(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168611
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】いびき及び/又は歯ぎしりの低減剤
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20221031BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20221031BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20221031BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221031BHJP
A61K 31/513 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
A23L33/10
A61P1/02
A61P11/00
A61P43/00
A61K31/513
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074199
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】515044263
【氏名又は名称】株式会社古川リサーチオフィス
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】古川 令
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
【Fターム(参考)】
4B018LE01
4B018MD08
4B018MD18
4B018ME14
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC43
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA67
4C086ZC80
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、優れたいびき及び/又は歯ぎしりの低減作用を有しながらも、不快感や違和感を生じることなく、日常生活に簡便に取り入れることができ、かつ、安全性に優れ、長期的に摂取可能な、いびき及び/又は歯ぎしりの低減剤を提供することにある。
【解決手段】オロット酸又はその塩を有効成分として含有する、いびき及び/又は歯ぎしりの低減剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オロット酸又はその塩を有効成分として含有する、いびき及び/又は歯ぎしりの低減剤。
【請求項2】
いびき及び/又は歯ぎしりの低減が、いびき及び/又は歯ぎしりの回数の低減である、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
いびき及び/又は歯ぎしりの低減が、いびき及び/又は歯ぎしりの時間の低減である、請求項1又は2に記載の剤。
【請求項4】
いびき及び/又は歯ぎしりの低減が、いびき及び/又は歯ぎしりの音量の低減である、請求項1~3のいずれかに記載の剤。
【請求項5】
食品又は医薬品である、請求項1~4のいずれかに記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オロット酸又はその塩を有効成分として含有する、いびき及び/又は歯ぎしりの低減剤に関する。
【背景技術】
【0002】
「いびき」は、睡眠中の上気道狭窄によってもたらされる狭窄音や振動音といった雑音である。いびきは、健康面のみならず、社会生活面においても重大な悪影響を及ぼすことがある。例えば、睡眠の質の低下により昼間の活動に支障をきたしたり、同居する他者の睡眠にまで支障をきたしたり、さらには羞恥心から他者との旅行を避けるようになったりすることがある。
【0003】
また、睡眠中に生じる雑音としては「歯ぎしり」も挙げられる。歯ぎしりは、ブラキシズムともいわれ、歯をこすり合わせる(グラインディング)、歯を噛みしめる(クレンチング)、歯を鳴らす(タッピング)といった種類が挙げられるが、一般的に歯ぎしりの音として認識されているのはこのうちグラインディングの音である。その不快な音により、歯ぎしりもいびきと同様に、健康面及び社会生活面において悪影響を及ぼすことがある。
【0004】
いびきの防止又は改善のための手段としては、鼻孔を広げたり口呼吸を止めたりするためのテープ、リング、及びマウスピース等や、睡眠時の姿勢を矯正するための寝具等が販売されている。また、いびきの原因となりうる鼻閉を改善するために、硝酸ナファゾリンや塩酸テトラヒドロゾリン等の血管収縮剤を含有する点鼻薬が使用されることもある。さらに、ユーカリ油、ハッカ油、ペパーミント油、オリーブ油、ヒマワリ油等の植物油成分を含有する組成物がいびき改善効果をもたらすこともあることが知られており(特許文献1及び2)、そのような組成物が食品として使用されている例もある。一方、歯ぎしりの防止又は改善のための手段としては、マウスピースの装着が一般的である。
【0005】
しかしながら、鼻や口に装着するテープ、リング、及びマウスピース等は、使用時に不快感や違和感を生じやすいことから、かえって睡眠の質の低下を招くおそれがある。睡眠時の姿勢を矯正するための寝具等についても、使用時に不快感や違和感を生じることがあるうえ、自身の体形に合ったものを選択することが困難であり生活に取り入れづらい場合もある。また、血管収縮剤を含有する点鼻薬は、過敏症、神経過敏、血圧上昇、刺激痛、乾燥感、悪心、心悸亢進等の副作用が報告されており、長期間連用することにより鼻粘膜の肥厚が生じるおそれもあることから、いびきという日常的な問題への対処法としては適していない。植物油成分を含有する組成物は、副作用に関する懸念は低い反面、そのいびきに対する効果は報告によって様々であり、個人差も大きいようである。
【0006】
オロット酸(オロト酸、ウラシル6-カルボン酸、オロチン酸、又はビタミンB13とも呼ばれる)は、ピリミジンヌクレオチド生合成系における主要中間物質であり、ジヒドロオロット酸からジヒドロオロット酸デヒドロゲナーゼによって誘導され、オロット酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(PRPP)によってオロチジル酸となる。オロチジル酸は、さらに速やかにウリジン一リン酸(UMP)に変換され、その後ウリジン三リン酸、シチジン三リン酸等のピリミジンヌクレオチドが合成される。
【0007】
近年、オロット酸の生理作用に関する研究が進められている。例えば、オロット酸が血中尿酸値低下作用を有すること(特許文献3)、オロット酸が持久力向上作用を有すること(特許文献4及び5)、オロット酸が酸素消費量及びエネルギー消費量を低減させる作用を有すること(特許文献5)等が報告されている。しかしながら、オロット酸のいびきや歯ぎしりに対する作用は知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8-333244号公報
【特許文献2】特開2013-121929号公報
【特許文献3】特開2011-98896号公報
【特許文献4】特開2011-136907号公報
【特許文献5】特開2012-246280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、いびき及び/又は歯ぎしりに対する優れた低減作用を有しながらも、不快感や違和感を生じることなく、日常生活に簡便に取り入れることができ、かつ、安全性に優れ、長期的に摂取可能な、いびき及び/又は歯ぎしりの低減剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、オロット酸がいびき及び/又は歯ぎしりの低減作用を有することを新規に見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、以下の事項により特定されるとおりのものである。
〔1〕オロット酸又はその塩を有効成分として含有する、いびき及び/又は歯ぎしりの低減剤。
〔2〕いびき及び/又は歯ぎしりの低減が、いびき及び/又は歯ぎしりの回数の低減である、上記〔1〕に記載の剤。
〔3〕いびき及び/又は歯ぎしりの低減が、いびき及び/又は歯ぎしりの時間の低減である、上記〔1〕又は〔2〕に記載の剤。
〔4〕いびき及び/又は歯ぎしりの低減が、いびき及び/又は歯ぎしりの音量の低減である、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の剤。
〔5〕食品又は医薬品である、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の剤。
【0012】
また、本発明の実施の他の態様として、以下のものを挙げることができる。
〔6〕いびき及び/又は歯ぎしりの低減剤を製造するための、オロット酸又はその塩の使用。
〔7〕いびき及び/又は歯ぎしりの低減における使用のための、オロット酸又はその塩。
〔8〕オロット酸又はその塩を、いびき及び/又は歯ぎしりの低減を必要とする対象者に投与することを含む、いびき及び/又は歯ぎしりの低減方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明のいびき及び/又は歯ぎしりの低減剤の有効成分であるオロット酸は、いびき及び/又は歯ぎしりの低減作用を有しながらも、副作用を及ぼさず安全性に優れ、かつ経口で簡便に摂取することができる成分である。摂取は就寝前のみで足り、不快感や違和感を生じることもない。そのため、本発明によれば、いびき及び/又は歯ぎしりの低減作用を有しながらも、不快感や違和感を生じることなく、日常生活に簡便に取り入れることができ、かつ、安全性に優れ、副作用なく長期的に摂取可能な、優れたいびき及び/又は歯ぎしりの低減剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例2において、アプリケーション「熟睡アラーム」で記録された音の波形グラフの例を示す図である。グラフの縦軸は振幅を表し、横軸は時間を表す。図中「A」は、本願発明者により実質的ないびきと認識された形状の波形の例を示し、図中「B」は、本願発明者により実質的な歯ぎしりと認識された形状の波形の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のいびき及び/又は歯ぎしりの低減剤は、オロット酸又はその塩を有効成分として含有する。
【0016】
本発明における「オロット酸」は、オロット酸のフリー体(無水物)の他、オロット酸一水和物等のオロット酸水和物、オロット酸の誘導体、それらの薬理学的に許容される塩のいずれをも含む。
【0017】
上記オロット酸の具体例としては、オロット酸フリー体一水和物(協和発酵バイオ社製、マツモト交商社製)、オロット酸無水物(協和発酵バイオ社製)、オロット酸一水和物(SIGMA-ALDRICH社製、和光純薬工業社製)等の市販品;ピリミジン要求性、ピリミジンアナログ耐性等の変異を導入した様々な微生物を用いた発酵法により、培養液中に生成蓄積させ(例えば、特許第2927882号公報参照)、上記培養物、オロット酸を含有するホエイ等から、通常の精製手段、例えば、沈澱法、イオン交換樹脂、活性炭等によるクロマトグラフィー法等の分離精製法を用いて精製、採取したもの等が挙げられる。
【0018】
本発明における「オロット酸の塩」としては、生理学的に許容される塩基等との塩であればよく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;亜鉛塩等の重金属塩;アンモニウム塩;塩基性アミノ酸、塩基性ペプチドとの塩等を挙げることができる。
【0019】
本発明の「いびき及び/又は歯ぎしりの低減剤」は、いびき及び/又は歯ぎしりを低減する作用を有する物質又は組成物である。すなわち、「いびき及び/又は歯ぎしりの低減に使用するため」という用途(使用目的)に利用することができる。
「いびき及び/又は歯ぎしり」とは、いびき及び歯ぎしりの両方であってもよく、いびき又は歯ぎしりのいずれか片方のみであってもよいことを意味する。
本発明における「いびき及び/又は歯ぎしりの低減」は、いびき及び/又は歯ぎしりの程度が、低減、軽減、減少、抑制、又は改善等することを意味する。いびき及び/又は歯ぎしりに関する一般的な悩みとしては、いびき及び/又は歯ぎしりの回数、時間、又は音量等が挙げられる。そのため、「いびき及び/又は歯ぎしりの低減」は、いびき及び/又は歯ぎしりの回数、時間、又は音量等によって判断することができる。
【0020】
本発明の「いびき及び/又は歯ぎしりの低減剤」としては、オロット酸又はその塩をそのまま使用することもできるし、本発明の効果を損なわない範囲内で、後述するように適宜他の成分を配合して食品や医薬品等として使用することもできる。
【0021】
本発明の「いびき及び/又は歯ぎしりの低減剤」の有効成分であるオロット酸又はその塩の配合量は、いびき及び/又は歯ぎしりの低減剤の種類や、投与により期待する効果の程度等に応じて適宜選択されるが、有効成分合計量が通常0.0001~100重量%、好ましくは0.001~70重量%、特に好ましくは0.01~50重量%である。
【0022】
本発明の「いびき及び/又は歯ぎしりの低減剤」は、「いびき及び/又は歯ぎしりの回数の低減」、「いびき及び/又は歯ぎしりの時間の低減」、又は「いびき及び/又は歯ぎしりの音量の低減」のために好適に使用することができる。
「いびき及び/又は歯ぎしりの回数」は、いびき及び/又は歯ぎしりの合計回数や、単位時間あたりのいびき及び/又は歯ぎしりの回数等により表すことができる。
「いびき及び/又は歯ぎしりの時間」は、いびき及び/又は歯ぎしりの合計時間や、単位時間あたりのいびき及び/又は歯ぎしりの時間等により表すことができる。
「いびき及び/又は歯ぎしりの音量」は、いびき及び/又は歯ぎしりの平均音量や最大音量(ピーク音量)等のほか、大音量として設定した一定の音量以上のいびき及び/又は歯ぎしりの時間(すなわち、大音量時間)等により表すことができる。本発明において音量は、一般的に騒音値を表す際に用いられるデシベル(dB)単位で表されることが好ましい。
「いびき及び/又は歯ぎしりの回数の低減」、「いびき及び/又は歯ぎしりの時間の低減」、及び「いびき及び/又は歯ぎしりの音量の低減」は公知の方法によって評価することができ、特に限定されないが、例えば、睡眠時無呼吸症候群検査装置や、いびき及び/又は歯ぎしりの評価機能を有するアプリケーションや、音量計等により評価することができる。
【0023】
さらに本発明によれば、本発明のいびき及び/又は歯ぎしりの低減剤を含む食品又は医薬品が提供される。
【0024】
本発明における「食品」は、オロット酸又はその塩を有効量含有する食品である。ここで「有効量含有する」とは、個々の食品において通常喫食される量を摂取した場合に、後述するような範囲で有効成分が摂取されるような量を含むことをいう。
【0025】
本発明における食品の形態は、飲料の形態であってもよい。本発明における食品の形状は、哺乳動物が摂取可能であり、かつ食用に適した形状であれば特に制限はないが、例えば、固形状、液状、半液体状、顆粒状、粒状、粉末状、カプセル状、クリーム状、ペースト状が挙げられる。
【0026】
本発明における食品には、オロット酸又はその塩を単独で配合してもよいが、通常は、各食品の形態に応じた他の成分とともに配合する。
【0027】
ここで、他の成分としては、本発明の効果を損なわない範囲のものであれば特に限定はされず、例えば、各種タンパク質、糖類、脂肪、微量元素、ビタミン類、クエン酸や酢酸等の有機酸塩等が挙げられる。また、本発明における食品は、その種類に応じて食品において許容され、通常使用される添加剤、例えば、アスパルテーム、ステビア等の甘味料、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等の酸味料、デキストリン、澱粉等の賦形剤のほか、着色料、香料、苦味料、緩衝剤、増粘安定剤、ゲル化剤、安定剤、ガムベース、結合剤、希釈剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、酸化防止剤、保存料、防腐剤、防かび剤、発色剤、漂白剤、光沢剤、酵素、調味料、香辛料抽出物等を適宜添加してもよい。
【0028】
本発明において「食品」とは、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、病者用食品を含む意味で用いられる。なかでも、いびき及び/又は歯ぎしりの低減機能を期待する消費者に適した食品、すなわち特定保健用食品として提供することが好適である。ここでいう「特定保健用食品」とは、いびき及び/又は歯ぎしりの低減を目的として食品の製造又は販売等を行う場合に、保健上の観点から法上の何らかの制限を受けることがある食品をいう。
【0029】
上記健康食品等は、通常の食品の形状であってもよいが、サプリメントの形状(錠剤、顆粒剤、細粒剤、タブレット、チュアブルタブレット、カプセル(軟カプセル、硬カプセル)等)であることが好ましい。
【0030】
本発明において、オロット酸又はその塩の配合の対象となる食品としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);飯類、麺類、パン類、及びパスタ類等の炭水化物含有飲食;クッキーやケーキ等の洋菓子類、饅頭や羊羹等の和菓子類、キャンディー類、ガム類、ヨーグルト、プリン、ゼリー等の冷菓や氷菓等の各種菓子類;かまぼこ、ちくわ、ハンバーグ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳、ヨーグルト、バター、チーズ等の乳製品;マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料等を例示することができるが、これらに限定されない。
【0031】
本発明のいびき及び/又は歯ぎしりの低減剤を食品の形態で提供する場合、有効成分であるオロット酸又はその塩の配合量は、そのいびき及び/又は歯ぎしりの低減作用が発揮できる量であればよいが、対象食品の一般的な摂取量を考慮して、通常、成人1日当たりの摂取量が、オロット酸又はその塩の合計として、1mg~10g、好ましくは5mg~5g、より好ましくは10mg~1gとなる量とすればよい。摂取は、通常、1日1回~数回であるが、1日1回就寝前に摂取することが好ましい。摂取期間は、特に限定されないが、通常は1日間以上であり、好ましくは1週間以上、より好ましくは1か月間以上、さらに好ましくは2か月間以上である。
【0032】
本発明における食品は、例えば、いびき及び/又は歯ぎしりの回数、時間、又は音量等が過剰な傾向にある人はもとより、正常人であっても、いびき及び/又は歯ぎしりの予防又は改善を目的として日常的に摂取することができる。
【0033】
また、本発明における「医薬品」は、オロット酸又はその塩を有効量含有する医薬品である。ここで「有効量含有する」とは、個々の医薬品において通常処方される量を摂取した場合に、後述するような範囲で有効成分が摂取されるような量を含むことをいう。
【0034】
本発明のいびき及び/又は歯ぎしりの低減剤を医薬品として提供する場合は、オロット酸又はその塩をそのままで、あるいは医薬上許容され、かつ剤型に応じて適宜選択した適当な添加剤(例えば担体、賦形剤、希釈剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤又は崩壊補助剤、可溶化剤、安定化剤、保存剤、防腐剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝剤等)を用いて、公知の種々の方法にて経口又は非経口的に全身又は局所投与することができる各種製剤形態に調製して提供することができる。
【0035】
本発明における医薬品は、経口又は非経口的に投与することができるが、好ましくは経口投与、さらに好ましくは口腔粘膜投与である。本発明における医薬品を経口投与する場合は、錠剤(糖衣錠を含む)、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、内用水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤等に製剤化するか、使用する際に再溶解させる乾燥生成物にしてもよい。また、本発明における医薬品を非経口投与する場合は、注射剤(例えば、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤)、点滴剤、坐剤(例えば、直腸坐剤、膣坐剤)等に製剤化し、注射用製剤の場合は単位投与量アンプル又は多投与量容器の状態で提供される。
【0036】
ここで、製剤は、例えば下記のようにして製造できる。経口剤は、有効成分に、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、デンプン、マンニトール)、崩壊剤(例えば、炭酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム)、結合剤(例えば、α化デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース)、滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール6000)を添加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のため自体公知の方法でコーティングすることにより製造することができる。コーティング剤としては、例えばエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート及びオイドラギット(ローム社製、ドイツ、メタアクリル酸・アクリル酸共重合物)等を用いることができる。
【0037】
製剤化に当たっては、本発明における有効成分以外の1種以上の有効成分をさらに配合してもよい。また本発明における有効成分の投与に当たっては、本発明における有効成分以外の1種又はそれ以上の医療上有効な有効成分を組み合わせて投与してもよい。
【0038】
本発明における医薬品は、いびき及び/又は歯ぎしりの予防用及び/又は治療用医薬品のほか、いびき及び/又は歯ぎしりの低減によって病態が改善される疾患の予防用及び/又は治療用医薬品として用いることができる。かかる疾患としては、例えば、生活習慣病(高血圧、糖尿病等)、不整脈、動脈硬化、心疾患、脳卒中、歯の摩耗、歯の動揺、知覚過敏、歯周組織の崩壊、顎関節の機能障害、咀嚼筋群の過緊張、慢性的な睡眠不足等が挙げられるが、これらに限定はされない。本発明における医薬品は上記疾患の発症を抑制する予防薬として、及び/又は、正常な状態に改善する治療薬として機能する。
【0039】
本発明における医薬品は、前述の疾患の予防用及び/又は治療用医薬品として用いる場合、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ等の哺乳動物に対して経口又は非経口的に安全に投与することができる。本発明における医薬品の投与量は、疾患の種類、投与対象の年齢、性別、体重、症状の程度、又は投与方法等に応じて適宜決定することができる。例えば、いびき及び/又は歯ぎしりの治療を必要とする患者に経口投与する場合には、成人1日当り、オロット酸又はその塩の合計として、通常は10mg~30g、好ましくは50mg~10g、より好ましくは100mg~3gとなるように1日1回~数回投与する。特に、1日1回就寝前に投与することが好ましい。投与期間は、特に限定されないが、通常は1日間~1年間であり、投与期間の下限は、好ましくは1週間以上、より好ましくは1か月間以上、さらに好ましくは2か月間以上である。
【実施例0040】
以下、実施例等により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらにより制限されない。
結果を表2に示す。1日目及び2日目(オロット酸非摂取日)の1時間あたりのいびき回数(39.1回及び75.0回)の平均値は57.05回であったのに対し、3日目及び4日目(オロット酸摂取日)の1時間あたりのいびき回数(36.1回及び29.2回)の平均値は32.65回であった。この結果から、オロット酸の摂取により睡眠時間1時間あたりのいびき回数が減少することが示唆された。