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特開2022-168642生体信号処理システムおよび生体信号計測システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168642
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】生体信号処理システムおよび生体信号計測システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20221031BHJP
   A61B 5/243 20210101ALI20221031BHJP
   A61B 5/318 20210101ALI20221031BHJP
【FI】
A61B5/00 C
A61B5/243
A61B5/318
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074247
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】栗栖 雅文
【テーマコード(参考)】
4C117
4C127
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XD24
4C117XE17
4C117XG22
4C127AA02
4C127AA10
4C127FF02
4C127GG01
4C127GG05
4C127GG11
4C127HH11
(57)【要約】
【課題】生体信号の特徴的な区間ごとに適切な処理が行われることを可能とすることができる生体信号処理システムを提供する。
【解決手段】時間的に複数の区間に分割される生体信号について、処理対象の時間的な位置が含まれる前記区間を特定する区間特定部と、前記区間特定部によって特定された前記区間に基づいて前記処理対象の時間的な位置の前記生体信号を処理する処理手法を選択する処理制御部と、前記処理制御部によって選択された前記処理手法で前記生体信号の処理を実行する処理実行部と、を備える生体信号処理システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間的に複数の区間に分割される生体信号について、処理対象の時間的な位置が含まれる前記区間を特定する区間特定部と、
前記区間特定部によって特定された前記区間に基づいて前記処理対象の時間的な位置の前記生体信号を処理する処理手法を選択する処理制御部と、
前記処理制御部によって選択された前記処理手法で前記生体信号の処理を実行する処理実行部と、
を備える生体信号処理システム。
【請求項2】
前記処理手法は、周波数フィルタの処理を行う周波数フィルタ手法、所定の演算の処理を行う演算手法、処理対象とする領域を抽出する領域抽出手法のうちの1以上を含む、
請求項1に記載の生体信号処理システム。
【請求項3】
前記区間特定部は、前記生体信号の期間を前記複数の前記区間に分割する区間分割部を備える、
請求項1または請求項2に記載の生体信号処理システム。
【請求項4】
前記区間分割部は、前記処理実行部によって実行された前記処理の結果に基づいて、前記区間の分割を行う、
請求項3に記載の生体信号処理システム。
【請求項5】
リアルタイムで取得された前記生体信号について周期を特定する周期特定部を備え、
前記区間特定部は、前記周期特定部によって特定された前記周期に基づいて、前記処理対象の時間的な位置を推定する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の生体信号処理システム。
【請求項6】
前記処理実行部によって実行された前記処理の結果に関する情報を表示する表示部と、
前記区間特定部によって特定された前記区間に基づいて、前記表示部による表示態様を制御する表示制御部と、
を備える、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の生体信号処理システム。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記処理制御部によって選択された前記処理手法に関する情報を前記表示部により表示するように前記表示態様を制御する、
請求項6に記載の生体信号処理システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の生体信号処理システムと、
前記生体信号を計測する生体信号計測装置と、
を備える生体信号計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体信号処理システムおよび生体信号計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生体信号を計測すること、および、計測された生体信号を処理することが行われている。
従前より、生体信号の処理に関する開発が為されていた。
【0003】
特許文献1に記載された技術では、生体磁場計測装置で得られた計測データの特徴を定量的にとらえることによって心疾患と思われる被検者を推定し、さらに当該被検者の計測データに基づき疾患の候補を推定することが行われている。これにより、当該技術では、医師の診断をサポートでき、疾患の見落しを防止し、また、診断時間の大幅短縮が可能な診断支援機能を備える生体磁場計測装置を提供することが図られている(特許文献1の段落0004を参照。)。当該技術では、例えば、被検者の生体から発せられる磁場が主に心臓から発せられる磁場である場合に、R波ピーク近傍の一定時間ごとの電流方向を含む特徴パラメータを算出することが行われている(特許文献1の請求項1および請求項3を参照。)。
【0004】
特許文献2に記載された技術では、生物医学的信号内にある複数の繰り返し信号特徴の各々を区間分けし、1つまたは複数の区間を分析して1つまたは複数の区間の形状を記述する複数のパラメータの値を見つけ出し、その値を記録し、生物医学的信号を通してその値の変化を追尾する方法が提案されている(特許文献2の請求項1を参照。)。当該技術では、例えば、1つまたは複数の波形の形状に基づいてテンプレートを定義することが行われている(特許文献2の請求項19を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-144406号公報
【特許文献2】特表2010-510851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来の技術では、生体信号の特徴的な区間ごとに処理を最適化する点については不十分な場合があった。
例えば、生体信号の一例である心磁図(MCG:Magnetocardiogram)信号の波形では、1回の心拍において、P波、QRS群、T波などのように区間ごとに振幅および周波数が異なる。このため、心磁図信号の波形の全区間で一括の処理が行われると、適切な処理が実現される区間と適切な処理が実現されない区間とが混在し、最適な結果とならない場合があった。
また、心電図(ECG:Electrocardiogram)信号などのように他の生体信号においても、同様な問題が発生する場合があった。
【0007】
本開示は、このような事情を考慮してなされたもので、生体信号の特徴的な区間ごとに適切な処理が行われることを可能とすることができる生体信号処理システムおよび生体信号計測システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様は、時間的に複数の区間に分割される生体信号について、処理対象の時間的な位置が含まれる前記区間を特定する区間特定部と、前記区間特定部によって特定された前記区間に基づいて前記処理対象の時間的な位置の前記生体信号を処理する処理手法を選択する処理制御部と、前記処理制御部によって選択された前記処理手法で前記生体信号の処理を実行する処理実行部と、を備える生体信号処理システムである。
【0009】
一態様は、生体信号処理システムと、前記生体信号を計測する生体信号計測装置と、を備える生体信号計測システムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、生体信号処理システムおよび生体信号計測システムにおいて、生体信号の特徴的な区間ごとに適切な処理が行われることを可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る生体信号処理システムを含む生体信号計測システムの概略的な構成を示す図である。
図2】実施形態に係る生体信号の一例である心磁図信号に対応する心電図信号を示す図である。
図3】実施形態に係る生体信号計測装置の計測部の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る電流推定演算結果の表示例を示す図である。
図5】実施形態に係る心磁図信号および心電図信号の表示例を示す図である。
図6】実施形態に係る周波数フィルタ手法a1の周波数フィルタ処理が全区間の生体信号に実行された結果の表示例を示す図である。
図7】実施形態に係る周波数フィルタ手法a2の周波数フィルタ処理が全区間の生体信号に実行された結果の表示例を示す図である。
図8】実施形態に係る周波数フィルタ手法a1の周波数フィルタ処理が区間B1の生体信号に実行された結果の表示例を示す図である。
図9】実施形態に係る周波数フィルタ手法a2の周波数フィルタ処理が区間B1の生体信号に実行された結果の表示例を示す図である。
図10】実施形態に係る周波数フィルタ手法a1の周波数フィルタ処理が区間B2の生体信号に実行された結果の表示例を示す図である。
図11】実施形態に係る周波数フィルタ手法a2の周波数フィルタ処理が区間B2の生体信号に実行された結果の表示例を示す図である。
図12】実施形態に係る生体信号に関して2つの異なる時刻の例を示す図である。
図13】実施形態に係る電流推定演算手法b1の演算処理が区間B1の生体信号に実行された結果の表示例を示す図である。
図14】実施形態に係る電流推定演算手法b2の演算処理が区間B1の生体信号に実行された結果の表示例を示す図である。
図15】実施形態に係る電流推定演算手法b1の演算処理が区間B2の生体信号に実行された結果の表示例を示す図である。
図16】実施形態に係る電流推定演算手法b2の演算処理が区間B2の生体信号に実行された結果の表示例を示す図である。
図17】実施形態に係る生体信号計測システムにおける生体信号処理システムにより行われる処理の手順の一例を示す図である。
図18】実施形態に係る生体信号計測システムにおける生体信号処理システムにより行われる処理の手順の他の一例を示す図である。
図19】実施形態の変形例に係る生体信号計測装置の計測部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本開示の実施形態について説明する。
【0013】
[生体信号計測システム]
図1は、実施形態に係る生体信号処理システム12を含む生体信号計測システム1の概略的な構成を示す図である。
生体信号計測システム1は、生体信号計測装置11と、生体信号処理システム12と、を備える。
本実施形態では、生体信号計測装置11と生体信号処理システム12とは別体である構成例を示すが、他の構成例として、生体信号処理システム12は生体信号計測装置11を含んでもよい。
【0014】
<生体信号計測装置>
生体信号計測装置11は、生体信号を計測する。
本実施形態では、生体信号計測装置11は、心磁計を備えており、当該心磁計によって、人間の肩から胴までの辺りの部分(本実施形態では、説明の便宜上、上半身部と呼ぶ。)について、正面(腹がある面)の生体磁場を計測し、その計測信号である心磁図信号を生体信号として検出する。生体信号計測装置11は、当該心磁計によって、正面以外に、側面(両側の脇の面)、あるいは、背面(背中がある面)などの生体磁場を計測してもよい。
なお、本実施形態の例に限られず、生体信号計測装置11は、心磁計によって、任意の箇所の計測を行ってもよい。
【0015】
また、生体信号計測装置11は、同じ人間について、同時に、複数の箇所の計測を行ってもよい。本実施形態では、このような複数の計測系統のそれぞれをチャネルと呼んで説明する。
例えば、生体信号計測装置11では、それぞれのチャネルごとに計測を行うセンサを備え、これら複数のチャネルのセンサにより、一度の計測で、複数のチャネルの計測結果が得られる。
【0016】
ここで、生体信号計測装置11は、心磁計以外の任意の計測器を備えてもよく、本実施形態に係る心磁図信号の代わりに、当該計測器によって任意の生体信号を計測してもよい。
例えば、生体信号計測装置11は、心電計を備えて、当該心電計によって、人間の心電図信号を生体信号として計測してもよい。
また、例えば、生体信号計測装置11は、同じ人間について、同時に、心磁図信号および心電図信号を計測してもよい。
【0017】
生体信号計測装置11によって計測された生体信号(本実施形態では、心磁図信号)は、生体信号処理システム12に入力される。
ここで、当該生体信号は、任意の手法により、生体信号処理システム12に入力されてもよい。具体例として、当該生体信号は、生体信号計測装置11から生体信号処理システム12に有線または無線で通信により伝送されてもよく、あるいは、当該生体信号は、生体信号計測装置11から出力されて可搬型の記憶装置に記憶されて、当該記憶装置が運ばれて、当該記憶装置から生体信号処理システム12に入力されてもよい。当該記憶装置は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリなどであってもよい。
【0018】
また、生体信号計測装置11から出力されて生体信号処理システム12に入力される生体信号は、例えば、計測された生の信号であってもよく、あるいは、計測された生の信号に所定の処理が施された信号であってもよい。
また、当該生体信号は、アナログ信号であってもよく、あるいは、デジタル信号であってもよい。本実施形態では、生体信号処理システム12により処理される生体信号は、生体信号計測装置11または生体信号処理システム12によりデジタル信号(デジタルのデータ)とされて、生体信号処理システム12により処理される構成例を示すが、他の構成例として、生体信号がアナログ信号として生体信号処理システム12により処理される構成が用いられてもよい。
【0019】
なお、心磁計による計測については、センサの配置によって三次元の磁場分布を得ること、3軸方向のベクトル量の磁場分布を得ること、あるいは、磁場データから電流源の再構成(三次元分布推定)を行うことなどが研究されている。このため、心磁計による計測では、心電図の場合と比べて三次元に分布した多様な情報が得られることが期待されており、空間上に分布した情報をより視認し方法で表示する技術が必要とされている。
本実施形態では、このような要求に対応することも可能である。
【0020】
<生体信号処理システム>
生体信号処理システム12は、入力部111と、出力部112と、記憶部113と、制御部114と、を備える。
入力部111は、生体信号取得部131を備える。
出力部112は、表示部141を備える。
制御部114は、区間特定部151と、生体信号処理部152と、表示制御部153と、を備える。
区間特定部151は、区間分割部171と、周期特定部172と、を備える。
生体信号処理部152は、処理制御部191と、処理実行部192と、を備える。
【0021】
入力部111は、外部からの入力を行う。
本実施形態では、入力部111は、生体信号計測装置11から出力された生体信号を入力する。具体例として、入力部111は、生体信号計測装置11から送信される生体信号を受信することで当該生体信号を入力してもよく、あるいは、可搬型の記憶装置に記憶された生体信号を当該記憶装置から入力してもよい。
また、入力部111は、例えば、ユーザによって操作される操作部を有していてもよく、当該操作部に対してユーザによって行われた操作の内容に応じた情報を入力してもよい。
【0022】
生体信号取得部131は、入力部111によって入力された生体信号を取得する。
生体信号取得部131は、取得した生体信号を記憶部113に記憶してもよい。
ここで、入力部111により入力される生体信号がアナログ信号である場合、例えば、生体信号取得部131は、A/D(Analog to Digital)変換機能を備えて、当該生体信号をアナログ信号からデジタル信号へ変換してもよい。
また、生体信号処理システム12がリアルタイムの処理に適用される場合には、生体信号取得部131は、リアルタイムで生体信号を取得する。なお、生体信号処理システム12がリアルタイムの処理に適用されない場合においても、生体信号取得部131はリアルタイムで生体信号を取得してもよい。
【0023】
出力部112は、外部への出力を行う。
表示部141は、生体信号の処理結果に関する情報を表示出力する。
表示部141は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などの画面を有しており、生体信号の処理結果に関する情報を当該画面に表示出力する。他の構成例として、表示部141は、生体信号の処理結果に関する情報を用紙に印刷出力してもよい。
なお、出力部112は、音声出力などのように、他の態様で出力を行う機能を有していてもよい。
【0024】
記憶部113は、例えば、メモリなどの記憶装置を有しており、情報を記憶する。
記憶部113は、例えば、入力された生体信号、および、当該生体信号の処理結果などの情報を記憶する。
また、記憶部113は、例えば、制御プログラムなどの情報を記憶する。
【0025】
制御部114は、生体信号処理システム12における各種の処理あるいは制御を行う。
本実施形態では、制御部114は、CPU(Central Processing
Unit)などのプロセッサーを有しており、当該プロセッサーが記憶部113に記憶された制御プログラムを実行することで、各種の処理あるいは制御を行う。
なお、プロセッサーは、各種の演算を行う演算装置を備える。
【0026】
<<区間の特定>>
区間特定部151は、生体信号における区間を特定する。本実施形態では、当該区間は、時間的な区間である。
区間分割部171は、生体信号の期間を複数の区間に分割する機能を有している。区間分割部171により生体信号の期間を複数の区間に分割する手法としては、任意の手法が用いられてもよい。
周期特定部172は、生体信号の周期を特定する機能を有している。周期特定部172により生体信号の周期を特定する手法としては、任意の手法が用いられてもよい。
【0027】
ここで、区間特定部151により生体信号における区間を特定する手法は、任意であってもよい。
また、区間特定部151は、生体信号における区間を特定する際に、区間分割部171の機能と周期特定部172の機能との一方または両方を使用してもよい。
なお、区間特定部151は、区間分割部171の機能と周期特定部172の機能との一方または両方を使用せずに生体信号における区間を特定してもよく、この場合、使用されない機能部(ここでは、区間分割部171と周期特定部172との一方または両方)は、区間特定部151に備えられなくてもよい。
【0028】
一例として、区間特定部151は、生体信号についてあらかじめ設定されている複数の区間のうちで所定の区間を特定してもよい。この場合、区間分割部171および周期特定部172は、区間特定部151に備えられなくてもよい。
他の例として、区間特定部151は、区間分割部171により生体信号の期間を複数の区間に分割し、分割した複数の区間のうちで所定の区間を特定してもよい。この場合、周期特定部172は、区間特定部151に備えられなくてもよい。
他の例として、区間特定部151は、周期特定部172により生体信号の周期を特定し、特定された周期に基づいて、生体信号における所定の区間を特定してもよい。この場合、区間分割部171は、区間特定部151に備えられなくてもよい。
他の例として、区間特定部151は、周期特定部172により生体信号の周期を特定し、区間分割部171により生体信号の期間を複数の区間に分割し、分割した複数の区間のうちで所定の区間を特定してもよい。
【0029】
具体例として、区間分割部171は、読み込んだ生体信号の特徴量を検出し、検出した特徴量に基づいて区間の分割を行ってもよい。当該特徴量は、任意の特徴量であってもよく、生体信号の波形の特徴量であってもよい。
例えば、区間分割部171は、読み込んだ生体信号のピークを検出し、検出したピークに基づいて区間の分割を行ってもよい。この場合、一例として、計測対象の生体信号においてピークが出現するパターンがあらかじめ記憶部113に記憶されており、区間分割部171は、当該パターンと、計測結果(生体信号)から検出したピークに基づいて、区間の分割を行ってもよい。
【0030】
具体例として、区間分割部171は、ユーザの操作により指定されたとおりに、区間の分割を行ってもよい。
具体例として、区間分割部171は、動的に(リアルタイムに)生体信号の処理を行って、区間の分割を行ってもよい。この場合、一例として、生体信号の振幅の変化などのような動的な特徴量に関するモデルがあらかじめ記憶部113に記憶されており、区間分割部171は、当該モデルと、計測結果(生体信号)から検出した動的な特徴量に基づいて、区間の分割を行ってもよい。
具体例として、区間特定部151は、動的に(リアルタイムに)取得された生体信号について周期特定部172により周期を特定し、特定された周期に基づいて、処理対象の時間的な位置を推定してもよい。
【0031】
区間特定部151は、例えば、生体信号における過去の時間帯における区間に基づいて、当該生体信号における未来(当該過去と比べて未来)の時間帯における区間の分割あるいは区間の特定を行ってもよい。本実施形態では、生体信号は同様な特性を有する周期的な波形が繰り返される信号であり、ある時間帯における周期(または、区間)をそれよりも過去の時間帯における周期(または、区間)から推測することが可能である。例えば、区間特定部151は、1周期前の生体信号の周期(または、区間)に基づいて、生体信号の次の周期(または、次の周期における区間)を特定してもよい。
【0032】
この場合に、区間特定部151は、生体信号の周期が次第に短くなっていることを判定した場合、次の周期として、前回の周期よりも短い周期を推定してもよい。このような場合として、例えば、計測対象の人間の心拍の周期が次第に短くなっている場合がある。
一方、区間特定部151は、生体信号の周期が次第に長くなっていることを判定した場合、次の周期として、前回の周期よりも長い周期を推定してもよい。このような場合として、例えば、計測対象の人間の心拍の周期が次第に長くなっている場合がある。
【0033】
また、例えば、所定の複数回のうちに1回、比較的短い周期または比較的長い周期となるパターンが、あらかじめ設定されている場合、あるいは、判定された場合に、区間特定部151は、当該パターンに基づいて周期(または、区間)を推定してもよい。
【0034】
なお、周期特定部172は、例えば、サンプリング数を用いて周期を特定してもよく、あるいは、生体信号のデータ(生体データ)に基づいて検出したピークの間隔に基づいて周期を特定してもよい。本実施形態では、周期特定部172は、例えば、生体信号の代わりに、当該生体信号の解析結果に基づいて、周期を特定してもよい。
【0035】
区間特定部151は、周期特定部172によって特定された周期に基づいて、当該周期のなかで、処理対象の情報(生体信号に関する情報)が位置する時刻を推定してもよい。当該時刻は、周期のなかの位置を特定することができればよく、必ずしも絶対的な時刻でなくてもよい。つまり、区間特定部151は、処理対象の情報(生体信号に関する情報)が、1周期のなかで時間的にいずれの位置の情報に該当するか(つまり、いずれの位置の生体信号に基づく情報であるか)を推定してもよい。
【0036】
本実施形態では、区間特定部151が、主な処理対象となる生体信号(本実施形態では、心磁図信号)に基づいて区間を特定し、そして、生体信号処理部152が、当該生体信号(本実施形態では、心磁図信号)の処理を行う構成を示すが、他の構成例として、区間特定部151が、主な処理対象となる生体信号(本実施形態では、心磁図信号)に関連する他の生体信号(例えば、主な処理対象となる生体信号と同時に計測された心電図信号)に基づいて区間を特定し、そして、生体信号処理部152が、主な処理対象となる生体信号(本実施形態では、心磁図信号)の処理を行う構成が用いられてもよい。
【0037】
<<生体信号の処理>>
生体信号処理部152は、生体信号の処理を行う。
処理実行部192は、生体信号の処理を実行する。本実施形態では、処理実行部192は、同一の種類の処理に関して、複数の異なる処理手法を切り替えて、生体信号の処理を実行する機能を有している。
処理制御部191は、処理実行部192による処理の実行を制御する。本実施形態では、処理制御部191は、区間特定部151により特定された区間に基づいて処理手法を選択し、選択した処理手法で処理実行部192が生体信号の処理を実行するように処理実行部192を制御する。例えば、処理制御部191は、少なくとも1つの区間について、他の区間と比べて、異なる処理手法を選択する。
【0038】
ここで、本実施形態では、同一の種類の処理として、周波数フィルタの処理、電流推定演算の処理、領域抽出の処理といった3種類の処理を例示する。
そして、それぞれの種類の処理に関する複数の異なる処理手法として、複数の異なる周波数フィルタ手法、複数の異なる電流推定演算手法、複数の異なる領域抽出手法を例示する。なお、周波数フィルタ手法、電流推定演算手法、領域抽出手法といった名称は、説明の便宜上のものであり、これらの名称に限定されない。
【0039】
<<生体信号の処理:周波数フィルタ手法>>
周波数フィルタ手法は、生体信号に所定の周波数フィルタの処理を適用する手法である。複数の異なる周波数フィルタ手法は、それぞれ、異なる特性を有する周波数フィルタの処理を生体信号に適用する手法である。
複数の異なる周波数フィルタ手法の数は、2以上の任意の値であってもよい。
【0040】
複数の区間のそれぞれと、複数の周波数フィルタ手法のそれぞれとの対応関係は、あらかじめ固定的に設定されていてもよく、あるいは、可変であってもよい。当該対応関係が可変である場合、例えば、当該対応関係の初期内容があらかじめ設定されていてもよく、あるいは、初期的には当該対応関係が設定されていなくてもよい。
当該対応関係が可変である場合、当該対応関係は、例えば、あらかじめ定められた規則にしたがって制御部114(例えば、処理制御部191)により自動的に決定されて設定(更新設定を含む。)されてもよく、または、ユーザの操作により任意に設定(更新設定を含む。)されてもよく、あるいは、これら両方により設定されてもよい。当該規則は、制御プログラムまたはそのパラメータに記述されてもよい。
2つ以上の異なる区間に同一の周波数フィルタ手法が対応付けられる場合があってもよい。
【0041】
例えば、周波数フィルタ手法に関して、生体信号の種類(本実施形態では、心磁図信号)と区間が定まると、当該区間に適した周波数フィルタの処理が特定(または、推定)される場合には、このような周波数フィルタの処理の適用があらかじめ固定的に設定されてもよいが、ユーザの好みなどに応じて、適用される周波数フィルタの処理を任意に変更することが可能であってもよい。また、実際の計測信号(生体信号)における該当する区間の信号成分の特徴(例えば、周波数、振幅などのうちの1以上)に基づく規則にしたがって、制御部114(例えば、処理制御部191)により自動的に、適用される周波数フィルタの処理を決定してもよい。
【0042】
それぞれの区間の周波数フィルタ手法としては、例えば、それぞれの区間において注目される信号成分の周波数領域を通過させ、かつ、他の信号成分の周波数領域(特に、振幅が大きい信号成分の周波数領域)を除去(例えば、低減)するようなフィルタ特性を有する周波数フィルタの処理が適用される。
【0043】
<<生体信号の処理:電流推定演算手法>>
電流推定演算手法は、生体信号に基づく電流を推定するために所定の演算処理を生体信号に適用する手法である。複数の異なる電流推定演算手法は、それぞれ、異なる演算処理を生体信号に適用する手法である。本実施形態では、生体信号は心磁図信号であり、これらの演算手法として、心磁図から信号源を推定する逆問題を解く空間フィルタ法が用いられる。
複数の異なる電流推定演算手法の数は、2以上の任意の値であってもよい。
なお、演算手法としては、電流推定演算手法の代わりに、他の演算の手法が用いられてもよい。
【0044】
複数の区間のそれぞれと、複数の電流推定演算手法のそれぞれとの対応関係は、あらかじめ固定的に設定されていてもよく、あるいは、可変であってもよい。当該対応関係が可変である場合、例えば、当該対応関係の初期内容があらかじめ設定されていてもよく、あるいは、初期的には当該対応関係が設定されていなくてもよい。
当該対応関係が可変である場合、当該対応関係は、例えば、あらかじめ定められた規則にしたがって制御部114(例えば、処理制御部191)により自動的に決定されて設定(更新設定を含む。)されてもよく、または、ユーザの操作により任意に設定(更新設定を含む。)されてもよく、あるいは、これら両方により設定されてもよい。当該規則は、制御プログラムまたはそのパラメータに記述されてもよい。
2つ以上の異なる区間に同一の電流推定演算手法が対応付けられる場合があってもよい。
【0045】
例えば、電流推定演算手法に関して、生体信号の種類(本実施形態では、心磁図信号)と区間が定まると、当該区間に適した演算処理が特定(または、推定)される場合には、このような演算処理の適用があらかじめ固定的に設定されてもよいが、ユーザの好みなどに応じて、適用される演算処理を任意に変更することが可能であってもよい。また、実際の計測信号(生体信号)における該当する区間の信号成分の特徴(例えば、周波数、振幅などのうちの1以上)に基づく規則にしたがって、制御部114(例えば、処理制御部191)により自動的に、適用される演算処理を決定してもよい。
【0046】
<<生体信号の処理:領域抽出手法>>
領域抽出手法は、生体(本実施形態では、人間)において処理対象とする所定の領域の生体信号を抽出する領域抽出処理を生体信号に適用する手法である。複数の異なる領域抽出手法は、それぞれ、異なる領域抽出処理を生体信号に適用する手法である。本実施形態では、複数の異なる領域抽出手法は、それぞれ、複数のチャネルの計測結果(生体信号)のうちで処理対象とするチャネルが異なる手法である。それぞれの領域抽出手法によって処理対象とされるチャネルの数は、1以上の任意の値であってもよい。
複数の異なる領域抽出手法の数は、2以上の任意の値であってもよい。
【0047】
複数の区間のそれぞれと、複数の領域抽出手法のそれぞれとの対応関係は、あらかじめ固定的に設定されていてもよく、あるいは、可変であってもよい。当該対応関係が可変である場合、例えば、当該対応関係の初期内容があらかじめ設定されていてもよく、あるいは、初期的には当該対応関係が設定されていなくてもよい。
当該対応関係が可変である場合、当該対応関係は、例えば、あらかじめ定められた規則にしたがって制御部114(例えば、処理制御部191)により自動的に決定されて設定(更新設定を含む。)されてもよく、または、ユーザの操作により任意に設定(更新設定を含む。)されてもよく、あるいは、これら両方により設定されてもよい。当該規則は、制御プログラムまたはそのパラメータに記述されてもよい。
2つ以上の異なる区間に同一の領域抽出手法が対応付けられる場合があってもよい。
【0048】
例えば、領域抽出手法に関して、生体信号の種類(本実施形態では、心磁図信号)と区間が定まると、当該区間に適した領域抽出処理が特定(または、推定)される場合には、このような領域抽出処理の適用があらかじめ固定的に設定されてもよいが、ユーザの好みなどに応じて、適用される領域抽出処理を任意に変更することが可能であってもよい。また、実際の計測信号(生体信号)における該当する区間の信号成分の特徴(例えば、周波数、振幅などのうちの1以上)に基づく規則にしたがって、制御部114(例えば、処理制御部191)により自動的に、適用される領域抽出処理を決定してもよい。
【0049】
<<生体信号の処理:全体的な処理手法の選択>>
本実施形態では、処理制御部191は、区間特定部151により特定された区間に基づいて、1つの領域抽出手法、1つの周波数フィルタ手法、1つの電流推定演算手法を選択する。
一例として、処理実行部192は、処理制御部191により選択された領域抽出手法によって処理対象とされるチャネルの計測結果(生体信号)について、処理制御部191により選択された周波数フィルタ手法によって適用される周波数フィルタの処理を実行し、その後、周波数フィルタの処理が実行された生体信号について、処理制御部191により選択された電流推定演算手法によって適用される演算処理を実行する。
【0050】
他の例として、処理実行部192は、まず、すべてのチャネルの計測結果(生体信号)について、処理制御部191により選択された周波数フィルタ手法によって適用される周波数フィルタの処理を実行してもよい。その後、処理実行部192は、周波数フィルタの処理が実行されたすべてのチャネルの生体信号のうち、処理制御部191により選択された領域抽出手法によって処理対象とされるチャネルについて、処理制御部191により選択された電流推定演算手法によって適用される演算処理を実行する。
【0051】
本実施形態では、処理手法として、複数の異なる周波数フィルタ手法、複数の異なる電流推定演算手法、複数の異なる領域抽出手法といった3種類の処理手法のそれぞれが選択可能である場合を示すが、他の構成例として、周波数フィルタ手法と電流推定演算手法と領域抽出手法とのうちの任意の1種類の処理手法が選択可能である構成が用いられてもよく、あるいは、任意の二つの処理手法が選択可能である構成が用いられてもよい。
なお、処理手法として、4種類以上の処理手法が選択可能である構成が用いられてもよい。
また、選択可能な処理手法としては、本実施形態における処理手法(周波数フィルタ手法、電流推定演算手法、領域抽出手法)に限られず、任意の処理手法が用いられてもよい。
【0052】
なお、本実施形態では、区間特定部151により特定された区間に基づいて、少なくとも1種類の処理手法を切り替えることが行われる場合を示すが、生体信号処理部152(処理制御部191、処理実行部192)は、さらに、生体信号の区間と無関係に、すべての区間について同一の処理手法で生体信号の処理を行う機能を有していてもよい。
【0053】
<<生体信号の処理:区間特定へのフィードバック>>
区間特定部151は、生体信号における区間を特定する際に、生体信号処理部152によって行われた信号処理の結果を参照してもよい。当該信号処理の結果としては、例えば、周波数フィルタ手法の処理が行われた結果が用いられてもよく、または、周波数フィルタ手法の処理の後に電流推定演算手法の演算処理が行われた結果が用いられてもよく、あるいは、これらの両方が用いられてもよい。生体信号処理部152によって行われた信号処理の結果では、当該信号処理が行われる前よりも生体信号の特徴(例えば、それぞれの区間のピークなどの特徴)が強く現れる場合があり、生体信号における区間の特定に有用な場合がある。
【0054】
このように、区間特定部151は、生体信号に所定の処理が行われた結果に基づいて、区間の特定を行ってもよい。当該所定の処理は、生体信号処理部152によって行われる処理の全部または一部であってもよい。
例えば、区間特定部151は、生体信号のノイズの検出結果に基づいて、区間の特定を行ってもよい。
具体例として、区間分割部171は、生体信号のノイズの検出結果に基づいて、区間の分割を行ってもよい。
具体例として、周期特定部172は、生体信号のノイズの検出結果に基づいて、周期の特定を行ってもよい。
具体例として、区間特定部151は、生体信号のノイズの検出結果に基づいて、処理対象の時間的な位置を推定してもよい。
これらの場合、制御部114は、生体信号に含まれるノイズを検出するノイズ検出部の機能を備える。当該機能は、例えば、生体信号処理部152に備えられていてもよい。当該ノイズの検出結果は、例えば、当該ノイズのレベル、あるいは、波形などであってもよい。当該ノイズは、例えば、ホワイトノイズであってもよい。
【0055】
区間特定部151は、ノイズの検出結果に基づいて、区間(例えば、あらかじめ定められた区間、または、分割された区間)を調整してもよい。
具体例として、区間特定部151は、ある区間におけるノイズに関する値が所定値以上となる条件(または、所定値を超える条件)を満たす場合には、当該区間の両端(時刻が最も小さい点の境界と、時刻が最も大きい点の境界)のうちの一方または両方を狭める調整を行ってもよい。
また、具体例として、区間特定部151は、ある区間におけるノイズに関する値が所定値未満となる条件(または、所定値以下となる条件)を満たす場合には、当該区間の両端(時刻が最も小さい点の境界と、時刻が最も大きい点の境界)のうちの一方または両方を拡げる調整を行ってもよい。
ここで、ノイズに関する値としては、例えば、ノイズのレベルが用いられてもよく、あるいは、ノイズが載っている生体信号(本例では、生体信号)のレベルに対するノイズのレベルの比が用いられてもよい。
【0056】
図1には、生体信号処理部152から区間特定部151へのフィードバックを模式的に表す矢印FB1を示してある。
なお、生体信号処理部152から区間特定部151へのフィードバックは、必ずしも行われなくてもよい。
【0057】
<<生体信号の処理:処理が不要である区間>>
また、生体信号処理部152は、処理が不要である区間の生体信号については、周波数フィルタリングの処理および電流推定演算手法の演算処理を行わなくてもよく、あるいは、当該区間の生体信号を除去するフィルタ特性を有する周波数フィルタリングの処理によって当該区間の生体信号を除去してもよく、または、当該区間の生体信号を単に削除して一定レベル(例えば、ゼロレベルなど)の信号としてもよい。
なお、処理が不要である区間は、例えば、あらかじめ設定されてもよく、あるいは、ユーザの操作により設定されてもよい。
他の例として、生体信号処理部152は、着目される1つ以上の区間以外の区間については、処理が不要である区間であると判定してもよい。着目される区間は、例えば、あらかじめ設定されてもよく、あるいは、ユーザの操作により設定されてもよい。
【0058】
<<表示の制御>>
表示制御部153は、生体信号に関する情報を表示部141により表示する場合に、表示態様を制御する。本実施形態では、表示制御部153は、区間特定部151により特定された区間に応じて、それぞれの区間の生体信号に関する情報の表示態様を制御する。この場合に、表示制御部153は、例えば、生体信号処理部152において選択された処理手法(つまり、それぞれの区間に対応付けられた処理手法)に応じて、当該処理手法で処理が実行された結果の表示態様を制御してもよい。
生体信号に関する情報としては、例えば、生体信号(それ自体)の情報、または、生体信号に所定の処理が行われた結果の情報が用いられてもよい。当該所定の処理は、周波数フィルタの処理であってもよく、あるいは、周波数フィルタの処理および電流推定演算手法の演算処理の両方であってもよい。
【0059】
例えば、表示制御部153は、生体信号に関する情報を表示する場合に、当該情報が複数の区間にわたるときには、これら複数の区間のうちの1つ以上の区間について、区間の範囲を示す情報を表示するように制御してもよい。区間の範囲は、例えば、当該範囲の全体を示す線または記号などの情報によって表示されてもよく、区間ごとに異なる色を用いて表示されてもよく、あるいは、隣接する他の区間との区切り目を示す境界線の情報によって表示されてもよい。
この際、表示制御部153は、隣接する2つの区間で処理手法が異なる場合に、これら2つの区間のうちの一方の区間の情報(例えば、波形など)と他方の区間の情報(例えば、波形など)との一方または両方を調整(補正)して、これら2つの区間の境界においてこれらの情報が滑らかに接続されるように制御してもよい。
【0060】
表示制御部153は、時系列の情報を表示する場合に、区間ごとの範囲で、表示対象とする時間的な範囲を切り替えてもよい。例えば、表示制御部153は、生体信号に関する情報を表示する場合に、複数の区間のそれぞれごとに異なる画面表示で当該情報を表示するように制御してもよい。一例として、表示制御部153は、特定の1つの区間の情報のみを画面に表示するように制御し、表示対象とする当該区間を切り替えることで画面表示を切り替えてもよい。
【0061】
例えば、表示制御部153は、それぞれの区間ごとに、それぞれの区間に関する情報を表示するように制御してもよい。それぞれの区間に関する情報としては、特に限定は無く、例えば、区間を識別する情報、あるいは、区間ごとに適用された処理手法を識別する情報などのうちの1以上を含んでもよい。
ここで、区間を識別する情報は、それぞれの区間の名称、番号、またはマークなどであってもよい。
【0062】
また、本実施形態では、処理手法を識別する情報は、周波数フィルタ手法を識別する情報、電流推定演算手法を識別する情報、および、領域抽出手法を識別する情報のうちの任意の1つ、または任意の2つ、あるいは3つ(全部)であってもよい。これらの処理手法を識別する情報は、それぞれの処理手法の名称、番号、またはマークなどであってもよく、あるいは、それぞれの処理手法の特性を示す情報であってもよい。
一例として、周波数フィルタ手法の特性としては、フィルタ特性を表す周波数が用いられてもよく、例えば、ハイパスフィルタ(HPF)またはローパスフィルタ(LPF)が適用される場合にカットオフ周波数が用いられてもよい。
【0063】
表示制御部153は、生体(本実施形態では、人体)の領域と対応付けて情報を表示する場合に、区間ごとに、表示対象とする領域を切り替えてもよい。
例えば、表示制御部153は、二次元表示(平面的な表示)または三次元表示(立体的に見える表示)により、生体(本実施形態では、人体)の領域と対応付けて情報を表示する場合に、それぞれの区間ごとに、それぞれの区間に対応する領域抽出手法により抽出された領域の情報に着目した表示態様で当該情報を表示するように制御してもよい。当該領域の情報に着目した表示態様としては、例えば、当該領域を切り出して当該情報を表示する表示態様、あるいは、当該領域を拡大して当該情報を表示する表示態様などが用いられてもよい。
【0064】
ここで、複数の区間について、それぞれの区間と、区間の名称、区間ごとに適用される処理手法(本実施形態では、周波数フィルタ手法、電流推定演算手法、領域抽出手法)などとの対応付けが、区間情報として、記憶部113に記憶されていてもよい。この場合、表示制御部153は、当該区間情報に基づいて、表示態様を制御してもよい。
【0065】
<<制御部に関する構成例>>
なお、区間特定部151(区間分割部171、周期特定部172)、生体信号処理部152(処理制御部191、処理実行部192)、および、表示制御部153は、制御部114が有する機能を説明するために例示した機能部であり、本実施形態に限定されず、制御部114は任意の機能を有していてもよい。
【0066】
また、図1の例では、生体信号処理システム12が各機能部(入力部111、出力部112、記憶部113、制御部114)を含む構成例を示したが、これら複数の機能部は、一体の装置として構成されてもよく、あるいは、2つ以上の別体の装置に分散されて構成されてもよい。
また、図1に示される生体信号処理システム12の機能部(入力部111、出力部112、記憶部113、制御部114)の構成は、一例であり、本実施形態に限定されず、生体信号処理システム12は任意の機能部を有していてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、生体信号の時間的な位置(時間的な軸の値)を時刻として説明するが、時刻の代わりに、サンプリングの番号などが用いられてもよい。例えば、一定の時間間隔のサンプリングでは、サンプリングの番号の進みと時刻の進みとが比例する。
なお、時刻あるいはサンプリングの番号などとしては、例えば、絶対的な値が用いられてもよく、あるいは、相対的な値が用いられてもよい。例えば、本実施形態では、生体信号の区間の特定が可能であれば、時間的な軸の値としては任意の値が用いられてもよい。
【0068】
[生体信号の例]
ここで、本実施形態において処理対象となる生体信号である心磁図信号について説明する。
ただし、心磁図信号の波形は、心臓波形のスタンダードである心電図信号の波形に類似し、心電図信号の波形と同様とみなすことが可能であるため、ここでは、図2を参照して、心電図信号を例として説明する。そして、本実施形態では、説明を簡易化するために、図2に示される心電図信号の波形の特徴が心磁図信号にも当てはまるとして説明する。
【0069】
図2は、実施形態に係る生体信号の一例である心磁図信号に対応する心電図信号を示す図である。なお、図2に示される心電図信号は、説明の便宜上の模式図である。
図2には、心電図信号である生体信号201を示してある。
【0070】
図2に示されるグラフにおいて、横軸は時刻(時間)を表しており、縦軸は信号のレベル(図2の例では、振幅)を表している。
当該グラフに、生体信号201を示してある。
【0071】
当該グラフの横軸には、時刻が進む方向にしたがって、時刻t1~時刻t10を示してある。図2の例では、これらの時刻t1~t10は、必ずしも等間隔ではない。
本実施形態では、生体信号201は周期的な波形を有している。
なお、生体信号201は、必ずしも、周期ごとに完全に一致する波形を有していなくてもよい。例えば、計測対象の生体の状態が不変であれば、生体信号201は周期ごとに同じ波形を繰り返すと考えられるが、計測対象の生体の状態が変化する場合には、生体信号201の周期ごとの波形が変化し得る。また、計測対象の生体の状態が変化する場合には、生体信号201の周期が変化することも発生し得る。
【0072】
図2には、一つの周期211とその前後について、生体信号201の例を示してある。
また、図2の例では、周期211を、第1期間231~第6期間236に区切ってある。
第1期間231は、時刻t1~時刻t2の期間であり、生体信号201のP波に対応する部分の期間である。
第2期間232は、時刻t2~時刻t3の期間であり、生体信号201のP波とQRS群との間の部分(PRセグメントに対応する部分)の期間である。
【0073】
第3期間233は、時刻t3~時刻t7の期間であり、生体信号201のQRS群に対応する部分の期間である。
第3期間233において、生体信号201は、時刻t4において極小点であるQ波のピークとなり、時刻t5において極大点であるR波のピークとなり、時刻t6において極小点であるS波のピークとなる。
【0074】
第4期間234は、時刻t7~時刻t8の期間であり、生体信号201のQRS群とT波との間の部分(STセグメントに対応する部分)の期間である。
第5期間235は、時刻t8~時刻t9の期間であり、生体信号201のT波に対応する部分の期間である。
【0075】
なお、本実施形態では、周期的な波形を有する生体信号201の一例として、一般的に知られている心電図の波形を説明したが、心電図の解釈の仕方(例えば、波形の各部分の名称、あるいは、波形の区切り方など)について、限定するものではなく、同様に、このような心電図に対応する心磁図の解釈の仕方(例えば、波形の各部分の名称、あるいは、波形の区切り方など)について、限定するものではない。
【0076】
例えば、信号処理において、PRセグメントのうちの一部または全部が、P波の部分またはQRS群の部分に含まれるといった区切り方も可能である。
例えば、信号処理において、STセグメントのうちの一部または全部が、QRS群の部分またはT波の部分に含まれるといった区切り方も可能である。
例えば、信号処理において、QRS群の部分をさらに細かい部分に区切る区切り方も可能である。具体例として、時刻t3~時刻t4の部分、時刻t4~時刻t6の部分、時刻t6~時刻t7の部分に区切る区切り方などが可能である。
【0077】
ここで、心磁計による計測結果である心磁図信号は、従来から広く用いられている心電計による計測結果である心電図信号に類似しており、心磁図信号の波形では心電図信号の波形(P波、QRS群、T波など)と類似した特性(特徴)が現れる。
図2に示される周期211は、人間の1回の心拍である1拍分(1周期分)の波形に相当する。そして、生体信号201では、1拍分の波形と同様な波形が繰り返される。
【0078】
本実施形態では、生体信号201として、心電計による計測信号である心電図信号を例示したが、上述のように、心磁計による計測信号である心磁図信号についても同様な特徴が見られる。
また、生体信号としては、心磁図信号あるいは心電図信号に限られず、他の信号が用いられてもよい。
【0079】
<区間ごとの処理手法の具体例>
ここで、図2に示される生体信号201に対応する心磁図信号について、区間ごとの処理手法の具体例を示す。
複数の区間として、図2に示されるP波を含む第1期間231と、図2に示されるQRS群を含む第3期間233と、図2に示されるT波を含む第5期間235を例示する。
【0080】
周波数フィルタ手法として、0.1~100[Hz]の周波数成分を主に抽出するフィルタ特性を有する周波数フィルタ手法a1と、0.01~25[Hz]の周波数成分を主に抽出するフィルタ特性を有する周波数フィルタ手法a2を例示する。
電流推定演算手法として、所定の空間フィルタ法を使用する電流推定演算手法b1と、他の所定の空間フィルタ法を使用する電流推定演算手法b2を例示する。
領域抽出手法として、心臓の心房の領域を抽出する領域抽出手法c1と、心臓の心房および心室の領域を抽出する領域抽出手法c2と、心臓の心室の領域を抽出する領域抽出手法c3を例示する。
【0081】
第1期間231では、周波数フィルタ手法として、周波数フィルタ手法a2が用いられることが対応付けられている。
第3期間233では、周波数フィルタ手法として、周波数フィルタ手法a1が用いられることが対応付けられている。
第5期間235では、周波数フィルタ手法として、周波数フィルタ手法a2が用いられることが対応付けられている。
【0082】
なお、本実施形態では、すべての区間において、それぞれの区間に対応付けられた周波数フィルタ手法のほかに、共通のノッチフィルタの処理が適用されてもよい。当該ノッチフィルタは、電源に使用されている商用周波数(例えば、50Hzなど)の周波数成分を除去するフィルタ特性を有するノッチフィルタであってもよい。
【0083】
第1期間231では、電流推定演算手法として、電流推定演算手法b2が用いられることが対応付けられている。
第3期間233では、電流推定演算手法として、電流推定演算手法b1が用いられることが対応付けられている。
第5期間235では、電流推定演算手法として、電流推定演算手法b2が用いられることが対応付けられている。
【0084】
第1期間231では、領域抽出処理として、領域抽出処理c1が用いられることが対応付けられている。
第3期間233では、領域抽出処理として、領域抽出処理c2が用いられることが対応付けられている。
第5期間235では、領域抽出処理として、領域抽出処理c3が用いられることが対応付けられている。
【0085】
[生体信号計測装置の計測部]
図3は、実施形態に係る生体信号計測装置11の計測部301の一例を示す図である。
図3には、被検対象となる人間の上半身部に対向させられる計測部301の面を概略的に示してある。
図3には、説明の便宜上、三次元直交座標系であるXYZ直交座標系を示してある。なお、図3の例では、計測部301の面だけに着目すると二次元平面であるため、XYZ直交座標系の代わりに、二次元直交座標系であるXY直交座標系が用いられてもよい。
【0086】
本実施形態では、計測部301は、所定の方向(図3の例では、X軸に平行な方向)に等間隔で14個配置されるとともに、当該方向に対して直交する方向(図3の例では、Y軸に平行な方向)に14個配置された、マトリクス状の計196個のセンサ収容部311を備えている。
そして、計測部301は、これら複数のセンサ収容部311のうちの1個以上に収容されたセンサ321を備える。
本実施形態では、それぞれのセンサ321は、心磁計である。
【0087】
ここで、図3の例では、図示を簡易化して、1個のセンサ収容部311のみに符号を付してあり、1個のセンサ321のみに符号を付してあるが、これらを異なる色(白と黒)で区別して示してある。
図3の例では、196個のセンサ収容部311のうち、64個のセンサ収容部311にセンサ321が備えられている。それぞれのセンサ321により検出される生体信号は1個のチャネルの生体信号となり、64個のセンサ321の全体で64個のチャネルの生体信号を検出する。
【0088】
例えば、センサ収容部311は計測部301の面に設けられた穴部であり、当該穴部にセンサ321が嵌め込まれることで、計測部301にセンサ321が備えられる。
図3の例では、それぞれのセンサ収容部311にセンサ321を着脱することが可能であり、任意のセンサ収容部311にセンサ321を備えることが可能であり、計測部301の面における複数のセンサ321の配置パターンを変更することが可能である。
【0089】
なお、計測部301の面に複数のセンサ321を備える構成としては、必ずしも図3の例に限定されない。
例えば、図3の例では、複数のセンサ収容部311のうちで任意の箇所にセンサ321を備えることが可能な構成を示したが、他の構成例として、センサ321の位置が固定的に定められていてもよい。この場合、それぞれのセンサ321は、計測部301に固定的に備えられていて、着脱可能でなくてもよい。
具体例として、計測部301の面は、所定の方向(例えば、X軸に平行な方向)に等間隔で8個のセンサ321が配置されているとともに、当該方向に対して直交する方向(例えば、Y軸に平行な方向)に8個のセンサ321が配置されている、マトリクス状の計64個のセンサ321を備えていてもよい。
【0090】
また、本実施形態では、計測部301に64個のセンサ321が備えられた状態で同時に64個のチャネルの生体信号の計測が行われる場合を示すが、計測部301に備えられるセンサ321の数は、1以上の任意の値であってもよい。
【0091】
ここで、本実施形態では、生体信号は、時系列の信号値を有する。
本実施形態では、生体信号は、それぞれの1点(一瞬)の時刻ごとに、計測対象となった人間の上半身部の複数の計測点についての計測結果の情報(それぞれの計測点における信号値)を含む。生体信号では、これら複数の計測点のそれぞれと計測結果の情報(それぞれの計測点における信号値)とが、それぞれの時刻(計測時刻)ごとに、1対1で対応付けられている。
また、本実施形態では、計測対象となった人間の上半身部の複数の計測点と、当該人間の上半身部の形状を表す情報とが、対応付けられている。当該人間の上半身部の形状を表す情報は、例えば、生体信号に含まれてもよく、あるいは、生体信号とは別に、ユーザまたは生体信号計測装置11などから生体信号処理システム12に入力されて記憶部113に記憶されていてもよい。なお、当該人間の上半身部の形状を表す情報としては、必ずしも、個別の人間ごとの固有な形状を表す情報でなくてもよく、例えば、標準的な人間の形状を表す情報が用いられてもよく、この場合、あらかじめ、当該情報が生体信号処理システム12に入力されて記憶部113に記憶されてもよい。
【0092】
<計測結果の例>
図4は、実施形態に係る電流推定演算結果の表示例を示す図である。
図4には、電流推定演算結果の一例を表示する画面401を示してある。
図4には、説明の便宜上、図3に示されるのと同様なXYZ直交座標系を示してある。XYZ直交座標系は、例えば、表示されてもよく、あるいは、表示されなくてもよい。なお、図3の例と同様に、XYZ直交座標系の代わりに、XY直交座標系が用いられてもよい。
【0093】
図4の例では、人体の形状(上半身部411)が写っており、それぞれのセンサ321が対向した位置(センサ位置421)と、電流推定演算処理によって推定された電流を示す矢印(推定電流431)が表示されている。
また、図4の例では、計測された磁場の強度(磁界分布)が示されており、そのスケール402が表示されている。
ここで、図4の例では、図示を簡易化して、1個のセンサ位置421のみに符号を付してあり、1個の推定電流431のみを示してある。
なお、推定電流431は、心磁計によって計測された生体信号を電流推定演算手法により解析した結果として得られ、生体内を流れる電流の向きと大きさを表す。図示の例では、電流の向きは矢印の向きによって表され、電流の大きさは矢印の長さによって表される。
図4には、1個のセンサ位置である位置A1と、他の1個のセンサ位置である位置A2を示してある。
【0094】
図5は、実施形態に係る心磁図信号および心電図信号の表示例を示す図である。なお、図5の例では、説明の便宜上、心磁図信号と同時に心電図信号が計測されている場合を示す。
図5の例では、図4に示される位置A1で計測された心磁図信号2011と、図4に示される位置A2で計測された心磁図信号2012が表示されている。
また、図5の例では、これらの心磁図信号2011~2012と同時に計測された心電図信号2021が表示されている。
図5に示されるグラフにおいて、横軸はすべての信号(心磁図信号2011~2012、心電図信号2021)に共通な時刻を表しており、縦軸はそれぞれの信号ごとにレベル(例えば、振幅)を表している。
【0095】
図5の例では、0.3[sec]付近に、ピークが出現している。
なお、心磁図信号2011と心磁図信号2012とで極性(正負の向き)が反転しているが、これは計測条件(例えば、計測位置)によるものである。
図5の例では、2つの位置A1、A2における心磁図信号2011、2012を示したが、任意の1つ以上の位置における心磁図信号が表示されてもよい。
【0096】
[周波数フィルタ処理の結果の表示例]
図6は、実施形態に係る周波数フィルタ手法a1の周波数フィルタ処理が全区間の生体信号に実行された結果の表示例を示す図である。
図6に示されるグラフでは、横軸は時刻を表しており、縦軸はレベル(例えば、振幅)を表している。
図6の例では、周波数フィルタ手法a1の周波数フィルタ処理が全区間の生体信号(本実施形態では、心磁図信号)に行われた結果である周波数フィルタ後信号群2201が表示されている。周波数フィルタ後信号群2201は64チャネルの信号を含んでおり、ここでは、これらの信号波形をまとめて周波数フィルタ後信号群2201として示している。
【0097】
また、図6の例では、特定の区間である区間B1および区間B2が表示されている。これらの区間B1~B2は、区間特定部151により特定される区間である。
なお、図6の例では、2つの区間B1~B2が表示される場合を示したが、表示される区間、および、表示される区間の数としては、それぞれ任意に設定されてもよい。
【0098】
図7は、実施形態に係る周波数フィルタ手法a2の周波数フィルタ処理が全区間の生体信号に実行された結果の表示例を示す図である。
図7に示されるグラフでは、横軸は時刻を表しており、縦軸はレベル(例えば、振幅)を表している。
図7の例では、周波数フィルタ手法a2の周波数フィルタ処理が全区間の生体信号(本実施形態では、心磁図信号)に行われた結果である周波数フィルタ後信号群2211が表示されている。周波数フィルタ後信号群2211は64チャネルの信号を含んでおり、ここでは、これらの信号波形をまとめて周波数フィルタ後信号群2211として示している。
【0099】
また、図7の例では、特定の区間である区間B1および区間B2が表示されている。これらの区間B1~B2は、区間特定部151により特定される区間である。
なお、図7の例では、2つの区間B1~B2が表示される場合を示したが、表示される区間、および、表示される区間の数としては、それぞれ任意に設定されてもよい。
【0100】
図8は、実施形態に係る周波数フィルタ手法a1の周波数フィルタ処理が区間B1の生体信号に実行された結果の表示例を示す図である。
図8に示されるグラフでは、横軸は時刻を表しており、縦軸はレベル(例えば、振幅)を表している。
図8の例では、図6に示される区間B1のみについて、周波数フィルタ後信号群2401が表示されている。
【0101】
図8の例では、付加情報2402が表示されている。
付加情報2402は、表示されている周波数フィルタ後信号群2401に関する情報であり、図8の例では、区間B1であることを示す情報、および、周波数フィルタ処理手法a1が用いられたことを示す情報を含んでいる。
ここで、付加情報2402の内容は、任意であってもよく、例えば、区間、処理手法などに関して様々な情報を含んでもよい。
【0102】
図9は、実施形態に係る周波数フィルタ手法a2の周波数フィルタ処理が区間B1の生体信号に実行された結果の表示例を示す図である。
図9に示されるグラフでは、横軸は時刻を表しており、縦軸はレベル(例えば、振幅)を表している。
図9の例では、図7に示される区間B1のみについて、周波数フィルタ後信号群2411が表示されている。
【0103】
図9の例では、付加情報2412が表示されている。
付加情報2412は、表示されている周波数フィルタ後信号群2411に関する情報であり、図9の例では、区間B1であることを示す情報、および、周波数フィルタ処理手法a2が用いられたことを示す情報を含んでいる。
ここで、付加情報2412の内容は、任意であってもよく、例えば、区間、処理手法などに関して様々な情報を含んでもよい。
【0104】
図10は、実施形態に係る周波数フィルタ手法a1の周波数フィルタ処理が区間B2の生体信号に実行された結果の表示例を示す図である。
図10に示されるグラフでは、横軸は時刻を表しており、縦軸はレベル(例えば、振幅)を表している。
図10の例では、図6に示される区間B2のみについて、周波数フィルタ後信号群2601が表示されている。
【0105】
図10の例では、付加情報2602が表示されている。
付加情報2602は、表示されている周波数フィルタ後信号群2601に関する情報であり、図10の例では、区間B2であることを示す情報、および、周波数フィルタ処理手法a1が用いられたことを示す情報を含んでいる。
ここで、付加情報2602の内容は、任意であってもよく、例えば、区間、処理手法などに関して様々な情報を含んでもよい。
【0106】
図11は、実施形態に係る周波数フィルタ手法a2の周波数フィルタ処理が区間B2の生体信号に実行された結果の表示例を示す図である。
図11に示されるグラフでは、横軸は時刻を表しており、縦軸はレベル(例えば、振幅)を表している。
図11の例では、図7に示される区間B2のみについて、周波数フィルタ後信号群2611が表示されている。
【0107】
図11の例では、付加情報2612が表示されている。
付加情報2612は、表示されている周波数フィルタ後信号群2611に関する情報であり、図11の例では、区間B2であることを示す情報、および、周波数フィルタ処理手法a2が用いられたことを示す情報を含んでいる。
ここで、付加情報2612の内容は、任意であってもよく、例えば、区間、処理手法などに関して様々な情報を含んでもよい。
【0108】
[電流推定演算処理の結果の表示例]
図12は、実施形態に係る生体信号に関して2つの異なる時刻C1、C2の例を示す図である。
図12に示されるグラフでは、横軸は時刻を表しており、縦軸はレベル(例えば、振幅)を表している。
図12の例では、図6に示される周波数フィルタ後信号群2201と同様な周波数フィルタ後信号群3001を示してある。
また、図12には、2つの異なる時刻C1、C2を示してある。時刻C1はQRS群の区間B1に含まれる時刻であり、時刻C2はT波の区間B2に含まれる時刻である。
【0109】
図13は、実施形態に係る電流推定演算手法b1の演算処理が区間B1の生体信号に実行された結果の表示例を示す図である。
図13の例では、時刻C1における生体信号について周波数フィルタ手法a1による周波数フィルタ処理および電流推定演算手法b1による演算処理が行われた結果(演算処理結果)の一例を表示する画面501を示してある。
図13には、説明の便宜上、図3に示されるのと同様なXYZ直交座標系を示してある。XYZ直交座標系は、例えば、表示されてもよく、あるいは、表示されなくてもよい。なお、図3の例と同様に、XYZ直交座標系の代わりに、XY直交座標系が用いられてもよい。
【0110】
図13の例では、人体の上半身部の領域に関して、電流推定演算処理によって推定された電流を示す矢印(推定電流521)が表示されている。推定電流521の向きは矢印の向きによって表され、推定電流521の大きさは矢印の長さによって表されている。
ここで、図13の例では、図示を簡易化して、1個の推定電流521のみに符号を付してある。
【0111】
図13の例では、付加情報531が表示されている。
付加情報531は、表示されている演算処理結果に関する情報であり、図13の例では、区間B1であることを示す情報、時刻C1であることを示す情報、および、電流推定演算手法b1が用いられたことを示す情報を含んでいる。
ここで、付加情報531の内容は、任意であってもよく、例えば、区間、処理手法などに関して様々な情報を含んでもよい。
【0112】
図14は、実施形態に係る電流推定演算手法b2の演算処理が区間B1の生体信号に実行された結果の表示例を示す図である。
図14の例では、時刻C1における生体信号について周波数フィルタ手法a1による周波数フィルタ処理および電流推定演算手法b2による演算処理が行われた結果(演算処理結果)の一例を表示する画面502を示してある。
図14には、説明の便宜上、図3に示されるのと同様なXYZ直交座標系を示してある。XYZ直交座標系は、例えば、表示されてもよく、あるいは、表示されなくてもよい。なお、図3の例と同様に、XYZ直交座標系の代わりに、XY直交座標系が用いられてもよい。
【0113】
図14の例では、人体の上半身部の領域に関して、電流推定演算処理によって推定された電流を示す矢印(推定電流522)が表示されている。推定電流522の向きは矢印の向きによって表され、推定電流522の大きさは矢印の長さによって表されている。
ここで、図14の例では、図示を簡易化して、1個の推定電流522のみに符号を付してある。
【0114】
図14の例では、付加情報532が表示されている。
付加情報532は、表示されている演算処理結果に関する情報であり、図14の例では、区間B1であることを示す情報、時刻C1であることを示す情報、および、電流推定演算手法b2が用いられたことを示す情報を含んでいる。
ここで、付加情報532の内容は、任意であってもよく、例えば、区間、処理手法などに関して様々な情報を含んでもよい。
【0115】
図15は、実施形態に係る電流推定演算手法b1の演算処理が区間B2の生体信号に実行された結果の表示例を示す図である。
図15の例では、時刻C2における生体信号について周波数フィルタ手法a1による周波数フィルタ処理および電流推定演算手法b1による演算処理が行われた結果(演算処理結果)の一例を表示する画面541を示してある。
図15には、説明の便宜上、図3に示されるのと同様なXYZ直交座標系を示してある。XYZ直交座標系は、例えば、表示されてもよく、あるいは、表示されなくてもよい。なお、図3の例と同様に、XYZ直交座標系の代わりに、XY直交座標系が用いられてもよい。
【0116】
図15の例では、人体の上半身部の領域に関して、電流推定演算処理によって推定された電流を示す矢印(推定電流561)が表示されている。推定電流561の向きは矢印の向きによって表され、推定電流561の大きさは矢印の長さによって表されている。
ここで、図15の例では、図示を簡易化して、1個の推定電流561のみに符号を付してある。
【0117】
図15の例では、付加情報571が表示されている。
付加情報571は、表示されている演算処理結果に関する情報であり、図15の例では、区間B2であることを示す情報、時刻C2であることを示す情報、および、電流推定演算手法b1が用いられたことを示す情報を含んでいる。
ここで、付加情報571の内容は、任意であってもよく、例えば、区間、処理手法などに関して様々な情報を含んでもよい。
【0118】
図16は、実施形態に係る電流推定演算手法b2の演算処理が区間B2の生体信号に実行された結果の表示例を示す図である。
図16の例では、時刻C2における生体信号について周波数フィルタ手法a1による周波数フィルタ処理および電流推定演算手法b2による演算処理が行われた結果(演算処理結果)の一例を表示する画面542を示してある。
図16には、説明の便宜上、図3に示されるのと同様なXYZ直交座標系を示してある。XYZ直交座標系は、例えば、表示されてもよく、あるいは、表示されなくてもよい。なお、図3の例と同様に、XYZ直交座標系の代わりに、XY直交座標系が用いられてもよい。
【0119】
図16の例では、人体の上半身部の領域に関して、電流推定演算処理によって推定された電流を示す矢印(推定電流562)が表示されている。推定電流562の向きは矢印の向きによって表され、推定電流562の大きさは矢印の長さによって表されている。
ここで、図16の例では、図示を簡易化して、1個の推定電流562のみに符号を付してある。
【0120】
図16の例では、付加情報572が表示されている。
付加情報572は、表示されている演算処理結果に関する情報であり、図16の例では、区間B2であることを示す情報、時刻C2であることを示す情報、および、電流推定演算手法b2が用いられたことを示す情報を含んでいる。
ここで、付加情報572の内容は、任意であってもよく、例えば、区間、処理手法などに関して様々な情報を含んでもよい。
【0121】
ここで、図13図16の例では、電流推定演算手法b1は電流の流れが大きいところを検出する手法であり、電流推定演算手法b2は電流の全体的な流れを検出する手法である。
これにより、図13の例と比べて図14の例では全体にわたる推定電流522が見えており、また、図15の例と比べて図16の例では全体にわたる推定電流562が見えている。逆に、図14の例と比べて図13の例では強い推定電流521が見易くなっており、また、図16の例と比べて図15の例では強い推定電流561が見易くなっている。
【0122】
[生体信号処理システムにおける処理の手順の一例]
図17は、実施形態に係る生体信号計測システム1における生体信号処理システム12により行われる処理の手順の一例を示す図である。
図17の例では、生体信号処理システム12において、制御部114が、あらかじめ、時系列の生体信号(本実施形態では、心磁図信号)の全体のデータを読み込む場合を示す。
【0123】
(ステップS1)
制御部114(例えば、区間特定部151)は、時系列の生体信号のデータ(生体データ)の全体を記憶部113から読み込む。この場合、当該生体データの全体は、既に、入力部111によって入力されて記憶部113に記憶されている。
そして、ステップS2の処理へ移行する。
【0124】
(ステップS2)
区間特定部151は、生体データに基づいて、区間分割部171により、生体信号の期間を複数の区間に分割する。
そして、ステップS3の処理へ移行する。
【0125】
(ステップS3)
区間特定部151は、処理対象とする生体信号の時刻を選択する。
また、区間特定部151は、当該時刻が属する区間を特定する。
そして、ステップS4の処理へ移行する。
【0126】
ここで、区間特定部151は、例えば、あらかじめ定められた規則に基づいて、処理対象とする生体信号の時刻を選択してもよく、あるいは、ユーザなどによる指示に基づいて、処理対象とする生体信号の時刻を選択してもよい。
当該規則は、例えば、あらかじめ設定された1つ以上の時刻(例えば、時刻の進みにしたがった複数の時刻など)を順番に選択していく規則であってもよい。
【0127】
(ステップS4)
処理制御部191は、区間特定部151によって特定された区間(選択時刻の属する区間)に基づいて、処理手法を選択する。
そして、ステップS5の処理へ移行する。
【0128】
(ステップS5)
処理実行部192は、処理制御部191により選択された処理手法で、処理対象とする生体信号の処理を実行する。
そして、ステップS6の処理へ移行する。
【0129】
(ステップS6)
表示制御部153は、処理実行部192により実行された処理の結果に関する情報を、表示部141により表示する。この際、表示制御部153は、区間特定部151によって特定された区間(選択時刻の属する区間)などに基づいて、表示方法(表示形態)を制御してもよい。
そして、本フローの処理が終了する。
【0130】
ここで、制御部114は、例えば、あらかじめ設定された複数の時刻の生体データを順番に処理していく場合には、ステップS6の処理が終了した後に、再びステップS3の処理へ移行してもよい。
他の例として、制御部114は、ステップS6の処理が終了した後に、ユーザなどにより処理対象とする生体データの変更が指示されたときに、再びステップS3の処理へ移行してもよい。
【0131】
なお、ステップS5の処理の結果が、ステップS2の処理にフィードバックされてもよい。図17の例では、模式的に、このようなフィードバックFB11を示してあるが、このようなフィードバックFB11は行われなくてもよい。
【0132】
<変形例>
図17に示される処理フローの変形例を示す。
生体信号処理システム12において、制御部114が、随時、時系列の生体信号のデータを読み込む構成が用いられてもよい。本変形例の処理は、例えば、時系列の生体信号のデータの全体のデータ量が大きい場合などに特に有効である。
【0133】
本変形例では、まず、区間特定部151は、生体信号の期間を複数の区間に分割する。本変形例では、生体信号のデータの形式が定まっており、区間特定部151は、当該形式に基づいて、あらかじめ、区間の分割(区間の定義)を行う。
なお、他の構成例として、区間特定部151は、過去の処理で使用された生体データなどに基づいて、区間の分割を行ってもよく、あるいは、過去の処理で使用された区間と同じ区間を、区間の分割結果として、用いてもよい。
【0134】
次に、区間特定部151は、処理対象とする生体信号(ここでは、生体信号において処理対象とする信号部分)を選択する。この選択は、例えば、生体信号の波形を用いて行われてもよい。また、この選択は、例えば、処理対象とする生体信号の時刻を用いて行われてもよい。
そして、制御部114(例えば、区間特定部151)は、時系列の生体信号のデータ(生体データ)のうちで選択された生体データ(処理対象とする生体信号の時刻に対応する生体データ)を記憶部113から読み込む。この場合、本変形例では、生体データの全体は、既に、入力部111によって入力されて記憶部113に記憶されている。
その後、制御部114は、図17に示されるステップS4、ステップS5、ステップS6の処理を行う。
【0135】
[生体信号処理システムにおける処理の手順の他の一例]
図18は、実施形態に係る生体信号計測システム1における生体信号処理システム12により行われる処理の手順の他の一例を示す図である。
図18の例では、生体信号処理システム12が、リアルタイムで、随時、時系列の生体信号(本実施形態では、心磁図信号)を生体信号計測装置11から読み込む場合を示す。
生体信号取得部131は、時系列の進みにしたがって、生体信号のデータ(生体データ)を取得する。例えば、記憶部113は、当該生体信号を記憶する。当該生体信号に関する情報は、これから処理対象となる情報である。
【0136】
(ステップS21)
区間特定部151は、周期特定部172により、生体信号の周期を特定する。
本実施形態では、周期特定部172は、生体信号取得部131によって取得された生体信号に基づいて、当該生体信号の周期を特定する。
ここで、生体信号の周期が既知であって、当該周期を表す情報があらかじめ記憶部113に記憶されている場合には、当該周期を特定する処理は省略されてもよい。
そして、区間特定部151は、区間分割部171により、周期特定部172によって特定された周期に基づいて、生体信号の期間を複数の区間に分割する。当該区間の分割は、動的に行われる。
そして、ステップS22の処理へ移行する。
【0137】
ここで、生体信号の周期および区間が既知であって、当該周期を表す情報および当該区間を表す情報があらかじめ記憶部113に記憶されている場合には、ステップS21の処理は省略されてもよい。
また、生体信号の区間の分割の仕方が既知であって、周期が特定された場合に区間の分割結果が特定される場合であって、当該区間の分割の仕方を表す情報があらかじめ記憶部113に記憶されている場合には、当該区間を分割する処理は省略されてもよい。
【0138】
(ステップS22)
区間特定部151は、処理対象とする生体信号の位置(時間的な位置であり、時刻などでもよい)を選択する。
また、区間特定部151は、当該位置が属する区間を特定する。
そして、ステップS23の処理へ移行する。
【0139】
ここで、区間特定部151は、例えば、あらかじめ定められた規則に基づいて、処理対象とする生体信号の位置を選択してもよく、あるいは、ユーザなどによる指示に基づいて、処理対象とする生体信号の位置を選択してもよい。
当該規則は、例えば、あらかじめ設定された1つ以上の位置(例えば、時刻の進みにしたがった複数の位置など)を順番に選択していく規則であってもよい。
【0140】
(ステップS23)
生体信号処理部152は、区間特定部151によって選択された位置の生体信号のデータ(生体データ)を読み込む。
そして、ステップS24の処理へ移行する。
【0141】
(ステップS24)
処理制御部191は、区間特定部151によって特定された区間(選択位置の属する区間)に基づいて、処理手法を選択する。
そして、ステップS25の処理へ移行する。
【0142】
(ステップS25)
処理実行部192は、処理制御部191により選択された処理手法で、処理対象とする生体信号の処理を実行する。
そして、ステップS26の処理へ移行する。
【0143】
(ステップS26)
表示制御部153は、処理実行部192により実行された処理の結果に関する情報を、表示部141により表示する。この際、表示制御部153は、区間特定部151によって特定された区間(選択位置の属する区間)などに基づいて、表示方法(表示形態)を制御してもよい。
そして、本フローの処理が終了する。
【0144】
ここで、制御部114は、例えば、あらかじめ設定された複数の位置(時刻)の生体データを順番に処理していく場合には、ステップS26の処理が終了した後に、再びステップS22の処理へ移行してもよい。
他の例として、制御部114は、ステップS26の処理が終了した後に、ユーザなどにより処理対象とする生体データの変更が指示されたときに、再びステップS21の処理へ移行してもよい。
【0145】
なお、ステップS25の処理の結果が、ステップS21の処理にフィードバックされてもよい。図18の例では、模式的に、このようなフィードバックFB12を示してあるが、このようなフィードバックFB12は行われなくてもよい。
【0146】
ここで、ステップS21の処理において周期の特定および区間の分割が行われる場合、これらは、固定的に用いられてもよく、あるいは、任意のタイミングで、更新されてもよい。
具体的には、周期特定部172は、任意のタイミングで、生体信号の周期を特定し、既に特定されている周期を新たに特定された周期に更新してもよい。
一構成例として、周期特定部172は、前回に生体信号の周期を特定したときに用いた生体データとは異なるデータ(生体データ)に基づいて、生体信号の周期を特定する。前回に生体信号の周期を特定したときに用いた生体データとは異なるデータ(生体データ)は、例えば、前回に生体信号の周期を特定したときに用いた生体データよりも時系列的に新しいデータである。
他の構成例として、周期特定部172は、所定の回数の特定した周期を平均化し、その平均値を新たな周期とするように、周期の更新を行ってもよい。当該所定の回数は、任意の回数であってもよい。当該所定の回数は、例えば、最新の1回分と、それよりも過去の連続した定められた回数分(当該所定の回数よりも1つ少ない回数分)であってもよい。本実施形態に係る生体信号処理システム12では、このような平均化により、周期の安定化が図られてもよい。
【0147】
また、区間分割部171は、周期特定部172によって更新された周期に基づいて、生体信号の期間を複数の区間に分割し、前回における区間の分割結果を新たな区間の分割結果に更新してもよい。
他の構成例として、区間分割部171は、所定の回数の区間の分割結果を平均化し、その平均結果を新たな区間とするように、区間の更新を行ってもよい。当該所定の回数は、任意の回数であってもよい。当該所定の回数は、例えば、最新の1回分と、それよりも過去の連続した定められた回数分(当該所定の回数よりも1つ少ない回数分)であってもよい。本実施形態に係る生体信号処理システム12では、このような平均化により、区間の分割の安定化が図られてもよい。
【0148】
なお、図18に示される処理フローの初期において、生体信号の周期として、仮の初期値が設定されてもよく、その後に当該初期値が更新されることで周期の精度を向上させてもよい。この場合、ステップS21の処理において初期的な周期の特定は省略されてもよい。
また、このような場合、図18に示される処理フローの初期において、区間の分割結果についても、仮の初期値が設定されてもよく、その後に当該初期値が更新されることで区間の分割の精度を向上させてもよい。この場合、ステップS21の処理は省略されてもよい。
【0149】
[変形例に係る生体信号計測装置の計測部]
図19は、実施形態の変形例に係る生体信号計測装置の計測部601~602の一例を示す図である。
図19には、説明の便宜上、図3に示されるのと同様なXYZ直交座標系を示してある。
図19の例では、図3に示される計測部301と同様な機能を有する2個の計測部601~602が備えられている。
【0150】
図19の例では、計測部601の面はXY平面に平行に配置されており、計測部602の面はYZ平面に平行に配置されている。計測部601と計測部602とは、互いに直交するように交差して配置されている。
図19の例では、一方の計測部(例えば、計測部601)の面に人間の上半身部の正面が対向させられるとともに、他方の計測部(例えば、計測部602)の面に当該人間の上半身部の側面が対向させられた状態で、計測が行われる。
【0151】
計測部601の面には複数のチャネルのセンサが設けられる領域であるセンサ領域621が備えられている。
同様に、計測部602の面には複数のチャネルのセンサが設けられる領域であるセンサ領域622が備えられている。
これらのセンサ領域621~622は、例えば、図3に示される計測部301の面において複数のチャネルのセンサ321が設けられる領域と同様である。
【0152】
図19に示される2個の計測部601~602を同時に用いて計測を行うことで、同時に異なる方向(図19の例では、互いに直交する方向)で計測を行うことができる。
なお、それぞれの計測部601~602に備えられるセンサの数、センサの配置パターン、あるいは、2個の計測部601~602の相対的な配置(例えば、交差する角度)などとしては、他の任意の構成が用いられてもよい。
また、3個以上の計測部を同時に用いて計測することが可能な生体信号計測装置が構成されてもよい。
また、本変形例では、説明の便宜上、生体信号計測装置11が複数の計測部(図19の例では、2個の計測部601~602)を備えるとして説明したが、これら複数の計測部は、別々ではなく一体の計測部であると捉えられてもよい。
【0153】
[以上の実施形態について]
以上のように、本実施形態に係る生体信号計測システム1では、生体信号処理システム12において、生体信号の特徴的な区間ごとに適切な処理が行われることを可能とすることができる。
【0154】
本実施形態に係る生体信号処理システム12では、例えば、生体信号の計測結果あるいはその解析結果がより正確になるように、区間ごとの特性(例えば、波形など)に応じた処理手法を選択することにより、区間ごとに最適な処理を行い、システムの付加価値を高めることができる。
また、本実施形態に係る生体信号処理システム12では、例えば、生体信号の特性に応じて当該生体信号を時間的に複数の区間に分割することができる。
また、本実施形態に係る生体信号処理システム12では、区間ごとの処理結果を、区間特定部151の区間特定(例えば、区間分割など)にフィードバックすることもできる。
【0155】
本実施形態では、生体信号として、心磁図信号が用いられている。心磁図信号の波形では、P波、QRS群、T波といった振幅および周波数の異なる特徴的な区間が存在する。そして、本実施形態に係る生体信号処理システム12では、それぞれの区間ごとに、それぞれの区間に応じた最適な処理手法に切り替えて処理結果の最適化を図っている。
ここで、心磁計では、心電計と比べて三次元に分布した多様な情報の解析および表示が行われることが期待されており、空間上に分布した情報をより的確に解析および表示することが期待されている。本実施形態に係る生体信号処理システム12では、このような期待に応えることが可能であり、例えば、三次元空間分布推定に使用する信号データの演算手法を対象波形ごと(区間ごと)に最適化することが可能である。
【0156】
また、本実施形態に係る生体信号処理システム12では、リアルタイムで取得された生体信号について周期を特定し、特定した周期に基づいて処理対象となる生体信号の時間的な位置を推定することが可能である。
したがって、本実施形態に係る生体信号処理システム12では、リアルタイムの生体信号の処理に対応することが可能である。
【0157】
また、本実施形態に係る生体信号処理システム12では、ある区間の処理結果などの情報を表示する際に、当該区間に基づいて表示態様を制御することが可能である。
したがって、本実施形態に係る生体信号処理システム12では、それぞれの区間ごとに、適切な表示態様で表示を行うことが可能である。
例えば、本実施形態に係る生体信号処理システム12では、それぞれの区間ごとに適用された処理手法を識別する情報などを表示することで、ユーザにとって有用な付加的な情報を提示することが可能である。
【0158】
なお、本実施形態に係る生体信号処理システム12では、特に、複数の区間のそれぞれごとに異なる特徴を有する波形(心磁図信号の場合には、P波、QRS群、T波などの波形)が混在する生体信号であって、これら複数の区間のまとまりが時間的に周期的に繰り返す連続信号の処理において効果を発揮する。
【0159】
<構成例>
一構成例として、生体信号処理システム(本実施形態では、生体信号処理システム12)では、時間的に複数の区間に分割される生体信号(例えば、心磁図信号など)について、処理対象の時間的な位置が含まれる区間を特定する区間特定部(本実施形態では、区間特定部151)と、区間特定部によって特定された区間に基づいて処理対象の時間的な位置の生体信号を処理する処理手法(例えば、周波数フィルタ手法、電流推定演算手法、領域抽出手法などのうちの1以上)を選択する処理制御部(本実施形態では、処理制御部191)と、処理制御部によって選択された処理手法で生体信号の処理を実行する処理実行部(本実施形態では、処理実行部192)と、を備える。
【0160】
一構成例として、生体信号処理システムにおいて、処理手法は、周波数フィルタの処理を行う周波数フィルタ手法、所定の演算の処理を行う演算手法、処理対象とする領域を抽出する領域抽出手法のうちの1以上を含む。
一構成例として、生体信号処理システムにおいて、区間特定部は、生体信号の期間を複数の区間に分割する区間分割部(本実施形態では、区間分割部171)を備える。
一構成例として、生体信号処理システムにおいて、区間分割部は、処理実行部によって実行された処理の結果に基づいて、区間の分割を行う。
一構成例として、生体信号処理システムにおいて、リアルタイムで取得された生体信号について周期を特定する周期特定部(本実施形態では、周期特定部172)を備える。区間特定部は、周期特定部によって特定された周期に基づいて、処理対象の時間的な位置を推定する。
一構成例として、生体信号処理システムにおいて、処理実行部によって実行された処理の結果に関する情報を表示する表示部(本実施形態では、表示部141)と、区間特定部によって特定された区間に基づいて、表示部による表示態様を制御する表示制御部(本実施形態では、表示制御部153)と、を備える。
一構成例として、生体信号処理システムにおいて、表示制御部は、処理制御部によって選択された処理手法に関する情報を表示部により表示するように表示態様を制御する。
【0161】
一構成例として、生体信号処理システムと、生体信号を計測する生体信号計測装置(本実施形態では、生体信号計測装置11)と、を備える生体信号計測システム(本実施形態では、生体信号計測システム1)である。
【0162】
なお、以上に説明した任意の装置における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、オペレーティングシステムあるいは周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーあるいはクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。当該揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)であってもよい。記録媒体は、例えば、非一時的記録媒体であってもよい。
【0163】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイルであってもよい。差分ファイルは、差分プログラムと呼ばれてもよい。
【0164】
また、以上に説明した任意の装置における任意の構成部の機能は、プロセッサーにより実現されてもよい。例えば、実施形態における各処理は、プログラム等の情報に基づき動作するプロセッサーと、プログラム等の情報を記憶するコンピューター読み取り可能な記録媒体により実現されてもよい。ここで、プロセッサーは、例えば、各部の機能が個別のハードウェアで実現されてもよく、あるいは、各部の機能が一体のハードウェアで実現されてもよい。例えば、プロセッサーはハードウェアを含み、当該ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路およびアナログ信号を処理する回路のうちの少なくとも一方を含んでもよい。例えば、プロセッサーは、回路基板に実装された1または複数の回路装置、あるいは、1または複数の回路素子のうちの一方または両方を用いて、構成されてもよい。回路装置としてはIC(Integrated Circuit)などが用いられてもよく、回路素子としては抵抗あるいはキャパシターなどが用いられてもよい。
【0165】
ここで、プロセッサーは、例えば、CPUであってもよい。ただし、プロセッサーは、CPUに限定されるものではなく、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)等のような、各種のプロセッサーが用いられてもよい。また、プロセッサーは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によるハードウェア回路であってもよい。また、プロセッサーは、例えば、複数のCPUにより構成されていてもよく、あるいは、複数のASICによるハードウェア回路により構成されていてもよい。また、プロセッサーは、例えば、複数のCPUと、複数のASICによるハードウェア回路と、の組み合わせにより構成されていてもよい。また、プロセッサーは、例えば、アナログ信号を処理するアンプ回路あるいはフィルタ回路等のうちの1以上を含んでもよい。
【0166】
以上、この開示の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0167】
1…生体信号計測システム、11…生体信号計測装置、12…生体信号処理システム、111…入力部、112…出力部、113…記憶部、114…制御部、131…生体信号取得部、141…表示部、151…区間特定部、152…生体信号処理部、153…表示制御部、171…区間分割部、172…周期特定部、191…処理制御部、192…処理実行部、201…生体信号、211…周期、231…第1期間、232…第2期間、233…第3期間、234…第4期間、235…第5期間、236…第6期間、301、601~602…計測部、311…センサ収容部、321…センサ、401、501~502、541~542…画面、402…スケール、411…上半身部、421…センサ位置、431、521~522、561~562…推定電流、621~622…センサ領域、2011~2012…心磁図信号、2021…心電図信号、2201、2211、2401、2411、2601、2611、3001…周波数フィルタ後信号群、531~532、571~572、2402、2412、2602、2612…付加情報、A1~A2…位置、B1~B2…区間、C1~C2…時刻、FB1、FB11~FB12…フィードバック
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