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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168668
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】運搬用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/02 20060101AFI20221031BHJP
   B65D 6/16 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
B65D6/02
B65D6/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074291
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名和 昌秀
【テーマコード(参考)】
3E061
【Fターム(参考)】
3E061AA05
3E061AB09
3E061CA06
3E061DA04
3E061DA08
3E061DB11
3E061DB17
(57)【要約】
【課題】ローラーコンベアによって搬送する際に騒音が生じにくい運搬用容器を提案する。
【解決手段】運搬用容器は、底壁2を備える箱状の容器である。底壁2は、下方に突出しかつ上方に開口するように膨出する複数の膨出部3を有する。複数の膨出部3は、一方向D1に間隔をおいて並んだ複数の第一膨出部3aを含む。底壁2の最下面は、複数の第一膨出部3aの下面30aで構成される第一当接面4と、下面30aとは別の面で構成される第二当接面5とを含む。底壁2の最下面には、第一当接面4の一方向D1の全長にわたって、一方向D1に対して直交する線上に、第一当接面4と第二当接面5のうち少なくとも一方が位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁を備える箱状の運搬用容器であって、
前記底壁は、
下方に突出しかつ上方に開口するように膨出する複数の膨出部を有し、
前記複数の膨出部は、一方向に間隔をおいて並んだ複数の第一膨出部を含み、
前記底壁の最下面は、前記複数の第一膨出部の下面で構成される第一当接面と、前記下面とは別の面で構成される第二当接面とを含み、
前記底壁の前記最下面には、前記第一当接面の前記一方向の全長にわたって、前記一方向に対して直交する線上に、前記第一当接面と前記第二当接面のうち少なくとも一方が位置する、
ことを特徴とする運搬用容器。
【請求項2】
前記複数の膨出部は、一方向に間隔をおいて並んだ複数の第二膨出部を更に含み、
前記第二当接面は、前記複数の第二膨出部の下面で構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の運搬用容器。
【請求項3】
前記第一当接面は、前記底壁の長手方向の一端部から他端部にわたって位置する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の運搬用容器。
【請求項4】
前記複数の膨出部は、平面視平行四辺形状の膨出部を含む、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の運搬用容器。
【請求項5】
前記底壁は、下方に向けて突出する格子状のリブを更に有し、
前記第一当接面と前記第二当接面のそれぞれは、前記リブの下端よりも下方に位置する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の運搬用容器。
【請求項6】
底壁を備える箱状の運搬用容器であって、
前記底壁は、
下方に向けて突出する格子状のリブと、
前記リブよりも下方に突出し、水平方向に延びる少なくとも1つの突条部とを有し、
前記底壁の最下面は、前記少なくとも1つの突条部の下面で構成される、
ことを特徴とする運搬用容器。
【請求項7】
底壁を備える箱状の運搬用容器であって、
前記底壁は、
前記底壁の上面を構成する底壁本体と、
前記底壁本体から下方に向けて突出する格子状のリブと、
前記底壁本体と前記リブのうち少なくとも一方に固定され、水平方向に延びる少なくとも1つの当接部材とを有し、
前記底壁の最下面は、前記少なくとも1つの当接部材の下面で構成される、
ことを特徴とする運搬用容器。
【請求項8】
前記底壁に対して立設され、折り畳み可能な複数の側壁と、
前記複数の側壁の上端部に係合可能に取り付けられる口枠と、を備える、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の運搬用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運搬用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、物品の運搬等に使用される折り畳み容器が記載されている。
【0003】
この折り畳み容器の底壁部の下面には、下方に突出する格子状のリブが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6029999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の折り畳み容器では、ローラーコンベアによって搬送される場合に、底壁部の格子状のリブが、ローラーコンベアの多数のローラーに繰り返し衝突して、騒音が生じやすく、また、格子状のリブが変形しやすいといった問題があった。
【0006】
上記事情に鑑みて、本開示は、ローラーコンベアによって搬送する際に騒音が生じにくい運搬用容器を提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る一態様の運搬用容器は、底壁を備える箱状の運搬用容器である。前記底壁は、下方に突出しかつ上方に開口するように膨出する複数の膨出部を有する。前記複数の膨出部は、一方向に間隔をおいて並んだ複数の第一膨出部を含む。前記底壁の最下面は、前記複数の第一膨出部の下面で構成される第一当接面と、前記下面とは別の面で構成される第二当接面とを含む。前記底壁の前記最下面には、前記第一当接面の前記一方向の全長にわたって、前記一方向に対して直交する線上に、前記第一当接面と前記第二当接面のうち少なくとも一方が位置する。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本開示に係る他の一態様の運搬用容器は、底壁を備える箱状の運搬用容器である。前記底壁は、下方に向けて突出する格子状のリブと、前記リブよりも下方に突出し、水平方向に延びる少なくとも1つの突条部とを有する。前記底壁の最下面は、前記少なくとも1つの突条部の下面で構成される。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本開示に係る他の一態様の運搬用容器は、底壁を備える箱状の運搬用容器である。前記底壁は、前記底壁の上面を構成する底壁本体と、前記底壁本体から下方に向けて突出する格子状のリブと、前記底壁本体と前記リブのうち少なくとも一方に固定され、水平方向に延びる少なくとも1つの当接部材とを有する。前記底壁の最下面は、前記少なくとも1つの当接部材の下面で構成される。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る一態様及び他の一態様の運搬用容器では、ローラーコンベアによって搬送する際に騒音が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1Aは、実施形態1の運搬用容器が備える底壁を下側から見た状態を示す斜視図であり、図1Bは、図1AのA部を拡大して示す斜視図である。
図2図2Aは、同上の底壁を上側から見た状態を示す斜視図であり、図2Bは、図2AのB部を拡大して示す斜視図である。
図3図3Aは、同上の底壁を示す底面図であり、図3Bは、図3AのC部を拡大して示す底面図である。
図4図4は、同上の底壁を示す平面図である。
図5図5Aは、図4のD-D線における断面図であり、図5Bは、図4のE-E線における断面図である。
図6図6は、同上の底壁を備える運搬用容器の一例を示す斜視図である。
図7図7は、同上の運搬用容器の一例を示す分解斜視図である。
図8図8Aは、底壁の変形例1を概略的に示す底面図であり、図8Bは、底壁の変形例2を概略的に示す底面図であり、図8Cは、底壁の変形例3を概略的に示す底面図であり、図8Dは、底壁の変形例4を概略的に示す底面図であり、図8Eは、底壁の変形例5を示す底面図である。
図9図9は、底壁の変形例6を示す底面図である。
図10図10は、実施形態2の底壁を概略的に示す断面図である。
図11図11Aは、実施形態3の底壁を概略的に示す断面図であり、図11Bは、底壁の変形例7を概略的に示す断面図であり、図11Cは、底壁の変形例8を概略的に示す断面図であり、図11Dは、底壁の変形例9を概略的に示す断面図である。
図12図12Aは、底壁の変形例10を概略的に示す底面図であり、図12Bは、底壁の変形例11を概略的に示す底面図であり、図12Cは、底壁の変形例12を概略的に示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
1.概要
図1A図2A及び図6に示す実施形態1の運搬用容器1(以下単に「容器1」という)は、底壁2を備える箱状の容器である。底壁2は、下方に突出しかつ上方に開口するように膨出する複数の膨出部3を有する。複数の膨出部3は、一方向D1に間隔をおいて並んだ複数の第一膨出部3aを含む。底壁2の最下面は、複数の第一膨出部3aの下面30aで構成される第一当接面4と、下面30aとは別の面で構成される第二当接面5とを含む。底壁2の最下面には、第一当接面4の一方向D1の全長にわたって、一方向D1に対して直交する線上に、第一当接面4と第二当接面5のうち少なくとも一方が位置する。
【0013】
上記構成を備える実施形態1の容器1では、ローラーコンベアによって搬送する際に、ローラーコンベアの搬送方向に対して第一当接面4の長手方向(一方向D1)が平行となるように、容器1をローラーコンベアに載せることで、第一当接面4と第二当接面5のうち少なくとも一方をローラーコンベアの各ローラーに常時当てることができる。そのため、実施形態1の容器1では、ローラーコンベアによって搬送する際に、底壁2に対して各ローラーが繰り返し衝突することを防ぐことができて、騒音が生じにくい。
【0014】
2.詳細
続いて、本実施形態の容器1について図面を参照しながら、更に詳しく説明する。容器1は、図1から図5に示す底壁2を備える箱状の容器である。底壁2は、本実施形態では、矩形板状である。以下では、底壁2の長手方向を左右方向とし、底壁2の短手方向を前後方向とし、底壁2の厚み方向を上下方向として、各構成について説明する。
【0015】
図6及び図7には、本実施形態の容器1の一例が示されている。容器1は、上面に開口60を有する箱状の容器本体6と、開口60を開閉するように、容器本体6に回転可能に連結された一対の蓋7と、を備える。以下では、まず。容器1のうち底壁2の除いた残りの構成について説明する。
【0016】
2-1.容器本体
容器本体6は、本実施形態では、折り畳み可能な略直方体の箱状である。容器本体6は、底壁2と、底壁2に対して立設され、折り畳み可能な複数(詳しくは4枚)の側壁8と、複数の側壁8の上端部に係合可能に取り付けられる口枠9と、を備える。底壁2、複数の側壁8、及び口枠9のそれぞれは、合成樹脂製である。
【0017】
4枚の側壁8は、底壁2の2つの短辺に沿った端部(つまり左右の端部)に立設された一対の第一側壁8aと、底壁2の2つの長辺に沿った端部(つまり前後の端部)に立設された一対の第二側壁8bとで構成される。
【0018】
一対の第一側壁8aのそれぞれは、1枚の板材で構成されている。一対の第一側壁8aのそれぞれは、底壁2の前後の端部に対して係合可能であり、かつ、口枠9に対して係合可能である。一対の第一側壁8aのそれぞれの一端部(下端部)には、底壁2との係合に用いられる係合構造(詳しくは凹部)が設けられている。
【0019】
一対の第二側壁8bのそれぞれは、回転可能に互いに連結された2枚の板材で構成されている。一対の第二側壁8bのそれぞれは、2枚の板材が1枚の板状に並ぶ組み立て状態と、2枚の板材が厚み方向に積み重なる折り畳み状態とに切替可能である。一対の第二側壁8bのそれぞれは、底壁2の前後の端部に対して係合可能であり、かつ、口枠9に対して係合可能である。一対の第二側壁8bのそれぞれは、組み立て状態で、底壁2の前後の端部に立設される。一対の第二側壁8bのそれぞれの下端部には、底壁2との嵌合に用いられる嵌合構造(詳しくは凸部)が設けられている。
【0020】
口枠9は、一対の第一側壁8aの上端部に係合可能に連結される一対の短側フレーム90と、一対の第二側壁8bの上端部に係合可能に連結される一対の長側フレーム91とを、一体に有する。口枠9の上端開口が、容器本体6の上面の開口60を構成している。
【0021】
一対の長側フレーム91のそれぞれの上面には、一対の蓋7が回転可能に連結される連結部92が設けられている。一対の短側フレーム90のそれぞれの上面には、突起93が設けられている。本実施形態では、一対の短側フレーム90のそれぞれの上端部には、2つの突起93が設けられている。
【0022】
容器本体6は、底壁2の上面の外周部に、4枚の側壁8(側壁8a,8b)を立設して、底壁2と4枚の側壁8とを係合又は嵌合させ、4枚の側壁8の上端部に口枠9を嵌め込むことで、箱状に組み立てることができる。
【0023】
また、容器本体6は、4枚の側壁8を折り畳んで、底壁2とその上に載せた口枠9によって囲まれる空間に収めることで、折り畳み状態に組み立てることができる。
【0024】
2-2.一対の蓋
一対の蓋7のそれぞれは、略矩形板状である。一対の蓋7のそれぞれは、口枠9の連結部92に回転可能に連結される連結部70と、口枠9の突起93が嵌まり込む嵌合孔71と、他方の蓋7に対して重なり合う重ね部72と、を有する。一対の蓋7のそれぞれは、例えば、合成樹脂で形成される。
【0025】
一対の蓋7は、口枠9の前後の連結部92に回転可能に連結されることで、開口60の全体を開閉する。
【0026】
2-3.底壁
続いて、本実施形態の底壁2について更に詳しく説明する。図1から図5には、本実施形態の底壁2が示されている。図2Aに示すように、底壁2は、主体を構成する矩形板状の底壁本体20と、底壁本体20の外周縁から上方に突出した矩形枠状の下枠21と、底壁本体20の上面の外周部(下枠21の内側の部分)に設けられた係合構造220及び嵌合構造221と、を一体に有する。係合構造220は、底壁本体20の上面の前後の端部のそれぞれに設けられている。嵌合構造221は、底壁本体20の上面の左右の端部のそれぞれに設けられている。底壁2は、本実施形態では、上下一対の金型内に加熱溶融させた樹脂材料を射出注入し、冷却・固化させる事によって成形される射出成形品である。
【0027】
図2A図2B及び図4に示すように、底壁2は、下方に突出しかつ上方に開口するように膨出する複数の膨出部3を有する。複数の膨出部3は、底壁本体20の一部を膨出させることで形成されている。
【0028】
複数の膨出部3は、一方向D1に間隔をおいて並んだ複数の第一膨出部3aを含む。複数の膨出部3は、一方向に間隔をおいて並んだ複数の第二膨出部3bを更に有する。本実施形態では、底壁2の短手方向の両端部(前後の端部)のそれぞれに、複数の第一膨出部3aと複数の第二膨出部3bが配置されている。複数の第一膨出部3aは、複数の第二膨出部3bよりも前後方向外側に位置している。本実施形態では、底壁2の短手方向の一端部における複数の膨出部3a,3bの配置と、底壁2の短手方向の他端部における複数の膨出部3a,3bの配置とは、同じである。
【0029】
複数の膨出部3は、平面視平行四辺形状の膨出部3cを含む。複数の膨出部3は、平面視長方形状の膨出部3dと、平面視台形状の膨出部3eとを更に含む。本実施形形態では、複数の膨出部3のそれぞれは、平面視平行四辺形状、平面視長方形状、及び平面視台形状のいずれかであり、つまり、平面視四角形状である。
【0030】
複数の第一膨出部3aは、本実施形態では、左から右へと順に並ぶ、平面視長方形状の1つの膨出部3d、平面視平行四辺形状の3つの膨出部3c、及び平面視台形状の1つの膨出部3eの合計5つの膨出部3で構成されている。
【0031】
複数の第二膨出部3bは、本実施形態では、左から右へと順に並ぶ、平面視平行四辺形状の4つの膨出部3c、及び平面視長方形状の1つの膨出部3dの合計5つの膨出部3で構成されている。
【0032】
図2B図5A及び図5Bに示すように、複数の膨出部3のそれぞれは、底壁本体20から下方に突出する4つの側壁部31と、4つの側壁部31の下端部をつなぐ下壁部32と、を有する。4つの側壁部31と下壁部32のそれぞれは、厚みが一定の平板状である。下壁部32は、側壁部31よりも厚みが薄い。
【0033】
4つの側壁部31は、前後方向に互いに対向する2つの第一側壁部31aと、左右方向に互いに対向する2つの第二側壁部31bと、で構成されている。4つの側壁部31のそれぞれは、4つの側壁部31によって囲んで形成される内部空間の面積が上側ほど広くなるように、上下方向に対して僅かに傾いている。
【0034】
下壁部32は、平面視四角形状(詳しくは平行四辺形状、台形状、又は長方形状)である。下壁部32の外周縁の4辺のそれぞれから4つの側壁部31が上方に延びている。下壁部32の上面320は、下壁部32の下面321よりも一回り小さい四角形状である。下壁部32の下面321が、膨出部3の下面30を構成する。
【0035】
平面視平行四辺形状の膨出部3cは、左右方向に対して平行な1組の対辺を有する。言い換えると、膨出部3cでは、前後方向に対向する2つの第一側壁部31aのそれぞれは、左右方向に対して平行である。膨出部3cでは、左右方向に対向する2つの第二側壁部31bのそれぞれは、前後方向外側の部分ほど左方に位置するように、前後方向に対して傾いている。
【0036】
平面視長方形状の膨出部3dは、左右方向に対して平行な一対の対辺と、前後方向に対して平行な一対の対辺と、を有する。言い換えると、膨出部3dでは、前後方向に対向する2つの第一側壁部31aのそれぞれは、左右方向に対して平行であり、左右方向に対向する2つの第二側壁部31bのそれぞれは、前後方向に対して平行である。
【0037】
平面視台形状の膨出部3eは、左右方向に対して平行な一対の対辺(台形の上底と下底)と、前後方向に対して平行な辺と、前後方向に対して傾いた辺と、を有する。言い換えると、膨出部3eでは、前後方向に対向する2つの第一側壁部31aのそれぞれは、左右方向に対して平行である。膨出部3eでは、左右方向に対向する2つの第二側壁部31bのうち、左側の第二側壁部31bは、前後方向外側の部分ほど左方に位置するように、前後方向に対して傾いており、右側の第二側壁部31bは、前後方向に対して平行である。膨出部3eの左側の第二側壁部31bの前後方向に対する傾きは、膨出部3cにおける2つの第二側壁部31bの前後方向に対する傾きと、同じ角度である。
【0038】
本実施形態では、図4に示すように、複数の膨出部3a,3bは、第一膨出部3aの前後方向内側の第一側壁部31aと、第二膨出部3bの前後方向外側の第一側壁部31aとが、1つずつ交互に並んで左右方向に一直線状に延びる1つのリブを形成するように、配置されている。
【0039】
複数の第一膨出部3aにおける平面視平行四辺形状の膨出部3cの左側の第二側壁部31bと、複数の第二膨出部3bにおける平面視平行四辺形状の膨出部3cの右側の第二側壁部31bとは、一直線状に連続している。複数の第一膨出部3aにおける平面視平行四辺形状の膨出部3cの右側の第二側壁部31bと、複数の第二膨出部3bにおける平面視平行四辺形状の膨出部3cの左側の第二側壁部31bとは、一直線状に連続している。
【0040】
複数の第一膨出部3aにおける平面視台形状の膨出部3eの左側の第二側壁部31bと、複数の第二膨出部3bの右端部に位置する膨出部3cの右側の第二側壁部31bとは、一直線状に連続している。複数の第一膨出部3aにおける平面視台形状の膨出部3eの右側側の第二側壁部31bと、複数の第二膨出部3bの右端部に位置する膨出部3dの左側の第二側壁部31bとは、一直線状に連続している。
【0041】
第一膨出部3aと第二膨出部3bは、側壁部31が連続しているものの、内部空間は連通していない。
【0042】
複数の膨出部3a,3bの下面30a,30b(下壁部32の下面321)は、上下方向の位置が互いに同じであり、同一平面上に位置する(図5B参照)。
【0043】
複数の膨出部3a,3bの下面30a,30bは、図1A図1B図3A及び図3Bに示すように、底壁2に配置されている。
【0044】
底壁2の最下面は、複数の第一膨出部3aの下面30aで構成される第一当接面4と、下面30aとは別の面で構成される第二当接面5とを含む。本実施形態では、第二当接面5は、複数の第二膨出部3bの下面30bで構成されている。第一当接面4は、第二当接面5よりも前後方向における外側に位置している。
【0045】
第一当接面4と第二当接面5は、底壁2の短手方向の両端部(前後の端部)のそれぞれに配置されている。底壁2の短手方向の一端部における当接面4,5と、底壁2の短手方向の他端部における当接面4,5とは、線対称に配置されている。
【0046】
底壁2の最下面には、第一当接面4の一方向D1の全長にわたって、一方向D1に対して直交する線上に、第一当接面4と第二当接面5のうち少なくとも一方が位置する。
【0047】
第一当接面4の一方向D1(つまり長手方向)は、底壁2の長手方向(つまり左右方向)に対して平行である。第一当接面4は、底壁2の長手方向の一端部から他端部にわたって位置する。本実施形態では、第一当接面4は、底壁2の長手方向の一端(一端部の端縁)と他端(他端部の端縁)からは、離れて位置している。
【0048】
第一当接面4と第二当接面5とは、互いに平行である。第二当接面5は、底壁2の長手方向の一端部から他端部にわたって位置する。本実施形態では、第二当接面5は、底壁2の長手方向の一端(一端部の端縁)と他端(他端部の端縁)からは、離れて位置している。第一当接面4と第二当接面5とは、左右方向の長さ及び左右方向の位置が互いに同じである。
【0049】
本実施形態では、第一当接面4と第二当接面5は、前後方向に連続して位置する。つまり、第一当接面4と第二当接面5との間には、隙間が生じていない。
【0050】
第一当接面4と第二当接面5とは、第一当接面4の一方向D1に直交する方向(つまり前後方向)に連続した部分を有する。本実施形態では、複数の第一膨出部3aの下面30aと、複数の第二膨出部3bの下面30bとは、鈍角の角部同士が、前後方向に連続している。
【0051】
本実施形態では、複数の第一膨出部3aの下面30aと、複数の第二膨出部3bの下面30bとは、鈍角の角部に限らず、鋭角の角部同士や、鋭角の角部と直角な角部や、直角な角部同士においても互いに連続している。これらの角部は、前後方向に対して傾いた方向に連続している。
【0052】
底壁2は、図1A及び図3Aに示すように、下方に向けて突出する格子状のリブ23を更に有する。リブ23は、底壁本体20から下方に突出している(図5A参照)。リブ23は、底壁2の前端部の2列の膨出部3a,3bと、底壁2の後端部の2列の膨出部3a,3bとの間に、全体にわたって配置されている。
【0053】
本実施形態では、リブ23は、前後方向に対して45度の角度で傾いた方向に延びる複数の第一リブ230と、複数の第一リブ230に対して交差する(詳しくは直交する)複数の第二リブ231とで構成されている。複数の第一リブ230は、等間隔に互いに平行に並んで位置する。複数の第二リブ231は、等間隔に互いに平行に並んで位置する。
【0054】
複数の第一リブ230と複数の第二リブ231のそれぞれは、底壁本体20から下方に突出している。複数の第一リブ230と複数の第二リブ231のそれぞれは、長板状であり、下側の部分ほど厚みが薄い(図5A参照)。複数の第一リブ230のそれぞれの下端の位置と、複数の第二リブ231のそれぞれの下端の位置は、互いに同じである。リブ230,231の下端は、当接面4,5よりも上方に位置している。言い換えると、第一当接面4と第二当接面5のそれぞれは、リブ23の下端よりも下方に位置する。当接面4,5のそれぞれは、リブ23よりも0.1~1.0mm下方に位置し、より好ましくは、0.3~0.7mm下方に位置する。
【0055】
底壁2は、底壁本体20の左右の端部に設けられ、前後方向に延びた格子状の端部リブ24と、底壁本体20の前後の端部に設けられ、左右方向に延びた格子状の端部リブ25とを、更に有する。端部リブ24は、底壁本体20の左右の端縁から若干離れた位置に設けられ、端部リブ25は、底壁本体20の前後の端縁から若干離れた位置に設けられている。左右の端部リブ24と前後の端部リブ25によって囲まれる範囲に、複数の膨出部3とリブ23が位置している。
【0056】
端部リブ24は、前後方向に延びる2つの縦リブ240と、左右方向に延び、2つの縦リブ240をつなぐ複数の横リブ241と、で構成されている。2つの縦リブ240のうち、左右方向内側に位置する縦リブ240aの下面は、左右方向外側に位置する縦リブ240bの下面よりも低く位置する。本実施形態では、縦リブ240aの下面は、複数の膨出部3の下面30と同じ上下位置であり、底壁2の最下面を構成している。複数の横リブ241の下面は、縦リブ240aの下面と縦リブ240bの下面に連続しており、左右方向内側の部分ほど下方に位置するように傾斜した傾斜面を構成している。なお、複数の横リブ241のうちの一部の横リブ241の下面は、縦リブ240aの下面を介して、膨出部3a,3bの下面30a,30bに連続させる構成としてもよい。
【0057】
端部リブ25は、図1B及び図2Bに示すように、左右方向に延びる1つの横リブ250と、前後方向に延び、横リブ250とこれに対向するリブ(詳しくは後述する連結横リブ26a)又は膨出部3とをつなぐ複数の縦リブ251と、で構成されている。横リブ250の下面は、複数の膨出部3の下面30よりも上方に位置する。複数の縦リブ251の下面は、横リブ250の下面とこれに対向するリブ又は膨出部3の下面に連続しており、前後方向内側の部分ほど下方に位置するように傾斜した傾斜面を構成している。
【0058】
底壁2は、底壁本体20から下方に突出し、左右方向に隣接する複数の膨出部3をつなぐ複数の連結横リブ26と、連結横リブ26とこれに対向する膨出部3とをつなぐ複数の連結縦リブ27とを更に有する。複数の連結横リブ26のそれぞれは、左右方向に延びるリブであり、複数の連結縦リブ27のそれぞれは、前後方向に延びるリブである。
【0059】
複数の連結横リブ26は、隣接する2つの第一膨出部3aをつなぐ連結横リブ26aと、隣接する2つの第二膨出部3bをつなぐ連結横リブ26bと、を含む。
【0060】
連結横リブ26aは、隣接する2つの第一膨出部3aの前後方向外側の第一側壁部31aと同一直線状に並んで、これら2つの第一側壁部31aをつなぐ。連結横リブ26aの下面は、第一膨出部3aの下面30aと同じ高さに位置し、底壁2の最下面を構成する。
【0061】
連結横リブ26bは、隣接する2つの第二膨出部3bの前後方向内側の第一側壁部31aと同一直線状に並んで、これら2つの第一側壁部31aをつなぐ。連結横リブ26bの下面は、第二膨出部3bの下面30bと同じ高さに位置し、底壁2の最下面を構成する。
【0062】
複数の連結縦リブ27は、連結横リブ26aとこれに対向する第二膨出部3bの前後方向外側の第一側壁部31aをつなぐ複数(本実施形態では2つ)の連結縦リブ27aを含む。複数の連結縦リブ27は更に、連結横リブ26bとこれに対向する第一膨出部3aの前後方向内側の第一側壁部31aをつなぐ複数(本実施形態では2つ)の連結縦リブ27bを含む。複数の連結縦リブ27a,27bのそれぞれの下面は、膨出部3a,3bの下面30a,30bよりも上方に位置している。
【0063】
3.作用効果
以上説明した本実施形態の容器1では、底壁2の最下面において、底壁2の長手方向の一端部から他端部にわたって、この長手方向に対して直交する線上に、第一当接面4と第二当接面5のうち少なくとも一方が位置する。そのため、本実施形態の容器1では、ローラーコンベアで搬送する際に、ローラーコンベアの搬送方向に対して底壁2の長手方向が平行となるように、容器1をローラーコンベアに載せることで、第一当接面4と第二当接面5のうち少なくとも一方をローラーコンベアの各ローラーに常時当てることができる。これにより、本実施形態の容器1では、ローラーコンベアによって搬送する際に、底壁2に対して各ローラーが繰り返し衝突することを防ぐことができて、騒音が生じにくい。
【0064】
また、本実施形態の容器1では、当接面4,5を、下方に突出しかつ上方に開口する複数の膨出部3a,3bの下面30a,30bで構成している。そのため、本実施形態の容器1では、当接面4,5を長尺に設けた膨出部の下面で構成する場合に比べて、底壁2の上面に形成される各膨出部3a,3bの開口を小さくできる。これにより、本実施形態の容器1では、容器1内に収容した収容物が各膨出部3a,3bに入り込みにくい。
【0065】
また、本実施形態の容器1では、複数の膨出部3a,3bが、平面視平行四辺形状の膨出部3cを含むため、膨出部3cの鋭角の角部分では開口が狭まるため、容器1内に収容した収容物が膨出部3内に入り込みにくい。
【0066】
また、本実施形態の容器1では、底壁2の下面の短手方向の両端部のそれぞれに、当接面4,5を備えているため、ローラーコンベアによる搬送時に、各ローラーに2組の当接面4,5のセットが常時当たりやすくて、騒音が生じにくい。
【0067】
また、本実施形態の容器1では、当接面4,5がリブ23よりも下方に位置するため、ローラーコンベアによる搬送時に各ローラーとリブ23との接触を防ぐことができて、リブ23との接触による騒音の発生やリブ23の変形を抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態の容器1では、隣接する2つの第一膨出部3aの下面30aが、連結横リブ26aの下面を介して連続し、隣接する2つの第二膨出部3bの下面30bが、連結横リブ26bの下面を介して連続し、連結横リブ26a,26bの下面が底壁2の最下面を構成している。そのため、本実施形態の容器1では、連結横リブ26a,26の下面によっても各ローラーとの衝突を抑制することができて、ローラーコンベアによる搬送時に騒音が生じにくい。
【0069】
また、本実施形態の容器1では、左右一対の端部リブ24の縦リブ240aの下面が、底壁2の短手方向の一端部から他端部にわたって延び、底壁2の最下面を構成している。そのため、本実施形態の容器1では、ローラーコンベアの搬送方向に対して底壁2の短手方向が平行となるように、容器1をローラーコンベアに載せた際に、縦リブ240aの下面をローラーコンベアの各ローラーに常時当てることができる。これにより、本実施形態の容器1では、ローラーコンベアに載せるときの向きにかかわらず、ローラーコンベアによって搬送する際に騒音が生じにくい。
【0070】
また、本実施形態の容器1では、左右の端部リブ24の横リブ241の下面が、縦リブ240aの下面と連続する傾斜面となっており、前後の端部リブ25の縦リブ251の下面が、第一膨出部3aの下面30aと連続する傾斜面となっている。そのため、本実施形態の容器1では、ローラーコンベアの各ローラーを、これらの傾斜面によって当接面4,5又は縦リブ240aと接する状態に円滑にガイドすることができ、騒音が生じにくい。
【0071】
4.変形例
続いて、上述した実施形態1の容器1の変形例について説明する。以下に説明する各変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0072】
複数の膨出部3は、図1A及び図2Aに示す形状及び配置に限定されない。
【0073】
例えば、図8Aに示す変形例1のように、複数の膨出部3(膨出部3a,3b)は、平面視矩形状の膨出部3のみで構成されてもよく、下面30a,30bは全て矩形状(長方形状又は正方形状)であってもよい。
【0074】
また、図8Bに示す変形例2のように、複数の第一膨出部3aと複数の第二膨出部3bとは、前後方向における配置が部分的に重なってもよい。言い換えると、第一膨出部3aの下面30aと第二膨出部3bの下面30bとは、左右方向に連続する部分を有してもよい。
【0075】
また、図8Cに示す変形例3のように、複数の膨出部3は、一方向D1(左右方向)に間隔をおいて並んだ複数の第三膨出部3fを更に含んでもよい。底壁2は、短手方向の両端部のそれぞれに、2列に限らず、3列、又は4列以上の複数の膨出部3を備えてもよい。
【0076】
また、図8Dに示す変形例4のように、複数の第一膨出部3aと複数の第二膨出部3bとは、一方向D1(左右方向)に対して直交する方向(前後方向)に、距離をおいて位置してもよい。
【0077】
また、図8Eに示す変形例5のように、底壁2は、短手方向の両端部のそれぞれに、1列の複数の第一膨出部3aを備え、複数の第一膨出部3aの前後に、一方向D1に一直線状に延びる帯状面で構成される第二当接面5を備えてもよい。第二当接面5は、底壁2の長手方向の一端部から他端部にわたって延びる膨出部の下面によって構成されてもよいし、底壁2の長手方向の一端部から他端部にわたって延びるリブの下面によって構成されてもよい。
【0078】
また、底壁2は、図9に示す変形例6のように、格子状のリブ23を備えてもよい。格子状のリブ23は、底壁2の長手方向に延びる複数の横リブ232と、複数の横リブ232と交差する(本変形例では直交する)複数の縦リブ233と、を含む。複数の横リブ232は、複数の縦リブ233よりも下方への突出長さが長い。変形例6の容器1では、ローラーコンベアの搬送方向に対して底壁2の長手方向が平行となるように、容器1をローラーコンベアに載せて搬送する際に、当接面4,5が変形等して底壁2の最下面を構成しなくなっても、複数の横リブ232の下面をローラーコンベアの各ローラーに常時当てることができて、騒音の発生を抑制することができる。
【0079】
また、複数の第一膨出部3aが並ぶ一方向D1は、底壁2の長手方向に対して平行な方向に限らず、この長手方向に対して傾いた方向であってもよい。また、複数の第一膨出部3aが並ぶ一方向D1は、底壁2の短手方向に対して平行な方向であってもよい。
【0080】
また、複数の第二膨出部3bが並ぶ一方向は、複数の第一膨出部3aが並ぶ一方向D1と同じ方向に限らず、一方向D1に対して交差する方向であってもよい。
【0081】
第一当接面4は、底壁2の長手方向の一端部から他端部にわたって位置しなくてもよく、底壁2の長手方向の一部に位置してもよい。
【0082】
第二当接面5は、第一当接面4を構成する複数の第一膨出部3aの下面30aとは別の面で構成されればよく、第二膨出部3bの下面30bとは別の面で構成されてもよい。例えば、第二当接面5は、底壁2の長手方向に延びるリブの下面で構成されてもよい。
【0083】
複数の膨出部3は、平面視平行四辺形状の膨出部3cを含まなくてもよい。複数の膨出部3は、平面視四角形状に限らず、その他の形状であってもよい。
【0084】
底壁2は、格子状のリブ23を有さなくてもよい。また、格子状のリブ23の下端(下面)は、当接面4,5と同じ上下位置にあってもよく、底壁2の最下面を構成してもよい。
【0085】
容器本体6は、上面に開口60を有する箱状のものであればよく、図6及び図7に示すような折り畳み可能なものに限らず、一体成形品であってもよい。
【0086】
また、容器1は、複数の膨出部3の上面開口を塞ぐように底壁2に取り付けられるカバーを更に備えてもよく、この場合、底壁2の上面をフラットとすることができる。
【0087】
また、底壁2は、底壁本体20から下方に突出し、格子状のリブ23の各リブ230,231が交差する部分を中心に円柱状に設けられた補強部(ボス)を更に備えてもよく、この補強部の下面を、リブ230,231の下面と面一に設けてもよい。また、補強部の下面中央には、成形時に底壁2を押圧して金型から底壁2を離型させる突出ピンによって押される凹みを設けてもよい。この場合、補強部の下面とリブ23の下面との間に段差が形成されず、ローラーコンベアでの搬送時に騒音が生じ難い。
【0088】
また、底壁2は、端部リブ24,25を備えなくてもよく、この場合、複数の膨出部3のそれぞれは、下壁部32と側壁部31とでなされるコーナーの外面を、直角形状でなく、湾曲面状または傾斜面状に設けることが好ましい。
【0089】
(実施形態2)
続いて、図10に示す実施形態2の容器1について、図面を参照して詳しく説明する。以下では、実施形態2の容器1のうち、実施形態1と共通する構成については、図中に同一の符号を付して詳しい説明を省略し、実施形態1と異なる構成については、詳しく説明する。
【0090】
実施形態2の容器1では、底壁2は、下方に突出する格子状のリブ23と、リブ23よりも下方に突出し、水平方向に延びる少なくとも1つの突条部10とを備える。底壁2の最下面は、少なくとも1つの突条部10の下面100で構成されている。底壁2は、複数の膨出部3に代えて、少なくとも1つの突条部10を備えている。
【0091】
本実施形態では、底壁2の短手方向の両端部(前後の端部)のそれぞれに、3つの突条部10が形成されている。3つの突条部10は、互いに平行であり、底壁2の長手方向に延びている。3つの突条部10のそれぞれは、底壁本体20から下方に突出しており、中実な板状である。3つの突条部10のそれぞれは、前後方向に厚みを有する。突条部10の厚みは、格子状のリブ23のリブ230,231の厚みと同じであってもよいし、リブ230,231の厚みよりも厚くてもよい。複数の突条部10のそれぞれは、リブ23よりも0.1~1.0mm下方に突出し、より好ましくは、0.3~0.7mm下方に突出する。
【0092】
底壁2は、底壁本体20から下方に突出し、突条部10の下面100に連続する傾斜した下面280を有する複数の傾斜縦リブ28を更に備える。
【0093】
本実施形態では、複数の傾斜縦リブ28は、3つの突条部10のうち、一方の端(前後方向外側の端)に位置する突条部10に連続する複数の第一傾斜縦リブ28aと、3つの突条部10のうち、他方の端(前後方向内側の端)に位置する突条部10に連続する複数の第二傾斜縦リブ28bと、を有する。なお、底壁2は、前後の端部リブ25に代えて、複数の第一傾斜縦リブ28aを備えている。
【0094】
複数の第一傾斜縦リブ28aのそれぞれの下面280は、突条部10に近い部分(前後方向内側の部分)ほど下方に位置するように傾斜して、突条部10の下面100に連続している。複数の第二傾斜縦リブ28bのそれぞれの下面280は、突条部10に近い部分(前後方向外側の部分)ほど下方に位置するように傾斜して、突条部10の下面100に連続している。
【0095】
3つの突条部10のそれぞれは、その左右の端部が、端部リブ24の縦リブ240b(図1A参照)と連続している。そのため、3つの突条部10の下面100には、端部リブ24の横リブ241の傾斜した下面が縦リブ240bの下面を介して連続している。
【0096】
以上説明した実施形態2の容器1では、底壁2の最下面において、底壁2の長手方向の一端部から他端部にわたって、合計6つの突条部10の下面100が位置する。そのため、本実施形態の容器1では、ローラーコンベアで搬送する際に、ローラーコンベアの搬送方向に対して底壁2の長手方向が平行となるように、容器1をローラーコンベアに載せることで、6つの突条部10の下面100をローラーコンベアの各ローラーに常時当てることができる。これにより、本実施形態の容器1では、ローラーコンベアによって搬送する際に、底壁2のリブ23に対して各ローラーが繰り返し衝突することを防ぐことができて、騒音が生じにくい。
【0097】
上述した実施形態2の容器1は、例えば、下記の変形例を適宜採用可能である。
【0098】
底壁2が備える突条部10の数は、少なくとも1つであればよく、両端部に3つずつに限らず、これ以外の数であってもよい。
【0099】
また、突条部10が延びる方向は、底壁2の長手方向に限らず、底壁2の短手方向であってもよいし、底壁2の長手方向または短手方向に対して交差する方向であってもよい。
【0100】
また、底壁2が備える複数の突条部10は、互いに平行でなくてもよい。
【0101】
また、底壁2が備える少なくとも1つの突条部10は、底壁2の短手方向の両端部に限定されず、底壁2のその他の位置に配置されてもよい。また、少なくとも1つの突条部10は、底壁2の短手方向の両端部に加えて、底壁2の短手方向の中央部にも配置されてもよい。この場合、底壁2にたわみが生じた場合でも、ローラーコンベアの各ローラーに、いずれかの突条部10を当接させやすい。
【0102】
また、少なくとも1つの突条部10は、底壁2の長手方向の一端部から他端部にわたって位置しなくてもよく、底壁2の長手方向の一部にのみ位置してもよい。
【0103】
また、少なくとも1つの突条部10は、中実な板状に限らず、内部に空間を有する中空構造であってもよい。
【0104】
(実施形態3)
続いて、図11Aに示す実施形態3の容器1について、図面を参照して詳しく説明する。以下では、実施形態3の容器1のうち、実施形態1と共通する構成については、図中に同一の符号を付して詳しい説明を省略し、実施形態1と異なる構成については、詳しく説明する。
【0105】
実施形態3の容器1では、底壁2は、底壁2の上面を構成する底壁本体20と、底壁本体20から下方に突出する格子状のリブ23と、底壁本体20とリブ23のうち少なくとも一方に固定され、水平方向に延びる少なくとも1つの当接部材11と、を備える。底壁2の最下面は、少なくとも1つの当接部材11の下面110で構成されている。底壁2は、複数の膨出部3に代えて、少なくとも1つの当接部材11を備えている。
【0106】
本実施形態では、底壁2は、水平方向のうち一方向(詳しくは左右方向)に延びる2つの当接部材11を備えている。2つの当接部材11は、格子状のリブ23のうち、底壁2の短手方向の両端部(前後の端部)に位置する部分に、溶着により固定されている。本実施形態では、当接部材11の上面が、リブ23の下面に溶着されている。
【0107】
2つの当接部材11は、互いに平行であり、底壁2の長手方向(左右方向)に延びている。2つの当接部材11のそれぞれは、平板状である。当接部材11の厚みは、格子状のリブ23のリブ230,231の厚みと同じであってもよいし、リブ230,231の厚みよりも厚くてもよい。2つの当接部材11のそれぞれは、リブ23よりも0.1~1.0mm下方に突出し、より好ましくは、0.3~0.7mm下方に突出する。
【0108】
以上説明した実施形態3の容器1では、底壁2の最下面において、底壁2の長手方向の一端部から他端部にわたって、2つの当接部材11の下面110が位置する。そのため、本実施形態の容器1では、ローラーコンベアで搬送する際に、ローラーコンベアの搬送方向に対して底壁2の長手方向が平行となるように、容器1をローラーコンベアに載せることで、2つの当接部材11の下面110をローラーコンベアの各ローラーに常時当てることができる。これにより、本実施形態の容器1では、ローラーコンベアによって搬送する際に、底壁2のリブ23に対して各ローラーが繰り返し衝突することを防ぐことができて、騒音が生じにくい。
【0109】
上述した実施形態3の容器1は、例えば、下記の変形例を適宜採用可能である。
【0110】
当接部材11の形状、固定方法、及び配置は、図11Aに示す形状、固定方法、及び配置に限定されない。
【0111】
例えば、図11Bに示す変形例7のように、当接部材11は、板状の本体部111と、本体部111から上方に突出した複数(本実施形態では3つ)の連結部112と、を有してもよい。変形例7では、複数の連結部112の上面が、リブ23の下面に溶着されている。
【0112】
また、図11Cに示す変形例8のように、当接部材11は、板状の本体部111と、本体部111の前後の端部から上方に突出した2つの連結部112と、を有してもよい。変形例8では、複数の連結部112の上面が、底壁本体20の下面に溶着され、本体部111の上面が、リブ23の下面に溶着されている。
【0113】
また、図11Dに示す変形例9のように、当接部材11は、板状の本体部111と、本体部111の前後の端部とその間の部分から上方に突出した複数の連結部112と、を有してもよい。変形例9では、当接部材11は、リブ23よりも前後方向外側に位置している。当接部材11は、複数の連結部112の上面が、底壁本体20の下面に溶着されている。
【0114】
また、図12Aに示す変形例10のように、底壁2は、底壁2の短手方向の両端部に配置された2つの当接部材11と、底壁2の長手方向の両端部に配置された2つの当接部材11とを備えてもよい。4つの当接部材11は、長手方向の端部同士が互いにつながっている。言い換えると、4つの当接部材11は、「ロ」字状につながっている。4つの当接部材11のそれぞれは、図11A~Dのいずれの構造であってもよい。
【0115】
また、図12Bに示す変形例11のように、底壁2は、底壁2の短手方向の両端部と中間部に配置された3つの当接部材11と、底壁2の長手方向の両端部と中間部に配置された3つの当接部材11とを備えてもよい。6つの当接部材11は、長手方向の両端部と中間部がつながっている。言い換えると、6つの当接部材11は、「田」字状につながっている。6つの当接部材11のそれぞれは、図11A~Dのいずれの構造であってもよい。
【0116】
また、図12Cに示す変形例12のように、底壁2は、底壁2を短手方向に3等分する位置に配置される2つの当接部材11と、底壁2を長手方向に3等分する位置に配置される2つの当接部材11とを備えてもよい。4つの当接部材11は、互いにつながっている。詳しくは、4つの当接部材11は、「井」字状につながっている。4つの当接部材11のそれぞれは、図11A~Dのいずれの構造であってもよい。
【0117】
また、当接部材11は、板状の本体部111と、本体部111の両端部から上方に突出する連結部112とを有する場合、本体部111と連結部112とがなすコーナー部分の外面を、直角状ではなく、傾斜面状や湾曲面状に設けてもよい。また同様に、当接部材11は、本体部111のみで構成される場合、本体部111の両端部には、傾斜面や湾曲面を設けてもよい。
【0118】
また、底壁2は、当接部材11の下面110に連続する傾斜した下面を有するリブ(図10に示す傾斜縦リブ28と同様のリブ)を更に備えてもよい。
【0119】
底壁2が備える当接部材11の数は、少なくとも1つであればよく、上述した2つ、4つ、6つ以外の数であってもよい。
【0120】
また、当接部材11が延びる方向は、底壁2の長手方向または短手方向に対して交差する方向であってもよい。
【0121】
また、底壁2が備える複数の当接部材11は、互いに平行でなくてもよい。
【0122】
また、少なくとも1つの当接部材11は、底壁2の長手方向の一端部から他端部にわたって位置しなくてもよく、底壁2の長手方向の一部にのみ位置してもよい。
【0123】
また、当接部材11は、水平方向に延びたものであればよく、水平方向の一方向に延びたものに限らず、水平方向の互いに直交する2つの方向に延びたものであってもよく、例えば、格子状のリブ23の全体を覆うように設けたものも含まれる。
【0124】
また、当接部材11は、溶着以外の方法で、底壁本体20とリブ23のうち少なくとも一方に固定されてもよい。
【0125】
なお、実施形態1の底壁2の当接面4,5と、実施形態2の底壁2の少なくとも1つの突条部10の下面100も同様に、図12AからCに示す変形例10から12のように、下方から見て、「ロ」字状、「田」字状、又は「井」字状に配置されてもよい。
【0126】
(まとめ)
以上説明した実施形態1及びその変形例のように、第一態様の容器1は、下記の構成を具備する。
【0127】
すなわち、第一態様の容器1は、底壁2を備える箱状の容器である。底壁2は、下方に突出しかつ上方に開口するように膨出する複数の膨出部3を有する。複数の膨出部3は、一方向D1に間隔をおいて並んだ複数の第一膨出部3aを含む。底壁2の最下面は、複数の第一膨出部3aの下面30aで構成される第一当接面4と、下面30aとは別の面で構成される第二当接面5とを含む。底壁2の最下面には、第一当接面4の一方向D1の全長にわたって、一方向D1に対して直交する線上に、第一当接面4と第二当接面5のうち少なくとも一方が位置する。
【0128】
上記構成を備える第一態様の容器1では、ローラーコンベアによって搬送する際、ローラーコンベアの搬送方向に対して第一当接面4の長手方向(一方向D1)が平行となるように、容器1をローラーコンベアに載せることで、第一当接面4と第二当接面5のうち少なくとも一方をローラーコンベアの各ローラーに常時当てることができる。そのため、第一態様の容器1では、ローラーコンベアによって搬送する際に、底壁2に対して各ローラーが繰り返し衝突することを防ぐことができて、騒音が生じにくい。加えて、第一態様の容器1では、第一当接面4が複数の第一膨出部3aの下面30aで構成されるため、第一当接面4が長尺な1つの膨出部の下面で構成される場合に比べて、膨出部3aの開口面積を小さくできて、容器1内に収容した収容物が膨出部3a内へ入り込みにくい。
【0129】
また、上述した実施形態1及びその変形例のように、第二態様の容器1は、第一態様の容器1の構成に加えて、下記の構成を付加的に具備する。
【0130】
すなわち、第二態様の容器1では、複数の膨出部3は、一方向に間隔をおいて並んだ複数の第二膨出部3bを更に含む。第二当接面5は、複数の第二膨出部3bの下面30bで構成される。
【0131】
上記構成を備える第二態様の容器1では、第二当接面5が複数の第二膨出部3bの下面30bで構成されるため、第二当接面5が長尺な1つの膨出部の下面で構成される場合に比べて、膨出部3bの開口面積を小さくできて、容器1内に収容した収容物が膨出部3b内に入り込みにくい。
【0132】
また、上述した実施形態1及びその変形例のように、第三態様の容器1は、第一又は第二態様の容器1の構成に加えて、下記の構成を付加的に具備する。
【0133】
すなわち、第三態様の容器1では、第一当接面4は、底壁2の長手方向の一端部から他端部にわたって位置する。
【0134】
上記構成を備える第三態様の容器1では、底壁2の長手方向の一端部から他端部にわたって、第一当接面4と第二当接面5のうち少なくとも一方をローラーコンベアの各ローラーに常時当てることができて、ローラーコンベアによって搬送する際に騒音が生じにくい。加えて、第三態様の容器1では、ローラーコンベアの搬送方向に対して底壁2の長手方向を合わせば、ローラーコンベアの搬送方向と第一当接面4の長手方向(一方向D1)を合わせることができて、容器1を騒音が生じにくい状態でローラーコンベアに載せやすい。
【0135】
また、上述した実施形態1及びその変形例のように、第四態様の容器1は、第一から第三のいずれか1つの態様の容器1の構成に加えて、下記の構成を付加的に具備する。
【0136】
すなわち、第四態様の容器1では、複数の膨出部3は、平面視平行四辺形状の膨出部3cを含む。
【0137】
上記構成を備える第四態様の容器1では、平面視平行四辺形状の膨出部3cは開口が狭くなる鋭角の部分を有するため、膨出部3c内への収容物の入り込みをさらに抑制しやすい。
【0138】
また、上述した実施形態1及びその変形例のように、第五態様の容器1は、第一から第四のいずれか1つの態様の容器1の構成に加えて、下記の構成を付加的に具備する。
【0139】
すなわち、第五態様の容器1では、底壁2は、下方に向けて突出する格子状のリブ23を更に有する。第一当接面4と第二当接面5のそれぞれは、リブ23の下端よりも下方に位置する。
【0140】
上記構成を備える第五態様の容器1では、ローラーコンベアの各ローラーがリブ23に接触することを抑制でき、リブ23との接触による騒音の発生やリブ23の変形を抑制することができる。
【0141】
また、上述した実施形態2及びその変形例のように、第六態様の容器1は、下記の構成を具備する。
【0142】
すなわち、第六態様の容器1は、底壁2を備える箱状の容器である。底壁2は、下方に向けて突出する格子状のリブ23と、リブ23よりも下方に突出し、水平方向に延びる少なくとも1つの突条部10とを有する。底壁2の最下面は、少なくとも1つの突条部10の下面100で構成される。
【0143】
上記構成を備える第六態様の容器1では、ローラーコンベアによって搬送する際、ローラーコンベアの搬送方向に対して少なくとも1つの突条部10の長手方向が平行となるように、容器1をローラーコンベアに載せることで、少なくとも1つの突条部10の下面100をローラーコンベアの各ローラーに常時当てることができる。そのため、第六態様の容器1では、ローラーコンベアによって搬送する際に、底壁2の格子状のリブ23に対して各ローラーが繰り返し衝突することを防ぐことができて、騒音が生じにくい。
【0144】
また、上述した実施形態3及びその変形例のように、第七態様の容器1は、下記の構成を具備する。
【0145】
すなわち、第七態様の容器1は、底壁2を備える箱状の容器である。底壁2は、底壁2の上面を構成する底壁本体20と、底壁本体20から下方に向けて突出する格子状のリブ23と、底壁本体20とリブ23のうち少なくとも一方に固定され、水平方向に延びる少なくとも1つの当接部材11とを有する。底壁2の最下面は、少なくとも1つの当接部材11の下面110で構成される。
【0146】
上記構成を備える第七態様の容器1では、ローラーコンベアによって搬送する際、ローラーコンベアの搬送方向に対して少なくとも1つの当接部材11の長手方向が平行となるように、容器1をローラーコンベアに載せることで、少なくとも1つの当接部材11の下面110をローラーコンベアの各ローラーに常時当てることができる。そのため、第七態様の容器1では、ローラーコンベアによって搬送する際に、底壁2の格子状のリブ23に対して各ローラーが繰り返し衝突することを防ぐことができて、騒音が生じにくい。
【0147】
また、上述した実施形態1~3及びその変形例のように、第八態様の容器1は、第一から第七のいずれか1つの態様の容器1の構成に加えて、下記の構成を付加的に具備する。
【0148】
すなわち、第八態様の容器1では、底壁2に対して立設され、折り畳み可能な複数の側壁8と、複数の側壁8の上端部に係合可能に取り付けられる口枠9と、を備える。
【0149】
上記構成を備える第八態様の容器1は、ローラーコンベアの各ローラーと底壁2との騒音の発生、つまり衝突を抑制できるため、容器1を折り畳み可能に設けたうえで、容器1の各パーツが意図せず分解されることを防ぎやすい。
【0150】
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0151】
1 運搬用容器
2 底壁
20 底壁本体
23 リブ
3 膨出部
3a 第一膨出部
3b 第二膨出部
3c 膨出部
30a 下面
30b 下面
4 第一当接面
5 第二当接面
8 側壁
9 口枠
10 突条部
100 下面
11 当接部材
110 下面
D1 一方向
図1
図2
図3
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図5
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図12