(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168586
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】衛生シールド
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20221031BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A41D13/11 H
A62B18/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074151
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】521064233
【氏名又は名称】福井 マユミ
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】特許業務法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】福井 マユミ
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA20
2E185CC32
(57)【要約】
【課題】装着したまま飲食可能であって、飲食時以外ではウィルスの飛沫感染を防止することが可能な衛生シールドを提供する。
【解決手段】使用者の額又は鼻背から顔の両側部まで延びる帯状のホールド2と、使用時にホールド2を所定の位置に保持するための保持手段3と、使用者の顔の少なくとも一部に対向するシールド4と、ホールド2の両端部近傍において、それぞれ、シールド4を上下方向に回動可能にホールド2に結合させる一対の結合部5と、を有し、一対の結合部5は、シールド4が上方に回動した状態から、重力のみによって下方に回動可能に構成され、一対の結合部5は、それぞれ、シールドの下方への回動範囲を制限する角度規定部6を有するものとする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の額又は鼻背から顔の両側部まで延びる帯状のホールドと、
使用時に前記ホールドを所定の位置に保持するための保持手段と、
使用者の顔の少なくとも一部に対向するシールドと、
前記ホールドの両端部近傍において、それぞれ、前記シールドを上下方向に回動可能に前記ホールドに結合させる一対の結合部と、を有し、
前記一対の結合部は、前記シールドが上方に回動した状態から、重力のみによって下方に回動可能に構成され、
前記一対の結合部は、それぞれ、前記シールドの下方への回動範囲を制限する角度規定部を有する衛生シールド。
【請求項2】
前記角度規定部は、前記シールドの上方への回動範囲を制限する請求項1に記載の衛生シールド。
【請求項3】
前記一対の結合部は、それぞれ、
前記ホールドに形成された複数の係止片部と、
前記シールドに形成され、前記係止片部を通し、前記係止片部と前記ホールドの本体との間に挟まれる孔部と、により構成される請求項1又は2に記載の衛生シールド。
【請求項4】
前記角度規定部は、
前記孔部の内側に延びる凸部と、
前記係止片部と、により構成される請求項3に記載の衛生シールド。
【請求項5】
前記凸部は、前記シールドが回動され前記係止片部が前記凸部に所定の力以上で接した際に、前記係止片部の通過を許す請求項4に記載の衛生シールド。
【請求項6】
前記一対の結合部は、
前記ホールドに形成された第1の孔部と、
前記シールドに形成された第2の孔部と、
前記第1の孔部と前記第2の孔部を通す軸部と、前記軸部の両端部からそれぞれ前記軸部の太さ方向に広がり、前記1の孔部と前記第2の孔部を挟む一対の挟持部と、を備えるボタンと、により構成される請求項1に記載の衛生シールド。
【請求項7】
前記角度規定部は、
前記一対の挟持部の間に形成されたストッパーと、
前記シールドの端部により構成される請求項6に記載の衛生シールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着したまま飲食可能な衛生シールドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の装着したまま飲食可能な衛生シールドとして、装着した状態で口の下方に十分なスペースを確保できる構造や、シールドを上方に可動とする構造のマウスシールドまたはフェイスシールドが開示されている(下記特許文献1から3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3227983号公報
【特許文献2】実用新案登録第3228753号公報
【特許文献3】実用新案登録第3228943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シールドを上方に可動とし、シールドが上方で固定される構造においては、シールドを上方に上げて飲食した後にシールドを下方に下げ忘れたまま会話してしまうことがあり、口や鼻の前面が遮蔽されない事態が生じ飛沫感染の危険性を拭い切れないという問題があった。
【0005】
これに鑑み、本発明は、装着したまま飲食可能であって、飲食後はシールドが自動的に戻り、ウィルスの飛沫感染を防止することが可能な衛生シールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の衛生シールドは、
使用者の額又は鼻背から顔の両側部まで延びる帯状のホールドと、
使用時に前記ホールドを所定の位置に保持するための保持手段と、
使用者の顔の少なくとも一部に対向するシールドと、
前記ホールドの両端部近傍において、それぞれ、前記シールドを上下方向に回動可能に前記ホールドに結合させる一対の結合部と、を有し、
前記一対の結合部は、前記シールドが上方に回動した状態から、重力のみによって下方に回動可能に構成され、
前記一対の結合部は、それぞれ、前記シールドの下方への回動範囲を制限する角度規定部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、装着したまま飲食可能であって、飲食後はシールドが自動的に戻り、ウィルスの飛沫感染を防止することが可能な衛生シールドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本願の第1実施形態に係る衛生シールドの斜視図である。
【
図2】本願の第1実施形態に係る衛生シールドの結合部を示す図である。
図2(a)はホールドの左端部を示し、
図2(b)はシールドの左上端部を示し、
図2(c)はホールドの左端部とシールドの左上端部を重ねた状態を示す。
【
図3】本願の第1実施形態に係る衛生シールドのホールドの変形例を示す図である。
図3(a)は変形例1に係るホールドの左端部を示し、
図3(b)は変形例2に係るホールドの左端部を示す。
【
図4】本願の第1実施形態に係る衛生シールドのシールドの変形例を示す図である。
図4(a)は変形例3に係るシールドの左端部を示し、
図4(b)は変形例4に係るシールドの左端部を示し、
図4(c)は変形例5に係るシールドの左端部を示す。
【
図5】本願の第1実施形態に係る衛生シールドのシールドの変形例6を示す図である。
【
図6】本願の第2実施形態に係る衛生シールドを示す図である。
図6(a)はホールドの左端部を示し、
図6(b)はシールドの左上端部を示し、
図6(c)は
図6(b)に示すA-A断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
本願の第1実施形態について説明する。なお、本願において方向を言うときは、立位または座位で衛生マスクを取り付けた使用者を正面側から見たときの方向を意味するものとする。
【0010】
本実施形態に係る衛生マスク1は、
図1に示すように、ホールド2と、保持手段3と、シールド4と、結合部5と、角度規定部6とを有する。なお、衛生マスク1は、本実施形態においては、使用者の顔の大部分を覆うフェイスシールドとしているが、使用者の口とその周辺を覆うマウスシールドとすることもでききる。
【0011】
ホールド2は、使用者の額から顔の両側部まで延びる帯状の部材である。本実施形態においては、フェイスシールドを構成する為、ホールド2は使用者の額に接する位置に設けられるが、マウスシールドを構成する場合には、鼻背に接する位置に設ける。ホールド2の材料としては、クリアファイルなどに使用されるフィルム状のポリプロピレンを用いることが好ましいが、これに限らず、同様の材料を用いることができる。ポリプロピレンを採用することで、使い捨てとした場合であっても、可燃ごみとすることができるようになる。ホールド2は透明の素材から形成することで、衛生マスク1を着装した使用者の外観上の違和感を軽減することができる。ただし、透明の素材に限定されず、半透明や色が付いた素材とすることもできる。
【0012】
保持手段3は、使用時においてホールド2を所定の位置に保持するためのものである。保持手段3は、ホールド2の両端部に形成された一対の孔部2aに通してそれぞれ結ばれ、使用者の耳に掛けられるゴム紐であることが好ましいが、これに限られず、例えば、使用者の頭の後ろを通すゴム紐、紐、フィルムなどであってもよい。ホールド2を延長して保持手段3としても良い。
【0013】
シールド4は、使用者の顔の少なくとも一部に対向する。本実施形態においては、フェイスシールドを形成するため、シールド4は、使用者の顔の大部分を覆うものとしている。ホールド2の材料としては、クリアファイルなどに使用されるフィルム状のポリプロピレンを用いることが好ましいが、これに限らず、同様の材料を用いることができる。ホールド2は透明の素材から形成することで、衛生マスク1を着装した使用者の視界を良好にすることができ、また、衛生マスク1を着装した使用者の表情を他者が読み取りやすくなる。ただし、シールド4の素材は透明のものに限られず、半透明とすることもできる。この場合、例えば、屋外での飲食に用いるものとして、日差しを遮る色を付けても良いし、紫外線を遮断する素材としても良い。
【0014】
一対の結合部5は、ホールド2の両端部近傍において、それぞれ、シールド4を上下方向に回動可能にホールド2に結合させる。一対の結合部5は、シールド4が上方に回動した状態から、重力のみによって下方に回動可能に構成する。これにより、使用者は飲食物を口に運ぶ際にシールド4を上方に持ち上げ、その後に手を離せば自動的に元の位置に戻るため、戻し忘れが無く、また、シールド4を元の位置に戻す手間も省ける。一対の結合部5は、それぞれ、シールド4の回動範囲を制限する角度規定部6を有する。
【0015】
一対の結合部5は、
図2に示すように、それぞれ、ホールド2に形成された係止片部2b、2cと、シールド4に形成され、係止片部2b、2cを通し、係止片部2b、2cとホールド本体2dとの間に挟まれる孔部4aによって構成される。係止片部2b、2cは、ホールド2に切れ込みを入れて形成することが好ましい。これにより、製造コストを抑えることができる。
【0016】
係止片部2b、2cは、ホールド本体2dと結合した部分で弾性変形する。ホールド2とシールド4の結合の際は、係止片部2b、2cをシールド4側に立ち上がらせ、互いに対向した状態で、孔部4aに通し、弾性復帰させることで、
図2(c)に示す状態となり、シールド4がホールド2から外れるのを防ぐ。なお、本実施形態ではホールド2とシールド4をいずれも透明の素材から形成した場合を想定しているため、
図2(c)は全て実線で示しているが、最も手前側(使用者から遠い側)に係止片部2b、2cが配置され、最も奥側(使用者に近い側)にホールド本体2dが配置され、その間にシールド4の孔部4aが配置されている。
【0017】
結合部5のように構成することで、シールド4が回動する際に、ホールド2とシールド4との間にはわずかな摩擦力しか生じないため、シールド4を上方に挙げた状態で使用者が手を離すと、シールド4は重力により元の位置に戻る。
【0018】
角度規定部6は、孔部4aの一部において孔部4aの内側に延びる凸部4bと、係止片部2c、2dにより構成される。
図2(a)に示すように、一対の係止片部2c、2dは、それぞれ、他方の側でホールド本体2dと結合している。凸部4bは、
図2(b)に示すように、下側でシールド本体4cと結合している。凸部4bには、ゴム紐などを通す孔部4dが形成されている。凸部4bと係止片部2b、2cの間には所定の間隔が設けている。これにより、シールド4は所定の角度範囲で回動可能としながら、凸部4bが係止片部2c、2dに当接することで、シールド4の回動可能な角度範囲を規定している。
図2(c)において、シールド4が上方(反時計回り)に回動した場合、凸部4bの右側部分と係止片部2cとが当接し、シールド4が下方に回動した場合、凸部4bの左側部分が係止片部2bに当接する。なお、凸部4bとシールド本体4cとの結合は、下側に限らず、上側としても良い。角度規定部6によりシールド4の下側の回動範囲を規定することで、使用時においてシールド4が顔に接触しない適切な位置に配置される。また、角度規定部6によりシールド4の上側の回動範囲を規定することで、使用者が顔を下に向けた際に、シールド4が顔から離れ過ぎるのを防ぐことができる。
【0019】
(変形例1)
本第1実施形態のホールド2の変形例1について説明する。変形例1においては、
図3(a)に示すように、係止片部2c、2b、2eを3枚形成している。このように、係止片部の数は2枚に限定されず、3枚以上とすることもできる。
【0020】
(変形例2)
本第1実施形態のホールド2の変形例2について説明する。変形例2においては、
図3(b)に示すように、ホールド本体2dが係止片部2b、2cから更に左側に延び、その延びた部分に孔部2aが形成されている。孔部2aがシールド4よりも外側まで延びた部分に形成された場合、保持手段3としてのゴム紐などはシールド4を貫通しないため、シールド4に孔部4dを設ける必要が無くなる。
【0021】
(変形例3)
本第1実施形態のシールド4の変形例3について説明する。変形例3においては、
図4(a)に示すように、凸部4b、4eが上下に形成されている。凸部4b、4eは概略三角形状をしている。これにより、凸部4b、4eが係止片部2b、2cに当接した際に、シールド4が更に回動するように使用者がシールド4を操作することで、凸部4b、4eの傾斜部が係止片部2b、2cを乗り越え、凸部4b、4eが係止片部2b、2cを通過する。これにより、シールド4を上方又は下方の位置で固定することが可能となる。固定を解除する場合には、凸部4b、4eが係止片部2b、2cを再度乗り越えるようにシールド4を反対側に操作すればよい。
【0022】
(変形例4)
本第1実施形態のシールド4の変形例4について説明する。変形例4においては、
図4(b)に示すように、凸部4b、4eが上下に形成されている。凸部4b、4eは概略円形をしている。これにより、変形例3のように凸部4b、4eが係止片部2b、2cを通過してシールド4が使用者の口等から飛沫の飛散を防げない位置で固定されるのを防ぎ、飛沫の飛散を確実に防ぐことができる。
【0023】
(変形例5)
本第1実施形態のシールド4の変形例5について説明する。変形例5においては、
図4(c)に示すように、凸部4bが上下方向に延び、上下のいずれにおいてもシールド本体4cと結合している。これにより、変形例3のように凸部4bが係止片部2b、2cを通過してシールド4が使用者の口等から飛沫の飛散を防げない位置で固定されるのを防ぎ、飛沫の飛散を確実に防ぐことができる。
【0024】
(変形例6)
本第1実施形態のシールド4の変形例6について説明する。変形例6においては、
図5に示すように、凸部4bとシールド本体4cとの結合位置を、孔部4aの最下部よりも左側に配置している。このように、孔部4aとシールド本体4cとの結合位置を変更して設定することで、シールド4が回動する角度範囲を変更して設定することができる。
【0025】
以上に説明した本第1実施形態によれば、装着したまま飲食可能であって、飲食後はシールドが自動的に戻り、ウィルスの飛沫感染を防止することが可能な衛生マスクを提供することができる。
【0026】
(第2実施形態)
次に本願の第2実施形態について説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態と多くの点で共通するため、上記第1実施形態において参照符号を付して説明した部分については同じ参照符号を付して説明を省略し、上記第1実施形態とは異なる点について説明する。
【0027】
本第2実施形態においては、一対の結合部5と角度規定部6の構成において、上記第1実施形態とは異なる。本第2実施形態の一対の結合部5は、
図6に示すように、ホールド2に形成された第1の孔部2fと、シールド4に形成された第2の孔部4fと、ボタン7とにより構成される。第2の孔部4fは、シールド4の上側の左右両端部にそれぞれ形成される。
【0028】
ボタン7は、
図6(c)に示すように、第1の孔部2fと第2の孔部4fを通す軸部7aと、軸部7aの両端部からそれぞれ軸部7aの太さ方向に拡がり、第1の孔部2fと第2の孔部4fが間に配置される一対の挟持部7b、7cとを備える。軸部7aは、例えば、挟持部7bから延びる円柱状の部分と、挟持部7cから延びる円筒状の部分とが嵌合するように構成することができる。
【0029】
使用者から遠い側に配置された挟持部7bは、軸部7aの中心軸線方向に円弧状に立ち上がったストッパー7dを有する。角度規定部6は、ストッパー7dと、シールド4の端部4gにより構成される。
【0030】
以上に説明した本第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様に、装着したまま飲食可能であって、飲食後はシールドが自動的に戻り、ウィルスの飛沫感染を防止することが可能な衛生マスクを提供することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 衛生マスク
2 ホールド
2a 孔部
2b、2c、2e 係止片部
2d ホールド本体
3 保持手段
4 シールド
4a 孔部
4b、4e 凸部
4c シールド本体
4d 孔部
5 結合部
6 角度規定部