(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168435
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】広口容器及び広口容器の充填方法
(51)【国際特許分類】
B65D 23/00 20060101AFI20221031BHJP
B65D 51/18 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
B65D23/00 A
B65D51/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073887
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】592111894
【氏名又は名称】ヤマトエスロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167092
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹津 俊一
(72)【発明者】
【氏名】田中 大
【テーマコード(参考)】
3E062
3E084
【Fターム(参考)】
3E062AA10
3E062AB20
3E062AC02
3E062BA20
3E062BB06
3E062BB09
3E062JA03
3E062JA07
3E062JB04
3E062JB14
3E062JB22
3E062JC02
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB09
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB04
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB12
3E084DB18
3E084DC04
3E084DC05
3E084FA03
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB06
3E084GB08
3E084GB17
3E084HA01
3E084HB09
3E084HC03
3E084HD01
3E084KB10
3E084LA01
3E084LB02
3E084LD30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】使用者が購入後に内容物を収容空間から取り出すための手間が少なく、また、内容物の一部が気化してしまう虞が小さい広口容器及びこの広口容器の充填方法を提供する。
【解決手段】収容空間に内容物を収容可能な容器本体(12)と、容器本体(12)に組み合わされるとともに、蓋部材(13a)が収容空間上方の開口を開閉自在に閉塞する蓋体ユニット(13)と、弾性材料により形成されるとともに、外縁部(14c)が、蓋体ユニット(13)に下向きに設けられる蓋体側挟持部(18)と容器本体(12)に上向きに設けられる本体側挟持部(17)とによって上下方向に挟まれる略平板状の中蓋(14)とを備え、中蓋(14)には外縁部(14c)の内側を切除するために切取用薄肉部(16)が設けられることを特徴とする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間に内容物を収容可能な容器本体と、
前記容器本体に組み合わされるとともに、蓋部材が前記収容空間上方の開口を開閉自在に閉塞する蓋体ユニットと、
弾性材料により形成されるとともに、外縁部が、前記蓋体ユニットに下向きに設けられる蓋体側挟持部と前記容器本体に上向きに設けられる本体側挟持部とによって上下方向に挟まれる略平板状の中蓋とを備え、
前記中蓋には前記外縁部の内側を切除するために切取用薄肉部が設けられる
ことを特徴とする広口容器。
【請求項2】
前記蓋体ユニットが前記容器本体に対して螺合される
ことを特徴とする請求項1に記載の広口容器。
【請求項3】
前記外縁部は、周囲の一部又は全部が前記蓋体側挟持部から前記中蓋の中央に対して外向きにはみ出す被係止部を有し、
前記被係止部は上向きに突出し、前記蓋体側挟持部によって前記外向きに係止される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の広口容器。
【請求項4】
前記外縁部は、周囲の一部又は全部が前記本体側挟持部から前記中蓋の中央に対して外向きにはみ出す被係止部を有し、
前記被係止部は下向きに突出し、前記本体側挟持部によって前記外向きに係止される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の広口容器。
【請求項5】
前記中蓋のうち前記切取用薄肉部に沿って切除される切除領域の上側にタブが延設される
ことを特徴とする請求項3または4に記載の広口容器。
【請求項6】
前記切取用薄肉部は、前記蓋体側挟持部の前記中央に対して内側に向く周壁である蓋体側挟持部内壁、および、前記本体側挟持部の前記内側に向く周壁である本体側挟持部内壁のうち、より前記中央寄りに配設される内壁と、前記上下方向視における略同一の位置に設けられる
ことを特徴とする請求項5に記載の広口容器。
【請求項7】
前記弾性材料はJIS K7215に規定されるタイプDデュロメータ硬さが40以上且つ50未満の範囲である
ことを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の広口容器。
【請求項8】
前記弾性材料は低密度ポリエチレンである
ことを特徴とする請求項7に記載の広口容器。
【請求項9】
前記蓋部材は前記蓋体ユニットの他の部分とヒンジにより接合される
ことを特徴とする請求項1ないし8の何れかに記載の広口容器。
【請求項10】
内容物と、収容空間に前記内容物を収容可能な容器本体を準備する容器本体準備工程と、
前記容器本体に対して螺合可能であり、前記容器本体との組み合わせ時に前記収容空間上方に位置する開口を開閉自在に閉塞するように構成される蓋部材を有する蓋体ユニットと、弾性材料により形成されるとともに、外縁部の内側を切除するために切取用薄肉部が設けられる中蓋とを、前記外縁部と、前記蓋体ユニットに下向きに設けられる蓋体側挟持部とが上下方向に対向するように組み合わせた蓋体アセンブリーを準備する蓋体アセンブリー準備工程と、
前記収容空間に前記内容物を充填する充填工程と、
前記外縁部を、前記蓋体側挟持部と、前記容器本体に上向けに設けられる本体側挟持部との間に挟むとともに、前記容器本体に対して前記蓋体アセンブリーを螺着させ、前記容器本体と前記中蓋と前記蓋体ユニットとを上下方向に組み立てる組立工程とを含む
ことを特徴とする広口容器の充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広口容器及び広口容器の充填方法に関し、詳細には中蓋に外縁部の内側を切除するために切取用薄肉部が設けられる広口容器及びこの広口容器の充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収容空間に内容物を収容可能な容器本体と、蓋部材が収容空間上方の開口を開閉自在に閉塞する蓋体ユニットとを組み合わせた広口容器であり、この開口に、略平板状の中蓋を配置する広口容器がある(特許文献1(発明の詳細な説明の段落0027~0029))。
【0003】
こうした従来の中蓋を備える広口容器は、中蓋が容器本体と蓋体ユニットとの間に挟まれることによってパッキンの役割を果たし、傾けたり、振動を与えたりしても収容空間内の内容物が中蓋の内側から溢れ出してしまうことが少ないといった長所がある。また、蓋部材がヒンジによって開閉するため、使用者は、購入後にいったん中蓋を外した後、この蓋部材を自在に開閉させて複数回に分けて内容物を取り出すことができる。なお、こうした従来の広口容器が備える中蓋は、例えば低発泡ポリエチレンシートに薄いプラスチックフィルムをラミネートによって被覆して形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の中蓋を備える広口容器1は、例えば
図12の部分断面図が示すように、中蓋4が容器本体2と蓋体ユニット3との間に挟まれているため、購入後に使用者が内容物を収容空間5から取り出すために、いったん蓋体ユニット3を容器本体2から取り外し、中蓋4を外して再び蓋体ユニット3を容器本体2に組み合わせねばならないので使用者にとって手間が多い。
【0006】
また、中蓋4が外された後、使用者が蓋体ユニット3を締め込むことによってもともと中蓋4が配置されていた箇所の隙間を狭小化するが、それでも水分、アルコール分等の内容物の一部が気化してしまう虞が大きい。
【0007】
そこで本発明は、使用者が購入後に内容物を収容空間から取り出すための手間が少なく、また、内容物の一部が気化してしまう虞が小さい広口容器及びこの広口容器の充填方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は収容空間に内容物を収容可能な容器本体と、前記容器本体に組み合わされるとともに、蓋部材が前記収容空間上方の開口を開閉自在に閉塞する蓋体ユニットと、弾性材料により形成されるとともに、外縁部が、前記蓋体ユニットに下向きに設けられる蓋体側挟持部と前記容器本体に上向きに設けられる本体側挟持部とによって上下方向に挟まれる略平板状の中蓋とを備え、前記中蓋には前記外縁部の内側を切除するために切取用薄肉部が設けられることを特徴とする広口容器を提供するものである。
【0009】
すなわち、本発明の広口容器は、切取用薄肉部に沿って外縁部の内側を切除することができるため、前記外縁部を残して中蓋に取出し口を開けることが可能である。使用者は蓋部材が開いた状態でこの取出し口から手指を収容空間に差し入れて、内容物を取り出すことができる。
【0010】
そのため、使用者は、内容物が広口容器に収容された状態の商品を購入後に、いったん蓋体ユニットを容器本体から取り外し、前記中蓋を外して再び前記蓋体ユニットを前記容器本体に組み合わせる必要がなく、前記中蓋に前記取出し口を開けることによって前記内容物を取り出すことができる。このように、使用者にとって手間が少ない。また、使用方法に詳しくない使用者が、前記中蓋を取り除くことがなく、また、前記蓋部材を開閉させることもないままに常に前記蓋体ユニット自体を前記容器本体に対して脱着させて使用するような事態は生じ難くなる。
【0011】
また、前記中蓋に前記取出し口を開けた後も前記外縁部が蓋体側挟持部と本体側挟持部との間に挟まったまま残るため、もともと前記中蓋が配置されていた箇所に隙間が生じることがなく、収容空間と外気とが連通して前記内容物の一部が気化してしまう虞は小さい。
【0012】
しかも、前記中蓋が弾性材料により形成されるため、前記外縁部が前記各挟持部によって挟まれることにより、前記外縁部は圧縮され、その反動によって前記各挟持部を遠ざける向きに膨張しようとする。これにより、前記外縁部と前記各挟持部との間におけるシール性が増すので、前記内容物の一部が気化してしまう虞はより小さい。
【0013】
(2)また、前記蓋体ユニットが前記容器本体に対して螺合されてもよい。
【0014】
すなわち、外縁部を容器本体に対して挟んでいる蓋体ユニットが前記容器本体に対して螺合されることにより、使用者は、締付力を調整して前記蓋体ユニットを締結することができる。これにより、弾性材料により形成される前記外縁部を適度に圧縮することができるので、前記外縁部と各挟持部との間において最適なシール性を得ることができる。こうして、内容物の一部が気化してしまう虞がより小さい。
【0015】
(3)また、前記外縁部は、周囲の一部又は全部が前記蓋体側挟持部から前記中蓋の中央に対して外向きにはみ出す被係止部を有し、前記被係止部は上向きに突出し、前記蓋体側挟持部によって前記外向きに係止されてもよい。
【0016】
本発明の広口容器には、使用者が中蓋の内側を切取用薄肉部に沿って切り取るため、前記中蓋に対してその中央に手繰り寄せられるような前記中央向きの力が働く。このとき、外縁部が各挟持部によって挟まれているものの、前記中央向きの力が大きければ、前記外縁部は前記中央向きにずれてしまい、前記各挟持部との間におけるシール性が不十分なものとなってしまう虞がある。
【0017】
そこで、前記中央向きの力に対して、蓋体側挟持部が被係止部を前記中央に対して外向きに係止することにより、前記外縁部は、前記各挟持部によって挟まれた状態を保つことができ、前記各挟持部との間におけるシール性を維持することができる。こうして、内容物の一部が気化してしまう虞はより小さい。
【0018】
(4)また、前記外縁部は、周囲の一部又は全部が前記本体側挟持部から前記中蓋の中央に対して外向きにはみ出す被係止部を有し、前記被係止部は下向きに突出し、前記本体側挟持部によって前記外向きに係止されてもよい。
【0019】
すなわち、前記の外縁部に対する中央向きの力に対して、本体側挟持部が被係止部を前記中央に対して外向きに係止することにより、前記外縁部は、前記各挟持部によって挟まれた状態を保つことができ、前記各挟持部との間におけるシール性を維持することができる。こうして、内容部の一部が気化してしまう虞はより小さい。
【0020】
(5)また、前記中蓋のうち前記切取用薄肉部に沿って切除される切除領域の上側にタブが延設されてもよい。
【0021】
すなわち、タブが切除領域の上側に延設されることにより、使用者は、手指によって前記タブを摘み上げることができ、切取用薄肉部に沿って外縁部の内側を容易に切除することができる。こうして、本発明の広口容器は手間少なく内容物を収容空間から取り出すことができる。
【0022】
(6)また、前記切取用薄肉部は、前記蓋体側挟持部の前記中央に対して内側に向く周壁である蓋体側挟持部内壁、および、前記本体側挟持部の前記内側に向く周壁である本体側挟持部内壁のうち、より前記中央寄りに配設される内壁と、前記上下方向視における略同一の位置に設けられてもよい。
【0023】
すなわち、切取用薄肉部が、より中央寄りに配設される内壁と上下方向視における略同一の位置に設けられることにより、外縁部の内側を切除した後の前記外縁部の内側端縁と、前記のより中央寄りに配設される内壁とは上下方向視において略同一位置に配置される。そのため、前記内側端縁は蓋体側挟持部内壁及び本体側挟持部内壁の何れに比べても前記中央側に突出して配置されることがない。
【0024】
これにより、使用者は、手指が前記内側端縁に引っ掛かることなく、その手指を取出し口に挿入して内容物を取り出すことができる。こうして、本発明の広口容器はより手間少なく内容物を収容空間から取り出すことができる。
【0025】
(7)また、前記弾性材料はJIS K7215に規定されるタイプDデュロメータ硬さが40以上且つ50未満の範囲であってもよい。
【0026】
発明者は、中蓋の弾性材料がJIS K7215に規定されるタイプDデュロメータ硬さが40未満の材料である場合に、前記中蓋が柔らかすぎて各挟持部によって挟むときの位置決め、定まった姿勢に保持することなどの取扱いが困難であることを見出した。逆に、JIS K7215に規定されるタイプDデュロメータ硬さが50以上の場合に、外縁部が硬すぎ、前記各挟持部によって圧縮され、また、その反動によって膨張することが困難であるために十分なシール性を得られないことを見出した。また、前記中蓋が硬すぎ、使用者が手指を用いて前記外縁部の内側を切除することが容易ではないことを見出した。さらに、前記中蓋は硬すぎ、前記各挟持部によって挟む上で適度に前記各挟持部に倣って微小に変形することが困難であるために蓋体ユニットと容器本体とに対して適度に密着しないことを見出した。
【0027】
よって、好ましくは前記弾性材料のJIS K7215に規定されるタイプDデュロメータ硬さが40以上且つ50未満の範囲であるときに、本発明の広口容器をより容易に製作することができ、また、内容物の一部が気化してしまう虞がより小さい。
【0028】
(8)また、前記弾性材料は低密度ポリエチレンであってもよい。
【0029】
すなわち、低密度ポリエチレン(LDPE)の耐薬品性が高いため、収容空間に化粧品、薬品等の化学品を収容するに、本発明の広口容器は表面がこれらの化学品によって化学反応することが少なく寿命が長い。
【0030】
(9)また、前記蓋部材は前記蓋体ユニットの他の部分とヒンジにより接合されてもよい。
【0031】
すなわち、蓋部材がヒンジによって接合されているため、使用者は、ワンタッチで前記蓋部材を開けて内容物を収容空間から取り出すことができる。また、開いた状態でも前記蓋部材が前記蓋体ユニットの他の部分から分離しないため、使用者は前記蓋部材を別途の場所において載置する必要がない。これらにより、本発明の広口容器はより手間少なく内容物を収容空間から取り出すことができる。
【0032】
(10)本発明は内容物と、収容空間に前記内容物を収容可能な容器本体を準備する容器本体準備工程と、前記容器本体に対して螺合可能であり、前記容器本体との組み合わせ時に前記収容空間上方に位置する開口を開閉自在に閉塞するように構成される蓋部材を有する蓋体ユニットと、弾性材料により形成されるとともに、外縁部の内側を切除するために切取用薄肉部が設けられる中蓋とを、前記外縁部と、前記蓋体ユニットに下向きに設けられる蓋体側挟持部とが上下方向に対向するように組み合わせた蓋体アセンブリーを準備する蓋体アセンブリー準備工程と、前記収容空間に前記内容物を充填する充填工程と、前記外縁部を、前記蓋体側挟持部と、前記容器本体に上向けに設けられる本体側挟持部との間に挟むとともに、前記容器本体に対して前記蓋体アセンブリーを螺着させ、前記容器本体と前記中蓋と前記蓋体ユニットとを上下方向に組み立てる組立工程とを含むことを特徴とする広口容器の充填方法を提供するものである。
【0033】
既存の広口容器にクリーム状の化粧品、薬品等の内容物を充填する事業者の多くは、これらの内容物を従来の容器本体に充填するための設備を有している。また、従来の、切取用薄肉部が設けられていない中蓋の外縁部を、従来の容器本体及び蓋体ユニットの間に挟むとともに従来の容器本体に対して従来の蓋体アセンブリーを螺着させ、前記従来の容器本体と前記従来の中蓋と前記従来の蓋体ユニットとを上下方向に組み立てるための設備を有している。そして、本発明の広口容器の充填方法は、上記のような既存の事業者の多くにおいて設備の大幅な変更を行わずに採用することができるために効率的である。
【発明の効果】
【0034】
このように本発明では、使用者が購入後に内容物を収容空間から取り出すための手間が少ない広口容器及びこの広口容器の充填方法を提供することができる。また、収容空間と外気とが連通して内容部の一部が気化してしまう虞が小さい広口容器及びこの広口容器の充填方法を提供することができる。さらに、弾性材料としてJIS K7215に規定されるタイプDデュロメータ硬さが40以上且つ50未満の材料を用いるときは、より容易に製作することができる広口容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】(a)本発明の第1の実施形態に係る広口容器の斜視図を表わす。(b)
図1(a)の広口容器を、蓋体ユニット、中蓋及び容器本体に分離した状態のそれぞれの斜視図を表わす。
【
図2】(a)
図1の広口容器の斜視図を表わす。(b)
図2(a)の広口容器の蓋部材を開いた状態の斜視図を表わす。
【
図3】(a)
図1の広口容器から中蓋の切除領域を切除する状態の斜視図を表わす。(b)
図3(a)の切除領域が中蓋から分離された状態の斜視図を表わす。
【
図4】(a)
図1の広口容器の中蓋の平面図を表わす。(b)
図1の広口容器の中蓋の切除領域の平面図を表わす。(c)
図1の広口容器の中蓋の外縁部の平面図を表わす。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る容器本体の正面視における部分断面図を表わす。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る蓋体ユニットの正面視における部分断面図を表わす。
【
図7】(a)本発明の第1の実施形態に係る広口容器の正面視における部分断面図を表わす。(b)
図7(a)の部分断面図におけるA部分の拡大図を表わす。
【
図8】(a)
図7の広口容器から中蓋の切除領域を切除した状態の正面視における部分断面図を表わす。(b)
図8(a)の部分断面図におけるB部分の拡大図を表わす。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る広口容器の充填方法を示すフロー図を表わす。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る蓋体アセンブリーの正面視における部分断面図を表わす。
【
図11】(a)本発明の第2の実施形態に係る広口容器の正面視における部分断面図を表わす。(b)
図11(a)の部分断面図におけるC部分の拡大図を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態を、
図1~
図10を用いて説明する。
図1(a)において11は広口容器であって、容器本体12と、容器本体12の上側に配置される蓋体ユニット13とを備える。また、
図1(b)が示すように、広口容器11は容器本体12と蓋体ユニット13との間に平板状の中蓋14を備える。図においては、矢印Uの向きが広口容器11の上方を示し、矢印Dの向きが同じく下方を示す。矢印Fの向きが同じく前方を示し、矢印Bの向きが同じく後方を示す。また、矢印Lの向きが同じく左方を示し、矢印Rの向きが同じく右方を示す。
【0037】
広口容器11は容器本体12が内側に収容空間15を有し、この収容空間15に半固体、液体等の内容物Nを充填することができる。広口容器11の代表的な内容物Nはクリーム状の化粧品、薬品等であり、使用者が手指を用いて収容空間15から取り出す。
【0038】
使用者は
図2(a)のように広口容器11によって包装された状態の内容物Nを購入する。広口容器11全体は、上下方向の中心軸Cを中心に構成される略円柱状に形成される。次に、使用者は
図2(b)のように蓋体ユニット13の蓋部材13aを開き、中蓋14を露出させる。蓋部材13aは、蓋体ユニット13の本体結合部13bに対してヒンジ13cを介して接合している。本体結合部13bは容器本体12に対して、中心軸Cを中心に回転することによって脱着自在に螺合されている。ヒンジ13cは左右方向の揺動中心線を有し、蓋部材13aが、この揺動中心線を中心に本体結合部13bに対して揺動することができる。これにより、使用者は蓋部材13aを開閉することができる。本体結合部13bと蓋部材13aとは、共に相対する位置に係合手段13d,13dを有する。これにより、使用者は蓋部材13aの閉状態において本体結合部13bに対して蓋部材13aを係着しておくことができる。
【0039】
使用者は
図3(a)が示すように蓋部材13aを開けた状態で中蓋14の内側に位置する円形状の切除領域14aを切除する。中蓋14には
図1(b)が示すような外縁円の内側に設けられる環状の切取用薄肉部16が形成される。また、切除領域14aの上側には、使用者が手指で摘まむことができるタブ14bが延設される。そこで、使用者は手指でタブ14bを上方に持ち上げることによって、
図3(a)のように切除領域14aを切取用薄肉部16に沿って中蓋14から切り離すことにより切除することができる。これによって、蓋部材13aの開状態においては蓋体ユニット13の、収容空間15上方に位置する開口13eが上下方向に開放される。
【0040】
図3(b)は切除領域14aが完全に中蓋14から分離された状態を示す。この状態で蓋部材13aは開口13eを開閉自在に閉塞することができる。切除領域14aがこれ以上不要であるので、使用者は、切除領域14a以外の部分を残して廃棄することができる。また、使用者は、蓋部材13aの開状態において開口13eを通して手指を収容空間15に挿入し、その手指によって内容物Nを取り出すことができる。
【0041】
図4は、上記
図2(a)~
図3(b)のそれぞれの状態における中蓋14の形態を示す。
図4(a)に示す中蓋14は、
図2(a)(b)の状態における形態を示す。この段階では中蓋14に切取用薄肉部16が形成されている状態である。次に
図4(b)に示す中蓋14は、
図3(a)(b)の状態において切り離される部分に相当する切除領域14aを示す。また、
図4(c)に示す中蓋14は、切除領域14aが切り離された後に残る部分に相当する外縁部14cを示す。すなわち、切除領域14aが環状の切取用薄肉部16に沿って切除された後は広口容器11に円環状の外縁部14cが残される。外縁部14cの径方向内側の端縁は外縁部内側端縁14dとよぶ。
【0042】
容器本体12は、
図5の正面視における部分断面図が示すように、収容空間15を径方向内向きに囲む略円筒状の内側周壁部12aと、内側周壁部12aと連続して形成され、収容空間15の下底に位置する底部12bとを有する。また、内側周壁部12aと共に二重構造を構成する、内側周壁部12aの径方向外側に位置する外側周壁部12cを有する。外側周壁部12cは、
図5に表わされる通り、内側周壁部12aの上側略1/3の位置において内側周壁部12aから外向きに分かれて、その位置よりも下側の部分において二重構造を構成する。
【0043】
また、容器本体12は、円環状の最上部分が中蓋14の外縁部14cを上向きに支持する。この円環状部分を本体側挟持部17とよび、以下で述べる蓋体ユニット13側の蓋体側挟持部と対向する。本体側挟持部17の上面を本体側挟持部上面17aとよぶ。
【0044】
容器本体12はポリプロピレン(PP)、飽和ポリエステル(PET)等の合成樹脂により形成される。
【0045】
さらに、上下方向において本体側挟持部17と、外側周壁部12cが分かれる位置との間において、内側周壁部12aは、周方向に設けられる外向きのねじ山12dを有する。ねじ山12dは内側周壁部12aの全周にわたって設けられる。
【0046】
蓋体ユニット13は、
図6の正面視における部分断面図が示すように、開口13eを径方向内向きに囲む略円筒状の本体結合部13bを有する。この本体結合部13bの最上部には、段差によって最上部よりもわずかに径小に形成される折り返し部13fが設けられる。この蓋体ユニット13の折り返し部13fの円環状の下端部分は中蓋14の外縁部14cを下向きに支持する。この円環状部分を蓋体側挟持部18とよび、本体側挟持部17と上下方向に対向する。中蓋14は、外縁部14cが本体側挟持部17と蓋体側挟持部18とによって挟まれる。この蓋体側挟持部18の下面を蓋体側挟持部下面18aとよぶ。
【0047】
蓋部材13aは外縁に沿った周囲において下向きに凸設される外周壁部13gと、外周壁部13gの内側の周囲において下向きに凸設される内周壁部13hとを有する。これら外周壁部13gと内周壁部13hとは、平面視において同心円状に配置される。そして、蓋部材13aの閉状態において、内周壁部13hは折り返し部13fとの間における隙間が無く、折り返し部13fに強く当接するように構成されている。
【0048】
さらに、本体結合部13bは、内側に周方向に設けられるねじ溝13iを有する。ねじ溝13iは本体結合部13bの全周にわたって設けられる。ねじ山12dとねじ溝13iとは噛み合って、蓋体ユニット13が容器本体12に螺合することができる。
【0049】
蓋体ユニット13はポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)等の合成樹脂により形成される。
【0050】
中蓋14は、
図7(a)の正面視部分断面図が示すように、容器本体12と蓋体ユニット13との間に配置される。この図は、切除領域14aが切除される前の状態を示す。
図7(a)のA部分を
図7(b)に拡大して表わす。中蓋14は弾性材料により形成される。
【0051】
外縁部14cは、
図7(b)が示すように本体側挟持部17と蓋体側挟持部18とによって上下方向に挟まれる。このとき、蓋体ユニット13が容器本体12に螺合した結果、各挟持部17,18は上下から外縁部14cを押圧し、本体側挟持部上面17aと蓋体側挟持部下面18aとがそれぞれ外縁部14cの両面に密着する。
【0052】
また、外縁部14cは、その全周囲において蓋体側挟持部18から径方向外向きにはみ出す被係止部19を有する。この被係止部19は上向きに突出して折り返し部13fの内側に嵌入する。この状態により、使用者がタブ14bを持ち上げて中蓋14の切除領域14aを切取用薄肉部16に沿って切り取るときでも、その中蓋14を手繰り寄せるような径方向内向きの力が働くのに対して、蓋体側挟持部18は、被係止部19を径方向外向きに係止することができる。
【0053】
切取用薄肉部16は、切除領域14aと外縁部14cとの境界において、中蓋14上面の下向きのV字状溝と、この下向きのV字状溝と上下方向における略同一位置に設けられる、中蓋14下面の上向きのV字状溝とによって構成される。これら上下のV字状溝の底における肉厚が薄いために容易に切り取ることができる。そして、切取用薄肉部16は、円環状に形成される蓋体側挟持部18の径方向内側の周壁である蓋体側挟持部内壁18bと上下方向における略同一位置に設けられる。また、これと同時に、切取用薄肉部16は、円環状に形成される本体側挟持部17の径方向内側の周壁である本体側挟持部内壁17bと上下方向における略同一位置に設けられる。
【0054】
切除領域14aを切除した後の状態を
図8(a)(b)に示す。
図8(a)のB部分を
図8(b)に拡大して表わす。切除領域14aが切り取られた後の切取用薄肉部16は外縁部内側端縁14dを形成する。このように、外縁部内側端縁14dは蓋体側挟持部内壁18bと上下方向における略同一位置に形成され、かつ、本体側挟持部内壁17bと上下方向における略同一位置に形成される。
【0055】
以上の構成により、広口容器11は、切取用薄肉部16に沿って切除領域14aを切除することができるため、外縁部14cを残して中蓋14に取出し口を開けることが可能である。使用者は蓋部材13aが開いた状態でこの取出し口から手指を収容空間15に差し入れて、内容物Nを取り出すことができる。
【0056】
そのため、使用者は、内容物Nが広口容器11に収容された状態の商品を購入後に、いったん蓋体ユニット13を容器本体12から取り外し、中蓋14を外して再び蓋体ユニット13を容器本体12に組み合わせる必要がなく、中蓋14に取出し口を開けることによって内容物Nを取り出すことができる。このように、使用者にとって手間が少ない。
【0057】
また、中蓋14に取出し口を開けた後も、
図8が示すように外縁部14cは蓋体側挟持部18と本体側挟持部17との間に挟まったまま残り、蓋体側挟持部下面18a及び本体側挟持部上面17aに密着する。そのため、もともと中蓋14が配置されていた箇所に隙間が生じることがない。また、蓋部材13aの内周壁部13hと折り返し部13fの蓋体側挟持部内壁18bとの間に隙間がない。これらにより、収容空間15が大気に開放することがなく、内容物Nの一部が気化してしまう虞は小さい。
【0058】
しかも、中蓋14が弾性材料により形成されるため、外縁部14cが各挟持部17,18によって挟まれることにより、外縁部14cは圧縮され、その反動によって各挟持部17,18を遠ざける向きに膨張しようとする。これにより、外縁部14cと各挟持部17,18との間におけるシール性が増すので、収容空間15と外気とが連通して内容物Nの一部が気化してしまう虞はより小さい。
【0059】
外縁部14cを容器本体12に対して挟んでいる蓋体ユニット13が容器本体12に対して螺合されることにより、使用者は、締付力を調整して蓋体ユニット13を締結することができる。これにより、弾性材料により形成される外縁部14cを適度に圧縮することができるので、外縁部14cと各挟持部17,18との間において最適なシール性を得ることができる。こうして、内容物Nの一部が気化してしまう虞がより小さい。
【0060】
被係止部19が上向きに突出して折り返し部13fの内側に位置するため、蓋体側挟持部18が被係止部19を径方向外向きに係止することにより、外縁部14cは、各挟持部17,18によって挟まれた状態を保つことができ、各挟持部17,18との間におけるシール性を維持することができる。こうして、内容物Nの一部が気化してしまう虞はより小さい。
【0061】
タブ14bが切除領域14aの上側に延設されることにより、使用者は、手指によってタブ14bを摘み上げることができ、切取用薄肉部16に沿って切除領域14aを容易に切除することができる。こうして、広口容器11は手間少なく内容物Nを収容空間15から取り出すことができる。
【0062】
切取用薄肉部16が、本体側挟持部内壁17b及び蓋体側挟持部内壁18bと上下方向視における略同一の位置に設けられることにより、切除領域14aを切除した後の外縁部内側端縁14dと、本体側挟持部内壁17b及び蓋体側挟持部内壁18bとは上下方向視において略同一位置に配置される。そのため、外縁部内側端縁14dはこれら内壁17b,18bの何れに比べても径方向内側に突出することがない。
【0063】
なお、
図7及び
図8において本体側挟持部内壁17b及び蓋体側挟持部内壁18bが上下方向視において略同一の位置に設けられている。しかし、仮に、どちらかの内壁17b,18bが径方向内向き寄りに偏って配設される場合は、切取用薄肉部16が、その内向き寄りに配設される側の内壁17b,18bと上下方向視において略同一の位置に設けられる。そのため、外縁部内側端縁14dはこれら内壁17b,18bの何れに比べても径方向内側に突出することがない。
【0064】
これらにより、使用者は、手指が外縁部内側端縁14dに引っ掛かることなく、その手指を取出し口に挿入して内容物Nを取り出すことができる。こうして、広口容器11はより手間少なく内容物Nを収容空間15から取り出すことができる。
【0065】
蓋部材13aがヒンジ13cによって接合されているため、使用者は、ワンタッチで蓋部材13aを開けて内容物Nを収容空間15から取り出すことができる。また、開いた状態でも蓋部材13aが本体結合部13bから分離しないため、使用者は蓋部材13aを別途の場所において載置する必要がない。これらにより、広口容器11はより手間少なく内容物Nを収容空間15から取り出すことができる。
【0066】
[中蓋の材料]
中蓋14の材質として採用する弾性材料は、日本産業規格(JIS)によるJIS K7215に規定されたタイプDデュロメータ硬さが40以上且つ50未満の材料、または、同じくタイプDデュロメータ硬さが50以上且つ60未満の材料を用いることができる。JIS K7215に規定するタイプDデュロメータ硬さが40以上且つ50未満の材料の例として低密度ポリエチレン(LDPE)が挙げられる。また、JIS K7215に規定されたタイプDデュロメータ硬さが50以上且つ60未満の材料の例として直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が挙げられる。
【0067】
これらのうち、中蓋14の材料として特にタイプDデュロメータ硬さが40以上且つ50未満の材料を用いることがより好ましい。中蓋14の材料がタイプDデュロメータ硬さ40未満の材料である場合には、中蓋14が柔らかすぎて各挟持部17,18によって挟む上でコシが足りず、所定の位置に正しく保持することが困難である。また、使用者が切除領域14aを切除しようとしても伸びてしまってうまく切り取ることができない。逆に、タイプDデュロメータ硬さ50以上の場合に、外縁部14cが硬すぎ、各挟持部17,18によって圧縮され、また、その反動によって膨張することが困難であるために十分なシール性を得にくい。また、中蓋14が硬すぎ、使用者が手指を用いて切除領域14aを切除することが容易ではない。さらに、中蓋14は硬すぎ、各挟持部17,18によって挟む上で適度に各挟持部17,18に倣って微小に変形することが困難であるために蓋体ユニット13と容器本体14とに対して適度に密着しないおそれがある。
【0068】
よって、特に中蓋14の材料がJIS K7215に規定されるタイプDデュロメータ硬さが40以上且つ50未満の範囲であるときに、広口容器11をより容易に製作することができ、また、収容空間15と外気とが連通して内容物の一部が気化してしまう虞がより小さい。
【0069】
しかも、中蓋14の材料が低密度ポリエチレンであるときは、低密度ポリエチレンの耐薬品性が高いため、収容空間15に化粧品、薬品等の化学品を収容する上で、広口容器11は表面がこれらの化学品によって化学反応することが少なく寿命が長い。
【0070】
[充填方法]
本発明の広口容器11には、
図9のフロー図に示す広口容器の充填方法S1000のように内容物Nが充填される。広口容器の充填方法S1000は、準備ステップS1100、充填工程S1200及び組立工程S1300を含む。
【0071】
準備ステップS1100は、内容物Nを準備する内容物準備工程S1110、容器本体12を準備する容器本体準備工程S1120及び蓋体アセンブリー100を準備する蓋体アセンブリー準備工程S1130を含む。蓋体アセンブリー100は、
図10の部分断面図が示すように、蓋体ユニット13に中蓋14を嵌めて組み合わせた状態のアセンブリーを指す。このとき、本体結合部13bに予め
図7(b)に示すようなアンダーカット20を設けてあり、外縁部14cは、上下方向において折り返し部13fとアンダーカット20との間に嵌入している。アンダーカット20は、本体結合部13bの全周において本体結合部13bから容器本体部13の径方向内側に凸設される。そのため、中蓋14はアンダーカット20によって上向きに係止され、蓋体ユニット13から下方へ抜け出てしまうことがない。また、アンダーカット20の内径が中蓋14の外径よりもわずかに小さいため、中蓋14は、わずかに弾性変形することによって脱着自在に蓋体ユニット13に嵌まり込むことができる。そして、中蓋14が蓋体ユニット13に組み合わさるとき、外縁部14cと蓋体側挟持部18とは上下方向に対向する。
【0072】
各準備工程S1110,S1120,S1130において、広口容器の充填方法S1000を実施する事業者は、これら内容物N、容器本体12又は蓋体アセンブリー100を、自ら製造して準備してもよく、または、他所で製造されたものを搬入することによって準備してもよい。
【0073】
充填工程S1200においては、準備ステップS1100において準備された容器本体12の収容空間15に、同じく準備された内容物Nを充填する。充填するために用いる設備は、クリーム状の化粧品、薬品等を従来の容器本体に充填するために用いる充填装置等の設備の一部又は全部と同一であってよい。
【0074】
組立工程S1300においては、容器本体12に対して、ねじ山12dと蓋体ユニット13のねじ溝13iとが噛み合うように、蓋体アセンブリー100を螺着させる。このとき、蓋体アセンブリー100において蓋体ユニット13と組み合わされている中蓋14の外縁部14cは、本体側挟持部17と蓋体側挟持部18との間に挟み込まれる。これによって、容器本体12、蓋体ユニット13及び蓋体14を上下方向に組み立てることができる。組立するために用いる設備は、従来の容器本体に対して、従来の中蓋が従来の蓋体ユニットに組み合わされている従来の蓋体アセンブリーを螺着させるために用いるキャッパー等の設備の一部又は全部と同一であってよい。
【0075】
ところで、既存の広口容器にクリーム状の化粧品、薬品等の内容物を充填する事業者の多くは、これらの内容物を従来の容器本体に充填するための設備を有している。また、従来の容器本体に対して従来の蓋体アセンブリーを螺着させるための設備を有している。そのため、本発明の広口容器の充填方法S1000は、上記のような既存の事業者の多くにおいて、設備の大幅な変更を行わずに採用することができ効率的である。
【0076】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態を、
図11を用いて説明する。
図11(a)の正面視部分断面図において21は広口容器であって、容器本体22と、容器本体22の上側に配置される蓋体ユニット23とを備える。また、容器本体22と蓋体ユニット23との間に平板状の中蓋24を備える。
図11(a)のC部分を
図11(b)に拡大して表わす。これらの図は、中蓋24の切除領域24aが切除される前の状態を示す。
【0077】
中蓋24の外縁部24cは、
図11(b)が示すように本体側挟持部27と蓋体側挟持部28とによって上下方向に挟まれる。このとき、蓋体ユニット23が容器本体22に螺合した結果、各挟持部27,28は上下から外縁部24cを押圧し、本体側挟持部上面27aと蓋体側挟持部下面28aとがそれぞれ外縁部24cの両面に密着する。また、外縁部24cは、その全周囲において各挟持部27,28から径方向外向きにはみ出す被係止部29を有する。
【0078】
被係止部29は、図が示すような容器本体22と蓋体ユニット23とが螺合した状態における各挟持部27,28間の上下方向のギャップである挟持部間ギャップG1よりも上向きに突出する上側円環状部29aを有するとともに、挟持部間ギャップG1よりも下向きに突出する下側円環状部29bを有する。すなわち、被係止部29の上側円環状部29aが蓋体側挟持部28から径方向外向きにはみ出すとともに、被係止部29の下側円環状部29bが本体側挟持部27から径方向外向きにはみ出す。
【0079】
そして、前記の螺合した状態において、上側円環状部29aが折り返し部23fの内側に嵌入しているとともに、下側円環状部29bが本体側挟持部27と本体結合部23bとの径方向のギャップである本体側挟持部外側ギャップG2に嵌入している。この状態により、使用者がタブ24bを持ち上げて切除領域24aを切取用薄肉部26に沿って切り取るときでも、その中蓋24を手繰り寄せるような径方向内向きの力が働くのに対して、蓋体側挟持部18が上側円環状部29aを径方向外向きに係止することができ、かつ、本体側挟持部27が下側円環状部29bを径方向外向きに係止することができる。各挟持部27,28が上下の両側に突出する被係止部29を係止するため、前記の手繰り寄せるような力に抗って、外縁部24cはより一層に切取開始前と変わらない姿勢を保つことができる。
【0080】
また、本体結合部23bにアンダーカット30を設けてあり、外縁部24cは、上下方向において折り返し部23fとアンダーカット30との間に嵌入している。アンダーカット30は、本体結合部23bの全周において本体結合部23bから容器本体部23の径方向内側に凸設される。そのため、中蓋24はアンダーカット30によって上向きに係止され、蓋体ユニット23から下方へ抜け出てしまうことがない。そして、アンダーカット30の内径が中蓋24の外径よりもわずかに小さいため、中蓋24は、わずかに弾性変形することによって脱着自在に蓋体ユニット23に嵌まり込むことができる。
【0081】
その他の構成は、第1の実施形態と共通する。
【0082】
以上の構成により、外縁部24cは各挟持部27,28によって挟まれた状態を保つことができ、各挟持部27,28との間におけるシール性を維持することができる。こうして、内容物Nの一部が気化してしまう虞はより小さい。
【0083】
以上、本発明の実施形態について例示したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0084】
例えば、広口容器11,21は略円柱状以外の形状でもよく、内容物Nを難なく充填することができ、また、使用者が取り出すことができれば、角柱、錐体、錐台等の形状でもよい。
【0085】
また、蓋部材13a,23aは本体結合部13b,23bに対してヒンジ以外の手段によって接合してもよく、蓋部材13a,23aを難なく開閉することができ、且つ広口容器11,21を確実に密閉することができれば、例えば、ネジ方式、嵌め合い等の手段によって接合してもよい。
【0086】
本体結合部13b,23bにアンダーカット20,30を設けなくとも、中蓋14,24が蓋体ユニット13,23から抜け出してしまうことがなければ、例えば、中蓋14,24を蓋体ユニット13,23に対して強く嵌めて組み合わせてもよい。
【0087】
外縁部14c,24cの被係止部19,29は、本体側挟持部17,27が被係止部19,29を確実に径方向外向きに係止することができれば、下向きにのみ突出するように構成されてもよい。
【0088】
被係止部19,29は必ずしも中蓋14,24の全周囲において本体側挟持部17,27又は蓋体側挟持部18,28から径方向外向きにはみ出る必要がなく、径方向外向きに確実に係止されるのであれば中蓋14,24の周囲の一部がはみ出るだけでもよい。
【0089】
蓋体アセンブリー準備工程S1130は、必ずしも充填工程S1200の前に実施する必要がなく、組立工程S1300までの間に充填後の内容物Nが乾燥、変質、異物混入等してしまうことを防止できれば、充填工程S1200と同時に、または、充填工程S1200の後に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、クリーム状の化粧品、薬品等の内容物を充填するための広口容器、および、広口容器にこうした内容物を充填するための充填方法に利用できる。
【符号の説明】
【0091】
11,21 広口容器
12,22 容器本体
13,23 蓋体ユニット
13a,23a 蓋部材
13b,23b 本体結合部
14,24 中蓋
14a,24a 切除領域
14b,24b タブ
14c,24c 外縁部
15 収容空間
16,26 切取用薄肉部
17,27 本体側挟持部
17b 本体側挟持部内壁
18,28 蓋体側挟持部
18b 蓋体側挟持部内壁
19,29 被係止部
20,30 アンダーカット
100 蓋体アセンブリー