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特開2022-168543磁性金属/フェライトコンポジット及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168543
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】磁性金属/フェライトコンポジット及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/14 20220101AFI20221031BHJP
   C22C 33/02 20060101ALI20221031BHJP
   H01F 1/24 20060101ALI20221031BHJP
   H01F 1/147 20060101ALI20221031BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20221031BHJP
   H01F 27/255 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
B22F1/02 G
C22C33/02 M
H01F1/24
H01F1/147 166
H01F41/02 D
H01F27/255
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074081
(22)【出願日】2021-04-26
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果最適展開支援プログラムトライアウト「マテリアルデザインに基づく新規磁性金属/フェライトバルクコンポジットの創製」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣田 健
(72)【発明者】
【氏名】加藤 将樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 実憲
【テーマコード(参考)】
4K018
5E041
【Fターム(参考)】
4K018AA26
4K018AB01
4K018AC02
4K018AC03
4K018AC04
4K018BA14
4K018BC17
4K018BC19
4K018BC20
4K018BC22
4K018BC28
4K018BC33
4K018BD01
4K018CA02
4K018DA14
4K018EA21
4K018KA44
5E041AA02
5E041AB01
5E041AB02
5E041BC01
5E041BD01
5E041BD13
5E041CA01
5E041HB07
5E041HB14
5E041NN06
5E041NN13
5E041NN18
(57)【要約】
【課題】高電気抵抗と高飽和磁束密度、高周波でも高い透磁率を併せ持つ、磁性金属/フェライトコンポジット及びその製造方法を提供する。
【解決手段】膜厚0.05~0.2μmのNiめっき膜にて表面が被覆された鉄ケイ素合金粉末の表面にNiMnZnフェライト相が形成されており、当該NiMnZnフェライト相が形成された合金粒子間の領域にMnZnフェライト相が配置されており、90%以上の相対密度を有する。このコンポジットは、鉄ケイ素合金粉末の表面をNiめっき膜で被覆した合金粉末の表面にNiO、MnO、ZnO、Fe23微粒子を均一にコーティングした後、MnO2、ZnO、Fe23微粒子の混合物を添加して、高静水圧下で相対密度80%以上に成形し、パルス通電加圧法により熱処理し、上記金属酸化物からNiMnZnフェライト相とMnZnフェライト相を形成することで得られる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜厚0.05~0.2μmのニッケルめっき膜にて表面が被覆された鉄ケイ素合金粉末の表面に、電気的絶縁層としてニッケルマンガン亜鉛フェライト相が形成されており、当該ニッケルマンガン亜鉛フェライト相が形成された合金粒子間の領域に、マンガン亜鉛フェライト相が配置されており、相対密度が90%以上であることを特徴とする磁性金属/フェライトコンポジット。
【請求項2】
前記磁性金属/フェライトコンポジットにおける鉄ケイ素合金とフェライト相の体積割合が70/30~85/15vol%であることを特徴とする請求項1に記載の磁性金属/フェライトコンポジット。
【請求項3】
飽和磁束密度が1.5T以上であり、電気抵抗率ρが0.7×10-4Ω・m以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性金属/フェライトコンポジット。
【請求項4】
鉄ケイ素合金粉末の表面を、膜厚0.05~0.2μmのニッケルめっき膜で被覆してなる合金粉末を準備し、その表面に、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化鉄(III)微粒子を均一にコーティングした後、二酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化鉄(III)微粒子の混合物を添加して、高静水圧下で相対密度80%以上に成形し、さらにパルス通電加圧法にて熱処理することにより、鉄ケイ素合金粉末の表面にニッケルマンガン亜鉛フェライト相を形成し、当該ニッケルマンガン亜鉛フェライト相が形成された合金粒子間の領域に、マンガン亜鉛フェライト相を形成することを特徴とする磁性金属/フェライトコンポジットの製造方法。
【請求項5】
前記コーティングにおける前記鉄ケイ素合金/(酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化鉄(III))の体積割合を、鉄ケイ素合金/ニッケルマンガン亜鉛フェライト相として96~94/4~6vol%とし、前記鉄ケイ素合金とフェライト相全体の体積割合が70/30~85/15vol%となる量の二酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化鉄(III)微粒子の混合物を添加することを特徴とする請求項4に記載の磁性金属/フェライトコンポジットの製造方法。
【請求項6】
パルス通電加圧焼結による前記熱処理が、673~773K(400~500℃)の焼結温度、100~250MPaの加圧力および1.8×102~6.0×102 秒(3~10分)の保持時間の条件にて行なわれることを特徴とする請求項4又は5に記載の磁性金属/フェライトコンポジットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電気抵抗と高飽和磁束密度、高周波でも高い透磁率を併せ持つ、磁性金属/フェライトコンポジット及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に使用される軟磁性材料には、高・飽和磁束密度(Bs)でかつ、高周波領域で使用可能な高・電気抵抗率(ρ)と高・透磁率(μ)が求められているが、単相のバルク磁性材料でこれらの要求を満足するものは知られていない。
最も高い飽和磁束密度(Bs=2.2T)を有する鉄(Fe)をベースにした金属磁性材料は、高い飽和磁束密度、高透磁率という高い磁気特性を示し、例えば下記の特許文献1には、複合磁性材料として、Feとケイ素(Si)を主成分とする磁性粉末の表面に絶縁被膜が形成されたものが開示されている。しかしながら、このようなFeをベースにした金属磁性材料は、電気抵抗が低いために高周波領域ではうず電流損失が大きくなり、使用が困難となるという問題があった。
【0003】
一方、酸化物磁性体のフェライトは、電気抵抗が高いため、高周波領域での磁気損失が少なく、Bsの高い金属磁性材料粒子の表面を高ρのフェライトで被覆して緻密化した複合材料(磁性ナノコンポジット)は、高電気抵抗と高磁束密度、高周波でも高い透磁率という両者の長所を併せ持つ高周波用磁性材料として期待できるが、このようなコンポジット創製にあたっては、以下に述べる2つの課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-146315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1の課題は、緻密化過程における酸化物皮膜の破断の問題である。即ち、高い飽和磁束密度、透磁率を得るためには複合材料の相対密度を理論密度に近づける必要があるため、成形時および焼結時に加圧により緻密化を行うが、その際、金属粒子の塑性変形に金属粒子表面に形成した酸化物皮膜の変形が追従せず、皮膜が破壊する。これは高密度にすればするほど破壊が進み、その結果、金属粒子同士が直接接触し、複合材料の電気抵抗が金属粒子並に低下してしまう。
又、第2の課題は、金属粒子とフェライト酸化物の混合物を加熱処理する際の接触界面における相互拡散の問題である。即ち、金属粒子は酸化されるとともにフェライトは還元され、出発原料が元来保持していた高い磁気的・電気的特性を失い、熱処理前の混合物の特性以下に低下する。
このように、金属と酸化物という全く性質の異なる物質を熱処理によって緻密化することは、金属と酸化物間の塑性変形能の差異や、熱平衡下での酸化物の解離や相互拡散等により、通常の粉末冶金のプロセスでは至難となっている。
【0006】
そこで、本願発明者等は、上記の第1の課題に対して、金属粒子の表面をフェライトの連続膜で被覆するのではなく、金属粒子表面を、酸化物の微粒子の混合粉体でコーティングすることにより、成形時に酸化物層が破断することが避けられることを見出した。
又、上記の第2の課題に対しては、高磁気特性のFe-Si(Siを3質量%含むFe、以後「Fe-3mass%Si」と表記することがある)粉体の表面を、Ni無電解めっきを用いて0.1μmの膜厚のNi‐B系メッキ膜で被覆し、微粒子酸化物混合粉体との直接接触を抑制する保護層とした。ここで、Ni‐B系メッキ膜を保護層とした理由としては、i)Fe-Si粒子の表面へ均一に連続薄膜でメッキコーティングすることが技術的に可能であり、大気中で安定であること、ii) Ni‐B系メッキ膜のBの含有量がNi-P系メッキ膜のPの含有量よりも少なく、強磁性体であること、iii)保護層としたNiが、その後更に金属粒子の外側(周囲)に配置した微粒子酸化物混合粉体と熱処理時に反応した場合も、高磁気特性と高電気抵抗を有する軟磁性体のNi-Znフェライトにすることができること。しかし、このNiZnフェライトを形成させるには、この金属磁性体と微粒子酸化物混合粉体を熱処理する際、金属を加熱昇温時に酸化しない様に非酸化性雰囲気で行うことを考え、Ni+ZnO+ α-Fe23(酸化鉄(III))の固相反応ではNiを酸化するための酸素Oが不足するので、Oを供給可能でかつ最終的にはフェライト相としても磁気特性が発現できる二酸化マンガンMnO2を追加・添加してNiMnZnフェライト相にすることとした。なお,比較のため酸化マンガンMnOを用いた試料も作製した。
【0007】
そして本発明では、電気的絶縁層を形成する磁性酸化物には、合金表面に近い領域を高電気抵抗のNiMnZnフェライト相(中心組成は[Ni0.25Mn0.25Zn0.5]Fe2O4)を採用し、さらに合金粒子間の領域は、高磁束密度Bs、高透磁率μで、NiMnZnフェライトよりも高温度、低酸素分圧下で焼結し、かつ磁歪定数λsが小さく、結晶磁気異方性定数Klが小さいMnZnフェライト相(中心組成は[Mn0.577Zn0.316]Fe2.071O4近傍)を配置した傾斜組成(hybrid)を採用した。
【0008】
本願発明者等は、種々検討を行った結果、NiメッキしたFe-Si合金粒子表面に、NiO、酸化マンガンMnO、ZnO、α-Fe23微粒子を均一にコーティングした後、さらにMnO2、ZnO、α-Fe23微粒子を添加した混合粉体を、高静水圧下で相対密度80%以上(好ましくは85%以上)に成形し、さらに難焼結性物質を緻密化でき、高速昇温可能で固相反応を促進できるパルス通電加圧法(PECPS)で、金属酸化物の混合物をフェライト相とすることにより、試料全体の相対密度が90~95%以上である緻密化した磁性ナノコンポジットが作製できることを見出して、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の磁性金属/フェライトコンポジットは、膜厚0.05~0.2μmのニッケルめっき(Ni-B系メッキ)膜にて表面が被覆された鉄ケイ素合金粉末の表面に、電気的絶縁層としてニッケルマンガン亜鉛フェライト相が形成されており、当該ニッケルマンガン亜鉛フェライト相が形成された合金粒子間の領域に、マンガン亜鉛フェライト相が配置されており、相対密度が90%以上であることを特徴とする。
【0010】
又、本発明は、上記の特徴を有する磁性金属/フェライトコンポジットにおける鉄ケイ素合金とフェライト相の体積割合が70/30~85/15vol%であることを特徴とするものである。
【0011】
又、本発明は、上記の特徴を有する磁性金属/フェライトコンポジットにおいて、飽和磁束密度が1.5T以上であり、電気抵抗率ρが0.7×10-4Ω・m以上であることを特徴とするものでもある。
【0012】
又、本発明は、上記の磁性金属/フェライトコンポジットを製造するための方法であって、当該製造方法は、鉄ケイ素合金粉末の表面を、膜厚0.05~0.2μmのニッケルめっき(Ni-B系メッキ)膜で被覆してなる合金粉末を準備し、その表面に、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化鉄(III)微粒子を均一にコーティングした後、二酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化鉄(III)微粒子の混合物を添加して、高静水圧下で相対密度80%以上に成形し、さらにパルス通電加圧法にて熱処理することにより、鉄ケイ素合金粉末の表面にニッケルマンガン亜鉛フェライト相を形成し、当該ニッケルマンガン亜鉛フェライト相が形成された合金粒子間の領域に、マンガン亜鉛フェライト相を形成することを特徴とする。
ここで従来用いるMnCO3やMnOの代わりにMnO2を用いるのは、PECPS熱処理時に非磁性のFeOがフェライト相内に生成するのを抑制し、また、室温で高静水圧下にて相対密度85%以上に成形することで、熱処理時の緻密化を促進し、最終的に高い電気抵抗と磁気特性を有するコンポジットが作製可能となるからである。
【0013】
又、本発明は、上記の特徴を有する磁性金属/フェライトコンポジットの製造方法において、前記コーティングにおける前記鉄ケイ素合金/(酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化鉄(III))の体積割合を、鉄ケイ素合金/ニッケルマンガン亜鉛フェライト相として96~94/4~6vol%とし、前記鉄ケイ素合金とフェライト相全体の体積割合が70/30~85/15vol%となる量の二酸化マンガン、酸化亜鉛、酸化鉄(III)微粒子の混合物を添加することを特徴とするものである。
【0014】
又、本発明は、上記の特徴を有する磁性金属/フェライトコンポジットの製造方法において、パルス通電加圧焼結による前記熱処理が、673~773K(400~500℃)の焼結温度、100~250MPaの加圧力および1.8×102~6.0×102 秒(3~10分)の保持時間の条件にて行なわれることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、原料粉体として、低価格で高磁気特性の窒素アトマイズ法で製造された球状Fe-3mass%Si含金粉末を採用することで、1.5T以上の高い飽和磁束密度を有する磁性金属/フェライトコンポジットが製造できる。
又、Fe-Si含金粉末の表面に被覆されたNiメッキ膜が、フェライト相とFe-3mass%Si間の相互拡散を抑制し、さらに合金に近い領域をNiMnZnフェライトとすることによって、Niメッキ膜との相乗作用で相互拡散を抑制することができ、合金粒子間の領域に高磁気特性のMnZnフェライトを配置させることにより、磁性コンポジットの磁気特性が向上する。
本発明の磁性金属/フェライトコンポジットは、電子部品用基幹材料として特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】[0022]以降で説明する実施例で用いたモノリシック [フェライト]コンポジットを製造するための手順(製造条件)を示すフローチャートである。
図2】実施例で用いた本発明のハイブリッド [フェライト]コンポジットを製造するための手順(製造条件)を示すフローチャートである。
図3】実施例で用いた原料粉体の特性(粒径、形状)を示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図4】金属/フェライトの体積割合を変化(70/30~85/15)させた際の(NiメッキコートFe-3mass%Si)/[(MnO/NiO/ZnO/F α-Fe23)‐(MnO2/ZnO/F α-Fe23)]のX線回折(XRD)パターンを比較したものである。
図5】上側が、NiメッキされたFe-Si粉末の表面に、メカノフュージョン(表面融合)によりMnO2、NiO、ZnO、Fe23(酸化鉄(III))微粒子をコーティングした後の粉体についての、クロスセクションポリッシャ(CP)により作製した断面試料(モノリシック[フェライト])のSEM画像であり、下側が、MnO(左)又はMnO2(右)を用いて作製したコンポジット(ハイブリッド[フェライト])の断面状態を示すSEM画像である。
図6】ハイブリッド[フェライト]コンポジット(成形体)の相対密度Drの成形圧力P依存性を示すグラフである。
図7】MnOを用いた場合と、MnO2を用いた場合の、1GPaにて冷間静水圧プレス(CIP)処理された成形体(モノリシック[フェライト]コンポジット、金属/フェライト=80/20vol%)の断面状態を比較したSEM画像である。
図8】本発明のハイブリッド[フェライト]コンポジット(金属/フェライト=80/20vol%)について、PECPS温度を変化させた際の相対密度Dの変化を示すグラフである。
図9】MnO2を用いて作製されたモノリシック[フェライト]コンポジットについて、PECPS温度の違いによるX線回折(XRD)パターンを比較したものであり、右側には各コンポジットの相対密度が記載されている。
図10】MnOを用いて作製されたハイブリッド[フェライト]コンポジット(金属/フェライト=85/15vol%)についての、PECPS温度の違いによるXRDパターンを比較したものであり、各コンポジットの相対密度も併記されている。
図11】MnOを用いて作製されたハイブリッド[フェライト]コンポジット(PECPS温度:723K)についての、金属/フェライトの体積割合を変化(70/30~85/15)させた際のXRDパターンを比較したものである。
図12】金属/フェライトの体積割合を変化(70/30~85/15)させ、(NiメッキコートFe-3mass%Si)/[(MnO2/NiO/ZnO/F α-Fe23)/(MnO2/ZnO/F α-Fe23)]から得られたハイブリッド[フェライト]コンポジットのXRDパターンを比較したものである。
図13】MnOを用いて作製されたハイブリッド[フェライト]コンポジット(PECPS温度:723K)についての、金属/フェライトの体積割合を変化(70/30~85/15)させた際の断面状態を比較したSEM画像である。
図14】MnOを用いて作製されたハイブリッド[フェライト]コンポジット(PECPS温度:723K)の破断表面のSEM画像(左側の写真)と、当該SEM画像の部分をエネルギー分散型X線分析装置(Energy Dispersive X-ray Spectrometer)を用いて分析(EDS分析)した際の結果であり、色の薄い(明るい)部分が各元素の濃厚存在位置を示している。
図15】粒子径の大きなFe23(C α-Fe23)を用いて製造されたハイブリッド[フェライト]コンポジット(金属/フェライト=80/20、85/15vol%、PECPS温度:758K)についての、周波数fと透磁率μの関係を示すグラフである。
図16】MnO2を用いて作製されたハイブリッド[フェライト]コンポジット(金属/フェライト=70/30~85/15vol%、PECPS温度:698K)についての、周波数fと透磁率μの関係を示すグラフである。
図17】MnOを用いて作製された本発明のハイブリッド[フェライト]コンポジット(金属/フェライト=75/25~85/15vol%、PECPS温度:723K)についての、周波数fと透磁率μの関係を示すグラフである。
図18】MnOを用いた場合と、MnO2を用いた場合の、ハイブリッド[フェライト]コンポジット(金属の体積割合:75~85vol%、PECPS温度:698K)についての、周波数fと透磁率μの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の磁性金属/フェライトコンポジットを製造するための本発明の製造方法における各工程について説明する。
図1は、後述する[0022]以降の実施例で用いたモノリシック[フェライト]コンポジット(鉄ケイ素合金粒子間の領域にマンガン亜鉛フェライト相が配置されていない)を製造するための手順を示すフローチャートであり、図2は、実施例で用いた本発明のハイブリッド[フェライト]コンポジット(鉄ケイ素合金粒子間の領域にマンガン亜鉛フェライト相が配置されている)を製造するための手順を示すフローチャートであり、図1図2にはそれぞれ、実施例にて用いた原料や条件等も記載されている。
【0018】
本発明では、図1に示されるように、原料粉末として、高磁気特性のFe-Si合金粉末を準備する。この際、粒子径が15~50μm程度の市販品を利用することができ、特にN2アトマイズ化された球状Fe-3mass%Si粉末を用いることが好ましい。そして、このFe-Si合金粉末の表面を、Ni無電解めっきを用いて0.05~0.2μm(好ましくは0.1μm)の膜厚のNi‐B系メッキで被覆し、微粒子酸化物混合粉体との直接接触と相互拡散を抑制する保護層とする。
次に、NiO、MnO2(MnOは比較実験用)、ZnO、α-Fe23微粒子を準備し、これらを湿式ボールミル混合等により混合し、得られた混合物をメカノフュージョンによりNi‐BメッキしたFe-Si合金粒子表面に均一にコーティングする。本発明では、上記のコーティングにおいて、鉄ケイ素合金/[NiO、MnO2 (またはMnO)、ZnO、α-Fe23)の96~94/4~6vol%(好ましくは95/5vol%)とし、後述する実施例においては、上記の体積割合が95/5vol%である「金属(Fe-Si合金)/NiMnZnフェライト=95/5vol%“コア”」を作製した。
【0019】
モノリシック[フェライト]コンポジットを製造する場合には、図1に示されるように、Niをコーティングした鉄ケイ素合金粒子表面に、 [NiO、MnO2、ZnO、α-Fe23)混合粉体をメカノフュージョンにより均一にコーティングし、この混合物を一軸プレスし、その後、冷間静水圧プレス(CIP)処理し、更にパルス通電加圧焼結(PECPS)により熱処理を行う。
これに対し、本発明の磁性金属/フェライトコンポジット(ハイブリッド[フェライト]コンポジット)を製造する場合には、図2に示されるようにして、上記の金属(Fe-Si合金)/(NiO、MnO2 (またはMnO)、ZnO、α-Fe23)混合物, 最終的組成は、(Fe-Si合金)/NiMnZnフェライト=95/5vol%“コア”に、乾式混合を行ったMnO2、ZnO、Fe23微粒子の混合物を添加して粒状物を製造し、得られた粒状物を一軸プレスし、その後、高静水圧下でCIP処理して相対密度80%以上の成形物を得、これを更にPECPSにより熱処理する。
本発明では、MnO2、ZnO、Fe23微粒子の混合物の添加割合が、Fe-Si合金/フェライト相全体の体積割合=70/30~85/15vol%の場合に、高電気抵抗、高磁束密度、高透磁率を併せ持つ磁性金属/フェライトコンポジットが製造できる。
【0020】
上記の製造方法により得られたハイブリッド[フェライト]コンポジットは、Fe-Si合金粉末の表面にNiMnZnフェライト相が形成され、当該NiMnZnフェライト相が形成されたFe-Si合金粒子間の領域に、MnZnフェライト相が形成された組織を有する。
尚、本発明の製造方法においては、一軸プレスを行う際の圧力は50~100MPa程度が好ましく、CIPの際の圧力は200~1000MPa程度が好ましい。又、PECPSによる熱処理の際の条件としては、673~773K (400~500℃)の焼結温度、100~250MPaの加圧力および1.8×102~6.0×102 秒(3~10分)の保持時間が好ましい。
【0021】
上記の製造方法を用いて製造された本発明の磁性金属/フェライトコンポジットは、膜厚0.05~0.2μmのNiめっき膜にて表面が被覆されたFe-Si合金粉末の表面に、電気的絶縁層としてNiMnZnフェライト相が形成されており、当該NiMnZnフェライト相が形成された合金粒子間の領域に、MnZnフェライト相が配置されており、90%以上の相対密度を有し、1.5T以上の飽和磁束密度、0.7×10-4Ω・m以上の電気抵抗率を有する。
本発明の磁性金属/フェライトコンポジットにおけるFe-Si合金とフェライト相の体積割合は70/30~85/15vol%であることが好ましく、75/25~85/15vol%であることが特に好ましい。
【実施例0022】
以下、実施例に基づいて本発明の製造方法を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
以下の表1には、磁性金属/フェライトコンポジットの製造に用いた原料粉体及びその物性(理論密度、BET比表面積、粒子径、純度)がまとめられている。尚、表1に記載される原料のうち、MnO2、MnO、NiOについては、それぞれボールミルを用いて粉砕を行ったものを用いた。
【0023】
【表1】
【0024】
又、以下の表2には、コンポジット構成磁性体及びその物性(飽和磁束密度、透磁率、電気抵抗率、密度、格子定数等)がまとめられている。
【0025】
【表2】
【0026】
I.原料粉体の形状および表面状態の観察
実施例で用いた原料粉体の表面を、走査型電子顕微鏡(FE-SEM、日本電子製、JSM7001F)にて観察した。図3には、各原料粉体の表面を観察した際のSEM画像が示されており、MnO2及びNiOは、粉砕後の原料のSEM画像である。
又、図4には、金属と酸化物の体積割合を変化させた混合物のXRDパターンが示されている。
【0027】
II.メカノフュージョン後のFe-Si合金/(NiO、MnO2 (またはMnO)、ZnO、α-Fe23)混合物、[最終的にPECPS処理によりNiMnZnフェライト相になった時の] Fe-Si合金/NiMnZnフェライト=95/5vol%組成の“コア”に相当する試料の断面状態の観察
図5には、モノリシック[フェライト]コンポジット(上側)とハイブリッド[フェライト]コンポジット(下側)の断面状態を観察した際のSEM画像が示されており、どちらのコンポジットにおいても、Fe-Si合金粒子の周囲が薄いNi膜で被覆されており、更にその外側が、MnO2 またはMnO、NiO、ZnO、Fe23混合物により覆われていることが確認された。
【0028】
III.コノポジット組成と成形圧力を変えた際の、ハイブリッド[フェライト]コンポジットの相対密度Drの成形圧力依存性
コンポジット組成と成形圧力を変えて、ハイブリッド[フェライト]コンポジットの相対密度の成形圧力依存性を測定した。その結果を以下の表3及び図6に示す。
【0029】
【表3】
【0030】
表3及び図6の実験結果から、金属成分が高い(多い)と相対密度は大きくなり、粗いα-Fe23(C α-Fe23、表1参照)を用いると相対密度が高くなることがわかった。又、成形圧力が大きくなるにつれて相対密度が高くなり、成形圧力が1GPaの場合には相対密度が80%を超えることもわかった。
【0031】
IV.MnOを用いた場合と、MnO2を用いた場合の、CIP成形体の断面状態の比較
図7には、MnOを用いた場合(左側)と、MnO2を用いた場合(右側)の、1GPaにてCIP処理された成形体(モノリシック[フェライト]コンポジット作製用混合物、PECPS処理後は金属/フェライト=80/20vol%)の断面状態を観察した際のSEM画像が示されている。
図7のSEM画像から、上記の組成においては、MnOを用いた場合の方が、組織が緻密になることがわかった。
【0032】
V.本発明のハイブリッド[フェライト]コンポジットにおける、PECPS温度を変化させた際の相対密度Dの変化
本発明のハイブリッド[フェライト]コンポジット(金属/フェライト=80/20vol%)について、PECPS温度を698~748K(425~475℃)に変化させた際の相対密度Drを測定した。図8には、その結果が示されている。
図8の結果から、PECPS温度が高くなるにつれて相対密度が大きくなり、723~748K(450~475℃)のPECPS温度範囲では、相対密度が94%以上のハイブリッド[フェライト]コンポジットが得られることがわかった。
【0033】
VI.MnO2を用いて作製されたモノリシック[フェライト]コンポジットについて、PECPS温度の違いによるX線回折(XRD)パターンの比較
図9には、PECPS温度(748~798K)を変えて得られた各焼結体のXRDパターン(X線回折装置(XRD)、リガク製、RINT2200を用いて測定)が比較されており、(a)は原料粉のXRDパターンであり、(b)はPECPS温度748K、(c)は758K、(d)は773K、(e)は798Kの焼結体のXRDパターンである。
図9の結果から、PECPS温度が高くなるにつれてZnFe24のピークが小さくなり、FeOのピークが観察された。又、これらのコンポジットの相対密度はいずれも92%以上であった。
【0034】
VII. MnOを用いて作製されたハイブリッド[フェライト]コンポジットについての、PECPS温度の違いによるXRDパターンの比較
金属/フェライト=85/15vol%の組成について、PECPS温度(723~748K)を変えて焼結体を作製し、各焼結体についてXRDパターンを測定した。
図10には、PECPS温度を変えて得られた各焼結体についてのXRDパターンが比較されており、(a)はPECPS温度723K、(b)は738K、(c)は748Kの焼結体のXRDパターンである。
図10においても、図9の場合と同様に、PECPS温度が高くなるにつれてZnFe24のピークが小さくなり、FeOのピークが観察された。又、これらのコンポジットの相対密度はいずれも93%以上であった。
【0035】
VIII. MnOを用いて作製されたハイブリッド[フェライト]コンポジットについての、金属/フェライトの体積割合の違いによるXRDパターンの比較
金属/フェライトの体積割合を変化(70/30~85/15)させ、PECPS温度723Kにて焼結体を作製し、各焼結体についてXRDパターンを測定した。
図11には、金属/フェライトの体積割合を変えて得られた各焼結体についてのXRDパターンが比較されており、(a)は金属/フェライトの体積割合=70/30、(b)は75/25、(c)は80/20、(d)は85/15の焼結体のXRDパターンである。
図11の結果から、金属成分が多くなるにつれてZnFe24のピークが小さくなることがわかった。
又、図12には、MnO2を用いて作製されたハイブリッド[フェライト]コンポジットについて、金属/フェライトの体積割合を変化(70/30~85/15)させた際のXRDパターンが比較されており、この結果からも、金属成分が多くなるにつれてZnFe24のピークが小さくなることがわかった。
【0036】
IX.金属/フェライトの体積割合を変化させた際のハイブリッド[フェライト]コンポジットの断面状態の比較
金属/フェライトの体積割合を変化(70/30~85/15)させて得られた焼結体(ハイブリッド[フェライト]コンポジット)の断面状態をSEMにより観察した。
図13は、MnOを用い、金属/フェライトの体積割合を変化させて得られた焼結体(PECPS温度:723K)の断面状態を示すSEM画像であり、これらのSEM画像から、金属成分が多いほど緻密な組織となることがわかった。
【0037】
X.本発明の磁性金属/フェライトコンポジット(ハイブリッド[フェライト]コンポジット)の破断表面のSEM及びEDS分析
図14には、コアにMnOを用いて作製されたハイブリッド[フェライト]コンポジット(PECPS温度:723K)の破断表面についてのSEM画像と、当該SEM画像部分をエネルギー分散型X線分析装置(Energy Dispersive X-ray Spectrometer)を用いて分析(EDS分析)した際の結果が示されている。
図14の結果から、Niめっき膜が破壊されずにFe-Si合金粉末の表面を覆っており、当該Niめっき膜により相互拡散が抑制されて、中央部(合金粒子間の中間体領域)にMnZnフェライトが生成していることが確認された。又、このようなMnZnフェライトの生成は、EDSの定性分析チャート(横軸が、試料から出る特性X線のエネルギーレベル(keV)で、縦軸が、その特性X線のカウントであるチャート)からも確認された。
【0038】
以下の表4には、本実施例にて条件(PECPS温度、金属/フェライトの体積割合)を変えて作製したモノリシック[フェライト]コンポジットとハイブリッド[フェライト]コンポジットについての電気的特性・磁気特性(飽和磁束密度、電気抵抗率)がまとめられている。
【0039】
【表4】
【0040】
表4から、モノリシック[フェライト]コンポジットとハイブリッド[フェライト]コンポジットの飽和磁束密度Bsはいずれも1.5T以上の高い飽和磁束密度であり、両者を比較した際に大きな差は見られないが、電気抵抗率ρについてはハイブリッド[フェライト]コンポジットの方がモノリシック[フェライト]コンポジットより良好な値(高電気抵抗)であり、これらのコンポジットは、フェライトの添加によって電気抵抗率が、Fe-3mass%Si含金に比べて102~103倍高くなることがわかる。
【0041】
以下の表5は、コア作製の原料の一部としてMnOを用いて作製したハイブリッド[フェライト]コンポジットと、同じくコア作製の原料の一部としてMnO2を用いて作製したハイブリッド[フェライト]コンポジットについて、金属/フェライトの体積割合を変化させた際の電気抵抗率ρを比較した表である。なお、合金粒子間の中間体の作製には微粒子α-Fe23粉体(F α-Fe23)を採用している。
【0042】
【表5】
【0043】
表5の結果から、これらのハイブリッド[フェライト]コンポジットの電気抵抗率ρはいずれも0.7×10-4Ω・m以上であり、コアにMnOを採用した場合の方が、MnO2を用いた場合よりも電気抵抗率ρが高くなる傾向がみられ、MnOを用いて作製したハイブリッド[フェライト]コンポジットの電気抵抗率ρは0.9×10-4Ω・m以上であった。
【0044】
XI.磁性金属/フェライトコンポジット(ハイブリッド[フェライト]コンポジット)についての、周波数fと透磁率μとの関係
粒子径の大きなC α-Fe23を用い、金属/フェライトの体積割合が80/20であるハイブリッド[フェライト]コンポジットと、前記の体積割合が85/15であるハイブリッド[フェライト]コンポジットについて、周波数f(0.1~5000kHz)と透磁率μとの関係を調べた。
図15は、上記の2種類のハイブリッド[フェライト]コンポジット(PECPS温度:758K)についての、周波数fと透磁率μの関係を示すグラフであり、このグラフは、周波数f1~1000kHzの範囲では、85/15vol%のコンポジットの方が透磁率が高いことを示している。
【0045】
XII.MnO2を用いて作製されたハイブリッド[フェライト]コンポジットの、周波数fと透磁率μとの関係
粒子径の小さなF α-Fe23を用い、金属/フェライトの体積割合が70/30、75/25、80/20、85/15vol%であるハイブリッド[フェライト]コンポジットについて、周波数f(0.1~5000kHz)と透磁率μとの関係を調べた。
図16は、上記の4種類のハイブリッド[フェライト]コンポジットについての、周波数fと透磁率μの関係を示すグラフであり、このグラフは、金属成分が多いと透磁率が高くなる傾向がみられるが、高周波領域では透磁率が急激に低下することを示している。
【0046】
XIII.MnOを用いて作製されたハイブリッド[フェライト]コンポジットについての、周波数fと透磁率μとの関係
金属/フェライトの体積割合が75/25、80/20、85/15vol%であるハイブリッド[フェライト]コンポジットについて、周波数f(0.1~5000kHz)と透磁率μとの関係を調べた。
図17は、上記の3種類のハイブリッド[フェライト]コンポジット(PECPS温度:723K)についての、周波数fと透磁率μの関係を示すグラフであり、このグラフから、MnOを用いて作製した本発明のハイブリッド[フェライト]コンポジットは、低周波領域~高周波領域の広い範囲にわたって高い透磁率を示すことがわかる。
【0047】
XIV.MnOを添加して作製したハイブリッド[フェライト]コンポジットと、MnO2を添加して作製したハイブリッド[フェライト]コンポジットの、周波数fと透磁率μの関係
図18は、MnOを添加した場合とMnO2を添加した場合の、ハイブリッド[フェライト]コンポジット(金属の体積割合:75~85vol%)についての、周波数fと透磁率μの関係を示すグラフである。
図18のグラフから、低周波領域~高周波領域の広い範囲にわたって、MnOを用いて作製したハイブリッド[フェライト]コンポジットの方が、MnO2を用いて作製したハイブリッド[フェライト]コンポジットよりも透磁率が高いことがわかった。
このように、電気抵抗率ρだけでなく透磁率μについても、NiMnZnフェライト相を形成する際にMnOを用いることによって、高電気抵抗と高透磁率の両方を併せ持つハイブリッド[フェライト]コンポジットが製造できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の製造方法により製造された磁性金属/フェライトコンポジットは、高電気抵抗と高飽和磁束密度、高周波でも高い透磁率を併せ持つので、電子部品用基幹材料として特に有用であるが、用途はこれに限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18