(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168551
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】喫煙器具
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20221031BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20221031BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20221031BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/40
A24F40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074092
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 龍志
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC01
4B162AC12
4B162AC22
4B162AC41
4B162AD03
4B162AD23
4B162AD32
(57)【要約】
【課題】エアロゾル形成基材の加熱ムラを抑制できる喫煙器具を提供する。
【解決手段】本発明に係る喫煙具用(1)は、エアロゾル形成基材(60)を加熱する喫煙器具であって、喫煙器具の内部に空気を取り込むための取込口(11)と、取込口から取り込まれた空気の流れの下流側に設けられ、エアロゾル形成基材を収納する収納空間(SP3)と、空気の流れの上流側に設けられた熱源空間(SP4)と、熱源空間に設けられ、熱源空間内の空気を加熱する第1発熱素子(第1加熱源)(20b)と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基材を加熱する喫煙器具であって、
前記喫煙器具の内部に空気を取り込むための取込口と、
前記取込口から取り込まれた空気の流れの下流側に設けられ、前記エアロゾル形成基材を収納する収納空間と、
前記取込口から取り込まれた空気の流れの上流側に設けられた熱源空間と、
前記熱源空間に設けられ、前記熱源空間内の空気を加熱する第1加熱源と、を備えたことを特徴とする喫煙器具。
【請求項2】
請求項1に記載の喫煙器具において、
前記熱源空間は、仕切壁を介して予熱空間と加熱空間とに仕切られ、
前記予熱空間は前記取込口と連通し、
前記加熱空間は前記仕切壁に設けられた連通口を介して前記予熱空間と連通し、
前記第1加熱源は、前記加熱空間内の空気を加熱することを特徴とする喫煙器具。
【請求項3】
請求項2に記載の喫煙器具において、
前記喫煙器具は棒状に形成され、
前記仕切壁は、前記喫煙器具の径方向において前記熱源空間を前記予熱空間と前記加熱空間とに仕切るとともに、前記喫煙器具の長手方向に沿って前記熱源空間内に全体的に設けられることを特徴とする喫煙器具。
【請求項4】
請求項3に記載の喫煙器具において、
前記仕切壁は、前記収納空間と対向する側の一端部からこれと反対側の他端部に向かって縮径するテーパ形状の筒体から成ることを特徴とする喫煙器具。
【請求項5】
請求項4に記載の喫煙器具において、
前記仕切壁の前記一端部は、前記エアロゾル形成基材の外径以上の大きさに設定された開口を有することを特徴とする喫煙器具。
【請求項6】
請求項4または5に記載の喫煙器具において、
前記連通口は、前記仕切壁の他端部側に形成されていることを特徴とする喫煙器具。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の喫煙器具において、
前記収納空間に設けられ、前記収納空間に収納された前記エアロゾル形成基材を直接加熱する第2加熱源をさらに備えたことを特徴とする喫煙器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、火炎を用いることなく、タバコの成分を含むタバコカートリッジを加熱して、気化したタバコ成分を吸引する方式のタバコ製品が広く知られている。また、嗜好の多様化から、タバコ成分を含まない植物の芳香や味わいを、タバコ同様に火炎を用いずに楽しむためのカートリッジ製品も知られ始めている。
【0003】
このようなカートリッジ製品は、加熱式の喫煙器具に挿入されて使用される。喫煙器具には、カートリッジ製品に充填されたエアロゾル形成基材を加熱する例えばブレード形状の加熱体が設けられる(特許文献1参照)。喫煙器具の挿入口からカートリッジ製品が挿入されると、加熱体がカートリッジ製品のエアロゾル形成基材に挿入された状態となる。この状態でユーザが喫煙器具のスイッチを入れると、加熱体が発熱してエアロゾル形成基材が加熱されることでエアロゾルが生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置(喫煙器具)では、加熱体のヒータがセラミック材料等から成るヒータマウントの表面における特定の位置に設けられている。そのため、このヒータと接触する範囲内のエアロゾル形成基材の部分と、このヒータと接触しない範囲内のエアロゾル形成基材の部分とで加熱ムラが生じる。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、その目的は、エアロゾル形成基材の加熱ムラを抑制できる喫煙器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、エアロゾル形成基材を加熱する喫煙器具であって、前記喫煙器具の内部に空気を取り込むための取込口と、前記取込口から取り込まれた空気の流れの下流側に設けられ、前記エアロゾル形成基材を収納する収納空間と、前記取込口から取り込まれた空気の流れの上流側に設けられた熱源空間と、前記熱源空間に設けられ、前記熱源空間内の空気を加熱する第1加熱源と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エアロゾル形成基材の加熱ムラを抑制できる。なお、上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る喫煙器具の斜視図である。
【
図2】(a)は喫煙器具の正面図、(b)は喫煙器具の上面図、(c)は(b)のIIc-IIc断面図である。
【
図3】喫煙器具の内部構造を説明する断面図である。
【
図4】喫煙器具の内部構造を説明する断面図である。
【
図5】喫煙器具が備える第1加熱体の分解図である。
【
図6】左側の図は、
図4に示す喫煙器具をVI-VI線に沿って切断した断面を喫煙具用カートリッジ側から視た第1加熱体の縦断面であり、右側の図は、同断面を第1加熱体側から視た喫煙具用カートリッジの縦断面である。
【
図7】喫煙者による吸気が開始されたときの予熱空間内の空気の流れを示す拡大図である。
【
図8】喫煙者による吸気が開始されたときの加熱空間内の空気の流れを示す拡大図である。
【
図9】喫煙具用カートリッジが喫煙器具に装着された状態を示す断面図である。
【
図10】変形例1-1に係る喫煙器具を示す断面図である。
【
図11】変形例1―2に係る喫煙器具を挿入口側から視たときの上面図である。
【
図12】(a)は変形例1-3に係る喫煙器具が備える第1加熱体を示す平面図、(b)は(a)のXIIc―XIIc断面図、(c)は(a)のXIIc―XIIc断面図である。
【
図13】(a)~(c)は第1加熱体の仕切壁の変形例を示す断面図である。
【
図14】(a)~(c)は第1加熱体の第1発熱素子の変形例を示す断面図である。
【
図15】(a)は第2実施形態に係る喫煙器具の正面図、(b)は(a)の上面図、(c)は(b)のXVc―XVc断面図である。
【
図16】(a)は第2加熱体を示す正面図、(b)は(a)のXVIc―XVIc断面図である。
【
図17】(a)喫煙器具が備える第1加熱体および第2加熱体を示す断面図、(b)は(a)の上面図である。
【
図18】喫煙器具の電気的構成を示すブロック図である。
【
図19】喫煙具用カートリッジが喫煙器具に装着された状態を示す断面図である。
【
図20】変形例2-1に係る喫煙器具を示す正面図である。
【
図21】喫煙器具の電気的構成を示すブロック図である。
【
図22】変形例2-2に係る喫煙器具を示す正面図である。
【
図23】喫煙器具の電気的構成を示すブロック図である。
【
図24】第1加熱体の第1発熱素子と第2加熱体の第2発熱素子の通電制御を示すフローチャートである。
【
図25】(a)は変形例2-3に係る喫煙器具の正面図、(b)は喫煙器具の上面図、(c)は(b)のXXVc-XXVc断面図である。
【
図26】
図22(b)における第1加熱体と第2加熱体の拡大断面図、(b)は喫煙器具の本体部の拡大側面図である。
【
図28】(a)は第2蓋部材を示す平面図、(b)は(a)の側面図である。
【
図29】(a)は第2蓋部材の第1マークと本体部の特定マークとを左右方向で位置合わせした状態を示す本体部の側面図、(b)は(a)の状態における第1蓋部材の第1孔部と第2蓋部材の第2孔部との位置関係を示す平面図である。
【
図30】(a)は第2蓋部材の第2マークと本体部の特定マークとを左右方向で位置合わせした状態を示す本体部の側面図、(b)は(a)の状態における第1孔部と第2孔部との位置関係を示す平面図である。
【
図31】(a)は第2蓋部材の第3マークと本体部の特定マークとを左右方向で位置合わせした状態を示す本体部の側面図、(b)は(a)の状態における第1孔部と第2孔部との位置関係を示す平面図である。
【
図33】第3実施形態に係る喫煙器具を示す断面図である。
【
図34】第4実施形態に係る喫煙器具を示す断面図である。
【
図35】喫煙器具が備える第3加熱体を示す拡大平面図である。
【
図36】喫煙具用カートリッジが喫煙器具に装着された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係る喫煙器具1の斜視図である。また、
図2(a)は喫煙器具1の正面図、(b)は喫煙器具1の上面図、(c)は(b)のIIc-IIc断面図である。
【0012】
図1および
図2(a)~(c)に示すように、喫煙器具1は、棒状に形成された本体部10と、本体部10に内蔵された第1加熱体20と、を備える。第1加熱体20は喫煙器具1の内部の空気を高温(例えば200度)で加熱する。この加熱された空気は喫煙具用カートリッジ(以下「カートリッジ」という。)100のエアロゾル形成基材に移送される。なお、カートリッジ100は、後述の
図9に示すように、エアロゾルを生成可能なエアロゾル形成基材60、エアロゾル形成基材60を支持する支持部材70、支持部材70の流路を通過したエアロゾルを吸引するためのマウスピース80、およびこれらを包んだ外装部材90によって構成される。また、
図2(c)において、符号15はセンサであり、符号16はコントローラであり、符号17はバッテリである。
【0013】
本体部10は、例えば金属製の部材から成る。勿論、本体部10の材質は金属製に限定されず、高耐熱性の樹脂材料等が用いられても良い。
【0014】
本体部10は、喫煙器具1の内部に外部空間から空気を取り込む取込口11と、カートリッジ100が挿入される挿入口12と、所定情報を報知する報知部13と、を有する。
【0015】
取込口11は、本体部10外周面に形成された小さな貫通孔である。取込口11は、外部空間と喫煙器具1の内部空間とを連通する。取込口11の形状として、例えば矩形状や円形状等の各種形状を採用できる。なお、取込口11は、本体部10に複数設けられていても良く、例えば取込口11を2つ設ける構成の場合には、2つの取込口11を本体部10の径方向において互いに対向するように配置するのが好ましい。
【0016】
挿入口12は、本体部10の長手方向の一端部(
図2において上端部)に円状に形成される。挿入口12の内径(口径)は、カートリッジ100の挿入が可能な程度の大きさである。なお、本体部10の長手方向の他端部(図において下端部)には、図示せぬ充電用端子が設けられる。
【0017】
報知部13は、例えばLED(発光ダイオード)ランプから成り、その点灯態様により喫煙者に対して例えば第1加熱体20の後述する第1発熱素子20bが発熱中である旨等を報知する。勿論、LEDランプの代わりに、液晶等その他の表示手段を用いることもできる。
【0018】
第1加熱体20は、筒状に形成された仕切壁20aと、仕切壁20aの内側に配設される第1発熱素子20bと、を有する。第1発熱素子20bは、各種制御を行うコントローラ(
図2(c)参照)16と電気的に接続され、通電されることで発熱する。なお、第1加熱体20の詳細については後述する。
【0019】
次に、
図3および
図4を参照して、喫煙器具1の内部構造について説明する。
図3および
図4は喫煙器具1の内部構造を示す断面図である。
【0020】
図3および
図4に示すように、喫煙器具1の内部は、ブロック状の支持台14によって本体部10の長手方向(
図3において左右方向)に第1内部空間SP1および第2内部空間SP2に仕切られている。第1内部空間SP1は、支持台14から本体部10の一端部(
図3において右端部)に至るまでに形成された空間である。第2内部空間SP2は、支持台14から本体部10の他端部(
図3において左端部)に至るまでに形成された空間である。
【0021】
第1内部空間SP1は、カートリッジ100のエアロゾル形成基材60を収納する収納空間SP3と、上記した第1加熱体20が配置され、本体部10の取込口11から取り込まれた空気を予め加熱するための熱源空間SP4と、を含む。
【0022】
収納空間SP3は、本体部10の挿入口12から支持台14側に向かって所定範囲を占め空間である。収納空間SP3の長手方向の長さは、カートリッジ100のエアロゾル形成基材60の長手方向の長さよりも大きい。そのため、収納空間SP3は、カートリッジ100のうち少なくともエアロゾル形成基材60全体を収納できる。本体部10内の空気の流れを大局的に見れば、喫煙者の吸気に伴なって、熱源空間SP4から収納空間SP3に高温の空気が流れてくる。そのため、この喫煙器具1においては、
図3に示す矢印の向きを空気の流れる方向と規定する。
【0023】
熱源空間SP4は、収納空間SP3よりも空気が流れる上流側に設けられる。熱源空間SP4は、第1加熱体20の仕切壁20aによって、喫煙器具1の径方向において予熱空間SP5と加熱空間SP6とに仕切られる(
図4参照)。予熱空間SP5は、熱源空間SP4内における仕切壁20aの外側の空間である。加熱空間SP6は、熱源空間SP4内における仕切壁20aの内側の空間である。なお、仕切壁20aは、
図4に示すような筒状に形成されているため、予熱空間SP5と加熱空間SP6とを喫煙器具1の長手方向においても仕切っている。
【0024】
予熱空間SP5は、本体部10の取込口11と連通する。取込口11は、本体部10の外周面において収納空間SP3と熱源空間SP4との境界位置(
図3の点線)よりも若干上流側の位置に形成される。予熱空間SP5には、取込口11から空気が取り込まれたことを検出するセンサ15が設けられる。センサ15は、例えば圧力センサであり、コントローラ16と電気的に接続される。
【0025】
加熱空間SP6は、仕切壁20aに形成された連通口20cを介して予熱空間と連通する。加熱空間SP6には、第1加熱体20の第1発熱素子20bが配設される。加熱空間SP6内の空気は、通電により発熱した第1発熱素子20bによって高温(例えば200度)で加熱される。
【0026】
一方、第2内部空間SP2には、第1加熱体20の第1発熱素子20bの通電を制御するコントローラ(制御部)16と、コントローラ16等に電力を供給するバッテリ17と、が設けられる。なお、コントローラ16は、具体的には制御基板である。
【0027】
コントローラ16は、第1加熱体20の第1発熱素子20bのオンまたはオフを制御するためのものであり、図示せぬCPU、ROM、RAM、および入出力インターフェース等を含むハードウェアと、ROMに記憶され、CPUにより実行されるソフトウェアとから構成される。コントローラ16が行う各種制御処理は、CPUがROMに格納された各種プログラムをRAMにロードして実行することにより、実現される。
【0028】
コントローラ16は、センサ15が取込口11から空気が取り込まれたことを検出したことに基づいて、第1加熱体20の第1発熱素子20bをオンするよう制御するとともに、報知部13(LEDランプ)を点灯するよう制御する。これにより、喫煙者に対して第1発熱素子20bが発熱中である旨を報知できる。これに対して、コントローラ16は、センサ15が取込口11から空気が取り込まれたことを検出しなくなったことに基づいて、第1加熱体20の第1発熱素子20bをオフするよう制御するとともに、報知部13を消灯するよう制御する。これにより、喫煙者に対して第1発熱素子20bが発熱中でない旨を報知できる。
【0029】
バッテリ17は、例えばリチウム系電池(リチウムポリマ電池等)から成り、本体部10の下端部に設けられた充電用端子を介して充電可能となっている。
【0030】
次に、
図5および
図6を参照して、第1加熱体20の詳細について説明する。
図5は第1加熱体20の分解図である。また、
図6に示す左側の図は、
図4に示す喫煙器具1をVI-VI線に沿って切断した断面をカートリッジ100側から視た第1加熱体20の縦断面であり、
図6に示す右側の図は、同断面を第1加熱体20側から視たカートリッジ100の縦断面である。なお、
図6において、L1は第1加熱体20およびカートリッジ100の頂部を通る直線、L2はこれらの底部を通る直線、L3は第1加熱体20の開口の頂部を通る直線、L4はその開口の底部を通る直線、L5はカートリッジ100のエアロゾル形成基材60の頂部を通る直線、L6はそのエアロゾル形成基材60の底部を通る直線である。
【0031】
図5に示すように、第1加熱体20は、仕切壁20aの内側に第1発熱素子20bが配設されることで構成される。仕切壁20aは、無機化合物(例えばアルミナや炭化ケイ素等)を主成分として含有した熱伝達可能な部材から成る。仕切壁20aは、加熱空間SP6内で第1発熱素子20bによって加熱された空気の熱を予熱空間SP5の空気に伝達する。なお、仕切壁20aは、金属材料または耐熱性を有する樹脂材料から成る構成でも良い。
【0032】
仕切壁20aは、熱源空間SP4内の空気の流れの下流側から上流側に向かって縮径するテーパ形状となっている。仕切壁20aは、本体部10の長手方向に沿って熱源空間SP4内に全体的に設けられる(
図4参照)。仕切壁20aの長手方向の長さは、カートリッジ100のエアロゾル形成基材60の長手方向の長さよりも長い。また、仕切壁20aの上流側の端部は、支持台14に接合されて強固に支持される。一方、仕切壁20aの下流側の端部は、本体部10の内壁と当接して予熱空間SP5と収納空間SP3とを仕切る(同図参照)。
【0033】
また、仕切壁20aの下流側(収納空間SP3と対向する側)の端部は、円形状の開口20dを有する。開口20dは、カートリッジ100のエアロゾル形成基材60の外径以上の大きさに設定される。具体的には、
図6に示すように、開口20dの内径(口径)は、直線L3と直線L4との間隔D1に相当し、エアロゾル形成基材60の外径に相当する直線L5と直線L6との間隔D2よりも大きい。勿論、間隔D1,D2が等しくなるよう設定されても良い。
【0034】
さらに、仕切壁20aは、その外周面に連通口20cを有する。連通口20cは仕切壁20aの上流側の端部近傍(
図4参照)に形成される。連通口20cの形状として、例えば矩形状や円形状等の各種形状を採用できる。なお、連通口20cは、仕切壁20aに複数設けられていても良く、例えば連通口20cを2つ設ける構成の場合には、2つの連通口20cを仕切壁20aの径方向において互いに対向するように配置するのが好ましい。また、連通口20cの位置は、上述した位置に限定されず、仕切壁20aの上流側であれば良い。この場合でも、連通口20cを介して加熱空間SP6に取り込まれた空気を高温で加熱できる。
【0035】
図5および
図6に示すように、第1発熱素子20bは、電熱線が螺旋状に所定ピッチで巻回されることで形成され、通電により発熱することで加熱空間SP6内の空気を高温(例えば200度)で加熱する。第1発熱素子20bの外形は仕切壁20aの内周面に沿った形状になっており、第1発熱素子20bの外径は熱源空間SP4内の空気の流れの上流側から下流側に向かうに連れて拡径する。また、
図6の左側に示すように、第1発熱素子20bは、正面視において螺旋状に巻回された部分が重ならないように形成される。加熱空間SP6内の空気は、収納空間SP3に流れる前に第1発熱素子20b全体と接触可能となっている。
【0036】
次に、
図7および
図8を参照して、本体部10の熱源空間SP4内の空気の流れについて説明する。
図7は喫煙者による吸気が開始されたときの予熱空間SP5内の空気の流れを示す拡大図である。
図8は喫煙者による吸気が開始されたときの加熱空間SP6内の空気の流れを示す拡大図である。
【0037】
図7に示すように、喫煙者が吸気を開始すると、まず、本体部10の取込口11から空気が予熱空間SP5内に取り込まれる。そして、この取り込まれた空気は、予熱空間SP5内で第1加熱体20の仕切壁20aの周りを旋回しながら仕切壁20aの下流側の端部から上流側の端部へと向かって、仕切壁20aの連通口20cに移送される。この際に、予熱空間SP5内の空気は、仕切壁20aを介して第1発熱素子20bから生じた熱を伝達される。一方で、喫煙者が吸気を終了すると、仕切壁20aから熱伝達された空気が予熱空間SP5内に滞留する。この滞留した空気は、喫煙者が吸気を再開するまでに仕切壁20aによって予め加熱(予熱)される。
【0038】
次に、
図8に示すように、仕切壁20aの連通口20cに移送された空気は、当該連通口20cを通過して予熱空間SP5から加熱空間SP6内に取り込まれる。そして、この取り込まれた空気は、加熱空間SP6内で螺旋状の第1発熱素子20bに沿って旋回しながら仕切壁20aの上流側の端部から下流側の端部へと向かって開口20dを通過する。これにより、高温の空気が、収納空間SP3へと移送され、エアロゾル形成基材60の間を均一に通過する。
【0039】
次に、
図9を参照して喫煙器具1の使用方法について説明する。
図9はカートリッジ100が喫煙器具1に装着された状態を示す断面図である。
【0040】
喫煙者は、カートリッジ100を
図1の矢印の向きに沿って、喫煙器具1の挿入口12に挿入することで、
図9に示すように本体部10の収納空間SP3内にエアロゾル形成基材60を収納する。この際に、第1加熱体20の仕切壁20aの下流側の端部とエアロゾル形成基材60とが当接することで、カートリッジ100の位置決めを容易に行える。その後、喫煙者は、マウスピース80を加えて吸気する。これにより、高温の空気をエアロゾル形成基材60に移送することでエアロゾル形成基材60を加熱し、当該エアロゾル形成基材60からエアロゾルが生成される。そして、喫煙者はそのエアロゾルをマウスピースから吸引する。
【0041】
このように構成された本実施形態に係る喫煙器具1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0042】
熱源空間SP4内で第1発熱素子(第1加熱源)によって高温にされた空気が、収納空間SP3内に収納されたエアロゾル形成基材60の間を満遍なく均一に通過できる。よって、エアロゾル形成基材60の加熱ムラを抑制でき、エアロゾル形成基材60の風味を十分に味わえる。
【0043】
また、熱源空間SP4は、仕切壁20aによって、取込口11と連通する予熱空間SP5と、この予熱空間SP5と連通口20cを介して連通する加熱空間SP6と、に仕切られ、加熱空間SP6内の空気が第1発熱素子20bによって加熱される。よって、本体部10内の加熱空間SP6内の空気を集中的に加熱でき、高温の空気を瞬時に生成できる。
【0044】
また、仕切壁20aは、熱伝達可能な部材から成るので、加熱空間SP6内の空気が持つ熱を予熱空間SP5内の空気に伝達できる。
【0045】
さらに、仕切壁20aは、喫煙器具1の径方向において熱源空間SP4を予熱空間SP5と加熱空間SP6とに仕切るため、喫煙器具1の中心軸周りに偏りなく予熱空間SP5と加熱空間SP6を形成できる。よって、収納空間SP3内に収納されたエアロゾル形成基材60に移送される空気に温度のムラが生じない。また、このような空気がエアロゾル形成基材60に移送されるので、エアロゾル形成基材60を均一に加熱でき、加熱ムラが生じる従来の喫煙器具に比べて十分な喫煙時間を確保できる。加えて、仕切壁20aは、喫煙器具1の長手方向に沿って熱源空間SP4に全体的に設けられるので、熱源空間SP4内の空気の加熱も十分に行える。
【0046】
また、喫煙者が吸気する(パフする)前に予熱空間SP5内の空気を予熱できるので、予熱空間SP5内の空気の温度を外部空間の空気の温度(外気温度)よりも高くできる。よって、第1発熱素子20bが加熱空間SP6内の空気を加熱するために要するエネルギーを低減できる。
【0047】
また、仕切壁20aは、熱源空間SP4内の空気の流れの下流側から上流側に向かって縮径するテーパ形状の筒体から成るため、予熱空間SP5を十分に確保できる。また、下流側の端部において広範囲で加熱空間SP6内の空気を加熱した後、直ぐにエアロゾル形成基材60にその空気を移送できるので、エアロゾル形成基材60の加熱が効果的に行える。
【0048】
また、仕切壁20aの下流側の端部は、エアロゾル形成基材60の外径以上の大きさに設定された開口20dを有するので、開口20dと対向するエアロゾル形成基材60全面に高温の空気を移送でき、エアロゾル形成基材60を十分に加熱できる。
【0049】
さらに、仕切壁20aの連通口20cは、仕切壁20aの上流側の端部に形成されているため、取込口11から取り込まれた空気が連通口20cに至るまでに予熱空間SP5内に滞留する時間を増加できる。そのため、予熱空間SP5内の空気が仕切壁20aによって十分に熱伝達される。
【0050】
また、仕切壁20aの長手方向の長さは、エアロゾル形成基材60の長手方向の長さよりも長いため、エアロゾル形成基材60を十分に加熱するために必要な熱源空間SP4を確保できる。
【0051】
また、仕切壁20a内に連通口20cを介して取り込まれた空気は、仕切壁20aの縮径している上流側から拡径している下流側に向かって旋回しながら対流することで、螺旋状に巻回された第1発熱素子20bと十分に接触できるとともに、この接触時間を十分に確保できる。よって、仕切壁20a内に取り込まれた空気を効率良く加熱ができる。
【0052】
このように喫煙器具1は、高温の空気をエアロゾル形成基材60に均一に通過させるため、喫煙者はエアロゾル形成基材60の特性を十分に引き出した喫煙を楽しめる。
【0053】
次に、喫煙器具1の各種変形例について説明する。
【0054】
(変形例1-1)
図10は変形例1-1に係る喫煙器具1-1を示す断面図である。喫煙器具1-1は、取込口11の位置および第1加熱体20の大きさが上記第1実施形態と異なる。
【0055】
図10に示すように、取込口11は、本体部10の挿入口12が設けられた一端部側(
図10において右端部側)に設けられる。
【0056】
第1加熱体20の径の大きさは、上記第1実施形態よりも小さい。具体的には、第1加熱体20の仕切壁20aの外径は本体部10の内周面に接触しない大きさに設定され、第1加熱体20の仕切壁20aの下流側(収納空間SP3と対向する側)の端部の外径(
図6に示した直線L1と直線L2との間隔に相当)は、本体部10の内径よりも小さい。
【0057】
このように構成された喫煙器具1-1では、収納空間SP3は、本体部10に収納されたカートリッジが占める空間(
図10において二点鎖線で示す空間)となる。そして、カートリッジが本体部10の挿入口12から挿入された場合には、カートリッジの外周面と本体部10の内周面との間に環状空間SP7(
図10において点線で示す空間)が形成される。環状空間SP7は、取込口11を介して外部空間と連通するとともに、第1加熱体20が配置されている上流側において予熱空間SP5と連通する。つまり、取込口11から取り込まれた空気は環状空間SP7を流れて予熱空間SP5に移送される構成となっている。そして、環状空間SP7内の空気と予熱空間SP5内の空気は、仕切壁20aを介して熱が伝達されることで予熱される。よって、この喫煙器具1-1では、環状空間SP7および予熱空間SP5が本発明の「予熱空間」に相当することになる。
【0058】
このように構成された喫煙器具1-1によれば、環状空間SP7と予熱空間SP5によって予熱できる空気量を増加させることができるので、喫煙者が喫煙を一旦終了した後に再開した場合でも、十分な量の高温の空気をエアロゾル形成基材60に移送可能となる。
【0059】
また、喫煙者が喫煙しているときに、エアロゾル形成基材の加熱により発生した煙が、カートリッジの先端の外周部から環状空間SP7内に漏れたとしても、取込口11から取り込まれた空気の流れにのせて予熱空間SP5に移送できる。よって、喫煙器具1-1の外部に煙が漏れることを防止できる。
【0060】
また、取込口11の位置が本体部10の一端部側なので、取込口11から取り込まれた空気が仕切壁20aの連通口20cに到達するまでの距離を大きくして十分に予熱できる。なお、本体部10の内部に上記のように環状空間SP7および予熱空間SP5が形成される場合には、取込口11の位置は、本体部10の一端部またはその近傍から本体部10における仕切壁20aの上流側の端部と対向する位置に至る範囲内であれば良い。このような範囲内で取込口11が設けられても、環状空間SP7および予熱空間SP5の内部の空気を予熱できる。
【0061】
(変形例1-2)
図11は変形例1-2に係る喫煙器具を挿入口12側から視たときの上面図である。変形例1-2に係る喫煙器具は、第1加熱体20の個数が上記第1実施形態と異なる。
【0062】
図11に示すように、本体部10の熱源空間SP4には、複数(本例では3つ)の第1加熱体20が配設されている。3つの第1加熱体20は、第1実施形態の第1加熱体20よりも小型化されている以外は上記第1実施形態と同様の構成である。3つの第1加熱体20は、熱源空間SP4内において、本体部10の周方向に沿って配置される。
【0063】
このように構成された喫煙器具によれば、各第1加熱体20で加熱された空気によって、エアロゾル形成基材60を局所的に加熱できる。また、3つの第1加熱体20が本体部10の周方向に沿って配置されているので、これら3つの第1加熱体20全体としてエアロゾル形成基材60を満遍なく加熱できる。なお、第1加熱体20の個数は、3つに限定されることなく、2つ以上であれば良い。
【0064】
(変形例1-3)
図12(a)は変形例1-3に係る喫煙器具が備える第1加熱体20を示す平面図、(b)は(a)のXIIc―XIIc断面図、(c)は(a)のXIIc―XIIc断面図である。変形例1-3に係る喫煙器具は、第1加熱体20の仕切壁20aが発熱素子として機能する点で上記第1実施形態と主として異なる。
【0065】
図12(a)に示すように、第1加熱体20の仕切壁20aは、導電性材料から成る部材であり、第2内部空間SP2(
図3,4参照)に内蔵されたコントローラ(制御部)16と電気的に接続される。仕切壁20aは通電により発熱し、加熱空間SP6内の空気を加熱する。なお、変形例1-3に係る喫煙器具では、仕切壁20a自体が発熱素子として機能するので、上記第1実施形態と異なり、第1発熱素子20bは設けられない。
【0066】
図12(a),(b)に示すように、第1加熱体20は、仕切壁20aの内周面から仕切壁20aの中心軸Cに向かって直線状に突出する断面矩形状の複数の放熱フィン20hを有する。各放熱フィン20hは、例えばアルミニウムや銅などの熱伝導性が高い部材から成り、その一端面を仕切壁20aの内周面と接合させている。
【0067】
複数の放熱フィン20hは、仕切壁20aの長手方向に沿って所定間隔を存して配置される(
図12(a)参照)とともに、中心軸Cの周りを囲むように仕切壁20aの周方向に沿って配置される(
図12(b)参照)。各放熱フィン20hの仕切壁20aの内周面に接合された一端面を除く他の端面は、加熱空間SP6内の空気と接触させており、各放熱フィン20hと加熱空間SP6内の空気の接触面積は十分に確保される。そして、各放熱フィン20hは、仕切壁20aから生じた熱が伝達されると、その伝達された熱を加熱空間SP6内の空気に向けて放熱する。なお、放熱フィン20hの形状は、断面矩形状に限定されず、加熱空間SP6内の空気の接触面積を向上させるために例えばスパイラル形状等を採用しても良い。
【0068】
図12(a),(c)に示すように、連通口20cは、仕切壁20aの径方向に対して所定角度傾斜した状態で仕切壁20aを貫通している。これにより、連通口20cを介して加熱空間SP6に取り込まれた空気は、仕切壁20aの長手方向に沿って旋回するように流れ易くなる(
図12(c)参照)。
【0069】
このように構成された喫煙器具によれば、第1発熱素子20bを不要とするので、第1加熱体20の部品点数を少なくできる。
【0070】
また、仕切壁20aから生じた熱を複数の放熱フィン20hを介して加熱空間SP6内の空気に伝達できるので、加熱空間SP6内の空気を十分に加熱できる。しかも、各放熱フィン20hは断面矩形状に形成されており、加熱空間SP6内の空気と十分に接触することでその空気の加熱を極めて有効に行える。
【0071】
さらに、連通口20cは、仕切壁20aの径方向に対して所定角度傾斜した貫通口となっているため、連通口20cを介して加熱空間SP6に取り込まれた空気を仕切壁20aの長手方向に沿って旋回するように流れ易くなる。よって、加熱空間SP6に取り込まれた空気を仕切壁20aの内周面および放熱フィン20hの双方と十分に接触させることができるので、加熱空間SP6内の空気を効果的に加熱できる。
【0072】
なお、上記変形例1-3では、仕切壁20aに複数の放熱フィン20hが接合された構成であったが、この構成に限定されず、仕切壁20a内の空気を高温に加熱できれば、複数の放熱フィン20hが設けられなくても良い。
【0073】
また、上記変形例1-3では、仕切壁20a自体が発熱素子として機能する構成であったが、この構成に限定されない。例えば上記第1実施形態と同様の構成を有する仕切壁20aの内周面に面状の発熱素子を付着させた構成でも良い。この場合、面状の発熱素子は例えば印刷やめっき等によって金属性部材が形成されるようにすれば良い。
【0074】
(その他の変形例)
上記第1実施形態では、仕切壁20aは、テーパ形状の筒体から成る構成であったが、以下に示すような変形例を採用しても良い。
図13(a)~(c)は、変形例に係る仕切壁20aを示す断面図である。
【0075】
図13(a)に示すように、仕切壁20aは、その外周面に複数の凸部20eを有しても良い。また、
図13(b)に示すように、仕切壁20aは、その外周面に複数の凹部20fを有しても良い。このような構成を採用すれば、予熱空間SP5内の空気と仕切壁20aの外周面との接触面積を増加できるため、仕切壁20aを介して予熱空間SP5内の空気に対して効果的に熱伝達を行える。
【0076】
また、
図13(c)に示すように、仕切壁20aは、その内周面の一部に熱反射部材20gが設けられてもよい。熱反射部材20gは、例えば複数の熱反射シートから成り、仕切壁20aの内周面の長手方向に所定間隔で付着される。なお、熱反射シートの代わりに、例えばメッキ等を施しても良い。このような構成を採用すれば、加熱空間SP6内の空気を第1加熱体20の第1発熱素子20bによって効果的に加熱できる。
【0077】
また、上記第1実施形態では、第1発熱素子20bは、螺旋状に巻回された電熱線から成る構成であったが、以下に示すような変形例を採用しても良い。
図14(a)~(c)は、変形例に係る第1発熱素子20bを示す断面図である。
【0078】
図14(a)に示すように、第1発熱素子20bは針状の部材から成る構成でも良い。また、
図14(b)に示すように、第1発熱素子20bは円筒状の部材から成る構成でも良い。さらに、
図14(c)に示すように、第1発熱素子20bはネジ巻き状の部材から成る構成でも良い。このような構成を採用しても、加熱空間SP6内の空気を第1発熱素子20bによって高温に加熱できる。
【0079】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る喫煙器具2について説明する。喫煙器具2は、第1実施形態に係る喫煙器具1と基本的には同じ構成であるが、エアロゾル形成基材60を直接加熱する第2加熱体30を備える点において第1実施形態と異なる。よって、以下の説明では、この相違点を中心に説明し、第1実施形態と重複する説明は省略する。
【0080】
図15(a)は喫煙器具2の正面図、(b)は(a)の上面図、(c)は(b)のXVc―XVc断面図である。また、
図16(a)は第2加熱体30を示す正面図、(b)は(a)のXVIc―XVIc断面図である。
【0081】
図15(a)~(c)に示すように、喫煙器具2は、本体部10の収納空間SP3内に第2加熱体30を備える。第2加熱体30は、例えばブレード状に形成される。
図16(a),(b)に示すように、第2加熱体30は、熱伝達部材30aと、シート状の第2発熱素子(第2加熱源)30bと、を有する。第2発熱素子30bは、熱伝達部材30aに内蔵される。第2実施形態においては、第2発熱素子30bは例えば200度で発熱し、第1加熱体20の第1発熱素子20bは、例えば100度で発熱する。このように、喫煙器具2は、エアロゾル形成基材60に第1加熱体20で加熱された高温の空気を移送するとともに、第2加熱体30によってエアロゾル形成基材60を直接加熱する。
【0082】
図17(a)は第1加熱体20および第2加熱体30を示す断面図であり、(b)は(a)の上面図である。
【0083】
図17に示すように、第2加熱体30は、喫煙器具2の内部において第1加熱体20の下流側に配置される。第1加熱体20と第2加熱体30との間には、円板状の第1蓋部材40と、直方体形状の台座部41と、が介在する。台座部41は、第1蓋部材40の中央部上に配置される。
【0084】
第1蓋部材40は、第1加熱体20の開口20dを覆う。第1蓋部材40は、その外周縁の近傍に周方向に沿って複数(本例では8つ)の第1孔部40aを有する。つまり、各第1孔部40aは、第1蓋部材40の中央部から離れて形成される。8つの第1孔部40aは、加熱空間SP6と収納空間SP3とを連通する。
【0085】
台座部41は、本体部10の長手方向(
図17(a)において上下方向)において第1蓋部材40と第2加熱体30との間に隙間Dを形成する。台座部41の上面は、収納空間SP3に収納されたエアロゾル形成基材60と当接する。そのため、エアロゾル形成基材60が収納空間SP3に収納されても、第1蓋部材40とエアロゾル形成基材60との間に隙間Dは維持されたままである。
【0086】
次に、
図18を参照して喫煙器具2の電気的構成について説明する。
図18は喫煙器具2の電気的構成を示すブロック図である。
図18に示すように、コントローラ16は、センサ15が取込口11から空気が取り込まれたことを検出したことに基づいて、第1加熱体20の第1発熱素子20bおよび第2加熱体30の第2発熱素子30bをオンするよう制御する。この場合、コントローラ16は、第1発熱素子20bの発熱と第2発熱素子30bの発熱を異なるタイミングで開始させるよう制御する。具体的には、コントローラ16は、第1発熱素子20bの発熱の開始タイミングを第2発熱素子30bの発熱の開始タイミングよりも早くする。
【0087】
このような構成を有する喫煙器具2にカートリッジ100が装着されると、
図19に示す状態となる。
図19は、カートリッジ100が喫煙器具2に装着された状態を示す断面図である。
【0088】
図19に示すように、喫煙者が吸気を開始すると、上記第1実施形態と同様に、第1加熱体20の第2発熱素子30bが発熱することで、高温で加熱された加熱空間SP6内の空気が、第1蓋部材40の8つの第1孔部40aを介してエアロゾル形成基材60に移送される。この際に、この移送された空気は、第1蓋部材40の8つの第1孔部40aを通過した後に、第1蓋部材40とエアロゾル形成基材60との間の隙間Dで拡散してエアロゾル形成基材60の外周部に移送される。また、エアロゾル形成基材60は、第2加熱体30の第2発熱素子30bが発熱することで、その中心部の周りを加熱される。こうして、エアロゾル形成基材60は、第1加熱体20で加熱された高温(例えば100度)の空気と、第2加熱体30による高温(例えば200度)での直接加熱によってエアロゾルを生成する。
【0089】
このように構成された喫煙器具2によれば、本体部10の取込口11から空気が取り込まれると、エアロゾル形成基材60の中心部を第2加熱体30によって高温(例えば200度)での直接加熱できる。また、それと同時に、加熱空間SP6内の空気が第1発熱素子20bによって高温(例えば100度)で加熱されてエアロゾル形成基材60の外周部に移送される。よって、エアロゾル形成基材60の中心部と外周部を十分に加熱でき、エアロゾル形成基材60の風味をさらに引き出すことができる。
【0090】
また、収納空間SP3に収納されたエアロゾル形成基材60と第1蓋部材40との間には隙間Dが形成されるので、この隙間Dで第1蓋部材40の第1孔部40aを通過した高温の空気を拡散してエアロゾル形成基材60にさらに満遍なく通過させることができる。
【0091】
また、上記した隙間Dにおいて高温の空気が拡散されるので、エアロゾル形成基材60の第2加熱体30と直接接触していない部分と、拡散された高温の空気が移送される部分との温度差を緩やかにできる。
【0092】
さらに、本体部10の取込口11から空気が取り込まれると、第1発熱素子20bの発熱の開始タイミングを第2発熱素子30bの発熱の開始タイミングよりも早くするので、喫煙開始時においてはエアロゾル形成基材60の外周部が高温(例えば100度)で加熱されることでエアロゾル形成基材60のマイルドな風味を味わえる。
【0093】
このように喫煙器具2は、個別に制御可能な第1加熱体20および第2加熱体30を有するため、最初に第1加熱体20の第1発熱素子20bによって低温(例えば100度)で加熱された加熱空間SP6内の空気をエアロゾル形成基材60に移送させ、その後に第2加熱体30によってエアロゾル形成基材60を高温(例えば200度)で直接加熱できる。よって、喫煙者は、最初にエアロゾルの香りを楽しめることができ、その後にエアロゾル形成基材60から発生するエアロゾルの味を楽しめるので、カートリッジ100の香りと味を別々に楽しめる。
【0094】
また、第1加熱体20の第1発熱素子20bを高温(例えば200度)で発熱させることも可能であり、このように第1発熱素子20bを高温で発熱させた場合には、高温で加熱された加熱空間SP6内の空気をエアロゾル形成基材60に移送させることができる。そのため、エアロゾル形成基材60全体を燻してエアロゾルの風味を楽しめる。また、それと同時に、第2加熱体30によってエアロゾル形成基材60を高温で直接加熱できるので、さらにエアロゾルの風味を引き立てることができる。
【0095】
次に、喫煙器具2の変形例について説明する。
【0096】
(変形例2-1)
図20は、変形例2-1に係る喫煙器具2-1を示す正面図である。喫煙器具2-1は、第1加熱体20の第1発熱素子20bを発熱させる第1スイッチ18と、第2加熱体30の第2発熱素子30bを発熱させる第2スイッチ19と、を有する点で上記第2実施形態と異なる。
【0097】
図20に示すように、本体部10は、その外周面に第1スイッチ18および第2スイッチ19と、を有する。第1スイッチ18および第2スイッチ19は、例えば押し釦スイッチであり、コントローラ16と電気的に接続される。
【0098】
図21は喫煙器具2-1の電気的構成を示すブロック図である。
図21に示すように、コントローラ16は、第1スイッチ18が所定時間(例えば2秒程度)押し続けられたこと(長押しされたこと)に基づいて、第1発熱素子20bをオンするよう制御するとともに、報知部13を点灯させるよう制御する。また、コントローラ16は、第2スイッチ19が所定時間(例えば2秒程度)押し続けられたことに基づいて、第2発熱素子30bをオンするよう制御するとともに、報知部13を点灯させるよう制御する。なお、コントローラ16は、第1スイッチ18が長押しされてから所定時間(例えば3分)経過した場合に、第1発熱素子20bをオフするよう制御するとともに、報知部13を消灯するよう制御する。第2スイッチ19の場合も同様である。
【0099】
このように構成された喫煙器具2-1によれば、喫煙者が第1加熱体20または第2加熱体30の発熱を選択できるので、喫煙者の嗜好に合わせた喫煙を提供できる。
【0100】
(変形例2-2)
図22は、変形例2-1に係る喫煙器具2-2を示す正面図である。喫煙器具2-2は、第1加熱体20および第2加熱体30の発熱を手動モードまたは自動モードに切り替える切換スイッチ42を有する点で上記変形例2-1と異なる。
【0101】
図22に示すように、本体部10は、その外周面に切換スイッチ42を有する。切換スイッチ42は、例えば押し釦スイッチであり、コントローラ16と電気的に接続される。なお、切換スイッチ42の周りを囲むように報知部13が設けられる。
【0102】
図23は喫煙器具2-2の電気的構成を示すブロック図である。
図23に示すように、コントローラ16は、切換スイッチ42の切り替えにより設定された手動モードまたは自動モードに関する情報を記憶するモード記憶部16aと、時間を計測するタイマ16bと、を有する。手動モードは、上記変形例2-1と同様に、第1加熱体20および第2加熱体30の発熱を喫煙者の手動に基づいて制御するモードである。自動モードは、第1加熱体20および第2加熱体30の発熱をセンサ15(圧力センサ)の検出に基づいて制御するモードである。コントローラ16は、自動モードにおいて、センサ15が取込口11からの空気の取り込みを検出したことに基づいて、第1加熱体20の第1発熱素子20bの発熱と、第2加熱体30の第2発熱素子30bの発熱と、を異なるタイミングで開始させるよう制御する。具体的には、コントローラ16は、第1発熱素子20bの発熱の方を第2発熱素子30bの発熱よりも早く開始するよう制御する。
【0103】
図24は第1加熱体20および第2加熱体30の通電制御を示すフローチャートである。なお、以下においては喫煙者が切換スイッチ42を押下した後の通電制御について説明する。
【0104】
(ステップS100)
コントローラ16は、モード記憶部16aに記憶されたモードを確認する。
【0105】
(ステップS110)
コントローラ16は、上記ステップS100で確認したモードが手動モードであるか否かを判定する。コントローラ16は、手動モードであると判定した場合にはステップS120に処理を移す。一方、コントローラ16は、手動モードであると判定しなかった場合(つまり、自動モードであると判定した場合)にはステップS160に処理を移す。
【0106】
(ステップS120)
コントローラ16は、第1スイッチ18が長押しされたか否かを判定する。コントローラ16は、第1スイッチ18が長押しされたと判定した場合にはステップS130に処理を移す。一方、コントローラ16は、第1スイッチ18が長押しされたと判定しなかった場合にはステップS140に処理を移す。
【0107】
(ステップS130)
コントローラ16は、第1加熱体20の第1発熱素子20bを発熱させるよう制御する。
【0108】
(ステップS140)
コントローラ16は、第2スイッチ19が長押しされたか否かを判定する。コントローラ16は、第2スイッチ19が長押しされたと判定した場合にはステップS150に処理を移す。一方、コントローラ16は、第2スイッチ19が長押しされたと判定しなかった場合には処理を終了する。
【0109】
(ステップS150)
コントローラ16は、第2加熱体30の第2発熱素子30bを発熱させるよう制御して処理を終了する。
【0110】
(ステップS160)
コントローラ16は、センサ15を作動させ本体部10の取込口11から空気が取り込まれたか否かを判定する。コントローラ16は、取込口11から空気が取り込まれたと判定した場合にはステップS170に処理を移す。一方、コントローラ16は、取込口11から空気が取り込まれたと判定しなかった場合には処理を終了する。
【0111】
(ステップS170)
コントローラ16は、第1加熱体20の第1発熱素子20bを発熱させるよう制御してステップS180の処理に移る。
【0112】
(ステップS180)
コントローラ16は、第1発熱素子20bの発熱を開始してから所定時間経過したか否かをタイマ16bで計測された時間に基づいて判定する。コントローラ16は、所定時間経過したと判定した場合にはステップS190に処理を移す。一方、コントローラ16は、所定時間経過していないと判定した場合にはステップS180に処理を戻す。
【0113】
(ステップS190)
コントローラ16は、第2加熱体30の第2発熱素子30bを発熱させるよう制御して処理を終了する。
【0114】
このように構成された喫煙器具2-2によれば、喫煙者は手動モードまたは自動モードを選択して喫煙できるので、喫煙者の嗜好にさらに対応できる。また、自動モードにおいては、第2加熱体30の第2発熱素子30bが発熱される前に、第1加熱体20の第1発熱素子20bが発熱されるので、喫煙開始時にエアロゾル形成基材60のマイルドな風味を味わえる。
【0115】
(変形例2-3)
図25(a)は変形例2-3に係る喫煙器具2-3の正面図、(b)は喫煙器具2-3の上面図、(c)は(b)のXXVc-XXVc断面図である。
図26(a)は、
図25(b)における第1加熱体20と第2加熱体30の拡大断面図、(b)は本体部10の拡大側面図である。喫煙器具2-3は、第1蓋部材40と台座部41との間に第2蓋部材43を有する点で上記変形例2-1と異なる。
【0116】
図25(a)~(c)および
図26(a),(b)に示すように、喫煙器具2-3は、第1蓋部材40の複数の第1孔部40aを通過する空気量を調整可能な円板状の第2蓋部材43を有する。第2蓋部材43は本体部10の内部で第1蓋部材40上に配置され、第2蓋部材43上に台座部41が配置される。第2蓋部材430の外径は、第1蓋部材40の外径よりも大きい。
【0117】
第1蓋部材40および第2蓋部材43は、本体部10の熱源空間SP4内において長手方向に沿って延びる回転軸44の先端部(
図26(a)において上端部)に軸支される。第2蓋部材43は、本体部10の周方向に沿って回動可能になっている(同図参照)。第1蓋部材40および第2蓋部材43の詳細については後述する。
【0118】
本体部10は、第2蓋部材43の側面部の一部を覆うように本体部10の外径方向に突出する一対の突出部10aを有する。一対の突出部10aは、本体部10の周方向において互いに所定間隔離れて配置され、第2蓋部材43の側面部を部分的に露出させる。外部空間の空気は、取込口11に加えて、この第2蓋部材43の側面部の露出した部分と一対の突出部10aとの間に形成された隙間(不図示)を介しても喫煙器具2-3の内部に取り込まれる。
【0119】
また、本体部10は、第1蓋部材40を覆う本体部10の外周面に、喫煙者が第2蓋部材43を回動することで複数の第1孔部40aを通過する空気量を調整する際に用いられる特定マークM0が付されている。この特定マークM0の位置と、第2蓋部材43の側面部に付された後述する第1マークM1等の位置とが左右方向で合わされることで、喫煙者は第1蓋部材40の複数の第1孔部40aを通過する空気量を調整できる。
【0120】
次に、
図27および
図28(a),(b)を参照して、第1蓋部材40および第2蓋部材43の詳細について説明する。
図27は第1蓋部材40を示す平面図である。
図28(a)は第2蓋部材43を示す平面図、(b)は(a)の側面図である。
【0121】
図27に示すように、第1蓋部材40は、上記第2実施形態と同様に、複数(本例では4つ)の第1孔部40aと、回転軸44を挿通するための第1軸用孔部40bと、を有する。4つの第1孔部40aは、第1軸用孔部40bから所定間隔離れた位置に周方向に等間隔(90度間隔)で配置される。
【0122】
図28(a),(b)に示すように、第2蓋部材43は、複数(本例では4つ)の第2孔部43aと、回転軸44を挿通するための第2軸用孔部43bと、を有する。4つの第2孔部43aは、第2軸用孔部43bから所定間隔離れた位置に周方向に沿って等間隔(90度間隔)で配置される。各第2孔部43aの内径は、第1蓋部材40の第1孔部40aの内径よりも大きい。第2蓋部材43の側面部における所定位置には、複数(本例では3つ)の第1マークM1、第2マークM2、および第3マークM3が付されている。
【0123】
第1マークM1は、第2蓋部材43の側面において、周方向に沿って180度離れた2つの第2孔部43aの中心を通る直線Lの延長線上に付されている(
図28(a)参照)。第3マークM3は、第2蓋部材43の側面部において、第1マークM1よりも周方向に沿って時計回りに45度離れた位置に付されている。第2マークM2は、第2蓋部材43の側面部において、周方向に沿って第1マークM1と第3マークM3との中間の位置に付されている。喫煙者は、本体部10の側面部に付された特定マークM0の位置と、第1マークM1、第2マークM2および第3マークM3の何れかの位置とを左右方向において合わせるように、第2蓋部材43を回動させる。
【0124】
次に、
図29(a),(b)~
図31(a),(b)を参照して、第2蓋部材43による4つの第1孔部40aを通過する空気量の調整の仕方について説明する。
図29(a)は第2蓋部材43の第1マークM1と本体部10の特定マークM0とを左右方向で位置合わせした状態を示す本体部10の側面図、(b)は(a)の状態における第1蓋部材40の第1孔部40aと第2蓋部材43の第2孔部43aとの位置関係を示す平面図である。また、
図30(a)は第2マークM2と特定マークM0とを左右方向で位置合わせした状態を示す本体部10の側面図、(b)は(a)の状態における第1孔部40aと第2孔部43aとの位置関係を示す平面図である。さらに、
図31(a)は第3マークM3と特定マークM0とを左右方向で位置合わせした状態を示す本体部10の側面図、(b)は(a)の状態における第1孔部40aと第2孔部43aとの位置関係を示す平面図である。
【0125】
図29(a),(b)に示すように、喫煙者は、第2蓋部材43の第1マークM1が本体部10の特定マークM0の上方に位置するように第2蓋部材43を回動すると、第1蓋部材40の第1孔部40a全体が第2蓋部材43の第2孔部43aに含まれる。このとき、第1蓋部材40の4つの第1孔部40aを通過する空気量は最大となる。よって、加熱空間SP6で高温に加熱された空気をエアロゾル形成基材60に十分に移送でき、エアロゾルの発生量を増加させることで、エアロゾルの風味を十分に引き出せる。
【0126】
図30(a),(b)に示すように、喫煙者は、第2蓋部材43の第2マークM2が本体部10の特定マークM0の上方に位置するように第2蓋部材43を回動すると、第1孔部40aの一部が第2孔部43aに含まれる。このとき、第1蓋部材40の4つの第1孔部40aを通過する空気量は
図29(a),(b)のときに比べて小さくなる。よって、加熱空間SP6で高温に加熱された少量の空気をエアロゾル形成基材60に移送でき、エアロゾルの発生量を少なくすることで、エアロゾルのマイルドな風味を引き出せるとともに、
図29(a),(b)の場合に比べて長い時間に亘って喫煙を楽しめる。
【0127】
図31(a),(b)に示すように、喫煙者は、第2蓋部材43の第3マークM3が本体部10の特定マークM0の上方に位置するように第2蓋部材43を回動すると、第1孔部40a全体が第2孔部43aに含まれない。このとき、第1蓋部材40の4つの第1孔部40aを通過する空気量はゼロとなる(最小となる。)。よって、エアロゾル形成基材60を第2加熱体30だけで直接加熱する方式の喫煙を楽しめる。
【0128】
このように構成された喫煙器具2-3によれば、第2蓋部材43を回動させることで、喫煙者は第1蓋部材40の4つの第1孔部40aを通過する空気量、つまりエアロゾル形成基材60に移送される高温の空気量を調整できる。よって、エアロゾル形成基材60から発生するエアロゾルの成分量も調整でき、喫煙者の嗜好にさらに対応できる。
【0129】
なお、上記変形例2-3においては、第2蓋部材43の第2孔部43aの形状は円状であったが、例えば
図32に示すような構成を採用しても良い。
図32は、第2蓋部材43の他の例を示す平面図である。
図32に示すように、第2蓋部材43は、矩形状の第2孔部43aを有する。喫煙者が第2蓋部材43の第1マークM1が本体部10の特定マークM0の上方に位置するように第2蓋部材43を回動した場合に、第1孔部40a全体が第2孔部43aに含まれるようになれば、このような形状としても良い。
【0130】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る喫煙器具3について説明する。喫煙器具3は、第2実施形態に係る喫煙器具2と基本的には同じ構成であるが、第2加熱体30によるエアロゾル形成基材60の加熱方式として電磁誘導加熱(IH : Induction Heating)方式を採用する点において第2実施形態と異なる。よって、以下の説明では、この相違点を中心に説明し、第2実施形態と重複する説明は省略する。
【0131】
図33は喫煙器具3を示す断面図である。
図33に示すように、第1加熱体20の仕切壁20aの内部には、十分密に巻回された略円筒状のコイル20bが配設される。コイル20bの一端部および他端部はコントローラ16に電気的に接続され、コイル20bに通電可能となっている。
【0132】
コイル20bの内側には、軸44が設けられている。軸44は、金属等の磁性体であり、コイル20bに通電した際に生じる磁界を受けて発熱する。軸44は台座部41を貫通して第2加熱体30に接合されている。軸44が発熱すると、その熱は第2加熱体30に伝達される。なお、軸44、台座部41,および第2加熱体30が一体形成されても良い。
【0133】
第2加熱体30は、上記第2実施形態と同様の形状であり、例えば鉄等の金属材料から成る。なお、喫煙器具3は電磁誘導加熱方式を採用するため、本体部10、支持台14、第1蓋部材40、第2蓋部材43および台座部41は何れも合成樹脂材料から成る。
【0134】
コントローラ16は、バッテリ17からの直流電流を交流電流に変換するインバータ回路16cを有する。また、コントローラ16は、センサ15が取込口11からの空気の取り込みを検出したことに基づいて、コイル20bに交流電流を流すよう制御する。さらに、コントローラ16は、例えば本体部10に設けられた所定のボタン(不図示)が操作されたことに基づいて、コイル20bに流れる交流電流の最大値を変化させるよう制御する。
【0135】
喫煙者の吸気に基づいて取込口11から空気が取り込まれると、センサ15によって空気の取り込みが検出されることにより、コイル20bに交流電流が流れる。これにより、
図33に示すように、軸44および第2加熱体30を貫くように交流磁界Hが発生する。このようにして交流磁界Hが発生すると、軸44および第2加熱体30に渦電流(例えば
図33で示す第2加熱体30内の環状の点線)が誘起される。そして、この渦電流により軸44および第2加熱体30はジュール熱を発生して高温に発熱する。ここで、軸44で発生した熱は第2加熱体30に伝達される。こうして、第2加熱体30は自身の発熱と軸44からの熱伝達の双方によって、第2加熱体30に挿入されたエアロゾル形成基材60(
図19参照)を高温で直接加熱できる。
【0136】
このように構成された喫煙器具3によれば、エアロゾル形成基材60の外周部に高温の空気を移送できるとともに、第2加熱体30によってエアロゾル形成基材60の中心部を高温で加熱できるので、エアロゾル形成基材60の加熱ムラをさらに抑制できる。特に、喫煙器具3は電磁誘導加熱方式を採用するので、高温の空気が移送され難いエアロゾル形成基材60の中心部を高温で確実に加熱できる。
【0137】
また、コイル20bに流れる交流電流の最大値を様々に変化させることで、第2加熱体30によるエアロゾル形成基材の加熱にバリエーションを持たせることができる。特に、喫煙器具3は電磁誘導加熱方式を採用するため、第2加熱体30の加熱温度の立ち上がりを早くでき、しかも、低温と高温の切り替えも素早く行えるため、エアロゾル形成基材の加熱を緻密に制御できる。よって、喫煙者は1つのカートリッジで様々なバリエーションに富んだ喫煙を楽しめる。
【0138】
また、第1加熱体20のコイル20bに交流電流を流すだけで、加熱空間SP6内の空気の加熱と、エアロゾル形成基材60の直接加熱とを同時に行えるため、喫煙器具3における加熱制御を容易化できる。
【0139】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る喫煙器具4について説明する。喫煙器具3は、第1実施形態に係る喫煙器具1と基本的には同じ構成であるが、上記した第2加熱体30の代わりに、収納空間SP3内に収納されたエアロゾル形成基材60の周囲を加熱する第3加熱体50を有する点において第1実施形態と異なる。よって、以下の説明では、この相違点を中心に説明し、第1実施形態と重複する説明は省略する。
【0140】
図34は喫煙器具3を示す断面図である。また、
図35は第3加熱体50を示す拡大側面図である。
【0141】
図34および
図35に示すように、喫煙器具3は、本体部10の収納空間SP3内に第3加熱体50を備える。第3加熱体50は、熱伝達部材から成る筒体50aと、筒体50aに内蔵される第3発熱素子(第2加熱源)50bと、を有する。
【0142】
筒体50aは、第3発熱素子50bから生じた熱をエアロゾル形成基材60に伝達する。筒体50aの内径は、エアロゾル形成基材60の外径と概ね等しい。また、筒体50aの外径は、収納空間SP3を形成する本体部10の内径と概ね等しい。筒体50aの長手方向の長さは、エアロゾル形成基材60の長手方向の長さよりも長い。
【0143】
第3発熱素子50bは、筒体50aの長手方向に沿って巻回された電熱線から成る。第3発熱素子50bの一端部(
図35にいおて下端部)は、第1加熱体20の第1発熱素子20bと連続して一体となっている。第3発熱素子50bの長手方向の長さはエアロゾル形成基材60の長手方向の長さと概ね等しい。
【0144】
このような構成を有する喫煙器具3にカートリッジ100が装着されると、
図36に示す状態となる。
図36は、カートリッジ100が喫煙器具3に装着された状態を示す断面図である。
【0145】
図36に示すように、喫煙者が吸気を開始すると、第3加熱体50の筒体50aが第3発熱素子50bによって生じた熱をエアロゾル形成基材60に伝達することで、エアロゾ形成基材の外周部を加熱できる。また、それと同時に、上記第1実施形態と同様に、第1加熱体20の第1発熱素子20bが発熱することで、高温で加熱された加熱空間SP6内の空気がエアロゾル形成基材60に移送される。こうして、エアロゾル形成基材60は、第1加熱体20で加熱された高温の空気と、第3加熱体50による熱伝達によって加熱されてエアロゾルを生成する。
【0146】
このように構成された第4実施形態に係る喫煙器具3によれば、第1発熱素子20bで加熱された高温の空気をエアロゾル形成基材60の長手方向に沿って通過させることができるとともに、第2発熱素子30bによってエアロゾル形成基材60の外周部から中心部に向かって加熱できる。よって、エアロゾル形成基材60をさらに均一に加熱できる。
【0147】
なお、本発明は上記実施形態および各種変形例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態および各種変形例は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【0148】
上記第1実施形態では、第2加熱体30は、第2発熱素子30bが熱伝達部材30aに内蔵された構成であったが、例えば絶縁基板上に所定パターンの抵抗体が形成されたような構成を採用しても良い。
【0149】
また、上記変形例2-2では、第1発熱素子20bの発熱の開始タイミングを第2発熱素子30bの発熱の開始タイミングよりも早くしていたが、両者のタイミングを逆にしても良い。こうすれば、喫煙開始時にエアロゾル形成基材60の中心部が第2加熱体30によって高温(例えば200度)で加熱されることでエアロゾル形成基材60風味を十分に引き出せる。
【0150】
また、上記第4実施形態では、第3発熱素子50bは、第1発熱素子20bと連続して一体となっていたが、第1発熱素子20bと別個に設けられても良い。この場合、第3発熱素子50bは、コントローラ16と所定の配線を介して電気的に接続され、第1発熱素子20bおよび第3発熱素子50bは、コントローラ16によって別個に発熱を制御される。
【0151】
また、上記で説明したカートリッジ100は支持部材70を含む構成であったが、支持部材70は必須ではない。
【符号の説明】
【0152】
1,2,2-1,2-2,2-3,3 喫煙器具
11取込口
15 センサ
16 コントローラ(制御部)
18 第1スイッチ
19 第2スイッチ
20a 仕切壁
20b 第1発熱素子(第1加熱源)
20c 連通口
20d 開口
30 第2発熱素子(第2加熱源)
50 第3発熱素子(第2加熱源)
60 エアロゾル形成基材
SP3 収納空間
SP4 熱源空間
SP5 予熱空間
SP6 加熱空間
SP7 環状空間(予熱空間)