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特開2022-168465蓄電装置、蓄電方法および発電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168465
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】蓄電装置、蓄電方法および発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/35 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
H02J7/35 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073947
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】321002112
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ インフラシステムズ
(71)【出願人】
【識別番号】000228578
【氏名又は名称】日本ケミコン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504358517
【氏名又は名称】有限会社ケー・アンド・ダブル
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】伊東 洋一
(72)【発明者】
【氏名】玉光 賢次
(72)【発明者】
【氏名】杉山 浩規
(72)【発明者】
【氏名】直井 和子
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA06
5G503BA03
5G503BB01
5G503BB03
5G503BB05
5G503CA01
5G503CA10
5G503CA11
5G503DA06
5G503DA16
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD03
(57)【要約】
【課題】太陽光発電パネルなどの発電ユニットで得られる発電電力の回収率ないし利用率を高める。
【解決手段】少なくとも充放電特性が異なる第一の蓄電デバイス(キャパシタ12)および第二の蓄電デバイス(バッテリ14)の直列回路を発電ユニット(4)と並列に接続し、発電ユニットの発電電力を蓄電する蓄電部(6)と、発電ユニットの発電電流、発電電圧または発電電力の何れかを用いて前記蓄電部の蓄電電圧を目標値に制御する第一のDC-DCコンバータ(16)と、発電電力に応じて充電しまたは放電する蓄電部の前記第二の蓄電デバイスに得られる電流を目標値に制御する第二のDC-DCコンバータ(18)とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも充放電特性が異なる第一の蓄電デバイスおよび第二の蓄電デバイスの直列回路を発電ユニットと並列に接続し、前記発電ユニットの発電電力を蓄電する蓄電部を備える、蓄電装置。
【請求項2】
さらに、前記発電ユニットの発電電流、発電電圧または発電電力の何れかを用いて前記蓄電部の蓄電電圧を目標値に制御する第一のDC-DCコンバータと、
前記発電電力に応じて充電しまたは放電する前記蓄電部の前記第二の蓄電デバイスに得られる電流を目標値に制御する第二のDC-DCコンバータと、
を備える、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
さらに、前記発電ユニットの発電電流、発電電圧または発電電力の何れかを用いて前記蓄電部の蓄電電圧を目標値に制御する第一のDC-DCコンバータと、
前記発電電力に応じて充電しまたは放電する前記蓄電部の前記第二の蓄電デバイスに流れる電流と出力電圧を用いることにより、前記出力電圧を目標値に制御する第二のDC-DCコンバータと、
を備える、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項4】
さらに、前記発電ユニットおよび前記蓄電部に接続されて前記発電電力を交流電力に変換するとともに、出力電流と前記蓄電部の蓄電電圧を用いることにより、前記蓄電部の蓄電電圧を目標値に制御するインバータと、
を備える、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記発電電力に応じて充電しまたは放電する前記蓄電部の前記第二の蓄電デバイスに得られる電流を目標値に制御するDC-DCコンバータを備える、請求項4に記載の蓄電装置。
【請求項6】
蓄電部が、少なくとも充放電特性が異なる第一の蓄電デバイスおよび第二の蓄電デバイスの直列回路を発電ユニットと並列に接続し、前記発電ユニットの発電電力を蓄電する工程と、
第一のDC-DCコンバータが、前記発電ユニットの発電電流、発電電圧または発電電力の何れかを用いて前記蓄電部の蓄電電圧を目標値に制御する工程と、
第二のDC-DCコンバータが、前記発電電力に応じて充電しまたは放電する前記蓄電部の前記第二の蓄電デバイスに得られる電流を目標値に制御する工程と、
を含む、蓄電方法。
【請求項7】
蓄電部が、少なくとも充放電特性が異なる第一の蓄電デバイスおよび第二の蓄電デバイスの直列回路を発電ユニットと並列に接続し、前記発電ユニットの発電電力を蓄電する工程と、
第一のDC-DCコンバータが、前記発電ユニットの発電電流、発電電圧または発電電力の何れかを用いて前記蓄電部の蓄電電圧を目標値に制御する工程と、
第二のDC-DCコンバータが、前記発電電力に応じて充電しまたは放電する前記蓄電部の前記第二の蓄電デバイスに流れる電流と出力電圧を用いることにより、前記出力電圧を目標値に制御する工程と、
を含む、蓄電方法。
【請求項8】
蓄電部が、少なくとも充放電特性が異なる第一の蓄電デバイスおよび第二の蓄電デバイスの直列回路を発電ユニットと並列に接続し、前記発電ユニットの発電電力を蓄電する工程と、
インバータが、前記発電ユニットおよび前記蓄電部に接続され、前記発電ユニットの発電電力を交流電力に変換する工程と、
前記インバータが、前記インバータの出力電流と前記蓄電部の蓄電電圧を用いることにより、前記蓄電部の蓄電電圧を目標値に制御する工程と、
を含む、蓄電方法。
【請求項9】
直流電力を発電する発電ユニットと、
少なくとも充放電特性が異なる第一の蓄電デバイスおよび第二の蓄電デバイスの直列回路を前記発電ユニットと並列に接続し、前記発電ユニットの発電電力を蓄電する蓄電部と、
を備える、発電システム。
【請求項10】
直流電力を発電する発電ユニットと、
請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の蓄電装置と、
を備える、発電システム。
【請求項11】
前記第一の蓄電デバイスがキャパシタ、前記第二の蓄電デバイスが二次電池である、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の蓄電装置、請求項6、請求項7または請求項8に記載の蓄電方法、請求項9または請求項10に記載の発電システム。
【請求項12】
前記発電ユニットが太陽光発電パネルである、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の蓄電装置、請求項6、請求項7または請求項8に記載の蓄電方法、請求項9、請求項10または請求項11に記載の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽光発電パネルなどの発電ユニットの発電電力の蓄電およびその制御に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムは、発電素子に太陽光発電パネルを用いて太陽光の受光により発電する。発電電力は日射量の影響を受けて変動する。
このような発電システムに関し、太陽光パネルの発電量が所定値以下の場合には、発電出力をキャパシタに蓄電し、このキャパシタから二次電池に充電して出力するシステムが知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-129980公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、太陽光発電パネルが出力する微弱電流をキャパシタに蓄電し、その蓄電電力をDC-DCコンバータで電圧変換した後、二次電池に充電するシステム(たとえば、特許文献1)では、DC-DCコンバータの電圧変換などで生じる消費電力が微弱電流の回収率を低下させるという課題がある。
【0005】
太陽光発電パネルの発電電力をパワーコンディショナに供給する出力モードと、発電電力をキャパシタに蓄電する蓄電モードとを切り替える場合には、両者を切り替えるための回路や切替えの契機となる閾値の設定が不可欠である。この閾値を高レベル化すれば、蓄電電力が増大するものの、パワーコンディショナに向ける発電電力は減少するし、蓄電装置を構成する蓄電キャパシタの負担を増大させる。
【0006】
閾値を低レベル化すれば、曇天や雨天など、太陽光発電パネルが受ける日射量が不安定になる微弱電流域でモード切り替えが頻発し、このモード切り替えによる消費電力が増大するという課題もある。
【0007】
微弱電流域の発電電力をパワーコンディショナで電力変換する場合にはパワーコンディショナの内部回路での消費電力により実用に耐える給電出力が得られないか、パワーコンディショナが制御不能に陥るなどの不測の事態も想定しなければならない。
このような課題は太陽光発電パネルだけでなく、植物電池などの再生可能エネルギによる発電においても同様である。
【0008】
また、太陽光発電パネルは通常、直並列で設置されるが、発電パネルの受光面の方角によっては太陽光の受光量に相違が生じ、発電量が異なってしまう。このような影響を回避するため、最大電力点追従制御(Maximum Power Point Tracking:MPPT)が用いられる。しかも、MPPT制御は太陽光発電パネルごとに必要であり、パワーコンディショナのコストを増大させるという課題がある。
【0009】
本件発明者らは、太陽光発電パネルなどの発電装置から得られる微弱電流域の発電電力の回収(蓄電)にはスイッチなどによる蓄電モードと出力モードの切替えを回避することが電力回収により有効であり、MPPTの簡略化が不可欠であるとの知見を得た。
【0010】
そこで、本開示の目的は上記課題および上記知見に基づき、太陽光発電パネルなどの発電ユニットで得られる発電電力の回収率ないし利用率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本開示の蓄電装置の一側面によれば、少なくとも充放電特性が異なる第一の蓄電デバイスおよび第二の蓄電デバイスの直列回路を発電ユニットと並列に接続し、前記発電ユニットの発電電力を蓄電する蓄電部を備える。
【0012】
この蓄電装置において、さらに、前記発電ユニットの発電電流、発電電圧または発電電力の何れかを用いて前記蓄電部の蓄電電圧を目標値に制御する第一のDC-DCコンバータと、前記発電電力に応じて充電しまたは放電する前記蓄電部の前記第二の蓄電デバイスに得られる電流を目標値に制御する第二のDC-DCコンバータとを備える。
【0013】
この蓄電装置において、さらに、前記発電ユニットの発電電流、発電電圧または発電電力の何れかを用いて前記蓄電部の蓄電電圧を目標値に制御する第一のDC-DCコンバータと、前記発電電力に応じて充電しまたは放電する前記蓄電部の前記第二の蓄電デバイスに流れる電流と出力電圧を用いることにより、前記出力電圧を目標値に制御する第二のDC-DCコンバータとを備える。
【0014】
この蓄電装置において、さらに、前記発電ユニットおよび前記蓄電部に接続されて前記発電電力を交流電力に変換するとともに、出力電流と前記蓄電部の蓄電電圧を用いることにより、前記蓄電部の蓄電電圧を目標値に制御するインバータとを備える。
この蓄電装置において、前記発電電力に応じて充電しまたは放電する前記蓄電部の前記第二の蓄電デバイスに得られる電流を目標値に制御するDC-DCコンバータを備えてよい。
【0015】
上記目的を達成するため、本開示の蓄電方法の一側面によれば、蓄電部が、少なくとも充放電特性が異なる第一の蓄電デバイスおよび第二の蓄電デバイスの直列回路を発電ユニットと並列に接続し、前記発電ユニットの発電電力を蓄電する工程と、第一のDC-DCコンバータが、前記発電ユニットの発電電流、発電電圧または発電電力の何れかを用いて前記蓄電部の蓄電電圧を目標値に制御する工程と、第二のDC-DCコンバータが、前記発電電力に応じて充電しまたは放電する前記蓄電部の前記第二の蓄電デバイスに得られる電流を目標値に制御する工程とを含む。
【0016】
上記目的を達成するため、本開示の蓄電方法の一側面によれば、蓄電部が、少なくとも充放電特性が異なる第一の蓄電デバイスおよび第二の蓄電デバイスの直列回路を発電ユニットと並列に接続し、前記発電ユニットの発電電力を蓄電する工程と、第一のDC-DCコンバータが、前記発電ユニットの発電電流、発電電圧または発電電力の何れかを用いて前記蓄電部の蓄電電圧を目標値に制御する工程と、第二のDC-DCコンバータが、前記発電電力に応じて充電しまたは放電する前記蓄電部の前記第二の蓄電デバイスに流れる電流と出力電圧を用いることにより、前記出力電圧を目標値に制御する工程とを含む。
【0017】
上記目的を達成するため、本開示の蓄電方法の一側面によれば、蓄電部が、少なくとも充放電特性が異なる第一の蓄電デバイスおよび第二の蓄電デバイスの直列回路を発電ユニットと並列に接続し、前記発電ユニットの発電電力を蓄電する工程と、インバータが、前記発電ユニットおよび前記蓄電部に接続され、前記発電ユニットの発電電力を交流電力に変換する工程と、前記インバータが、前記インバータの出力電流と前記蓄電部の蓄電電圧を用いることにより、前記蓄電部の蓄電電圧を目標値に制御する工程とを含む。
【0018】
上記目的を達成するため、本開示の蓄電システムの一側面によれば、直流電力を発電する発電ユニットと、少なくとも充放電特性が異なる第一の蓄電デバイスおよび第二の蓄電デバイスの直列回路を前記発電ユニットと並列に接続し、前記発電ユニットの発電電力を蓄電する蓄電部とを備える。
【0019】
上記目的を達成するため、本開示の蓄電システムの一側面によれば、蓄電システムが、直流電力を発電する発電ユニットと、前記蓄電装置とを備える。
【0020】
上記目的を達成するため、本開示の蓄電装置、蓄電方法または蓄電システムの一側面によれば、前記第一の蓄電デバイスがキャパシタ、前記第二の蓄電デバイスが二次電池である。
【0021】
上記目的を達成するため、本開示の蓄電装置、蓄電方法または蓄電システムの一側面によれば、前記発電ユニットが太陽光発電パネルである。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 少なくとも充放電特性が異なる第一の蓄電デバイスおよび第二の蓄電デバイスを含む直列回路を発電ユニットと並列に接続したので、発電電力が微弱電力ないし通常電力に変動する発電ユニットの発電電力を蓄電しつつ送出することができ、発電電力の変動を蓄電電力で補完できるとともに、発電電力の回収性を高めることができる。
【0023】
(2) 第一の蓄電デバイスおよび第二の蓄電デバイスの直列回路が発電ユニットと並列に接続されているので、発電時、発電ユニットから発電電力が蓄電部に加えられ、蓄電部はフローティング状態で蓄電状態に維持され、発電電力に含まれる微弱電力を回収することができる。
【0024】
(3) 日射量など、電力への被変換エネルギが変動しても、発電ユニットの発電電力の増減に追従して連続的に蓄電でき、発電電力に閾値を設置して充電か否かを切り替える場合の切替え損失の発生を回避でき、電力回収率を高めることができる。
【0025】
(4) 発電電力が低電力時、蓄電部から蓄電電力を負荷または電力系統側に出力することができ、パワーコンディショナの動作不良の回避など、安定給電を実現でき、電力供給の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】第一の実施の形態に係る発電システムを示す図である。
図2】第二の実施の形態に係る発電システムを示す図である。
図3】実施例1に係る発電システムを示す図である。
図4】バッテリの充放電時の動作波形を示す図である。
図5】発電ユニットの発電量変動時の動作波形を示す図である。
図6】実施例2に係る発電システムを示す図である。
図7】負荷変動時の動作波形を示す図である。
図8】発電ユニットの発電量変動時の動作波形を示す図である。
図9】実施例3に係る発電システムを示す図である。
図10】バッテリの充放電時の動作波形を示す図である。
図11】発電ユニットの発電量変動時の動作波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔第一の実施の形態〕
図1は、第一の実施の形態に係る発電システム2を示している。図1に示す構成は一例であり、本開示は斯かる構成に限定されない。
【0028】
この発電システム2は、発電ユニット4が出力する微弱電力を含む発電出力を蓄電する蓄電装置の一例であるとともに、発電電力を交流電力に変換して負荷や電力系統に送出する連係システムの一例である。
【0029】
この発電システム2には発電ユニット4、蓄電部6およびパワーコンディショナ8が設置されている。発電ユニット4は直列化、並列化または直並列化された複数の太陽光発電パネル10-1、10-2、・・・、10-n(以下単に「太陽光パネル10」と称する)を含む。各太陽光パネル10は日射量に応じて発電し、微弱電力を含む直流電力を発電する。この発電システム2は発電ユニット4に植物電池パネルなど、再生可能エネルギを直流電力に変換する発電手段を用いてもよく、太陽光パネル10を用いたものに限定されない。
【0030】
蓄電部6は本開示の蓄電装置の一例である。この蓄電部6はキャパシタ12およびバッテリ14の直列回路を含み、この直列回路が発電ユニット4と並列に接続され、発電ユニット4の発電電流Iaを蓄電する。キャパシタ12は少なくとも充放電特性が異なる第一の蓄電デバイスおよび第二の蓄電デバイスのうち、第一の蓄電デバイスの一例である。このキャパシタ12にはたとえば、電気二重層キャパシタが用いられる。バッテリ14は第二の蓄電デバイスの一例であり、充放電を繰り返すことが可能な二次電池の一例である。
【0031】
第一の蓄電デバイスであるキャパシタ12は第二の蓄電デバイスであるバッテリ14に比較して急速な充放電が可能であり、充放電カーブがスロープ形状となるものが好ましく、たとえば、電気二重層キャパシタ、ハイブリッドキャパシタ及び擬似容量キャパシタ(レドックスキャパシタ)である。電気二重層キャパシタは、電極と電解液中イオンとの間で電子の授受が行われず(非ファラデー反応)、イオンの物理脱吸着のみで充放電が行われる。イオンが電極表面に吸着されると、電極と電解質との間に電気二重層が形成され、蓄電される。容量を高めるためには、電極表面積が大きいほど有利であり、電極材料(活物質)として、一般には、比表面積が大きい活性炭が用いられる。ハイブリッドキャパシタは、電極の一方、例えば正極では、電気二重層キャパシタと同様に、イオンの物理吸着のみで蓄電され、電極の他方、例えば負極では、ファラデー反応により蓄電される。イオンの物理吸着のみで蓄電される電極(例えば正極)では、電極材料(活物質)として、電気二重層キャパシタと同様の材料(活性炭)が用いられ、ファラデー反応が起こる電極(例えば負極)では、グラファイトやチタン酸リチウムなどのインターカレーション可能な材料が主に用いられる。擬似容量キャパシタ(レドックスキャパシタ)は、特定の金属を電極に用いることで、電気二重層に加えて酸化還元容量も利用可能である。
【0032】
第一の蓄電デバイスおよび第二の蓄電デバイスの充放電特性について、「充放電特性が異なる」とは、少なくとも充電時定数または放電時間が異なることである。つまり、充放電特性を表す充電時定数や放電時間は、どのような形態で推移してもよいが、充電時定数または放電時間の長さについて、
第一の蓄電デバイスとしてのキャパシタ12の充電時定数 < 第二の蓄電デバイスとしてのバッテリ14の充電時定数、または、
キャパシタ12の放電時間 < バッテリ14の放電時間
の関係にある。
【0033】
パワーコンディショナ8は、第一のDC(=直流)-DC(=直流)コンバータ(以下単に「DC-DC」と称する)16、第二のDC(=直流)-DC(=直流)コンバータ(以下単に「DC-DC」と称する)18およびインバータ(以下単に「INV」と称する)20を備える。
【0034】
DC-DC16は発電ユニット4の発電電力を受け、この発電電力を所望の電圧の直流電力に変換する機能部であり、コンバータ部16-2および制御部16-4を備える。コンバータ部16-2は発電電力を所望の電圧の直流電力に変換する。制御部16-4は、電圧制御部の一例であり、蓄電部6の蓄電電圧およびDC-DC16の入力電流Id1を用いて蓄電部6の蓄電電圧を目標値に制御する。この制御部16-4は、アナログ回路で構成してもよいし、マイコン(マイクロコンピュータ)など、デジタル回路で構成してもよい。この蓄電電圧は発電電流のほか、発電電圧または発電電力の何れかを用いて制御してもよい。
【0035】
DC-DC18は発電ユニット4の発電電力を受け、この発電電力を所望の電圧の直流電力に変換する機能部であり、さらには蓄電部6に発電電力を充放電する機能部であり、コンバータ部18-2および制御部18-4を備える。コンバータ部18-2は発電電力または蓄電部6の電力を所望の電圧の直流電力に変換する。制御部18-4は電流制御部の一例であり、発電ユニット4の発電電力に応じて充電状態または放電状態になるバッテリ14に流れる入力電流Id2を目標値に制御する。この制御部18-4は、アナログ回路で構成してもよいし、マイコンなど、デジタル回路で構成してもよい。
【0036】
INV20はDC-DC16、18の出力端21から直流電力を受け、この直流電力を電力系統と同様の交流電力に変換する。この交流電力は系統連系時、出力端子22から負荷や電力系統に供給される。
【0037】
<蓄電部6の蓄電動作および電力の送出>
蓄電部6は、キャパシタ12およびバッテリ14の直列回路であり、発電ユニット4に対して並列に接続されている。発電ユニット4の発電電圧Vaはキャパシタ12およびバッテリ14の直列回路に加えられ、キャパシタ12およびバッテリ14で分担する。発電ユニット4の発電電圧Vaに対し、バッテリ14の充電電圧をVb、キャパシタ12の充電電圧をVcとすると、発電電圧Vaは、式(1)で表される。
Va=Vb+Vc ・・・(1)
蓄電部6は、発電ユニット4から発電電圧Vaを受け、バッテリ14は、キャパシタ12を介して充電電圧Vbに充電され、キャパシタ12は充電電圧Vcに充電される。つまり、蓄電部6には発電ユニット4の発電電力が蓄電される。
【0038】
発電ユニット4およびキャパシタ12がDC-DC16に接続され、バッテリ14がDC-DC18に接続されている。キャパシタ12はDC-DC16、18の入力端間に接続される。したがって、DC-DC16の入力端電圧は発電電圧Vaであるのに対し、DC-DC18の入力端電圧は充電電圧Vbである。この充電電圧Vbは、式(1)から式(2)で求められる。
Vb=Va-Vc ・・・(2)
DC-DC16の入力電圧は発電ユニット4からの発電電圧Vaであるのに対し、DC-DC18の入力電圧は充電電圧Vbであり、つまり、この充電電圧Vbは、発電電圧Vaからキャパシタ12が分担する充電電圧Vcだけ減じられた蓄電電圧である。
【0039】
したがって、発電ユニット4で得られる微弱電力を含む発電電力は蓄電部6に流れ込み、つまり、キャパシタ12に流れ込み、このキャパシタ12を介してバッテリ14に流れ込むとともにDC-DC16に流れ込む。DC-DC16に流れ込んだ発電電力はDC-DC16の直流変換の後、INV20に伝送される。INV20は、DC-DC16、18の直流電力を交流に変換して負荷または電力系統に供給する。
【0040】
DD-DC18はバッテリ14とINV20の間に介在しており、発電電力と負荷電力との大小関係により動作が異なる。発電電力が負荷電力を充足している場合には、発電電力がDD-DC18を通してINV20に供給される。一方、負荷電力に対して発電電力の余剰分は、DC-DC18を介してバッテリ14に供給され、バッテリ14に充電される。これに対し、発電電力が負荷電力に対して不足する場合には、その不足分がバッテリ14の蓄電電力で補填され、INV20に供給される。
【0041】
<DC-DC16、18の制御動作>
発電ユニット4の発電電流IaがDC-DC16および蓄電部6に供給される。DC-DC16に入る入力電流Id1はDC-DC16の電流制御機能により制御され、バッテリ14からDC-DC18に入る入力電流Id2はDC-DC18の電流制御機能により制御される。つまり、各入力電流Idl、Id2は独立して制御される。
【0042】
a)電力系統と連係している場合(系統と連係の場合)
発電ユニット4の発電電圧Vaは蓄電部6に加えられており、DC-DC16の制御動作により所望の一定電圧に制御される。この結果、発電ユニット4の発電電流IaはDC-DC16の入力電流Id1と等しくなる(Ia=Id1)。
【0043】
これに対し、バッテリ14からDC-DC18に流れ込む入力電流Id2はDC-DC18により、入力電流Id1と別個に所望の値に制御される。
このとき、DC-DC16、18からINV20に加わる入力電圧VdはINV20によって所望の一定値に制御される。
【0044】
b)電力系統と独立している場合(系統と非連係の場合)
系統連系の場合と同様に、発電電圧Vaは、DC-DC16により所望の一定値に制御され、その結果、発電ユニット4の発電電流IaがDC-DC16の入力電流Id1と等しくなる。
【0045】
そして、INV20は、DC-DC16が出力する直流電力を受け、この直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する。このとき、DC-DC18がINV20に対する入力電圧(系統リンク電圧)Vdを所望の一定値に制御する。
【0046】
発電ユニット4の発電電力が負荷電力よりも大であれば、DC-DC18からその余剰分の電力がバッテリ14に供給され、蓄電される。
発電ユニット4の発電電力が負荷電力より小であれば、DC-DC18がその不足分の電力をバッテリ14から放電させ、INV20側に供給する。
【0047】
<蓄電工程I>
この発電システム2の制御には第1の蓄電工程Iが含まれる。この蓄電工程Iは本開示の蓄電方法の一例である。この蓄電工程Iには、蓄電部6による蓄電(S101)、DC-DC16による電圧制御(S102)、DC-DC18による電流制御(S103)などが含まれる。
【0048】
蓄電部6による蓄電(S101): 蓄電部6は既述の構成を備え、発電ユニット4の発電電力を受け、キャパシタ12とバッテリ14とを以て分圧して蓄電する。
【0049】
DC-DC16による電圧制御(S102): DC-DC16は既述の構成を備え、発電ユニット4の発電電流を受け、蓄電部6の蓄電電圧を目標値に制御する。
【0050】
DC-DC18による電流制御(S103): DC-DC18は既述の構成を備え、発電ユニット4の発電電力に応じて充電しまたは放電する蓄電部6のバッテリ14に得られる電流を目標値に制御する。
【0051】
<蓄電工程II>
この発電システム2の制御には第2の蓄電工程IIが含まれる。この蓄電工程IIは本開示の蓄電方法の一例である。この蓄電工程IIには、蓄電部6による蓄電(S201)、DC-DC16による電圧制御(S202)、DC-DC18による電圧制御(S203)などが含まれる。
【0052】
蓄電部6による蓄電(S201): 蓄電部6は既述の構成を備え、発電ユニット4の発電電力を受け、キャパシタ12とバッテリ14とを以て分圧して蓄電する。
【0053】
DC-DC16による電圧制御(S202): DC-DC16が既述の構成を備え、発電ユニット4の発電電流を用いて蓄電部6の蓄電電圧を目標値に制御する。
【0054】
DC-DC18による電圧制御(S203): DC-DC18が既述の構成を備え、発電ユニット4の発電電力に応じて充電しまたは放電する蓄電部6のバッテリ14に流れる電流と、DC-DC16の出力電圧を用いることにより、その出力電圧を目標値に制御する。
【0055】
<第一の実施の形態の効果>
この第一の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 発電ユニット4の発電電力を蓄電する蓄電部6がキャパシタ12およびバッテリ14の直列回路で構成されるので、発電電圧Vaが式(1)で示す通り、バッテリ14側の充電電圧Vbとキャパシタ12側の充電電圧Vcに分圧され、この電圧分担が各セル数に応じた値で充足される。この結果、キャパシタ12のキャパシタセル、バッテリ14のバッテリセルの直列セル数を低減できる。
【0056】
(2) 発電ユニット4の発電電力、つまり、微弱電力から大電力までの電力を蓄電部6のキャパシタ12およびバッテリ14の直列回路で受けて連続的且つシームレスに蓄電することができる。このような動作は主としてDC-DC16、18の制御動作によって実現でき、電力に応じてキャパシタ充電を選択的に行う充電切替えや放電回路が不要である。充放電の切替えのための電力損失を削減でき、発電電力の回収率を高めることができる。
【0057】
(3) DC-DC16で発電ユニット4の発電電力の入力制御が行われるので、従前、太陽光パネル10ごとに設置されていたMPPT制御のための回路が不要であり、パワーコンディショナ8のコス卜を低減することができる。蓄電部6にキャパシタ12を設置しているので、MPPT機能を簡略化でき、ひとつのDC-DC16にMPPT制御を行うだけでよい。
【0058】
(4) DC-DC18の動作により、負荷が必要とする負荷電力に対して発電電力の余剰分をバッテリ14に蓄電し、その不足分をバッテリ14からINV20を通して負荷に供給することができる。
【0059】
〔第二の実施の形態〕
図2は、第二の実施の形態に係る発電システム2を示している。図2において、図1と同一部分には同一符号を付してある。この図2に示す構成は一例であり、本開示は斯かる構成に限定されない。
【0060】
この第二の実施の形態に係る発電システム2は第一の実施の形態と同様に、発電ユニット4の発電電力を入力電力とし、負荷や配電系統に送出する送出システムの一例、交流電力への変換システムの一例、または、発電ユニット4からの入力電力の蓄電装置の一例である。この発電システム2には発電ユニット4、蓄電部6およびパワーコンディショナ8を備えている。
発電ユニット4および蓄電部6は第一の実施の形態と同様であるので、その説明を割愛する。
【0061】
図2に示すパワーコンディショナ8は、DC-DC18およびINV24を備えている。つまり、第一の実施の形態におけるDC-DC16の機能をINV24で実現する構成である。DC-DC18は第一の実施の形態(図1)と同様であるので、その説明を割愛する。
【0062】
INV24はインバータ部24-2および制御部24-4を備える。インバータ部24-2は、発電ユニット4および蓄電部6に接続され、発電ユニット4から発電電力を受け、商用交流と同様の交流電圧の交流電力に変換して出力端子22から電力系統に送出する。制御部24-4はインバータ制御部の一例であり、蓄電部6の蓄電電圧(直流リンク電圧Vd=入力電圧)を目標値に制御する電圧制御部であるとともに、インバータ電流を制御するインバータ電流制御部を構成する。この制御部24-4は、アナログ回路で構成してもよいし、マイコンなど、デジタル回路で構成してもよい。
【0063】
a)電力系統と連係している場合(系統と連係の場合)
発電ユニット4の発電電圧Vaは蓄電部6に加えられており、INV24の電圧制御動作により所望の一定電圧に制御される。この結果、発電ユニット4の発電電流IaはINV24の入力電流Id1と等しくなる(Ia=Id1)。
【0064】
バッテリ14からDC-DC18に流れ込む入力電流Id2はDC-DC18により、入力電流Id1と別個に所望の値に制御される。
このとき、INV24に加わる入力電圧VdはINV24によって所望の一定値に制御される。
【0065】
b)電力系統と独立している場合(系統と非連係の場合)
INV24は、発電ユニット4の発電電力である直流電力を受け、この直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する。このとき、DC-DC18がINV24に対する入力電圧Vd=Vaを所望の一定値に制御する。その結果、発電ユニット4の発電電流IaがINV24の入力電流Id1と等しくなる。
【0066】
日射量が低い場合など、発電ユニット4の発電電力が低い場合には、DC-DC18が入力電圧Vdの目標電圧値を低下させ、キャパシタ12の充電電圧Vcを低下させる。
そして、発電ユニット4の発電電力が負荷電力よりも大であれば、DC-DC18が余剰分の電力をバッテリ14に供給して充電する。
発電ユニット4の発電電力が負荷電力より小であれば、DC-DC18が不足分の電力をバッテリ14からINV24側に放電する。
【0067】
<蓄電工程III>
この発電システム2の制御には第3の蓄電工程IIIが含まれる。この蓄電工程IIIは本開示の蓄電方法の一例である。この蓄電工程IIIには、蓄電部6による蓄電(S301)、DC-DC18による電流制御(S302)、INV24による制御(S303、S304)などが含まれる。
蓄電部6による蓄電(S301): 蓄電部6が既述の構成を備え、発電ユニット4の発電電力を蓄電する。
【0068】
DC-DC18による電流制御(S302): DC-DC18が既述の構成を備え、発電ユニット4の発電電力に応じて充電しまたは放電する蓄電部6のバッテリ14に得られる電流を目標値に制御する。
【0069】
INV24による制御(S303): INV24が既述の構成を備え、発電ユニット4の発電電力を交流電力に変換する。
INV24による制御(S304): INV24が既述の構成を備え、インバータ電流と蓄電部6の蓄電電圧を用いて蓄電部6の蓄電電圧を目標値に制御する。
【0070】
<蓄電工程IV>
この発電システム2の制御には第4の蓄電工程IVが含まれる。この蓄電工程IVは本開示の蓄電方法の一例である。この蓄電工程IVには、蓄電部6による蓄電(S401)、DC-DC18による電流制御(S402)、電圧制御(S403)INV24による制御(S404)などが含まれる。
蓄電部6による蓄電(S401): 蓄電部6が既述の構成を備え、発電ユニット4の発電電力を蓄電する。
【0071】
DC-DC18による電流制御(S402): DC-DC18が既述の構成を備え、発電ユニット4の発電電力に応じて充電しまたは放電する蓄電部6のバッテリ14に得られる電流を目標値に制御する。
【0072】
DC-DC18による制御(S403): DC-DC18が既述の構成を備え、バッテリ14の電流を用いて目標値にVa=Vdを制御する。
INV24による制御(S404): INV24が既述の構成を備え、発電ユニット4の発電電力を交流電力に変換する。
【0073】
<第二の実施の形態の効果>
この第二の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) DC-DC16(図1)を設置することなく、第一の実施の形態と同様の効果が得られる。
(2) DC-DC16が不要であり、その分だけ回路構成の簡略化を図ることができる。
(3) DC-DC16が必要としていた制御が不要になる。
(4) キャパシタ12が分担する充電電圧Vcを低下させるので、発電ユニット4が出力する微弱電力の蓄電を効率よく行うことができる。
【実施例0074】
図3は、実施例1に係る発電システム2を示している。この実施例1は、第一の実施の形態に係り、系統連系時の発電システム2である。図3において、図1と同一部分には同一符号を付している。
系統連系時の発電システム2では、発電ユニット4、蓄電部6およびDC-DC16、18が用いられる。図3に示すように、DC-DC16はコンバータ部16-2および制御部16-4を備え、DC-DC18はコンバータ部18-2および制御部18-4を備え、出力端21-1、21-2から直流電力を出力する。
【0075】
<発電ユニット4>
発電ユニット4は、既述の発電ユニット4と同様に微弱電力から通常電力までの電力を発電する。したがって、この発電ユニット4は出力電力が制御可能な電流源で模擬することができる。
【0076】
<蓄電部6>
蓄電部6にはキャパシタ12およびバッテリ14の直列回路を用いる。バッテリ14について、たとえば、実機上のバッテリ14の蓄電電圧を想定する電圧を発生し、充放電電流と同様に電流が制御可能な電圧源で模擬することが可能である。
蓄電部6には電圧計13および電流計15を併設する。電圧計13は蓄電部6の端子間電圧、つまり、蓄電部6の蓄電電圧を計測する。電流計15は、DC-DC18のコンバータ部18-2の入力部に接続され、バッテリ14に流れる充電電流または放電電流である入力電流Id2を計測する。
【0077】
<DC-DC16>
コンバータ部16-2は非絶縁のチョッパ回路で構成される。このチョッパ回路はたとえば、トランジスタ28、30、ダイオード32、34およびチョークコイル36で構成される。直列化されたトランジスタ28、30は交互に導通させるスイッチ回路を構成する。ダイオード32はトランジスタ28の遮断時、動作電流を還流させる還流ダイオードを構成する。ダイオード34はトランジスタ30の遮断時、動作電流を還流させる還流ダイオードを構成する。チョークコイル36は、発電ユニット4とコンバータ部16-2の入力部との間に接続され、トランジスタ28、30のスイッチングに応じて電力エネルギを保持する。
【0078】
制御部16-4は、蓄電部6側からフィードバックされる発電電圧Vaおよび入力電流Id1を用いて、蓄電部6の蓄電電圧を目標値に制御する。したがって、制御部16-4には発電電圧Vaを用いる電圧制御系である電圧制御部16-42と、入力電流Id1を用いる電流制御系である電流制御部16-44が含まれる。電圧制御部16-42は加算器38および係数増幅器40で構成され、電流制御部16-44は加算器42および係数増幅器44で構成される。
【0079】
加算器38は、蓄電電圧と目標電圧値とを比較する比較器の一例である。加算器38の非反転入力(+)には電圧源46から蓄電電圧の目標値が設定され、その反転入力(-)には絶縁増幅器48で検出された蓄電部6の蓄電電圧が加えられる。絶縁増幅器48は、蓄電部6の蓄電電圧を検出する電圧検出手段の一例である。
したがって、加算器38には目標電圧と蓄電電圧の差電圧が得られる。電圧制御系および電流制御系の統合制御のため、この加算器38の出力は、係数増幅器40で係数(=K1)倍される。
【0080】
加算器42は係数増幅器40の出力と、入力電流Id1に相当する電圧とを比較する比較器の一例である。加算器42の非反転入力(+)には係数増幅器40の出力が加えられ、その反転入力(-)にはホール素子50から入力電流Id1の検出出力が加えられている。ホール素子50は、コンバータ部16-2の入力部に接続され、入力電流Id1を検出する電流検出手段の一例である。
したがって、加算器42には非反転入力(+)と反転入力(-)の差電圧が得られる。この加算器42の出力は係数増幅器44で係数(=K2)倍され、係数増幅器44から被変調電圧が生成される。
【0081】
比較増幅器52は第1の変調器の一例である。比較増幅器52の非反転入力(+)には三角波発生器56から三角波電圧が加えられ、その反転入力(-)には係数増幅器44から被変調電圧が加えられている。したがって、比較増幅器52では被変調電圧が三角波電圧によって変調されるとともに、蓄電部6の蓄電電圧が目標値に一致するように、変調器(=比較増幅器52)の変調率が調整される。
【0082】
そして、比較増幅器52の変調出力はバッファ増幅器58を介してトランジスタ28のベースに加えられ、また、この変調出力がインバータ60で反転された後、バッファ増幅器62を介してトランジスタ30のベースに加えられている。したがって、比較増幅器52の出力に基づき、つまり、三角波周期に同期してトランジスタ28、30を交互に導通させ、直流出力を断続させるとともに、チョークコイル36の蓄電による平滑機能と相まってDC-DC16の直流出力が得られる。
【0083】
<DC-DC18>
コンバータ部18-2は、非絶縁のチョッパ回路で構成され、一例としてトランジスタ64、66、ダイオード68、70およびチョークコイル72で構成されている。直列化されたトランジスタ64、66は交互に導通させるスイッチ回路を構成する。ダイオード68はトランジスタ64の遮断時、動作電流を還流させる還流ダイオードを構成し、ダイオード70はトランジスタ66の遮断時、動作電流を還流させる還流ダイオードを構成する。チョークコイル72は、蓄電部6のバッテリ14とコンバータ部18-2の入力部との間に接続され、トランジスタ64、66のスイッチングに応じて電力エネルギを保持する。
【0084】
制御部18-4は、蓄電部6側からフィードバックされる入力電流Id2を目標電流値に制御する。したがって、制御部18-4は、入力電流Id2による電流制御系を持つ直流電圧制御系回路で構成され、加算器74、係数増幅器76で構成される。
加算器74の非反転入力(+)には電圧源78で入力電流Id2の目標値が設定され、その反転入力(-)にはホール素子80から入力電流Id2の検出出力が加えられている。ホール素子80は、コンバータ部18-2の入力部に接続され、入力電流Id2を検出する電流検出手段の一例である。
したがって、加算器74には非反転入力(+)と反転入力(-)の差電圧が得られる。この加算器74の出力は係数増幅器76で係数(=K3)倍され、係数増幅器76から被変調電圧が生成される。
【0085】
比較増幅器54は第2の変調器の一例である。比較増幅器54の非反転入力(+)には三角波発生器56から三角波電圧が加えられ、その反転入力(-)には係数増幅器76から被変調電圧が加えられている。したがって、比較増幅器54では被変調電圧が三角波電圧によって変調されるとともに、入力電流Id2が目標電流値に一致するように、変調器(=比較増幅器54)の変調率が三角波電圧に対する被変調電圧のレベルにより調整される。
【0086】
そして、比較増幅器54の変調出力はバッファ増幅器82を介してトランジスタ64のベースに加えられ、また、この変調出力がインバータ84で反転された後、バッファ増幅器86を介してトランジスタ66のベースに加えられている。したがって、比較増幅器54の出力に基づき、トランジスタ64、66を交互に導通させて直流出力を断続させるとともに、ダイオード68またはダイオード70による電流の還流により、チョークコイル72の蓄電による平滑機能と相まってDC-DC18の直流出力が得られる。
【0087】
<バッテリ14の充放電時の動作例1-1>
この動作例1-1は、バッテリ14の充放電時の動作を想定している。発電ユニット4の発電電流Iaは一定値たとえば10〔A〕とする。
【0088】
図4のAは、発電ユニット4の発電電圧Vaを示している。バッテリ14の充放電時、蓄電電圧は電圧源46で定義される目標電圧である一定電圧たとえば、250〔V〕に制御され、このとき、発電ユニット4の発電電流Iaは一定値たとえば、10〔A〕である。
【0089】
これに対し、図4のBは、DC-DC16の入力電流Id1、DC-DC18の入力電流Id2を示している。
入力電流Id1はDC-DC16による電圧制御、電流制御の結果、一定値、Id1=10〔A〕=Iaとなっていることが確認できる。キャパシタ12に流入する発電電流Iaは流出するId1と等しくなり、キャパシタ12は充電も放電もされない。
このとき、バッテリ14は充放電を呈する。DC-DC18の入力電流Id2において、バッテリ14の放電区間の入力電流Id2-1は、Id2-1=5〔A〕であり、また、バッテリ14の充電区間の入力電流Id2-2は、Id2-2=-5〔A〕である。DC-DC18による入力電流Id2の制御と、DC-DC16による発電電圧Vaの制御は相互に干渉することなく独立に制御できていることが確認できる。
【0090】
<発電ユニット4の発電量変動時の動作例1-2>
この動作例1-2は、発電ユニット4の発電量変動時の動作を想定している。発電ユニット4の発電電力に対し、発電電圧Vaは一定値たとえば、Va=250〔V〕に制御される。この場合、発電ユニット4の発電量、発電電流Iaはたとえば、Ia=0〔A〕~10〔A〕で大きく変動する。
【0091】
図5のAは、発電電圧Va(DC-DC16の入力電圧)を示している。
発電ユニット4の発電量変化として、発電電流Iaは、たとえば、10〔A〕~0〔A〕、0〔A〕~10〔A〕に変動する。この場合、発電電流Iaが変動しているにもかかわらず、蓄電電圧は目標値である一定電圧たとえば、250〔V〕に制御されていることがわかる。
【0092】
図5のBは、DC-DC16の入力電流Id1、DC-DC18の入力電流Id2を示している。
入力電流Id1は、DC-DC16による蓄電部6の充電電圧、入力電流Id1の制御の結果、発電電流Iaの変動と等しくなる。この入力電流Id1において、発電電流Iaが10〔A〕の区間の入力電流Id1-1は、Id1-1=10〔A〕であり、また、発電電流Iaが0〔A〕区間の入力電流Id1-2は、Id1-2=0〔A〕である。
これに対し、DC-DC18の入力電流Id2は目標値を0〔A〕の一定値としているため、Id2=0〔A〕に制御できていることが確認できる。
DC-DC18による入力電流Id2の制御と、DC-DC16による発電電圧Vaの制御は相互に干渉することなく独立に制御できていることが確認できる。
【0093】
<実施例1の効果>
この実施例1によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 既述した第一の実施の形態で示した構成を実現することができ、第一の実施の形態と同様の効果が得られる。
(2) 蓄電部6の充放電動作により、発電ユニット4から得られる微弱電力をキャパシタ12に充電でき、発電電力の大小に関係なく、発電電力を回収することができる。
(3) 発電電力のレベルによって充放電の切替えをスイッチなどの素子で切り替える必要がなく、発電電力レベルが変動してもシームレスに発電電力を回収し、有効に活用することができる。
【実施例0094】
図6は、実施例2に係る発電システム2を示している。この実施例2は、第一の実施の形態に係る発電システム2であって、系統から独立した場合のシミュレーション回路を示している。図6において、図1および図3と同一部分には同一符号を付している。
図6に示す発電システム2は、バッテリ14、蓄電部6、パワーコンディショナ8におけるDC-DC16、18を含んでいる。
【0095】
<バッテリ14>
バッテリ14は、実施例1(図3)と同一であるので、その説明を割愛する。
【0096】
<蓄電部6>
蓄電部6は、実施例1(図3)と同一であるので、その説明を割愛する。
【0097】
<パワーコンディショナ8>
パワーコンディショナ8はDC-DC16、18とともにキャパシタ88を備え、出力端21-1、21-2から直流電力を出力する。
【0098】
<DC-DC16>
コンバータ部16-2、制御部16-4の電圧制御部16-42および電流制御部16-44は、実施例1(図3)と同一であるので、各構成素子に同一符号を付し、その説明を割愛する。
【0099】
<DC-DC18>
DC-DC18はコンバータ部18-2と、制御部18-6とで構成される。
コンバータ部18-2は、実施例1(図3)と同一であるので、各構成素子に同一符号を付し、その説明を割愛する。
【0100】
制御部18-6は、DC-DC18の出力側からフィードバックされる入力電圧Vdおよび蓄電部6側からフィードバックされる入力電流Id2を用いて、DC-DC18の出力側に得られる出力電圧を目標値に制御する。したがって、制御部18-6には出力電圧を用いる電圧制御系である電圧制御部18-62と、入力電流Id2を用いる電流制御系である電流制御部18-64が含まれる。電圧制御部18-62は係数増幅器90および加算器92で構成され、電流制御部18-64は加算器94および係数増幅器96で構成される。
【0101】
電圧源98は、入力電圧Vdの目標値としての基準電圧を設定する。この目標値は係数増幅器90で係数(=K4)倍される。加算器92は目標値と出力電圧を比較する比較器の一例である。この加算器92の非反転入力(+)には目標値が設定され、その反転入力(-)にはキャパシタ88の両端電圧、すなわち、絶縁増幅器100で検出された出力電圧が加えられる。したがって、加算器92には目標値と出力電圧の差電圧が得られる。
【0102】
加算器94は、加算器92の出力電圧と入力電流Id2を表す電圧とを比較する比較器の一例である。この加算器94の非反転入力(+)には加算器92の出力電圧が加えられ、その反転入力(-)には既述のホール素子80から入力電流Id2の検出出力が加えられている。
したがって、加算器94には非反転入力(+)と反転入力(-)の差電圧が得られる。加算器94の出力は係数増幅器96で係数(=K5)倍され、係数増幅器96から被変調電圧が生成される。
【0103】
比較増幅器54の非反転入力(+)には三角波発生器56から三角波電圧が加えられ、その反転入力(-)には係数増幅器96から被変調電圧が加えられている。したがって、比較増幅器54では被変調電圧が三角波電圧によって変調されるとともに、入力電圧Vdが目標値に一致するように、変調器(=比較増幅器54)の変調率が三角波電圧に対する被変調電圧のレベルにより調整される。
【0104】
そして、比較増幅器54の変調出力は、バッファ増幅器82を介してトランジスタ64のベースに加えられ、また、この変調出力がインバータ84で反転された後、バッファ増幅器86を介してトランジスタ66のベースに加えられている。比較増幅器54の変調出力に基づき、トランジスタ64、66を交互に導通させて直流出力を断続させるとともに、ダイオード68またはダイオード70による電流の還流により、チョークコイル72の蓄電による平滑機能と相まってDC-DC18の直流出力が得られる。したがって、パワーコンディショナ8のキャパシタ88には、電圧源98の目標値に制御された入力電圧Vdを持つ直流電力が得られ、出力端21-1、21-2から取り出すことができる。
【0105】
<負荷変動時の動作例2-1>
この動作例2-1は、負荷変動時の動作を想定している。負荷変動時、負荷に流れる動作電流である負荷電流Ieはたとえば、0〔A〕~15〔A〕で変動し、発電ユニット4の発電電流Iaは一定値たとえば、10〔A〕とする。このとき、入力電圧Vdはたとえば、380〔V〕に制御する。発電ユニット4の発電電圧Vaは一定値たとえば、250〔V〕に制御される。つまり、蓄電部6の蓄電電圧は250〔V〕に制御する。
【0106】
図7のAは、発電電圧Vaおよび負荷変動時の負荷電圧Ve=Vdを示している。DC-DC16により制御される発電電圧Vaは目標値に制御できることを確認できる。DC-DC18により制御される負荷電圧Veは、定常偏差が生じるものの、目標値に制御できていることを確認できる。図7のBは、負荷電流Ie、DC-DC16の入力電流Id1、DC-DC18の入力電流Id2を示している。負荷電流Ieは、0〔A〕~15〔A〕の範囲で変動させる。発電電流Iaは一定値であるから、DC-DC16が発電電圧Va,入力電流Id1を制御した結果、入力電流Id1は一定値=10〔A〕に制御されていることが確認できる。これに対し、入力電流Id2は負荷変動により変動する。入力電流Id2において、Ie=15〔A〕の区間のId2-1は放電区間の入力電流、Ie=0〔A〕の区間のId2-2はバッテリ14の充電区間の入力電流である。
【0107】
<発電ユニット4の発電量変動時の動作例2-2>
この動作例2-2は、発電ユニット4の発電量変動時の動作を想定している。発電ユニット4の発電電流Iaは0〔A〕~15〔A〕で変動し、負荷電流Ieは一定値たとえば、10〔A〕とする。このとき、負荷電圧Veはたとえば、380〔V〕に制御する。発電ユニット4からの発電電圧Vaは一定値たとえば、250〔V〕に制御される。つまり、蓄電部6の蓄電電圧は250〔V〕に制御する。
【0108】
図8のAは、発電電圧Vaおよび負荷電圧Veを示している。DC-DC16により発電電圧Vaが目標値に制御されていることが確認できる。負荷電圧Veは、DC-DC18により、定常偏差が生じるものの、制御できていることが確認できる。図8のBは、負荷電流Ie、入力電流Id1、Id2を示している。負荷電流Ieは一定値たとえば、10〔A〕である。これに対し、入力電流Id1は発電電流により大きく変動する。この入力電流Id1において、Id1-1は発電電流が15〔A〕の区間の入力電流、Id1-2は発電電流が0〔A〕区間の入力電流である。
同様に、DC-DC18の入力電流Id2も発電電力の変動に合わせてバッテリ14の充電と放電が変動する。この入力電流Id2において、Id2-1は発電電力が15〔A〕区間の入力電流、Id2-2は発電電力0〔A〕の区間の入力電流である。
DC-DC18による入力電流Id2の制御とDC-DC16による発電電圧Vaの制御は相互に干渉することなく独立に制御できていることが確認できる。
【0109】
<実施例2の効果>
この実施例2によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 既述した第一の実施の形態で示した構成を実現することができ、第一の実施の形態と同様の効果が得られる。
(2) 実施例1と同様の蓄電部6の充放電動作により、発電ユニット4から得られる微弱電力をキャパシタ12に充電でき、発電電力の大小に関係なく、発電電力を回収することができる。
(3) この実施例2においても、発電電力のレベルによって充放電の切替えをスイッチなどの素子で切り替える必要がなく、発電電力レベルが変動してもシームレスに発電電力を回収し、有効活用を実現できる。
【実施例0110】
図9は、実施例3に係る発電システム2を示している。この実施例3は、第二の実施の形態に係る発電システム2であって、系統と連係した場合のシミュレーション回路を示している。図9において、図2および図3と同一部分には同一符号を付している。
図9に示す発電システム2は、バッテリ14、蓄電部6、パワーコンディショナ8におけるDC-DC18およびINV24を含んでいる。
【0111】
<バッテリ14>
バッテリ14は、実施例1(図3)と同一であるので、その説明を割愛する。
【0112】
<蓄電部6>
蓄電部6は、実施例1(図3)と同一であるので、その説明を割愛する。
【0113】
<パワーコンディショナ8>
パワーコンディショナ8にはDC-DC18およびINV24を備え、交流電源102と連係される。INV24は、連係インバータの一例である。
【0114】
<DC-DC18>
DC-DC18は実施例1と同様に非絶縁のコンバータ部18-2と、制御部18-4とで構成される。
コンバータ部18-2および制御部18-4は図3と同一であるので、各構成素子に同一符号を付し、その説明を割愛する。なお、実施例3では、加算器74の非反転入力(+)には、電圧源78に代えて基準電位点79に接続することにより電流=0〔A〕が設定されている。
【0115】
<INV24>
INV24は、インバータ部24-2および制御部24-4で構成される。
インバータ部24-2は電力系統との連係インバータ部を構成し、トランジスタ104、106、108、110およびダイオード112、114、116、118からなるブリッジ回路およびチョークコイル120を含んでいる。トランジスタ104、106とトランジスタ108、110は交互に導通または遮断状態に制御される。ダイオード112、114、116、118は併設されたトランジスタ104、106、108、110の遮断時、動作電流を還流させる還流ダイオードである。
【0116】
制御部24-4には電圧制御部24-42と電流制御部24-44が含まれる。電圧制御部24-42は直流リンク電圧(=負荷電圧)Veを制御し、電流制御部24-44は、インバータ電流Iinvを制御する。電圧制御部24-42は加算器122、係数増幅器124、乗算器126で構成され、電流制御部24-44は加算器128および係数増幅器130で構成される。
【0117】
加算器122は、蓄電電圧と目標値とを比較する比較器の一例である。加算器122の非反転入力(+)には電圧源132から蓄電電圧の目標値が設定され、その反転入力(-)には絶縁増幅器48で検出された蓄電部6の蓄電電圧が加えられる。したがって、加算器122の出力には蓄電電圧と目標値の差電圧が得られる。
【0118】
加算器122の出力は係数増幅器124で係数(=K6)倍されて取り出され、乗算器126に加えられる。乗算器126は、係数増幅器124の出力と交流源134から加えられる交流電圧とを乗算して交流電圧を出力し、この交流電圧を加算器128に加える。
【0119】
加算器128は、乗算器126の出力とインバータ電流Iinvとを比較する比較器の一例である。加算器128の非反転入力(+)には乗算器126の出力が加えられ、その反転入力(-)にはホール素子136からインバータ電流Iinvの検出出力が加えられている。
したがって、加算器128には非反転入力(+)と反転入力(-)の差電圧が得られる。加算器128の出力は係数増幅器130で係数(=K7)倍され、被変調電圧が生成される。
【0120】
比較増幅器52の非反転入力(+)には三角波発生器56から三角波電圧が加えられ、その反転入力(-)には係数増幅器130から被変調電圧が加えられている。したがって、比較増幅器52では被変調電圧が三角波電圧によって変調されるとともに、インバータ電流Iinvおよび蓄電電圧に応じて蓄電電圧が目標値に一致するように、変調器(=比較増幅器52)の変調率が調整される。
【0121】
そして、比較増幅器52の変調出力はバッファ増幅器138を介してトランジスタ104のベースに加えられるとともに、バッファ増幅器140を介してトランジスタ106のベースに加えられ、また、この変調出力がインバータ142で反転された後、バッファ増幅器144を介してトランジスタ108のベースに加えられているとともに、バッファ増幅器146を介してトランジスタ110のベースに加えられている。したがって、比較増幅器52の出力に基づき、つまり、三角波周期に同期してトランジスタ104、106とトランジスタ108、110とを交互に導通させるチョークコイル120の蓄電による平滑機能と相まって交流電力が得られ、交流電源102と連系される。
【0122】
<系統連系時の動作例3-1>
この動作例3-1は、系統連系時の動作を想定している。バッテリ14が充放電状態を呈し、入力電流Id2がたとえば、Id2=-5〔A〕~5〔A〕で変動し、発電ユニット4の発電電流Iaが一定値たとえば、Ia=10〔A〕である。
【0123】
図10のAは、発電電流Ia、入力電流Id2を示している。入力電流Id2において、Id2-1はバッテリ14からの充電電流、Id2-2はバッテリ14への放電電流を表している。
これに対し、図10のBは、電圧Vdおよび負荷電圧Veが、Vd=Veであることを示している。インバータ24の電圧、電流制御により直流電圧である負荷電圧Veは定常偏差があるが、目標値に制御できていることが確認できる。図10のCは、インバータ電流Iinvを示している。インバータ電流IinvはINV24が出力する交流電流であり、その振幅がバッテリ14の充放電によって変動している。バッテリからの放電区間は交流電流の振幅が大きくなり、充電区間は小さくなることが確認できる。
【0124】
<発電ユニット4の発電量変動時の動作例3-2>
この動作例3-2は、発電ユニット4の発電量変動時の動作を想定している。発電ユニット4の発電電流Iaがたとえば、Ia=0〔A〕~10〔A〕で変動し、入力電流Id2は一定値たとえば、Id2=0〔A〕である。
【0125】
図11のAは、発電電流Ia、入力電流Id2を示している。発電電流Iaは、Ia=0〔A〕~10〔A〕で変動し、入力電流Id2は、Id2=0〔A〕である。
これに対し、図11のBは、Vd=Veを示している。INV24の電圧、電流制御系により定常偏差はあるが電圧Vdを目標値に制御できていることが確認できる。図11のCは、インバータ電流Iinvを示している。発電ユニット4の発電量変動時、インバータ電流Iinvは0〔A〕~有限値を一定の周期で繰り返している。
【0126】
<実施例3の効果>
この実施例3によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 既述した第二の実施の形態で示した構成を実現することができ、第二の実施の形態と同様の効果が得られる。
(2) 実施例3の蓄電部6の充放電動作により、発電ユニット4から得られる微弱電力をキャパシタ12に充電でき、発電電力の大小に関係なく、発電電力を回収することができる。
【0127】
(3) 実施例3によっても、発電電力のレベルによって充放電の切替えをスイッチなどの素子で切り替える必要がなく、発電電力レベルが変動してもシームレスに発電電力を回収し、有効に活用することができる。
(4) 実施例1および実施例2で必要としていたDC-DC16を省略でき、INV24によって実施例1および実施例2と同様の蓄電効果を実現できるとともに、DC-DC16の省略により構成を簡略化できる。
【実施例0128】
図3に示す実施例1について、制御部16-4、18-4、電圧源46、78、三角波発生器56、比較増幅器52、54、インバータ60、84およびバッファ増幅器58、62、82、86はマイコンなど、デジタル回路で構成し、既述の機能を実現してもよい。
【0129】
図6に示す実施例2について、制御部16-4、18-6、電圧源46、98、三角波発生器56、比較増幅器52、54、インバータ60、84およびバッファ増幅器58、62、82、86はマイコンなど、デジタル回路で構成し、既述の機能を実現してもよい。
【0130】
図9に示す実施例3について、制御部18-4、24-4、比較増幅器52、54、三角波発生器56、電圧源132、交流源134、インバータ84、142およびバッファ増幅器82、86、138、140、144、146はマイコンなど、デジタル回路で構成し、既述の機能を実現してもよい。
【0131】
このようにデジタル回路で制御系を構成する場合、プロセッサ、入出力部、メモリ部などを備え、メモリ部に格納した制御プログラムをプロセッサに実行させ、メモリ部にはROM(Read-Only Memory)やRAM(Random-Access Memory)などの記憶素子を備えて、制御パターンや各種の制御情報を用いて既述の機能を実現すればよい。
【0132】
<実施例4の効果>
この実施例4によれば、次の何れかの効果を実現できる。
(1) 制御系の簡略化を実現できるとともに、デジタル処理によって多様な制御モードを実現でき、電力回収の高効率化を実現できる。
(2) 制御系のデジタル化で部品点数の削減とともにコスト低減を図ることができる。
【0133】
〔他の実施の形態〕
本開示には、次の実施の形態または実施例が含まれている。
(1) 本開示の発電システムまたは蓄電装置はINV20またはINV24を備えていない構成としてもよい。
INV20はインバータ機能を備えていない、DC-DCコンバータのみで構成してもよい。
【0134】
(2) 発電ユニット4の発電電力がたとえばlkW以上であれば、発電電圧Vaを一定値制御としてもよい。発電電力がlkW未満であれば、キャパシタ12の充電電圧Vcの上下限でIdを一定制御としてもよい。充電電圧Vcの下限値未満の場合にはDC-DC16を停止させる制御を行えばよい。また、太陽光パネル10が受ける太陽光が微弱光の場合には次の発電の準備としてキャパシタ12の充電電圧Vcを下げる制御を行ってもよい。
(3) バッテリ14の充電および放電について、昼間=充電、夜間=放電とするモード切替えを行ってもよい。
【0135】
以上説明したように、本開示の最も好ましい実施形態について説明した。本開示は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または本開示を実施するための形態に開示された本開示の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本開示の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本開示の蓄電装置、蓄電方法および発電システムによれば、蓄電装置の蓄電を付加したので、発電ユニットが出力する微弱電力から大電力まで大きく変動する発電出力を回収できるとともに内部消費電力を削減して発電電力の回収率ないし利用率を高めることができる。
【符号の説明】
【0137】
2 発電システム
4 発電ユニット
6 蓄電部
8 パワーコンディショナ
10-1、10-2、・・・、10-n 太陽光発電パネル
12、88 キャパシタ
13 電圧計
14 バッテリ
15 電流計
16、18 DC-DCコンバータ
16-2、18-2 コンバータ部
16-4、18-4、18-6、24-4 制御部
16-42、18-62 電圧制御部
16-44、18-64 電流制御部
20、24 INV
21、21-1、21-2 出力端
22 出力端子
24-2 インバータ部
28、30、64、66、104、106、108、110 トランジスタ
32、34、68、70、112、114、116、118 ダイオード
36 チョークコイル
38、42、74、92、94、122、128 加算器
40、44、76、90、96、124、130 係数増幅器
46、78、98、132 電圧源
48、100 絶縁増幅器
50、80、136 ホール素子
52、54 比較増幅器
56 三角波発生器
58、62、82、86、138、140、144、146 バッファ増幅器
60、84、142 インバータ
72、120 チョークコイル
79 基準電位点
102 交流電源
126 乗算器
134 交流源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11