(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168555
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】車載器
(51)【国際特許分類】
E05B 19/00 20060101AFI20221031BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20221031BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20221031BHJP
【FI】
E05B19/00 E
E05B49/00 J
B60R25/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074096
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】山本 次男
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250DD06
2E250FF23
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ03
(57)【要約】
【課題】シェアリングシステムにおける車両用の電子キーを収容する車載器に係り、正規の電子キーの不正な持ち出しを防止、乃至予防することが可能な車載器の技術を提供すること。
【解決手段】車載器10は、タグリーダ90により読み取り可能な認証用コードを有する認証タグ76が取り付けられた車両用の電子キー7を収容する収容部20と、当該収容部に収容された電子キー7に対して、押釦動作をする第1アクチュエータ41及び第2アクチュエータ42と、タグリーダ90と、タグリーダ90が読み取った認証用コードを用いて所定の認証処理を行い、第1アクチュエータ41及び第2アクチュエータ42を動作させる制御を行う制御部310と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証用コードを有する車両用の電子キーを収容する収容部と、
外部からの信号に応じて、前記電子キーに対して押釦動作をするアクチュエータと、
前記収容部に設けられ、前記収容部に収容された前記電子キーの前記認証用コードを読み取る読取部と、
を備える車載器。
【請求項2】
前記読取部が読み取った前記認証用コードを用いて所定の認証処理を行い、前記アクチュエータの動作を制御する制御部、
を更に備える請求項1に記載の車載器。
【請求項3】
前記収容部は、前記電子キーを所定姿勢でのみ収容可能な誤組防止形状を有する、
請求項1又は2に記載の車載器。
【請求項4】
前記読取部は、前記電子キーが前記収容部に前記所定姿勢で収容された場合に前記認証用コードを読み取り可能である、
請求項3に記載の車載器。
【請求項5】
前記電子キーには、前記認証用コードを有する認証タグが設けられ、
前記収容部は、前記電子キーが前記収容部に収容される際の前記認証タグを位置決めする部位を有する、
請求項1~4の何れか一項に記載の車載器。
【請求項6】
前記認証タグは、前記電子キーの所定側面に対して凸であり、
前記誤組防止形状は、前記所定側面に沿った所与のスライド方向に前記電子キーをスライドすることで前記電子キーを収容可能な形状であり、
前記部位は、前記凸を前記スライド方向に案内することで前記電子キーの収容を案内するガイド溝である、
請求項3又は4に記載の車載器。
【請求項7】
前記収容部の内側面と前記電子キーとの隙間に装着されるスペーサ、
を更に備える請求項1~6の何れか一項に記載の車載器。
【請求項8】
前記アクチュエータ及び前記制御部を具備する基部、
を更に備え、
前記収容部は、前記基部に対して開閉自在な蓋部である、
請求項2に記載の車載器。
【請求項9】
前記蓋部の開閉を検知する開閉検出部、
を更に備え、
前記制御部は、前記開閉検出部の検知結果に基づいて、前記読取部の読取動作及び前記認証処理の実行を制御する、
請求項8に記載の車載器。
【請求項10】
スピーカ、
を更に備え、
前記制御部は、使用法に係る音声ガイドを前記スピーカから放音させる制御を行う、
請求項2に記載の車載器。
【請求項11】
車両用の電子キーを収容する収容部と、
前記収容部に収容された前記電子キーに対して、押釦動作をするアクチュエータと、
スピーカと、
使用法に係る音声ガイドを前記スピーカから放音させる制御、及び、前記アクチュエータを動作させる制御を行う制御部と、
を備える車載器。
【請求項12】
車載コンピュータから当該車両の状態に関する車両状態情報を取得する情報取得部、
を更に備え、
前記制御部は、前記車両状態情報に基づいて前記音声ガイドの進行を制御する、
請求項10又は11に記載の車載器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の利用形態として、複数人で1台又は複数台の車両をシェアする形態がある。カーシェアリングやレンタカーがそれに該当する。以降こうした利用形態を総括して「シェアリング」と呼ぶ。
【0003】
シェアリングにおいては、シェアリング対象の車両を使用するための鍵の扱いが重要となる。例えば、特許文献1には、シェアリング等で利用可能な電子キーの収容装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電子キーを収容する収容装置には、電子キーをダミーのキーにすり替えて収容されたことを検知する機能や、電子キーのすり替えに対応する機能は無かった。つまり、例えば、シェアリングシステムにおいて、車両のサービスアウトのときに、正規の電子キーが収容装置に収容されるのではなく、ダミーのキーが収容され、正規の電子キーが不正に持ち出されてしまうという虞があった。
【0006】
本発明の目的の一例は、シェアリングシステムにおける車両用の電子キーを収容する車載器に係り、正規の電子キーの不正な持ち出しを防止、乃至予防することが可能な車載器の技術を提供する、ことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様は、認証用コードを有する車両用の電子キーを収容する収容部と、外部からの信号に応じて、前記電子キーに対して押釦動作をするアクチュエータと、前記収容部に設けられ、前記収容部に収容された前記電子キーの前記認証用コードを読み取る読取部と、を備える車載器である。
【0008】
この態様によれば、収容部に収容された電子キーの認証用コードを収容部に設けられた読取部によって読み取るようにしたため、収容部に収容された電子キーが正規の電子キーであるかを車載器で識別可能にできる。そして、その読取部によって読み取られた認証用コードを認証処理すれば、例えば、正規の電子キーがダミーのキーにすり替えて収容されたり、または正規の電子キーが収容されていないことを検知して、正規の電子キーが不正に持ち出されてしまうことを車載器を利用して防止、乃至予防することが可能となる。
【0009】
また、本発明の他の態様は、車両用の電子キーを収容する収容部と、前記収容部に収容された前記電子キーに対して、押釦動作をするアクチュエータと、スピーカと、使用法に係る音声ガイドを前記スピーカから放音させる制御、及び、前記アクチュエータを動作させる制御を行う制御部と、を備える車載器である。
【0010】
この態様によれば、アクチュエータが動作することで、収容部に収容されている電子キーの押釦動作が実現される車載器であって、その使用法に係る音声ガイドをスピーカから放音することができる。これにより、例えば、音声ガイドをスピーカから放音して収容部に対して電子キーを正しく収容させることを誘導することで、正規の電子キーがダミーのキーにすり替えて収容されたり、正規の電子キーが不正に持ち出されてしまうことを予防する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】シェアリングシステムのシステム構成の例を示す図。
【
図3】車載器の内部構造例を示すZ軸プラス側から見た内部構造図。
【
図4】車載器の内部構造例を示すY軸方向プラス側から見た内部構造図であって収容部(蓋部)を閉じた状態の図。
【
図5】車載器の内部構造例を示すY軸方向プラス側から見た内部構造図であって収容部(蓋部)を開いた状態の図。
【
図6】中間部材の例を示すX軸マイナス側(収容部の側)から見た図。
【
図9】車載器における処理の流れを説明するためのフローチャート。
【
図11】他の実施形態における、収容部(蓋部)をY軸方向プラス側から見た内部構造図。
【
図12】他の実施形態における、車載器の内部構造例を示すY軸方向プラス側から見た内部構造図であって、蓋部を閉じた状態の図。
【
図13】他の実施形態における、車載器の内部構造例を示すY軸方向プラス側から見た内部構造図であって、蓋部を開いた状態の図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した実施形態の例を説明するが、本発明が適用可能な形態は以下の態様に限定されない。各図には右手系の直交三軸を示す。また、方向として、適宜、X軸プラス方向を前、X軸マイナス方向を後ろ、Y軸プラス方向を左、Y軸マイナス方向を右、Z軸プラス方向を上、Z軸マイナス方向を下、として説明する。これら前後・左右・上下の方向は、車両を基準とした方向である。
【0013】
図1は、シェアリングシステムのシステム構成の例を示す図である。
シェアリングシステム3は、シェアリング対象である車両5と、車両5の電子キー7を収容した車載器10と、ネットワーク9を介して車載器10と通信接続するサーバシステム1100と、ネットワーク9を介して車載器10と通信接続するユーザ端末1500と、を有する。
【0014】
電子キー7は、解錠釦71及び施錠釦72と、キーリング73と、キーリング73を装着するためのキーリング装着部74と、凸部75と、を有する。
電子キー7は、車両5の純正のキーである。キーリング73は、金属製でもよいし、紐でもよいし、省略してもよい。
【0015】
解錠釦71及び施錠釦72は、シェアリング対象の車両5が備える施錠機構を解錠/施錠する押釦である。電子キー7は、解錠釦71が押釦操作されると所定の解錠信号を発信し、施錠釦72が押釦操作されると所定の施錠信号を発信する。そして、車両の各種機能を制御する車両制御装置(不図示)が所定の解錠信号や所定の施錠信号を受信して、車両5が備える施錠機構に対して解錠/施錠を行わせる。
【0016】
凸部75は、電子キー7のオリジナルの状態に追加した凸形状の部材であり、認証タグ76を有する。認証タグ76は、RFID(radio frequency identifier)用のタグであって、RFタグやICタグなどと呼ばれる。認証タグ76は、例えば小型のパッシブ型RFタグにより実現される。認証タグ76は、通信距離が短距離である電磁誘導方式が好適であり、例えば、非接触ICカードに採用されているRFタグの方式を採用することができる。
【0017】
凸部75は、円板型の中空樹脂ケース内に認証タグ76を収容し、両面テープや接着剤等で電子キー7の裏面(解錠釦71・施錠釦72のある正面とは逆の後ろ側の表面)に取り付けられている。或いは、凸部75は、認証タグ76を封入した樹脂整形部とされて、電子キー7の裏面に取り付けられていることとしてもよい。なお、凸部75の大きさ、形状、取り付け位置は適宜設定可能である。
【0018】
ネットワーク9は、データ通信が可能な通信路を意味する。すなわち、ネットワーク9とは、直接接続のための専用線(専用ケーブル)やイーサネット(登録商標)等によるLAN(Local Area Network)の他、電話通信網やケーブル網、インターネット、近距離無線等の通信網を含む意味であり、また、通信方法については有線/無線を問わない。
【0019】
サーバシステム1100は、シェアリングシステム3のユーザ登録と、予約管理と、ユーザ端末1500や車載器10への予約情報の提供と、を行う。具体的には、サーバシステム1100は、管理プログラム501を記憶し、これを実行することによって、(1)ユーザ登録機能、(2)車両5の予約設定機能、(3)予約情報700(例えば、固有の予約ID、予約車両ID、予約期間、パスワードなどを含む。)の生成機能、(4)予約情報700の写し(ユーザ控え予約情報700t)をユーザ端末1500へ提供する機能、(5)予約情報700の写し(車載器用予約情報700c)を車載器10へ提供する機能、を実現する。
【0020】
ユーザ端末1500は、ネットワーク9に接続可能な端末であり、車両5のシェアを希望するユーザが使用するコンピュータシステムである。例えば、ユーザ端末1500は、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ノートパソコン、ウェアラブルコンピュータ等により実現される。
【0021】
ユーザ端末1500は、アプリケーションプログラムを記憶し、実行することができる。ユーザ端末1500は、アプリケーションプログラムとして端末プログラム502を記憶している。ユーザ端末1500は、端末プログラム502を実行することで、(1)サーバシステム1100にアクセスするための機能と、(2)ユーザによるユーザ端末1500への解錠操作に応じて車載器10へ所定の解錠要求を行って解錠させる機能と、(3)ユーザによるユーザ端末1500への施錠操作に応じて車載器10と通信接続して所定の施錠要求を行って施錠させる機能と、を実現する。
【0022】
シェアリング対象である車両5には車載器10が搭載される。車載器10は、車両5の車内、例えばダッシュボード内などに取り付けられる。
【0023】
図2は、車載器10の外観例を示す上面図である。
車載器10は、ユーザ端末1500からの解錠要求/施錠要求に応じて、収容された電子キー7に対して解錠動作/施錠動作をする装置である。
【0024】
車載器10は、基部11と、車両5の車載ネットワークや電源に接続されるケーブル12と、車両5の電子キー7を脱着自在に収容する収容部20と、を有する。詳細は後述するが、車載器10の収容部20は、開閉操作部15をユーザが操作することで
図2におけるX軸マイナス方向に開くことが可能に構成されている。
【0025】
図3は、車載器10の内部構造例を示すZ軸プラス側から見た内部構造図である。
図4と
図5は、車載器10の内部構造例を示すY軸方向プラス側から見た内部構造図であって、
図3のIV-IV断面図(XZ断面図)に相当する。
図4は、電子キー7を収容部20に収容した状態、
図5は、ユーザが電子キー7を収容部20から取り出すときの状態、或いは再収容するときの状態、をそれぞれ示している。
【0026】
基部11は、アッパーケース11aとロアケース11bとをネジ止めすることで内部空間を形成する。基部11は、スピーカ14と、開閉操作部15と、開閉検出部19と、制御基板30と、第1アクチュエータ41と、第2アクチュエータ42と、中間部材50と、弾性部材60と、を有する。車載器10が内蔵バッテリーを備える構成では、基部11内に内蔵バッテリーを収容してもよい。
【0027】
基部11と収容部20との間には隔壁17があるが、隔壁17の中央部(収容された電子キー7と対向する部分)が大きく開口し、収容部20の内部空間と基部11の内部空間とが通じている。
【0028】
隔壁17には、開閉検出部19が取り付けられている。開閉検出部19は、例えばプッシュスイッチや静電容量センサなどにより実現される。開閉検出部19は、制御基板30に接続されており、
図4に示すように収容部20が基部11に密着した「閉状態」で「ON」を出力し、
図5に示すように収容部20が基部11から離隔した「開状態」で「OFF」を出力する。
【0029】
収容部20は、基部11に揺動軸22で枢支された蓋23と、蓋23の内側に固定された収容凹部形成材24と、電波遮断部27と、認証タグ76から情報を読み取るためのタグリーダ90のアンテナコイル92と、を有する。収容部20全体を蓋部ということもできる。
【0030】
収容部20の上部は、開閉操作部15を含む連結機構部により基部11に連結されている。開閉操作部15は、基部11と収容部20とを連結する連結機構部の連結解除操作部である。
【0031】
ユーザが、開閉操作部15の基部11側を押す連結解除操作をすると、基部11と収容部20との係合が解除される。係合が解除されると、収容部20は、揺動軸22で揺動して基部11のX軸マイナス側側面から離隔し、車載器10は「閉状態」から「開状態」となる。ユーザが、収容部20を基部11へ再び密着させるべく、収容部20を蓋23ごと揺動軸22で揺動させる再連結操作をすると、開閉操作部15の爪部が収容部20側に設けられている係合突起と再び係合して、基部11と収容部20とが再び連結される。車載器10は元の「閉状態」に戻る。つまり、蓋23のみならず、これと一体の収容凹部形成材24・電波遮断部27・アンテナコイル92などを含む収容部20全体が、基部11に対して開閉自在な蓋部である、とも言える。
【0032】
収容部20は、閉状態でもY軸プラス方向へ開口する開口部25を有する(
図3参照)。電子キー7は、キーリング73が開口部25から外部に露出するように収容される。キーリング73が露出することで、電子キー7が収容されていることを外部から一瞥で確認できる。キーリング73が露出していることで、ユーザは電子キー7を収容部20から取り外す際に、キーリング73を摘まみとして利用できる。
【0033】
収容凹部形成材24は、電子キー7を嵌め込む凹部を形成する部材であって、例えば硬質スポンジなどの緩衝材で成形されている。収容凹部形成材24は、蓋23の内側に凹凸嵌合や両面テープなどにより取り付けられている。
【0034】
収容凹部形成材24が形作る凹部形状は、電子キー7の外形(凸部75を含む外形)に適合している。具体的には、
図3や
図4のように、収容部20に電子キー7を収容した状態においては、電子キー7は、押釦をX軸プラス方向に向け、且つキーリング73をY軸プラス方向に向けた「正しい収容姿勢」で、収容凹部形成材24に嵌め込まれて収容される。
【0035】
蓋23が閉じられた
図3や
図4の状態において、収容凹部形成材24が形作る凹部形状は、X軸マイナス方向に底部を有し、X軸プラス方向に開口する有底凹部形状である。当該有底凹部形状の底部には、タグ収容凹部26がX軸マイナス方向へ凹設されている。タグ収容凹部26は、正しい収容姿勢に限って凸部75(認証タグ76)が嵌まる部位として機能する。
【0036】
もし、電子キー7を正しい収容姿勢以外の姿勢で収容部20に収容しようとしても、収容凹部形成材24が形作る凹部形状の開口輪郭が電子キー7の輪郭と合わず、電子キー7を収容凹部形成材24が形作る凹部形状へ嵌めることはできない。或いは、電子キー7の凸部75が、収容凹部形成材24が形作る凹部形状の底に突き当たって、電子キー7の一部が凹部形状に収まりきらずに突出して蓋23が閉まらなくなる。つまり、収容部20は、電子キー7を所定の正しい収容姿勢でのみ収容可能な誤組防止形状を有している。
【0037】
電波遮断部27は、
図3や
図4において、収容部20のX軸マイナス方向側の側面(後ろ側の面)を介して、収容部20の内外に通過する電磁波を抑止するための部材であって、蓋23の内側に設けられる。電波遮断部27は、例えば、電波吸収シートや、電波吸収塗料の塗布、などにより実現される。電波遮断部27は、電子キー7が収容部20に収容されている時にのみ、電子キー7の認証タグ76がアンテナコイル92を介してタグリーダ90と通信可能になるように企図されている。
【0038】
アンテナコイル92は、収容凹部形成材24と電波遮断部27との間に設けられており、制御基板30に搭載されているリーダ制御IC94(
図3参照)とセットで、認証タグ76から情報を読み取る読取部であるタグリーダ90を構成する。アンテナコイル92は、例えばフレキシブル配線基板の一部として形成され、制御基板30に電気的に接続されている。
【0039】
制御基板30は、CPU(Central Processing Unit)31、ICメモリ32、第1無線通信モジュール33、第2無線通信モジュール34、電力制御回路35、インターフェースIC36、車載ネットワーク通信IC37、リーダ制御IC94、などの電子部品や各種回路を備える。
【0040】
制御基板30は、ICメモリ32に記憶されているプログラムをCPU31で実行することで車載器10の動作を統合的に制御する。
【0041】
第1無線通信モジュール33は、ネットワーク9(具体的には、携帯電話網、無線LANといった無線通信網)に接続し、シェアリング対象である車両5の予約を管理するサーバシステム1100と通信接続する。
【0042】
第2無線通信モジュール34は、近距離無線通信を実現し、車両5を中心とした通信範囲内に入ったユーザ端末1500と通信接続する。
【0043】
電力制御回路35は、第1アクチュエータ41及び第2アクチュエータ42への電力供給を制御する。
【0044】
インターフェースIC36は、開閉検出部19とCPU31との間の信号の入出力を制御する。
【0045】
車載ネットワーク通信IC37は、車両5の車載ネットワークに接続し、車載コンピュータと通信して車両5の最新の車両状態情報を取得する。例えば、車載ネットワーク通信IC37は、パワートレイン系MCU(Micro Computer Unit)と通信して、エンジンが稼動しているか停止しているかの情報を取得したり、ボディ系MCUと通信して、ドアロックの状態の情報を取得したりする。なお、対応する通信規格は、車両5の仕様に応じて適宜設定可能である。例えば、CAN(Controller Area Network)などに対応すると好適である。
【0046】
第1アクチュエータ41及び第2アクチュエータ42は、制御基板30による駆動電流制御によって作動して、収容部20に収容された電子キー7に対して押釦動作をする駆動部である。具体的には、第1アクチュエータ41及び第2アクチュエータ42は、プッシュ式のリニアソレノイドで実現され、駆動電流の通電にともなって電磁力で可動部43(可動鉄心に連結された非磁性材のプッシュロッド)を押し出す。
【0047】
第1アクチュエータ41は、可動部43の先端を収容部20に収容された電子キー7の解錠釦71に向けた姿勢で基部11に固定されている。第2アクチュエータ42は、可動部43の先端を収容部20に収容された電子キー7の施錠釦72に向けた姿勢で基部11に固定されている。
【0048】
中間部材50は、収容部20に収容された電子キー7と、第1アクチュエータ41及び第2アクチュエータ42との間に配置され、これらアクチュエータの可動部43の押し出しを押釦動作の力として電子キー7の押釦(解錠釦71,施錠釦72)に伝達する部材である。車載器10には、電子キー7の種類別の中間部材50が用意されている。なお、
図3~
図5に記載されている中間部材50の詳細な構成(符号51~54、符号81など)については、
図6、
図7を参照して説明する。
【0049】
図6は、中間部材50の例を示すX軸マイナス方向から見た図である。なお、
図6に示した電子キー7は、中間部材50に対する対応位置関係を示すために、収容部20に収容された時の位置関係で示したものである。便宜的にX軸プラス側から見た電子キー7の正面を表している。
図7は、中間部材50の例を示す
図6のVII-VII断面図である。
【0050】
中間部材50は、金属板又は合成樹脂板などの弾性を有する板状部材であって、辺縁部51と、片持ちバネ部52と、空隙部53と、を有する。切削又は型抜き等により板状部材に空隙部53を設けることで、辺縁部51と片持ちバネ部52とが1枚の板状に形成されている。
【0051】
辺縁部51は、基部11の取付部18(18a,18b)の溝に嵌め込まれて固定される部位である(
図3、
図4参照)。第1の取付部18aは、基部11の内部においてY軸プラス方向側及びY軸マイナス方向側の両方に設けられている。それぞれの第1の取付部18aには、Z軸方向に沿った溝が対向するように設けられている。第2の取付部18bは、基部11のZ軸プラス側の内面に設けられ、Y軸方向に沿った溝が設けられている。
【0052】
辺縁部51と取付部18とは、車両5の振動等では抜けたりズレたりしないが、人の手で中間部材50を引き抜き可能な強度で嵌まっている。
【0053】
片持ちバネ部52は、第1アクチュエータ41及び第2アクチュエータ42の作動にともない可動部43から押圧を受けることで「片持ち梁状の板バネ」として機能する。具体的には、片持ちバネ部52として、第1アクチュエータ41により押される第1片持ちバネ部52aと、第2アクチュエータ42により押される第2片持ちバネ部52bとの2つが設けられている。
【0054】
片持ちバネ部52(52a,52b)は、両面のうちの一方(第1アクチュエータ41及び第2アクチュエータ42の側;X軸プラス側)には、アクチュエータの可動部43が接触する力点部位P1がある。両面のうちの他方(収容部20の側;X軸マイナス側)には収容部20に収容された電子キー7の押釦(解錠釦71,施錠釦72)に力を作用させる作用点部位P2と、弾性部材60を装着するための装着部61と、がある。
【0055】
作用点部位P2には、押釦に向けて緩衝部材54が突設されている。
第1アクチュエータ41や第2アクチュエータ42が作動した際に、可動部43が中間部材50に衝突して生み出す衝撃力が、中間部材50によって電子キー7の押釦(解錠釦71,施錠釦72)に伝達されるが、その衝撃力を緩衝部材54が減少させる。緩衝部材54は、例えば、シリコンや、ブチルゴム、スプリングなどにより実現できる。図示の例は、シリコンをニップル状に成形した部材を表している。
【0056】
装着部61には、弾性部材60が装着される。弾性部材60は、片持ちバネ部52と隔壁17のX軸プラス側の側面との間に保持される。弾性部材60は、例えば、コイルスプリングであり、装着部61は当該コイルスプリングの中に嵌着する突起である。
【0057】
中間部材50の材質や、片持ちバネ部52の支点部位55の幅や板厚、弾性部材60の仕様、弾性部材60を装着する数や位置は、次の(1)~(3)を充足するように選択・設定される。
(1)第1アクチュエータ41及び第2アクチュエータ42が作動した際に可動部43から受ける荷重により片持ちバネ部52が撓むこと。
(2)(1)の撓みにより、緩衝部材54の先端が収容部20に収容された電子キー7の押釦(解錠釦71、施錠釦72)に接触し、更にその撓みで押釦を作動させるのに十分なストロークが得られること。
(3)片持ちバネ部52の撓みによる弾性力と、片持ちバネ部52の撓みより隔壁17との間で圧縮弾性変形されることで発揮される弾性部材60の復元力との合力が、第1アクチュエータ41及び第2アクチュエータ42の可動部43を作動前の位置に復帰させるのに十分な付勢力となること。
【0058】
第1アクチュエータ41及び第2アクチュエータ42が作動していない状態では、片持ちバネ部52は撓みが無い、又はほぼ撓んでいない状態にあるが、弾性部材60は僅かに圧縮されたプリセット状態にある。弾性部材60のプリセット荷重が片持ちバネ部52をアクチュエータ側に付勢し、可動部43を初期位置に保持し続けるように作用する。第1アクチュエータ41及び第2アクチュエータ42が作動していない状態では、緩衝部材54は電子キー7の押釦を押し下げるほどの弾性力を発揮しない。
【0059】
第1アクチュエータ41や第2アクチュエータ42が作動して中間部材50に衝撃力が作用しても、片持ちバネ部52の撓みと、弾性部材60の圧縮と、緩衝部材54とにより、押釦(解錠釦71、施錠釦72)への伝達力が適度に低減され、電子キー7の押釦は衝撃力から保護される。
【0060】
中間部材50と緩衝部材54とを採用し、これらの諸元を適切に設定することで、車載器10は、様々な種類の電子キー7に対応できるようになる。
【0061】
具体的には、第1アクチュエータ41や第2アクチュエータ42が中間部材50を押す荷重が同じであっても、片持ちバネ部52の支点部位55から力点部位P1までの距離L1と、支点部位55から作用点部位P2まで距離L2とによって、最終的に電子キー7の押釦(解錠釦71、施錠釦72)に伝達される力が変わる。
【0062】
よって、本実施形態の車載器10は、電子キー7の押釦(解錠釦71、施錠釦72)の作動荷重や耐荷重、作動ストロークに応じた、様々な設計自由度を持つことができる。例えば、第1アクチュエータ41や第2アクチュエータ42が中間部材50を押す荷重よりも押釦(解錠釦71、施錠釦72)に伝達される荷重を小さくしたい場合には、
図6、
図7に示す中間部材50のように「支点部位55から力点部位P1までの距離L1」<「支点部位55から作用点部位P2までの距離L2」とすることで対応できる。第1アクチュエータ41や第2アクチュエータ42が中間部材50を押す荷重と、押釦に伝達される荷重とをほぼ同じにしたい場合には、「支点部位55から力点部位P1までの距離L1」と「支点部位55から作用点部位P2までの距離L2」とを同じ又はほぼ同じとすることで対応できる。
【0063】
車載器10には、電子キー7の種類に対応する中間部材50と収容凹部形成材24とのセットが用意される。前述のように、中間部材50は取付部18へ簡単に抜き差しできるので、シェアリングシステム3の運用者は、簡単且つ確実に中間部材50を組み換えることができる。収容凹部形成材24もまた簡単に組み換えできる。
【0064】
図8は、車載器10の機能構成例を示す機能ブロック図である。
車載器10は、制御部310と、記憶部320と、入出力制御部330と、音声信号生成部340と、第1通信部351と、第2通信部352と、車載ネットワーク通信部360と、内部バス390と、を有する。
【0065】
制御部310は、例えばCPU31、電力制御回路35、リーダ制御IC94などの各種ICチップ等により実現され(
図3参照)、車載器10の動作を統合的に制御する。制御部310の機能の一部は、記憶部320に記憶されている制御プログラム321を読み出して実行することにより実現される。
【0066】
制御部310は、予約認証部311と、キー認証部313と、不正対応処理部315と、音声ガイド制御部317と、動作制御部319と、を有する。その他、制御部310は、コンピュータとして備えるべき各種機能部を適宜有するものとする。例えば、現在日時の管理部や、タイマーなどの計時部、としての機能を備えるものとする。
【0067】
予約認証部311は、(1)サーバシステム1100に定期的にアクセスして、自機に係る予約情報700の写しを取得して、記憶部320に車載器用予約情報700cとして記憶する制御と、(2)データ通信可能に接続されたユーザ端末1500から取得したユーザ控え予約情報700と車載器用予約情報700cとを照合して、予約内容及びユーザの認証をする制御と、を行う。
【0068】
キー認証部313は、開閉検出部19の検知結果に基づいて、タグリーダ90に認証タグ76から情報を読み取る読取動作を行わせるとともに、認証処理を実行する。具体的には、アンテナコイル92と認証タグ76との間のデータ転送制御、認証タグ76から取得した認証用コードに基づく電子キー7の認証処理、等を行う。認証処理は、後述する記憶部320に記憶されたキー認証用情報32と認証タグ76から取得した認証用コードとを照合することにより行われる。
【0069】
不正対応処理部315は、認証タグ76から取得した認証用コードに基づくキー認証部313による認証が不適合と判定した場合、すなわち収容部20に収容された電子キー7が正規の電子キーでないと判断された場合に、所定の不正対応処理を実行する。不正対応処理の内容は適宜設定可能である。例えば、通信接続されているユーザ端末1500にて不正返却に伴う注意・警告の表示を開始させるための信号を送信する処理や、サーバシステム1100へ不正返却の通知を行う処理、などを行うとしてもよい。
【0070】
音声ガイド制御部317は、記憶部320に予め記憶されている音声ガイドデータ323を参照して、車載器10及び収容されている電子キー7の取り扱いを含む使用法に関する音声ガイドをスピーカ14から放音させる制御を行う。具体的には、音声ガイドは、様々な内容の音声により構成されている。音声ガイド制御部317は、開閉検出部19による検出結果と、車載ネットワーク通信部360を介して車載コンピュータ401(例えば、パワートレイン系MCU403、ボディ系MCU405、など)から取得した車両5の車両状態情報と、に基づいて、どの種類の音声をどのタイミングで放音させるかの進行制御を行う。
【0071】
動作制御部319は、第1アクチュエータ41や第2アクチュエータ42を駆動制御する。つまり、車載器10による電子キー7への押釦動作を制御して、車両5のドアの開閉を制御する。
【0072】
記憶部320は、例えばICメモリ32(
図3参照)により実現され、制御プログラム321と、音声ガイドデータ323と、車載器用予約情報700cと、キー認証用情報325と、を記憶する。記憶部320は、その他、現在日時や、各種フラグ、タイマーなどの情報を適宜格納する。
【0073】
音声ガイドデータ323は、音声ガイドの音声データや、音声合成の元になるテキストデータ、などであり音声ガイドの複数の内容を識別可能に格納する。キー認証用情報325は、電子キー7の認証タグ76が記憶する認証用コードと照合して認証するための情報である。
【0074】
入出力制御部330は、例えば、インターフェースIC36(
図3参照)などにより実現され、開閉検出部19との入出力の制御を行う。
【0075】
音声信号生成部340は、音声ガイドデータ323をスピーカ14から放音させるための音声信号を生成して、スピーカ14に出力する。音声合成ICにより実現しても良いし、制御部310の演算処理によって実現してもよい。
【0076】
第1通信部351は、シェアリング対象の車両5の移動に対応した広域通信に対応し、ネットワーク9を介したサーバシステム1100とのデータ通信を実現する。例えば、第1無線通信モジュール33がこれに該当する(
図3参照)。
【0077】
第2通信部352は、ユーザ端末1500との近距離通信接続を実現する。例えば、第2無線通信モジュール34がこれに該当する(
図3参照)。
【0078】
車載ネットワーク通信部360は、車載ネットワーク400に接続して、車載コンピュータ401から車両5の最新の車両状態情報を取得する情報取得部362、として機能する。例えば車載ネットワーク通信IC37がこれに該当する(
図3参照)。
【0079】
図9~
図10は、予約を済ませたあるユーザがシェアリング対象の車両5を利用開始してから返却するまでの間の車載器10の処理を説明するためのフローチャートである。
ここで説明する処理の流れは、CPU31がICメモリ32から制御プログラム321を読み出して実行することにより実装される。前提として、車載器10には、自機が搭載されている車両5の正規の電子キー7が正しい収容姿勢で収容されており、収容部20及び蓋23は「閉状態」にある。また、前提として、ユーザは、自身のユーザ端末1500で端末プログラム502を実行させているものとする。
【0080】
車載器10は、電力が供給されると、自動的にCPU31がICメモリ32から制御プログラム321を読み出して実行を開始する。
制御プログラム321の実行を開始すると、車載器10は、第1無線通信モジュール33を用いてサーバシステム1100と定期的に通信して、サーバシステム1100から自機に係る予約情報700の写しを取得し、記憶部320に車載器用予約情報700cとして保存する制御を開始する(ステップS10)。
【0081】
電力が供給されている車載器10は、第2無線通信モジュール34の通信範囲に存在するユーザ端末1500との通信接続を自動的に確立する(ステップS12)。
【0082】
シェアリングシステム3のユーザは、予約した車両5の利用を開始するために、車両5の側に立ち、自身のユーザ端末1500にて解錠操作を入力する。ユーザ端末1500は、解錠操作を検出すると、車載器10へ所定の解錠要求を送信する。つまり、使用開始リクエストをする。
【0083】
車載器10は、ユーザ端末1500から解錠要求を受信すると(ステップS14)、予約認証処理を実行する(ステップS16)。予約認証処理では、予約情報に基づく車両5の使用開始に係る各種認証を行う。例えば、車載器10は、ユーザ端末1500からユーザ控え予約情報700tを取得して車載器用予約情報700cと照合する。また、予約日時と現在日時とを照合する。その他、ユーザアカウント、パスワードなどの認証も適宜行うとしてもよい。
【0084】
予約認証をパスすると、車載器10は第1アクチュエータ41を駆動制御して車両5のドアを解錠させ(ステップS30)、第1音声ガイドの音声をスピーカ14から放音させる(ステップS32)。第1音声ガイドの内容は、車載器10の蓋23を開けて、収容されている電子キー7を取り出すようにユーザを促す内容である。
【0085】
ユーザが蓋23を開けて電子キー7を取り出すと、車載器10は、開閉検出部19のON/OFFの切り換えにより蓋23が開けられたことを検出し、電子キー7の認証タグ76がタグリーダ90の通信範囲外になることで、電子キー7が取り出されたことを検出する(ステップS34)。
【0086】
これら2つの検出をトリガーとして、車載器10は第2音声ガイドの音声をスピーカ14から放音させる(ステップS36)。第2音声ガイドの内容は、車載器10の蓋23を閉じるようにユーザを促す内容である。
【0087】
ユーザが蓋23を閉じると、車載器10は、開閉検出部19のON/OFFの切り換えにより蓋23が開けられたことを検出し(ステップS38)、当該検出をトリガーとして、車載器10は第3音声ガイドの音声をスピーカ14から放音させる(ステップS40)。第3音声ガイドの内容は、シェアリング対象の車両5を返却するまでは、電子キー7を車載器10に戻さずに所持し続けるようにユーザを促す内容である。
【0088】
図10に移って、車載器10は、車載コンピュータ401から最新の車両状態情報を取得する制御を開始する(ステップS50)。
車載器10は、最新の車両状態情報から車両5のエンジンが停止したことを検出すると(ステップS52のYES)、第4音声ガイドの音声をスピーカ14から放音させる(ステップS54)。第4音声ガイドの内容は、シェアリング対象の車両5の利用を終了して返却する際には、車載器10の蓋23を開けて、電子キー7を元の位置の戻し、蓋23を閉じるように、ユーザを促す内容である。つまり、エンジンが停止する都度に返却方法の事前ガイダンスを行う。
【0089】
ユーザが蓋23を開けると、車載器10は、開閉検出部19のON/OFFの切り換えによりこれを検出し(ステップS60)、第5音声ガイドの音声をスピーカ14から放音させる(ステップS62)。第5音声ガイドの内容は、電子キー7の再収容の仕方についての説明であって、押釦を上にした正しい収容姿勢で電子キー7を収容部20に挿入し、挿入後に蓋23を閉じるようにユーザを促す内容である。
【0090】
第5音声ガイドと、収容凹部形成材24が形作る誤組防止形状とによって、ユーザは、電子キー7を正しい収容姿勢で速やかに且つ正確に収容部20に再収容できる。正しい収容姿勢は、電子キー7の押釦を上方(Z軸プラス方向)に向け、且つキーリング73を開口部25に嵌まるように左方(Y軸プラス方向)に向けた姿勢である。電子キー7が正しい収容姿勢になっていなければ蓋23は閉じきらないので、ユーザは収容姿勢が誤っていることを直ぐに理解できる。
【0091】
ユーザが蓋23を閉じると、車載器10は開閉検出部19のON/OFFの切り換えによりこれを検出し(ステップS64)、キー認証処理を実行する(ステップS66)。キー認証処理は、収容部20に収容されたものが正規の電子キー7であることを認証する処理である。具体的には、タグリーダ90で認証タグ76から認証用コードを取得できて、且つ、取得した認証用コードがキー認証用情報325に適合すれば、キー認証は適合となる。そもそも認証タグ76から認証用コードを取得できない場合や、取得した認証用コードがキー認証用情報325に適合しなければ、認証失敗となる。
【0092】
キー認証処理において認証を適合と判定した場合は(ステップS80のPASS)、車載器10は、第6音声ガイドの音声をスピーカ14から放音させる(ステップS82)。第6音声ガイドの内容は、シェアリング対象の車両5を返却する場合には車外に出て、ユーザ端末1500で施錠操作するように、ユーザを促す内容である。
【0093】
ユーザが、ユーザ端末1500にて所定の施錠操作を行うと、ユーザ端末1500は車載器10へ所定の施錠要求を送信する。当該施錠要求は、車両5の使用終了リクエストに相当する。
【0094】
車載器10は、施錠要求を受信すると(ステップS84)、第2アクチュエータ42の動作を制御して車両5のドアを施錠し(ステップS86)、所定の使用終了処理を実行する(ステップS88)。使用終了処理として、例えば、サーバシステム1100へ所定の使用終了通知を送信する制御や、予約日時を超過した車載器用予約情報700cの消去制御、を行うとしてもよい。
【0095】
キー認証処理において認証が失敗(不適合)した場合は(ステップS80のFAIL)、車載器10は、第7音声ガイドの音声をスピーカ14から放音させる(ステップS90)。第7音声ガイドの内容は、返却がエラーであることをユーザに報せ、収容部20に収容したものが正規の電子キー7であるかを確認するように、また電子キー7を正しい収容姿勢で収容されているかを確認するように、ユーザを促す内容である。
【0096】
次いで、車載器10は、不正対応処理を実行する(ステップS92)。不正対応処理の内容は適宜設定可能である。例えば、サーバシステム1100やユーザ端末1500へ所定の不正返却通知を送信する制御、スピーカ14から所定の注意喚起音を放音させる制御、等を行うとしてもよい。不正返却通知を受信したユーザ端末1500が、第7音声ガイドと同じ音声を放音し、第7音声ガイドと同様の内容の表示を行うこととしてもよい。
【0097】
なお、この不正対応処理は、例えば、キー認証処理において認証が失敗(不適合)し、更に第7音声ガイドの音声をスピーカ14から放音させてから所定時間が経過した後に実行するようにしてもよい。これは、当初、電子キー7が正しい収容姿勢で収容されなかったが、その後直ぐに(所定時間内に)その収容姿勢をユーザが改めたことで、キー認証処理において認証が適合するような場合を想定したものである。逆に、所定時間が経過しても、キー認証処理が適合にならない場合には、例えば、不正対応処理としてイモビライザー等を起動させる制御を行って、車両の周辺に対し不正に正規の電子キーが持ち出される虞のあることを報知するようにしてもよい。
【0098】
<他の実施の形態>
以上、実施形態の一例について説明したが、本開示の態様は上記形態に限定されるものではなく適宜構成要素の追加・省略・変更を施すことができる。
【0099】
(その1)
例えば、上記実施形態から弾性部材60を省略した構成が可能である。この場合、第1アクチュエータ41や第2アクチュエータ42の可動部43を復帰させる付勢力は、片持ちバネ部52の弾性力と、緩衝部材54の弾性力とに依存することになる。そのため、中間部材50を十分な板厚とする、屈曲部を増やすなどの対応をすればよい。
【0100】
(その2)
図11に示すように、電子キー7の種類に応じて、適宜、収容部20にスペーサ28を追加装着してもよい。具体的には、
図11の電子キー7Bは、厚さ(Z軸方向の外形寸法)及び幅(X軸方向の外形寸法)が上記実施形態の電子キー7(
図11中に破線で電子キー7の輪郭を示す。)よりも小さい。この場合、収容凹部形成材24が形作る凹部形状の内側に1つ又は複数のスペーサ28を取り付けて、収容凹部形成材24が形作る凹部形状が、電子キー7Bにとって適切な大きさ・形状となるように調整する。スペーサ28により、電子キー7Bは正しい収容姿勢となり、第1アクチュエータ41及び第2アクチュエータ42が駆動したときに、それぞれに対応する中間部材50の緩衝部材54が、電子キー7Bの押釦(解錠釦71、施錠釦72)を正しく押釦操作できる相対位置と相対姿勢とで収容される。なお、スペーサ28の追加ではなく、中間部材50を電子キー7B用の専用品に交換する、としてもよい。
【0101】
(その3)
電子キー7を収容部20に収容する際の相対姿勢は、上記実施形態に限らず適宜変更可能である。例えば、
図12及び
図13に示す車載器10Cのように、電子キー7を横向きとする姿勢(解錠釦71・施錠釦72がX軸プラス方向を向き、且つ凸部75がX軸マイナス方向を向き、且つキーリング73がY軸プラス方向を向いた姿勢)を正しい収容姿勢としてもよい。
【0102】
具体的には、収容部20Cでは、収容凹部形成材24が蓋23と一体ではなく基部11に対して固定されている。電波遮断部27・タグリーダ90のアンテナコイル92・蓋23は一体に揺動軸22で揺動する。収容凹部形成材24が形作る凹部形状は、上方に向けて開口し、X軸マイナス方向の内側面に、凸部75を上下方向に遊嵌して案内するガイド溝26Cを有する。ガイド溝26Cが、当該構成におけるタグ収容凹部として機能する。よって、
図12及び
図13に示す正しい収容姿勢以外の姿勢で電子キー7を収容部20Cに挿入しようとしても、凸部75がガイド溝26Cに嵌合せず、収容部20Cに上方からスライド挿入することができない。言い換えると、収容部20Cは、誤組防止形状として、所与のスライド方向に電子キー7をスライドすることで電子キーを収容可能な形状を有する。
【0103】
(その4)
上記実施形態では、正規の電子キー7であるか否かの認証を、RFIDを用いる例を示したが、採用する認証技術はこれ以外でもよい。例えば、認証タグ76をバーコードとし、タグリーダ90に代えてバーコードリーダを設ける構成も可能である。また、上記実施形態では、正規の電子キー7であるか否かの認証を車載器10のキー認証部313で行う例を示したが、例えば、タグリーダ90で読み取った認証コードを車両内に設けられた車載器外部の認証装置に送信して、当該認証装置で認証した結果を受け取り、アクチュエータの動作を制御するようにしてもよい。
【0104】
〔概括〕
上述した実施形態による本明細書の開示は、次のように概括することができる。
【0105】
本開示の態様は、認証用コードを有する車両用の電子キーを収容する収容部と、外部からの信号に応じて、前記電子キーに対して押釦動作をするアクチュエータと、前記収容部に設けられ、前記収容部に収容された前記電子キーの前記認証用コードを読み取る読取部と、を備える車載器である。
【0106】
この態様によれば、収容部に収容された電子キーの認証用コードを収容部に設けられた読取部によって読み取るようにしたため、収容部に収容された電子キーが正規の電子キーであるかを識別可能にできる。そして、その読取部によって読み取られた認証用コードを認証処理すれば、例えば、正規の電子キーがダミーのキーにすり替えて収容されたり、または正規の電子キーが収容されていないことを検知して、正規の電子キーが不正に持ち出されてしまうことを車載器を利用して防止、乃至予防することが可能となる。
【0107】
前記読取部が読み取った前記認証用コードを用いて所定の認証処理を行い、前記アクチュエータの動作を制御する制御部、を更に備えるとしてもよい。
【0108】
認証用コードの認証がなされることで、正規の電子キーであるか否かの識別が可能となる。また、アクチュエータに電子キーの押釦動作をさせるか否かを、認証処理の結果に応じて制御することが可能となる。
【0109】
前記収容部は、前記電子キーを所定姿勢でのみ収容可能な誤組防止形状を有する、としても良い。
【0110】
収容部を、誤組防止形状とすることで、電子キーを返却する際に電子キーを正しい収容姿勢に合わせ易くなり、返却時におけるユーザビリティが向上する。
【0111】
前記読取部は、前記電子キーが前記収容部に前記所定姿勢で収容された場合に前記認証用コードを読み取り可能である、としても良い。
【0112】
前記電子キーには、前記認証用コードを有する認証タグが設けられ、前記収容部は、前記電子キーが前記収容部に収容される際の前記認証タグを位置決めする部位を有する、こととしてもよい。
【0113】
前記認証タグは、前記電子キーの所定側面に対して凸であり、前記誤組防止形状は、前記所定側面に沿った所与のスライド方向に前記電子キーをスライドすることで前記電子キーを収容可能な形状であり、前記部位は、前記凸を前記スライド方向に案内することで前記電子キーの収容を案内するガイド溝である、としてもよい。
【0114】
前記収容部の内側面と前記電子キーとの隙間に装着されるスペーサ、を更に備える、としてもよい。
【0115】
収容凹部形成材に適切にスペーサを取り付けることで、様々な外形の電子キー7に対応できる。
【0116】
前記アクチュエータ及び前記制御部を具備する基部、を更に備え、前記収容部は、前記基部に対して開閉自在な蓋部である、としてもよい。
【0117】
収容部を、基部に対して開閉自在な蓋のように連結した構成とすることで、ユーザが電子キーを収容する部位を理解し易くなり、ユーザビリティが向上する。
【0118】
前記蓋部の開閉を検知する開閉検出部、を更に備え、前記制御部は、前記開閉検出部の検知結果に基づいて、前記読取部の読取動作及び前記認証処理の実行を制御する、としてもよい。
【0119】
これにより、電子キーに係る認証処理を実行するタイミングを最適化できる。
【0120】
スピーカ、を更に備え、前記制御部は、使用法に係る音声ガイドを前記スピーカから放音させる制御を行う、としても良い。
【0121】
音声ガイドを提供することで、更にユーザビリティが向上する。
【0122】
別の態様として、車両用の電子キーを収容する収容部と、前記収容部に収容された前記電子キーに対して、押釦動作をするアクチュエータと、スピーカと、使用法に係る音声ガイドを前記スピーカから放音させる制御、及び、前記アクチュエータを動作させる制御を行う制御部と、を備える車載器、を構成してもよい。
【0123】
この態様によれば、アクチュエータが動作することで、収容部に収容されている電子キーの押釦動作が実現される車載器でありながら、使用法に係る音声ガイドをスピーカから放音することができる。これにより、例えば、音声ガイドをスピーカから放音して収容部に対して電子キーを正しく収容させることを誘導することで、正規の電子キーがダミーのキーにすり替えて収容されたり、正規の電子キーが不正に持ち出されてしまうことを予防する効果が得られる。
【0124】
車載コンピュータから当該車両の状態に関する車両状態情報を取得する情報取得部、を更に備え、前記制御部は、前記車両状態情報に基づいて前記音声ガイドの進行を制御する、としてもよい。
【0125】
音声ガイドの進行制御に車両状態情報を利用することで、車両の状態に合った適切なタイミングで適切な内容の音声ガイドを提供できる。
【符号の説明】
【0126】
3…シェアリングシステム
5…車両
7…電子キー
9…ネットワーク
10…車載器
11…基部
11a…アッパーケース
11b…ロアケース
12…ケーブル
14…スピーカ
15…開閉操作部
17…隔壁
18…取付部
18a…第1の取付部
18b…第2の取付部
19…開閉検出部
20…収容部
22…揺動軸
23…蓋
24…収容凹部形成材
25…開口部
26…タグ収容凹部
26C…ガイド溝
27…電波遮断部
28…スペーサ
30…制御基板
31…CPU
32…ICメモリ
33…第1無線通信モジュール
34…第2無線通信モジュール
35…電力制御回路
36…インターフェースIC
37…車載ネットワーク通信IC
41…第1アクチュエータ
42…第2アクチュエータ
43…可動部
50…中間部材
51…辺縁部
52…片持ちバネ部
52a…第1片持ちバネ部
52b…第2片持ちバネ部
53…空隙部
54…緩衝部材
55…支点部位
60…弾性部材
61…装着部
71…解錠釦
72…施錠釦
73…キーリング
74…キーリング装着部
75…凸部
76…認証タグ
90…タグリーダ
92…アンテナコイル
94…リーダ制御IC
310…制御部
311…予約認証部
313…キー認証部
315…不正対応処理部
317…音声ガイド制御部
319…動作制御部
320…記憶部
321…制御プログラム
323…音声ガイドデータ
325…キー認証用情報
330…入出力制御部
340…音声信号生成部
351…第1通信部
352…第2通信部
360…車載ネットワーク通信部
362…情報取得部
390…内部バス
400…車載ネットワーク
401…車載コンピュータ
403…パワートレイン系MCU
405…ボディ系MCU
501…管理プログラム
502…端末プログラム
700…予約情報
700c…車載器用予約情報
700t…予約情報
1100…サーバシステム
1500…ユーザ端末