(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168652
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】テーブル
(51)【国際特許分類】
A47B 3/08 20060101AFI20221031BHJP
A47B 3/091 20060101ALI20221031BHJP
A47B 7/02 20060101ALI20221031BHJP
A47B 91/06 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
A47B3/08 C
A47B3/091 A
A47B7/02 Z
A47B91/06
A47B3/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074269
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】500362361
【氏名又は名称】山田 俊影
(74)【代理人】
【識別番号】110002996
【氏名又は名称】特許業務法人宮田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 俊影
【テーマコード(参考)】
3B053
3B069
【Fターム(参考)】
3B053GA05
3B053GA12
3B053JA00
3B069CA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】組立および折りたたみを簡単に行い、省スペースで収納可能なテーブルの提供する。
【解決手段】前後方向に延伸するラックギア8aを有する一対のスライド材8、8を裏面に備えた天板1と、天板を支持する一組の脚部2、2とを有したテーブルであって、脚部は、床面に対して水平なキャスター3付き足台2bと、足台の後端側に垂直に取り付けられて天板を支持している柱2aとを備え、足台には、ヒンジ6が設けられてあって、該ヒンジを中心に足台の前端部が曲折可能であり、各柱の上端部には、ラックギアと歯合するピニオンギア9と、ラックギアを有したスライド材8に分離不能に嵌装されて且つ、該スライド材が摺動可能な回転台13とが回転軸10によって支承されており、天板は、裏面に設けられたラックギアと、柱の上端部のピニオンギアと、回転台とによって水平方向および柱の後側に沿った鉛直方向間を移動可能であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延伸するラックギアを有する一対のスライド材を裏面に備えた天板と、前記天板を支持する一組の脚部と、を有したテーブルであって、
前記脚部は、床面に対して水平なキャスター付き足台と、前記足台の後端側に垂直に取り付けられて前記天板を支持している柱と、を備え、
前記足台には、ヒンジが設けられてあって、該ヒンジを中心に足台の前端部が曲折可能であり、
各前記柱の上端部には、前記ラックギアと歯合するピニオンギアと、前記ラックギアを有した前記スライド材に分離不能に嵌装されて且つ、該スライド材が摺動可能な回転台と、が回転軸によって支承されており、
前記天板は、裏面に設けられた前記ラックギアと、前記柱の上端部の前記ピニオンギアと、前記回転台と、によって水平方向および前記柱の後側に沿った鉛直方向間を移動可能であることを特徴とするテーブル。
【請求項2】
前後方向に延伸するラックギアを有する一対のスライド材を裏面に備えた天板と、前記天板を支持する脚部と、を有したテーブルであって、
前記脚部は、床面に対して水平なキャスター付き足台と、前記足台の後端側に垂直に取り付けられて前記天板を支持している柱と、を備え、
前記足台は、1本の棒状部材を2箇所曲折したものであって、その両端部が側方へ末広がり状に開脚しており、
各前記柱の上端部には、前記ラックギアと歯合するピニオンギアと、前記ラックギアを有した前記スライド材に分離不能に嵌装されて且つ、該スライド材が摺動可能な回転台と、が回転軸によって支承されており、
前記天板は、裏面に設けられた前記ラックギアと、前記柱の上端部の前記ピニオンギアと、前記回転台と、によって水平方向および前記柱の後側に沿った鉛直方向間を移動可能であることを特徴とするテーブル。
【請求項3】
前記回転軸が各前記柱間に軸架されてあって、
該回転軸を係止するストッパー部が前記天板の裏面に備えられており、
該ストッパー部が、前記回転軸を係止することで前記天板の水平方向の移動を抑止するものであって、
前記ストッパー部は、前記回転軸を係止する係止材と、前記係止材の後端を前記天板に固定する係止材受け台と、前記係止材を上下方向に付勢するバネと、前記バネを下側から支持し前記天板の裏面に固定される第一バネ受け台と、前記係止材と前記バネとの間に位置した第二バネ受け台と、を備えており、
前記係止材を下方に移動させることによって、前記回転軸が前記係止材から脱落し、前記天板を移動可能とすることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のテーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板がスライドするテーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来における何らかの物品を載置するテーブルや机は、文献1に示すように脚を天板裏面に沿って折り畳むことが出来るものが多く、天板の重さによっては片付けに多大な労力を要することもある。一方、文献2のように、天板を何らかの家具に取り付けてスライド可能で且つ収納自在なテーブルに関する発明も提案されているが、あくまで何らかの家具に付属するテーブルであって、その強度や耐荷重はある程度重量の大きいものが載置可能な程ではない。
【0003】
また、文献1をはじめとした脚を天板の裏面に向けて折りたたむテーブルにおいては、鉄製の脚に生じた錆の所為で可動部が動きにくくなることによって、折りたたむ際に必要以上に勢いがついてしまい天板の裏面と脚で指を挟んでしまったり、折りたたみ後の運搬は持ち上げて行う必要があるため運び手が二人以上になったりしている。加えて、天板の重さによっては多大な労力だけでなく、重さに耐えきれず持ち上げたテーブルを落下させてしまう虞があり、落下の衝撃で怪我をしてしまうことも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平11―505461
【特許文献2】特許第5982152号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は上記事情に鑑み、天板の重さに依らず簡単に且つコンパクトに収納することが出来るテーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前後方向に延伸するラックギアを有する一対のスライド材を裏面に備えた天板と、前記天板を支持する一組の脚部とを有したテーブルであって、前記脚部は、床面に対して水平なキャスター付き足台と、前記足台の後端側に垂直に取り付けられて前記天板を支持している柱とを備え、前記足台には、ヒンジが設けられてあって、該ヒンジを中心に足台の前端部が曲折可能であり、各前記柱の上端部には、前記ラックギアと歯合するピニオンギアと、前記ラックギアを有した前記スライド材に分離不能に嵌装されて且つ、該スライド材が摺動可能な回転台と、が回転軸によって支承されており、前記天板は、裏面に設けられた前記ラックギアと、前記柱の上端部の前記ピニオンギアと、前記回転台とによって水平方向および前記柱の後側に沿った鉛直方向間を移動可能であることを特徴とする。
【0007】
前後方向に延伸するラックギアを有する一対のスライド材を裏面に備えた天板と、前記天板を支持する脚部とを有したテーブルであって、前記脚部は、床面に対して水平なキャスター付き足台と、前記足台の後端側に垂直に取り付けられて前記天板を支持している柱とを備え、前記足台は、1本の棒状部材を2箇所曲折したものであって、その両端部が側方へ末広がり状に開脚しており、各前記柱の上端部には、前記ラックギアと歯合するピニオンギアと、前記ラックギアを有した前記スライド材に分離不能に嵌装されて且つ、該スライド材が摺動可能な回転台とが回転軸によって支承されており、前記天板は、裏面に設けられた前記ラックギアと、前記柱の上端部の前記ピニオンギアと、前記回転台とによって水平方向および前記柱の後側に沿った鉛直方向間を移動可能であることを特徴とする。
【0008】
前記回転軸が前記各柱間に軸架されてあって、該回転軸を係止するストッパー部が前記天板の裏面に備えられており、該ストッパー部が、前記回転軸を係止することで前記天板の水平方向の移動を抑止するものであって、前記ストッパー部は、前記回転軸を係止する係止材と、前記係止材の後端を前記天板に固定する係止材受け台と、前記係止材を上下方向に付勢するバネと、前記バネを下側から支持し前記天板の裏面に固定される第一バネ受け台と、前記係止材と前記バネとの間に位置した第二バネ受け台とを備えており、前記係止材を下方に移動させることによって、前記回転軸が前記係止材から脱落し、前記天板を移動可能とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によると、天板裏面に位置するラックギアに、柱の上端部に位置するピニオンギアが歯合していることで、ピニオンギアの回転によってラックギアと、前記ラックギアを備えた天板が前後方向に移動することが出来る。また、天板は後方に移動した後、ピニオンギアと回転台とを支承する回転軸によって後方に倒れるように移動して直立するため、テーブルを簡単に且つコンパクトに折りたたむことが出来る。さらに、足台の前端部も折りたたむことで、より省スペースで収納することが出来るため、物が多く手狭な部屋などに置いておく際もちょっとした小空間や、物品同士の隙間等に仕舞えば邪魔にならない。
【0010】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明とほぼ同様の構成としつつも、前記足台を1本の棒状部材を2箇所曲折したものとすれば、曲折した両端部をそれぞれ請求項1に記載の足台として利用でき、前記脚部の製造に必要な部品数やコストを抑えて安価に製造することが可能になる。また、該足台の両端部が側方へ末広がり状に開脚していることにより、前記天板を折りたたんで収納する際にショッピングカートのように本発明のテーブルを複数台詰めて収納することが出来る。すると、会議室や食堂等多くのテーブルが必要になる部屋では、テーブル不使用時に天板を折りたたんだ状態で詰めて並べておけば部屋の掃除がし易くなるうえ、詰めて並べた状態のまま複数のテーブルを移動させることが出来るため、必要な数だけ一度に運搬することでテーブルのセッティングをより早く効率的に行うことも可能である。
【0011】
請求項3の発明によれば、天板を支持する一組の前記柱に回転軸を軸架し、該回転軸を係止する動作抑止機構であるストッパー部を天板裏面に設けることによって、天板が水平方向に移動するのを抑止することが出来る上、天板表面からは見えない裏面にストッパー部を設けたことによってテーブルの意匠性を高めることが出来る。また、回転軸を係止材から脱落させた後、バネの付勢力を利用して係止材を元の場所に復元することを簡単に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のテーブルの全体を示した図であり、(a)は上から見た斜視図で、(b)は下から見た斜視図である。
【
図2】本発明のテーブルの天板裏面の拡大図であり、(a)は柱上端部の内側面の拡大図で、(b)は柱上端部の外側面の拡大図である。
【
図3】本発明のテーブルの天板裏面に設けたストッパー部の拡大図である。
【
図4】本発明のテーブルの柱上端部を正面視した際の概略図である。
【
図5】天板の動作を側面から見た際の説明図である。
【
図6】ストッパー部の動作を側面から見た際の説明図である。
【
図7】本発明のテーブルの動作を示した説明図である。
【
図8】本発明のテーブルにおいて、その他の実施の形態を示した図であって、(a)は足台を末広がり状に開脚させており、(b)は天板を背板が付属した座面に変更した椅子としての実施の形態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下より、本発明のテーブルの実施の形態について詳説する。
本実施の形態においてテーブルは、
図1(a)および(b)に示すように、平板状の天板1と、前記天板を支持する2つの略L字状の脚部2、2と、前記脚部2を床面上で自在に移動可能とする複数のキャスター3とを備えている。なお、本発明において前後左右とは
図1に示す方向とする。
【0014】
前記天板1は、
図1(a)に示すように、その表面は平滑であり、後端部には裏面まで貫通するボタン孔1aが、中心付近には複数の天板ボルト孔1bが設けられている。一方、
図1(b)に示すように、その裏面には後端部にストッパー部14と、前後方向に延伸する略直方体形状のスライド材8を左右2箇所に備えており、該スライド材8に設けられたボルト孔8cおよび前記天板ボルト孔1bを介してボルト21、ナット22および座金23によってスライド材8が固定されている。(
図2(a)および
図4参照)加えて、スライド材8は1箇所あたり2本連結して設けてある上、天板1の裏面にはスライド材8の幅および2本分の長さに応じた図示しない深さ約2mmの溝が設けてある。これによって、スライド材8を天板1の裏面に取り付けると、スライド材8が天板1の裏面に僅かに嵌装するため、天板1の裏面においてスライド材8がよりずれ難くなる。このスライド材8は、
図2(a)および(b)に示すように、断面L字形の略直方体状の棒状部材であり、前述のとおり1箇所につき2本連結してあって、裏面にはラックギア8aが、側面には案内溝8bがそれぞれ全面に渡って設けられている。なお、前記スライド材8の固定には、ボルト21ではなく木ねじを使用しても良い。
【0015】
天板1を支える前記脚部2は、
図1(a)および(b)に示すように、床面に対して平行な足台2bと、前記足台2bに垂直に取り付けられた柱2aとを有している。2本の柱2a、2a間は、上下方向の2箇所において、梁4及び補強材5によって補強が施されており、当該梁4及び補強材5は、2本の前記柱2a、2aの対向する側面にボルト21、ナット22および座金23によって取付けられた固定板7に溶接等で固着している。(
図4参照)また、2本の足台2b、2b間も同様に梁4及び補強材5を固着した固定板7が前端部に設けられている。
また、
図2(a)、(b)および
図4に示すように、前記柱2aの上端部の側面には、前記スライド材8に設けられたラックギア8aに歯合するピニオンギア9と、同じく前記スライド材8に設けられた案内溝8bに嵌合するカムフロア12を前後方向に2つ有した回転台13とがそれぞれ設けられている。2本の柱2a、2aの対向する側面にそれぞれ設けられた前記ピニオンギア9、9及び前記回転台13、13は、柱2a、2a間に軸架された回転軸10によって支承されている(
図1(b)参照)。当該回転軸10は、前記ピニオンギア9、回転台13および柱2aをそれぞれ貫通しており、これらに加えて回転軸10が滑らかに回転するよう柱2aを挟んでベアリング24、24が備えてある。このうち、前記回転台13と、前記柱2aとの間に挟入する前記ベアリング24は、前記回転台13に嵌着されている。また、前記回転軸10は、柱2aの反対側面にその端部が突出しており、柱2aの側面にそれぞれ前記ベアリング24を受けるベアリング受け25、25と、回転軸10の抜けが生じないようセットカラー11、11とを取り付けて固定している。
【0016】
前記回転台13は、
図2、
図4および
図5に示すように、側面視略丁字状の部材であって、前記スライド材8の側面に沿って前後方向に延伸し、その上部には2つのカムフロア12、12が備えてあり、後端部は前記柱2aの後方に向かって突出している。また、前記柱2aの側面に沿って上下方向に延伸する下部は、前記ピニオンギア9と共に回転軸10によって支承されている。そして、前記回転台13の上部が柱2aの上端部を半分ほど覆うように柱2aの側面から覆設されている。(
図4参照)
【0017】
一方、足台2bは、
図1に示すように、前記柱2aと同等の太さを有した棒状の部材であるが、柱2aとの接続部の前方にヒンジ6を備えてあって、足台2bの前方部を柱2a側に折りたたむようにして回動させることが出来る。また、前記柱2aと前記足台2bの接続箇所には補強材5がそれぞれ設けられている。このうち、前記足台2bのヒンジ6付近に設けられた曲折補強材5aは、その他の補強材5と同様に、前記柱2aと前記足台2bの接続部の補強を担うものであるが、前述のとおり足台2bの前方部を折り曲げる際には前記曲折補強材5aの中央部に設けられたヒンジ6によって曲折することができ、足台2bを折りたたむことでテーブルをよりコンパクトに収納することが出来る。
【0018】
また、前記ストッパー部14は、
図3および
図6に示すように、係止材15と、前記係止材15の後端部を天板1の裏面に固定させる平板状の部材である係止材受け台20と、前記係止材15を上下方向に付勢するバネ17と、前記係止材受け台20よりも前方に位置し前記バネ17を下方から支持する第一バネ受け台18と、前記係止材15を嵌挿できる溝を上面に有し前記バネ17を前記第一バネ受け台18とで挟持する第二バネ受け台19とを備えており、天板1の後端部に設けられたボタン孔1aの直下付近に位置している。
【0019】
前記ストッパー部14を構成する部材のうち、係止材15は、後端が前記係止材受け台20に固定され前記ボタン孔1aの直下で下方に向かって垂直に曲折する鉤状柄15bと、前記鉤状柄15bに連接し前端部に釣り針の返しのような突起を有した係止片15aとを備えており、前記回転軸10が当該係止片15aに引っかかることによって天板1の前後方向の滑動を抑止することが出来る。(
図6(a)参照)また、鉤状柄15bにおいて、その最後端は、前記係止材受け台20に備えられた半円状の2つの支持材20a、20a間に嵌挿されており、ピン20bによって回動可能に支持されている。加えて、鉤状柄15bの曲折箇所つまりボタン孔1aの直下には、上方に突出したボタン16を備えており、当該ボタン16を天板1に設けられたボタン孔1aを介して上から前記ボタン16を押圧することによって、係止材15は鉤状柄15bの最後端を支点にして上下方向に回動することが出来る。この時、係止材15の下方には、第一バネ受け台18および第二バネ受け台19に挟持されたバネ17が設けられているため、係止材15の動作はバネ17の付勢力によって勢いづいている。しかし、鉤状柄15bに設けられた押止突起15cが天板1の裏面に当接するため、ボタン16が天板1の表面から突出することは無い。(
図6(a)および(c)参照)
【0020】
次に、本実施の形態における天板1およびストッパー部14の動作について、
図5、
図6および
図7に基づいて詳説する。
まず、天板1の後端部に設けられたボタン孔1aを介して露出しているボタン16を指等で下方に向かって押圧する。(
図7(a)参照)すると、ストッパー部14の係止材15が係止材受け台20を支点として下方に回動し、係止片15aに係止されていた回転軸10が脱落して天板1の固定が解除される。(
図6(a)~(b)参照)回転軸10の脱落後は、バネ17の付勢力によって係止材15は元の状態に戻る。(
図6(c)参照)
次に、天板1を後方に向かって押動させると(
図7(a)~(b)参照)、天板1の裏面に設けられたスライド材8のラックギア8aに歯合する柱2aの側面に設けられたピニオンギア9が後方側に回転し、ラックギア8a上を移動する。(
図5(a)~(b)参照)この時、ピニオンギア9の移動と同時に、回転台13に設けられた2つのカムフロア12、12も嵌合する案内溝8bを滑動しており、ピニオンギア9とラックギア8aの歯合がずれてしまうのを防いでいる。ラックギア8aはピニオンギア9の回転に釣られて徐々に後方へ移動し、該ラックギア8aを有したスライド材8を備えた天板1も後方に向かって滑動する。(
図7(a)~(b)参照)
次に、スライド材8の案内溝8bを移動する2つのカムフロア12、12のうち、前方に配置されたカムフロア12が案内溝8bの前端に到達すると、スライド材8はそれ以上後方に滑動しなくなる。(
図5(b)参照)しかし、前記ピニオンギア9と前記回転軸10の回転運動は抑止されないため、天板1は回転軸10を支点として後方に回動して垂直に直立した状態を呈する。(
図5(c)~(d)および
図7(c)参照)この時、回転台13の上部は、
図5(d)に示すように、柱2aの後方に突出した部分が柱2aの後面に当接するため、天板1の回動が抑止される。
最後に、足台2bの前方端を持ち上げて柱2a側に押し倒せば、足台2bのヒンジ6を支点にして足台2bが曲折してテーブルの折りたたみが完了する。(
図7(c)~(d)参照)なお、テーブル使用の際には、上記手順を逆に辿ることで組立が完了する。
【0021】
このように構成され、動作するテーブルであれば、従来のテーブルのように脚を天板裏面に向けて折りたたむことが無いため、天板と脚で手を挟んでしまう虞が無い。加えて、足台2bの前端部も柱2a側に折りたたんで
図7(d)のような形状にすることでよりコンパクトにすることでき、物が多くて狭い部屋であってもその限られた空間内で収納する余地を十分に確保することが可能である。また、本発明のテーブルは、天板1を後方に回動させて鉛直方向にコンパクトに折りたたむものであって、コンパクトに折りたたんだ後であってもテーブルは自立しているため、運搬する際には運び手1人でテーブルを押して脚部2に備えたキャスター3によって床面を自在に且つ簡単に移動させることが出来る。また、テーブルが自立していることにより持ち上げて運搬する必要が無く、運搬途中でテーブルを落下させて怪我をする虞も無い。
【0022】
また、本発明のテーブルは、天板1の動作抑止機構を天板裏面に固定していることによって煩雑な機構が表面に露出していないため、テーブルの意匠性を高めることが出来る。
【0023】
また、テーブルの他の実施の形態として、足台2bを
図8(a)に示すように、1本の金属パイプを2箇所曲折して一体的に形成したものとしても良い。この時、金属パイプの曲げ具合において、パイプの両端部が側方へ末広がり状に開脚するよう緩く曲折することによって、足台2bの前端部が後方よりも拡開した平面視略ハの字状を呈するため、天板1を折りたたんだ状態でショッピングカートのように、本発明のテーブルを白抜き矢印の方向へ複数台詰めて並べることが出来る。すると、多くのテーブルが必要になる会議室や食堂等であれば、部屋の掃除の際に詰めて並べた状態で部屋の隅にまとめておくことで邪魔にならない上に、複数のテーブルを一気に移動させることも出来るため、部屋の掃除がし易くなる。なお、この場合は、上述の実施の形態のように足台2bの前端部を柱2a側に回動させて折りたたむことは出来ないが製造に掛かる手間や部品が圧倒的に少なく、より安価に且つ簡易に製作可能である。
【0024】
また、本発明のテーブルをベッドサイドテーブルとして利用することも可能である。この場合、テーブルランプだけでなく掛け布団や毛布をも置くことができ、日々の起床後に布団の上げ下げを容易に行うことが出来る。ベッド利用者は、掛け布団や毛布は日々片付けるという観念が無い傾向が高い事に加えて、片付ける空間を確保し難いことが多く見られる。ゆえに、掛け布団や毛布は常にベッド上に敷きっぱなしになっている場合が多々見られるが、本発明のテーブルを利用すれば、寝室の空きスペースをさほど圧迫することが無い上に、掛け布団や毛布を押し入れやクローゼットに仕舞い込む必要が無いため、手軽に片付けスペースを確保することが出来る。それに伴い、日々起床後にベッドから掛け布団や毛布を積極的に片付ける事に意識が向き、ベッドの万年床化を防止することが期待される、つまりベッドのカビやダニ等の発生を抑え衛生的な寝環境を整えることが出来る。
【0025】
また、テーブルの他の実施の形態として、ストッパー部14の係止材15のボタン16を設けない方法も可能である。この場合、係止片15aや鉤状柄15bに下方牽引用の紐等を取り付けることで、係止材15を下方に回動させる機構を備えることが出来る。また、ボタン16の廃止により天板1のボタン孔1aは設けなくとも良いため、天板1上に物を載置した際に生じ得るボタン16の誤押を防ぐことが出来る。あるいは、前記係止材15を上下逆転させたものであれば、係止片15aは下向きに凸状となるため、前述のような係止材15を下方に牽引する代わりに、上方へ押し上げるような機構としても良い。
【0026】
また、本発明のテーブルは布団等を載置する天板1を、
図8(b)に示すような、背板101を備えた座面100に変更して椅子としても利用することが出来る。この場合は、天板1つまり座面100のストッパー部14をボタン16によるものではなく、前述のように係止材15を下方に牽引するような紐等を備えたものにすると、座面に座った際にストッパー部14が誤って解除されるのを防ぐことが出来る。
【0027】
本発明のテーブルは、上記の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で適宜変更できる。例えば、前記ストッパー部14は天板1の後端部の中央付近でなくとも良く、回転軸10の係止が行えるのならば左右端どちらかに寄せても良い。
【符号の説明】
【0028】
1 天板
2 脚部
2a 柱
2b 足台
3 キャスター
6 ヒンジ
8 スライド材
8a ラックギア
9 ピニオンギア
10 回転軸
13 回転台
14 ストッパー部
15 係止材
17 バネ
18 第一バネ受け台
19 第二バネ受け台
20 係止材受け台