(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168463
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】供給装置、供給方法及び光源
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20221031BHJP
H05G 2/00 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
G03F7/20 503
H05G2/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073944
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000115902
【氏名又は名称】レーザーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(72)【発明者】
【氏名】井上 雅貴
(72)【発明者】
【氏名】西澤 正泰
【テーマコード(参考)】
2H197
4C092
【Fターム(参考)】
2H197CA10
2H197GA05
2H197GA24
4C092AA06
4C092AA15
4C092AB10
4C092AB12
(57)【要約】
【課題】EUV光等の照明光を安定的に生成することができる供給装置、供給方法及び光源を提供する。
【解決手段】本発明に係る供給装置1は、回転軸R1を囲む内周面14aを有する容器10であって、ターゲット部材51が溶融された溶融ターゲット50を保持した容器10を、回転軸R1を中心に回転させた場合に、遠心力によって溶融ターゲット50が内周面14aに保持される容器10と、溶融ターゲット50にターゲット部材51を供給する供給ユニット20と、レーザ光の照射によってプラズマを発生させた溶融ターゲット50の内周面14aにおける位置を監視する監視部30と、監視部30が監視した位置に基づいて、ターゲット部材51の供給量を制御する制御部40と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を囲む内周面を有する容器であって、ターゲット部材が溶融された溶融ターゲットを保持した前記容器を、前記回転軸を中心に回転させた場合に、遠心力によって前記溶融ターゲットが前記内周面に保持される前記容器と、
前記溶融ターゲットに前記ターゲット部材を供給する供給ユニットと、
レーザ光の照射によってプラズマを発生させた前記溶融ターゲットの前記内周面における位置を監視する監視部と、
前記監視部が監視した前記位置に基づいて、前記ターゲット部材の供給量を制御する制御部と、
を備えた供給装置。
【請求項2】
前記供給ユニットは、線状の前記ターゲット部材を供給する、
請求項1に記載の供給装置。
【請求項3】
前記供給ユニットは、前記ターゲット部材の融点以上の温度にされたプレートを有し、
前記ターゲット部材を前記プレートに接触させて溶融させ、前記容器内に前記溶融ターゲットを供給する、
請求項1または2に記載の供給装置。
【請求項4】
前記内周面は、内周に沿って形成された溝を有し、
前記溶融ターゲットは、前記溝に保持された、
請求項1~3のいずれか1項に記載の供給装置。
【請求項5】
前記内周面は、内周に沿って形成された溝を有し、
前記溶融ターゲットは、前記溝に保持され、
前記プレートは、前記回転軸を中心軸とする円筒状であり、
前記プレートの外周面は、前記溝を覆う、
請求項3に記載の供給装置。
【請求項6】
回転軸を囲む内周面を有する容器であって、ターゲット部材が溶融された溶融ターゲットを保持した前記容器を、前記回転軸を中心に回転させ、遠心力によって前記溶融ターゲットを前記内周面に保持させるステップと、
前記溶融ターゲットに前記ターゲット部材を供給させるステップと、
レーザ光の照射によってプラズマを発生させた前記溶融ターゲットの前記内周面における位置を監視させるステップと、
監視した前記位置に基づいて、前記ターゲット部材の供給量を制御させるステップと、
を備えた供給方法。
【請求項7】
前記ターゲット部材を供給させるステップにおいて、
線状の前記ターゲット部材を供給させる、
請求項6に記載の供給方法。
【請求項8】
前記ターゲット部材を供給させるステップにおいて、
前記ターゲット部材の融点以上に加熱されたプレートに前記ターゲット部材を接触させて溶融させ、前記容器内に前記溶融ターゲットを供給させる、
請求項6または7に記載の供給方法。
【請求項9】
前記溶融ターゲットを前記内周面に保持させるステップにおいて、
前記内周面は、内周に沿って形成された溝を有し、
前記溶融ターゲットを、前記溝に保持させる、
請求項6~8のいずれか1項に記載の供給方法。
【請求項10】
前記溶融ターゲットを前記内周面に保持させるステップにおいて、
前記内周面は、内周に沿って形成された溝を有し、
前記溶融ターゲットを、前記溝に保持させ、
前記ターゲット部材を供給させるステップにおいて、
前記プレートは、前記回転軸を中心軸とする円筒状であり、
前記プレートの外周面で、前記溝を覆わせる、
請求項8に記載の供給方法。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか1項の供給装置と、
前記溶融ターゲットに前記レーザ光を照射させるレーザ光源と、
前記プラズマから生成されたEUV光を取り出す光学部材と、
を備えた光源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給装置、供給方法及び光源に関するものであり、例えば、EUV光を生成するための供給装置、供給方法及び光源に関する。
【背景技術】
【0002】
高輝度EUV光源における連続的なターゲット供給方法として、液滴(ドロップレット)を利用する方法、及び、透明な基板にターゲット薄膜を蒸着し、基板側からレーザを照射して飛ばす方法、溶融ターゲット池に固体ボール落とす方法等が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-001924号公報
【特許文献2】特開2021-043361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドロップレット、薄膜を用いる方法では、飛翔中のターゲット挙動の制御が困難であり、装置が複雑化するという問題がある。また、ターゲット溶融池に固体ターゲットのボールを落とす方法は、溶融池の温度低下や不完全溶融を引き起こし、ひいては、ターゲット凝固による流路スタックを発生させる。このため、光源としての安定性や信頼性、メンテナンス性に問題がある。
【0005】
また、回転子による遠心力で容器壁面に溶融ターゲット膜を形成するLPP(Laser Produced Plasma)光源では、発光とともにターゲットがデブリとして飛散して減少するため、ターゲット膜厚が経時変化する。よって、レーザ焦点位置を固定していた場合に、レーザ焦点とターゲット表面の位置ずれが生じる。よって、生成されるEUV光の光量の低下を引き起こすという問題がある
【0006】
本発明の目的は、このような問題を解決するためになされたものであり、EUV光等の照明光を安定的に生成することができる供給装置、供給方法及び光源を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る供給装置は、回転軸を囲む内周面を有する容器であって、ターゲット部材が溶融された溶融ターゲットを保持した前記容器を、前記回転軸を中心に回転させた場合に、遠心力によって前記溶融ターゲットが前記内周面に保持される前記容器と、前記溶融ターゲットに前記ターゲット部材を供給する供給ユニットと、レーザ光の照射によってプラズマを発生させた前記溶融ターゲットの前記内周面における位置を監視する監視部と、前記監視部が監視した前記位置に基づいて、前記ターゲット部材の供給量を制御する制御部と、を備える。
【0008】
また、上記供給装置では、前記供給ユニットは、線状の前記ターゲット部材を供給してもよい。
【0009】
さらに、上記供給装置では、前記供給ユニットは、前記ターゲット部材の融点以上の温度にされたプレートを有し、前記ターゲット部材を前記プレートに接触させて溶融させ、前記容器内に前記溶融ターゲットを供給してもよい。
【0010】
上記供給装置では、前記内周面は、内周に沿って形成された溝を有し、前記溶融ターゲットは、前記溝に保持されてもよい。
【0011】
また、上記供給装置では、前記内周面は、内周に沿って形成された溝を有し、前記溶融ターゲットは、前記溝に保持され、前記プレートは、前記回転軸を中心軸とする円筒状であり、前記プレートの外周面は、前記溝を覆ってもよい。
【0012】
本発明に係る供給方法は、回転軸を囲む内周面を有する容器であって、ターゲット部材が溶融された溶融ターゲットを保持した前記容器を、前記回転軸を中心に回転させ、遠心力によって前記溶融ターゲットを前記内周面に保持させるステップと、前記溶融ターゲットに前記ターゲット部材を供給させるステップと、レーザ光の照射によってプラズマを発生させた前記溶融ターゲットの前記内周面における位置を監視させるステップと、監視した前記位置に基づいて、前記ターゲット部材の供給量を制御させるステップとを備える。
【0013】
また、上記供給方法では、前記ターゲット部材を供給させるステップにおいて、線状の前記ターゲット部材を供給させてもよい。
【0014】
さらに、上記供給方法では、前記ターゲット部材を供給させるステップにおいて、前記ターゲット部材の融点以上に加熱されたプレートに前記ターゲット部材を接触させて溶融させ、前記容器内に前記溶融ターゲットを供給させてもよい。
【0015】
上記供給方法では、前記溶融ターゲットを前記内周面に保持させるステップにおいて、前記内周面は、内周に沿って形成された溝を有し、前記溶融ターゲットを、前記溝に保持させてもよい。
【0016】
また、上記供給方法では、前記溶融ターゲットを前記内周面に保持させるステップにおいて、前記内周面は、内周に沿って形成された溝を有し、前記溶融ターゲットを、前記溝に保持させ、前記ターゲット部材を供給させるステップにおいて、前記プレートは、前記回転軸を中心軸とする円筒状であり、前記プレートの外周面で前記溝を覆わせてもよい。
【0017】
本発明に係る光源は、上記供給装置と、前記溶融ターゲットに前記レーザ光を照射させるレーザ光源と、前記プラズマから生成されたEUV光を取り出す光学部材とを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、EUV光等の照明光を安定的に生成することができる供給装置、供給方法及び光源を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態1に係る供給装置を例示した構成図である。
【
図3】実施形態1に係る供給ユニットを例示した斜視図である。
【
図4】実施形態1に係るプレートを例示した斜視図である。
【
図5】実施形態1の別の例に係るプレートを例示した斜視図である。
【
図6】実施形態1の別の例に係るプレートを例示した断面図である。
【
図7】実施形態1に係る供給方法を例示したフローチャート図である。
【
図8】実施形態2に係る光源を例示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0021】
(実施形態1)
実施形態1に係る供給装置及び供給方法を説明する。本実施形態の供給装置及び供給方法は、溶融ターゲットを保持した容器に、ターゲット部材を供給する。まず、<供給装置>を説明する。その後、<供給方法>を説明する。
【0022】
<供給装置>
図1は、実施形態1に係る供給装置を例示した構成図である。
図1に示すように、供給装置1は、容器10、供給ユニット20、監視部30、及び、制御部40を備えている。
図1では、一部の構成を断面図で示している。
【0023】
容器10は、溶融ターゲット50を保持する。容器10は、例えば、坩堝であり、内部で、金属を溶融させることができる。容器10は、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、炭化シリコン(SiC)、グラファイト(C)等のような溶融ターゲット50と反応しにくい材料を含んでいる。
【0024】
溶融ターゲット50は、レーザ光の照射によりプラズマを発生する。溶融ターゲット50は、ターゲット部材51が溶融されたものである。ターゲット部材51は、例えば、インジウムスズ(InSn)、スズ(Sn)、インジウム(In)、リチウム(Li)、ガリウム(Ga)等の少なくともいずれかを含む材料またはそれらの材料を含む合金である。なお、ターゲット部材51は、溶融した溶融ターゲット50がレーザ光の照射によりプラズマを発生するものであれば、上記材料に限らない。容器10は、チャンバーCH内に配置されている。チャンバーCH内は、例えば、真空等に減圧されてもよいし、所定のガスを充填されてもよい。
【0025】
容器10は、回転軸R1を有し、回転軸R1を中心にして回転する。例えば、容器10には、回転軸R1と同軸に延びた棒状のシャフト11が接続されている。シャフト11が回転軸R1を中心にして回転することにより、回転力が容器10に伝達する。よって、容器10は、回転軸R1を中心にして回転する。
【0026】
シャフト11は、回転モータ12に接続されている。回転モータ12は、シャフト11に対して回転軸R1を中心にして回転する動力を伝達する。これにより、回転モータ12は、シャフト11を介して回転軸R1を中心にして容器10を回転させる。
【0027】
容器10は、例えば、一方の開口部が閉じた円筒形状である。容器10の閉じた部分を底部13という。容器10の円筒状の部分を円筒部14という。容器10の回転軸R1は、例えば、鉛直方向に延びている。底部13が下方に位置し、開いた開口部15が上方に位置している。底部13の内側の面を底面13aと呼ぶ。底部13の外側の面を下面13bと呼ぶ。下面13bは、底面13aの反対側の面である。回転軸R1が鉛直方向に延び、開口部15が上方に位置している場合には、底面13aは上方を向き、下面13bは下方を向いている。シャフト11は、底部13の下面13bに接続している。
【0028】
容器10の近傍にヒータ17を備えてもよい。ヒータ17の加熱によって、容器10内に、溶融ターゲット50を形成することができる。ヒータ17は、例えば、容器10の底部13の下方に配置されている。
【0029】
円筒部14の内側の壁面を内周面14aという。円筒部14の外側の面を外周面14bという。外周面14bは、内周面14aの反対側の面である。内周面14aは、回転軸R1を囲んでいる。よって、容器10は、回転軸R1を囲む内周面14aを有している。溶融ターゲット50を保持した容器10を、回転軸R1を中心に回転させた場合には、遠心力によって溶融ターゲット50が内周面14aに保持される。例えば、溶融ターゲット50は、遠心力によって内周面14aにへばりつく。これにより、溶融ターゲット50は、内周面14a上に配置される。
【0030】
図2は、実施形態1の容器10を例示した断面図である。
図2に示すように、回転軸R1を囲むように形成された内周面14aは、回転軸R1との距離が一定の円筒状の部分を含んでもよい。なお、内周面14aは、回転軸R1との距離が変化する傾斜面を含んでもよい。例えば、内周面14aは、底面13aとの接続部分で角Rが設けられてもよい。
【0031】
また、容器10の内周面14aは、内周に沿って形成された溝16を有してもよい。溝16は、例えば、内周面14aと、回転軸R1に直交する面との交線に沿って形成されている。溝16は、内周面14aにおいて、回転軸R1から遠ざかる方向に凹んでいる。
【0032】
内周面14aが溝16を有している場合には、溶融ターゲット50は、溝16に保持されてもよい。溶融ターゲット50を溝16に保持することにより、溶融ターゲット50の移動を制限することができるので、溶融ターゲット50の液面の乱れを抑制することができる。また、溶融ターゲット50の量を溝16内に制限することができるので、必要なターゲット部材51の量を低減することができる。なお、溶融ターゲット50の一部は、溝16の外部に位置してもよい。
【0033】
図3は、実施形態1に係る供給ユニット20を例示した斜視図である。
図3に示すように、供給ユニット20は、容器10に保持された溶融ターゲット50にターゲット部材51を供給する。ターゲット部材51は、線状でもよい。線状のターゲット部材51は、ボビン21に巻かれて保持されてもよい。供給ユニット20は、線状のターゲット部材51をボビン21から容器10内の溶融ターゲット50に供給する。例えば、供給ユニット20の繰り出し部24は、線状のターゲット部材51を、内周面14aの溶融ターゲット50まで繰り出す。線状のターゲット部材51を供給することにより、連続供給することができる。よって、ターゲット部材51を容器10に供給するために供給装置1を停止させる必要がない。
【0034】
図4は、実施形態1に係るプレートを例示した斜視図である。
図4に示すように、供給ユニット20は、プレート22を有してもよい。プレート22は、例えば、板状である。プレート22は、容器10内に配置されている。プレート22は、例えば、内周面14aに対向して配置されている。プレート22は、ターゲット部材51の融点以上の温度にされている。例えば、プレート22は、ヒータ等の加熱部材により、ターゲット部材51の融点以上の温度にされてもよいし、容器10及び容器10内の溶融ターゲット50の輻射熱により、ターゲット部材51の融点以上の温度にされてもよい。
【0035】
供給ユニット20は、ターゲット部材51をプレート22に接触させて溶融させ、容器10内に溶融ターゲット50を供給してもよい。例えば、プレート22により溶融した溶融ターゲット50は、底面13aに落下後、遠心力によって内周面14aに到達する。これにより、容器10内の溶融ターゲット50にターゲット部材51を接触させなくてもよいので、溶融ターゲット50の温度低下を抑制することができる。また、振動等の溶融ターゲット50の液面の乱れを抑制することができる。
【0036】
図5は、実施形態1の別の例に係るプレートを例示した斜視図である。
図6は、実施形態1の別の例に係るプレートを例示した断面図である。
図5及び
図6に示すように、プレート23は、回転軸R1を中心軸とする円筒状でもよい。そして、プレート23の外周面23bは、溝16を覆ってもよい。これにより、溶融ターゲット50を保温し、溶融ターゲット50の状態を安定化させることができる。また、レーザ光を照射してプラズマを発生させた場合のデブリの飛散を抑制することができる。なお、プレート23は、レーザ光の照射及び生成されたEUV光の取り出しのために、一部が除去されてもよい。
【0037】
図1及び
図2に示すように、監視部30は、レーザ光の照射によってプラズマを発生させた溶融ターゲット50の内周面14aにおける位置を監視する。監視部30は、例えば、変位計である。監視部30は、内周面14aに対向して配置されている。監視部30は、内周面14a上に位置する溶融ターゲット50の位置を監視する。例えば、監視部30は、溶融ターゲット50の回転軸R1に向いた表面との距離を測定することにより、内周面14aにおける位置を監視する。
【0038】
制御部40は、監視部30が監視した溶融ターゲット50の内周面14aにおける位置を取得する。そして、制御部40は、取得した溶融ターゲット50の内周面14aにおける位置に基づいて、ターゲット部材51の供給量を制御する。例えば、制御部40は、溶融ターゲット50の量が減少することにより、溶融ターゲット50の内周面14aにおける位置が変化した場合には、ターゲット部材51の供給量が大きくなるように制御する。一方、制御部40は、溶融ターゲット50の量が所定の量を維持することにより、溶融ターゲット50の内周面14aにおける位置が変化していない場合には、ターゲット部材51の供給量を停止するように制御する。制御部40は、例えば、情報処理を行うパーソナルコンピュータ、マイコン等である。
【0039】
<供給方法>
次に、ターゲット部材51の供給方法を説明する。
図7は、実施形態1に係る供給方法を例示したフローチャート図である。
【0040】
図7のステップS11に示すように、遠心力によって溶融ターゲット50を内周面14aに保持させる。具体的には、回転軸R1を囲む内周面14aを有する容器10であって、ターゲット部材51が溶融された溶融ターゲット50を保持した容器10を、回転軸R1を中心に回転させる。このようにして、遠心力によって溶融ターゲット50を内周面14aに保持させる。なお、溶融ターゲット50を内周面14aに保持させる際に、内周面14aは、内周に沿って形成された溝16を有してもよい。そして、溶融ターゲット50を、溝16に保持させてもよい。
【0041】
次に、ステップS12に示すように、溶融ターゲット50にターゲット部材51を供給する。例えば、供給ユニット20に、ターゲット部材51を供給させる際に、線状のターゲット部材51を供給させる。また、供給ユニット20に、ターゲット部材51を供給させる際に、ターゲット部材51の融点以上に加熱されたプレート22にターゲット部材51を接触させて溶融させ、容器10内に溶融ターゲット50を供給させてもよい。
【0042】
なお、溶融ターゲット50を、溝16に保持させた場合には、プレート23は、回転軸R1を中心軸とする円筒状でもよい。そして、プレート23の外周面23bで、溝16を覆わせてもよい。
【0043】
次に、ステップS13に示すように、溶融ターゲット50の内周面14aにおける位置を監視させる。例えば、監視部30に、レーザ光の照射によってプラズマを発生させた溶融ターゲット50の内周面14aにおける位置を監視させる。
【0044】
次に、ステップS14に示すように、監視部30が監視した溶融ターゲット50の内周面14aにおける位置に基づいて、ターゲット部材51の供給量を制御させる。具体的には、制御部40に、監視部30が監視した溶融ターゲット50の内周面14aにおける位置を取得させ、取得させた位置に基づいて、ターゲット部材51の供給量を制御させる。このようにして、ターゲット部材51を供給する。
【0045】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態のターゲット部材51の供給装置1及び供給方法は、変位計等の監視部30によって、容器10内の溶融ターゲット50の位置を一定位置に制御する。これにより、溶融ターゲット50の表面におけるレーザ光の焦点位置を一定にすることができる。よって、EUV光等の照明光を安定的に生成することができ、光量を安定化させることができる。
【0046】
また、ターゲット部材51を線状とすることにより、ボビン21等を含む供給ユニット20によって、連続的にターゲット部材51を容器10に供給することができる。よって、連続稼働を可能にし、生産性を向上させることができる。また、メンテナンスを容易とすることができ、装置を簡素化することができる。
【0047】
さらに、線状のターゲット部材51を供給源として使用することで、溶融ターゲット50の表面位置を連続的に安定化することができ、デブリ飛散による溶融ターゲット50の減少による照明光の光量変化を抑制することができる。
【0048】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る光源を説明する。本実施形態の光源は、上述した供給装置1を用いて、照明光を取り出す。照明光は、例えば、EUV光である。本実施形態の光源は、例えば、検査装置において検査対象を照明する照明光の光源である。また、光源は、露光装置において露光光の光源に用いられてもよい。
【0049】
図8は、実施形態2に係る光源を例示した構成図である。
図8に示すように、光源2は、供給装置1、レーザ光源60、光学部材70を備えている。供給装置1は、実施形態1の供給装置1と同様のものである。なお、図が煩雑にならないように、実施形態1で説明した供給装置1の構成のいくつかを省略している。また、一部の構成を断面図で示している。
【0050】
レーザ光源60は、レーザ光を生成する。レーザ光源60は、生成したレーザ光を溶融ターゲット50に照射させる。レーザ光源60は、集光レンズ等の光学部材を介したレーザ光で溶融ターゲット50を照射してもよい。溶融ターゲット50は、レーザ光の照射により、プラズマを発生させる。プラズマ中のイオン及び電子が再結合する際に、EUV光が生成される。このようにして、溶融ターゲット50に対して、レーザ光を照射することにより、プラズマからEUV光を生成する。
【0051】
光学部材70は、プラズマから生成されたEUV光を取り出す。光学部材70は、例えば、ミラーである。ミラーは、平面鏡でもよいし、凹面鏡でもよい。光学部材70は、溶融ターゲット50が保持された容器10の上方に配置されている。光学部材70は、生成されたEUV光を反射する。光学部材70で反射したEUV光は、光源2の外部に取り出される。
【0052】
本実施形態によれば、光源2は、供給装置1によってターゲット部材51が供給された溶融ターゲット50からEUV光を取り出す。よって、光源2は、照明光として、EUV光を安定的に生成させることができる。また、光源2は、連続稼働が可能であり、メンテナンスを簡素化させることができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1の記載に含まれている。
【0053】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態による限定は受けない。また、実施形態1及び2における各構成は、適宜、組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 供給装置
2 光源
10 容器
11 シャフト
12 回転モータ
13 底部
13a 底面
13b 下面
14 円筒部
14a 内周面
14b 外周面
15 開口部
16 溝
17 ヒータ
20 供給ユニット
21 ボビン
22、23 プレート
23b 外周面
24 繰り出し部
30 監視部
40 制御部
50 溶融ターゲット
51 ターゲット部材
60 レーザ光源
70 光学部材
CH チャンバー
R1 回転軸