(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168424
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】部品バラシ装置および部品バラシ装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B65G 27/18 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
B65G27/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073868
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】大谷 和史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝典
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 正輝
(72)【発明者】
【氏名】小林 正一
【テーマコード(参考)】
3F037
【Fターム(参考)】
3F037AA06
3F037CA02
3F037CB06
3F037CC05
(57)【要約】
【課題】部品を複数の方向に移動し、部品を反転できる部品バラシ装置を提供する。
【解決手段】部品バラシ装置6は、部品21が載置される載置面19を有する載置台18と、回転軸を回転させて振動する第1モーター16及び第2モーター17と、載置台18、第1モーター16及び第2モーター17を支持し、第1モーター16及び第2モーター17の振動を載置台18に伝達する支持部12と、を備え、第1モーター16及び第2モーター17の回転軸の軸方向が載置面19に平行で、且つ、載置面19と垂直な方向から見た平面視で互いに交差し、支持部12の共振周波数は載置面19と平行な方向よりも垂直な方向が高い。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が載置される載置面を有する載置台と、
回転軸を回転させて振動する2つのモーターと、
前記載置台及び2つの前記モーターを支持し、前記モーターの振動を前記載置台に伝達する支持部と、を備え、
2つの前記モーターの前記回転軸の軸方向が前記載置面に平行で、且つ、前記載置面と垂直な方向から見た平面視で互いに交差し、
前記支持部の共振周波数は前記載置面と平行な方向よりも垂直な方向が高いことを特徴とする部品バラシ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品バラシ装置であって、
2つの前記モーターの前記回転軸の軸方向が前記載置面と垂直な方向から見た平面視で直交することを特徴とする部品バラシ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の部品バラシ装置であって、
前記モーターは前記回転軸に対して偏心する偏心重りを前記回転軸に備えることを特徴とする部品バラシ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の部品バラシ装置であって、
前記モーターは前記回転軸の両側に前記偏心重りを備えることを特徴とする部品バラシ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の部品バラシ装置であって、
2つの前記モーターがそれぞれ有する2つの前記偏心重りの重心、前記載置台の重心及び前記支持部の重心が前記載置面と垂直な方向から見た平面視で重なることを特徴とする部品バラシ装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の部品バラシ装置であって、
2つの前記モーターのそれぞれの重心、前記載置台の重心及び前記支持部の重心が前記載置面と垂直な方向から見た平面視で重なることを特徴とする部品バラシ装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の部品バラシ装置であって、
前記支持部を振動可能に支持する弾性体を備えることを特徴とする部品バラシ装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の部品バラシ装置であって、
少なくとも一方の前記モーターの回転数は前記支持部の垂直方向の共振周波数を挟んで変更可能であることを特徴とする部品バラシ装置。
【請求項9】
部品が載置される載置面を有する載置台と、回転軸を回転させて振動する2つのモーターと、前記載置台及び2つの前記モーターを支持し、前記モーターの振動を前記載置台に伝達する支持部と、前記モーターの回転を制御する制御部と、を備え、2つの前記モーターの前記回転軸の軸方向が前記載置面に平行で、且つ、前記載置面と垂直な方向から見た平面視で互いに交差し、前記支持部の共振周波数は前記載置面に平行な方向よりも垂直な方向が高い部品バラシ装置の制御方法であって、
前記制御部は2つの前記モーターの回転数または回転方向または回転位相を独立して制御することを特徴とする部品バラシ装置の制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の部品バラシ装置の制御方法であって、
前記モーターの1秒当たりの回転数をNとし、前記載置面と垂直な方向の前記支持部の共振周波数をRvとし、前記載置面と平行な方向の前記支持部の共振周波数をRhとし、
前記部品を前記載置面に沿って移動させるとき、Rh<N<Rvの範囲で前記制御部が前記モーターを回転させることを特徴とする部品バラシ装置の制御方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の部品バラシ装置の制御方法であって、
2つの前記モーターの回転数を同じにして、かつ回転位相差を0~180°に制御することで反転強度を調整することを特徴とする部品バラシ装置の制御方法。
【請求項12】
請求項10に記載の部品バラシ装置の制御方法であって、
前記部品をその場で反転させるときはN>Rvとすることを特徴とする部品バラシ装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品バラシ装置および部品バラシ装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工業用ロボットが部品をピックアップするときに、リニアフィーダーが部品をロボットハンドの動作範囲内に移動させる。このようなリニアフィーダーが、例えば、特許文献1に開示されている。それによると、リニアフィーダーでは1台のモーターと部品搬送トラフとがリンク機構で接続されていた。モーターを回転させるとき、部品搬送トラフに1方向の往復振動が励起され、部品が1方向に搬送された。
【0003】
また、工業用ロボットが部品をピックアップするときに、ロボットハンドの動作範囲内に部品バラシ装置を配置することがある。部品バラシ装置は複数の部品が載置面上で重なっているときに、各部品の重なりを少なくする装置である。
【0004】
このような部品バラシ装置によると、重なり合った部品同士を同一平面上に散在させることで、ロボットハンドがピックアップしやすい姿勢を作ることができ、ロボットは安定して稼働できる。また、部品を反転させてピックアップしたい場合には、ロボットに部品を反転させる作業を行わせると、作業に時間がかかるので、生産性が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のリニアフィーダーは一方向にしか部品を移動できない。また、部品を反転することもできないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
部品バラシ装置は、部品が載置される載置面を有する載置台と、回転軸を回転させて振動する2つのモーターと、前記載置台及び2つの前記モーターを支持し、前記モーターの振動を前記載置台に伝達する支持部と、を備え、2つの前記モーターの前記回転軸の軸方向が前記載置面に平行で、且つ、前記載置面と垂直な方向から見た平面視で互いに交差し、前記支持部の共振周波数は前記載置面と平行な方向よりも垂直な方向が高い。
【0008】
部品バラシ装置の制御方法は、部品が載置される載置面を有する載置台と、回転軸を回転させて振動する2つのモーターと、前記載置台及び2つの前記モーターを支持し、前記モーターの振動を前記載置台に伝達する支持部と、前記モーターの回転を制御する制御部と、を備え、2つの前記モーターの前記回転軸の軸方向が前記載置面に平行で、且つ、前記載置面と垂直な方向から見た平面視で互いに交差し、前記支持部の共振周波数は前記載置面に平行な方向よりも垂直な方向が高い部品バラシ装置の制御方法であって、前記制御部は2つの前記モーターの回転数または回転方向または回転位相を独立して制御する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態にかかわる部品供給システムの構成を示す概略図。
【
図8】構成要素の重心の位置を説明するための模式図。
【
図16】載置面上の部品の動きを説明するための模式図。
【
図17】載置面上の部品の動きを説明するための模式図。
【
図18】載置面上の部品の動きを説明するための模式図。
【
図19】載置面上の部品の動きを説明するための模式図。
【
図20】載置面上の部品の動きを説明するための模式図。
【
図21】第2実施形態にかかわる構成要素の重心の位置を説明するための模式図。
【
図22】第3実施形態にかかわるモーターの構成を示す要部概略図。
【
図23】第5実施形態にかかわるモーターの位置を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1実施形態
本実施形態では、部品バラシ装置と、この部品バラシ装置の制御方法との特徴的な例について説明する。
図1に示すように、部品供給システム1はロボット2が複数の部品をピックアップするシステムである。ロボット2にはスカラーロボット、垂直多関節ロボット、直交ロボット等が用いられる。ロボット2はロボットコントローラー3を備える。ロボットコントローラー3はロボット2の姿勢を制御する。
【0011】
ロボット2はピックアップ機構4及びカメラ5を備える。ロボットコントローラー3はピックアップ機構4の動作を制御して部品を把持する。ロボットコントローラー3はカメラ5に部品を撮像させて、部品の位置を認識する。カメラ5はロボット2に搭載しても良いし、ロボット2以外の部品バラシ装置上部に固定しても良い。
【0012】
部品供給システム1は1つもしくは複数の部品バラシ装置6及び作業台7を備える。各部品バラシ装置6にはそれぞれ部品が載置される。1つの部品バラシ装置に複数種類の部品を載置しても良い。ロボット2は各部品バラシ装置6の部品を把持して作業台7に移動する。ロボット2は作業台7に部品を供給する。ロボット2は作業台7にて部品を組み立てる作業をしても良い。
【0013】
各部品バラシ装置6はそれぞれ制御部8を備える。各制御部8は部品バラシ装置6及びロボットコントローラー3と電気的に接続される。制御部8はロボットコントローラー3から指示信号を入力して、部品バラシ装置6を作動させる。
【0014】
カメラ5が部品バラシ装置6に載置された部品を撮影する。ロボットコントローラー3は撮影された画像を解析して、ピックアップ機構4が部品を把持できる状態であるか否かを判定する。また、ピックアップ機構4が把持するときの部品の向きが設定されている。例えば、本実施形態では、部品が円板状であり、表裏の区別がある。ピックアップ機構4は部品の表側がピックアップ機構4を向く状態で部品を把持することとする。
【0015】
ロボットコントローラー3が画像を解析した結果、適正な姿勢の部品が存在しないとき、ロボットコントローラー3が制御部8に部品の姿勢を変える指示信号を送信する。制御部8は指示信号を受信して部品バラシ装置6を駆動する。
【0016】
図2に示す部品バラシ装置6はカバーが外されており、内部が見えるようになっている。部品バラシ装置6は基台9を備える。基台9は長方形の金属板である。基台9の平面視で長手方向をX方向とし、長手方向と直交する方向をY方向とする。基台9の厚み方向をZ方向とする。
【0017】
基台9上には4つの弾性体としてのゴム脚11が配置される。ゴム脚11上には支持部12が設置される。ゴム脚11は支持部12を振動可能に支持する。この構成によれば、ゴム脚11が支持部12を振動可能に支持することから、支持部12は上下前後左右のすべての方向に振動することができる。また、ゴム脚11は振動を減衰させるので、ゴム脚11をダンパーとして機能させることができる。
【0018】
支持部12は下部構造体13、中間構造体14及び上部構造体15にて構成される。下部構造体13はZ負方向側に位置し、ゴム脚11と接続する。上部構造体15はZ正方向側に位置する。中間構造体14は柱状であり、4本の中間構造体14が下部構造体13と上部構造体15との間で立脚する。支持部12の材質は金属であり、支持部12は剛性が高い。
【0019】
下部構造体13と上部構造体15との間には振動するモーターとしての第1モーター16及び振動するモーターとしての第2モーター17が配置される。制御部8は第1モーター16及び第2モーター17の回転を制御する。第1モーター16は下部構造体13のZ正方向側の面に固定される。第2モーター17は上部構造体15のZ負方向側の面に固定される。上部構造体15のZ正方向側には載置台18が配置される。載置台18は上部構造体15に固定される。載置台18の材質は樹脂または金属であり、載置台18は剛性が高い。載置台18はZ正方向側に凹部18aが形成される。凹部18aの底面が載置面19である。
【0020】
図3に示すように、載置面19には部品21が載置される。部品21の幾つかは表側21aがZ正方向側を向く。部品21の幾つかは裏側21bがZ正方向側を向く。図中では裏側21bがZ正方向側を向く部品21にハッチングが施されている。部品21は凹部18aの中に載置されており、凹部18aは部品21が外に飛び出さないための十分な深さを備えている。
【0021】
図4に示すように、第1モーター16は回転軸としての第1回転軸16aに対して偏心する偏心重りとしての第1偏心重り22を第1回転軸16aに備える。この構成によれば、第1偏心重り22は簡単な構造で第1モーター16を振動させることができる。第1モーター16の振動は支持部12を介して載置台18に伝達される。
【0022】
第1モーター16は第1回転軸16aの両側に第1偏心重り22を備える。この構成によれば、第1偏心重り22の回転により第1回転軸16aの両側で同じ遠心力が第1モーター16に作用する。従って、第1回転軸16aの両側が同じ振動エネルギーを支持部12に供給できる。その結果、X方向を軸として支持部12が揺動する振動を第1モーター16が生じさせることを抑制できる。Y正方向側の第1偏心重り22のY正方向側では下部構造体13上に第1センサー23が配置される。第1センサー23はY負方向側に配置しても良い。
【0023】
図5に示すように、第2モーター17は回転軸としての第2回転軸17aに対して偏心する偏心重りとしての第2偏心重り24を第2回転軸17aに備える。この構成によれば、第2偏心重り24は簡単な構造で第2モーター17を振動させることができる。第2モーター17の振動は支持部12を介して載置台18に伝達される。
【0024】
第2モーター17は第2回転軸17aの両側に第2偏心重り24を備える。この構成によれば、第2偏心重り24の回転により第2回転軸17aの両側で同じ遠心力が第2モーター17に作用する。従って、第2モーター17は第2回転軸17aの両側が同じ振動エネルギーを支持部12に供給できる。その結果、Y方向を軸として支持部12が揺動する振動を第2モーター17が生じさせることを抑制できる。X負方向側の第2偏心重り24のX負方向側では上部構造体15に第2センサー25が配置される。第2センサー25はX正方向側に配置しても良い。
【0025】
部品バラシ装置6は第1回転軸16aを回転させて振動する第1モーター16及び第2回転軸17aを回転させて振動する第2モーター17を備える。支持部12は載置台18、第1モーター16及び第2モーター17を支持し、第1モーター16及び第2モーター17の振動を載置台18に伝達する。支持部12の共振周波数は載置面19と平行な方向よりも垂直な方向が高くなっている。
【0026】
図6は第1モーター16と第2モーター17との相対位置を示す。
図6に示すように、第1回転軸16aの軸方向はY方向であり、第2回転軸17aの軸方向はX方向である。載置面19はX方向及びY方向を含む平面である。従って、第1モーター16の第1回転軸16aの軸方向及び第2モーター17の第2回転軸17aの軸方向は載置面19に平行で、且つ、載置面19と垂直な方向から見た平面視で互いに交差する。詳しくは、第1モーター16の第1回転軸16aの軸方向及び第2モーター17の第2回転軸17aの軸方向は載置面19と垂直な方向から見た平面視で直交する。
【0027】
第1モーター16と接続するY正方向側の第1偏心重り22はY正方向側に突出する第1凸部26を備える。第1センサー23は第1スリット23aを備える。第1センサー23には第1スリット23aを挟んでLED(Light Emitting Diode)及びフォトトランジスターが配置される。第1凸部26が第1スリット23aを通過するとき、LEDが発する光を第1凸部26が遮断する。第1凸部26が第1スリット23aを通過するタイミングを第1センサー23が検出する。
【0028】
第2モーター17と接続するX負方向側の第2偏心重り24はX負方向側に突出する第2凸部27を備える。第2センサー25は第2スリット25aを備える。第2センサー25には第2スリット25aを挟んでLED及びフォトトランジスターが配置される。第2凸部27が第2スリット25aを通過するとき、LEDが発する光を第2凸部27が遮断する。第2凸部27が第2スリット25aを通過するタイミングを第2センサー25が検出する。
【0029】
図7はゴム脚11の配置を示す。
図7に示すように、基台9にはゴム脚11が4つ配置される。ゴム脚11は第1回転軸16aに対して対称に配置される。さらに、ゴム脚11は第2回転軸17aに対して対称に配置される。この配置にすることで支持部12のX方向の振動の振幅が両側で等しくなり、またY方向の振動の振幅も両側で等しくなり、部品を搬送する方向の制御が容易になる。
【0030】
図8は部品バラシ装置6を構成する構成要素の重心の配置を示す。
図8において、第1重り重心22aは2つの第1偏心重り22の重心である。第2重り重心24aは2つの第2偏心重り24の重心である。支持部の重心としての支持部重心12aは支持部12の重心である。載置台の重心としての載置台重心18bは載置台18の重心である。第1重り重心22a、第2重り重心24a、載置台重心18b及び支持部重心12aはZ方向に延在する第1仮想線28上に配置される。第1仮想線28は載置面19と垂直な方向に延在する線である。従って、第1重り重心22a、第2重り重心24a、載置台重心18b及び支持部重心12aが載置面19と垂直な方向から見た平面視で重なる。
【0031】
第1重り重心22aは第1モーター16の振動の中心になる。第2重り重心24aは第2モーター17の振動の中心になる。この構成によれば、第1モーター16による振動の中心と、第2モーター17による振動の中心と、載置台18の重心及び支持部12の重心とが載置面19と垂直な方向から見た平面視で重なる。従って、第1モーター16及び第2モーター17は載置面19を一様に振動させることができる。
【0032】
次に、部品バラシ装置6の制御方法について説明する。
図9~
図14は、第1モーター16における第1偏心重り22の回転と載置面19の振動との関係を示す。第1モーター16の1秒当たりの回転数をNとする。載置面19と垂直な方向の支持部12の共振周波数をRvとする。載置面19と平行な方向の支持部12の共振周波数をRhとする。
【0033】
Y負方向側から見て第1モーター16が第1回転軸16aを時計回りに回転する。N=Rhのとき
図9に示すように、載置面19はX正方向とX負方向とに往復するように振動する。部品21は載置面19と接触している状態を維持するので、部品21は移動し難い。部品21は移動しても移動距離は短い。
【0034】
Rh<N<Rvのとき
図10に示すように、載置面19はX正方向且つZ正方向とX負方向且つZ負方向とに往復するように振動する。部品21はX正方向に移動しつつ載置面19から離れるので、部品21はX正方向へ移動する。部品バラシ装置6の制御方法は部品21を載置面19に沿ってX正方向へ移動させるときには、Rh<N<Rvの範囲で制御部8が第1モーター16を回転させる。
【0035】
Rh、Rvの値は特に限定されないが、本実施形態では例えば、Rv=40Hzであり、Rh=10Hzである。部品21を載置面19に沿って移動させるときはN=25~30Hzにするのが好ましい。部品21を確実に移動させることができる。
【0036】
N=Rvのとき
図11に示すように、載置面19はZ正方向とZ負方向とに往復するように振動する。載置面19では部品21が跳躍する。幾つかの部品21は表裏が反転する。例えば、すべての部品21が裏側21bを見せているとき、幾つかの部品21は反転して表側21aを見せる。
【0037】
次に、Y負方向側から見て第1モーター16が第1回転軸16aを反時計回りに回転する。N=Rhのとき
図12に示すように、載置面19はX正方向とX負方向とに往復するように振動する。部品21は載置面19と接触している状態を維持するので、部品21は移動し難い。部品21は移動しても移動距離は短い。
【0038】
Rh<N<Rvのとき
図13に示すように、載置面19はX負方向且つZ正方向とX正方向且つZ負方向とに往復するように振動する。部品21はX負方向に移動しつつ載置面19から離れるので、部品21はX負方向へ移動する。部品バラシ装置6の制御方法は部品21を載置面19に沿ってX負方向へ移動させるときには、Rh<N<Rvの範囲で制御部8が第1モーター16を回転させる。
【0039】
N=Rvのとき
図14に示すように、載置面19はZ正方向とZ負方向とに往復するように振動する。載置面19では部品21が跳躍する。幾つかの部品21は表裏が反転する。
【0040】
第2モーター17が第2回転軸17aを回転するときにも載置面19は第1モーター16が第1回転軸16aを回転するときと同様の動きをする。第2モーター17の1秒当たりの回転数をNとする。
【0041】
X正方向側から見て第2モーター17が第2回転軸17aを時計回りに回転する。N=Rhのとき、載置面19はY正方向とY負方向とに往復するように振動する。部品21は載置面19と接触している状態を維持するので、部品21は移動し難い。部品21は移動しても移動距離は短い。
【0042】
Rh<N<Rvのとき、載置面19はY正方向且つZ正方向とY負方向且つZ負方向とに往復するように振動する。部品21はY正方向に移動しつつ載置面19から離れるので、部品21はY正方向へ移動する。部品バラシ装置6の制御方法は部品21を載置面19に沿ってY正方向へ移動させるときには、Rh<N<Rvの範囲で制御部8が第2モーター17を回転させる。
【0043】
N=Rvのとき、載置面19はZ正方向とZ負方向とに往復するように振動する。載置面19では部品21が跳躍する。幾つかの部品21は表裏が反転する。
【0044】
次に、X正方向側から見て第2モーター17が第2回転軸17aを反時計回りに回転する。N=Rhのときに示すように、載置面19はY正方向とY負方向とに往復するように振動する。部品21は載置面19と接触している状態を維持するので、部品21は移動し難い。部品21は移動しても移動距離は短い。
【0045】
Rh<N<Rvのとき、載置面19はY負方向且つZ正方向とY正方向且つZ負方向とに往復するように振動する。部品21はY負方向に移動しつつ載置面19から離れるので、部品21はY負方向へ移動する。部品バラシ装置6の制御方法は部品21を載置面19に沿ってY負方向へ移動させるときには、Rh<N<Rvの範囲で制御部8が第2モーター17を回転させる。
【0046】
N=Rvのとき、載置面19はZ正方向とZ負方向とに往復するように振動する。載置面19では部品21が跳躍する。幾つかの部品21は表裏が反転する。
【0047】
制御部8が第1モーター16及び第2モーター17を同時に駆動するとき、第1モーター16及び第2モーター17の一方のみを駆動するときに比べて、載置面19で部品21が跳躍する高さを高く調整することができる。部品21が重くて反転し難いときには、制御部8が第1モーター16及び第2モーター17を同じ回転数で同時に駆動する。部品バラシ装置6は部品21が重くても反転させることができる。
【0048】
詳しくは、第1偏心重り22と第2偏心重り24との回転位相差を0度~180度の間でずらすことで、垂直方向の振幅を増幅、もしくは打ち消して、部品21の反転強度を調節することができる。互いの位相差が0度なら反転強度は倍増し、180度なら反転強度がほぼゼロになる。第1偏心重り22の回転位相は、第1凸部26が第1センサー23の第1スリット23aを通過する位置を基準としてそこからの角度で定める。第2偏心重り24の回転位相は、第2凸部27が第2センサー25の第2スリット25aを通過する位置を基準としてそこからの角度で定める。部品21の重さに応じて第1偏心重り22と第2偏心重り24との回転位相差を調整するのが好ましい。
【0049】
部品バラシ装置6の構成によれば、2つのモーターが振動する。モーターの振動は支持部12を介して載置台18に伝達する。支持部12は載置面19に平行な方向及び垂直な方向に振動する。載置面19に対して垂直な方向の共振周波数に近い回転数でモーターが回転軸を回転するとき、支持部12及び載置台18は載置面19に対して垂直な方向に振動する。このとき、部品21は載置面19上を飛び跳ねる。従って、部品21を反転させることができる。
【0050】
載置面19に対して平行な方向の共振周波数と垂直な方向の共振周波数の中間回転数でモーターが回転軸を回転するとき、支持部12及び載置台18は載置面19に対して平行な方向、且つ、モーターの回転軸と直交する方向に振動する。このとき、部品21は載置面19に沿って移動する。2つのモーターの回転数と回転方向とを制御することにより、部品バラシ装置6は部品21の移動方向を変更することができる。その結果、部品バラシ装置6は部品21の反転と、部品21の移動方向の制御と、をすることができる。
【0051】
載置面19に部品21が塊になっているとき、部品21の移動と反転とを繰りかえすことにより、部品バラシ装置6は部品21の塊を崩して分散させることができる。
【0052】
図15に示すように、制御部8は中央演算部29、第1モーター駆動部30及び第2モーター駆動部31を備える。中央演算部29は第1モーター駆動部30及び第2モーター駆動部31と電気的に接続される。中央演算部29は第1モーター駆動部30及び第2モーター駆動部31に回転開始及び回転終了の指示信号を送信する。他にも、中央演算部29は第1モーター駆動部30及び第2モーター駆動部31に回転数及び回転方向の指示信号を送信する。他にも、中央演算部29は第1モーター駆動部30及び第2モーター駆動部31に回転位相の基準位置からの角度の指示信号を送信する。
【0053】
第1モーター駆動部30は第1モーター16及び第1センサー23と電気的に接続される。第1モーター16を駆動するとき、第1モーター駆動部30は指示信号に示された回転数及び回転方向及び回転位相に従って、第1モーター16を駆動する。第1モーター駆動部30は、第1回転軸16aを回転して第1センサー23が検出する第1回転軸16aの基準位置を示す信号を受信する。その後、信号を受信した基準位置から指示された回転位相だけ第1回転軸16aを回転する。そこから、指示された回転数と回転方向に第1回転軸16aを回転する。
【0054】
第2モーター駆動部31は第2モーター17及び第2センサー25と電気的に接続される。第2モーター17を駆動するとき、第2モーター駆動部31は指示信号に示された回転数及び回転方向及び回転位相に従って、第2モーター17を駆動する。第2モーター駆動部31は、第2回転軸17aを回転して第2センサー25が検出する第2回転軸17aの基準位置を示す信号を受信する。その後、信号を受信した基準位置から指示された回転位相だけ第2回転軸17aを回転する。そこから、指示された回転数と回転方向に第2回転軸17aを回転する。
【0055】
次に、載置面19における部品21の動きについて説明する。
図16に示すように、載置面19上のすべての部品21は裏側21bを見せている。ロボット2のピックアップ機構4が表側21aを見せている部品21を把持するとき、ロボットコントローラー3は制御部8に部品21を反転させる指示信号を送信する。
【0056】
制御部8は第1モーター16及び第2モーター17の少なくとも一方をRvを超える回転数Nで駆動させる。部品をその場で反転させるときは第1モーター16及び第2モーター17の少なくとも一方の回転数NをN>Rvとする。載置面19がZ正方向及びZ負方向に往復移動して振動する。載置面19では部品21が跳躍して、部品21の幾つかが反転する。その結果、
図17に示すように、幾つかの部品21が表側21aを見せる。そして、表側21aをみせる部品21をピックアップ機構4が把持して移動する。
【0057】
図18に示すように、部品21がX負方向に偏っているとき、ピックアップ機構4は部品21を把持し難い。ロボット2のピックアップ機構4が部品21を把持するとき、ロボットコントローラー3は制御部8に部品21をX正方向に移動させる指示信号を送信する。
【0058】
制御部8は第1モーター16をRh<N<Rvの回転数で駆動させる。Y負方向から見て第1モーター16は第1回転軸16aを時計回りに回転する。載置面19がZ正方向且つX正方向とZ負方向且つX負方向に往復して振動する。載置面19では部品21が跳躍しつつX正方向に移動する。その結果、
図3に示すように、部品21が分散するので、部品21をピックアップ機構4が把持して移動する。
【0059】
図19に示すように、部品21がY正方向に偏っているとき、ピックアップ機構4は部品21を把持し難い。ロボット2のピックアップ機構4が部品21を把持するとき、ロボットコントローラー3は制御部8に部品21をY負方向に移動させる指示信号を送信する。
【0060】
制御部8は第2モーター17をRh<N<Rvの回転数で駆動させる。X正方向から見て第2モーター17は第2回転軸17aを反時計回りに回転する。載置面19がZ正方向且つY負方向とZ負方向且つY正方向に往復して振動する。載置面19では部品21が跳躍しつつY負方向に移動する。その結果、
図3に示すように、部品21が分散するので、部品21をピックアップ機構4が把持して移動する。
【0061】
図20に示すように、部品21がX負方向且つY正方向に偏っているとき、ピックアップ機構4は部品21を把持し難い。ロボット2のピックアップ機構4が部品21を把持するとき、ロボットコントローラー3は制御部8に部品21をX正方向且つY負方向に移動させる指示信号を送信する。
【0062】
制御部8は第1モーター16及び第2モーター17をRh<N<Rvの回転数で駆動させる。Y負方向から見て第1モーター16は第1回転軸16aを時計回りに回転する。X正方向から見て第2モーター17は第2回転軸17aを反時計回りに回転する。載置面19がZ正方向且つX正方向且つY負方向とZ負方向且つX負方向且つY正方向に往復して振動する。載置面19では部品21が跳躍しつつX正方向且つY負方向に移動する。その結果、
図3に示すように、部品21が分散するので、部品21をピックアップ機構4が把持して移動する。
【0063】
制御部8は2つのモーターの回転数または回転方向または回転位相を独立して制御して2つのモーターを振動させる。モーターの振動は支持部12を介して載置台18に伝達する。支持部12は載置面19に平行な方向及び垂直な方向に振動する。載置面19に対して垂直な方向の共振周波数に近い回転数でモーターが回転軸を回転するとき、支持部12及び載置台18は載置面19に対して垂直な方向に振動する。このとき、部品21が載置面19上を跳躍する為、部品21を反転させることができる。2つのモーターの回転位相差を0度~180度の間でずらすことにより部品21を跳躍させる力を変えることができる。従って、部品21の重さに応じて、モーターは載置面19を適正な振幅で振動させることができる。
【0064】
載置面19に対して平行な方向の共振周波数と垂直な方向の共振周波数との間の回転数でモーターが回転軸を回転するとき、支持部12及び載置台18は載置面19に対して平行な方向、且つ、モーターの回転軸と直交する方向に振動する。このとき、部品21は載置面19に沿って移動する。2つのモーターの回転方向を独立して制御することにより、部品バラシ装置6は載置台18の振動方向を変えることができる為、部品21の移動方向を変更することができる。
【0065】
2つのモーターの回転軸の軸方向が載置面19と垂直な方向から見た平面視で直交する。この構成によれば、直交する2方向を組み合わせて部品21の移動方向を制御することができる。従って、部品バラシ装置6は部品21の移動方向を容易に制御できる。詳しくは、X正方向、X負方向、Y正方向、Y負方向、X正方向且つY正方向、X正方向且つY負方向、X負方向且つY正方向、X負方向且つY負方向に部品バラシ装置6は部品21を移動させることができる。
【0066】
少なくとも一方のモーターの回転数は支持部12の垂直方向の共振周波数を挟んで変更可能であるのが好ましい。この構成によれば、部品バラシ装置6はモーターの回転数を支持部12の垂直方向の共振周波数より低くできる。このとき、部品バラシ装置6は載置面19に沿って部品21を移動させることができる。部品バラシ装置6はモーターの回転数を支持部12の垂直方向の共振周波数より高くできる。このとき、部品バラシ装置6は載置面19で部品21を跳躍させて反転させることができる。
【0067】
第2実施形態
前記第1実施形態では、第1重り重心22a、第2重り重心24a、載置台重心18b及び支持部重心12aが載置面19と垂直な方向から見た平面視で重なっていた。
【0068】
図21において、モーターの重心としての第1モーター重心16bは第1モーター16の重心である。モーターの重心としての第2モーター重心17bは第2モーター17の重心である。第1モーター重心16b、第2モーター重心17b、載置台重心18b及び支持部重心12aはZ方向に延在する第1仮想線28上に配置される。第1仮想線28は載置面19と垂直な方向に延在する線である。従って、第1モーター重心16b、第2モーター重心17b、載置台重心18b及び支持部重心12aが載置面19と垂直な方向から見た平面視で重なる。この構成によれば、第1モーター16による振動の中心と、第2モーター17による振動の中心と、載置台18の重心及び支持部12の重心とが載置面19と垂直な方向から見た平面視で重なる。従って、第1モーター16及び第2モーター17は載置面19を一様に振動させることができる。
【0069】
第3実施形態
前記第1実施形態では、第1回転軸16aの両側に第1偏心重り22が設置された。第2回転軸17aの両側に第2偏心重り24が設置された。偏心重りは回転軸の片側だけでもよい。
【0070】
図22に示すように、部品バラシ装置34の第1モーター16では第1回転軸16aの片側にのみ第1偏心重り22が設置されている。第1センサー23は第1スリット23aを第1偏心重り22が通過するタイミングを検出する。第2モーター17では第2回転軸17aの片側にのみ第2偏心重り24が設置されている。第2センサー25は第2スリット25aを第2偏心重り24が通過するタイミングを検出する。
【0071】
部品バラシ装置34の構成においても、第1実施形態の部品バラシ装置6と同様に、部品バラシ装置34は部品21の反転と、部品21の移動方向の制御と、をすることができる。
【0072】
第4実施形態
前記第1実施形態では、第1モーター16の第1回転軸16aの軸方向及び第2モーター17の第2回転軸17aの軸方向は載置面19と垂直な方向から見た平面視で互いに直交していた。載置面19と垂直な方向から見た平面視で第1回転軸16aの軸方向及び第2回転軸17aの軸方向は必ずしも直交しなくても良い。例えば、第1回転軸16aと第2回転軸17aとの交差角度は70度または80度でも良い。第1回転軸16a及び第2回転軸17aの回転を独立して制御することにより、部品21を所定の方向に移動させることができる。
【0073】
第5実施形態
前記第1実施形態では、Z方向において第1モーター16と第2モーター17とが並んで配置された。Z方向において第1モーター16と第2モーター17とが同じ位置に配置されても良い。
図23に示すように、部品バラシ装置37では第1偏心重り22の対が第1連結棒38により連結される。第2偏心重り24の対が第2連結棒39により連結される。
【0074】
第1モーター16の第1回転軸16aには第1プーリー41が設置される。第1モーター16は第1プーリー41及び第1連結棒38を介して第1偏心重り22の対を回転する。第2モーター17の第2回転軸17aには第2プーリー42が設置される。第2モーター17は第2プーリー42及び第2連結棒39を介して第2偏心重り24の対を回転する。
【0075】
2つのモーターを同じ高さに配置することにより、パワーがある大きなモーターを採用しても、部品バラシ装置37の高さを低くできる。部品バラシ装置37の重心を下げることができる。
【符号の説明】
【0076】
8…制御部、11…弾性体としてのゴム脚、12…支持部、12a…支持部の重心としての支持部重心、16…モーターとしての第1モーター、16a…回転軸としての第1回転軸、16b…モーターの重心としての第1モーター重心、17…モーターとしての第2モーター、17a…回転軸としての第2回転軸、17b…モーターの重心としての第2モーター重心、18…載置台、18b…載置台の重心としての載置台重心、19…載置面、21…部品、22…偏心重りとしての第1偏心重り、24…偏心重りとしての第2偏心重り。