第4タイヤ子午面S5及び第5タイヤ子午面S6と交差するように、延びていることが好ましい。これにより、第2傾斜部6cは、タイヤ周方向D3で隣接する第1及び第3トレッドブロック2a,2cとそれぞれ共通のタイヤ子午面S5,S6と交差するように、延びている。したがって、第2傾斜部6cの長さを長くすることができるため、第2傾斜部6cのエッジ長さを十分に確保することができる。
【0053】
そして、本実施形態においては、第1サイドブロック6の最大突出高さが、第4サイドブロック9の最大突出高さよりも高くなっているため、例えば、第2傾斜部6cのタイヤ径方向D2の内端は、第4サイドブロック9のタイヤ径方向D2の内端よりも、タイヤ径方向D2の内側に配置されていることが好ましい。
【0054】
これにより、第1ベース部6a及び第2傾斜部6cによって、タイヤ周方向D3へ作用するトラクションを発生させることができ、しかも、第2傾斜部6cによって、タイヤ径方向D2へ作用するトラクションも発生させることができる。なお、第1ベース部6a及び第2傾斜部6cのそれぞれの最大突出高さが、第4サイドブロック9の最大突出高さよりも高いことが好ましい。
【0055】
第2サイドブロック7は、例えば、本実施形態のように、タイヤ径方向D2に沿って延びる第2ベース部7aと、第2ベース部7aのタイヤ径方向D2の内端から延びる第3傾斜部7bとを備える、という構成が好ましい。これにより、第3傾斜部7bのエッジ7cが、第2ベース部7aのエッジ7cと傾斜して交差するように、延びているため、第2サイドブロック7のエッジ長さを長くすることができる。
【0056】
そして、例えば、第3傾斜部7bは、タイヤ径方向D2の内側へいくにつれて第1周方向側D31へ延び、第3傾斜部7bのタイヤ径方向D2の内端は、第3サイドブロック8のタイヤ径方向D2の内端よりも、タイヤ径方向D2の内側に配置される、という構成が好ましい。これにより、例えば、第3傾斜部7bは、第1傾斜部6bと第3サイドブロック8との間に配置される。
【0057】
しかも、第3傾斜部7bは、例えば、第3サイドブロック8が交差する第3タイヤ子午面S4と交差するように、延びていることが好ましい。これにより、第3傾斜部7bが、第1傾斜部6bと第3サイドブロック8との間だけでなく、第3サイドブロック8のタイヤ径方向D2の内側にも配置されるため、サイドウォール22のプロテクション性能をさらに向上させることができる。
【0058】
第4サイドブロック9のタイヤ径方向D2の内端は、例えば、第1サイドブロック6、第2サイドブロック7及び第6サイドブロック11のそれぞれのタイヤ径方向D2の内端よりも、タイヤ径方向D2の外側に配置されていてもよい。これにより、例えば、第4サイドブロック9のタイヤ径方向D2の寸法は、第1サイドブロック6、第2サイドブロック7及び第6サイドブロック11のそれぞれのタイヤ径方向D2の寸法よりも、小さくなる。
【0059】
第5サイドブロック10のタイヤ径方向D2の内端は、例えば、第1サイドブロック6、第2サイドブロック7及び第6サイドブロック11のそれぞれのタイヤ径方向D2の内端よりも、タイヤ径方向D2の外側に配置されていてもよい。これにより、例えば、第5サイドブロック10のタイヤ径方向D2の寸法は、第1サイドブロック6、第2サイドブロック7及び第6サイドブロック11のそれぞれのタイヤ径方向D2の寸法よりも、小さくなる。
【0060】
そして、第4サイドブロック9及び第5サイドブロック10のタイヤ径方向D2の寸法が小さいため、第4サイドブロック9及び第5サイドブロック10の剛性が低くなり易いことに対して、例えば、本実施形態のように、第4サイドブロック9と第5サイドブロック10とは、連結されていることが好ましい。これにより、第4サイドブロック9と第5サイドブロック10とが互いに補強し合うことによって、第4サイドブロック9及び第5サイドブロック10の剛性が低下することを抑制することができる。
【0061】
第6サイドブロック11は、例えば、本実施形態のように、タイヤ径方向D2に沿って延びる第3ベース部11aと、第3ベース部11aのタイヤ径方向D2の内端から延びる第4傾斜部11bとを備える、という構成が好ましい。これにより、第4傾斜部11bのエッジ11cが、第3ベース部11aのエッジ11cと傾斜して交差するように、延びているため、第6サイドブロック11のエッジ長さを長くすることができる。
【0062】
第4傾斜部11bは、例えば、タイヤ径方向D2の内側へいくにつれて第1周方向側D31へ延びていてもよい。そして、例えば、第6サイドブロック11は、第5タイヤ子午面S6と交差していてもよい。したがって、第1サイドブロック6の第2傾斜部6cと、第5サイドブロック10と、第6サイドブロック11の第4傾斜部11bとは、共通の第5タイヤ子午面S6と交差することになる。
【0063】
このように、本実施形態においては、第2傾斜部6cは、第4サイドブロック9、第5サイドブロック10及び第6サイドブロック11と、共通のタイヤ子午面S5,S6と交差することになる。そして、本実施形態においては、第5サイドブロック10の最大突出高さが、第4サイドブロック9及び第6サイドブロック11のそれぞれの最大突出高さよりも高いことに対して、例えば、第2傾斜部6c及び第5サイドブロック10間の距離を大きくすることが好ましい。
【0064】
具体的には、第2傾斜部6c及び第5サイドブロック10間の最小距離は、第2傾斜部6c及び第4サイドブロック9間の最小距離よりも大きく、且つ、第2傾斜部6c及び第6サイドブロック11間の最小距離よりも大きいことが好ましい。これにより、例えば、第2傾斜部6cによるトラクション性能を効果的に発揮させることができる。
【0065】
なお、第3及び
図4において、破線は、各ベース部6a,7a,11aと各傾斜部6a,6b,7b,11bとの境界を示している。例えば、各傾斜部6a,6b,7b,11bの領域は、エッジ6d,7c,11cが無端環状となるように、エッジ6d,7c,11cの端部同士を直線(
図3及び
図4における破線)で結ぶことによって形成された領域とすることができる。
【0066】
また、
図4に示すように、第1サイドブロック6は、例えば、タイヤ軸方向D1の外端面を構成する頂面6eと、サイドウォール22の外表面と頂面6eとにそれぞれ交差して連接する側面6fと、頂面6eと側面6fとの境界に形成されるエッジ6dとを備えている、という構成でもよい。そして、例えば、頂面6eは、平坦状に形成される平坦面6gと、第2傾斜部6cに配置され、平坦面6gに傾斜して交差する傾斜面6hとを備えていてもよい。
【0067】
そして、
図4~
図6に示すように、例えば、本実施形態のように、第1サイドブロック6が、タイヤ最大幅位置22b(
図1参照)よりもタイヤ径方向D2の外側に配置されていることに対して、例えば、第1傾斜部6bの最大突出高さW3は、第1ベース部6aの最大突出高さW2よりも高く、第2傾斜部6cの最大突出高さW4は、第1ベース部6aの最大突出高さW2よりも高い、という構成が好ましい。
【0068】
これにより、タイヤ1がタイヤ最大幅位置22bでタイヤ軸方向D1から岩や縁石等に当たられ易いことに対して、タイヤ最大幅位置22bに近い第1傾斜部6b及び第2傾斜部6cの突出高さを高くすることができる。したがって、第1サイドブロック6のプロテクション性能を効果的に向上させることができる。
【0069】
なお、第1傾斜部6bの最大突出高さW3と第2傾斜部6cの最大突出高さW4とは、例えば、本実施形態のように、同じであってもよく、また、例えば、異なっていてもよい。即ち、第1サイドブロック6は、突出高さが最大となる最大高さ位置6iを、例えば、本実施形態のように、第1傾斜部6b及び第2傾斜部6cの両方にそれぞれ備えていてもよく、また、例えば、第1傾斜部6b又は第2傾斜部6cの何れか一方に備えていてもよい。
【0070】
また、例えば、本実施形態のように、第1傾斜部6bの突出高さの平均は、第1ベース部6aの突出高さの平均よりも、高い、という構成が好ましい。また、例えば、本実施形態のように、第2傾斜部6cの突出高さの平均は、第1ベース部6aの突出高さの平均よりも、高い、という構成が好ましい。
【0071】
なお、サイドブロック6,7,8,9,10,11及び各部6a,6b,6cの突出高さとは、サイドウォール22のプロファイル面S8の法線方向へ突出する高さとすることができる。また、サイドウォール22のプロファイル面S8は、例えば、タイヤ子午面S2~S7の断面において、曲率半径が異なる複数の円弧で構成されていてもよい。
【0072】
なお、サイドブロック6,7,8,9,10,11が位置するタイヤ径方向D2の範囲においては、サイドウォール22のプロファイル面S8は、タイヤ子午面S2~S7の断面において、一つの円弧で構成されていてもよい。そして、当該円弧は、サイドブロック6,7,8,9,10,11のタイヤ径方向D2の内側に隣接される部分のプロファイル面S8の円弧と連続していてもよい。
図5及び
図6において、破線は、第1サイドブロック6と環状突起3との境界を示している。
【0073】
以上より、本実施形態のように、空気入りタイヤ1は、タイヤ径方向D2へ延びるサイドウォール22を備え、前記サイドウォール22は、タイヤ軸方向D1の外方へ突出する第1サイドブロック6を備え、前記第1サイドブロック6は、前記タイヤ径方向D2に沿って延びる第1ベース部6aと、前記第1ベース部6aの前記タイヤ径方向D2の内端から延びる第1傾斜部6b及び第2傾斜部6cと、を備え、前記第1傾斜部6bは、前記タイヤ径方向D2の内側へいくにつれてタイヤ周方向D3の第1側D31へ延び、前記第2傾斜部6cは、前記タイヤ径方向D2の内側へいくにつれて前記タイヤ周方向D3の第2側D32へ延びる、という構成が好ましい。
【0074】
斯かる構成によれば、第1傾斜部6b及び第2傾斜部6cが、タイヤ径方向D2の内側へいくにつれてタイヤ周方向D3へ延びるため、第1サイドブロック6のエッジ長さを長くすることができる。これにより、第1サイドブロック6によってトラクションを十分に発生させることができる。
【0075】
しかも、第1傾斜部6bが、タイヤ径方向D2の内側へいくにつれてタイヤ周方向D3の第1側D31へ延び、第2傾斜部6cが、タイヤ径方向D2の内側へいくにつれてタイヤ周方向D3の第2側D32へ延びているため、第1傾斜部6b及び第2傾斜部6cは、タイヤ径方向D2に対して反対側に傾斜している。これにより、タイヤ1の回転方向に関わらず、第1サイドブロック6によって、トラクションを確実に発生させることができる。したがって、サイドウォール22のトラクション性能を向上させることができる。
【0076】
また、本実施形態のように、空気入りタイヤ1においては、前記サイドウォール22は、タイヤ軸方向D1の外方へ突出する第2サイドブロック7をさらに備え、前記第2サイドブロック7は、前記第1サイドブロック6の前記タイヤ周方向D3の第1側D31に隣接され、前記第1傾斜部6bと前記第2サイドブロック7とは、それぞれ共通のタイヤ子午面S3と交差し、前記第1傾斜部6bの前記タイヤ径方向D2の内端は、前記第2サイドブロック7の前記タイヤ径方向D2の内端よりも、前記タイヤ径方向D2の内側に配置され、前記第1サイドブロック6の最大突出高さは、前記第2サイドブロック7の最大突出高さよりも、高い、という構成が好ましい。
【0077】
斯かる構成によれば、第1傾斜部6bが、第2サイドブロック7と共通のタイヤ子午面S3で交差するように、延びているため、第1傾斜部6bのエッジ長さを長くすることができる。そして、第1傾斜部6bが、第2サイドブロック7よりも、タイヤ径方向D2の内側に配置され、第1サイドブロック6の最大突出高さは、第2サイドブロック7の最大突出高さよりも高くなっている。
【0078】
これにより、第1ベース部6a及び第1傾斜部6bによって、タイヤ周方向D3へ作用するトラクションを発生させることができ、しかも、第1傾斜部6bによって、タイヤ径方向D2へ作用するトラクションも発生させることができる。したがって、第1サイドブロック6によるトラクション性能を発揮させることができる。
【0079】
また、本実施形態のように、空気入りタイヤ1においては、前記サイドウォール22は、タイヤ軸方向D1の外方へ突出する第3サイドブロック8をさらに備え、前記第3サイドブロック8は、前記第2サイドブロック7の前記タイヤ周方向D3の第1側D31に隣接され、前記第3サイドブロック8の最大突出高さは、前記第2サイドブロック7の最大突出高さよりも、高く、前記第2サイドブロック7は、前記タイヤ径方向D2に沿って延びる第2ベース部7aと、前記第2ベース部7aの前記タイヤ径方向D2の内端から延びる第3傾斜部7bと、を備え、前記第3傾斜部7bは、前記タイヤ径方向D2の内側へいくにつれて前記タイヤ周方向D3の第1側D31へ延び、前記第3傾斜部7bの前記タイヤ径方向D2の内端は、前記第3サイドブロック8の前記タイヤ径方向D2の内端よりも、前記タイヤ径方向D2の内側に配置され、前記第3傾斜部7bと前記第3サイドブロック8とは、それぞれ共通のタイヤ子午面S4と交差する、という構成が好ましい。
【0080】
斯かる構成によれば、第3サイドブロック8の最大突出高さは、第2サイドブロック7の最大突出高さよりも高くなっている。これにより、第3サイドブロック8によって、タイヤ周方向D3へ作用するトラクションを十分に発生させることができる。
【0081】
そして、第2サイドブロック7の第3傾斜部7bが、第3サイドブロック8よりも、タイヤ径方向D2の内側に配置されているため、第2サイドブロック7の第2ベース部7a及び第3傾斜部7bは、第1サイドブロック6と第3サイドブロック8との間に沿って配置される。したがって、第2サイドブロック7によって、サイドウォール22のプロテクション性能をさらに向上させることができる。
【0082】
また、本実施形態のように、空気入りタイヤ1においては、前記サイドウォール22は、タイヤ軸方向D1の外方へ突出する第4サイドブロック9をさらに備え、前記第4サイドブロック9は、前記第1サイドブロック6の前記タイヤ周方向D3の第2側D32に隣接され、前記第2傾斜部6cと前記第4サイドブロック9とは、それぞれ共通のタイヤ子午面S5と交差し、前記第2傾斜部6cの前記タイヤ径方向D2の内端は、前記第4サイドブロック9の前記タイヤ径方向D2の内端よりも、前記タイヤ径方向D2の内側に配置され、前記第1サイドブロック6の最大突出高さは、前記第4サイドブロック9の最大突出高さよりも、高い、という構成が好ましい。
【0083】
斯かる構成によれば、第2傾斜部6cが、第4サイドブロック9と共通のタイヤ子午面S5で交差するように、延びているため、第2傾斜部6cのエッジ長さを長くすることができる。そして、第2傾斜部6cが、第4サイドブロック9よりも、タイヤ径方向D2の内側に配置され、第1サイドブロック6の最大突出高さは、第4サイドブロック9の最大突出高さよりも高くなっている。
【0084】
これにより、第1ベース部6a及び第2傾斜部6cによって、タイヤ周方向D3へ作用するトラクションを発生させることができ、しかも、第2傾斜部6cによって、タイヤ径方向D2へ作用するトラクションも発生させることができる。したがって、第1サイドブロック6によるトラクション性能を発揮させることができる。
【0085】
また、本実施形態のように、空気入りタイヤ1においては、前記サイドウォール22は、前記空気入りタイヤ1の前記タイヤ軸方向D1の寸法W1が最大となるタイヤ最大幅位置22bを備え、前記第1サイドブロック6は、前記タイヤ最大幅位置22bよりも、前記タイヤ径方向D2の外側に配置され、前記第1傾斜部6bの最大突出高さW3は、前記第1ベース部6aの最大突出高さW2よりも、高く、前記第2傾斜部6cの最大突出高さW4は、前記第1ベース部6aの最大突出高さW2よりも、高い、という構成が好ましい。
【0086】
斯かる構成によれば、タイヤ1がタイヤ最大幅位置22bでタイヤ軸方向D1から当たられ易いことに対して、タイヤ最大幅位置22bに近い第1傾斜部6b及び第2傾斜部6cの最大突出高さW3,W4を高くすることができる。これにより、第1サイドブロック6のプロテクション性能を効果的に向上させることができる。
【0087】
また、本実施形態のように、空気入りタイヤ1は、前記サイドウォール22の前記タイヤ径方向D2の外端に連接されるトレッド23をさらに備え、前記トレッド23は、前記タイヤ周方向D3へ連続して延びる複数の主溝23eを備え、前記複数の主溝23eは、前記タイヤ軸方向D1の最も外側に配置されるショルダー主溝23eを含み、前記トレッド23は、前記ショルダー主溝23eから前記タイヤ軸方向D1の外端まで延びる複数の幅溝23fと、前記ショルダー主溝23eと前記複数の幅溝23fによって区画される複数のトレッドブロック2とを備え、前記複数のトレッドブロック2は、第1トレッドブロック2aと、前記第1トレッドブロック2aの前記タイヤ周方向D3の第1側D31に隣接される第2トレッドブロック2bと、前記第1トレッドブロック2aの前記タイヤ周方向D3の第2側D32に隣接される第3トレッドブロック2cと、を含み、前記第1ベース部6aと前記第1トレッドブロック2aとは、共通のタイヤ子午面S2と交差し、前記第1傾斜部6bと前記第2トレッドブロック2bとは、共通のタイヤ子午面S3と交差し、前記第2傾斜部6cと前記第3トレッドブロック2cとは、共通のタイヤ子午面S6と交差する、という構成が好ましい。
【0088】
斯かる構成によれば、第1サイドブロック6は、タイヤ周方向D3で隣接する第1~第3トレッドブロック2a,2b,2cと共通のタイヤ子午面S2,S3,S6と交差するように、配置されている。これにより、第1傾斜部6b及び第2傾斜部6cの長さを長くすることができるため、第1サイドブロック6のエッジ長さを十分に確保することができる。
【0089】
なお、空気入りタイヤ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、空気入りタイヤ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0090】
(1)空気入りタイヤ1においては、例えば、第1~第6サイドブロック6,7,8,9,10,11の最大突出高さの高低関係(高い又は低い関係)は、特に限定されない。また、空気入りタイヤ1においては、例えば、第1~第6サイドブロック6,7,8,9,10,11のタイヤ径方向D2の内端の位置関係(タイヤ径方向D2の内側である又は外側である関係)は、特に限定されない。
【0091】
(2)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、第1サイドブロック6の最大高さ位置6iは、第1傾斜部6b及び前記第2傾斜部6cの両方に配置されている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、第1サイドブロック6の最大高さ位置6iは、第1傾斜部6b又は前記第2傾斜部6cの何れか一方に配置されている、という構成でもよい。なお、第1サイドブロック6の最大高さ位置6iは、第1ベース部6aに配置されている、という構成でもよい。
【0092】
(3)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、第1傾斜部6bの最大突出高さW3は、第1ベース部6aの最大突出高さW2よりも、高く、第2傾斜部6cの最大突出高さW4は、第1ベース部6aの最大突出高さW2よりも、高い、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。
【0093】
例えば、第1傾斜部6bの最大突出高さW3は、第1ベース部6aの最大突出高さW2よりも、低い、という構成でもよい。また、例えば、第2傾斜部6cの最大突出高さW4は、第1ベース部6aの最大突出高さW2よりも、低い、という構成でもよい。
【0094】
(4)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、サイドブロック5,6,7,8,9,10,11は、環状突起3よりもタイヤ径方向D2の内側に配置されている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、サイドブロック5,6,7,8,9,10,11は、環状突起3よりもタイヤ径方向D2の外側に配置されている、という構成でもよい。また、例えば、サイドウォール22は、環状突起3及びバットレスブロック4の少なくとも一方を備えていない、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0095】
1…空気入りタイヤ、2,2a,2b,2c…トレッドブロック、2d…区画溝、3…環状突起、4,4a,4b,4c,4d,4e,4f…バットレスブロック、5…サイドブロック、6…第1サイドブロック、6a…第1ベース部、6b…第1傾斜部、6c…第2傾斜部、6d…エッジ、6e…頂面、6f…側面、6g…平坦面、6h…傾斜面、6i…最大高さ位置、7…第2サイドブロック、7a…第2ベース部、7b…第3傾斜部、7c…エッジ、8…第3サイドブロック、9…第4サイドブロック、10…第5サイドブロック、11…第6サイドブロック、11a…第3ベース部、11b…第4傾斜部、11c…エッジ、21…ビード部、21a…ビードコア、21b…ビードフィラー、21c…リムストリップゴム、22…サイドウォール、22a…サイドウォールゴム、22b…タイヤ最大幅位置、22c…ビード端位置、23…トレッド、23a…トレッド面、23b…トレッドゴム、23c…ベルト、23d…ベルトプライ、23e…主溝、23f…幅溝、24…カーカス、24a…カーカスプライ、25…インナーライナ、D1…タイヤ軸方向、D2…タイヤ径方向、D3…タイヤ周方向、D31…第1周方向側、D32…第2周方向側、S1…タイヤ赤道面、S2,S3,S4,S5,S6,S7…タイヤ子午面、S8…プロファイル面
【手続補正書】
【提出日】2022-01-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ径方向へ延びるサイドウォールを備え、
前記サイドウォールは、タイヤ軸方向の外方へ突出する第1サイドブロックを備え、
前記第1サイドブロックは、
前記タイヤ径方向に沿って延びる第1ベース部と、
前記第1ベース部の前記タイヤ径方向の内端から延びる第1傾斜部及び第2傾斜部と、を備え、
前記第1傾斜部は、前記タイヤ径方向の内側へいくにつれてタイヤ周方向の第1側へ延び、
前記第2傾斜部は、前記タイヤ径方向の内側へいくにつれて前記タイヤ周方向の第2側へ延びる、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記サイドウォールは、タイヤ軸方向の外方へ突出する第2サイドブロックをさらに備え、
前記第2サイドブロックは、前記第1サイドブロックの前記タイヤ周方向の第1側に隣接され、
前記第1傾斜部と前記第2サイドブロックとは、それぞれ共通のタイヤ子午面と交差し、
前記第1傾斜部の前記タイヤ径方向の内端は、前記第2サイドブロックの前記タイヤ径方向の内端よりも、前記タイヤ径方向の内側に配置され、
前記第1サイドブロックの最大突出高さは、前記第2サイドブロックの最大突出高さよりも、高い、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記サイドウォールは、タイヤ軸方向の外方へ突出する第3サイドブロックをさらに備え、
前記第3サイドブロックは、前記第2サイドブロックの前記タイヤ周方向の第1側に隣接され、
前記第3サイドブロックの最大突出高さは、前記第2サイドブロックの最大突出高さよりも、高く、
前記第2サイドブロックは、
前記タイヤ径方向に沿って延びる第2ベース部と、
前記第2ベース部の前記タイヤ径方向の内端から延びる第3傾斜部と、を備え、
前記第3傾斜部は、前記タイヤ径方向の内側へいくにつれて前記タイヤ周方向の第1側へ延び、
前記第3傾斜部の前記タイヤ径方向の内端は、前記第3サイドブロックの前記タイヤ径方向の内端よりも、前記タイヤ径方向の内側に配置され、
前記第3傾斜部と前記第3サイドブロックとは、それぞれ共通のタイヤ子午面と交差する、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記サイドウォールは、タイヤ軸方向の外方へ突出する第4サイドブロックをさらに備え、
前記第4サイドブロックは、前記第1サイドブロックの前記タイヤ周方向の第2側に隣接され、
前記第2傾斜部と前記第4サイドブロックとは、それぞれ共通のタイヤ子午面と交差し、
前記第2傾斜部の前記タイヤ径方向の内端は、前記第4サイドブロックの前記タイヤ径方向の内端よりも、前記タイヤ径方向の内側に配置され、
前記第1サイドブロックの最大突出高さは、前記第4サイドブロックの最大突出高さよりも、高い、請求項1~3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記サイドウォールは、前記空気入りタイヤの前記タイヤ軸方向の寸法が最大となるタイヤ最大幅位置を備え、
前記第1サイドブロックは、前記タイヤ最大幅位置よりも、前記タイヤ径方向の外側に配置され、
前記第1傾斜部の最大突出高さは、前記第1ベース部の最大突出高さよりも、高く、
前記第2傾斜部の最大突出高さは、前記第1ベース部の最大突出高さよりも、高い、請求項1~4の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記サイドウォールの前記タイヤ径方向の外端に連接されるトレッドをさらに備え、
前記トレッドは、前記タイヤ周方向へ連続して延びる複数の主溝を備え、
前記複数の主溝は、前記タイヤ軸方向の最も外側に配置されるショルダー主溝を含み、
前記トレッドは、前記ショルダー主溝から前記タイヤ軸方向の外端まで延びる複数の幅溝と、前記ショルダー主溝と前記複数の幅溝によって区画される複数のトレッドブロックとを備え、
前記複数のトレッドブロックは、第1トレッドブロックと、前記第1トレッドブロックの前記タイヤ周方向の第1側に隣接される第2トレッドブロックと、前記第1トレッドブロックの前記タイヤ周方向の第2側に隣接される第3トレッドブロックと、を含み、
前記第1ベース部と前記第1トレッドブロックとは、共通のタイヤ子午面と交差し、
前記第1傾斜部と前記第2トレッドブロックとは、共通のタイヤ子午面と交差し、
前記第2傾斜部と前記第3トレッドブロックとは、共通のタイヤ子午面と交差する、請求項1~5の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。