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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168665
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】位置推定システム及び位置推定方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20221031BHJP
   E04G 21/18 20060101ALI20221031BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20221031BHJP
【FI】
G01C15/00 104C
E04G21/18 Z ESW
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074285
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】中村 知行
(72)【発明者】
【氏名】野村 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】南川 達浩
(72)【発明者】
【氏名】星野 雅一
【テーマコード(参考)】
2E174
5H301
【Fターム(参考)】
2E174DA41
5H301AA02
5H301BB05
5H301BB10
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG08
(57)【要約】
【課題】施工処理装置の位置を精度良く推定することが可能な位置推定システムを提供する。
【解決手段】位置推定システムSは、建物内を走行する施工処理装置1と、測量位置に設置され、施工処理装置との相対位置情報を測量する第1測量装置100と、第2測量位置に設置され、第1測量装置との相対位置情報を測量する第2測量装置200とを備え、施工処理装置の位置を推定するシステムである。施工処理装置が区画移動したときに、第1測量装置が施工処理装置1の移動に応じて所定の補正位置まで追跡し、位置推定システムが、建物の空間の設計情報と、補正位置において第1測量装置によって再度測量された施工処理装置との相対位置情報と、第2測量装置によって新たに測量された第1測量装置との相対位置情報とに基づいて、建物内における施工処理装置の位置を再度推定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内において走行し、前記建物の施工処理を行う施工処理装置と、
前記建物内において所定の測量位置に設置され、前記施工処理装置との相対位置情報を測量する第1測量装置と、
前記建物内において所定の第2測量位置に設置され、前記第1測量装置との相対位置情報を測量する第2測量装置と、を備え、
前記施工処理装置の位置を推定するための位置推定システムであって、
前記位置推定システムは、
前記建物の設計データを記憶する記憶部を有し、
前記設計データに含まれる前記建物の空間の設計情報と、前記第1測量装置によって測量された前記施工処理装置との相対位置情報とに基づいて、前記建物内における前記施工処理装置の位置を推定し、
前記施工処理装置が所定位置まで移動したときに、
前記第1測量装置は、前記施工処理装置の移動に応じて前記建物内において所定の補正位置まで走行し、
前記位置推定システムは、
前記建物の空間の設計情報と、前記補正位置において前記第1測量装置によって再度測量された前記施工処理装置との相対位置情報と、前記第2測量装置によって新たに測量された前記第1測量装置との相対位置情報とに基づいて、前記建物内における前記施工処理装置の位置を再度推定することを特徴とする位置推定システム。
【請求項2】
前記第1測量装置は、
前記測量位置において前記施工処理装置に搭載された検出対象物を検出し、検出結果に基づいて前記施工処理装置との相対位置情報を測量し、
前記施工処理装置が移動したときに前記検出対象物を検出可能である場合には、前記測量位置に待機し、前記検出対象物を再度検出することとし、
前記検出対象物を検出不能である場合には、前記補正位置まで移動し、前記補正位置において前記検出対象物を再度検出することを特徴とする請求項1に記載の位置推定システム。
【請求項3】
前記第2測量装置は、
前記第2測量位置において前記第1測量装置に搭載された検出対象物を検出し、検出結果に基づいて前記第1測量装置との相対位置情報を測量し、
前記第1測量装置が移動したときに前記検出対象物を検出可能である場合には、前記第2測量位置に待機し、前記検出対象物を再度検出することとし、
前記検出対象物を検出不能である場合には、所定の第2補正位置まで走行し、前記第2補正位置において前記検出対象物を再度検出することを特徴とする請求項2に記載の位置推定システム。
【請求項4】
前記施工処理装置は、区画された複数の空間を有する建物内において自動走行し、
前記施工処理装置が別の空間に区画移動したときに、
前記第1測量装置は、前記施工処理装置の区画移動に応じて前記建物内において前記補正位置まで自動走行し、
前記位置推定システムは、
前記建物の空間の設計情報と、前記補正位置において前記第1測量装置によって再度測量された前記施工処理装置との相対位置情報と、前記第2測量装置によって新たに測量された前記第1測量装置との相対位置情報とに基づいて、前記建物内における前記施工処理装置の位置を再度推定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の位置推定システム。
【請求項5】
前記施工処理装置は、床上に行方向及び列方向に並ぶ複数の空間を有する前記建物内において自動走行し、
前記第1測量装置は、前記施工処理装置がいる第1の空間とは異なる空間であって、前記第1の空間に対して同じ行及び同じ列の一方に位置する第2の空間に設置され、
前記第2測量装置は、前記第1の空間及び前記第2の空間とは異なる空間であって、前記第2の空間に対して同じ行及び同じ列の他方に位置する第3の空間に設置されており、
前記施工処理装置が前記第1の空間から別の空間へ区画移動したとき、
前記別の空間と前記第2の空間が引き続き前記同じ行及び同じ列の一方に位置する場合には、前記施工処理装置が前記測量位置に待機し、
前記別の空間と前記第2の空間が前記同じ行及び同じ列の一方に位置しなくなった場合には、前記第1測量装置が追跡し、前記別の空間に対して前記同じ行及び同じ列の一方に位置する新たな空間に区画移動することを特徴とする請求項4に記載の位置推定システム。
【請求項6】
前記第2測量装置は、
前記建物内において自動走行し、
前記第1測量装置が前記第3の空間に区画移動した場合には、前記第3の空間から、前記第3の空間に対して同じ行又は同じ列に位置する新たな空間に区画移動することを特徴とする請求項5に記載の位置推定システム。
【請求項7】
建物内において走行し、前記建物の施工処理を行う施工処理装置と、
前記建物内において所定の測量位置に設置され、前記施工処理装置との相対位置情報を測量するとともに、前記施工処理装置の移動に応じて前記建物内において所定の補正位置まで走行する第1測量装置と、
前記建物内において所定の第2測量位置に設置され、前記第1測量装置との相対位置情報を測量する第2測量装置と、ネットワークを介してそれぞれ接続され、前記施工処理装置の位置を推定するコンピュータによって実行される位置推定方法であって、
前記建物の設計データを記憶する前記コンピュータが、
前記設計データに含まれる前記建物の空間の設計情報と、前記第1測量装置によって測量された前記施工処理装置との相対位置情報とに基づいて、前記建物内における前記施工処理装置の位置を推定することと、
前記施工処理装置が所定位置まで移動したときに、
前記建物の空間の設計情報と、前記補正位置おいて前記第1測量装置によって再度測量された前記施工処理装置との相対位置情報と、前記第2測量装置によって新たに測量された前記第1測量装置との相対位置情報とに基づいて、前記建物内における前記施工処理装置の位置を再度推定することと、を実行することを特徴とする位置推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置推定システム及び位置推定方法に係り、特に、建物内において走行し、建物の施工処理を行う施工処理装置の位置を推定するための位置推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内を走行する施工処理装置の位置を推定するための位置推定方法が知られている。
例えば、特許文献1に記載の「自律移動装置」では、施工現場内の床面を自律移動し、自己位置を推定しながら墨出し線をマーキングするロボットが開示されている。
また、特許文献2に記載の「吹き付け装置」では、測量機によって吹き付け装置(厳密には、吹き付け装置が搭載するプリズム)の位置情報を測量し、吹き付け装置の位置を推定することで、吹き付け装置が自動で吹き付け作業を行うことが開示されている。
このように、施工処理装置の位置を推定する方法としては、3次元レーザースキャナーを搭載した施工処理装置が自己位置を推定する方法や、測量機を用いて施工処理装置の位置を推定する方法等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-1552号公報
【特許文献2】特開2020-20206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の3次元レーザースキャナーを用いた自動測定方法では、自律移動ロボットが事前に建物内を走行し、建物の3次元地図データを作成する必要があるため、施工作業の開始前に時間を要してしまう。また、ロボットが移動しながら3次元地図データを作成するため、測定誤差が比較的大きく、位置精度が低くなってしまう。
また、従来の測量機を用いた施工処理ロボットの位置推定方法では、測量機が固定されて設置されているため、比較的精度良く測定できるものの、建物の構造によっては、測量機と施工処理ロボットの間で構造物(柱)が干渉してしまい、測量機の盛替え作業が必要とされていた。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、建物の施工処理を行う施工処理装置の位置を精度良く推定することが可能な新規の位置推定システム及び位置推定方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、従来の自律移動ロボットのように事前に建物内を走行することなく、測量機を盛替えすることなく、施工処理装置の位置を効率良く推定することが可能な新規の位置推定システム及び位置推定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の位置推定システムによれば、建物内において走行し、前記建物の施工処理を行う施工処理装置と、前記建物内において所定の測量位置に設置され、前記施工処理装置との相対位置情報を測量する第1測量装置と、前記建物内において所定の第2測量位置に設置され、前記第1測量装置との相対位置情報を測量する第2測量装置と、を備え、前記施工処理装置の位置を推定するための位置推定システムであって、前記位置推定システムは、前記建物の設計データを記憶する記憶部を有し、前記設計データに含まれる前記建物の空間の設計情報と、前記第1測量装置によって測量された前記施工処理装置との相対位置情報とに基づいて、前記建物内における前記施工処理装置の位置を推定し、前記施工処理装置が所定位置まで移動したときに、前記第1測量装置は、前記施工処理装置の移動に応じて前記建物内において所定の補正位置まで走行し、前記位置推定システムは、前記建物の空間の設計情報と、前記補正位置において前記第1測量装置によって再度測量された前記施工処理装置との相対位置情報と、前記第2測量装置によって新たに測量された前記第1測量装置との相対位置情報とに基づいて、前記建物内における前記施工処理装置の位置を再度推定すること、により解決される。
【0007】
上記構成により、施工処理装置の位置を精度良く推定することが可能な位置推定システムを実現することができる。また、施工処理装置の位置を効率良く推定することが可能となる。
詳しく述べると、位置推定システムでは、施工処理装置との相対位置情報を測量する第1測量装置と、第1測量装置との相対位置情報を測量する第2測量装置とを備えている。そして、施工処理装置が所定位置(測量不能な位置)まで移動したときに、第1測量装置が施工処理装置を追跡し、施行処理装置との相対位置情報を測量可能な位置(補正位置)まで走行することができる。そして、第2測量装置が、補正位置まで移動した第1測量装置との位置情報を測量することができる。
すなわち、施工処理装置の位置を推定するために、第1測量装置と第2測量装置が常にお互いの位置情報を把握し、かつ、第1測量装置が施工処理装置を追跡することができる。
そうすることで、測量位置に固定された第1測量装置によって、あるいは、第1測量装置と、第2測量位置に固定された第2測量装置とによって、常に施工処理装置の位置を推定することができる。
その結果、施工処理装置の位置を精度良く推定することが可能となる。また、従来の自律移動ロボットのように事前に建物内を走行することなく、測量機を盛替えすることなく、施工処理装置の位置を効率良く推定することも可能となる。
【0008】
このとき、前記第1測量装置は、前記測量位置において前記施工処理装置に搭載された検出対象物を検出し、検出結果に基づいて前記施工処理装置との相対位置情報を測量し、前記施工処理装置が移動したときに前記検出対象物を検出可能である場合には、前記測量位置に待機し、前記検出対象物を再度検出することとし、前記検出対象物を検出不能である場合には、前記補正位置まで移動し、前記補正位置において前記検出対象物を再度検出すると良い。
上記構成により、施工処理装置が移動した場合に、第1測量装置が施工処理装置(検出対象物)を検出可能である場合には、そのまま測量位置に待機し、施工処理装置との相対位置情報を測量することができる。
そのため、施工処理装置の位置を効率良く推定することができる。
【0009】
このとき、前記第2測量装置は、前記第2測量位置において前記第1測量装置に搭載された検出対象物を検出し、検出結果に基づいて前記第1測量装置との相対位置情報を測量し、前記第1測量装置が移動したときに前記検出対象物を検出可能である場合には、前記第2測量位置に待機し、前記検出対象物を再度検出することとし、前記検出対象物を検出不能である場合には、所定の第2補正位置まで走行し、前記第2補正位置において前記検出対象物を再度検出すると良い。
上記構成により、第1測量装置が移動した場合に、第2測量装置が第1測量装置(検出対象物)を検出可能である場合には、そのまま第2測量位置に待機し、第1測量装置との相対位置情報を測量することができる。
そのため、施工処理装置の位置を効率良く推定することができる。
【0010】
このとき、前記施工処理装置は、区画された複数の空間を有する建物内において自動走行し、前記施工処理装置が別の空間に区画移動したときに、前記第1測量装置は、前記施工処理装置の区画移動に応じて前記建物内において前記補正位置まで自動走行し、前記位置推定システムは、前記建物の空間の設計情報と、前記補正位置において前記第1測量装置によって再度測量された前記施工処理装置との相対位置情報と、前記第2測量装置によって新たに測量された前記第1測量装置との相対位置情報とに基づいて、前記建物内における前記施工処理装置の位置を再度推定すると良い。
上記構成により、複数の空間(部屋)を有する建物内において施工処理装置が施工処理を行う場合に、施工処理装置の位置を精度良く推定し、施工処理装置の位置を効率良く推定することができる。
詳しく述べると、施工処理装置が別の空間に区画移動したときに、第1測量装置は、必要に応じて施工処理装置との相対位置情報を測量することが可能な場所に区画移動することができる。そうすることで、施工処理装置と第1測量装置の間で構造物(柱)が干渉してしまった場合でも、第1測量装置が施工処理装置を検出可能な場所まで区画移動し、施工処理装置との相対位置情報を測量することができる。
【0011】
このとき、前記施工処理装置は、床上に行方向及び列方向に並ぶ複数の空間を有する前記建物内において自動走行し、前記第1測量装置は、前記施工処理装置がいる第1の空間とは異なる空間であって、前記第1の空間に対して同じ行及び同じ列の一方に位置する第2の空間に設置され、前記第2測量装置は、前記第1の空間及び前記第2の空間とは異なる空間であって、前記第2の空間に対して同じ行及び同じ列の他方に位置する第3の空間に設置されており、前記施工処理装置が前記第1の空間から別の空間へ区画移動したとき、前記別の空間と前記第2の空間が引き続き前記同じ行及び同じ列の一方に位置する場合には、前記施工処理装置が前記測量位置に待機し、前記別の空間と前記第2の空間が前記同じ行及び同じ列の一方に位置しなくなった場合には、前記第1測量装置が追跡し、前記別の空間に対して前記同じ行及び同じ列の一方に位置する新たな空間に区画移動すると良い。
上記構成により、区画された複数の空間を有する建物内において施工処理装置と、第1測量装置と、第2測量装置との間で移動ルールを設定しておき、当該移動ルールに従って、施工処理装置が建物内を移動し、第1測量装置が施工処理装置を追跡し、第2測量装置が第1測量装置を測量することができる。
【0012】
このとき、前記第2測量装置は、前記建物内において自動走行し、前記第1測量装置が前記第3の空間に区画移動した場合には、前記第3の空間から、前記第3の空間に対して同じ行又は同じ列に位置する新たな空間に区画移動すると良い。
上記構成により、第1測量装置の区画移動に応じて、第2測量装置が建物内を区画移動することができ、第2測量装置が上記移動ルールに従って、第1測量装置を追跡することができる。
そうすることで、施工処理装置、第1測量装置及び第2測量装置が、建物内を効率良く区画移動することができ、施工処理装置の位置を精度良く推定しながら、建物の施工処理を進めていくことができる。
【0013】
また前記課題は、建物内において走行し、前記建物の施工処理を行う施工処理装置と、前記建物内において所定の測量位置に設置され、前記施工処理装置との相対位置情報を測量するとともに、前記施工処理装置の移動に応じて前記建物内において所定の補正位置まで走行する第1測量装置と、前記建物内において所定の第2測量位置に設置され、前記第1測量装置との相対位置情報を測量する第2測量装置と、ネットワークを介してそれぞれ接続され、前記施工処理装置の位置を推定するコンピュータによって実行される位置推定方法であって、前記建物の設計データを記憶する前記コンピュータが、前記設計データに含まれる前記建物の空間の設計情報と、前記第1測量装置によって測量された前記施工処理装置との相対位置情報とに基づいて、前記建物内における前記施工処理装置の位置を推定することと、前記施工処理装置が所定位置まで移動したときに、前記建物の空間の設計情報と、前記補正位置おいて前記第1測量装置によって再度測量された前記施工処理装置との相対位置情報と、前記第2測量装置によって新たに測量された前記第1測量装置との相対位置情報とに基づいて、前記建物内における前記施工処理装置の位置を再度推定することと、を実行することを特徴とする位置推定方法によっても解決される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の位置推定システム及び位置推定方法によれば、建物の施工処理を行う施工処理装置の位置を精度良く推定することが可能となる。
また、従来の自律移動ロボットのように事前に建物内を走行することなく、測量機を盛替えすることなく、施工処理装置の位置を効率良く推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態の位置推定システムの構成図である。
図2】施工処理装置、第1測量装置、第2測量装置、オペレータ端末のソフト構成図である。
図3】施工処理装置、第1測量装置、第2測量装置の初期配置を説明する図である。
図4】位置推定システムによる移動ルール1を説明する図である。
図5】位置推定システムによる移動ルール2を説明する図である。
図6】位置推定システムによる移動ルール3を説明する図である。
図7】位置推定システムによる移動ルール4を説明する図である。
図8】位置推定システムによる移動ルール5を説明する図である。
図9】本実施形態の位置推定方法を示す処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態について図1図9を参照して説明する。
本実施形態は、建物内を走行する施工処理装置と、測量位置に設置され、施工処理装置との相対位置情報を測量する第1測量装置と、第2測量位置に設置され、第1測量装置との相対位置情報を測量する第2測量装置とを備えており、施工処理装置の位置を推定する位置推定システムであって、施工処理装置が区画移動したときに、第1測量装置が施工処理装置の区画移動に応じて所定の補正位置まで追跡し、位置推定システムが、建物の空間の設計情報と、補正位置において第1測量装置によって再度測量された施工処理装置との相対位置情報と、第2測量装置によって新たに測量された第1測量装置との相対位置情報とに基づいて、建物内における施工処理装置の位置を再度推定することを主な特徴とする位置推定システムの発明に関するものである。
また、位置推定方法の発明に関するものである。
【0017】
本実施形態の位置推定システムSは、図1に示すように、建物Bの所定空間における床を走行し、建物Bの施工処理を行う施工処理装置1と、建物B内において所定の測量位置に設置され、施工処理装置1との相対位置情報を測量する第1測量装置100と、建物B内において所定の第2測量位置に設置され、第1測量装置100との相対位置情報を測量する第2測量装置200と、施工処理装置1、第1測量装置100及び第2測量装置200とネットワークを通じて接続され、測量装置100、200から受信した相対位置情報から施工処理装置1の位置情報(位置及び向き)を演算し、施工処理装置1へ位置情報や所定の施工作業を実行させるためのプログラムやデータを送信するオペレータ端末300と、から主に構成されている。
「施工処理」とは、例えば、建物Bの被施工体(柱B1や梁B2)に耐火被覆材を吹き付ける「吹き付け作業」が挙げられる。そのほか、各種施工作業の墨出し線を床面、壁面または天井面等にマーキングする「墨出し作業」、床レベルを測定する「床レベル測定作業」等であっても良い。あるいは、施工現場での各工程の「計測作業」や、部材や器具を取り付ける「取り付け作業」等であっても良い。
【0018】
建物Bは、図1図3に示すように、区画された複数の空間(具体的には、部屋)を有する建物であって、詳しく述べると、床上に行方向及び列方向に並ぶ複数の部屋(具体的には、計9つの部屋)を有する建物である。
【0019】
<位置推定システムのハードウェア構成>
施工処理装置1は、図1に示すように、建物内を自動走行し、施工処理を行うロボットであって、オペレータ端末300と情報データ通信を行い、オペレータ端末300に記憶されている最新のプログラムやデータを読み込んで記憶しておくことができる。
施工処理装置1は、具体的には、多関節型のロボットアームを搭載し、吹き付け作業を行う無人搬送車(AGV)であって、装置本体2と、被覆材を噴射する噴射口を保持するロボットアーム3と、ロボットアーム3を上下方向に移動させる昇降装置4と、これら構成部品を水平方向(2次元方向)に移動させる移動装置5と、装置本体2の内部に取り付けられ、被覆材の噴射を調整するエアコンプレッサ6と、装置本体2の外側面の四隅に取り付けられ、測量装置100、200の検出対象となるプリズム7と、を備えている。
また、施工処理装置1は、装置本体2の内部に取り付けられ、ロボットアーム3、昇降装置4、移動装置5及びエアコンプレッサ6の各種動作を制御する制御装置8をさらに備えている。
【0020】
プリズム7は、第1測量装置100の検出対象物となる反射プリズムであって、装置本体2の外側面の四隅に取り付けられ、それぞれ異なる高さ位置に配置されている。
そのため、第1測量装置100が、建物内において4つのプリズム7のうち、少なくとも2カ所のプリズム7を検出し易くなる。
制御装置8は、データの演算・制御処理としてのCPUと、記憶装置としてのROM、RAM、及びHDD(SSD)と、ネットワークを通じて情報データの送受信を行う通信用インタフェースと、を備えたコンピュータである。
制御装置8は、CPUが生成する制御信号を、通信用インタフェースを介してロボットアーム3、昇降装置4、移動装置5、エアコンプレッサ6に送信することにより、ロボットアーム3、昇降装置4、移動装置5、エアコンプレッサ6のそれぞれの動作を制御する。
【0021】
第1測量装置100は、図1に示すように、「測量位置」において施工処理装置1に搭載されたプリズム7を検出し、検出結果に基づいて施工処理装置との相対位置情報を測量する自動追尾型のトータルステーションである。また、施工処理装置1の移動に応じて建物B内を自動走行し、施工処理装置1を追跡する。
第1測量装置100は、オペレータ端末300と情報データ通信を行い、オペレータ端末300に向けて施工処理装置1との相対位置情報を送信する。
【0022】
第1測量装置100は、照射方向を連続的に変化させてレーザー光を照射し、検出対象物からの反射光を受光することで、検出対象物との距離及び向きを測量する装置本体101と、装置本体101の下端部に取り付けられ水平方向に移動させる移動装置102と、装置本体101の上端部に取り付けられ、第2測量装置200の検出対象物となるプリズム103と、を備えている。
また、第1測量装置100は、装置本体101の内部に取り付けられ、装置本体101及び移動装置102の各種動作を制御する制御装置104をさらに備えている。
制御装置104は、CPUと、記憶装置と、通信用インタフェースとを備えたコンピュータである。
【0023】
第2測量装置200は、図1に示すように、「第2測量位置」において第1測量装置100に搭載されたプリズム103を検出し、検出結果に基づいて第1測量装置100との相対位置情報を測量する自動追尾型のトータルステーションである。また、第1測量装置100の移動に応じて建物B内を自動走行し、第1測量装置100を追跡する。
第2測量装置200は、オペレータ端末300と情報データ通信を行い、オペレータ端末300に向けて第1測量装置100との相対位置情報を送信する。
【0024】
第2測量装置200は、第1測量装置100と同様に、装置本体201と、移動装置202と、プリズム203と、制御装置204をさらに備えている。
制御装置204は、CPUと、記憶装置と、通信用インタフェースとを備えたコンピュータである。
【0025】
なお、オペレータ端末300は、作業管理者によって操作されるコンピュータである。オペレータ端末300は、建物B内で操作されても良いし、建物Bの外部で操作されても良い。
【0026】
<位置推定システムの機能>
施工処理装置1は、図2に示すように、機能面から説明すると、「設計データ」、「走行経路データ」のほか、各種プログラム及び各種データをオペレータ端末300から読み込んで一時的に記憶しておく記憶部10と、オペレータ端末300との間で各種データを送受信する通信部11と、建物B内における現在の位置情報を取得する位置情報取得部12と、建物B内において所定の施工処理を実行させる施工処理制御部13と、建物B内において所定の走行経路に沿って部屋を移動させる移動制御部14と、を主な構成要素として備えている。
これらは、CPU、ROM、RAM、HDD、通信用インタフェース、及び各種プログラム等によって構成されている。
【0027】
記憶部10に記憶される「設計データ」とは、建物Bの3次元形状の設計データであって、具体的には、建物BのBIM(Building Information Modeling)データである。
「設計データ」は、例えば、建物B内の部屋毎に作成されており、かつ、施工段階毎にそれぞれ作成されている。
ここで「部屋」とは、建物B内において壁や間仕切り等によって隔てられた一空間を意味するほか、一空間又は複数の空間からなるフロア等を意味するものであっても良い。
なお、本実施例では建物Bの3次元形状を示す設計データを想定しているが、特に限定されることなく、施工処理の内容によっては2次元形状の設計データであっても良い。
【0028】
「走行経路データ」は、区画された複数の部屋を有する建物B内において区画移動する施工処理装置1の走行経路を示すデータであって、例えば、建物Bのフロア毎に作成されている。
上記構成によって、第1の部屋に配置された施工処理装置1は、位置情報取得部12によって第1の部屋における現在の位置情報を取得する。その後、施工処理制御部13が、「設計データ」に含まれる第1の部屋の設計情報を参照し、第1の部屋の施工処理を実行する。その後、移動制御部14が、所定の走行経路に沿って第1の部屋から別の部屋へ区画移動する。これら一連の処理を部屋毎に繰り返し、全ての部屋の施工処理を完了させる。
なお、図3の実施例を見ると、施工処理装置1は第1の部屋R1に初期配置され、第1測量装置100は第2の部屋R3に配置され、第2測量装置200は、第3の部屋R9に配置されていることが分かる。
【0029】
次に、第1測量装置100は、各種プログラム及び各種データを記憶する記憶部110と、オペレータ端末300との間で各種データを送受信する通信部111と、建物B内において「所定の移動ルール」に従って移動制御する移動制御部112と、「測量位置」又は測量位置から移動した「補正位置」に設置された状態で測量を実行する測量実行部113と、を主な構成要素として備えている。
第2測量装置200についても同様に、記憶部210と、通信部211と、建物B内において「所定の移動ルール」に従って移動制御する移動制御部212と、「第2測量位置」又は「第2補正位置」に設置された状態で測量を実行する測量実行部213と、を主な構成要素として備えている。
これらは、CPU、ROM、RAM、HDD、通信用インタフェース、及び各種プログラム等によって構成されている。
【0030】
第1測量装置100の測量実行部113は、「測量位置」において施工処理装置1に搭載されたプリズム7を検出し、検出結果に基づいて施工処理装置1との相対位置情報を測量する。
その後、移動制御部112及び測量実行部113は、施工処理装置1が部屋を移動したときにプリズム7を検出可能である場合には、「測量位置」に待機し、プリズム7を再度検出する。一方で、プリズム7を検出不能である場合には、「補正位置」まで移動し、補正位置においてプリズム7を再度検出する。
【0031】
また、第2測量装置200の測量実行部213は、「第2測量位置」において第1測量装置100に搭載されたプリズム103を検出し、検出結果に基づいて第1測量装置100との相対位置情報を測量する。
その後、移動制御部212及び測量実行部213は、第1測量装置100が部屋を移動したときにプリズム103を検出可能である場合には、「第2測量位置」に待機し、プリズム103を再度検出する。一方で、プリズム103を検出不能である場合には、「第2補正位置」まで移動し、第2補正位置においてプリズム103を再度検出する。
【0032】
次に、オペレータ端末300は、各種プログラム及び各種情報データを保持して格納しておく記憶部310と、施工処理装置1及び測量装置100、200との間で各種データを送受信する通信部311と、建物B内における施工処理装置1の現在の位置情報を推定する位置推定部312と、を主な構成要素として備えている。
記憶部310は、建物Bの「設計データ」を記憶している。
これらは、CPU、ROM、RAM、HDD、通信用インタフェース、及び各種プログラム等によって構成されている。
【0033】
上記構成において、通信部311は、第1測量装置100から施工処理装置1との相対位置情報を受信する。そして、位置推定部312は、「設計データ」に含まれる建物Bの部屋の設計情報と、第1測量装置100によって測量された施工処理装置1との相対位置情報とに基づいて、建物Bの部屋内における施工処理装置1の現在位置を推定する。そして、通信部311は、施工処理装置1に向けて施工処理装置1の位置情報をデータ送信する。
ここで、図3に示すように、施工処理装置1の「位置情報」とは、2次元の位置情報であって、所定の部屋の柱の中心位置を原点位置(X0,Y0)と設定したときの位置座標(X,Y)によって特定される。
【0034】
詳しく述べると、位置推定部312は、まず、建物Bの「設計データ」を参照し、「設計データ」に含まれる複数の部屋の中から、隅部に位置する部屋(例えば部屋R1)を選定する。そして、選定した部屋R1に存在する複数の柱の中で隅部に位置する柱(例えば柱B1)を選定する。そして、柱B1の中心位置を原点位置(X0,Y0)に設定する。
なお、第1測量装置100が、測距モジュールを搭載したノンプリズム型のトータルステーションである場合には、上記柱B1との相対位置情報を測量し、柱B1の実際の施工位置と照合することで、原点位置を修正しても良い。そうすることで、原点位置をより精度良く設定することができる。
【0035】
以上の構成により、図3に示すように、位置推定システムSは、「設計データ」に含まれる建物Bの部屋R1の設計情報と、第1測量装置100によって測量された施工処理装置1との相対位置情報とに基づいて、部屋R1における施工処理装置1の位置を推定することができる。
また、施工処理装置1が別の部屋R2に区画移動したときには、第1測量装置100が、施工処理装置1の区画移動に応じて部屋R2に対応する「補正位置」まで走行する。
そうすることで、位置推定システムSは、部屋R2の設計情報と、「補正位置」において第1測量装置100によって再度測量された施工処理装置1との相対位置情報と、第2測量装置200によって新たに測量された第1測量装置100との相対位置情報とに基づいて、部屋R2内における施工処理装置1の位置を再度推定することができる。
すなわち、施工処理装置1の位置を推定するために、第1測量装置100と第2測量装置200が常にお互いの位置情報を把握し、かつ、第1測量装置100が施工処理装置1を追跡することができる。また、第2測量装置200が第1測量装置100を追跡することもできる。
【0036】
なお、本実施形態では、オペレータ端末300が、施工処理装置1の位置情報を推定し、当該位置情情報を施工処理装置1に向けてデータ送信しているが、オペレータ端末300の代わりに施工処理装置1が、自己の位置情報を推定しても良い。
すなわち、施工処理装置1が、「位置推定部312」を構成要素として備えても良い。
その場合には、施工処理装置1が、第1測量装置100及び第2測量装置200と直接データ送受信を行い、それぞれから相対位置情報を取得しても良い。
【0037】
<第1測量装置、第2測量装置の移動ルール>
次に、図3図8に基づいて第1測量装置100、第2測量装置200の「移動ルール」の詳細について説明する。
当該移動ルールに従うことで、区画された複数の部屋R1~R9を有する建物B内において施工処理装置1、第1測量装置100及び第2測量装置200が、建物B内を効率良く区画移動することができる。また、施工処理装置1の位置を精度良く推定しながら、建物Bの施工処理を進めていくことができる。
【0038】
建物Bは、所定のフロア上において複数の部屋を有している。具体的には、床上に行方向及び列方向に並ぶ計9つの部屋を有している。図3に示すように、上面視において左上から右下に向かって順番に部屋R1~R9と設定することにする。
【0039】
「初期配置」は以下の通りである(図3参照)。
施工処理装置1は第1の部屋R1の所定位置(X,Y)に配置されている。
第1測量装置100は、第1の部屋R1とは異なる部屋であって、第1の部屋R1に対して同じ行に位置する第2の部屋R3に配置されており、部屋R3の所定の「測量位置(X1,Y1)」に設置されている。
第2測量装置200は、第1の部屋R1及び第2の部屋R2とは異なる部屋であって、第2の部屋に対して同じ列に位置する第3の部屋R9に配置されており、部屋R9の所定の「第2測量位置(X2,Y2)」に設置されている。
なお、「初期配置」は上記配置に限定されることなく変更可能である。
【0040】
まず、「移動ルール1」について図4に基づいて説明する。
「移動ルール1」は、例えば「初期配置」において施工処理装置1が第1の部屋R1から別の部屋R2へ区画移動したときの移動ルールである。
このとき、第1測量装置100は、そのまま部屋R3の「測量位置」に待機し、第2測量装置200も、そのまま部屋R9の「第2測量位置」に待機する。この配置において、位置推定システムSが、部屋R2内における施工処理装置1の位置情報を推定することになる。
【0041】
続いて「移動ルール2」について図5に基づいて説明する。
「移動ルール2」は、例えば「初期配置」から部屋R1、R2の施工処理が完了し、施工処理装置1が部屋R2から別の部屋R3へ区画移動したときの移動ルールである。
このとき、第1測量装置100は、部屋R3から別の部屋R6へ遠ざかるように移動し、部屋R6の所定の「補正位置(X1α,Y1α)」まで走行する。一方で、第2測量装置200は、そのまま部屋R9の「第2測量位置」に待機する。
この配置において、位置推定システムSが、部屋R3内における施工処理装置1の位置情報を推定することになる。
【0042】
続いて「移動ルール3」について図6に基づいて説明する。
「移動ルール3」は、例えば「初期配置」から部屋R1~R5の施工処理が完了し、施工処理装置1が部屋R5から別の部屋R6へ区画移動したときの移動ルールである。
このとき、部屋R6にいる第1測量装置100は、部屋R6から別の部屋R9へ遠ざかるように移動し、部屋R9の所定の「補正位置(X1β,Y1β)」まで走行する。そして、部屋R9にいる第2測量装置200も、部屋R9から別の部屋R8へ遠ざかるように移動し、部屋R8の所定の「第2補正位置(X2α,Y2α)」まで走行する。
この配置において、位置推定システムSが、部屋R6内における施工処理装置1の位置情報を推定することになる。
【0043】
続いて「移動ルール4」について図7に基づいて説明する。
「移動ルール4」は、例えば「初期配置」において施工処理装置1が第1の部屋R1から別の部屋R4へ区画移動したときの移動ルールである。
このとき、第1測量装置100は、部屋R3から別の部屋R6へ移動して施工処理装置1を追跡し、部屋R6の所定の「補正位置(X1α,Y1α)」まで走行する。一方で、第2測量装置200は、そのまま部屋R9の「第2測量位置」に待機する。
この配置において、位置推定システムSが、部屋R4内における施工処理装置1の位置情報を推定することになる。
【0044】
続いて「移動ルール5」について図8に基づいて説明する。
「移動ルール5」は、例えば「初期配置」から部屋R1、R4の施工処理が完了し、施工処理装置1が部屋R4から別の部屋R7へ区画移動したときの移動ルールである。
このとき、部屋R6にいる第1測量装置100は、部屋R6から別の部屋R9へ移動して施工処理装置1を追跡し、部屋R9の所定の「補正位置(X1β,Y1β)」まで走行する。
そして、部屋R9にいる第2測量装置200は、部屋R9から別の部屋R6へ遠ざかるように移動し、部屋R6の所定の「第2補正位置(X2α,Y2α)」まで走行する。
この配置において、位置推定システムSが、部屋R7内における施工処理装置1の位置情報を推定することになる。
【0045】
上記「移動ルール1~5」をまとめると、以下の通りとなる。
施工処理装置1は、「第1の部屋」に初期配置されている。第1測量装置100は、「第1の部屋」とは異なる部屋であって、「第1の部屋」に対して同じ行及び同じ列の一方に位置する「第2の部屋」に初期設置されている。そして、第2測量装置200は、「第1の部屋」及び「第2の部屋」とは異なる部屋であって、「第2の部屋」に対して同じ行及び同じ列の他方に位置する「第3の部屋」に設置されている。
このとき、施工処理装置1が「第1の部屋」から「別の部屋」へ区画移動したときには、下記の通りに、第1測量装置100が(1)待機又は(2)移動する。
(1)上記「別の部屋」と「第2の部屋」が引き続き同じ行及び同じ列の一方に位置する場合には、第1測量装置100は「測量位置」に待機し、測量を行う。
(2)一方で、上記「別の部屋」と「第2の部屋」が同じ行及び同じ列の一方に位置しなくなった場合には、第1測量装置100が追跡し、「別の部屋」に対して同じ行及び同じ列の一方に位置する「新たな部屋」に区画移動し、測量を行う。
そして、(2)で施工処理装置1が上記「新たな部屋」へ区画移動したときには、下記の通りに、第2測量装置200が(3)待機又は(4)移動する。
(3)上記「新たな部屋」と「第3の部屋」が引き続き前記同じ行及び同じ列の他方に位置する場合には、第2測量装置が「第2測量位置」に待機し、測量を行う。
(4)一方で、上記「新たな部屋」と「第3の部屋」が同じ行及び同じ列の他方に位置しなくなった場合には、第2測量装置200が追跡し、「新たな部屋」に対して同じ行及び同じ列の他方に位置する「さらなる部屋」に区画移動し、測量を行う。
【0046】
そのほか、施工処理装置1と第1測量装置100が「同じ部屋」に位置した場合には、第1測量装置100が「同じ部屋」に対して同じ行又は同じ列に位置する「新たな部屋」に区画移動する。
また、第1測量装置100と第2測量装置200が「同じ部屋」に位置した場合には、第2測量装置200が「同じ部屋」に対して同じ行又は同じ列に位置する「さらなる部屋」に区画移動する。以上の通りである。
【0047】
以上の構成及び移動ルールにより、位置推定システムSは、施工処理装置1の位置を精度良く推定することができ、また施工処理装置の位置を効率良く推定することができる。
【0048】
<位置推定方法>
次に、位置推定システムSで実行される位置推定方法(位置推定プログラム)の処理について、図9に基づいて説明する。
本実施形態に係る上記プログラムは、作業管理者からの操作指示を受け付けて実行されるものである。
【0049】
図9に示す「位置推定方法」の処理フローでは、まず、オペレータ端末300(位置推定部312)が、施工処理装置1の現在の位置情報を推定するステップ1(S1)から始まる。
具体的には、オペレータ端末300が、「設計データ」に含まれる建物Bの部屋の設計情報と、第1測量装置100によって測量された施工処理装置1との相対位置情報とに基づいて、建物B内における施工処理装置1の位置を推定する。
【0050】
そして、ステップ2で、施工処理装置1が「別の部屋」に区画移動したとき、ステップ3で、第1測量装置100(測量実行部113)が、施工処理装置1を検出可能であるか否かを判定する。
【0051】
施工処理装置1を検出可能と判定された場合には(ステップ3:Yes)、ステップ4に進み、第1測量装置100がそのまま「測量位置」に待機し、施工処理装置1との相対位置情報を測量する。
そして、ステップ5で、オペレータ端末300が、施工処理装置1の現在の位置情報を推定し、図9のプロセスを終了する。なお、施工処理装置1がさらに「別の部屋」へ区画移動する場合には、再度S3に戻ることとしても良い。
【0052】
一方で、施工処理装置1を検出不可能と判定された場合には(ステップ3:Nо)、ステップ6に進み、第1測量装置100が施工処理装置1を追跡し、「新たな部屋」へ移動する(「測量位置」から「補正位置」に移動する)。
そして、ステップ7で、第2測量装置200(測量実行部213)が、第1測量装置100を検出可能であるか否かを判定する。
【0053】
第1測量装置100を検出可能と判定された場合には(ステップ7:Yes)、ステップ8に進み、第1測量装置100が、「補正位置」において施工処理装置1との相対位置情報を測量する。
そして、ステップ9で、第2測量装置200が、そのまま「第2測量位置」に待機し、第1測量装置100との相対位置情報を測量する。
そして、ステップ5に進み、オペレータ端末300が、施工処理装置1の現在の位置情報を推定し、図9のプロセスを終了する。なお、施工処理装置1がさらに「別の部屋」へ区画移動する場合には、再度S3に戻ることとしても良い。
【0054】
なお、第1測量装置100を検出不可能と判定された場合には(ステップ7:Nо)、ステップ10に進み、第1測量装置100が「元の部屋」に戻る(「補正位置」から「測量位置」に戻る)。
そして、ステップ11で、第2測量装置200が、第1測量装置100を追跡し、「さらなる部屋」へ移動する(「第2測量位置」から「第2補正位置」に移動する)。そして、ステップ6に戻って繰り返す。
【0055】
上記ステップを経て図9のプロセスを終了する。
上記の位置推定プログラムの処理フローにより、施工処理装置1の位置を精度良く推定することができる。また、施工処理装置1の位置を効率良く推定することができる。
【0056】
<その他の実施形態>
上記実施形態では、第1測量装置100が、施工処理装置1との相対位置情報を測量し、第2測量装置200が、第1測量装置100との相対位置情報を測量しているが、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、所定のケースにおいて、第2測量装置200が、施工処理装置1との相対位置情報を測量し、第1測量装置100が、第2測量装置200との相対位置情報を測量しても良い。すなわち、測量装置100、200の役割を逆の構成にしても良い。
また例えば、所定のケースにおいて、第1測量装置100、第2測量装置200が、それぞれ施工処理装置1との相対位置情報を測量することとしても良い。そうすることで、施工処理装置1の位置情報をより精度良く推定することができる。
【0057】
上記実施形態では、オペレータ端末300(施工処理装置1)が読み取り可能な記録媒体に位置推定プログラムが記憶されており、オペレータ端末300(施工処理装置1)が当該プログラムを読み出して実行することによって処理が実行される。ここでオペレータ端末300が読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。
そのほか、オペレータ端末300を利用して専用ウェブアプリを起動させて、ウェブブラウザ上で位置推定プログラムが実行されることとしても良い。
【0058】
上記実施形態では、主として本発明に係る位置推定システム及び位置推定方法に関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0059】
S 位置推定システム
1 施工処理装置
2 装置本体
3 ロボットアーム
4 昇降装置
5 移動装置
6 エアコンプレッサ
7 プリズム
8 制御装置
10 記憶部
11 通信部
12 位置情報取得部
13 施工処理制御部
14 移動制御部
100 第1測量装置
200 第2測量装置
101、201 装置本体
102、202 移動装置
103、203 プリズム
104、204 制御装置
110、210 記憶部
111、211 通信部
112、212 移動制御部
113、213 測量実行部
300 オペレータ端末
310 記憶部
311 通信部
312 位置推定部
B 建物
B1 柱
B2 梁
R1~R9 部屋(空間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9