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特開2022-168515組立て建具及びそれを備えた建具セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168515
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】組立て建具及びそれを備えた建具セット
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/72 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
E06B3/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074036
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】521180599
【氏名又は名称】酒井 正智
(74)【代理人】
【識別番号】100195327
【弁理士】
【氏名又は名称】森 博
(74)【代理人】
【識別番号】100200333
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 真二
(72)【発明者】
【氏名】酒井 正智
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016HA09
2E016HA10
2E016JA11
2E016KA02
2E016KA05
2E016KA06
2E016LA01
2E016LB11
2E016MA01
2E016MA06
2E016PA03
2E016QA09
2E016RA01
(57)【要約】
【課題】様々な外観を表現することができると共に、開閉等の動作を行った場合でも安定している組立て建具及びそれを備えた建具セットを提供する。
【解決手段】4つの枠で囲まれ、枠で囲まれた内側に面する枠の端面には嵌合溝が延在する組立て建具であって、内側に配置される複数のボード部材と、複数のボード部材を接合する接合部材とを備え、4つの枠のうちの少なくとも1つは、ボード部材を内側に配置するために着脱可能であり、ボード部材の外周を構成する端面は、嵌合溝に嵌合しているか、又は、他のボード部材の端面と接合しており、接合するボード部材のそれぞれの端面には挿入溝が対向するように設けられており、挿入溝に接合部材を挿入することにより、接合部材を介してボード部材が接合されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4つの枠で囲まれ、前記枠で囲まれた内側に面する前記枠の端面には嵌合溝が延在する組立て建具であって、
前記内側に配置される複数のボード部材と、
前記複数のボード部材を接合する接合部材とを備え、
前記4つの枠のうちの少なくとも1つは、前記ボード部材を前記内側に配置するために着脱可能であり、
前記ボード部材の外周を構成する端面は、前記嵌合溝に嵌合しているか、又は、他のボード部材の端面と接合しており、
前記接合するボード部材のそれぞれの端面には挿入溝が対向するように設けられており、前記挿入溝に前記接合部材を挿入することにより、前記接合部材を介して前記ボード部材が接合されていることを特徴とする組立て建具。
【請求項2】
前記4つの枠のうち、上部に位置する枠が着脱可能となっており、
前記ボード部材の左右の端面が前記嵌合溝に嵌合している請求項1に記載の組立て建具。
【請求項3】
前記ボード部材及び前記接合部材が木製である請求項1又は2に記載の組立て建具。
【請求項4】
パーティション用のドアとして使用される請求項1乃至3のいずれかに記載の組立て建具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の組立て建具と、
前記組立て建具を蝶着するための建具枠とを備え、
前記建具枠は、上方に位置する面に圧着する支持部が上端面に配設されていることを特徴とする建具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材を組み合わせて作製され、ドア等として使用される組立て建具及びそれを備えた建具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空間を仕切るために使用されるパーティションの中には、複数のパネルを連結し、囲まれた空間となる部屋を形成するものがある。そのようなパーティションでは、部屋に出入りするためのドアが必要となる。
パーティション用のドアは、通常、パーティションを構成する他のパネルと同程度の厚さであり、玄関ドア等と比べて厚いものではなく、また、ドア本体は複数の部材から構成されたものではなく、一体化した形状となっているものが多い。よって、ドアの外観は略固定化される。
【0003】
近年、パーティションの利用及び用途が広がり、パーティションにもデザイン性が求められることがあり、それに合わせて、パーティション用のドアとして様々な外観のドアを揃えたり、顧客の要望に応えたドアを用意したりする必要性が生じることがある。しかし、上述のような本体が一体化した形状のドアでは、これらの必要性に対応するのは容易ではなく、対応できる技術が求められている。
【0004】
例えば、特許文献1には、パーティション用のドア程度の厚さで、様々な外観のドア等として組立て可能な建具が開示されている。特許文献1の建具は、四周枠内に上下方向で交互に積重されるパネル部材と中仕切部材を備える。パネル部材と中仕切部材とを順次嵌合させて組み立てるので、高さが異なるパネル部材の使用により中仕切部材間のピッチが相違した種々な外観を呈する建具を組み立てることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-52074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の建具では、中仕切部材を介してパネル部材を接続しているので、建具全体は中仕切部材で区切られた外観となってしまい、表現できる外観が制限され、例えばパネル全体を統一した外観とすること等が困難である。統一した外観等を表現可能とすべく、中仕切部材を使用せず、パネル部材のみを積重した場合、積重状態でのパネル部材の安定性が損なわれ、特にドア等の建具は開閉等により可動するので、その不安定性の影響が大きくなる可能性がある。
【0007】
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、様々な外観を表現することができると共に、開閉等の動作を行った場合でも安定している組立て建具及びそれを備えた建具セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 4つの枠で囲まれ、前記枠で囲まれた内側に面する前記枠の端面には嵌合溝が延在する組立て建具であって、前記内側に配置される複数のボード部材と、前記複数のボード部材を接合する接合部材とを備え、前記4つの枠のうちの少なくとも1つは、前記ボード部材を前記内側に配置するために着脱可能であり、前記ボード部材の外周を構成する端面は、前記嵌合溝に嵌合しているか、又は、他のボード部材の端面と接合しており、前記接合するボード部材のそれぞれの端面には挿入溝が対向するように設けられており、前記挿入溝に前記接合部材を挿入することにより、前記接合部材を介して前記ボード部材が接合されていることを特徴とする組立て建具。
<2> 前記4つの枠のうち、上部に位置する枠が着脱可能となっており、前記ボード部材の左右の端面が前記嵌合溝に嵌合している<1>に記載の組立て建具。
<3> 前記ボード部材及び前記接合部材が木製である<1>又は<2>に記載の組立て建具。
<4> パーティション用のドアとして使用される<1>から<3>のいずれかに記載の組立て建具。
<5> <1>から<4>のいずれかに記載の組立て建具と、前記組立て建具を蝶着するための建具枠とを備え、前記建具枠は、上方に位置する面に圧着する支持部が上端面に配設されている建具セット。
【発明の効果】
【0010】
本発明の組立て建具によれば、ボード部材同士が直接接合しているので、ボード部材間で連続した外観を表現することができ、全体で統一した外観の表現等が可能となる。また、接合部材を介してボード部材を接合しているので、開閉等の動作に対しても安定性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る建具の例(第1実施形態)を示す図である。
図2】横框を外した状態での周囲枠の正面図である。
図3】横框の側面図である。
図4】横框と縦框の接合箇所の拡大図である。
図5】ビスケットの例を示す平面図である。
図6】ボード部材の接合面の図である。
図7】ドア枠の例を示す斜視図である。
図8】ドアをドア枠に取り付けた状態での正面図である。
図9】ドア枠の他の例を示す正面図である。
図10】本発明に係る建具の例(第2実施形態)を示す正面図である。
図11】本発明に係る建具の例(第3実施形態)を示す正面図である。
図12】本発明に係る建具の例(第4実施形態)を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、4つの枠に囲まれ、その枠に囲まれた内側に複数のボード部材を配置して構成される組立て建具(以下、「建具」と記載する)である。4つの枠のうちの少なくとも1つの枠は着脱可能となっており、その枠を外して開口部となった箇所からボード部材を枠の内側に挿入して配置していく。各枠には、内側に面した端面に嵌合溝が延在されており、枠に接するボード部材は、その接する端面が嵌合溝に嵌合している。ボード部材同士は直接接合しているが、接合しているボード部材のそれぞれの端面には、対向するように挿入溝が設けられており、対向する2つの挿入溝に接合部材を埋め込むように挿入することにより、ボード部材が接合されている。このように、ボード部材を直接接合しているので、接合するボード部材間の境界に外観を妨げるものがなく、複数のボード部材間で連続した外観を表現することができ、全体で統一した外観等、表現可能な外観の範囲を広げることができる。また、接合部材を埋入してボード部材を接合しているので、ボード部材の分離を抑制し、安定した接合状態を継続することができる。なお、建具とは、障子、襖、窓、ドア、戸など、部屋の仕切りや外部との仕切りに用いる、開け閉めすることのできる可動性のものを意味する。可動性のものとそれを支える枠等の総称として建具を用いることがあるが、本発明では可動性のものを支える枠等は建具枠として区別し、建具と建具枠とを合わせて建具セットとする。
【0013】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付し、説明を省略することがある。更に、以下の説明における形状等は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。また、本実施形態はパーティション用のドアを対象としているが、本発明は、パーティション用のドアに限られず、他の用途のドアや、戸など他の建具にも適用可能である。
【0014】
図1に、本発明に係る建具の例(第1実施形態)であるパーティション用のドアの図を示す。ドア1の正面図を図1(A)に、側面図を図1(B)に、平面図を図1(C)にそれぞれ示す。
ドア1は、外周を構成する4つの枠である横框11及び12並びに縦框13及び14(以下、これらを総称して「周囲枠」とする)と、これらに囲まれた内側(以下、「枠内側」とする)に配置される10枚のボード部材21~30を備える。縦框13及び14は横框12に固着されており、横框11は、着脱可能の状態で縦框13及び14と接合されている。周囲枠は、アルミニウム、ステンレス、鉄等の金属で形成されている。ボード部材21~30は、杉等の木材で形成された、均等な厚さを有する平板状の部材である。なお、以下の説明において、各構成要素の部位の名称等で使用される「右」、「左」、「上」、「下」、「前」及び「後」は、図1(A)を正面から見ての「右」、「左」、「上」、「下」、「前」及び「後」の位置を指すものとする。
【0015】
横框11は、ドア1の上部に位置する枠である。横框11の下端面の左端部及び右端部が、それぞれ縦框13の上端面及び縦框14の上端面に、着脱可能の状態で、具体的にはネジ止めで接合している。横框11を縦框13及び14から外した状態での周囲枠の正面図を図2に示しており、ネジを緩めることにより、図2に示されるように、横框11を縦框13及び14から外すことができる。
枠内側に面する横框11の下端面には、横框11の長手方向に延在する嵌合溝が設けられている。図3に横框11の側面図を示しており、例えば、横框11の下端面に、下方に開口しているコの字型で横框11の長手方向に延伸する嵌合部11Aを止着することにより、嵌合溝11Bを形成する。嵌合溝11Bにボード部材21の上端面を嵌合することにより、ボード部材21を横框11に接合するので、嵌合溝11Bの幅は、ボード部材21の厚さ(前後方向での長さ)に合わせた大きさになっている。また、上述のように、横框11の下端面の左端部及び右端部に縦框13の上端面及び縦框14の上端面をそれぞれ接合するので、それらを接合する箇所を設けるために、嵌合部11Aは、横框11の全長(左右方向の長さ)より短くなっている。図4は横框11と縦框13の接合箇所を拡大した図であり、縦框13の上端面が横框11の下端面の左端部に接合するので、その接合する分だけ嵌合部11Aは短くなっており、横框11と縦框14の接合箇所でも同様な状態となるので、縦框14の上端面が接合する分だけ嵌合部11Aは短くなっている。横框11と縦框13の接合は、横框11の上端面から下端面、更に縦框13の上端面を貫通するネジを、図4の矢印で示される方向に螺合することにより行われる。横框11と縦框14の接合も、同様の方法により行われる。
【0016】
横框12は、ドア1の下部に位置する枠である。横框12の上端面の左端部及び右端部が、それぞれ縦框13の下端面及び縦框14の下端面に固着されている。枠内側に面する横框12の上端面には、横框11と同様の構造により、横框12の長手方向に延在する嵌合溝が設けられている。横框12の嵌合溝にボード部材30の下端面を嵌合することにより、ボード部材30が横框12に接合される。
【0017】
縦框13は、ドア1の左部に位置する枠である。枠内側に面する縦框13の右端面には、横框11及び12と同様の構造により、縦框13の長手方向に延在する嵌合溝が設けられている。図4に示されるように、縦框13の右端面の上端部に横框11の嵌合部11Aの左端面が接触し、同様に、縦框13の右端面の下端部に横框12の嵌合部(図示せず)の左端面が接触するので、それらが接触する分だけ、コの字型の形状である縦框13の嵌合部13Aは縦框13の全長(上下方向での長さ)より短くなっている。縦框13の嵌合溝にボード部材21~30それぞれの左端面を嵌合することにより、ボード部材21~30が縦框13に接合される。
【0018】
縦框13の前端面及び後端面それぞれの中央近辺に取っ手41及び42が固着されている。取っ手41及び42はコの字型をしており、コの字で開口している側の端面が縦框13に接合している。なお、取っ手41及び42の形状はコの字型に限定されず、その他の形状でも良い。
【0019】
縦框14は、ドア1の右部に位置する枠である。枠内側に面する縦框14の左端面には、縦框13と同様の構造により、縦框14の長手方向に延在する嵌合溝が設けられている。縦框14の嵌合溝にボード部材21~30それぞれの右端面を嵌合することにより、ボード部材21~30が縦框14に接合される。
【0020】
ボード部材21~30は、相互に接合されると共に、周囲枠に接合して、枠内側に配置される。上述のように、ボード部材21の上端面が横框11の嵌合溝11Bに、ボード部材30の下端面が横框12の嵌合溝に、ボード部材21~30の左端面及び右端面がそれぞれ縦框13の嵌合溝及び縦框14の嵌合溝に嵌合されている。上下に隣接するボード部材同士は接合部材を介して接合されている。
【0021】
本実施形態では、ボード部材同士をビスケットジョイントにより接合する。ビスケットジョイントは、ビスケットと呼ばれる圧縮した薄い木製チップを双方の木材同士に埋め込んで接合する方法である。つまり、ビスケットを接合部材として使用して、ボード部材同士を接合する。
【0022】
図5にビスケットの例を示す。図5はビスケット50の平面図である。ビスケット50は楕円形の形状をしており、ブナ等の広葉樹を圧縮して作製される。合板で作製されることもある。このビスケット50をボード部材に埋め込むために、接合するボード部材それぞれの端面(以下、「接合面」とする)に挿入溝が設けられている。
例えば、ボード部材21と22を接合する場合、図6に示されるように、ボード部材21の接合面である下端面の左右に2つの挿入溝51及び52を設け、ボード部材22の接合面である上端面にも同じ位置に挿入溝を設ける。挿入溝は円弧状に形成される。対向して設けられた挿入溝にビスケット50を挿入し、ボード部材21及び22を接合する。ビスケット50の挿入に当たって、接合力を強化するために、接着剤を使用する。即ち、ビスケット50と挿入溝が接する面に接着剤を塗布して、ビスケット50を挿入する。挿入溝に挿入されたビスケット50は、接着剤に含まれる水分を吸収して膨張するので、挿入溝に強く密着することになる。接着剤として、酢酸ビニル樹脂を成分とする木工用接着剤等を使用する。他のボード部材間の接合も同様の方法にて接合される。
【0023】
なお、図6では、接合面に2つの挿入溝を設けているが、設ける挿入溝の数は2つに限られず、3つ以上の挿入溝を設けても良い。また、ボード部材の差し替えを行うことがある場合や、接着剤を使用する程の接合力が必要ではない場合等では、接着剤を使用しなくても良い。ボード部材同士の接合方法としては、接合部材を使用する方法であれば、ビスケットジョイント以外の方法を使用しても良い。
【0024】
このような構成において、ドア1の組立ての手順例について説明する。なお、ドア1の組立てに当たって、横框11は縦框13及び14から外された状態であるとする。
まず、ボード部材30の左端面及び右端面をそれぞれ縦框13の上端部の嵌合溝及び縦框14の上端部の嵌合溝に嵌合させて、ボード部材30を枠内側に挿入し、縦框13の嵌合溝及び縦框14の嵌合溝に嵌合させた状態でボード部材30を下方に移動し、ボード部材30の下端面を横框12の嵌合溝に嵌合させる。
【0025】
次に、ボード部材30の上端面に設けられた挿入溝にビスケットを挿入する。この際、必要ならば、接着剤を使用する。
ビスケット挿入後、ボード部材29の左端面及び右端面をそれぞれ縦框13の上端部の嵌合溝及び縦框14の上端部の嵌合溝に嵌合させて、ボード部材29を枠内側に挿入し、縦框13の嵌合溝及び縦框14の嵌合溝に嵌合させた状態でボード部材29を下方に移動する。そして、ボード部材29の下端面に設けられた挿入溝に、ボード部材30の挿入溝に挿入されたビスケットを挿入して、ボード部材29と30を接合する。この際、必要ならば、接着剤を使用する。
【0026】
同様の手順により、ボード部材29~21に対して、ビスケットの挿入並びにボード部材の挿入及び接合を繰り返して、ボード部材を枠内側に積重する。
枠内側にボード部材21まで積重したら、横框11の嵌合溝にボード部材21の上端面を嵌合させ、横框11の下端面の左端部及び右端部がそれぞれ縦框13の上端面及び縦框14の上端面に接するように、横框11をドア1の上部に載置し、ネジ止めにより、横框11と縦框13及び14を接合する。このようにして、ドア1が組み立てられる。
【0027】
なお、上述の手順では、ボード部材を枠内側に挿入した後にビスケットを挿入溝に挿入しているが、予めビスケットを挿入溝に挿入しておいて、ビスケットが挿入されたボード部材を枠内側に挿入するようにしても良い。また、複数のボード部材を予め接合しておいて、接合されたボード部材を枠内側に挿入するようにしても良い。
【0028】
ドア1をパーティション用のドアとして使用する際には、建具枠であるドア枠にドア1を取り付けて使用する。例えば、図7に示されるようなドア枠60を使用する。図7はドア枠60の斜視図である。
ドア枠60は、鉛直方向に平行して延伸する縦枠62及び63と、縦枠62及び63の上部に位置する上枠61と、縦枠62及び63それぞれの下端面に接合されている脚部64及び65を備え、縦枠62及び63並びに上枠61に囲まれた空間(以下、「ドア空間」とする)にドア1を設置する。ドア枠60は、ドア1の周囲枠と同様に、アルミニウム、ステンレス、鉄等の金属で形成されている。
【0029】
脚部64及び65は、厚さが薄い平板の形状をしており、上端面の中心位置においてそれぞれ縦枠62及び63の下端面と接合し、ドア空間に対して垂直となる方向に延伸している。延伸方向の脚部64及び65の長さは、ドア枠60にドア1を取り付けた状態でドア1を安定して開閉できるような長さに設定されている。また、縦枠62と脚部64の接合を強化するために、縦枠62と脚部64が直角に交わっている境界線を跨ぐように縦枠62の端面と脚部64の上端面に接合する支持棒64a及び64bが固着されている。同様に、縦枠63と脚部65の間にも、支持棒65a及び65bが固着されている。
【0030】
ドア1は、縦枠63に取り付けられる。図8に、ドア1をドア枠60に取り付けた状態での正面図を示す。ドア1は、縦框14と縦枠63を3つの蝶番71、72及び73で接続することにより、ドア枠60に蝶着される。なお、使用する蝶番の数は適宜変更可能である。図8の場合、ドア1は、取っ手41を手前に引くことにより開けられる。なお、上述の手順例によるドア1の組立てを、横框11を外した周囲枠をドア枠60に取り付けた状態で行なっても良い。
【0031】
ドア枠として、図9に示されるようなドア枠80を使用しても良い。図9はドア枠80の正面図である。
ドア枠80は、ドア枠60と同様に、鉛直方向に平行して延伸する縦枠82及び83と、縦枠82及び83の上部に位置する上枠81を備え、更に、縦枠82及び83の下端面と接合する平板状の部材である台部84と、上枠81の上端面に配設されている支持部85及び86を備える。ドア枠80は、ドア枠60と同様に、アルミニウム、ステンレス、鉄等の金属で形成されている。
【0032】
支持部85は、円柱形の本体部85a、調節部85b及び円盤状の接触部85cで構成される。本体部85aが上枠81の上端面に螺着され、本体部85aと調節部85bは螺合している。そして、接触部85cが天井に接触し、調節部85bの長さを調節することにより、接触部85cの天井への接触力を調節する。支持部86も同様の構成及び操作により、接触部86cの天井への接触力を調節する。このようにして、ドア枠80を安定化させるので、ドア枠80は、接触部85c及び86cが接触可能な高さの天井等を有する所で使用される。なお、本体部85aは上枠81の上端面に溶接等により接合されても良い。
【0033】
本発明の他の実施の形態について説明する。
【0034】
本発明に係る他の建具の例(第2実施形態)として、窓を備えたパーティション用のドア2を図10に示す。図10はドア2の正面図である。
ドア2は、第1実施形態のドア1と同様の周囲枠を備え、枠内側には、ボード部材21~30と同様の形状であるボード部材92~96の他に、窓として使用されるボード部材91が配置される。
ボード部材91は、ボード部材92~96と同様に杉等の木材で形成されており、外周を構成する4つの枠(2つの横框と2つの縦框)に囲まれた内側にガラス等を嵌めこむことにより窓として使用される。ボード部材91の上端面は横框11の嵌合溝11Bに嵌合され、左端面及び右端面は縦框13の嵌合溝及び縦框14の嵌合溝にそれぞれ嵌合されている。ボード部材91と92は、他のボード部材と同様に、ビスケットジョイントにより接合されている。
【0035】
第1実施形態でのボード部材は枠内側において上下方向に積重されているが、ボード部材を左右方向に並置することもできる。この場合の実施形態(第3実施形態)のパーティション用のドア3を図11に示す。図11はドア3の正面図である。
ドア3では、枠内側にボード部材101~107が並置されている。ボード部材101~107は、ボード部材21~30と同様に、杉等の木材で形成された、均等な厚さを有する平板状の部材である。ボード部材101は、横框11及び12並びに縦框13の嵌合溝に嵌合されており、ボード部材102~106は、横框11及び12の嵌合溝に嵌合されており、ボード部材107は、横框11及び12並びに縦框14の嵌合溝に嵌合されている。そして、左右に隣接するボード部材同士は、ビスケットジョイントにより接合されている。
本実施形態では、横框11ではなく、縦框13又は14のいずれかが着脱可能となっており、着脱可能な縦框を外して開口部となった箇所からボード部材101~107を枠内側に挿入する。
【0036】
第1実施形態でのボード部材は、前端面及び後端面が、縦框13から縦框14まで渡る長さを有する長方形の形状となっているが、全てのボード部材を枠内側に隙間なく配置できるのであれば、それより短い長さの長方形や台形等の他の形状であっても良い。例えば、図12に示されるような様々な形状のボード部材を使用して、パーティション用のドアを組み立てることができる。図12は、本実施形態(第4実施形態)のドア4の正面図である。
ドア4は、前後端面が長方形のボード部材だけではなく、正方形、台形及び三角形のボード部材を備えている。ボード部材同士は、他の実施形態の場合と同様に、ビスケットジョイントにより接合されている。
【0037】
上述の実施形態では、ボード部材は木材で形成されているが、木材以外の素材で形成されても良い。周囲枠も金属ではなく、木材等で形成されても良い。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。また、上記形態において明示的に開示されていない事項、例えば構成物の寸法、重量等は、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1、2、3、4 ドア
11、12 横框
11A、13A 嵌合部
11B 嵌合溝
13、14 縦框
21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、91、92、93、94、95、96、101、102、103、104、105、106、107 ボード部材
41、42 取っ手
50 ビスケット
51、52 挿入溝
61、81 上枠
62、63、82、83 縦枠
64、65 脚部
71、72、73 蝶番
84 台部
85、86 支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12