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特開2022-168549電子機器、フロントエンド装置並びに、これらの制御方法及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168549
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】電子機器、フロントエンド装置並びに、これらの制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20221031BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20221031BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20221031BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
H04N1/00 127Z
G06F13/00 357A
G06F3/12 303
G06F3/12 332
G06F3/12 334
B41J29/38 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074089
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115831
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】原 暢洋
【テーマコード(参考)】
2C061
5B089
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061HJ08
2C061HN05
2C061HN15
2C061HP06
2C061HP08
5B089GA16
5B089GA19
5B089GA21
5B089GB02
5B089HA10
5B089JA35
5B089JB10
5B089JB14
5B089KA13
5B089KB04
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC38
5C062AC42
5C062AF07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ネットワーク管理の負担増大を抑制しつつフロントエンドを導入してユーザーの利便性を高める技術を提供する。
【解決手段】画像形成システム10において、フロントエンド装置としての管理サーバは、複数の電子機器の夫々が提供可能なサービスを、複数の電子機器の夫々と紐づけて特定するサービスネゴシエーション部と、クライアント端末からのサービスディスカバリリクエストの受信に応じて、サービス特定情報を含むサービスディスカバリレスポンスを返信するサービス通知部と、クライアント端末からのサービスディスカバリリクエストに対する返信の停止を指令するコマンドを複数の電子機器に送信することで複数の電子機器からの返信を停止させ、複数の電子機器の何れかで提供可能なサービスの実行を指令するクライアント端末からのサービス実行リクエスト受信に応じて、電子機器にサービス実行リクエストを転送する電子機器制御部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスを提供可能な複数の電子機器と、前記サービスの実行を指令する複数のクライアント端末とにネットワークを介して接続可能なフロントエンド装置であって、
前記ネットワーク内において、サービスディスカバリリクエストを前記複数の電子機器にマルチキャストで送信し、前記複数の電子機器からのサービスディスカバリレスポンスの返信に応じて前記複数の電子機器とサービスネゴシエーションを実行し、前記複数の電子機器のそれぞれが提供可能な提供可能サービスを、前記複数の電子機器のそれぞれと紐づけて特定するサービスネゴシエーション部と、
前記サービスネゴシエーションで特定された提供可能サービスに基づき、前記クライアント端末からのサービスディスカバリリクエストの受信に応じて、前記提供可能サービスの内容を表すサービス特定情報を含むサービスディスカバリレスポンスを前記クライアント端末に返信するサービス通知部と、
前記クライアント端末からのサービスディスカバリリクエストに対する前記複数の電子機器からのサービスディスカバリレスポンスの返信の停止を指令するためのコマンドを前記複数の電子機器に送信することによって前記複数の電子機器からのサービスディスカバリレスポンスの返信を停止させ、前記複数の電子機器のいずれかで提供可能なサービスの実行を指令するための前記クライアント端末からのサービス実行リクエストの受信に応じて、前記複数の電子機器のうちの前記実行が可能な電子機器に前記サービス実行リクエストを転送する電子機器制御部と、
を備えるフロントエンド装置。
【請求項2】
請求項1記載のフロントエンド装置であって、
前記電子機器制御部は、前記提供可能サービスを実行させるためのサービス実行リクエストの前記クライアント端末からの受付の停止を指令するためのコマンドを、前記複数の電子機器に送信することによって前記クライアント端末からの前記サービス実行リクエストの前記複数の電子機器による受付を停止させるフロントエンド装置。
【請求項3】
複数のクライアント端末と、前記複数のクライアント端末からのサービスディスカバリリクエストに対して代理でサービスディスカバリレスポンスを送信するフロントエンド装置とにネットワークを介して接続可能な電子機器であって、
サービスディスカバリリクエストの受信に応じて、サービスの内容を表すサービス特定情報を含むサービスディスカバリレスポンスを返信するサービス通知部と、
前記サービス特定情報によって特定されたサービスの少なくとも一部を実行するためのサービス実行リクエストの受信に応じて、前記少なくとも一部のサービスを実行するサービス実行部と、
前記サービス通知部と前記サービス実行部とを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記複数のクライアント端末からのサービスディスカバリリクエストに対するサービスディスカバリレスポンスの返信を停止させるためのコマンドを前記フロントエンド装置から受信した場合には、前記サービス通知部を制御して前記複数のクライアント端末に対するサービスディスカバリレスポンスの返信を停止させる電子機器。
【請求項4】
請求項3記載の電子機器であって、
前記制御部は、フロントエンド装置を利用するための設定状態を有し、
前記設定状態では、前記制御部は、前記フロントエンド装置からのサービスディスカバリリクエストに対してサービスディスカバリレスポンスを返信し、前記フロントエンド装置からのサービスディスカバリリクエストの受信前に前記フロントエンド装置以外からのサービスディスカバリリクエストを受信した場合には、前記フロントエンド装置に対してサービスディスカバリリクエストの送信を要求し、予め設定された時間内に前記フロントエンド装置からサービスディスカバリリクエストの受信がなかったときには、前記フロントエンド装置以外に対してサービスディスカバリレスポンスを返信する電子機器。
【請求項5】
請求項4記載の電子機器であって、
前記制御部は、前記フロントエンド装置以外に対してサービスディスカバリレスポンスを返信した場合には、予め設定されている連絡先に自動的に前記フロントエンド装置の異常を通知する電子機器。
【請求項6】
サービスを提供可能な複数の電子機器と、前記サービスの実行を指令する複数のクライアント端末とにネットワークを介して接続可能なフロントエンド装置を制御する方法であって、
前記ネットワーク内において、サービスディスカバリリクエストを前記複数の電子機器にマルチキャストで送信し、前記複数の電子機器からのサービスディスカバリレスポンスの返信に応じて前記複数の電子機器とサービスネゴシエーションを実行し、前記複数の電子機器のそれぞれが提供可能な提供可能サービスを、前記複数の電子機器のそれぞれと紐づけて特定するサービスネゴシエーション工程と、
前記サービスネゴシエーションで特定された提供可能サービスに基づき、前記クライアント端末からのサービスディスカバリリクエストの受信に応じて、前記提供可能サービスの内容を表すサービス特定情報を含むサービスディスカバリレスポンスを前記クライアント端末に返信するサービス通知工程と、
前記クライアント端末からのサービスディスカバリリクエストに対する前記複数の電子機器からのサービスディスカバリレスポンスの返信の停止を指令するためのコマンドを前記複数の電子機器に送信することによって前記複数の電子機器からのサービスディスカバリレスポンスの返信を停止させ、前記複数の電子機器のいずれかで提供可能なサービスの実行を指令するための前記クライアント端末からのサービス実行リクエストの受信に応じて、前記複数の電子機器のうちの前記実行が可能な電子機器に前記サービス実行リクエストを転送する電子機器制御工程と、
を備えるフロントエンド装置制御方法。
【請求項7】
複数のクライアント端末と、前記複数のクライアント端末からのサービスディスカバリリクエストに対して代理でサービスディスカバリレスポンスを送信するフロントエンド装置とにネットワークを介して接続可能な電子機器の制御方法であって、
サービスディスカバリリクエストの受信に応じて、サービスの内容を表すサービス特定情報を含むサービスディスカバリレスポンスを返信するサービス通知工程と、
前記サービス特定情報によって特定されたサービスの少なくとも一部を実行するためのサービス実行リクエストの受信に応じて、前記少なくとも一部のサービスを実行するサービス実行工程と、
前記サービス通知工程と前記サービス実行工程とを制御する制御工程と、
を備え、
前記制御工程は、前記複数のクライアント端末からのサービスディスカバリリクエストに対するサービスディスカバリレスポンスの返信を停止させるためのコマンドを前記フロントエンド装置から受信した場合には、前記サービス通知工程を制御して前記複数のクライアント端末に対するサービスディスカバリレスポンスの返信を停止させる工程を含む電子機器制御方法。
【請求項8】
サービスを提供可能な複数の電子機器と、前記サービスの実行を指令する複数のクライアント端末とにネットワークを介して接続可能なフロントエンド装置を制御するためのフロントエンド装置制御プログラムであって、
前記ネットワーク内において、サービスディスカバリリクエストを前記複数の電子機器にマルチキャストで送信し、前記複数の電子機器からのサービスディスカバリレスポンスの返信に応じて前記複数の電子機器とサービスネゴシエーションを実行し、前記複数の電子機器のそれぞれが提供可能な提供可能サービスを、前記複数の電子機器のそれぞれと紐づけて特定するサービスネゴシエーション部、
前記サービスネゴシエーションで特定された提供可能サービスに基づき、前記クライアント端末からのサービスディスカバリリクエストの受信に応じて、前記提供可能サービスの内容を表すサービス特定情報を含むサービスディスカバリレスポンスを前記クライアント端末に返信するサービス通知部、及び
前記クライアント端末からのサービスディスカバリリクエストに対する前記複数の電子機器からのサービスディスカバリレスポンスの返信の停止を指令するためのコマンドを前記複数の電子機器に送信することによって前記複数の電子機器からのサービスディスカバリレスポンスの返信を停止させ、前記複数の電子機器のいずれかで提供可能なサービスの実行を指令するための前記クライアント端末からのサービス実行リクエストの受信に応じて、前記複数の電子機器のうちの前記実行が可能な電子機器に前記サービス実行リクエストを転送する電子機器制御部としてフロントエンド装置を機能させるフロントエンド装置制御プログラム。
【請求項9】
複数のクライアント端末と、前記複数のクライアント端末からのサービスディスカバリリクエストに対して代理でサービスディスカバリレスポンスを送信するフロントエンド装置とにネットワークを介して接続可能な電子機器を制御するための電子機器制御プログラムであって、
サービスディスカバリリクエストの受信に応じて、サービスの内容を表すサービス特定情報を含むサービスディスカバリレスポンスを返信するサービス通知部、
前記サービス特定情報によって特定されたサービスの少なくとも一部を実行するためのサービス実行リクエストの受信に応じて、前記少なくとも一部のサービスを実行するサービス実行部、及び
前記サービス通知部と前記サービス実行部とを制御する制御部として前記電子機器を機能させ、
前記制御部は、前記複数のクライアント端末からのサービスディスカバリリクエストに対するサービスディスカバリレスポンスの返信を停止させるためのコマンドを前記フロントエンド装置から受信した場合には、前記サービス通知部を制御して前記複数のクライアント端末に対するサービスディスカバリレスポンスの返信を停止させる電子機器制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続可能な電子機器の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる出力センターその他の印刷事業を行う会社では、インクジェット方式やオフセット印刷方式、電子写真方式といった様々な方式の多数の画像形成装置がネットワークに接続されて使用されている。さらに、画像形成装置には、冊子処理や紙折処理といった多様な後処理が可能な装置が装備されることも一般的になってきている。このような多数の画像形成装置の管理は、画像形成装置の方式が増え、後処理も多様化し、装置の台数が増加するに伴ってネットワークの管理も幾何級数的に管理負担も大きくなってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような問題に対して、本願発明者は、ネットワークにフロントエンドを導入することを検討したが、ユーザー側の利便性が向上する一方、ネットワーク管理者側の負担が大きくなるというトレードオフの問題を新たに見出した。
【0004】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ネットワーク管理の負担増大を抑制しつつフロントエンドを導入してユーザーの利便性を高める技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、サービスを提供可能な複数の電子機器と、前記サービスの実行を指令する複数のクライアント端末とにネットワークを介して接続可能なフロントエンド装置を提供する。前記フロントエンド装置は、前記ネットワーク内において、サービスディスカバリリクエストを前記複数の電子機器にマルチキャストで送信し、前記複数の電子機器からのサービスディスカバリレスポンスの返信に応じて前記複数の電子機器とサービスネゴシエーションを実行し、前記複数の電子機器のそれぞれが提供可能な提供可能サービスを、前記複数の電子機器のそれぞれと紐づけて特定するサービスネゴシエーション部と、前記サービスネゴシエーションで特定された提供可能サービスに基づき、前記クライアント端末からのサービスディスカバリリクエストの受信に応じて、前記提供可能サービスの内容を表すサービス特定情報を含むサービスディスカバリレスポンスを前記クライアント端末に返信するサービス通知部と、前記クライアント端末からのサービスディスカバリリクエストに対する前記複数の電子機器からのサービスディスカバリレスポンスの返信の停止を指令するためのコマンドを前記複数の電子機器に送信することによって前記複数の電子機器からのサービスディスカバリレスポンスの返信を停止させ、前記複数の電子機器のいずれかで提供可能なサービスの実行を指令するための前記クライアント端末からのサービス実行リクエストの受信に応じて、前記複数の電子機器のうちの前記実行が可能な電子機器に前記サービス実行リクエストを転送する電子機器制御部とを備える。
【0006】
本発明は、複数のクライアント端末と、前記複数のクライアント端末からのサービスディスカバリリクエストに対して代理でサービスディスカバリレスポンスを送信するフロントエンド装置とにネットワークを介して接続可能な電子機器を提供する。前記電子機器は、サービスディスカバリリクエストの受信に応じて、サービスの内容を表すサービス特定情報を含むサービスディスカバリレスポンスを返信するサービス通知部と、前記サービス特定情報によって特定されたサービスの少なくとも一部を実行するためのサービス実行リクエストの受信に応じて、前記少なくとも一部のサービスを実行するサービス実行部と、前記サービス通知部と前記サービス実行部とを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記複数のクライアント端末からのサービスディスカバリリクエストに対するサービスディスカバリレスポンスの返信を停止させるためのコマンドを前記フロントエンド装置から受信した場合には、前記サービス通知部を制御して前記複数のクライアント端末に対するサービスディスカバリレスポンスの返信を停止させる。
【0007】
本発明は、サービスを提供可能な複数の電子機器と、前記サービスの実行を指令する複数のクライアント端末とにネットワークを介して接続可能なフロントエンド装置を制御する方法を提供する。前記フロントエンド装置制御方法は、前記ネットワーク内において、サービスディスカバリリクエストを前記複数の電子機器にマルチキャストで送信し、前記複数の電子機器からのサービスディスカバリレスポンスの返信に応じて前記複数の電子機器とサービスネゴシエーションを実行し、前記複数の電子機器のそれぞれが提供可能な提供可能サービスを、前記複数の電子機器のそれぞれと紐づけて特定するサービスネゴシエーション工程と、前記サービスネゴシエーションで特定された提供可能サービスに基づき、前記クライアント端末からのサービスディスカバリリクエストの受信に応じて、前記提供可能サービスの内容を表すサービス特定情報を含むサービスディスカバリレスポンスを前記クライアント端末に返信するサービス通知工程と、前記クライアント端末からのサービスディスカバリリクエストに対する前記複数の電子機器からのサービスディスカバリレスポンスの返信の停止を指令するためのコマンドを前記複数の電子機器に送信することによって前記複数の電子機器からのサービスディスカバリレスポンスの返信を停止させ、前記複数の電子機器のいずれかで提供可能なサービスの実行を指令するための前記クライアント端末からのサービス実行リクエストの受信に応じて、前記複数の電子機器のうちの前記実行が可能な電子機器に前記サービス実行リクエストを転送する電子機器制御工程とを備える。
【0008】
本発明は、複数のクライアント端末と、前記複数のクライアント端末からのサービスディスカバリリクエストに対して代理でサービスディスカバリレスポンスを送信するフロントエンド装置とにネットワークを介して接続可能な電子機器の制御方法を提供する。前記電子機器制御方法は、サービスディスカバリリクエストの受信に応じて、サービスの内容を表すサービス特定情報を含むサービスディスカバリレスポンスを返信するサービス通知工程と、前記サービス特定情報によって特定されたサービスの少なくとも一部を実行するためのサービス実行リクエストの受信に応じて、前記少なくとも一部のサービスを実行するサービス実行工程と、前記サービス通知工程と前記サービス実行工程とを制御する制御工程とを備え、前記制御工程は、前記複数のクライアント端末からのサービスディスカバリリクエストに対するサービスディスカバリレスポンスの返信を停止させるためのコマンドを前記フロントエンド装置から受信した場合には、前記サービス通知工程を制御して前記複数のクライアント端末に対するサービスディスカバリレスポンスの返信を停止させる工程を含む。
【0009】
本発明は、サービスを提供可能な複数の電子機器と、前記サービスの実行を指令する複数のクライアント端末とにネットワークを介して接続可能なフロントエンド装置を制御するためのフロントエンド装置制御プログラムを提供する。前記フロントエンド装置制御プログラムは、前記ネットワーク内において、サービスディスカバリリクエストを前記複数の電子機器にマルチキャストで送信し、前記複数の電子機器からのサービスディスカバリレスポンスの返信に応じて前記複数の電子機器とサービスネゴシエーションを実行し、前記複数の電子機器のそれぞれが提供可能な提供可能サービスを、前記複数の電子機器のそれぞれと紐づけて特定するサービスネゴシエーション部、前記サービスネゴシエーションで特定された提供可能サービスに基づき、前記クライアント端末からのサービスディスカバリリクエストの受信に応じて、前記提供可能サービスの内容を表すサービス特定情報を含むサービスディスカバリレスポンスを前記クライアント端末に返信するサービス通知部、及び前記クライアント端末からのサービスディスカバリリクエストに対する前記複数の電子機器からのサービスディスカバリレスポンスの返信の停止を指令するためのコマンドを前記複数の電子機器に送信することによって前記複数の電子機器からのサービスディスカバリレスポンスの返信を停止させ、前記複数の電子機器のいずれかで提供可能なサービスの実行を指令するための前記クライアント端末からのサービス実行リクエストの受信に応じて、前記複数の電子機器のうちの前記実行が可能な電子機器に前記サービス実行リクエストを転送する電子機器制御部としてフロントエンド装置を機能させる。
【0010】
本発明は、複数のクライアント端末と、前記複数のクライアント端末からのサービスディスカバリリクエストに対して代理でサービスディスカバリレスポンスを送信するフロントエンド装置とにネットワークを介して接続可能な電子機器を制御するための電子機器制御プログラムを提供する。前記電子機器制御プログラムは、サービスディスカバリリクエストの受信に応じて、サービスの内容を表すサービス特定情報を含むサービスディスカバリレスポンスを返信するサービス通知部、前記サービス特定情報によって特定されたサービスの少なくとも一部を実行するためのサービス実行リクエストの受信に応じて、前記少なくとも一部のサービスを実行するサービス実行部、及び前記サービス通知部と前記サービス実行部とを制御する制御部として前記電子機器を機能させ、前記制御部は、前記複数のクライアント端末からのサービスディスカバリリクエストに対するサービスディスカバリレスポンスの返信を停止させるためのコマンドを前記フロントエンド装置から受信した場合には、前記サービス通知部を制御して前記複数のクライアント端末に対するサービスディスカバリレスポンスの返信を停止させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ネットワーク管理の負担増大を抑制しつつフロントエンドを導入してユーザーの利便性を高める技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成システム10の機能構成を示すブロックダイアグラムである。
図2】第1実施形態に係る画像形成装置100及びスマートフォン200の構成を示すブロックダイアグラムである。
図3】第1実施形態に係るフロントエンド設定処理の内容を示すフローチャートである。
図4】第1実施形態に係るIPアドレス取得処理の内容を示すフローチャートである。
図5】比較例に係るサービス検索処理の内容を示すフローチャートである。
図6】比較例に係るサービス検索処理の流れを示す説明図である。
図7】第1実施形態に係るサービス検索処理を示すフローチャートである。
図8】第1実施形態に係るサービス検索処理の流れを示す説明図である。
図9】第1実施形態に係るサービス通知状態を示す説明図である。
図10】第2実施形態に係るサービス検索処理を示すフローチャートである。
図11】第2実施形態に係るサービス検索処理の流れを示す説明図である。
図12】第2実施形態に係るサービス通知状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、図面を参照して以下の順序で説明する。
A.第1実施形態:
B.第2実施形態:
C.変形例:
【0014】
A.第1実施形態:
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成システム10の機能構成を示すブロックダイアグラムである。図2は、第1実施形態に係る画像形成装置100及びスマートフォン200の構成を示すブロックダイアグラムである。画像形成システム10は、複数の画像形成装置100と、スマートフォン200と、複数のパーソナルコンピュータ(単にPCとも呼ばれる。)300と、管理サーバ700とを備えている。複数のパーソナルコンピュータ300は、複数の画像形成装置100が提供するサービスの実行を指令するクライアント端末として機能する。
【0015】
画像形成装置100は、複数の画像形成装置100a乃至100eの総称であり、第1画像形成装置100aと、第2画像形成装置100bと、第3画像形成装置100cと、第4画像形成装置100dと、第5画像形成装置100eとを含んでいる。第1画像形成装置100aは、インクジェット方式の画像形成装置であり、仕分け処理が可能な後処理装置が装備されている。第2画像形成装置100bは、インクジェット方式の画像形成装置であり、冊子処理が可能な後処理装置が装備されている。第3画像形成装置100cは、電子写真方式の画像形成装置であり、パンチ処理が可能な後処理装置が装備されている。第4画像形成装置100dは、オフセット印刷の画像形成装置であり、仕分け処理が可能な後処理装置が装備されている。第5画像形成装置100eは、オフセット印刷の画像形成装置であり、紙折処理が可能な後処理装置が装備されている。
【0016】
画像形成システム10は、さらに、ローカルエリアネットワーク(単にネットワークとも呼ばれる。)LANを構成するスイッチングハブ500及びルーター600と、管理サーバ700とを備えている。管理サーバ700は、制御部710と、管理データベース(管理DBとも呼ばれる。)740と、通信インターフェース部(通信I/F部とも呼ばれる。)750とを備えている。制御部710は、フロントエンド処理部711を有している。フロントエンド処理部711の機能については後述する。管理サーバ700は、フロントエンド装置とも呼ばれる。
【0017】
管理データベース740には、ユーザー情報とリソース情報とが格納されている。ユーザー情報は、各ユーザーが担当している印刷案件で必要とされる利用サービスの内容(たとえばカラーインクジェット印刷やオフセット印刷)と利用分量(たとえば印刷サイズと印刷ページ数)と納期とを含んでいる。ユーザー情報は、営業部門からの印刷受注情報に基づいて更新される。リソース情報は、複数の画像形成装置100で提供可能な提供サービスの内容(たとえばカラーインクジェット印刷)と時間当たりの提供分量(たとえば時間当たりの印刷サイズと印刷ページ数)とを含んでいる。リソース情報は、複数の画像形成装置100の稼働状態やメインテナンス情報、利用可能時間帯、資材や印刷用紙を含む資材在庫といったリソースの状態に基づいて更新される。
【0018】
画像形成システム10は、インターネットを介してサポートサーバ800に接続されている。サポートサーバ800は、サポートデータベース(サポートDBとも呼ばれる。)840を格納し、多数のユーザーが使用する多数の画像形成装置を管理している。管理データベース840は、複数の画像形成装置100のそれぞれの印刷ページ数その他の課金情報、消耗品の供給管理情報及び故障診断といった保守サービスの提供のための診断データ等を格納している。管理データベース840は、ソフトウェアの自動アップデートやユーザーからの要請に応じてオプション機能を実現するためのソフトウェアを格納している。
【0019】
スマートフォン200は、制御部210と、操作表示部230と、記憶部240と、通信インターフェース部250とを備えている。スマートフォン200は、アクセスポイント(単にAPとも呼ばれる。)400を介して画像形成装置100に接続可能である。画像形成装置100は、制御部110と、画像形成部120と、操作表示部130と、記憶部140と、通信インターフェース部(通信I/F部とも呼ばれる。)150と、画像読取部160とを備えている。画像形成部120は、画像形成サービスを実行し、サービス実行部とも呼ばれる。
【0020】
画像読取部160は、原稿上の画像を読み取って画像データを生成する。画像形成部120は、複写モードとネットワークモードとを含む複数の作動モードで画像形成媒体上に画像を形成することができる。複写モードは、画像読取部160が生成した画像データに基づいて画像を形成する作動モードである。ネットワークモードは、ネットワークLANを介して取得した印刷ジョブ(画像形成ジョブとも呼ばれる。)に基づいて画像を形成する作動モードである。
【0021】
通信インターフェース部150は、有線のネットワークLANを介するイーサーネット(登録商標)での通信を実行可能である。通信インターフェース部150には、スイッチングハブ500を介してアクセスポイント400と複数のパーソナルコンピュータ300とルーター600とが接続されている。通信インターフェース部150は、アクセスポイント400を経由してスマートフォン200との無線通信を実行することができる。
【0022】
ルーター600は、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ機能を有し、動的割り当てでネットワークLANに接続されるDHCPクライアントとしての各機器100,200,300及び700にIPアドレスを割り当てる。IPアドレスの割り当ての際には、そのIPアドレスが有効な期間(リース期間)が指定され、DHCPクライアントはリース期間満了前に更新を行う。ルーター600は、更新されずにリース期間が満了したIPアドレスを他のDHCPクライアントに再割り当てすることができる。
【0023】
制御部110,210は、RAMやROM等の主記憶手段、及びMPU(Micro Processing Unit)やCPU(Central Processing Unit)等の制御手段を備えている。また、制御部110,210は、各種I/O、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、バス、その他ハードウェア等のインターフェースに関連するコントローラ機能を備えている。制御部110,210は、それぞれ画像形成装置100及びスマートフォン200の全体を制御する。制御部110は、サービス通知部111を備えている。サービス通知部111の機能については後述する。
【0024】
記憶部140,240は、非一時的な記録媒体であるハードディスクドライブやフラッシュメモリー等からなる記憶装置で、それぞれ制御部110,210が実行する処理の制御プログラム(画像形成プログラムを含む。)やデータを記憶する。操作表示部130,230は、タッチパネルとして機能し、様々なメニューを入力画面として表示し、ユーザーの操作入力を受け付ける。
【0025】
記憶部140には、各機器の識別情報として信頼済み機器リストとMACアドレスリストとが含まれている。信頼済み機器リストには、画像形成装置100との無線通信が許可されている各機器のSSID(Service Set Identifier)が含まれている。信頼済み機器リストには、管理サーバ700へのアクセス用として利用可能な携帯端末(たとえば特定のスマートフォン200)のSSIDが予め登録されている。MACアドレスリストには、画像形成装置100との無線通信が許可されている各機器のMACアドレス(Media Access Control address)が含まれている。MACアドレスリストには、管理サーバ700へのアクセス用として利用可能な携帯端末(たとえば特定のスマートフォン200)のMACアドレスが予め登録されている。
【0026】
図3は、第1実施形態に係るフロントエンド設定処理の内容を示すフローチャートである。本ウェイクアップ処理は、典型的には、セキュリティや省電力の観点からスイッチングハブ500やルーター600の電源を深夜や週末にオフとするネットワークLANに接続されている画像形成システム10で実行される。
【0027】
ステップS100では、ルーター600は、タイマーやシステム管理者の操作に応じて起動する。ステップS200では、ルーター600は、Universal Plug and Play(UPnP)の機能を起動する。これにより、ルーター600は、ネットワークLAN上の各機器のアドレッシング(アドレス配布)やディスカバリー(各機器の検出)の円滑な実行が可能となる。ステップS300では、ルーター600は、IPアドレス取得処理を実行する。
【0028】
図4は、第1実施形態に係るIPアドレス取得処理(ステップS300)の内容を示すフローチャートである。ステップS310では、画像形成装置100の通信インターフェース部150及び管理サーバ700の通信インターフェース部750は、スイッチングハブ500を介してネットワークLANの全体にFLPバーストを送信する。FLPバーストは、10メガビット・イーサネット(登録商標)の規格(10Base-T)で送信される信号である。
【0029】
FLPバーストは、33個のパルスによって構成されている。奇数番目のパルスは、パルスのタイミングをとるためのクロック・パルスである。偶数番目のパルスは、データ・パルスである。データ・パルスは、自分の機器がサポートしている伝送方式を表している。伝送方式は、伝送速度と伝送モード(全二重又は半二重)の組合せである。全二重は、双方向通信において、同時に双方からデータを送受信可能な通信方式である。半二重は、双方向通信において、同時に一方向のみのデータの送受信が可能であり、時分割で双方向からの送受信を可能とする通信方式である。
【0030】
具体的には、データ・パルスは、たとえば10メガビット・イーサネット(登録商標)の規格と伝送モードの組合せ、100メガビット・イーサネット(登録商標)の規格と伝送モードの組合せ及び1000メガビット・イーサネット(登録商標)の規格と伝送モードの組合せに対応している場合に、その対応する番目(偶数番目)の位置パルスのビットが1(パルスあり)となる。これにより、FLPバーストは、その送信元がサポートしている伝送方式を相手側の機器に伝えることができる。
【0031】
ステップS320では、通信インターフェース部150,750の各モジュラー式コネクター(たとえばRJ-45:図示略)が物理的にネットワーク(この例ではルーター600)に接続されていると判断された場合には、処理がステップS330に進められ、物理的にネットワークに接続されていないと判断された場合には、処理がステップS370に進められる。
【0032】
通信インターフェース部150,750は、スイッチングハブ500及びルーター600の双方が作動中で、FLPバーストの返信があった場合には、画像形成装置100及び管理サーバ700が物理的にネットワークに接続されていると判断する。一方、通信インターフェース部150,750は、スイッチングハブ500及びルーター600の少なくとも一方が非作動中(たとえば電源オフ)で、予め設定された時間内にFLPバーストの返信がなかった場合には、画像形成装置100及び管理サーバ700が物理的にネットワークに接続されていないと判断する。
【0033】
ステップS330では、通信インターフェース部150,750は、オートネゴシエーション処理を開始する。オートネゴシエーション処理では、通信インターフェース部150,750は、FLPバーストの送信元(この例ではルーター600)と通信インターフェース部150,750の双方がサポートしている伝送方式のうちで最も優先度の高い方式を自動的に選択する。この例では、オートネゴシエーション処理の結果として伝送方式に100BASE-T(全二重)が両者で選択されたものとする。
【0034】
ステップS340では、通信インターフェース部150,750は、通信回路設定処理を実行する。通信回路設定処理では、通信インターフェース部150,750は、ルーター600との通信に対して、オートネゴシエーション処理で選択された100BASE-T(全二重)に通信回路を設定する。
【0035】
ステップS350では、通信インターフェース部150,750は、IPアドレス要求処理を実行する。IPアドレス要求処理では、通信インターフェース部150,750は、DHCPDISCOVERメッセージをネットワークLAN内でブロードキャストする。DHCPDISCOVERメッセージは、DHCPサーバを探すためのメッセージである。
【0036】
DHCPサーバ機能を有するルーター600は、DHCPサーバとして機能し、DHCPDISCOVERメッセージに対する応答としてDHCPOFFERメッセージをネットワークLAN内でブロードキャストする。DHCPOFFERメッセージは、IPアドレス及び他の情報(サブネットマスクやDNSなどの設定パラメータ)を含んでいる。この例では、ルーター600は、IPアドレスのリース期間を24時間以内、たとえば20時間に設定するものとする。これにより、通信インターフェース部150,750は、IPアドレスを毎日更新する必要があることになる。
【0037】
ステップS360では、通信インターフェース部150,750は、IPアドレス取得処理を実行する。IPアドレス取得処理では、通信インターフェース部150,750は、DHCPOFFERメッセージを受信して解析し、DHCPOFFERメッセージでリースされたIPアドレスを画像形成装置100の通信インターフェース部150,750の各IPアドレスに設定し、DHCPOFFERメッセージから取得した他の情報を使用して通信設定を実行する。これにより、複数の画像形成装置100及び管理サーバ700は、イーサネットとTCP/IPプロトコルとに基づき、ルーター600への接続が可能となり、ルーター600を介するインターネット通信も可能となる。
【0038】
ステップS400(図3参照)では、管理サーバ700は、ユーザー情報取得処理を実行する。ユーザー情報取得処理では、管理データベース740からユーザー情報、すなわち、各ユーザーが担当している印刷案件で必要とされる利用サービスの内容(たとえばカラーインクジェット印刷)と利用分量(印刷サイズと枚数)と納期とを取得する。
【0039】
図5は、比較例に係るサービス検索処理(ステップS500c)の内容を示すフローチャートである。図6は、比較例に係るサービス検索処理の流れを示す説明図である。なお、図6は、説明を分かりやすくするために、第1画像形成装置100a及び第2画像形成装置100bのみが図示されている。
【0040】
サービス検索処理は、サービスディスカバリ(Service Discovery)とも呼ばれ、各種サービスを提供可能な機器(たとえば画像形成装置100)の位置を特定する処理である。比較例に係るサービス検索処理は、フロントエンドとして機能する管理サーバ700が使用されない処理である。フロントエンドの機能については後述する。
【0041】
ステップS510cでは、複数のパーソナルコンピュータ300のそれぞれは、サービス検索信号送信処理を実行する。サービス検索信号送信処理では、各パーソナルコンピュータ300は、自己のIPアドレスを含むサービスディスカバリリクエスト(SDリクエストとも呼ばれる。(図6参照))をマルチキャスト又はブロードキャストで送信する。
【0042】
ステップS520cでは、複数の画像形成装置100の制御部110のそれぞれが有するサービス通知部111は、それぞれの通信インターフェース部150を使用してIPアドレスを含むサービスディスカバリレスポンス(SDレスポンスとも呼ばれる。(図6参照))をユニキャストで各パーソナルコンピュータ300に返信する。SDレスポンスは、サービスの内容を特定する情報であるサービス特定情報を含んでいる。具体的には、たとえば第1画像形成装置100aが送信する場合には、サービスの内容は、「インクジェット印刷」及び「仕分け処理(後処理)」となる。
【0043】
ステップS530cでは、各パーソナルコンピュータ300は、サービス設定処理を実行する。サービス設定処理では、各パーソナルコンピュータ300は、SDレスポンスを受信し、受信したSDレスポンスを解析してサービス特定情報とIPアドレスとを抽出する。
【0044】
これにより、各パーソナルコンピュータ300は、複数の画像形成装置100の各サービスを使用するためのIPアドレスを取得することができる。複数の画像形成装置100は、それぞれのドライバ(制御プログラムとも呼ばれる。)を使用して、各サービスを選択して使用することができる。具体的には、たとえば各パーソナルコンピュータ300は、第1画像形成装置100aに印刷ジョブを送信し、インクジェット印刷を実行することができる(図6参照)。
【0045】
図7は、第1実施形態に係るサービス検索処理を示すフローチャートである。図8は、第1実施形態に係るサービス検索処理(ステップS500)の流れを示す説明図である。第1実施形態に係るサービス検索処理は、フロントエンドとして機能する管理サーバ700が使用される処理である。フロントエンドは、複数の端末(この例では、複数の画像形成装置100)において実行されるサービスを統括して制御し、各端末の稼働状況や各サービスの実行状況、さらには実行量を集約して管理するための装置である。
【0046】
ステップS510では、管理サーバ700の制御部710が有するフロントエンド処理部711は、サービス検索信号送信処理を実行する。サービス検索信号送信処理では、管理サーバ700は、自己のIPアドレスを含むSDリクエスト(図8参照)をマルチキャストで複数の画像形成装置100に送信する。SDリクエストは、管理データベース740から読みだされた複数のユーザーのユーザー情報に基づいて設定された利用サービスの内容と利用分量とを含んでいる。これにより、フロントエンド処理部711は、サービスネゴシエーションを開始する。
【0047】
ステップS520では、フロントエンド処理部711は、サービスネゴシエーション部として機能し、複数の画像形成装置100とサービスネゴシエーションを実行する。サービスネゴシエーションでは、複数の画像形成装置100は、それぞれのIPアドレスを含むSDレスポンス(図8参照)をユニキャストで管理サーバ700に返信する。SDレスポンスは、複数の画像形成装置100のそれぞれが提供可能なサービスである提供可能サービスの内容を複数の画像形成装置100のそれぞれと紐づけて特定する情報であるサービス特定情報を含んでいる。具体的には、ネットワーク上において、たとえば第1画像形成装置100aが送信する場合には、サービスの内容は、「インクジェット印刷」及び「仕分け処理(後処理)」となる。
【0048】
このように、サービスネゴシエーションでは、フロントエンド処理部711は、複数のユーザーのそれぞれを代理し、複数のユーザーのユーザー情報に基づいて複数の画像形成装置100に対してサービスの提供を要求する。フロントエンド処理部711は、さらに、必要に応じて納期に基づいてユーザーが担当する各印刷ジョブの優先順位を設定する。印刷ジョブは、サービス実行リクエストとも呼ばれ、稼働状況の監視等の印刷以外のジョブをも含む広い概念を有している。
【0049】
ステップS530では、管理サーバ700は、サービスリスト設定処理を実行する。サービスリスト設定処理では、フロントエンド処理部711は、受信したSDレスポンスを解析してサービス特定情報とIPアドレスとを抽出する。フロントエンド処理部711は、複数の画像形成装置100のそれぞれのサービス特定情報とIPアドレスとを、データベース化し、利用可能サービスデータとして管理データベース740に登録する。この例では、IPアドレスが主キーに設定される。
【0050】
管理サーバ700は、ユーザー情報と利用可能サービスデータとに基づいて提供可能サービスを各ユーザーに割り当てる。管理サーバ700は、ユーザー毎に割り当てられたサービスの利用権限を複数のパーソナルコンピュータ300へのログインに応じて、各コンピュータ300を介して与える。
【0051】
図9は、第1実施形態に係るサービス通知状態を示す説明図である。図9(a)は、ステップS510乃至ステップS530におけるサービス通知状態を示している。この状態では、管理サーバ700は、フロントエンドとして機能しておらず、第1画像形成装置100aにおいて「インクジェット印刷」及び「仕分け処理」のサービスが提供され、第2画像形成装置100bにおいて「インクジェット印刷」及び「冊子処理」のサービスが提供されている。
【0052】
ステップS540では、管理サーバ700は、フロントエンドの電子機器制御部として機能し、データベースに基づいてサービス通知停止処理を実行する。サービス通知開始処理では、管理サーバ700は、複数の画像形成装置100に対し、各パーソナルコンピュータ300等からのSDリクエスト(ステップS510c参照)に対して、SDレスポンスの返信の停止を指令するためのコマンドを含むIPパケットを送信する(図8参照)。複数の画像形成装置100は、本コマンドの受信に応じて管理サーバ700以外からのSDリクエストに対してSDレスポンスを返信しないように設定される。
【0053】
図9(b)は、ステップS550の処理後におけるサービス通知状態を示している。ステップS550では、管理サーバ700は、フロントエンドのサービス通知部として機能し、データベースに基づいてサービス通知開始処理を実行する。サービス通知開始処理では、管理サーバ700は、各パーソナルコンピュータ300からSDリクエスト(ステップS510c参照)に応じて、SDレスポンスをユニキャストで各パーソナルコンピュータ300に返信する(ステップS520c参照)。
【0054】
図9(b)の例では、一のパーソナルコンピュータ300おいては、「インクジェット印刷」と「仕分け処理」とが許可されているが、「冊子処理」が許可されていない。この例では、一のパーソナルコンピュータ300のユーザーには、担当印刷案件に「冊子処理」が必要なく、「冊子処理」の権限が認められていないからである。この例では、第2画像形成装置100bは、たとえば他の画像形成装置100で画像が形成された印刷物の冊子処理を管理サーバ700の管理外で実行できることになる。
【0055】
さらに、たとえば、スマートフォン200では、印刷対象の画像の十分な確認できないとして、複数の画像形成装置100の作動状況のモニターや処理の順序といった管理作業としてのサービスのみの権限を許可するようにしてもよい。このような権限の管理は、管理サーバ700を管理するシステム管理者によって一元的に簡単に設定可能である。
【0056】
このように、各パーソナルコンピュータ300からは、管理サーバ700の位置(IPアドレス)でのみ複数の画像形成装置100のサービスが提供されているように見えることになる。これにより、印刷ジョブは、必ず管理サーバ700を経由して転送され、管理サーバ700を経由しないサービスが各端末(この例では、複数の画像形成装置100)で個別に実行される可能性を排除し、フロントエンドとして機能する管理サーバ700でサービスの稼働状態やリソース状態を確実に管理することができる。
【0057】
なお、手動でのサービス通知停止処理は、端末ごとに手動で行うことも可能ではあるが、端末数の増大や動的な構成変更に伴い過度な負担を生じさせることになる。このような負担も管理サーバ700によって解消される。
【0058】
ステップS600では、管理サーバ700は、画像形成システム10が運用可能な状態となったので、ルーター600に対してUniversal Plug and Play(UPnP)の無効化を要求する。ルーター600は、UPnPを無効化し、画像形成システム10のセキュリティレベルをあげることができる。
【0059】
このように、第1実施形態に係る画像形成システム10は、管理サーバ700によって自動的に各端末のSDレスポンスの送信を停止させて、各端末の代わりに代理してSDレスポンスを送信することができる。これにより、画像形成システム10は、ネットワーク内にフロントエンドとして機能する管理サーバ700を簡易に導入可能とし、管理サーバ700でのサービスの稼働状況や実行結果を確実な管理を実現することができる。
【0060】
B.第2実施形態:
図10は、第2実施形態に係るサービス検索処理を示すフローチャートである。図11は、第2実施形態に係るサービス検索処理の流れを示す説明図である。図12は、第2実施形態に係るサービス通知状態を示す説明図である。第2実施形態に係るサービス検索処理(ステップS500a)は、サービス通知停止処理(ステップS540)がサービス受付停止処理(ステップS540a)に変更されている点で第1実施形態に係るサービス検索処理(ステップS500a)と相違している。
【0061】
ステップS540aでは、管理サーバ700は、電子機器制御部として機能し、複数の画像形成装置100に対して管理サーバ700以外からのサービスの実行コマンドの受付の停止を指令するためのコマンドを含むIPパケットを送信する。複数の画像形成装置100は、本コマンドの受信に応じて管理サーバ700以外からのサービスの実行コマンドを拒絶するように設定する。
【0062】
図12は、第2実施形態に係るサービス通知状態を示す説明図である。第2実施形態に係るサービス検索処理によれば、各パーソナルコンピュータ300が、仮に複数の画像形成装置100の少なくとも一部にサービスの実行を要求しても、管理サーバ700を経由しないサービスの実行命令は拒絶されることになる。この結果、管理サーバ700経由でないサービスが各端末で個別に実行される可能性を排除し、フロントエンドとして機能する管理サーバ700でサービスの稼働状況や実行結果を確実に管理することができる。
【0063】
なお、第2実施形態に係るサービス検索処理は、第1実施形態に係るサービス検索処理と組み合わせて実行することも可能である。すなわち、管理サーバ700は、サービス受付停止処理だけでなく、サービス通知停止処理及びサービス受付停止処理の双方を実行してもよい。こうすれば、ネットワーク内の無駄な通信を減らすこともできる。
【0064】
C.変形例:
本発明は、上記実施形態だけでなく、以下のような変形例でも実施することができる。
【0065】
変形例1:上記実施形態では、フロントエンド機能は、管理サーバ700で実行されているが、必ずしも管理サーバとしての装置は必要ない。具体的には、複数の画像形成装置100のいずれか1つ又は複数のパーソナルコンピュータ300のいずれか1つがフロントエンド機能を有するようにしてもよい。
【0066】
変形例2:上記変形例では、フロントエンド機能は、複数の画像形成装置100のいずれか1つ又は複数のパーソナルコンピュータ300のいずれか1つに実装されているが、複数の端末に実装されていてもよい。複数の端末に実装されている場合には、たとえば優先順位を設定し、最も高い優先順位の装置が作動し、他の端末は管理データベース740をミラーリングするようにすればよい。こうすれば、フロントエンド機能が実装された複数の端末のうち常にいずれか1つがフロントエンド機能を提供し、ロバスト性の高いシステムを実現することができる。この例では、画像形成装置100又はパーソナルコンピュータ300が、フロントエンド装置とも呼ばれる。
【0067】
変形例3:上記実施形態では、画像形成装置は、フロントエンド装置からの指令によってサービスディスカバリレスポンスの返信やサービス実行リクエストの受付を停止しているが、たとえば起動時(スリープ状態からの起動時を含む)の初期状態として、予め設定されているフロントエンド装置以外からのサービスディスカバリレスポンスの返信やサービス実行リクエストの受付を停止する設定状態を有してもよい。
【0068】
画像形成装置の制御部110は、本設定状態では、フロントエンド装置からのサービスディスカバリリクエストに対してサービスディスカバリレスポンスを返信し、フロントエンド装置からのサービスディスカバリリクエストの受信前にフロントエンド装置以外からのサービスディスカバリリクエストを受信した場合には、フロントエンド装置に対してサービスディスカバリリクエストの送信を要求し、予め設定された時間内にフロントエンド装置からサービスディスカバリリクエストの受信がなかったときには、フロントエンド装置以外に対してサービスディスカバリレスポンスを返信するようにしてもよい。
【0069】
こうすれば、画像形成装置の制御部は、フロントエンド装置よりも先にクライアント端末からサービスディスカバリリクエストを受信し、フロントエンド装置によるサービスディスカバリレスポンスの返信の停止の指令の前にサービスディスカバリレスポンスを返信してしまうという事態を予め防止することができる。さらに、画像形成システムは、すべてのフロントエンド装置がダウンしても円滑にフロントエンド装置を使用しない運用形態に自動的に遷移することができる。
【0070】
この際、画像形成装置の制御部は、フロントエンド装置以外に対してサービスディスカバリレスポンスを返信した場合には、予め設定されている連絡先(たとえばシステム管理者)に自動的にフロントエンド装置の異常を通知するようにしてもよい。
【0071】
変形例4:上記実施形態では、ルーター600がDHCPサーバ機能を有しているが、ネットワーク内にDHCPサーバ機能を有するサーバを備える構成でもよい。DHCPサーバ機能を有するネットワークは、DHCPサーバ機能を有するノードを有するネットワークであればよい。
【0072】
変形例5:上記実施形態では、端末として複数の画像形成装置100が採用されているが、必ずしも画像形成ジョブを実行する画像形成装置だけに限定されず、本発明は、各種サービスを提供可能(すなわち、各種ジョブを実行可能)な他の電子機器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0073】
10 画像形成システム
100 画像形成装置
110,210 制御部
120 画像形成部
130,230 操作表示部
140,240 記憶部
150,250 通信インターフェース部
500 スイッチングハブ
600 ルーター
700 管理サーバ
711 フロントエンド処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12