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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168483
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】無線通信装置および無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/65 20060101AFI20221031BHJP
   H04B 1/40 20150101ALI20221031BHJP
【FI】
H04M1/65 H
H04B1/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021073980
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 保馬
(72)【発明者】
【氏名】川田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 洋行
(72)【発明者】
【氏名】高宮 和貴
【テーマコード(参考)】
5K011
5K127
【Fターム(参考)】
5K011FA01
5K011JA06
5K011LA02
5K127BA03
5K127GB64
5K127GB73
(57)【要約】
【課題】無線通信中の音声を適切に録音することができる無線通信装置および無線通信方法を提供する。
【解決手段】装置状態検出部42は、装置状態を検出し、装置状態と送信待機状態であるか否かとを対応付けて装置状態情報として出力する。送信部10は送信音声信号および自装置の装置状態情報に関する電波を送信し、受信部20は、受信した信号を受信音声信号および相手装置の装置状態情報とに復号化する信号処理部41に出力する。録音部30は送信音声信号および受信音声信号を録音する。記憶部44は自装置および相手装置の装置状態情報を記憶する。録音判断部43は録音部30による録音を継続するか停止するかを判断する。録音判断部43は音声信号に関する電波の送信または受信が終了した際に、自装置および相手装置の装置状態情報が共に送信待機状態でない場合に録音部30による録音の停止を判断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置状態を検出し、検出された前記装置状態と、自装置の使用者が直ちに送信できる送信待機状態であるか否かとを対応付けて装置状態情報として出力する装置状態検出部と、
音声信号と前記装置状態情報について符号化および復号化する信号処理部と、
前記信号処理部で符号化された送信音声信号および自装置の前記装置状態情報を電波として相手装置に送信する送信部と、
相手装置から電波を受信し、受信した信号を受信音声信号および相手装置の前記装置状態情報に復号化する前記信号処理部に出力する受信部と、
前記送信音声信号および前記受信音声信号を録音する録音部と、
前記装置状態検出部から出力された自装置の前記装置状態情報、および前記信号処理部が復号化した相手装置の前記装置状態情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶している自装置および相手装置の前記装置状態情報に基づいて前記録音部による録音を継続するか停止するかを判断する録音判断部と、を備え、
前記録音判断部は、前記送信部による音声信号に関する電波の送信、または前記受信部による音声信号に関する電波の受信が終了した際に、前記記憶部に記憶した自装置および相手装置の前記装置状態情報が共に送信待機状態でない場合に、前記録音部による録音の停止を判断する無線通信装置。
【請求項2】
前記送信部による音声信号の送信、または前記受信部による音声信号の受信が終了したことをトリガとして起動し、経過時間を計測する録音停止タイマ部を更に備え、
前記録音判断部は、前記経過時間が予め設定された時間に達した場合に、前記録音部による録音を停止する請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記録音部は、録音を開始してから終了するまでの前記送信音声信号および前記受信音声信号を一つの電子ファイル内に収容して録音する請求項1または2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記信号処理部は、相手装置における前記装置状態情報の通知を要求する信号を前記送信部を介して相手装置へ送信することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項5】
装置状態を検出し、検出された前記装置状態と、自装置の使用者が直ちに送信できる送信待機状態であるか否かとを対応付けて装置状態情報として出力する装置状態検出ステップと、
音声信号と前記装置状態情報について符号化および復号化する信号処理ステップと、
前記信号処理ステップで符号化された送信音声信号および自装置の前記装置状態情報を電波として相手装置に送信する送信ステップと、
相手装置から電波を受信し、受信した信号を受信音声信号および相手装置の前記装置状態情報に復号化する前記信号処理ステップに出力する受信ステップと、
前記送信音声信号および前記受信音声信号を録音する録音ステップと、
前記装置状態検出ステップから出力された自装置の前記装置状態情報、および前記信号処理ステップが復号化した相手装置の前記装置状態情報を記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップが記憶している自装置および相手装置の前記装置状態情報に基づいて前記録音ステップによる録音を継続するか停止するかを判断する録音判断ステップと、を備え、
前記録音判断ステップは、前記送信ステップによる音声信号に関する電波の送信、または前記受信ステップによる音声信号に関する電波の受信が終了した際に、前記記憶ステップに記憶した自装置および相手装置の前記装置状態情報が共に送信待機状態でない場合に、前記録音ステップによる録音の停止を判断する無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置および無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両に搭載された無線通信装置は、車両の運行管理センターと車両との間や、車両間での無線通信に用いられる。無線通信装置には、無線により送受信した音声を自動的に録音する機能を有するものがある。
【0003】
特許文献1には、従来の自動通話録音装置が記載されている。この自動通話録音装置は、ランダムアクセスの可能な録音媒体に、録音再生を行う録音再生装置を有する。自動通話録音装置は、電話機のオンフックおよびオフフックを検出する検出回路の検出出力により、オフフックの期間、電話機による通話の音声信号を、録音再生装置により録音媒体に録音する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08-289003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の全二重通信である電話機の自動通話録音装置では、電話機のフック状態で明確に会話の開始と終了を知ることができ、オフフック状態からオンフック状態になるまでの期間を一連の会話として送信音声と受信音声の両方を録音することができる。一方、半二重通信であるPTT(Push to Talk)方式の無線通信装置は、通常、受信待機状態になっており、電波を受信するとスピーカから受信音声を出力する。また、送信においては無線通信装置に備えられた通話ボタンを押下している期間のみ送信状態となり、マイクから収音した音声信号を電波として送信し、通話ボタンの押下を止める(解放する)ことで受信待機状態へと戻る。このような無線通信装置においては発話ごとに送受信の電波が途絶えるため、送話とその応答である受話とが繰り返される一連の会話の開始と終了を明確に知ることができないため、音声を適切に録音することができない。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、無線通信中の音声を適切に録音することができる無線通信装置および無線通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様の無線通信装置は、装置状態を検出し、検出された前記装置状態と、自装置の使用者が直ちに送信できる送信待機状態であるか否かとを対応付けて装置状態情報として出力する装置状態検出部と、音声信号と前記装置状態情報について符号化および復号化する信号処理部と、前記信号処理部で符号化された送信音声信号および自装置の前記装置状態情報を電波として相手装置に送信する送信部と、相手装置から電波を受信し、受信した信号を受信音声信号および相手装置の前記装置状態情報に復号化する前記信号処理部に出力する受信部と、前記送信音声信号および前記受信音声信号を録音する録音部と、前記装置状態検出部から出力された自装置の前記装置状態情報、および前記信号処理部が復号化した相手装置の前記装置状態情報を記憶する記憶部と、前記記憶部が記憶している自装置および相手装置の前記装置状態情報に基づいて前記録音部による録音を継続するか停止するかを判断する録音判断部と、を備え、前記録音判断部は、前記送信部による音声信号に関する電波の送信、または前記受信部による音声信号に関する電波の受信が終了した際に、前記記憶部に記憶した自装置および相手装置の前記装置状態情報が共に送信待機状態でない場合に、前記録音部による録音の停止を判断する。
【0008】
また本発明の別の態様は無線通信方法である。この無線通信方法は、装置状態を検出し、検出された前記装置状態と、自装置の使用者が直ちに送信できる送信待機状態であるか否かとを対応付けて装置状態情報として出力する装置状態検出ステップと、音声信号と前記装置状態情報について符号化および復号化する信号処理ステップと、前記信号処理ステップで符号化された送信音声信号および自装置の前記装置状態情報を電波として相手装置に送信する送信ステップと、相手装置から電波を受信し、受信した信号を受信音声信号および相手装置の前記装置状態情報に復号化する前記信号処理ステップに出力する受信ステップと、前記送信音声信号および前記受信音声信号を録音する録音ステップと、前記装置状態検出ステップから出力された自装置の前記装置状態情報、および前記信号処理ステップが復号化した相手装置の前記装置状態情報を記憶する記憶ステップと、前記記憶ステップが記憶している自装置および相手装置の前記装置状態情報に基づいて前記録音ステップによる録音を継続するか停止するかを判断する録音判断ステップと、を備え、前記録音判断ステップは、前記送信ステップによる音声信号に関する電波の送信、または前記受信ステップによる音声信号に関する電波の受信が終了した際に、前記記憶ステップに記憶した自装置および相手装置の前記装置状態情報が共に送信待機状態でない場合に、前記録音ステップによる録音の停止を判断する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、無線通信中の音声を適切に録音することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る無線通信装置の構成を示すブロック図である。
図2】無線通信装置による録音処理の手順を示すシーケンス図である。
図3】実施形態1による無線通信装置の録音処理の手順を示すシーケンス図である。
図4図3のシーケンスの続きを示すシーケンス図である。
図5】録音停止判定処理について列挙した図表である。
図6】無線通信装置による別の録音処理の手順を示すシーケンス図である。
図7図6のシーケンスの続きを示すシーケンス図である。
図8図7のシーケンスの続きを示すシーケンス図である。
図9】実施形態2に係る無線通信装置による録音処理の手順を示すシーケンス図である。
図10図9のシーケンスの続きを示すシーケンス図である。
図11】実施形態2に係る録音停止判定処理について列挙した図表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図1から図11を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る無線通信装置100の構成を示すブロック図である。無線通信装置100は、送信部10、受信部20、録音部30および制御部40等を備え、自装置と相手装置との間で音声の無線通信を行う。無線通信装置100は、車両に搭載されるほか、携行用の装置として利用されるがこれらに限定されない。
【0013】
無線通信装置100における各部は、ハードウェア的には、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)をはじめとする電子素子や機械部品などで実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラムなどによって実現されるが、図1ではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろな形態で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0014】
送信部10は、FSK(Frequency Shift Keying)変調等の変調方式に基づいて音声信号を変調し、電波として送信する。送信部10は、送信する音声(以下、「送信音声」と表記する。)の信号を後述する信号処理部41から入力される。
【0015】
受信部20は、相手装置からの電波を受信し、復調した音声(以下、「受信音声」と表記する。)に関する信号を信号処理部41へ出力する。送信部10および受信部20は、設定された周波数帯域において電波を送信および受信しているものとするが、通信方式に応じて送信周波数および受信周波数は可変的であってもよい。
【0016】
録音部30は、例えばメモリーカードや、ハードディスク記憶装置等のデータ記憶装置であり、自装置による送信音声、および相手装置からの受信音声を録音する。録音部30には、信号処理部41において信号処理された送信音声と受信音声が入力される。録音部30は、自装置と相手装置との間での音声通信開始から通信終了までの一連の送信音声および受信音声を1つの電子ファイル内に収容する。
【0017】
制御部40は、信号処理部41、装置状態検出部42、録音判断部43、記憶部44および録音停止タイマ部45を備える。信号処理部41は、送信音声、受信音声、および各種データ信号に対して、圧縮符号化処理やデジタル変換等の信号処理を行う。信号処理部41は、外部マイク52から、使用者の音声信号を取得して、符号化した送信音声信号を送信部10へ出力する。信号処理部41は、受信部20から入力される信号を受信音声信号に復号化した音声信号をスピーカ51へ出力する。
【0018】
外部マイク52は、例えばハンディタイプの音声入力装置である。外部マイク52は、相手装置に音声送信しないときには、図示しないフックに掛け止められた状態(以下、「オンフック状態」という。)となっている。外部マイク52は、音声送信を開始する場合に使用者がフックから取り外した状態(以下、「オフフック状態」という。)で通話ボタンを押下して使用する。
【0019】
外部マイク52は、使用者がフックから取り外すことによってオフフック状態であることを示す信号を出力し、使用者がフックに掛け止めることによってオンフック状態であることを示す信号を出力する。ここで、オンフック状態とオフフック状態とを総称してフック状態(装置状態)と呼ぶ。外部マイク52がオンフック状態であるときは使用者が直ちに送信できない状態であり、外部マイク52がオフフック状態であるときは使用者が直ちに送信できる状態(送信待機状態)である。すなわち、送信待機状態である装置状態を検出した場合は、これ以降も送信が継続する状態であり、一方、送信待機状態でない装置状態を検出した場合は、これ以降には送信されない状態と言える。
【0020】
また外部マイク52には、図示しないPTTタイプの通話ボタン(以下、「PTTボタン」という。)が設けられている。使用者は、送信しようとする場合、外部マイク52をフックから取り外してオフフック状態としたのち、PTTボタンを押下することで信号処理部41が音声送信を開始する状態にする。尚、PTTボタンを押下した信号は外部マイク52から信号処理部41へ出力される。
【0021】
装置状態検出部42は、外部マイク52が出力するフック状態を示す信号(フック状態信号)を検出する。装置状態検出部42は、外部マイク52のフック状態と送信待機状態とを対応付けた装置状態情報としてフック状態信号を信号処理部41および記憶部44へ出力する。外部マイク52には、例えばフックへの着脱によって作動する図示しないスイッチなどが設けられており、装置状態検出部42は、当該スイッチのオンオフを検出することによって、外部マイク52のフック状態を検出する。
【0022】
信号処理部41は、装置状態検出部42から入力された外部マイク52のフック状態信号と、フック状態を要求するフック状態通知要求と、上述の送信音声信号とを送信部10へ出力する。送信部10は、信号処理部41から入力されたフック状態信号と、フック状態通知要求と、送信音声信号とを相手装置へ送信する。受信部20は、相手装置のフック状態信号と、フック状態通知要求と、受信音声信号とを電波として受信し、受信した信号を信号処理部41へ出力する。信号処理部41は、復号化した相手装置のフック状態信号を記憶部44へ出力する。
【0023】
記憶部44は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等のデータ記憶装置によって構成されており、入力された自装置のフック状態および相手装置のフック状態を記憶する。
【0024】
録音判断部43は、記憶部44に記憶している自装置のフック状態信号および相手装置のフック状態信号に基づいて、録音部30での送信音声および受信音声の録音を継続するか停止するかを判断する。録音判断部43は、送信部10による音声信号に関する電波の送信、または受信部20による音声信号に関する電波の受信が終了した際に、記憶部44に記憶した自装置および相手装置のフック状態信号が共にオンフック状態、即ち双方が直ちに送信できない状態であれば、録音部30による録音の停止を判断する。
【0025】
また録音判断部43は、送信部10による音声信号に関する電波の送信、または受信部20による音声信号に関する電波の受信が終了したことをトリガとして録音停止タイマ部45に送信または受信が終了してからの経過時間を計測させる。録音判断部43は、録音停止タイマ部45が計測している経過時間が予め設定された終了時間に達した場合に、録音部30による録音の停止を判断する。ただし、録音判断部43は、終了時間に達する前に次の送信または受信が開始された場合は、録音停止タイマ部45の経過時間の計測を停止させ、経過時間をクリアする。録音停止タイマ部45は、クロック信号等に基づいて時間を計測する。
【0026】
はじめに、従来の録音機能について説明する。図2は、無線通信装置100による録音処理の手順を示すシーケンス図である。図2では無線通信装置A(自装置)と無線通信装置B(相手装置)との間で音声通信を行い、タイマ動作によって録音を停止する例を示している。
【0027】
無線通信装置Aは、外部マイク52をフックから外し、外部マイク52のPTTボタン押下(S1)によって、無線通信装置Bへの音声信号の送信を開始する(S2)。無線通信装置Aの録音判断部43は、信号処理部41による音声信号の送信の開始に基づき、録音部30に送信音声の録音を開始させる(S3)。無線通信装置Bは、信号処理部41による無線通信装置Aから送信された音声信号の受信に基づき、無線通信装置Bのスピーカ51のミュートを解除して受信音声を出力する(S4)。無線通信装置Bの録音判断部43は、録音部30に受信音声の録音を開始させる(S5)。
【0028】
無線通信装置Aは、外部マイク52のPTTボタンの解放(S5)によって、無線通信装置Bへの音声信号の送信を終了する(S6)。無線通信装置Aの録音判断部43は、音声信号の送信を終了したことに基づいて録音停止タイマ部45を起動する(S7)。無線通信装置Bは、無線通信装置Aからの音声信号の受信が終了したことに基づいて、無線通信装置Bのスピーカ51をミュートし(S8)、録音判断部43が録音停止タイマ部45を起動する(S9)。
【0029】
無線通信装置Aの外部マイク52は、使用者によってフックに掛け止められてオンフック状態となる(S10)。無線通信装置Aの録音判断部43は、起動した録音停止タイマ部45が予め設定した時間に達して満了すると(S11)、録音部30による録音を停止させる(S12)。また無線通信装置Bの録音判断部43は、起動した録音停止タイマ部45が予め設定した時間に達して満了すると(S13)、録音部30による録音を停止させる(S14)。
【0030】
図3は、実施形態1による無線通信装置100の録音処理の手順を示すシーケンス図である。図4は、図3のシーケンスの続きを示すシーケンス図である。図3および図4では無線通信装置A(自装置)と無線通信装置B(相手装置)との間で音声通信を行い、フック状態信号の通知によって録音を停止する例を示している。
【0031】
最初に無線通信装置Aの外部マイク52はオンフック状態であり(S21)、同様に無線通信装置Bの外部マイク52もオンフック状態である(S22)。無線通信装置Aは、外部マイク52がフックから外されてオフフック状態となり(S23)、無線通信装置Aのフック状態信号(オフフック状態)を無線通信装置Aの記憶部44へ記憶する(S24)。
【0032】
無線通信装置Aは、音声信号を送信するために、外部マイク52のPTTボタンが押下される(S25)。無線通信装置Aの信号処理部41は、音声信号の送信の前に無線通信装置Aのフック状態をフック状態信号として無線通信装置Bへデータ送信するとともに、無線通信装置Bのフック状態を要求するフック状態通知要求を送信する(S26)。
【0033】
無線通信装置Bは、無線通信装置Aからのフック状態信号とフック状態通知要求を受信し、無線通信装置Aのフック状態信号(オフフック状態)を無線通信装置Bの記憶部44へ記憶する(S27)。無線通信装置Bの信号処理部41は、無線通信装置Bのフック状態信号をフック状態通知としてデータ送信によって無線通信装置Aへ送信する(S28)。無線通信装置Aは、無線通信装置Bからのフック状態通知を受信し、無線通信装置Bのフック状態信号(オフフック状態)を無線通信装置Aの記憶部44へ記憶する(S29)。
【0034】
無線通信装置Aは、無線通信装置Bへの音声送信を開始する(S30)。無線通信装置Aの録音判断部43は、信号処理部41による音声送信の開始に基づき、録音部30に送受信音声の録音を開始させる(S31)。無線通信装置Bは、無線通信装置Aから送信された音声を受信すると、無線通信装置Bのスピーカ51のミュートを解除し(S32)、無線通信装置Bの録音判断部43は、録音部30に送受信音声の録音を開始させる(S33)。
【0035】
無線通信装置Aは、外部マイク52のPTTボタンの解放(S34)を検知すると、無線通信装置Bに音声送信の終了を通知(S35)して音声の送信を終了する。無線通信装置Aの録音判断部43は、音声送信を終了したことに基づいて録音停止タイマを起動して経過時間の計測を開始する(S36)。無線通信装置Bは、無線通信装置Aからの音声の受信が終了したことに基づいて、無線通信装置Bのスピーカ51をミュートし(S37)、録音判断部43が録音停止タイマを起動して経過時間の計測を開始する(S38)。
【0036】
無線通信装置Aの外部マイク52は、使用者によってフックに掛け止められてオンフック状態となる(S39)。無線通信装置Aは、無線通信装置Aのフック状態信号(オンフック状態)を無線通信装置Aの記憶部44へ記憶する(S40)。
【0037】
無線通信装置Aは、図5に基づいて録音停止判定処理を行う(S41)。図5は、録音停止判定処理について列挙した図表である。図5に示すように、無線通信装置AおよびBの外部マイク52がオフフック状態のときは録音を継続する。無線通信装置AおよびBの外部マイク52のうち一方がオフフック状態のときは録音を継続する。無線通信装置AおよびBの外部マイク52の両方がオンフック状態のときは録音を停止する。
【0038】
図4に戻る。無線通信装置Aの記憶部44には、無線通信装置AおよびBの外部マイク52の両方がオンフック状態であることが記憶されているので、無線通信装置Aは録音を停止し(S42)、次いで、ステップS36で起動した録音停止タイマを停止する(S43)。
【0039】
無線通信装置Aの信号処理部41は、無線通信装置Aのフック状態信号(オンフック状態)を無線通信装置Bへフック状態通知としてデータ送信して通知する(S44)。無線通信装置Bは、無線通信装置Aのフック状態信号(オンフック状態)を無線通信装置Bの記憶部44へ記憶する(S45)。無線通信装置Bは、図5に基づいて録音停止判定処理を行い(S46)、無線通信装置Bの記憶部44には、無線通信装置AおよびBの両方ともオンフック状態であることが記憶されているので、録音を停止する(S47)。次いで、無線通信装置Bは、ステップS38で起動した録音停止タイマを停止する(S48)。
【0040】
無線通信装置Aは、音声送信を終了し、更に外部マイク52のオンフック状態、換言すれば直ちに送信できない状態になった場合に、記憶部44に記憶された無線通信装置Bの外部マイク52もオンフック状態であれば、直ちに録音を停止する。これにより、無線通信装置Aは、録音停止タイマが満了する前に録音を停止できるので、不要な無音の録音を抑制しながら、送信した音声信号の全てを確実に録音することができる。
【0041】
また無線通信装置Bにおいても、無線通信装置AおよびBの外部マイク52がオンフック状態となったことに基づいて、録音停止タイマが満了する前に録音を停止することで、不要な無音の録音を抑制しながら、受信した音声の全てを確実に録音することができる。
【0042】
図6は、無線通信装置100による別の録音処理の手順を示すシーケンス図である。図7は、図6のシーケンスの続きを示すシーケンス図である。図8は、図7のシーケンスの続きを示すシーケンス図である。図6図7および図8では、無線通信装置A(自装置)と無線通信装置B(相手装置)との間で音声通信を行い、フック状態信号の通知によって録音を停止する例を示しており、自装置と相手装置との間で送受信される一連の会話を録音する場合である。
【0043】
図6に示すステップS51からステップS65までの処理は、図3に示したステップS21からステップS35までの処理と同様であり、簡潔化のため説明を省略する。無線通信装置Bは、ステップS65により無線通信装置Aからの音声の受信が終了したことに基づいて、無線通信装置Bのスピーカ51をミュートする(S66)。
【0044】
無線通信装置Bの外部マイク52がフックから取り外されてオフフック状態となる(S67)。無線通信装置Bは、無線通信装置Bのフック状態信号(オフフック状態)を無線通信装置Bの記憶部44へ記憶する(S68)。無線通信装置Bは、図5に基づいて録音停止判定処理を行う(S69)。無線通信装置Bは、ステップS69における判定では、無線通信装置AおよびBともにオフフック状態であるため録音を停止しない。
【0045】
無線通信装置Bは、無線通信装置Bのフック状態信号(オフフック状態)を無線通信装置Aへ送信する(S70)。無線通信装置Aは、無線通信装置Bのフック状態信号(オフフック状態)を無線通信装置Aの記憶部44へ記憶する(S71)。無線通信装置Aは、図5に基づいて録音停止判定処理を行う(S72)。無線通信装置Aは、ステップS72における判定では、無線通信装置AおよびBともにオフフック状態であるため録音を停止しない。
【0046】
無線通信装置Aの外部マイク52は、使用者によってフックに掛け止められてオンフック状態となる(S73)。無線通信装置Aは、無線通信装置Aのフック状態信号(オンフック状態)を記憶部44へ記憶し(S74)、図5に基づいて録音停止判定処理を行う(S75)。無線通信装置Aは、ステップS75における判定では、無線通信装置Bがオフフック状態であるため録音を停止しない。
【0047】
無線通信装置Aの信号処理部41は、無線通信装置Aのフック状態信号(オンフック状態)を無線通信装置Bへフック状態通知としてデータ送信して通知する(S76)。無線通信装置Bは、フック状態通知を受信し、無線通信装置Aのフック状態信号(オンフック状態)を無線通信装置Bの記憶部44へ記憶し(S77)、図5に基づいて録音停止判定処理を行う(S78)。無線通信装置Bは、ステップS75における判定では、無線通信装置Bがオフフック状態であるため録音を停止しない。
【0048】
無線通信装置Bは、使用者が無線通信装置Aからの音声受信に呼応して音声を送信するために、無線通信装置Bの外部マイク52のPTTボタンが押下される(S79)。無線通信装置Bは、無線通信装置Aへの音声送信を開始する(S80)。無線通信装置Aは、無線通信装置Bから送信された音声信号を受信すると、無線通信装置Aのスピーカ51のミュートを解除する(S81)。
【0049】
無線通信装置Bは、外部マイク52のPTTボタンの解放(S82)によって、無線通信装置Aへの音声送信を終了する(S83)。無線通信装置Aは、無線通信装置Bからの音声信号の受信が終了したことに基づいて、無線通信装置Aのスピーカ51をミュートする(S84)。
【0050】
無線通信装置Bの外部マイク52は、使用者によってフックに掛け止められてオンフック状態となる(S85)。無線通信装置Bは、無線通信装置Bのフック状態信号(オンフック状態)を無線通信装置Bの記憶部44へ記憶し(S86)、図5に基づいて録音停止判定処理を行う(S87)。無線通信装置Bの録音判断部43は、ステップS87における判定では、無線通信装置AおよびBがオンフック状態であるため録音の停止を判断し、録音部30における録音を停止する(S88)。
【0051】
無線通信装置Bの信号処理部41は、無線通信装置Bのフック状態信号(オンフック状態)を無線通信装置Aへフック状態通知としてデータ送信して通知する(S89)。無線通信装置Aは、フック状態通知を受信し、無線通信装置Bのフック状態信号(オンフック状態)を無線通信装置Aの記憶部44へ記憶する(S90)。無線通信装置Aは、図5に基づいて録音停止判定処理を行い(S91)、無線通信装置AおよびBの両方ともオンフック状態であることから、録音を停止する(S92)。
【0052】
無線通信装置Aは、音声送信を終了し、更に外部マイク52のオンフック状態、換言すれば直ちに送信できない状態になっても、ステップS75の録音停止判定で、通信相手である無線通信装置Bの外部マイク52がオフフック状態であるときには、録音を停止しない。すなわち、通信相手が直ちに送信できる状態であると判断して録音を継続する。これによって、無線通信装置100は、自装置から送信した音声信号と、相手装置から受信した音声信号による一連の会話を最初から最後まで確実に録音することができる。
【0053】
また無線通信装置Bにおいても、無線通信装置AおよびBの外部マイク52がオンフック状態となった場合に、ステップS87における録音停止判定によって録音が停止されることによって、相手装置である無線通信装置Aから受信した音声と、自装置が送信した音声による一連の会話を最初から最後まで確実に録音することができる。
【0054】
(実施形態2)
図9は、実施形態2に係る無線通信装置100による録音処理の手順を示すシーケンス図である。図10は、図9のシーケンスの続きを示すシーケンス図である。実施形態2では、無線通信装置A(自装置)と、無線通信装置BおよびC(相手装置)との間で音声通信を行い、フック状態信号の通知によって録音を停止する例を示している。尚、無線通信装置A、BおよびCは同一グループ内に属し、グループ内で同時に音声通信によるグループ会話を共有する。
【0055】
最初に無線通信装置Aの外部マイク52はオンフック状態であり(S101)、同様に無線通信装置Bの外部マイク52もオンフック状態であり(S102)、無線通信装置Cの外部マイク52もオンフック状態である(S103)とする。無線通信装置Aは、外部マイク52がフックから外されてオフフック状態となり(S104)、無線通信装置Aのフック状態信号(オフフック状態)を無線通信装置Aの記憶部44へ記憶する(S105)。
【0056】
無線通信装置Aは、音声通信のために、外部マイク52のPTTボタンが押下される(S106)。無線通信装置Aの信号処理部41は、音声送信前に無線通信装置Aのフック状態信号(オフフック状態)を無線通信装置BおよびCへデータ送信するとともに、無線通信装置BおよびCのフック状態の通知を要求するフック状態通知要求を送信する(S107)。
【0057】
無線通信装置Bは、無線通信装置Aからのフック状態信号とフック状態通知要求を受信し、無線通信装置Aのフック状態信号(オフフック状態)を無線通信装置Bの記憶部44へ記憶する(S108)。また無線通信装置Cは、無線通信装置Aからのフック状態信号とフック状態通知要求を受信し、無線通信装置Aのフック状態信号(オフフック状態)を無線通信装置Cの記憶部44へ記憶する(S109)。
【0058】
無線通信装置BおよびCの信号処理部41は、それぞれ自装置のフック状態信号をフック状態通知としてデータ送信によって自装置以外の無線通信装置へ送信する(S110)。ステップS110では、例えば無線通信装置Bの信号処理部41は、無線通信装置AおよびCへフック状態通知を送信する。
【0059】
無線通信装置Aは、無線通信装置BおよびCからのフック状態通知を受信し、無線通信装置BおよびCのフック状態信号を無線通信装置Aの記憶部44へ記憶する(S111)。無線通信装置Bは、無線通信装置Cからのフック状態通知を受信し、無線通信装置Cのフック状態信号を無線通信装置Bの記憶部44へ記憶する(S112)。無線通信装置Cは、無線通信装置Bからのフック状態通知を受信し、無線通信装置Bのフック状態信号を無線通信装置Cの記憶部44へ記憶する(S113)。
【0060】
無線通信装置Aは、無線通信装置BおよびCへの音声送信を開始する(S114)。無線通信装置Aの録音判断部43は、信号処理部41による音声送信の開始に基づき、録音部30に録音を開始させる(S115)。無線通信装置Bは、無線通信装置Aから送信された音声信号を受信すると、無線通信装置Bのスピーカ51のミュートを解除し音声を出力し(S116)、無線通信装置Bの録音判断部43は、録音部30に録音を開始させる(S117)。無線通信装置Cは、無線通信装置Aから送信された音声信号を受信すると、無線通信装置Cのスピーカ51のミュートを解除し音声を出力し(S118)、無線通信装置Cの録音判断部43は、録音部30に録音を開始させる(S119)。
【0061】
無線通信装置Aは、外部マイク52のPTTボタンの解放(S120)によって、無線通信装置BおよびCへの音声送信を終了する(S121)。無線通信装置Bは、無線通信装置Aからの音声信号の受信が終了したことに基づいて、無線通信装置Bのスピーカ51をミュートする(S122)。無線通信装置Cは、無線通信装置Aからの音声信号の受信が終了したことに基づいて、無線通信装置Cのスピーカ51をミュートする(S123)。
【0062】
無線通信装置Aの外部マイク52は、使用者によってフックに掛け止められてオンフック状態となる(S124)。無線通信装置Aは、無線通信装置Aのフック状態信号(オンフック状態)を無線通信装置Aの記憶部44へ記憶する(S125)。
【0063】
無線通信装置Aは、図11に基づいて録音停止判定処理を行う(S126)。図11は、実施形態2に係る録音停止判定処理について列挙した図表である。図11に示すように、無線通信装置A、BおよびCの各外部マイク52のうち、少なくとも1つがオフフック状態のときは録音を継続する。無線通信装置A、BおよびCの外部マイク52が全てオンフック状態のときは録音を停止する。
【0064】
無線通信装置Aは、ステップS126における判定によって、無線通信装置A、BおよびCがすべてオンフック状態であるため録音停止を判断し、無線通信装置Aの録音部30における録音を停止する(S127)。
【0065】
無線通信装置Aの信号処理部41は、無線通信装置Aのフック状態信号(オンフック状態)を無線通信装置BおよびCへフック状態通知としてデータ送信して通知する(S128)。無線通信装置Bは、フック状態通知を受信して、無線通信装置Aのフック状態信号(オンフック状態)を無線通信装置Bの記憶部44へ記憶する(S129)。無線通信装置Bは、図11に基づいて録音停止判定処理を行い(S130)、無線通信装置A、BおよびCがすべてオンフック状態であることから、録音を停止する(S131)。
【0066】
無線通信装置Cは、フック状態通知を受信して、無線通信装置Aのフック状態信号(オンフック状態)を無線通信装置Cの記憶部44へ記憶する(S132)。無線通信装置Cは、図11に基づいて録音停止判定処理を行い(S133)、無線通信装置A、BおよびCがすべてオンフック状態であることから、録音を停止する(S134)。
【0067】
無線通信装置100を3台として説明したが、これに限られない。無線通信装置100は、3以上の複数の無線通信装置間でグループによる一斉的な音声通信をする際にも、互いに外部マイク52のフック状態信号、換言すれば送信待機状態であるか否かを通知して、自装置以外が直ちに送信できる状態であるかを取得する。
【0068】
無線通信装置100は、ステップS126、S130およびS133における録音停止判定のように、自装置を含めてグループ内の外部マイク52がオフフック状態であるときには録音を停止せず、全てがオンフック状態であるときに録音を停止する。これによって、無線通信装置100は、グループに属する全ての無線通信装置100が送信待機状態でない状態になった場合に録音を停止するので、グループ内で行われる一連の会話の音声を最初から最後まで確実に録音することができる。
【0069】
また、図6図7および図8には記載されていないが、図3および図4と同様に録音停止タイマと組み合わせた態様も可能である。これにより、外部マイク52をフックに掛け忘れたために無駄に録音が継続されてしまうことを防止できる。
【0070】
(変形例)
上述の実施形態では、外部マイク52のフック状態信号で無線通信装置100が送信待機状態であるか否かを検出し、会話の終了を判断する例を示したが、無線通信装置100が送信待機状態であるか否かは、例えば、使用者が操作するスイッチのオンオフ状態などで設定されるものであってもよい。無線通信装置100の送信待機状態を設定するスイッチ等は、外部マイク52に限らず無線通信装置本体部(図示略)等に設けられていてもよい。無線通信装置100の送信待機状態は、使用者の音声等による入力操作を受け付けて設定されるものであってもよい。
【0071】
また上述の実施形態では、外部マイク52に設けられたPTTボタンの押下をトリガとして信号処理部41が送信を開始する例を示したが、信号処理部41が送信を開始するためのトリガはこれに限られるものではない。例えば、PTTボタンと同機能のスイッチ等を外部マイク52に限らず無線通信装置本体部(図示略)等に設けてもよいし、使用者の音声等による入力操作を受け付けて信号処理部41が送信開始するように構成されていてもよい。
【0072】
また上述の実施形態では、ハンディタイプの外部マイク52を設ける一例を示したが、使用者の音声を電気信号に変換できるマイクであれば、ハンディタイプであっても据置タイプのものであってもよい。また、無線通信装置100と外部マイク52の接続は有線、無線を問わず、無線通信装置100と外部マイクの接続/切断ボタンをフックの代わりとして、外部マイクの接続/切断ボタンの状態を検出して、送信待機状態か否かとを対応付けても良い。さらに、これらに限らず、送信待機状態か否かの対応付けができる手段であればよく、例えば、モーションセンサを備え、使用者の動作を送信待機状態か否かと対応付けてもよい。
【0073】
次に、実施形態および変形例に係る無線通信装置および無線通信方法の特徴を説明する。
無線通信装置100は、装置状態検出部42、信号処理部41、送信部10、受信部20、録音部30、記憶部44および録音判断部43を備える。装置状態検出部42は、装置状態を検出し、検出された装置状態であるフック状態と、自装置の使用者が直ちに送信できる送信待機状態であるか否かとを対応付けて装置状態情報として出力する。信号処理部41は、音声信号と装置状態情報について符号化および復号化する。送信部10は、信号処理部41で符号化された送信音声信号および自装置の装置状態情報であるフック状態情報を電波として相手装置に送信する。受信部20は、相手装置から電波を受信し、受信した信号を受信音声信号および相手装置の装置状態情報であるフック状態情報に復号化する信号処理部41に出力する。録音部30は、送信音声信号および受信音声信号を録音する。記憶部44は、装置状態検出部42から出力された自装置のフック状態情報、および信号処理部41が復号化した相手装置のフック状態情報を記憶する。録音判断部43は、記憶部44が記憶している自装置および相手装置のフック状態情報に基づいて録音部30による録音を継続するか停止するかを判断する。録音判断部43は、送信部10による音声信号に関する電波の送信、または受信部20による音声信号に関する電波の受信が終了した際に、記憶部44に記憶した自装置および相手装置のフック状態情報が共に送信待機状態であるオフフック状態でない場合(即ちオンフック状態である場合)に、録音部30による録音の停止を判断する。これにより、無線通信装置100は、オンフック状態であることを確認することによって、無線通信装置100間での会話の継続中に録音を停止させることなく、送受信された一連の会話の音声を適切に録音することができる。
【0074】
また送信部10による音声信号の送信、または受信部20による音声信号の受信が終了したことをトリガとして起動し、経過時間を計測する録音停止タイマ部45を更に備える。無線通信装置100の録音判断部43は、経過時間が予め設定された時間に達した場合に、録音部30による録音を停止する。これにより、無線通信装置100は、例えば外部マイク52のフックへの掛け忘れによって装置状態がオフフック状態のままになっているために無駄に録音が継続されてしまうことを防止できる。
【0075】
また録音部30は、録音を開始してから一連の会話に含まれる送信音声および受信音声を録音した後に、録音を終了するので、一つの電子ファイル内に一連の会話を収容できる。これにより、無線通信装置100は、一つの電子ファイルを再生することで、一連の纏まりのある会話を再現することができ、利便性を向上できる。
【0076】
また信号処理部41は、相手装置におけるフック状態情報の通知を要求する信号を送信部10を介して相手装置へ送信する。これにより、無線通信装置100は、フック状態の情報の通知を要求する信号によって相手装置からフック状態の情報を受け取り、自装置と相手装置のフック状態に基づいて、お互いが直ちに音声送信できる状態かを判断することができる。
【0077】
無線通信方法は、装置状態検出ステップ、信号処理ステップ、送信ステップ、受信ステップ、録音ステップ、記憶ステップおよび録音判断ステップを備える。装置状態検出ステップは、装置状態を検出し、検出された装置状態であるフック状態と、自装置の使用者が直ちに送信できる送信待機状態であるか否かとを対応付けて装置状態情報として出力する。信号処理ステップは、音声信号と装置状態情報について符号化および復号化する。送信ステップは、信号処理ステップで符号化された送信音声信号および自装置の装置状態情報であるフック状態情報を電波として相手装置に送信する。受信ステップは、相手装置から電波を受信し、受信した信号を受信音声信号および相手装置の装置状態情報であるフック状態情報に復号化する信号処理ステップに出力する。録音ステップは、送信音声信号および受信音声信号を録音する。記憶ステップは、装置状態検出ステップから出力された自装置のフック状態情報、および信号処理ステップが復号化した相手装置のフック状態情報を記憶する。録音判断ステップは、記憶ステップが記憶している自装置および相手装置のフック状態情報に基づいて録音ステップによる録音を継続するか停止するかを判断する。録音判断ステップは、送信ステップによる音声信号に関する電波の送信、または受信ステップによる音声信号に関する電波の受信が終了した際に、記憶ステップに記憶した自装置および相手装置のフック状態情報が共に送信待機状態であるオフフック状態でない場合(即ちオンフック状態である場合)に、録音ステップによる録音の停止を判断する。この無線通信方法によれば、送信側と受信側の双方の使用者が直ちに送信できないオンフック状態であることを確認できるので、一連の会話の音声の送受信中に録音を停止させることなく、通信された音声を適切に録音することができる。
【0078】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【符号の説明】
【0079】
10 送信部、 20 受信部、 30 録音部、 41 信号処理部、
42 装置状態検出部、 43 録音判断部、 44 記憶部、
45 録音停止タイマ部、 100 無線通信装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11