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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168711
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】貼付剤用積層体
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/70 20060101AFI20221031BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
A61K9/70 401
A61K47/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074371
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】305044143
【氏名又は名称】積水フーラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 良都
【テーマコード(参考)】
4C076
【Fターム(参考)】
4C076AA74
4C076BB31
4C076EE03
4C076EE49
4C076GG01
(57)【要約】
【課題】貼付剤を患部に貼り付ける際に貼付剤の中心付近が伸びても、幅が狭くなることが抑制されており、幅入りが抑制された貼付剤を製造するための貼付剤用積層体を提供する。
【解決手段】少なくとも支持体層の片面の一部に伸縮性ホットメルト樹脂層を有する貼付剤用積層体であって、
前記伸縮性ホットメルト樹脂層は、前記支持体層の、前記伸縮性ホットメルト樹脂層が形成されている面の面積を100%として、前記支持体層のTD方向の両端からそれぞれ10%の面積の領域以外の領域である中央部に少なくとも形成されている、
ことを特徴とする貼付剤用積層体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも支持体層の片面の一部に伸縮性ホットメルト樹脂層を有する貼付剤用積層体であって、
前記伸縮性ホットメルト樹脂層は、前記支持体層の、前記伸縮性ホットメルト樹脂層が形成されている面の面積を100%として、前記支持体層のTD方向の両端からそれぞれ10%の面積の領域以外の領域である中央部に少なくとも形成されている、
ことを特徴とする貼付剤用積層体。
【請求項2】
前記支持体層は、点ABCDにより特定される形状であり、前記中央部は、支持体層の4点ABCDから、TD方向と平行な辺上の、当該辺の長さの1/10の長さの点abcdにより特定される、請求項1に記載の貼付剤用積層体。
【請求項3】
前記伸縮性ホットメルト樹脂層を形成する伸縮性ホットメルト樹脂組成物は、75%伸長時の応力が0.20N/mm以上である、請求項1又は2に記載の貼付剤用積層体。
【請求項4】
前記伸縮性ホットメルト樹脂層を形成する伸縮性ホットメルト樹脂組成物は、75%伸長時の応力が0.20N/mm以上1.00N/mm以下である、請求項1~3のいずれかに記載の貼付剤用積層体。
【請求項5】
前記伸縮性ホットメルト樹脂層は、熱可塑性樹脂(A)及び可塑剤(B)を含み、前記熱可塑性樹脂(A)は、スチレン系ブロック共重合体である、請求項1~4のいずれかに記載の貼付剤用積層体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の貼付剤用積層体上に、更に、膏体層が形成されていることを特徴とする貼付剤。
【請求項7】
前記伸縮性ホットメルト樹脂層について下記測定方法により測定される測定値(Sh)と、前記支持体層及び前記膏体層が積層された積層体について下記測定方法により測定される測定値(Ss)との比(Sh/Ss)が、0.5以下である、請求項6に記載の貼付剤。
[(Sh)の測定方法]
引張試験機を用いて、引張速度300mm/分で75%伸長させる測定条件で伸縮性ホットメルト樹脂層の引張力を測定し、(Sh)とする。
[(Ss)の測定方法]
前記支持体層及び前記膏体層が積層された積層体のTD方向の両端からそれぞれ10%の面積の領域を引張試験機で固定し、引張速度300mm/分で75%伸長させて引張力を測定し、(Ss)とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼付剤用積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外用薬として、貼付剤が用いられている。貼付剤は、患部の皮膚表面に貼付されることによって、皮膚表面に冷感や温感を与えつつ、膏体層中に含まれる有効成分を経皮吸収的に人体に投与する。貼付剤は、膏体層が、当該膏体層を支持する支持体層と積層されて形成されている。
【0003】
貼付剤には、患部の形状に追従することが求められる。このような、患部の形状への追従性を示す貼付剤の支持体層として、特定の性状を示すパラフィン系オイル、スチレン系エラストマー及び直鎖状低密度ポリエチレンを含有する貼付薬用基材シートが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-102358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような貼付剤を用いた場合、貼付剤を患部に貼り付ける際に貼付剤の中心付近が伸びるに伴い、幅が狭くなる、いわゆる幅入りが生じるという問題がある。特許文献1では、幅入りについて検討されておらず、特許文献1に記載の貼付薬用基材シートでは、幅入りが抑制されないという問題がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、貼付剤を患部に貼り付ける際に貼付剤の中心付近が伸びても、幅が狭くなることが抑制されており、幅入りが抑制された貼付剤を製造するための貼付剤用積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、少なくとも支持体層の片面の一部に伸縮性ホットメルト樹脂層を有する貼付剤用積層体において、伸縮性ホットメルト樹脂層は、支持体層の、伸縮性ホットメルト樹脂層が形成されている面の面積を100%として、支持体層のTD方向の両端からそれぞれ10%の面積の領域以外の領域である中央部に少なくとも形成されている貼付剤用積層体によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記の貼付剤用積層体に関する。
1.少なくとも支持体層の片面の一部に伸縮性ホットメルト樹脂層を有する貼付剤用積層体であって、
前記伸縮性ホットメルト樹脂層は、前記支持体層の、前記伸縮性ホットメルト樹脂層が形成されている面の面積を100%として、前記支持体層のTD方向の両端からそれぞれ10%の面積の領域以外の領域である中央部に少なくとも形成されている、
ことを特徴とする貼付剤用積層体。
2.前記支持体層は、点ABCDにより特定される形状であり、前記中央部は、支持体層の4点ABCDから、TD方向と平行な辺上の、当該辺の長さの1/10の長さの点abcdにより特定される、項1に記載の貼付剤用積層体。
3.前記伸縮性ホットメルト樹脂層を形成する伸縮性ホットメルト樹脂組成物は、75%伸長時の応力が0.20N/mm以上である、項1又は2に記載の貼付剤用積層体。
4.前記伸縮性ホットメルト樹脂層を形成する伸縮性ホットメルト樹脂組成物は、75%伸長時の応力が0.20N/mm以上1.00N/mm以下である、項1~3のいずれかに記載の貼付剤用積層体。
5.前記伸縮性ホットメルト樹脂層は、熱可塑性樹脂(A)及び可塑剤(B)を含み、前記熱可塑性樹脂(A)は、スチレン系ブロック共重合体である、項1~4のいずれかに記載の貼付剤用積層体。
6.項1~5のいずれかに記載の貼付剤用積層体上に、更に、膏体層が形成されていることを特徴とする貼付剤。
7.前記伸縮性ホットメルト樹脂層について下記測定方法により測定される測定値(Sh)と、前記支持体層及び前記膏体層が積層された積層体について下記測定方法により測定される測定値(Ss)との比(Sh/Ss)が、0.5以下である、項6に記載の貼付剤。
[(Sh)の測定方法]
引張試験機を用いて、引張速度300mm/分で75%伸長させる測定条件で伸縮性ホットメルト樹脂層の引張力を測定し、(Sh)とする。
[(Ss)の測定方法]
前記支持体層及び前記膏体層が積層された積層体のTD方向の両端からそれぞれ10%の面積の領域を引張試験機で固定し、引張速度300mm/分で75%伸長させて引張力を測定し、(Ss)とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の貼付剤用積層体は、貼付剤を患部に貼り付ける際に貼付剤の中心付近が伸びても、幅が狭くなることが抑制されており、幅入りが抑制されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の貼付剤用積層体の一例を示す平面模式図である。
図2】本発明の貼付剤用積層体の一例を示す断面模式図である。
図3】本発明の貼付剤用積層体の一例を示す断面模式図である。
図4】本発明の貼付剤用積層体の一例を示す平面模式図である。
図5】本発明の貼付剤用積層体の一例を示す断面模式図である。
図6】本発明の貼付剤用積層体の一例を示す平面模式図である。
図7】本発明の貼付剤用積層体の一例を示す断面模式図である。
図8】本発明の貼付剤用積層体を用いて形成した貼付剤の一例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.貼付剤用積層体
本発明の貼付剤用積層体は、少なくとも支持体層の片面の一部に伸縮性ホットメルト樹脂層を有する貼付剤用積層体であって、前記伸縮性ホットメルト樹脂層は、前記支持体層の、前記伸縮性ホットメルト樹脂層が形成されている面の面積を100%として、前記支持体層のTD方向の両端からそれぞれ10%の面積の領域以外の領域である中央部に少なくとも形成されている。本発明の貼付剤用積層体は、支持体層の、伸縮性ホットメルト樹脂層が形成されている面の面積を100%として、支持体層のTD方向の両端からそれぞれ10%の面積の領域以外の領域である中央部、すなわち、支持体層の中央を含む一定の面積以上の箇所に伸縮性ホットメルト樹脂層を有するので、支持体層の中心付近の幅方向の収縮が伸縮性ホットメルト樹脂層により抑制され、幅入りを抑制することができる。
【0012】
本発明の貼付剤用積層体を図を用いて説明する。図1は本発明の貼付剤用積層体の貼付剤用積層体の一例を示す平面模式図であり、図2は本発明の貼付剤用積層体の一例を示す断面模式図である。図1及び図2において、本発明の貼付剤用積層体1は、支持体層11の片面の一部に伸縮性ホットメルト樹脂層12を有している。伸縮性ホットメルト樹脂層12は、当該伸縮性ホットメルト樹脂層12が形成されている面の面積を100%として、支持体層11のTD方向の両端である2辺のMD方向と平行な辺111mdから、それぞれ10%の面積の領域11S以外の領域である中央部に形成されている。図1及び図2では、支持体層11は点ABCDにより特定される形状であり、中央部は、支持体層の4点ABCDから、TD方向と平行な辺111td上の、当該辺の長さの1/10の長さの点abcdにより特定される四角形の領域である。図1及び図2では、上記中央部に伸縮性ホットメルト樹脂層12が形成されている。
【0013】
本発明の貼付剤用積層体は、図1及び図2のように少なくとも支持体層の片面の一部に伸縮性ホットメルト樹脂層を有していればよいが、図3のように、支持体層11の両面に設けられていてもよい。この場合であっても、伸縮性ホットメルト樹脂層12は、それぞれの面において、支持体層11の面の面積(片面)を100%として、支持体層11のTD方向の両端111mdからそれぞれ10%の面積の領域11s以外の領域である中央部に少なくとも形成されている。
【0014】
図1図3では、中央部に3本の筋状に伸縮性ホットメルト樹脂層が形成されているが、本発明の貼付剤用積層体は、図4及び図5のように、伸縮性ホットメルト樹脂層が1本の太い筋状に形成されていてもよい。
【0015】
本発明の貼付剤用積層体は、少なくとも支持体層の片面の一部に伸縮性ホットメルト樹脂層を有していればよく、図6及び図7のように、支持体層11の全面に伸縮性ホットメルト樹脂層12を有していてもよい。
【0016】
本発明の貼付剤用積層体の層構成としては、少なくとも支持体層の片面の一部に伸縮性ホットメルト樹脂層を有していればよく、例えば、支持体層/伸縮性ホットメルト樹脂層の2層構成であってもよいし、支持体層/伸縮性ホットメルト樹脂層層/支持体層の3層構成であってもよい。
【0017】
<伸縮性ホットメルト樹脂層>
伸縮性ホットメルト樹脂層は、伸縮性を有しており、貼付剤の幅入りを抑制することができれば特に限定されない。
【0018】
伸縮性ホットメルト樹脂層を形成する伸縮性ホットメルト樹脂組成物の75%伸長時の応力は、0.20N/mm以上が好ましく0.30N/mm以上がより好ましい。また、伸縮性ホットメルト樹脂組成物の75%伸長時の応力は、1.00N/mm以下が好ましく、0.90N/mm以下がより好ましく、0.80N/mm以下が更に好ましい。75%伸長時の応力の下限が上記範囲であることにより、貼付剤の幅入りをより一層抑制することができる。また、75%伸長時の応力の上限が上記範囲であることにより、貼付剤がより一層患部の形状に追従し易くなる。
【0019】
本明細書において、伸縮性ホットメルト樹脂層の75%伸長時の応力は、以下の測定方法により測定される。すなわち、伸縮性ホットメルト樹脂組成物を離型層に塗布し、剥離して幅25mm、長さ75mm(測定領域25mm)、厚み50μmの試験片を作製する。次いで、引張試験機で固定し、引張速度300mm/分で75%伸長させて、応力を測定する。なお、上記引張試験機としては、例えば、島津製作所製 AGS-Xを用いることができる。
【0020】
伸縮性ホットメルト樹脂層の下記測定方法により測定される測定値(Sh)は、0.2N以上が好ましく、0.4N以上がより好ましく、0.5N以上が更に好ましい。(Sh)の下限が上記範囲であることにより、貼付剤の幅入りをより一層抑制することができる。また、伸縮性ホットメルト樹脂層の測定値(Sh)は、7.0N以下が好ましく、5.0N以下がより好ましい。伸縮性ホットメルト樹脂層の測定値(Sh)の上限が上記範囲であることにより、貼付剤が患部の形状により一層追従し易くなり、患部からの剥がれを抑制することができる。
【0021】
[(Sh)の測定方法]
引張試験機を用いて、引張速度300mm/分で75%伸長させる測定条件で伸縮性ホットメルト樹脂層の引張力を測定し、(Sh)とする。なお、上記引張試験機としては、例えば、島津製作所製 AGS-Xを用いることができる。
【0022】
なお、上記(Sh)の測定方法において、伸縮性ホットメルト樹脂層が支持体層の面上の複数箇所に形成されている場合は、それぞれの箇所の伸縮性ホットメルト樹脂層の(Sh)を測定して、合計することにより伸縮性ホットメルト樹脂層(全体の)(Sh)とすればよい。また、伸縮性ホットメルト樹脂層を支持体層から剥離することが困難であり、伸縮性ホットメルト樹脂層を形成するための伸縮性ホットメルト樹脂組成物の組成が分かっている場合は、伸縮性ホットメルト樹脂組成物を離型層に塗布し、剥離して伸縮性ホッメルト樹脂層と同一の形状(幅、長さ、厚み)の試験片を作製して、上記測定方法により(Sh)を測定してもよい。
【0023】
伸縮性ホットメルト樹脂層の厚みは25μm以上が好ましく、35μm以上がより好ましく、50μm以上が更に好ましい。また、伸縮性ホットメルト樹脂層の厚みは500μm以下が好ましく、400μm以下がより好ましく、300μm以下が更に好ましい。伸縮性ホットメルト樹脂層の厚みの下限が上記範囲であることにより、貼付剤の幅入りをより一層抑制することができる。支持体層の厚みの上限が上記範囲であることにより、貼付剤がより一層患部の形状に追従し易くなる。
【0024】
伸縮性ホットメルト樹脂層を形成する伸縮性ホットメルト樹脂組成物としては、伸縮性を有しており、貼付剤の幅入りを抑制することができれば特に限定されない。
【0025】
伸縮性ホットメルト樹脂層は、熱可塑性樹脂(A)及び可塑剤(B)を含み、上記熱可塑性樹脂(A)は、スチレン系ブロック共重合体であることが好ましい。なお、以下において、伸縮性ホットメルト樹脂層に含まれる組成、含有量は、伸縮性ホットメルト樹脂層を形成する伸縮性ホットメルト樹脂組成物に含まれる組成、含有量と同一である。
【0026】
(熱可塑性樹脂(A))
熱可塑性樹脂(A)は、貼付剤の幅入りを抑制することができれば特に限定されず、貼付剤がより一層患部の形状に追従し易くなる点で熱可塑性エラストマーが好ましい。また、上記熱可塑性樹脂(A)として、反応性を有する熱可塑性樹脂を用いることができる。このような反応性を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂の分子内に反応性ポリスチレン系ハードブロックを有するスチレン系ブロック共重合体を含有する熱可塑性樹脂が挙げられる。このような熱可塑性樹脂を用いることにより、更に、光重合開始剤を含有することで、伸縮性ホットメルト樹脂組成物に紫外線等の光を照射して反応性ポリスチレン系ハードブロックを反応させ、分子を架橋させて、伸縮性ホットメルト樹脂組成物の動的粘弾性等の性状を調整することができる。
【0027】
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系ブロック共重合体、オレフィン系ブロック共重合体、オレフィン系ランダム共重合体、ウレタン系ブロック共重合体、ポリエステル系ブロック共重合体等が挙げられる。これらの中でも、スチレン系ブロック共重合体が好ましく、特に、スチレン系ブロック共重合体の水素添加物を含むものがより好ましい。スチレン系ブロック共重合体の水素添加物とは、ビニル系芳香族炭化水素と共役ジエン化合物とをブロック共重合し、得られたブロック共重合体における共役ジエン化合物に基づくブロックの全部又は一部が水素添加されたブロック共重合体をいう。
【0028】
ビニル系芳香族炭化水素は、ビニル基を有する芳香族炭化水素化合物である。ビニル系芳香族炭化水素としては、具体的には、スチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、1,3-ジメチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどが挙げられ、これらの中でもスチレンが好ましい。ビニル系芳香族炭化水素は、一種単独で用いられてもよいし、二種以上が混合されて用いられてもよい。
【0029】
共役ジエン化合物は、少なくとも一対の共役二重結合を有するジオレフィン化合物である。共役ジエン化合物としては、具体的には、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(又はイソプレン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエンなどが挙げられ、これらの中でも1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエンが好ましい。共役ジエン化合物は、単独で用いられてもよいし、二種以上が併用されて用いられてもよい。
【0030】
本明細書において、スチレン系ブロック共重合体の水素添加物等の、水素添加型熱可塑性ブロック共重合体における水素添加された割合は、「水素添加率」で示される。水素添加型熱可塑性ブロック共重合体の「水素添加率」とは、共役ジエン化合物に基づくブロックに含まれる全エチレン性不飽和二重結合を基準とし、その中で、水素添加されて飽和炭化水素結合に転換されたエチレン性不飽和二重結合の割合をいう。水素添加率は、赤外分光光度計及び核磁器共鳴装置等によって測定することができる。
【0031】
上記スチレン系ブロック共重合体の水素添加物は、部分水添、及び完全水添の水素添加物を用いることができる。中でも、完全水添の水素添加物であることが好ましい。スチレン系ブロック共重合体の水素添加物は、完全水添であることにより、ホットメルト組成物の加熱安定性がより一層向上する。スチレン系ブロック共重合体の水素添加物の水素添加率は、100%程度であることが好ましい。
【0032】
スチレン系ブロック共重合体の水素添加物としては特に限定されず、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)、スチレン-ブチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBBS)、スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体(SEB/S-S)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン-エチレン-ブチレン-オレフィン結晶共重合体(SEBC)等が挙げられる。熱可塑性樹脂(A)として上述の熱可塑性エラストマーを用いることにより、貼付剤の幅入りをより一層抑制することができ、且つ、貼付剤がより一層患部の形状に追従し易くなる。これらの中でも、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体が好ましい。
【0033】
上記スチレン系ブロック共重合体の水素添加物は、一種単独で用いられてもよいし、二種以上が混合されて用いられてもよい。
【0034】
上記スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)は、末端のスチレン単位がエンドブロック相となり、エチレン-ブチレン単位がミッドブロック相となる共重合体である。ミッドブロック相が水素添加されたエチレン-ブチレン単位である共重合体を用いることで、エンドブロック相のスチレン単位との極性差がより顕著になり、水素添加されていないミッドブロック相の共重合体と比較して、よりエンドブロック相のスチレン単位が強固となる。
【0035】
上記スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体として、熱可塑性樹脂の分子内に反応性ポリスチレン系ハードブロックを有するスチレン系ブロック共重合体を含有し、反応性を有するスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体を用いてもよい。反応性を有するスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体用い、更に、光重合開始剤を含有することで、伸縮性ホットメルト樹脂組成物に紫外線等の光を照射して反応性ポリスチレン系ハードブロックを反応させ、分子を架橋させて、伸縮性ホットメルト樹脂組成物の動的粘弾性等の性状を調整することができる。このような反応性を有するスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体としては市販品を用いることができ、市販品としては、株式会社クラレ製 セプトンV9827などが挙げられる。
【0036】
スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体のスチレン含有量は、当該スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体を100質量%として、15質量%以上が好ましく20質量%以上がより好ましい。また、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体のスチレン含有量は、当該スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体を100質量%として、45質量%以下が好ましく40質量%以下がより好ましい。スチレン含有量のが上記範囲であると、貼付剤の幅入りをより一層抑制することができ、且つ、貼付剤がより一層患部の形状に追従し易くなる。
【0037】
なお、本明細書において、スチレン系ブロック共重合体の「スチレン含有量」とは、スチレン系ブロック共重合体中のスチレンブロックの含有割合(質量%)をいう。
【0038】
また、本明細書における、スチレン系ブロック共重合体中のスチレン含有量の算出方法は特に限定されず、例えば、JIS K6239に準じたプロトン核磁気共鳴法や赤外分光法を用いる方法が挙げられる。
【0039】
スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体としては市販されている製品を用いることができる。市販品としては、クレイトンポリマー社製G1650、クレイトンポリマー社製MD1648、旭化成社製タフテックH1041などが挙げられる。
【0040】
スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、スチレン含有量が高いスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体と、スチレン含有量が低いスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体とを、混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いた場合のスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体全体のスチレン含有量は、重量に基づく平均値により算出すればよい。
【0041】
上記スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体(SEB/S-S)は、末端のスチレン単位がエンドブロック相となり、エチレン-ブチレン単位がミッドブロック相となるスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体において、ミッドブロック相にもスチレンが分散されている共重合体である。ミッドブロック相にスチレンが分散されている共重合体を用いることで、スチレンブロック共重合体の全体のスチレン含有量が多くなっても、スチレンブロック共重合体が硬くなりすぎず、良好な伸長性を示すため、スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体を含む伸縮性ホットメルト樹脂組成物では、良好な伸長性と、伸長時における応力の向上を両立することができる。さらに、ミッドブロック相にスチレンが分散されているスチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体を伸縮性ホットメルト樹脂組成物に用いることで、低温における溶融粘度の増加が抑制されるため、伸縮性ホットメルト樹脂組成物の塗工性をより一層向上させることができる。
【0042】
スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体を調製する方法としては特に限定されず、例えば、米国特許第7,169,848号に記載の方法が挙げられる。
【0043】
スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体のスチレン含有量は、当該スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体を100質量%として20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましい。また、スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体のスチレン含有量は、当該スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体を100質量%として60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましい。スチレン含有量のが上記範囲であると、貼付剤の幅入りをより一層抑制することができ、且つ、貼付剤がより一層患部の形状に追従し易くなる。
【0044】
スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体としては、市販されている製品を用いることができる。市販品としては、クレイトンポリマー社製MD6951、クレイトンポリマー社製A1536等が挙げられる。
【0045】
スチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、スチレン含有量が高いスチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体と、スチレン含有量が低いスチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体とを、混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いた場合のスチレン-エチレン-ブチレン/スチレン-スチレン共重合体全体のスチレン含有量は、重量に基づく平均値により算出すればよい。
【0046】
上記スチレン-エチレン-ブチレン-オレフィン結晶共重合体(SEBC)は、スチレン-エチレン-ブチレン-オレフィン結晶のブロックポリマーである。スチレン-エチレン-ブチレン-オレフィン結晶共重合体を用いることで、ホットメルト組成物がより一層加温保持後の伸縮回復性に優れ、塗工性がより一層向上し、且つ、引張強度及び透明性がより一層向上する。
【0047】
スチレン-エチレン-ブチレン-オレフィン結晶共重合体の製造方法としては特に限定されず、以下の製造方法により製造することができる。すなわち、先ず1,3-ブタジエンを有機リチウム開始剤を用いて重合した後、1,2-ビニル結合含量が30~70%となるように1,3-ブタジエンを重合させて、1,2-ビニル結合含量が異なるブロック状のポリブタジエンを生成する。次いで、スチレンを90質量%以上含有するビニル芳香族化合物をポリブタジエンに添加して重合させることによって水素添加前のブロック共重合体を製造する。次いで、水素添加前のブロック共重合体を公知の方法で水素添加することによってスチレン-エチレン-ブチレン-オレフィン結晶共重合体を製造することができる。
【0048】
ビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、t-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1-ジフェニルスチレン、N,N-ジエチル-p-アミノエチルスチレン、及びビニルピリジンなどが挙げられる。これらの中でも、スチレン、α-メチルスチレンが好ましい。
【0049】
有機リチウム開始剤として用いられる有機リチウム化合物としては、例えば、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、プロピルリチウム、アミルリチウム、及びブチルリチウム/バリウムノニルフェノキシド/トリアルキルアルミニウム/ジアルキルアミノエタノールなどが挙げられる。
【0050】
スチレン-エチレン-ブチレン-オレフィン結晶共重合体のスチレン含有量は、当該スチレン-エチレン-ブチレン-オレフィン結晶共重合体を100質量%として10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。また、スチレン-エチレン-ブチレン-オレフィン結晶共重合体のスチレン含有量は、当該スチレン-エチレン-ブチレン-オレフィン結晶共重合体を100質量%として30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。スチレン含有量のが上記範囲であると、貼付剤の幅入りをより一層抑制することができ、且つ、貼付剤がより一層患部の形状に追従し易くなる。
【0051】
スチレン-エチレン-ブチレン-オレフィン結晶共重合体としては、市販されている製品を用いることができる。市販品としては、JSR社製DYNARON 4600P等が挙げられる。
【0052】
スチレン-エチレン-ブチレン-オレフィン結晶共重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、スチレン含有量が高いスチレン-エチレン-ブチレン-オレフィン結晶共重合体と、スチレン含有量が低いスチレン-エチレン-ブチレン-オレフィン結晶共重合体とを、混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いた場合のスチレン-エチレン-ブチレン-オレフィン結晶共重合体のスチレン含有量は、重量に基づく平均値により算出すればよい。
【0053】
伸縮性ホットメルト樹脂層中の熱可塑性樹脂(A)の含有量は、伸縮性ホットメルト樹脂層を100質量%として、40質量%以上が好ましく、50質量%以上%がより好ましく、65質量%以上が更に好ましい。また、伸縮性ホットメルト樹脂層中の熱可塑性樹脂(A)の含有量は、伸縮性ホットメルト樹脂層を100質量%として、75質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、65質量%以下が更に好ましい。熱可塑性樹脂(A)の含有量が上記範囲であることにより、貼付剤の幅入りをより一層抑制することができ、且つ、貼付剤がより一層患部の形状に追従し易くなる。
【0054】
伸縮性ホットメルト樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂樹脂(A)のスチレン含有量は、当該熱可塑性樹脂(A)を100質量%として10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましい。また、伸縮性ホットメルト樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂樹脂(A)のスチレン含有量は、当該熱可塑性樹脂(A)を100質量%として35質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。熱可塑性樹脂樹脂(A)のスチレン含有量が上記範囲であると、貼付剤の幅入りをより一層抑制することができ、且つ、貼付剤がより一層患部の形状に追従し易くなる。
【0055】
熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、30,000以上が好ましく、40,000以上がより好ましく、45,000以上が更に好ましい。また、熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、200,000以下が好ましく、150,000以下がより好ましく、125,000以下が更に好ましい。重量平均分子量が上記範囲であるいことにより、貼付剤の幅入りをより一層抑制することができ、且つ、貼付剤がより一層患部の形状に追従し易くなる。
【0056】
なお、熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置を用いて、標準ポリスチレンで換算することにより得られる測定値である。
【0057】
本明細書における重量平均分子量(Mw)は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置:Waters社製 商品名「ACQUITY APC」
測定条件:カラム
・ACQUITY APCXT45 1.7μm×1本
・ACQUITY APCXT125 2.5μm×1本
・ACQUITY APCXT450 2.5μm×1本
移動相:テトラヒドロフラン 0.8mL/分
サンプル濃度:0.2質量%
検出器:示差屈折率(RI)検出器
標準物質:ポリスチレン(Waters社製 分子量:266~1,800,000) カラム温度:40℃
RI検出器温度:40℃
【0058】
(可塑剤(B))
伸縮性ホットメルト樹脂層は、可塑剤(B)を含んでいてもよい。可塑剤(B)は、23℃で液状であることが好ましい。なお、本明細書において「液状」とは、流動性を示す状態のことをいう。このような可塑剤(B)の流動点は、23℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましい。
【0059】
本明細書において、流動点は、JIS K2269に準拠した測定方法により測定される値である。
【0060】
可塑剤(B)としては特に限定されず、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、流動パラフィンオイル、炭化水素系合成オイル等が挙げられる。なかでも、加熱安定性が優れる観点から、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、流動パラフィンオイル、及び炭化水素系合成オイルが好ましく、貼付剤の幅入りをより一層抑制することができる観点から、炭化水素系合成オイルがより好ましい。
【0061】
パラフィン系プロセスオイルとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、出光興産社製PW-32、出光興産社製PS-32等が挙げられる。
【0062】
ナフテン系プロセスオイルとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、出光興産社製ダイアナフレシアN28、出光興産社製ダイアナフレシアU46、Nynas社製Nyflex222B等が挙げられる。
【0063】
流動パラフィンオイルとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、MORESCO社製P-100、Sonneborn社製Kaydol等が挙げられる。
【0064】
炭化水素系合成オイルとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、三井化学社製ルーカントHC-10、三井化学社製ルーカントHC-20等が挙げられる。
【0065】
上記可塑剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0066】
伸縮性ホットメルト樹脂層中の可塑剤(B)の含有量は、伸縮性ホットメルト樹脂層を100質量%として、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、12質量%以上が更に好ましい。また、伸縮性ホットメルト樹脂層中の可塑剤(B)の含有量は、伸縮性ホットメルト樹脂層を100質量%として、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましい。可塑剤(B)の含有量が上記範囲であることにより、貼付剤の幅入りをより一層抑制することができ、且つ、貼付剤がより一層患部の形状に追従し易くなる。
【0067】
(ワックス(C))
伸縮性ホットメルト樹脂層は、更に、ワックス(C)を含有していてもよい。ワックス(C)は、カルボニル基、カルボキシル基、及びカルボン酸無水物基からなる群より選択される少なくとも1種の基を分子内に有するワックスであることが好ましい。
【0068】
ワックス(C)は、23℃で固体であることが好ましい。なお、本明細書において「固体」とは、流動性を示さない状態のことをいう。このようなワックス(C)の軟化点は、23℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上が更に好ましい。
【0069】
本明細書において、軟化点は、ASTM D-3954に準拠した測定方法により測定される値である。
【0070】
カルボニル基、カルボキシル基、及びカルボン酸無水物基からなる群より選択される少なくとも1種の基を分子内に有するワックスは、極性が高いため、スチレン系ブロック共重合体との相溶性が良く、組成物内への分散が良好となる。そのため、カルボニル基、カルボキシル基、及びカルボン酸無水物基を分子内に有さないワックスと比較して、伸縮性ホットメルト樹脂組成物の加熱安定性をより一層向上させることができる。カルボニル基、カルボキシル基、及びカルボン酸無水物基からなる群より選択される少なくとも1種の基を分子内に有するワックス(C)としては特に限定されず、例えば、酢酸ビニルワックス、アクリル酸ワックス、無水マレイン酸変性ワックスなどが挙げられる。なかでも、加熱安定性により一層優れる観点から、酢酸ビニルワックスが好ましい。
【0071】
酢酸ビニルワックスとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、Honeywell社製AC-400、Honeywell社製AC-430等が挙げられる。
【0072】
アクリル酸ワックスとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、Honeywell社製AC-540、Honeywell社製AC-580等が挙げられる。
【0073】
無水マレイン酸変性ワックスとしては、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、Honeywell社製AC-573P、Honeywell社製AC-577P、日本精蝋社製MAW-0300等が挙げられる。
【0074】
上記カルボニル基、カルボキシル基、及びカルボン酸無水物基からなる群より選択される少なくとも1種の基を分子内に有するワックスは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0075】
伸縮性ホットメルト樹脂層中のワックス(C)の含有量は、伸縮性ホットメルト樹脂層を100質量%として、5質量%以上が好ましく10質量%以上がより好ましい。また、伸縮性ホットメルト樹脂層中のワックス(C)の含有量は、伸縮性ホットメルト樹脂層を100質量%として、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。ワックス(C)の含有量が上記範囲であると、貼付剤の幅入りをより一層抑制することができ、且つ、貼付剤がより一層患部の形状に追従し易くなる。
【0076】
(他の添加剤)
伸縮性ホットメルト樹脂層は、本発明の目的を本質的に妨げない範囲で、他の添加剤を含有していてもよい。上記他の添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、粘着付与樹脂、光重合開始剤、液状ゴム、微粒子充填剤等が挙げられる。
【0077】
酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、n-オクタデシル-3-(4'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,4-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルべンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,4-ジ-t-アミル-6-〔1-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ぺンチルフェニル)]アクリレート、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0078】
伸縮性ホットメルト樹脂層中の酸化防止剤の含有量は、伸縮性ホットメルト樹脂層を100質量%として、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。また、伸縮性ホットメルト樹脂層中の酸化防止剤の含有量は、伸縮性ホットメルト樹脂層を100質量%として、2質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。酸化防止剤の含有量がの下限が上記範囲であると、伸縮性ホットメルト樹脂層の熱安定がより一層向上する。酸化防止剤の含有量の上限が上記範囲であると、伸縮性ホットメルト樹脂層の臭気が低減する。
【0079】
紫外線吸収剤としては、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;サリチル酸エステル系紫外線吸収剤;シアノアクリレート系紫外線吸収剤;ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。紫外線吸収剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0080】
伸縮性ホットメルト樹脂層中の紫外線吸収剤の含有量は、伸縮性ホットメルト樹脂層を100質量%として、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。また、伸縮性ホットメルト樹脂層中の紫外線吸収剤の含有量は、伸縮性ホットメルト樹脂層を100質量%として、2質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。紫外線吸収剤の含有量の下限が上記範囲であると、伸縮性ホットメルト樹脂層の耐候性がより一層向上する。紫外線吸収剤の含有量の上限が上記範囲であると、伸縮性ホットメルト樹脂層の臭気が低減する。
【0081】
粘着付与樹脂としては、天然ロジン、変性ロジン、天然ロジンのグリセロールエステル、変性ロジンのグリセロールエステル、天然ロジンのペンタエリスリトールエステル、変性ロジンのペンタエリスリトールエステル、天然テルペンのコポリマー、天然テルペンの三次元ポリマー、天然テルペンのコポリマーの水素化誘導体、テルペン樹脂、フェノール系変性テルペン樹脂の水素化誘導体;C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂等の石油樹脂、また、それら石油樹脂に水素を添加した部分水添石油樹脂、完全水添石油樹脂等が挙げられる。粘着付与樹脂としては、伸縮性ホットメルト樹脂層が臭気、熱安定性に優れる点で、石油樹脂、部分水添石油樹脂、及び完全水添石油樹脂が好ましく、部分水添石油樹脂、及び完全水添石油樹脂がより好ましい。これら粘着付与樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0082】
粘着付与樹脂の環球式軟化点温度は、伸縮性ホットメルト樹脂層の伸縮性、熱安定性がより一層優れる点で、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。また、粘着付与樹脂の環球式軟化点温度は、伸縮性ホットメルト樹脂層により一層柔軟性を持たせ、より一層脆弱化を抑制することができる点で、125℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましい。なお、本明細書において、粘着付与樹脂の環球式軟化点温度は、JIS K2207に準拠して測定される値である。
【0083】
伸縮性ホットメルト樹脂層中の粘着付与樹脂の含有量は、伸縮性ホットメルト樹脂層を100質量%として30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましい。粘着付与樹脂の含有量の上限が上記範囲であると、貼付剤の幅入りをより一層抑制することができ、且つ、貼付剤がより一層患部の形状に追従し易くなる。
【0084】
光重合開始剤としては、紫外線重合開始剤等が挙げられる。伸縮性ホットメルト樹脂層が熱可塑性樹脂(A)として、分子内に反応性ポリスチレン系ハードブロックを有するスチレン系ブロック共重合体を含有する場合、更に、光重合開始剤を含有することで、伸縮性ホットメルト樹脂組成物に紫外線等の光を照射して反応性ポリスチレン系ハードブロックを反応させ、分子を架橋させて、伸縮性ホットメルト樹脂組成物の動的粘弾性等の性状を調整することができる。伸縮性ホットメルト樹脂組成物に紫外線を照射する場合、紫外線の照射強度は50mW/cm以上、1,000mW/cm以下が好ましく、また、積算光量は1,000mJ/cm以上、15,000mJ/cm以下が好ましく、所望の性状にするために適宜調整すればよい。光重合開始剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0085】
液状ゴムとしては、液状ポリブテン、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン及びこれらの水添樹脂が挙げられる。液状ゴムは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0086】
伸縮性ホットメルト樹脂層中の液状ゴムの含有量は、伸縮性ホットメルト樹脂層を100質量%として、1質量%以上が好ましく2質量%以上がより好ましく3質量%以上が更に好ましい。また、伸縮性ホットメルト樹脂層中の液状ゴムの含有量は、伸縮性ホットメルト樹脂層を100質量%として、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。液状ゴムの含有量の下限が上記範囲であると、伸縮性ホットメルト樹脂組成物の溶融粘度が低下し、塗工適性がより一層向上する。液状ゴムの含有量の上限が上記範囲であると、貼付剤の幅入りをより一層抑制することができ、且つ、貼付剤がより一層患部の形状に追従し易くなる。
【0087】
微粒子充填剤としては、特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化チタン、雲母、スチレンビーズ等が挙げられる。微粒子充填剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0088】
伸縮性ホットメルト樹脂組成物は、180℃における溶融粘度が45,000mPa・s以下が好ましく、28,000mPa・s以下がより好ましく、22,000mPa・s以下が更に好ましい。溶融粘度の上限が上記範囲であると、伸縮性ホットメルト樹脂組成物の塗工性がより一層向上する。また、伸縮性ホットメルト樹脂組成物の180℃における溶融粘度の下限は特に限定されず、5,000mPa・s程度であってもよい。
【0089】
本明細書において、「溶融粘度」は、一定の温度で加熱溶融状態となった伸縮性ホットメルト樹脂組成物の粘度である。180℃における溶融粘度の測定方法としては、例えば、伸縮性ホットメルト樹脂組成物を加熱溶融し、180℃における溶融状態の粘度を、ブルックフィールドRVT型粘度計(スピンドルNo.29)を用いて測定する測定方法が挙げられる。
【0090】
伸縮性ホットメルト樹脂層を形成する伸縮性ホットメルト樹脂組成物は公知の方法で製造される。例えば、熱可塑性樹脂(A)、可塑剤(B)、必要に応じてワックス、各種添加剤等を150℃に加熱した双腕型混練機へ投入し、加熱しながら溶融混練することによって製造される。
【0091】
<支持体層>
支持体層は、膏体層を支持して貼付剤を形成することができ、貼付剤を患部に貼付ける際に患部に追従できる程度に伸縮性を有していれば特に限定されない。このような支持体層としては、不織布、布帛等が挙げられる。
【0092】
不織布を形成する繊維としては、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂等を含有する繊維が挙げられる。これらの中でも、膏体層に含まれる薬剤との相互作用が少ない観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂を含有する繊維が好ましい。
【0093】
不織布の目付けは、30g/m以上が好ましく、50g/m以上がより好ましく、80g/m以上が更に好ましい。また、不織布の目付けは、300g/m以下が好ましく、200g/m以下がより好ましく、150g/m以下が更に好ましい。支持体層の目付けの下限が上記範囲であることにより、膏体層を十分に支持することができ、貼付剤の強度がより一層向上する。支持体層の目付けの上限が上記範囲であることにより、貼付剤がより一層患部の形状に追従し易くなる。
【0094】
支持体層の厚みは30μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、80μm以上が更に好ましい。また、支持体層の厚みは500μm以下が好ましく、400μm以下がより好ましく、300μm以下が更に好ましい。支持体層の厚みの下限が上記範囲であることにより、膏体層を十分に支持することができ、貼付剤の強度がより一層向上する。支持体層の厚みの上限が上記範囲であることにより、貼付剤がより一層患部の形状に追従し易くなる。
【0095】
支持体層の形状としては特に限定されず、長方形、正方形等の通常の貼付剤の形状とすればよいが、長方形が好ましい。
【0096】
支持体層のMD方向の長さは50mm以上が好ましく、60mm以上がより好ましく、100mm以上が更に好ましい。また、支持体層のMD方向の長さは300mm以下が好ましく、250mm以下がより好ましく、200mm以下が更に好ましい。なお、貼付剤用積層体が長方形の場合、通常短辺と平行方向がMD方向となる。
【0097】
支持体層のTD方向の長さは50mm以上が好ましく、75mm以上がより好ましく、100mm以上が更に好ましい。また、支持体層のTD方向の長さは350mm以下が好ましく、300mm以下がより好ましく、250mm以下が更に好ましい。なお、貼付剤用積層体が長方形の場合、通常長辺と平行方向がMD方向となる。
【0098】
2.貼付剤
本発明の貼付剤は、上記貼付剤用積層体上に、更に、膏体層が形成されている貼付剤である。
【0099】
本発明の貼付剤において、支持体層及び膏体層が積層された積層体の下記測定方法により測定される測定値(Ss)は、3N以上が好ましく、4N以上がより好ましく、5N以上が更に好ましい。また、(Ss)は、30N以下が好ましく、20N以下がより好ましく、15N以下が更に好ましい。(Ss)の下限が上記範囲であることにより、貼付剤の幅入りをより一層抑制することができる。また、(Ss)の上限が上記範囲であることにより、貼付剤がより一層患部の形状に追従し易くなる。
【0100】
[(Ss)の測定方法]
支持体層及び膏体層が積層された積層体のTD方向の両端からそれぞれ10%の面積の領域を引張試験機で固定し、引張速度300mm/分で75%伸長させて引張力を測定し、(Ss)とする。なお、上記引張試験機としては、例えば、島津製作所製 AGS-Xを用いることができる。
【0101】
本発明の貼付剤用積層体において、上記(Sh)と、上記(Ss)との比(Sh/Ss)は、0.5以下であることが好ましく、0.4以下であることがより好ましく、0.3以下であることが更に好ましい。また、Sh/Ssは、0.01以上が好ましく、0.02以上がより好ましく、0.03以上が更に好ましい。Sh/Ssが上記範囲であることにより、貼付剤の幅入りをより一層抑制することができる。
【0102】
貼付剤の層構成としては、上記貼付剤用積層体上に膏体層を有していれば特に限定されず、例えば、膏体層/支持体層/伸縮性ホットメルト樹脂層の層構成であってもよいし、膏体層/伸縮性ホットメルト樹脂層/支持体層の層構成であってもよいし、膏体層/支持体層/伸縮性ホットメルト樹脂層/支持体層の層構成であってもよい。
【0103】
図8は、上述の貼付剤用積層体を用いて形成した貼付剤の一例を示す断面模式図である。図8に示すように、貼付剤用積層体において、伸縮性ホットメルト樹脂層12が樹脂層11の片面に形成されている場合、膏体層13は、貼付剤用積層体の支持体層11の、伸縮性ホットメルト樹脂層12が形成されている面とは反対側の面に形成されていることが好ましい。
【0104】
本発明の貼付剤において、貼付剤用積層体は、上述の本発明の貼付剤用積層体を用いることができる。
【0105】
<膏体層>
膏体層としては、貼付剤に用いられる通常の膏体層であれば特に限定されない。このような膏体層としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の粘着剤;非ステロイド系消炎鎮痛剤等の抗炎症薬等を含有する膏体層が挙げられる。
【0106】
膏体層の厚みは5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、15μm以上が更に好ましい。また、支持体層の厚みは500μm以下が好ましく、450μm以下がより好ましく、400μm以下が更に好ましい。支持体層の厚みの下限が上記範囲であることにより、膏体層を十分に支持することができ、貼付剤の強度がより一層向上する。支持体層の厚みの上限が上記範囲であることにより、貼付剤がより一層患部の形状に追従し易くなる。
【実施例0107】
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、下記の実施例に限定されない。
【0108】
下記の3種類の市販品を用意し、比較例1~3とした。
(積層体1)久光製薬株式会社製 サロンシップ、長方形(100mm×140mm)、サリチル酸グリコール配合、鎮痛消炎冷感貼付剤、層構成 支持体層/膏体層
(積層体2)ツルハグループマーチャンダイジング社製 クールクレスト、長方形(100mm×140mm)、サリチル酸メチル配合、鎮痛消炎冷感貼付剤、層構成 支持体層/膏体層
(積層体3)第一三共ヘルスケア社製 パテックス、長方形(100mm×140mm)、サリチル酸グリコール配合、鎮痛消炎冷感貼付剤、層構成 支持体層/膏体層
【0109】
上記積層体1~3の支持体層の、膏体層が形成されている面とは反対側の面に、表1に示す条件で伸縮性ホットメルト樹脂組成物を塗布し、硬化させて伸縮性ホットメルト樹脂層を形成した。なお、実施例1~4、6では、図1に示す3本線のパターンで伸縮性ホットメルト樹脂層を形成しており、各線の幅は10mmであり、各線間の距離は10mmであった。
【0110】
なお、伸縮性ホットメルト樹脂組成物である伸縮性ホットメルト-1の配合は、下記の通りである。
(伸縮性ホットメルト-1)
・熱可塑性樹脂(A):スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)30質量部、スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBSS)30質量部%、パラフィン系可塑剤14.5質量%、及びワックス25質量%、酸化防止剤0.5質量%
【0111】
伸縮性ホットメルト樹脂組成物の調製は、上述の原料を、上述の配合量で、加熱装置を備えた攪拌混練機中に投入し、150℃で90分間加熱しながら混練することにより行った。
【0112】
実施例及び比較例について、以下の測定条件により特性を評価した。
【0113】
(伸縮性ホットメルト樹脂層の75%伸長時の応力)
伸縮性ホットメルト樹脂層について、下記測定方法により75%伸長時の応力を測定した。すなわち、伸縮性ホットメルト樹脂組成物を離型層に塗布し、剥離して幅25mm、長さ75mm(測定領域25mm)、厚み50μmの試験片を作製した。次いで、引張試験機(島津製作所製 AGS-X)で固定し、引張速度300mm/分で75%伸長させて、応力を測定した。
【0114】
(伸縮性ホットメルト樹脂層の(Sh))
下記の測定方法により伸縮性ホットメルト樹脂層の(Sh)を測定した。すなわち、 伸縮性ホットメルト樹脂組成物を離型層に塗布し、剥離して表1に記載の形状の伸縮性ホットメルト樹脂層を形成した。次いで、引張試験機(島津製作所製 AGS-X)を用いて、引張速度300mm/分で75%伸長させる測定条件で伸縮性ホットメルト樹脂層の引張力を測定し、(Sh)とした。なお、実施例1~4、及び、実施例6では、伸縮性ホットメルト樹脂層が3箇所に配置された構成となっているため、それぞれの箇所の伸縮性ホットメルト樹脂層を形成して(Sh)を測定し、合計することにより伸縮性ホットメルト樹脂層(全体の)(Sh)とした。
【0115】
(支持体層及び膏体層が積層された積層体の(Ss))
下記の測定方法により、支持体層及び膏体層が積層された積層体の(Ss)を測定した。すなわち、支持体層及び膏体層が積層された積層体のTD方向の両端からそれぞれ10%の面積の領域を引張試験機(島津製作所製 AGS-X)で固定し、引張速度300mm/分で75%伸長させて引張力を測定し、(Ss)とした。
【0116】
(幅入り)
実施例及び比較例において、各貼付剤又は積層体をTD方向に75%伸長させた。TD方向の中心、及び、中心からTD方向の両側に20mmの位置の3ヶ所において、MD方向の幅を測定した。測定は3回行い、平均を測定値とした。
【0117】
また、比較例1~3の積層体1~3においても上記方法と同様に、75%伸長時の幅を測定した。
【0118】
次いで、同じ積層体を用いた実施例と、比較例との75%伸長時の幅の差を算出した。すなわち、実施例1及び実施例6と比較例1との75%伸長時の幅の差、実施例2と比較例2との75%伸長時の幅の差、及び、実施例3~5と比較例3との75%伸長時の幅の差を算出した。次いで、比較例1~3のぞれぞれの75%伸長時の幅を100%として、対応する実施例の上記75%伸長時の幅の差の割合を算出し、下記評価基準により幅入りを評価した。なお、全平均の評価がC以上であれば実使用において問題ないと評価できる。
A:6%以上
B:3%以上6%未満
C:2%以上3%未満
D:2%未満
【0119】
結果を表1に示す。
【0120】
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8