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特開2022-168647無線回線可視化装置及び無線回線可視化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168647
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】無線回線可視化装置及び無線回線可視化方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/27 20150101AFI20221031BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20221031BHJP
   H04B 17/30 20150101ALI20221031BHJP
【FI】
H04B17/27
G09B29/00 F
H04B17/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074259
(22)【出願日】2021-04-26
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.HDMI
(71)【出願人】
【識別番号】591164613
【氏名又は名称】株式会社NHKテクノロジーズ
(71)【出願人】
【識別番号】303049843
【氏名又は名称】株式会社加藤電気工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上林 洸生
(72)【発明者】
【氏名】河内 博司
(72)【発明者】
【氏名】平井 憲
(72)【発明者】
【氏名】黒沢 真一
【テーマコード(参考)】
2C032
【Fターム(参考)】
2C032HC22
2C032HC27
(57)【要約】
【課題】自局と相手局の間の無線回線を可視化する無線回線可視化装置及び無線回線可視化方法を提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、無線回線可視化装置は、第1の面内で回転可能な基台と、第1の面と直交する第2の面内で回転可能な状態で基台に取り付けられ、相手局の映像を撮影するカメラと、基台に固定され、カメラの方位を検出するための電波を受信する2つのアンテナと、表示部と、を具備する。表示部は、カメラが撮影した相手局の映像と、自局と相手局の少なくとも一方を含む地図と、を表示し、無線回線のフレネル半径を表す第1の円と自局のパラボラアンテナの設置位置からの距離と自局のパラボラアンテナの直径に応じた特定の範囲を表す第2の円を相手局の映像に重ねて表示し、自局と相手局を結ぶ第1の直線と2つのアンテナが受信した電波から計算されたカメラの方位を表す第2の直線を地図に重ねて表示する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自局と相手局の間の無線回線を可視化する無線回線可視化装置であって、
第1の面内で回転可能な基台と、
前記第1の面と直交する第2の面内で回転可能な状態で前記基台に取り付けられ、前記相手局の映像を撮影するカメラと、
前記基台に固定され、前記カメラの方位を検出するための電波を受信する2つのアンテナと、
前記カメラが撮影した前記相手局の映像と、前記自局と前記相手局の少なくとも一方を含む地図と、を表示し、前記無線回線のフレネル半径を表す第1の円と前記自局のパラボラアンテナの設置位置からの距離と前記自局のパラボラアンテナの直径に応じた特定の範囲を表す第2の円を前記相手局の映像に重ねて表示し、前記自局と前記相手局を結ぶ第1の直線と前記2つのアンテナが受信した電波から計算された前記カメラの方位を表す第2の直線を前記地図に重ねて表示する表示部と、を具備する無線回線可視化装置。
【請求項2】
前記表示部は、
前記第1の円と前記第2の円を互いに異なる色で表示し、
前記第1の直線と前記第2の直線を互いに異なる色で表示する、請求項1記載の無線回線可視化装置。
【請求項3】
前記表示部は、
前記自局と前記相手局の間の地形断面図も表示し、
前記自局と前記相手局とを結ぶ直線を前記地形断面図に重ねて表示する、請求項1又は請求項2記載の無線回線可視化装置。
【請求項4】
前記表示部は、
前記自局からの距離を表す指定するスライドバーも前記地形断面図に重ねて表示し、
前記スライドバーで指定された距離に基づいて前記フレネル半径を表示する、請求項3記載の無線回線可視化装置。
【請求項5】
前記表示部は、
前記カメラの方位を表す第1の数値と、前記自局の緯度と経度及び前記相手局の緯度と経度の差に基づいて計算された前記自局の前記相手局に対する方位を表す第2の数値と、前記相手局と前記自局の距離及び前記相手局の高さと前記自局の高さの差に基づいて計算された仰角を表す第3の数値も表示する、請求項1乃至請求項4のいずれか一項記載の無線回線可視化装置。
【請求項6】
第1の面内で回転可能な基台と、
前記第1の面と直交する第2の面内で回転可能な状態で前記基台に取り付けられ、相手局の映像を撮影するカメラと、
前記基台に固定され、前記カメラの方位を検出するための電波を受信する2つのアンテナと、を具備する電子装置により、自局と前記相手局の間の無線回線を可視化する無線回線可視化方法であって、
前記カメラが撮影した前記相手局の映像と、前記自局と前記相手局の少なくとも一方を含む地図と、を表示し、
前記無線回線のフレネル半径を表す第1の円と前記自局のパラボラアンテナの設置位置からの距離と前記自局のパラボラアンテナの直径に応じた特定の範囲を表す第2の円を前記相手局の映像に重ねて表示し、
前記自局と前記相手局とを結ぶ第1の直線と前記2つのアンテナが受信した電波から計算された前記カメラの方位を表す第2の直線を前記地図に重ねて表示する、無線回線可視化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線回線を可視化する無線回線可視化装置及び無線回線可視化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線回線を敷設する際、自局と相手局の間に障害物が無いことを確認する必要がある。従来、鏡を用いて反射光を目視することにより障害物の有無を判断していた。あるいは、相手局でバルーンを上げて、自局でそのバルーンを目視により確認することにより障害物の有無を判断していた。これらの手法では、送信側と受信側それぞれに作業者を配置する必要があり、人手がかかっていた。また、目視のため、天候による影響や相手局の位置を探すのに時間がかかっていた。さらに、相手局の位置を正確に認識することができず、その障害物がどこにあるかなど、障害物の所在を精度良く判断することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-279508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、無線回線を可視化する無線回線可視化装置及び無線回線可視化方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、無線回線可視化装置は、自局と相手局の間の無線回線を可視化する。無線回線可視化装置は、第1の面内で回転可能な基台と、第1の面と直交する第2の面内で回転可能な状態で基台に取り付けられたカメラと、基台に固定された2つのアンテナと、表示部と、を具備する。
カメラは、相手局の映像を撮影する。
2つのアンテナは、カメラの方位を検出するための電波を受信する。
表示部は、カメラが撮影した相手局の映像と、自局と相手局の少なくとも一方を含む地図と、を表示する。表示部は、無線回線のフレネル半径を表す第1の円と自局のパラボラアンテナの設置位置からの距離と自局のパラボラアンテナの直径に応じた特定の範囲を表す第2の円を相手局の映像に重ねて表示する。表示部は、自局と相手局を結ぶ第1の直線と2つのアンテナが受信した電波から計算されたカメラの方位を表す第2の直線を地図に重ねて表示する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態による無線回線可視化装置の一例を表すブロック図。
図2】実施形態による無線回線可視化装置の中のカメラユニットの一例の正面図。
図3】実施形態による無線回線可視化装置の中のカメラユニットの一例の側面図。
図4】実施形態による無線回線可視化装置の中のカメラユニットの一例の平面図。
図5】実施形態による無線回線可視化装置の表示画面の一例を表す図。
図6】実施形態による無線回線可視化装置の表示画面の一例を表す図。
図7】実施形態による無線回線可視化装置の使用例の一例を表すフローチャート。
図8】アンテナ架台の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、実施形態を説明する。以下の説明は、実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、実施形態の技術的思想は、以下に説明する構成要素の構造、形状、配置、材質等に限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各要素のサイズ、厚み、平面寸法又は形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、互いの寸法の関係や比率が異なる要素が含まれることもある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して重複する説明を省略する場合もある。いくつかの要素に複数の呼称を付す場合があるが、これら呼称の例はあくまで例示であり、これらの要素に他の呼称を付すことを否定するものではない。また、複数の呼称が付されていない要素についても、他の呼称を付すことを否定するものではない。なお、以下の説明において、「接続」は直接接続のみならず、他の要素を介して接続されることも意味する。
【0008】
以下、図面を参照しながら本実施の形態について詳細に説明する。
【0009】
図1は、実施形態による無線回線可視化装置10を含む無線回線可視化システムの一例を表すブロック図である。無線回線可視化装置10は、自局と相手局の間の無線回線を可視化する。無線回線は、マイクロ波回線を含む。マイクロ波回線は、STL(Studio to Transmitter Link)やTSL(Transmitter to Studio Link)を含む。無線回線可視化装置10は、自局のパラボラアンテナの設置予定場所に設置され、相手局へ向けられる。パラボラアンテナは、通常、鉄塔の上部に設置されるので、無線回線可視化装置10も鉄塔上部に設置される。また、無線回線可視化装置を地上に設置して、相手局の位置を簡易な方法で把握することもできる。設置方法は、図2図3図4を参照して後述する。
【0010】
無線回線可視化装置10は、カメラユニット12と演算・表示ユニット14を含む。演算・表示ユニット14は、ケーブルを介して、カメラユニット12に着脱自在に接続される。演算・表示ユニット14は、ネットワーク16を介してリモートのパーソナルコンピュータ18、例えば回線敷設会社の事務所に設置されたパーソナルコンピュータに接続されてもよい。ただし、無線回線可視化装置10のネットワーク接続は必須ではない。
【0011】
カメラユニット12は、カメラ22、GPSアンテナユニット24、傾斜計26、レーザー発光器28及びGPSコンパス32を備える。カメラ22、GPSアンテナユニット24、傾斜計26、レーザー発光器28及びGPSコンパス32は、共通の基台(図2図3図4参照)に取り付けられる。カメラユニット12は、水平面内と垂直面内で回転自在である。
【0012】
カメラ22は、相手局の映像を撮影する。マイクロ波の伝送距離は、通常は10kmから20kmであり、最長では50kmに及ぶので、カメラ22のレンズは高倍率、例えば400倍のズームレンズである。これにより、相手局までの回線上の障害物をカメラ映像で確認することができる。
【0013】
カメラ22は、複数の出力端子を備える。出力端子の例は、HDMI端子とUSB端子である。カメラ22が撮影した映像信号は、HDMI端子から出力され、演算・表示ユニット14に入力される。カメラ22のズーム倍率情報は、USB端子から出力され、演算・表示ユニット14に入力される。
【0014】
傾斜計26は、MEMSセンサを内蔵し、傾斜計26が載置される平面内の直交する2軸についての角度を同時に測定できる。傾斜計26は、カメラユニット12内で取り付けられる場所を変えることにより、カメラ22の仰角センサとして機能することや、カメラユニット12の水平を検出する水準器として機能することができる。傾斜計26は、測定結果を表示する表示部(図示せず)を有する。
【0015】
レーザー発光器28は、カメラ22の光軸と同じ方位にレーザー光を照射する。このレーザー光は、鉄塔又は局舎の方位を測定する際のガイドラインとして使用される。レーザー発光器28の使用方法の詳細は、後述する。
【0016】
GPSアンテナユニット24は、同一の筐体内に収納される第1アンテナ24aと第2アンテナ24bを有する。第1アンテナ24aと第2アンテナ24bは、測位衛星からの電波を受信する。第1アンテナ24aと第2アンテナ24bは、カメラ22の光軸に平行な直線上に配置される。
【0017】
第1アンテナ24aと第2アンテナ24bの受信信号は、GPSコンパス32に入力される。GPSコンパス32は、演算処理部34と表示部36を含む。第1アンテナ24aと第2アンテナ24bの受信信号は、演算処理部34に入力される。演算処理部34の例は、CPUである。表示部36の例は、液晶パネルである。図2図3図4に示すように、表示部36は、演算処理部34を収納する筐体の表面に設けられる。演算処理部34と表示部36は、着脱不可能な状態で接続される。
【0018】
演算処理部34は、第1アンテナ24aの受信信号と第2アンテナ24bの受信信号に基づいてカメラユニット12の緯度・経度と高度と方位を計算する。第1アンテナ24aと第2アンテナ24bは、カメラ22の光軸に平行な直線上に配置されているので、演算処理部34が計算する方位は、カメラ22の方位である。演算処理部34の計算結果は、表示部36で表示されるとともに、出力端子から出力される。出力端子の例は、RS422規格の端子である。
【0019】
カメラ22が撮影した映像信号は、HDMI端子から出力され、HDMI/USBコンバータ62を介してUSBハブ64に入力される。カメラ22のズーム倍率情報は、USB端子から出力され、USBハブ64に入力される。演算処理部34のRS422規格の端子から出力された計算結果は、RS422/USBコンバータ66を介してUSBハブ64に入力される。
【0020】
演算・表示ユニット14は、演算処理部42、表示部44、通信デバイス46及びUSBコネクタ48を含む。演算・表示ユニット14の例は、ノートパソコン、タブレットパソコン、モバイルパソコン等のモバイル機器である。表示ユニット14で表示される内容は、ネットワーク16をかいして、パソコン18で示されるような異なる場所に設定したパソコンやスマートフォンで表示することができる。演算処理部42の例は、CPUである。CPUは、メモリを内蔵する。表示部44の例は、タッチ検出機能付きの液晶パネルであってもよい。表示部44がタッチ検出機能を有していない場合、演算・表示ユニット14は、キーボード等の入力デバイスを別途含む。通信デバイス46の例は、無線LANデバイスである。USBコネクタ48は、バス52に接続される。演算処理部42、表示部44及び通信デバイス46も、バス52に接続される。USBコネクタ48は、USBハブ64に接続される。
【0021】
演算・表示ユニット14の演算処理部42は、USBコネクタ48を介して、カメラ22からの映像信号とズーム倍率情報を受信するとともに、GPSコンパス32からの計算結果を受信する。演算処理部42は、受信した情報を演算処理して、回線の状況を表す表示画面を生成する。演算処理部42が内蔵するメモリは、地図情報と地形断面情報を予め記憶している。表示画面は、表示部44で表示される。
【0022】
無線回線可視化装置10が設置される鉄塔の上部は狭いので、演算・表示ユニット14の表示部44は小型である可能性が高い。さらに、無線回線可視化装置10は屋外に設置されるので、表示部44の画面が見づらい可能性が高い。そのため、無線回線可視化装置10はネットワーク16に接続され、表示画面の情報がネットワーク16を経由して、事務所等の室内のパーソナルコンピュータ18に送信されてもよい。これにより、大型の表示部で、しかも室内の見やすい状態で回線の状況、すなわち伝搬路上の障害物の有無を確認することができる。
【0023】
図2は、第1実施形態による無線回線可視化装置10のカメラユニット12の一例の正面図である。図3は、カメラユニット12の一例の側面図である。図4は、カメラユニット12の一例の平面図である。
【0024】
カメラユニット12は、基台72を介して三脚74の上部の雲台76に固定される。雲台76は、水平面内で360度回転可能である。水平面をX-Y平面と称する。カメラユニット12の方位は、雲台76を水平面内で回転することにより、調整される。雲台76は、垂直面内で、所定角度、例えば+90度から-80度程度回転可能である。これにより、基台72は、水平面内と垂直面内で回転可能にカメラユニット12を保持する。
【0025】
基台72は、一体的に形成された水平板72aと垂直板72bを含む。水平板72aが雲台76に取り付けられる。垂直板72bは、水平板72aのX方向の特定の位置、例えば中央に位置する。垂直板72bは、Y-Z平面に配置される。
【0026】
カメラ22とGPSアンテナユニット24は、垂直板72bの両側にそれぞれ配置される。カメラ22は、L字型の取り付け具78の底板78aに取り付けられる。カメラ22は、光軸がY軸に平行に配置される。L字型の取り付け具78の側板78bは、垂直板72bに対して垂直面内で±数十度程度回転可能に取り付けられる。このため、カメラ22の仰角は、取り付け具78の側板78bを垂直板72bに対して垂直面内で回転することにより、調整される。取り付け具78の垂直面内の回転は、固定レバー78cにより固定される。
【0027】
GPSアンテナユニット24が水平板72aに取り付けられる。第1アンテナ24aと第2アンテナ24bは、Y軸に平行に配置される。
【0028】
このように、カメラ22とGPSアンテナユニット24は、同じ基台72に配置されることにより、一体化されている。
【0029】
傾斜計26が、取り付け具78の底板78aに取り付けられる。
【0030】
レーザー発光器28が、カメラユニット12の基台72に取り付けられる。
【0031】
レーザー発光器28とGPSコンパス32は、サムターンにより基台72の水平板72aに取り付けられており、取り外し可能である。
【0032】
図5は、演算・表示ユニット14の演算処理部42が作成し、表示部44が表示する表示画面の一例を表す。表示画面は、タイトルエリア102、日時・時刻エリア104、カメラ映像エリア106、情報エリア108、プロフィールエリア110、GPSエリア112、地図エリア114、相手局エリア116を含む。
【0033】
タイトルエリア102は、画面の上端部に位置し、回線名を表示する。回線名は、回線敷設業者により入力される。
【0034】
日時・時刻エリア104は、画面の上端部でタイトルエリア102の右側に位置する。
【0035】
カメラ映像エリア106、情報エリア108及びプロフィールエリア110は、画面の左側に位置する。GPSエリア112、地図エリア114及び相手局エリア116は、画面の右側に位置する。
【0036】
演算処理部42は、カメラ22から供給されるカメラ映像をカメラ映像エリア106に表示する。カメラ映像は、相手局を中心とする映像である。演算処理部42は、無線回線のフレネル半径を表す第1の円106aと自局のパラボラアンテナの設置位置からの距離と自局のパラボラアンテナの直径に応じた特定の範囲を表す第2の円106bをカメラ映像に重ねて表示する。第2の円106bは、例えば、パラボラアンテナのフリンジから20度の円錐範囲を表す。第1の円106aの半径は、伝搬路の位置(距離)に応じて変化する。第2の円106bの半径は、第1の円106aの半径より大きい。演算処理部42は、第1の円106aと第2の円106bを異なる色で表示する。例えば、演算処理部42は、第1の円106aを赤、第2の円106bを青で表示する。第1の円106aと第2の円106bの中心が相手局である。これにより、回線敷設業者は、カメラ映像を見て、第1の円106a内又は第2の円106b内に障害物が存在するか否かをカメラ映像に基づいて判断することができる。
【0037】
情報エリア108の内容を図6に示す。演算処理部42は、フレネル半径(m)、カメラ22の焦点距離(mm)、無線周波数(MHz)、フレネル半径の表示距離(m)、自局のパラボラアンテナの直径(m)、自局の標高(m)、自局のグランドライン(GL)(地面からの高さ)(m)、自局と相手局との距離(m)、相手局のパラボラアンテナの直径(m)、相手局の標高(m)、相手局のGL(m)及び自局と相手局との高低差(m)を情報エリア108に表示する。
【0038】
演算処理部42は、表示距離に基づいてフレネル半径を計算する。
【0039】
カメラ22の焦点距離の情報は、カメラ22から演算処理部42に供給される。
【0040】
無線周波数、自局のパラボラアンテナの直径及び相手局のパラボラアンテナの直径は、設定画面において回線敷設業者により入力される。
【0041】
フレネル半径を計算するための表示距離は、後述するプロフィールエリア110において回線敷設業者により入力される。
【0042】
自局の標高、自局のGL、自局と相手局との距離、相手局の標高、相手局のGL及び自局と相手局との高低差は、GPSコンパス32により求められる。
【0043】
演算処理部42は、自局と相手局の間の地形断面図110aをプロフィールエリア110に表示する。演算処理部42は、自局と相手局とを結ぶ破線の直線110bを地形断面図110aに重ねて表示する。これにより、回線敷設業者は、地形断面図110aに基づき回線上の障害物の有無を判断することができる。
【0044】
演算処理部42は、地形断面図110aの横軸(距離)に、フレネル半径を計算する表示距離を指定するスライドバー110cを表示する。スライドバー110cは、タッチ操作又はキーボードのカーソル操作により、移動される。自局から地点Aまでの距離(表示距離)をd1(m)とし、地点Aから相手局までの距離をd2(m)とし、無線周波数をf(MHz)とすると、地点Aにおけるフレネル半径rは以下で求められる。
【0045】
r=((300/f)×((d1+d2)/(d1×d2)))1/2 式1
カメラ映像及び第1の円106aの半径と第2の円106bの半径は、カメラの焦点距離と表示距離に応じて変化する。
【0046】
演算処理部42は、受信計算ボタンもプロフィールエリア110に表示する。受信計算ボタンがタッチあるいはクリックされると、相手局の受信レベル(dB)の計算画面に切り替わる。計算画面上で、送信パワーと送信アンテナのゲインとが入力される。演算処理部42は、自局と相手局との距離、送信パワー、送信アンテナのゲイン、受信アンテナのゲイン及び使用する無線周波数に基づき受信レベルを計算する。
【0047】
演算処理部42は、自局の方位112a、仰角112b、緯度112c及び経度112dをGPSエリア112に表示する。自局の方位112a、仰角112b、緯度112c及び経度112dはGPSコンパス32により計算される。
【0048】
演算処理部42は、相手局の方位112eと仰角112fを自局の方位112aと仰角112bの右側にそれぞれ表示する。演算処理部42は、自局と相手局の緯度と経度に基づいて相手局の方位112eを計算する。演算処理部42は、自局と相手局の高低差と距離に基づいて相手局の仰角112fを計算する。
【0049】
演算処理部42は、相手局の方位112eの下にOKマークと左右の矢印マークを表示する。演算処理部42は、相手局の仰角112fの下にOKマークと上下の矢印マークを表示する。
【0050】
回線敷設業者は、カメラユニット12の方位と仰角を相手局の方位と仰角に合わせるように、雲台76と取り付け具78を回転する。これらが一致すると、カメラ映像の中心が相手局と一致する。
【0051】
演算処理部42は、ロール(ROL)、ピッチ(PIT)、高さ(Height)、ジオイド(Geoid)、捕捉されたGPS衛星数、OKマーク及び精度もGPSエリア112に表示する。捕捉されたGPS衛星数が4以上の場合、OKマークが表示される。図5は、6個の衛星が補足され、精度が2.3である例を示す。精度は値が小さい程高精度を示す。GPSコンパス32により計算される高さは、地球を仮想的に表した地球楕円体から測位点までの高さ(楕円体高)である。一方、ジオイドは平均海面を陸地の内部に延長した面から測位点までの高さである。多数の標準点のジオイドは予め定められている。楕円体高からジオイドを減算すると、標高が求められる。
【0052】
演算処理部42は、自局114aと相手局114bの少なくとも一方を含む地図を地図エリア114に表示する。演算処理部42は、自局114aと相手局114bを結ぶ回線ルートを表す実線の直線114cと自局の方位を表す破線の直線114dを地図に重ねて表示する。演算処理部42は、実線の直線114cと破線の直線114dを異なる色で表示する。例えば、演算処理部42は、実線の直線114cを青で、破線の直線114dを橙色で表示する。地図の表示倍率と表示位置は変更可能である。
【0053】
回線敷設業者は、破線の直線114dが実線の直線114cに重なるように雲台76を回転する。これらが一致すると、カメラ22の方位が相手局の方位と一致する。
【0054】
演算処理部42は、相手局の緯度と経度を相手局エリア116に表示する。演算処理部42は、自局中心ボタン、相手局中心ボタン、設定ボタンも相手局エリア116に表示する。地図が拡大されると、自局が地図から外れる場合がある。この時、自局中心ボタンがタッチ又はクリックされると、自局が地図上に表示されるように地図の表示位置がシフトされる。表示位置がシフトされると、相手局が地図から外れる場合がある。この時、相手局中心ボタンがタッチ又はクリックされると、相手局が地図上に表示されるように地図の表示倍率が変更される。設定ボタンがタッチ又はクリックされると、種々の設定のための画面が表示される。
【0055】
図7は、無線回線可視化装置10の使用例を示すフローチャートである。
【0056】
既存の相手局との間にマイクロ波回線を敷設するために、回線敷設業者は、自局の局舎を建設し、局舎の屋上にパラボラアンテナを設置するための鉄塔を建設する。鉄塔は局舎の屋上以外に建設されてもよい。回線敷設業者は、鉄塔上のパラボラアンテナの設置予定場所に三脚74を配置し、三脚74に無線回線可視化装置10を設置する。鉄塔上に三脚74を配置するスペースがない場合は、回線敷設業者は、雲台76を三脚74から取り外し、雲台76を鉄塔の柱に直接固定してもよい。回線敷設業者は、傾斜計26の表示を見て、カメラユニット12が水平になるように雲台76の向きを調整する。
【0057】
マイクロ波回線を敷設する際、パラボラアンテナは、鉄塔に直接取り付けられるのではなく、アンテナ架台に一旦取り付けられ、アンテナ架台が鉄塔に設置される。アンテナ架台は、パラボラアンテナの方位を調整可能であるが、調整可能角度には上限がある。相手局の方位が調整可能角度範囲外になると、アンテナ架台を設計し直さなければならない。そのため、回線敷設業者は、アンテナ架台を設計する際、鉄塔の方位を考慮する必要がある。
【0058】
回線敷設業者は、先ず鉄塔の方位を測定する(S102)。具体的には、回線敷設業者は、レーザー発光器28からレーザー光を照射させ、レーザー光が鉄塔の一辺と同じ方位となるようにカメラユニット12を水平面内で回転する。鉄塔と局舎の方位が同じである場合は、レーザー光が局舎の一辺と同じ方位となるようにカメラユニット12を水平面内で回転してもよい。この時、GPSコンパス32により計算される方位は、鉄塔の一辺の方位となる。これにより、鉄塔の方位が測定される。
【0059】
回線敷設業者は、表示部44に表示される表示画面内の自局の方位112aを読み取る。回線敷設業者は、測定した方位を考慮して、アンテナ架台を設計・製作する(S104)。
【0060】
図8は、アンテナ架台の一例を示す。図8(a)は、アンテナ架台の側面図である。図8(b)は、アンテナ架台の平面図である。鉄塔の上部の床面に垂直柱部202が設置される。垂直柱部202の上部に水平腕部204が取り付けられる。水平腕部204の先端に、パラボラアンテナ206が取り付けられる。垂直柱部202の正面に対する水平腕部204の取り付け角度は任意の角度に設定可能である。これにより、パラボラアンテナ206を相手局の方位に向けて設置することができる。
【0061】
回線敷設業者は、次に、カメラ22で相手局を撮影する。相手局の位置は、演算・表示ユニット14の表示部44の表示画面(図5参照)内のカメラ映像エリア106、方位110e、仰角112f及び地図エリア114上の直線114dから確認できる。回線敷設業者は、カメラ映像の中心が相手局と一致するように、基台72と取り付け具78を調整する。回線敷設業者は、基台72を水平面内で回転することによりカメラ22の方位を調整し、取り付け具78を垂直面内で回転することによりカメラ22の仰角を調整する(S106)。仰角は、GPSエリア112に表示されている仰角112b、112fの数値が一致するように調整する。方位は、GPSエリア112に表示されている方位112a、112eの数値が一致するように調整してもよいし、地図エリア114に表示されている自局114aと相手局114bを結ぶ回線ルートを表す実線の直線114cと自局の方位を表す破線の直線114dが一致するように調整してもよい。このように、地図上の方位を示す直線が表示されているので、方位の調整が容易になる。
【0062】
方位と仰角の調整によりカメラ映像の中心を相手局と一致させた後、回線敷設業者は、プロフィールエリア110に表示されている地形断面図110aの横軸上のスライドバー110cを左右に移動して、表示距離d1を指定する(S108)。演算処理部42は、自局と相手局との距離から表示距離d1を減算して距離d2を求め、これらの表示距離d1、距離d2及び無線周波数fとを用いて、式1に基づき表示距離d1におけるフレネル半径を計算する。演算処理部42は、自局のパラボラアンテナの直径に基づいて、アンテナのフリンジから20度の円錐範囲を計算する。演算処理部42は、第1の円106aと第2の円106bをカメラ映像エリア106に表示される相手局のカメラ映像に重ねて表示する。
【0063】
回線敷設業者は、これらの円106a、106b内に障害物が写っているか否かを目視により確認する(S110)。なお、回線敷設業者は、プロフィールエリア110に表示される地形断面図110aと直線110bとに基づいて伝搬路上に障害物があるか否かを目視により確認してもよい。
【0064】
回線敷設業者は、自局と相手局の間で目視確認していない距離があれば(S112のノー)、表示距離を変更して(S108)、目視確認を継続する(S110)。回線敷設業者は、自局と相手局の間の全ての距離で目視確認している場合(S112のイエス)は、処理を終了する。
【0065】
上述したように、実施形態による無線回線可視化装置は、カメラ22とGPSコンパス32が一体化されている。マイクロ波回線を敷設する際、GPSコンパス32で測定した方位に基づき、相手局の位置に正確にカメラ22を向け、映像で相手局までの間にマイクロ波回線に対する障害物が存在するか否かを確認することができる。GPSコンパス32を用いているので、相手局の方位を正確に測定することができ、相手局のカメラ映像を正確に撮影することができる。
【0066】
マイクロ波回線の伝送距離は、通常は10kmから20km、最長では50kmに及ぶので、相手局は望遠鏡でも確認することが困難な場合が殆どである。しかし、可視化装置を用いることにより、相手局の位置(方位、仰角)を正確に特定することができる。相手局の位置が特定できると、その方向を高倍率のズームレンズを用いたカメラ22で撮影することにより、マイクロ波回線の途中に障害物があるか否かを映像に基づいて確認することができる、
マイクロ波回線の途中に障害物があるか否かの判断を行う場合、フレネル半径内に障害物がないことと、パラボラアンテナのフリンジから20度の円錐領域内に障害物がないことを確認する必要がある。可視化装置は、これらの範囲をカメラ映像に重ねて表示させることにより、回線敷設業者は、マイクロ波回線の途中に障害物があるか否かの判断が容易にできる。
【0067】
フレネル半径やフリンジから20度の円錐領域は、自局からの距離に応じて変化するので、可視化装置では、プロフィールエリア110上で距離の指定を行うことができる。
【0068】
プロフィールエリア110では、自局と相手局とを結ぶ破線の直線110bが地形断面図110aに重ねて表示される。これにより、カメラ映像のみではなく、相手局までの伝搬路上に山岳やビルなどの障害物があるか否か地形断面図110aによっても確認できる。
【0069】
地図エリア114では、実際の回線ルートとカメラの方位を異なる色の直線と破線で表示されており、二本の直線が一致するようにカメラの方位を調整することにより、カメラ22の方位を正確に相手局の方位に、地図上で合わせ込むことができる。
【0070】
実施形態の無線回線可視化装置は、ネットワーク16を介して、リモートのパーソナルコンピュータ18で表示画面を表示させることができる。このため、鉄塔上部で撮影したカメラ映像を地上のパーソナルコンピュータ1で確認することができ、狭い場所で撮影したカメラ映像を地上のPCを用いて大人数で共有することができる。
【0071】
カメラユニット12は、レーザー発光器28を備え、レーザー光と鉄塔又は局舎(建物)の一辺の方位が相手局の方位と一致するように、カメラの水平角を調整することにより、建物の一辺の方位を容易かつ正確に知ることができる。建物の一辺の方位が分かると、鉄塔の一辺の方位もわかる。鉄塔の方位に基づいて、パラボラアンテナ架台を設計すると、パラボラアンテナの方位の調整に失敗することがない。
【0072】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10…無線回線可視化装置、12…カメラユニット、14…演算・表示ユニット、16…ネットワーク、22…カメラ、24…GPSアンテナユニット、26…傾斜計、28…レーザー発光器、32…GPSコンパス、42…演算処理部、44…表示部、46…通信デバイス、48…USBコネクタ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8