(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168557
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】ノズル清掃装置及び接着剤塗布装置
(51)【国際特許分類】
B05C 11/10 20060101AFI20221031BHJP
H02K 15/03 20060101ALI20221031BHJP
H02K 1/27 20220101ALI20221031BHJP
H02K 15/12 20060101ALI20221031BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20221031BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20221031BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
B05C11/10
H02K15/03 Z
H02K1/27 501G
H02K15/12 Z
H02K15/02 K
B05C5/00 101
B05C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074098
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】石川 雄治
(72)【発明者】
【氏名】佐野 博之
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
5H615
5H622
【Fターム(参考)】
4F041AA04
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA13
4F041BA22
4F041BA60
4F042AA13
4F042BA08
4F042CC08
4F042CC14
4F042DH09
5H615AA01
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP02
5H615PP06
5H615SS10
5H615SS18
5H615SS33
5H615SS57
5H615SS59
5H622CA02
5H622CA05
5H622CA10
5H622CB05
5H622PP19
(57)【要約】
【課題】接着剤を塗布するディスペンサのノズルの口部をクリーニングするに適したノズル清掃装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係るノズル清掃装置は、接着剤塗布装置のディスペンサに設けられたノズルの口部をクリーニングする装置であって、清掃装置本体と、ロール状に巻回された状態で供給され前記ノズルの口部を払拭してクリーニングするシート状払拭部材と、前記シート状払拭部材をロールから引出しクリーニングが行われる払拭作業位置を経由して巻取る巻取機構とを備え、前記シート状払拭部材は、カセットに回転可能に保持され、前記清掃装置本体は、前記カセットが着脱可能に装着される装着部を有して構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤塗布装置のディスペンサに設けられたノズルの口部をクリーニングする装置であって、
清掃装置本体と、ロール状に巻回された状態で供給され前記ノズルの口部を払拭してクリーニングするシート状払拭部材と、前記シート状払拭部材をロールから引出しクリーニングが行われる払拭作業位置を経由して巻取る巻取機構とを備え、
前記シート状払拭部材は、カセットに回転可能に保持され、
前記清掃装置本体は、前記カセットが着脱可能に装着される装着部を有して構成されるノズル清掃装置。
【請求項2】
前記ノズルが、前記払拭作業位置に停止された状態で、前記ノズルの口部に対し前記シート状払拭部材の面が押付けられ、
その状態で前記巻取機構によって前記シート状払拭部材の面が移動されることにより、クリーニングが行われる請求項1記載のノズル清掃装置。
【請求項3】
前記ノズルの口部に対し、前記シート状払拭部材の面を一定の力で押付けるため付勢部材が設けられている請求項1又は2記載のノズル清掃装置。
【請求項4】
前記カセットには、前記シート状払拭部材が巻取られる巻取部が設けられ、
前記装着部にカセットが装着された状態で、前記清掃装置本体に設けられた前記巻取機構に前記巻取部が連結されるように構成されている請求項1から3のいずれか一項に記載のノズル清掃装置。
【請求項5】
前記装着部には、前記カセットを位置決め固定する位置決め部が設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載のノズル清掃装置。
【請求項6】
ワークに対し接着剤を塗布する装置であって、
前記ワークを保持するワーク保持部と、
液状の接着剤をノズルから吐出させて前記ワークに塗布するディスペンサと、
前記ワーク保持部に対して前記ディスペンサを自在に移動させる移動機構と、
前記移動機構及びディスペンサを制御して前記ワークに対する接着剤の塗布作業を実行させる制御装置と、
前記ノズルの口部をクリーニングする前記請求項1から5のいずれか一項に記載のノズル清掃装置とを備える接着剤塗布装置。
【請求項7】
一つの前記ワーク保持部に対し複数の前記ディスペンサを備え、それら複数のディスペンサによって前記ワークに対する塗布作業が行われるように構成されると共に、一つの前記ノズル清掃装置により前記複数のディスペンサに対する清掃作業が行われるように構成され、
前記ワーク保持部における前記ワークの搬入、搬出時に前記ノズル清掃装置による前記各ノズルに対するクリーニングが行われる請求項6記載の接着剤塗布装置。
【請求項8】
前記ノズル清掃装置におけるクリーニングの回数をカウントする計数部と、
前記計数部のカウントした回数が所定回数に達したときに、前記シート状払拭部材の交換を促す報知を行う報知部とを備える請求項6又は7記載の接着剤塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ノズル清掃装置及び接着剤塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば永久磁石式の回転電機の回転子においては、回転子鉄心に軸方向に貫通するように設けられた複数の磁石挿入穴の内面に接着剤が塗布され、永久磁石がその磁石挿入穴内に挿入されて接着により固定される。例えば特許文献1には、そのような回転子鉄心の磁石挿入穴内に接着剤を塗布する方法として、ヘラを用いて接着剤を塗布する方法が開示されている。しかし、このようなヘラを用いる接着剤塗布方法では、小さい穴や狭い場所、あるいは複雑な形状部分に接着剤を塗布するには、困難性が高いものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、接着剤塗布装置として、接着剤を非接触で塗布するジェット式のディスペンサを備えたが開発されてきている。この接着剤塗布装置は、ディスペンサに小径のノズルを備え、液状の接着剤を微粒子化してノズルの口部から連続的に吐出することにより、接着剤の塗布を行うようになっている。ところが、この種のディスペンサでは、接着剤の吐出の作業が繰り返されることに伴い、ノズルの口部の周囲部に、接着剤が付着し液溜まりが生じ、ひいては塗布作業に支障をきたす虞がある。
【0005】
そのため、この種のノズルを有するディスペンサにあって、ノズルの口部の清掃を自動で且つ適切に行うことができるノズル清掃装置が望まれるのである。
そこで、接着剤を塗布するディスペンサのノズルの口部をクリーニングするに適したノズル清掃装置、及び、そのノズル清掃装置を備えた接着剤塗布装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るノズル清掃装置は、接着剤塗布装置のディスペンサに設けられたノズルの口部をクリーニングする装置であって、清掃装置本体と、ロール状に巻回された状態で供給され前記ノズルの口部を払拭してクリーニングするシート状払拭部材と、前記シート状払拭部材をロールから引出しクリーニングが行われる払拭作業位置を経由して巻取る巻取機構とを備え、前記シート状払拭部材は、カセットに回転可能に保持され、前記清掃装置本体は、前記カセットが着脱可能に装着される装着部を有して構成される。
【0007】
実施形態に係る接着剤塗布装置は、ワークに対し接着剤を塗布する装置であって、前記ワークを保持するワーク保持部と、液状の接着剤をノズルから吐出させて前記ワークに塗布するディスペンサと、前記ワーク保持部に対して前記ディスペンサを自在に移動させる移動機構と、前記移動機構及びディスペンサを制御して前記ワークに対する接着剤の塗布作業を実行させる制御装置と、前記ノズルの口部にをクリーニングする上記したノズル清掃装置とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態を示すもので、接着剤塗布装置の全体構成を概略的に示す斜視図
【
図2】接着剤塗布装置の全体構成を概略的に示す上面図
【
図3】右側のディスペンサ周辺部分を概略的に示す正面図
【
図5】接着剤塗布装置の電気的構成を概略的に示すブロック図
【
図6】ノズル清掃装置の外観を示す左前方からの斜視図
【
図7】清掃装置本体とカセットとを分離状態で示す右後方からの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、ワークとしての回転子鉄心の磁石挿入穴に接着剤を塗布する接着剤塗布装置に適用した一実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、ワークとしての回転子鉄心1は、
図2、
図3等に示すように、電磁鋼板を所定の形状即ちほぼ円板状に打抜き、その打抜いた電磁鋼板を複数枚積層して円筒状に構成されている。
図2に一部示すように、回転子鉄心1には、中心部に位置して図示しない回転軸が挿入される軸孔1aが形成され、外周寄り部分に位置して、図示しない永久磁石が挿入されて接着固定される複数の磁石挿入穴1bが、軸方向に貫通して形成されている。前記磁石挿入穴1bは、偏平形状つまり細幅で長く延びる形状に構成されている。
【0010】
まず、上記回転子鉄心1に形成された磁石挿入穴1bの内面に対して接着剤を塗布する、本実施形態に係る接着剤塗布装置2の全体構成について、
図1~
図5を参照して述べる。
図1~
図3は、本実施形態に係る接着剤塗布装置2の外観構成を概略的に示している。この接着剤塗布装置2は、上面が水平な四角形の台状をなすベース3上に、第1~第4の4つのワーク待機部4~7、第1、第2の2つのワーク保持部8、9、4個のジェット式のディスペンサ10、移動機構となる4組のロボット11、本実施形態に係る2個ノズル清掃装置12を備えている。
【0011】
また、この接着剤塗布装置2は、
図5にのみ示すように、回転子鉄心1を搬送するための搬送機構13、画像センサ14、操作盤15、後述するノズル清掃装置12に設けられる巻取機構16、計数部17等を備える。さらに、接着剤塗布装置2には、全体を制御する制御装置25が設けられている。この制御装置25は、コンピュータを含んで構成され、各機構を制御して回転子鉄心1に対する接着剤の塗布作業を、自動で順に繰返し実行させるようになっている。尚、接着剤塗布装置2は、固有のXYZ座標系を有しており、以下の説明で必要となる場合には、ベース3の図で前後方向をX方向、左右方向をY方向、上下方向をZ方向として説明する。
【0012】
図1、
図2に示すように、前記第1~第4のワーク待機部4~7は、夫々ベース3の左前部、左後部、右後部、右前部に位置して設けられ、接着剤の塗布作業が行われる回転子鉄心1を保持するように構成されている。また、前記第1のワーク保持部8は、ベース3の左側中央部つまり前記第1のワーク待機部4と第2のワーク待機部5との中間に位置して設けられ、前記第2のワーク保持部9は、ベース3の右側中央部つまり前記第3のワーク待機部6と第4のワーク待機部7との中間に位置して設けられている。
【0013】
前記搬送機構13は、回転子鉄心1を、前記第1のワーク待機部4に搬入し、第1のワーク待機部4から第1のワーク保持部8に搬送し、第1のワーク保持部8から第2のワーク待機部5に搬送し、第2のワーク待機部5から第3のワーク待機部6に搬送し、第3のワーク待機部6から第2のワーク保持部9に搬送し、第2のワーク保持部9から第4のワーク待機部7に搬送し、その後、次工程に向けて搬出する。この搬送が順次行われることにより、接着剤塗布装置2には、常に6個の回転子鉄心1が存在することになる。
【0014】
このとき、詳しくは後述するように、第1のワーク保持部8において、回転子鉄心1の一面側の磁石挿入穴1bに対して接着剤の塗布作業が行われ、第2のワーク保持部9において、回転子鉄心1の他方の面側の磁石挿入穴1bに対して接着剤の塗布作業が行われる。また、前記第2のワーク待機部5において、回転子鉄心1が上下反転されて第3のワーク保持部6に送られるようになっている。
【0015】
前記ワーク保持部8、9は、
図3等に示すように、前記回転子鉄心1をその中心軸が垂直となるように保持すると共に、モータを含む回転駆動機構により保持した回転子鉄心1を前記中心軸周りに自在に回転させるように構成されている。この場合、ワーク保持部8、9は、接着剤が塗布される磁石挿入穴1bが、順次所定の塗布位置に来るように回転子鉄心1を移動させるようになっており、その塗布位置では、磁石挿入穴1bの延びる方向即ち長手方向が、例えば前後方向であるX方向に一致されるようになっている。
【0016】
前記各ロボット11は、
図1等に示すように、この場合、周知の直交座標型ロボットからなり、Z軸移動機構18とY軸移動機構19とを備えている。前記Z軸移動機構18は、上下方向に延びるZ軸レール20に沿って移動可能に設けられた移動体21を、Z軸モータを駆動源とした駆動機構により上下方向に自在に移動させるように構成されている。Y軸移動機構19は、前記Z軸移動機構18を、左右方向に延びるY軸レール22に沿って移動可能に支持し、Y軸モータを駆動源とした駆動機構により左右方向に自在に移動させるように構成されている。
【0017】
尚、前記Y軸移動機構19のY軸レール22は、いわゆる門型の支持部24を介してベース3の上方に支持されているが、
図1~
図3では、左右に位置するロボット11において、支持部24のY軸方向に延びる部分が共用されている。上記した4つのロボット11は、ベース3上の左側の前後部、右側の前後部にそれぞれ設けられる。左側の前後部に位置する2台のロボット11が、協働して第1のワーク保持部8に対する接着剤塗布の作業を行い、右側の前後部に位置する2台のロボット11が、協働して第2のワーク保持部9に対する接着剤塗布の作業を行う。
【0018】
前記移動体21には、次に述べるディスペンサ10が取付けられる。これにより、ロボット11は、ディスペンサ10を、Y方向即ち左右方向及びZ方向即ち上下方向の任意の位置に自在に移動させることができる。この場合、ロボット11は、ディスペンサ10のノズル(後述)を、前記塗布位置の上方、即ち、ワーク保持部8、9に保持された回転子鉄心1の所定の磁石挿入穴1bの上方に位置させる。これにて、磁石挿入穴1bの内壁面に対して、接着剤を上方から非接触で塗布する塗布作業が実行される。
【0019】
前記ディスペンサ10は、接着剤を非接触で塗布するものであり、液状の接着剤を微粒子化してノズル28から射出する周知のジェット式のディスペンサからなる。
図4では、接着剤の微粒子を符号Aで示している。
図3、
図4に示すように、ディスペンサ10は、本体部26と、液状の接着剤を貯留するシリンジ27等を備えている。前記本体部26の下端部に、下向きのノズル28が設けられている。本実施形態では、前記ノズル28として、内径がごく小径のもの、例えば0.1mmφのものが採用されている。また、前記接着剤としては、粘度が100Pa・s程度のものが使用される。検査工程での視認性を良くするために、接着剤に所定の着色を行っても良い。
【0020】
詳しく図示はしないが、前記本体部26は、矩形状のケース内に、前記シリンジ27から接着剤が供給される液体チャンバや、液体チャンバの接着剤を微粒子化し、所定量の液滴を押出して前記ノズル28から下方に直線的且つ連続的に射出させる例えばピエゾ駆動方式のバルブアクチュエータ等を備えている。このディスペンサ10は、前記ロボット11の移動体21の取付フランジに取付けられる。このとき、ディスペンサ10のノズル28は、垂直軸即ちZ軸に対して、4°~10°でやや傾斜した形態で配置されている。
【0021】
これにより、回転子鉄心1の磁石挿入穴1bの内壁面に対して、前記ノズル28から斜め方向から接着剤Aを射出塗布させるようになっている。尚、前記画像センサ14は、例えばCCDカメラ等からなり、ワーク保持部8、9における回転子鉄心1の上面部を撮影することが可能とされている。これにて、画像センサ14の撮影画像から、接着剤塗布前の磁石挿入穴1bの位置合わせを行ったり、接着剤の塗布後の磁石挿入穴1bの内壁面に対する接着剤の塗布作業が適切に行われたかの確認を行ったりすることができる。
【0022】
さて、本実施形態に係るノズル清掃装置12について、
図6~
図9も参照して述べる。2つのノズル清掃装置12は、各ディスペンサ10のノズル28の口部を清掃するためのもので、
図2に示すように、前記ベース3上の、第1のワーク保持部8の左側、及び、第2のワーク保持部9の右側に夫々設けられる。左側のノズル清掃装置12により、左側の前後部の2つのディスペンサ10のノズル28の清掃が行われ、右側のノズル清掃装置12により、右側の前後部の2つのディスペンサ10のノズル28の清掃が行われる。
【0023】
ノズル清掃装置12は、
図6~
図9に示すように、清掃装置本体29と、シート状払拭部材としてのロール紙30を保持するカセット31と、前記巻取機構16とを備えて構成されている。前記清掃装置本体29は、
図7、
図8などに示すように、取付ベース部32上に、底壁部29aとその側部から上方に立ち上がり前方に延びる側壁部29bとを一体に有した正面L字状に構成されている。前記底壁部29aの上面部分が、後述するカセット31が着脱可能に装着される装着部29cとされている。前記取付ベース32は、前記ベース3上に前後方向に延びて設けられ、清掃装置本体29は、取付ベース部32上に、付勢部材としての複数個のコイルばね33を介して設けられている。
【0024】
前記装着部29cにおいては、前記底壁部29a上に位置して、前記カセット31の位置決めを行う位置決め部としての位置決め用凹部34が、断面逆T字状をなして左右方向に延びる溝状をなし、図の上面でスリット状に開口すると共に、図の右面で開口するように設けられている。また、底壁部29aには、図で右端部に位置して、前記カセット31の装着時の抜け止め固定を行うロック機構35が設けられている。ロック機構35は、つまみ部35aを回動操作することにより、カセット31の装着時のロック及びアンロックを行うように構成されている。尚、カセット31は、清掃装置本体29に対し、ベース3の左右の外側を向く面側に取付けられるようになっている。
【0025】
更に、前記清掃装置本体29には、巻取モータ36、巻取駆動軸37、ベルト伝達機構38が設けられ、これにより前記巻取機構16が構成される。そのうち巻取モータ36は、側壁部29bの前端側に位置して、その回転軸が側壁部29bを貫通して外面側に突出させるように設けられている。前記巻取駆動軸37は、側壁部29bの中央部側に回転可能に支持され、その基端部が側壁部29bを貫通して外面側に突出するように設けられている。前記ベルト伝達機構38は、
図6に示すように、側壁部29bの外面側において、巻取モータ36の回転軸に取付けられた駆動プーリ38aと、巻取駆動軸37の基端部に取付けられた従動プーリ38bとの間に、ベルト38cを掛け渡して構成されている。これにて、巻取モータ36の駆動力が、巻取駆動軸37に伝達されるようになっている。
【0026】
これに対し、前記カセット31は、
図7、
図9に示すように、前記ロール紙30が着脱可能にセットされるケース部39を備えている。このケース部39は、横長矩形状の側壁部39aと、その側壁部39aの内面側の中心部から
図9で左方に延びる逆T字状をなす縦壁部39bとを一体的に有している。このとき、前記縦壁部39bの上端は、側壁部39aの上端よりやや高く構成され、この上端部分に、例えばゴム製の受け部材40が設けられることにより、この部分が払拭作業位置43とされている。
【0027】
また、
図9に示すように、ケース部39の側壁部39aの内面側には、前記縦壁部39bの両側に位置して、ロール取付軸41と、巻取部としての巻取軸42とが設けられている。前記ロール取付軸41には、シート状払拭部材としてのロール紙30のロールが挿入されて、回転可能に保持されるようになっている。そして、ロール紙30の先端部分が、ロールから引き出され、前記受け部材40の上面つまり払拭作業位置43を通って、前記巻取軸42に例えば粘着テープにより接続される。尚、図示はしないが、カセット31には、ロール取付軸41に取付けられたロール紙30や、巻取軸42に巻取られたロール紙30を抜止め状態に保持するための抜止め用のレバー部材が設けられている。
【0028】
上記したカセット31は、前記清掃装置本体29の装着部29cに着脱可能に装着される。このとき、
図7に示すように、装着部29cに設けられた位置決め用凹部34に対し、カセット31の縦壁部39bの下端部が、位置決め用凹部34の右面の開口部から挿入され、挿入後につまみ部35aを回動操作することにより、ロック機構35によりカセット31が抜止め状態且つ位置決め状態にロックされる。また、この装着により、カセット31の巻取軸42が、清掃装置本体29の巻取駆動軸37に連結される。これにて、巻取軸42が巻取機構16に連結され、巻取モータ36の駆動によってカセット31のロール紙30が、巻取軸42に巻取られていくようになっている。
【0029】
また、ロール紙30を使い終わった後、カセット31は装着部29cから取外される。カセット31を取外す場合には、つまみ部35aを回動操作してロック機構35をアンロック状態とし、カセット31の縦壁部39bの下端部を、位置決め用凹部34から引出すようにして、カセット31を取外すことができる。尚、カセット31は、一つのノズル清掃装置12に対して複数個例えば2個が準備されており、使用していない予備のカセット31に、予めロール紙30をセットしておくことができる。
【0030】
上記構成のノズル清掃装置12により、ディスペンサ10のノズル28の口部を清掃するにあたっては、ロボット11によりディスペンサ10を、払拭作業位置43の上部まで移動させ、ノズル28の口部を、払拭作業位置43に配置されたロール紙30の上面、つまり受け部材40の上面に配置された部分に、押付ける。このとき、付勢部材としてのコイルばね33により、ノズル28の口部が、ロール紙30の面に対し一定の力で押付けられるようになる。この状態で、巻取機構16によってロール紙30が巻取られてその面が移動されることにより、清掃作業つまりノズル28のクリーニングが行われる。
【0031】
図5は、前記制御装置25を中心とした接着剤塗布装置2の電気的構成を概略的に示している。ここで、前記制御装置25は、ワーク保持部8、9、各ディスペンサ10、各ロボット11、搬送機構13、ノズル清掃装置12の巻取機構16を制御する。また、制御装置25には、前記操作盤15からの信号、画像センサ14からの信号、計数部17からの信号が入力される。このとき、計数部17は、各ノズル清掃装置12において、清掃作業が何回実行されたかをカウントするものである。制御装置25は、清掃作業回数が、ロール紙30の交換時期が近い所定回数に達したときに、例えば操作盤15において、例えば表示によりロール紙30つまりカセット31の交換時期が来た旨の報知を行うようになっている。
【0032】
制御装置25は、予め入力設定された制御プログラムや動作用データ、リアルタイムで入力されるセンサ信号等に基づいて、ワーク保持部8、9、各ディスペンサ10、各ロボット11、搬送機構13、巻取機構16等を制御する。これにて、制御装置25は、上記したように、回転子鉄心1の磁石挿入穴1bに対する接着剤塗布作業を行うと共に、ノズル清掃装置12によるディスペンサ10のノズル28の清掃作業を実行する。
【0033】
本実施形態の接着剤塗布装置2においては、制御装置25により、ワーク保持部8、9に夫々供給された回転子鉄心1に対し塗布作業が実行される。この塗布作業は、接着剤の塗布対象となる磁石挿入穴1bの位置、つまり延びる方向を合せるように回転子鉄心1が回転方向に移動されて位置決めされ、この回転子鉄心1の位置決め状態で、ディスペンサ10を移動させながら、磁石挿入穴1bの内壁面に対し、斜め上方に位置されるノズル28から連続的に接着剤の微粒子Aを射出させて接着剤を塗布させることにより行われる。この場合、ワーク保持部8、9において、夫々2台のロボット11、つまり2つのディスペンサ10によって、効率的な塗布作業が行われる。
【0034】
ここで、ワーク保持部8において回転子鉄心1の一面に対する接着剤塗布作業が終了すると、搬送機構13により、その回転子鉄心1が次の第2のワーク待機部5に搬送されて上下反転されると共に、第1のワーク待機部4に待機していた回転子鉄心1が、ワーク保持部8に搬送される。同様に、ワーク保持部9において回転子鉄心1の他方の面に対する接着剤塗布作業が終了すると、搬送機構13により、その回転子鉄心1が次の第4のワーク待機部7に搬送され、第3のワーク待機部5に待機していた反転状態の回転子鉄1が、ワーク保持部9に搬送される。
【0035】
本実施形態では、上記のような、ワーク保持部8、9における回転子鉄心1の搬入。搬出時に、塗布作業が一時的に休止されるようになり、ノズル清掃装置12によるディスペンサ10の各ノズル28に対する清掃作業が行われる。この場合、左側のノズル清掃装置12により、左側の2台のディスペンサ10のノズル28の清掃が行われ、右側のノズル清掃装置12により、右側の2台のディスペンサ10のノズル28の清掃が行われる。ノズル清掃装置12による清掃作業は、次のようにして行われる。
【0036】
即ち、ロボット11によりディスペンサ10が払拭作業位置43の上部に停止され、ノズル28の口部に対しロール紙30の面が押付けられた状態とされる。このとき、清掃装置本体29が、コイルばね33を介して支持されていることにより、ノズル28の口部に対しロール紙30の面を、常に一定の力で安定して押付けることができる。そして、その状態で、巻取機構16によってロール紙30が一定量だけ巻取られることにより、払拭作業位置43つまり受け部材40上のロール紙30の面が一定長さだけ移動される。これにより、ロール紙30によりノズル28の口部部分が、ロール紙30により払拭され、ノズル28の口部の汚れがロール紙30側に転写されてクリーニングが行われる。この場合、巻取機構16のロール紙30の巻取り動作によって、巻取りと同時にノズル28の口部の払拭が行われ、常に新しく清浄な面で払拭を行うことができる。
【0037】
この清掃作業は、2つのディスペンサ10に対し順に行われる。この場合、清掃作業終了後、巻取機構16によってロール紙30を巻取ることにより、払拭作業位置43つまり受け部材40上にロール紙30の新しく清浄な面を配置しておくことができる。そして、清掃作業を繰返すとロール紙30の残りが少なくなってくるようになる。本実施形態では、計数部17により、清掃作業の実施回数がカウントされ、制御装置25は、カウントした回数が所定回数に達したときに交換を促す報知を行う。これにより、作業者は、報知を聞いて、清掃装置本地29から古いカセット31を取外し、予め用意しておいた新たなロール紙を取付けたカセット31を装着すれば良い。尚、このカセット31の交換作業は、ロボット11による接着剤塗布作業中に行うことができる。
【0038】
このような本実施形態のノズル清掃装置12によれば、次のような作用、効果を得ることができる。即ち、ノズル清掃装置12は、清掃装置本体29と、ロール紙30を保持するカセット31と、カセット31が着脱可能に装着される装着部29cと、巻取機構16とを備えている。これにより、ディスペンサ10のノズル28の口部が、ロール紙30により払拭されることにより、ノズル28の口部に付着した接着剤Aの液溜まりを除去して、ノズル28の口部を清浄化することができる。このとき、ロール紙30は、ロール状に巻回された状態で供給され、ロールから引出しクリーニングが行われる払拭作業位置43を経由して巻取軸42により巻取られる構成とされていることにより、ロール紙30の未使用の清浄な部分を常に払拭作業位置43に供給しながら清掃作業を行うことができ、効果的となる。
【0039】
そして、ロール状のロール紙30は、カセット31に回転可能に保持され、その状態で、清掃装置本体29の装着部29cに対し着脱可能に装着されるので、ロール紙30の交換を、古いカセット31を取外し新しいカセット31を取付けることにより容易に行うことができる。この場合、例えば接着剤塗布装置2の動作を停止することなく交換作業を行うことが可能となる等、ロール紙30の交換作業が極めて容易となる。この結果、本実施形態のノズル清掃装置12によれば、ディスペンサ10のノズル28の口部の清掃を自動で且つ適切に行うことができるという優れた効果を得ることができる。
【0040】
本実施形態では、ディスペンサ10が払拭作業位置43の上部に停止され、ノズル28の口部に対しロール紙30の面が押付けられた状態とされ、その状態で、巻取機構16によってロール紙30の面が移動されることにより、ノズル28の口部のクリーニングが行われる構成とした。これにより、清掃作業時に、ディスペンサ10側に複雑な動作を行わせずに済み、巻取機構16のロール紙30の巻取り動作によって、巻取りと同時にノズル28の口部の払拭が行われ、常に新しく清浄な面で払拭を行うことができる。
【0041】
また本実施形態では、清掃装置本体29を、コイルばね33を介して取付ベース32上に設置し、ノズル28の口部に対し、ロール紙30の面を一定の力で押付けるように構成した。これにより、ノズル28の口部に対しロール紙30の面を、常に一定の力で押し付けながら払拭が行われ、押付け力が強すぎたり弱すぎたりすることを未然に防止し、払拭を安定して行うことができる。
【0042】
更に本実施形態では、カセット31に、ロール紙30が巻取られる巻取軸42が設けられ、装着部29cにカセット31が装着された状態で、清掃装置本体29に設けられた巻取機構16に巻取軸42が連結されるように構成した。これにより、清掃装置本体29側の巻取機構16によって巻取軸42部が駆動されるので、カセット31側に、巻取軸42を駆動するための機構を設ける必要がなく、カセット31を、小型で軽量ひいては安価に構成することができる。
【0043】
本実施形態のノズル清掃装置12では、清掃装置本体29の装着部29cに、カセット31の取付時に位置決め固定する位置決め用凹部34を設けるように構成した。これによれば、カセット31の装着時に、位置決め用凹部34によって装着部29cに対するカセット31の位置決めがなされるので、確実に位置決め状態で装着することができる。
【0044】
また、本実施形態の接着剤塗布装置2によれば、次のような作用、効果を得ることができる。即ち、本実施形態の接着剤塗布装置2によれば、ディスペンサ10をロボット11により自在に移動させながら、ワーク保持部8、9の回転子鉄心1に対し、ノズル28から液状の接着剤Aを吐出させる塗布作業を実行することができる。そして、上記した本実施形態に係るノズル清掃装置12を備えることにより、ロボット11によりディスペンサ10を払拭作業位置にまで移動させて、ノズル28の口部に対する清掃作業を効果的に行うことができる。
【0045】
特に本実施形態の接着剤塗布装置2では、一つのワーク保持部8、9に対し複数のディスペンサ10を備え、それら複数のディスペンサ10によって回転子鉄心1に対する塗布作業が行われるように構成されると共に、一つのノズル清掃装置12により複数のディスペンサ10に対する清掃作業が行われるように構成した。そして、ワーク保持部8、9における回転子鉄心1の搬入、搬出時にノズル清掃装置12による各ノズル28に対するクリーニングが行われる構成とした。これにより、複数のディスペンサ10に対して、一つのノズル清掃装置12によるクリーニングを行うことができる。しかも、回転子鉄心1の搬入、搬出時という塗布作業を行っていないタイミングで、ノズル28に対するクリーニングを行うことができ、塗布作業の停止による時間のロスを招くことなく、効率的に清掃作業を行うことができる。
【0046】
更に本実施形態の接着剤塗布装置2では、ノズル清掃装置12におけるクリーニングの回数をカウントする計数部17を設け、計数部17のカウントした回数が所定回数に達したときに、カセット31の交換を促す報知を行う構成とした。これにより、ロール紙30ひいてはカセット3の適切な交換時期を知ることができ、作業者は、容易にロール紙30つまりカセット31の交換を行うことができる。
【0047】
尚、上記実施形態では、シート状払拭部材としてロール紙30を採用したが、シート状払拭部材としては、紙製のものに限らず、布や不織布等であっても良く、ノズル28の口部の払拭に適した素材のものを採用することができる。ノズル清掃装置の構成、例えばカセットのケースの形状や構造等についても、種々変更して実施することができる。カセット側に巻取機構を設けることもできる。位置決め部や付勢部材の構成としても、様々な変更が可能である。
【0048】
上記実施形態では、接着剤塗布装置2における移動機構即ちロボットとして、2軸の直交座標型ロボットを採用したが、それに限定されるものではなく、3軸以上の多関節形ロボット等を採用しても良い。また、移動機構として、ディスペンサをX方向に移動させる機構、或いは、ディスペンサの角度、つまり穴に対するノズルの角度を自在に変更する構成を付加するようにしても良い。ディスペンサのノズルに対してワーク側を移動させながら塗布作業を行う構成としても良い。1台或いは3台以上ディスペンサ及びロボットを設けて、塗布作業を行うようにしても良い。上記実施形態においては、接着剤の塗布の対象として回転電機の回転子の回転子鉄心1を例にあげたが、ワークとしてはそれに限定されるものではなく、穴の形状などについても、様々な変更が可能である。
【0049】
以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
図面中、1は回転子鉄心(ワーク)、2は接着剤塗布装置、8、9はワーク保持部、10はディスペンサ、11はロボット(移動機構)、12はノズル清掃装置、13は搬送機構、16は巻取機構、17は計数部、25は制御装置(報知部)、28はノズル、29は清掃装置本体、29cは装着部、30はロール紙(シート状払拭部材)、31はカセット、33はコイルばね(付勢部材)、34は位置決め用凹部(位置決め部)、40は受け部材、42は巻取軸(巻取部)、43は払拭作業位置、Aは接着剤を示す。