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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168744
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0076 20190101AFI20221031BHJP
   F24F 8/20 20210101ALI20221031BHJP
【FI】
F24F1/0076
F24F8/20
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074417
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】390003333
【氏名又は名称】新晃工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100150773
【弁理士】
【氏名又は名称】加治 信貴
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀行
(72)【発明者】
【氏名】福本 英一
(72)【発明者】
【氏名】前田 直樹
【テーマコード(参考)】
3L051
【Fターム(参考)】
3L051BC03
(57)【要約】
【課題】紫外線ランプを用いて、空気中の細菌やウイルスを不活化して空気の除菌を行う空気調和機において、空気調和機の必要な送風能力を確保しつつ、空気調和機より外部に紫外線が漏洩するのを抑える。
【解決手段】送風ファン23、熱交換器24を内部に備えるとともに、室内の空気を吸い込む吸引口34と調整した空気を送風する送風口35を下面に備える空気調和機1である。空気調和機1は、吸引口34に隣接して、吸引口34から吸引した空気に紫外線を照射する棒状の紫外線ランプ40及び紫外線ランプ40の下方と両側方の紫外線を遮る反射板41b,41cにより、上に向かって断面V字形に形成されたリフレクター41を備え、リフレクター41の反射板41b,41cは空気の通過を許容する複数の羽根付きグリル42を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風ファン及び熱交換器を内部に備えるとともに、吸引口及び送風口を下面に備えた空気調和機であって、
吸引口に隣接して、吸引口から吸引した空気に紫外線を照射する棒状の紫外線ランプ及び紫外線ランプの下方と両側方の紫外線を遮る反射板により、上に向かって断面V字形に形成されたリフレクターを備え、リフレクターの反射板は空気の通過を許容する複数の羽根付きグリルを備えたことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載された空気調和機において、
リフレクターの反射板の内側に紫外線ランプに沿って所定の高さのインナーリフレクターを備え、インナーリフレクターが紫外線ランプの両側方の紫外線を遮る空気調和機。
【請求項3】
請求項2に記載された空気調和機において、
インナーリフレクターの高さが反射板の高さの略3分の2の高さである空気調和機。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された空気調和機において、
吸引口に紫外線ランプと平行に間隔を隔てて取り付けた複数の羽根を有し、
羽根は紫外線ランプの両側で上に向かって開くように互いに反対向きに傾斜して取り付けられている空気調和機。
【請求項5】
請求項4に記載された空気調和機において、
羽根の傾斜方向は、リフレクターの反射板の羽根付きグリルの羽根の傾斜方向と上に向かって逆方向である空気調和機。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載された空気調和機において、
紫外線ランプは、UV-Cランプである空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の天井に取り付ける空気調和機に関し、特に、空気中の細菌やウイルスを不活化して空気の除菌(空気中の細菌やウイルスの不活化)を行う空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内の天井に取り付ける空気調和機としては、室内の天井の内部に配置するファンコイルユニットと、このファンコイルユニットの下部に取り付けて天井面に配置する天井パネルユニットとからなるものが知られている(特許文献1)。
ファンコイルユニットは、その内部に吸気室、送風ファン、熱交換器、送風室を備え、送風ファンによって、空気が吸気室から送風ファンを経て熱交換器、送風室へと流れる。また、天井パネルユニットは、下面に室内の空気を吸い込む吸引口と、室内に空気を吹き出す送風口を備え、吸引口より吸い込んだ室内の空気をファンコイルユニットの吸気室に流すとともに、ファンコイルユニットの送風室より供給された空気を送風口より室内に送風する。
【0003】
通常、空気調和機では、内部に備えるフィルターによって塵埃を除去し、熱交換器で温度調節を行うが、空気中の細菌やウイルスを不活化して空気の除菌を行うために、別途除菌装置が必要となる。
【0004】
空気調和機において空気の除菌には紫外線ランプが用いられる場合が多い。ただ、紫外線ランプを用いる場合、紫外線による人体への悪影響を考慮する必要がある。そのため、空気調和機の天井パネルユニットより外部(室内)に紫外線ランプの紫外線が漏洩するのを極力抑制する必要がある。
【0005】
ところで、紫外線の漏洩を完全に抑えようとすれば、紫外線の光路を塞ぐしかないが、天井パネルユニットの吸引口は塞ぐことができず、延いては、人体への悪影響が及ばない程度にその吸引口を小さくすると、吸い込み可能な空気量が減少し、空気調和機本来の空気の吸気量が得られず送風能力が低下し、空気調和機の必要な送風能力が確保できないという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-225972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、紫外線ランプを用いて、空気中の細菌やウイルスを不活化して空気の除菌を行う空気調和機において、空気調和機の必要な送風能力を確保しつつ、空気調和機より外部に紫外線が漏洩するのを抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、送風ファン及び熱交換器を内部に備えるとともに、吸引口及び送風口を下面に備えた空気調和機であって、吸引口に隣接して、吸引口から吸引した空気に紫外線を照射する棒状の紫外線ランプ及び紫外線ランプの下方と両側方の紫外線を遮る反射板により、上に向かって断面V字形に形成されたリフレクターを備え、リフレクターの反射板は空気の通過を許容する複数の羽根付きグリルを備えた空気調和機である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、空気調和機の送風能力を確保しつつ、空気調和機より外部に紫外線が漏洩するのを大幅に低減することができる。具体的には、空気調和機の吸引口に隣接して取り付けた紫外線ランプの下方と両側方の紫外線を遮るリフレクターを備えることで、空気調和機より紫外線ランプの紫外線が外部(ここでは室内)に漏洩するのを大幅に低減することができる。
また、リフレクターの反射面を断面V字形に形成すると共に反射面に羽根付きグリルを設け、この羽根付きグリルを空気が通過することで、空気の流れを妨害することなく、空気調和機を流れる空気を所要量に維持することができ、これにより、空気調和機の送風能力を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】空気調和機の全体を示す、図2のA-Aに沿った縦断面図である。
図2】天井パネルユニットの斜視図である。
図3図2のB-Bに沿った縦断面図である。
図4図1のA部の拡大断面図である。
図5図5Aは、リフレクターの側面図であり、図5Bは、リフレクターの平面図であり、図5Cは、リフレクターの正面図である。
図6】実験での紫外線の量を測定する位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の空気調和機の一実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る空気調和機は、室内の天井に取り付けるタイプであって、紫外線ランプを用いて、空気中の細菌やウイルスを不活化し、空気の除菌を行うことで、清浄な空気を室内に供給することのできる空気調和機である。なお、ここで室内とは、住宅、オフィス、病院、商業施設、公共機関などにおける内部空間を意味する。
【0012】
図1は、空気調和機全体を示す図2の直線A-Aに沿った縦断面図であり、図2は、天井パネルユニットの斜視図であり、図3は、図2の直線B-Bに沿った縦断面図である。
ここで、本実施形態に係る空気調和機の説明を行う前に用語の説明を行う。
本明細書において、「前後方向」とは、後述する天井パネルユニット3の長手方向であり、図2の図面中に矢印Xで示す。また、「左右方向」とは、天井パネルユニット3の幅方向であり、図2図3の図面中に矢印Yで示す。また、「上下方向」とは、天井パネルユニット3の高さ方向であり、図2図3の図面中に矢印Zで示す。なお、他の図面中における矢印X、矢印Y、矢印Zも同趣である。
【0013】
最初に、空気調和機1の全体の構造を概略的に説明する。
空気調和機1は、図1に示すように、室内の天井の内側に配置するファンコイルユニット2と、このファンコイルユニット2の下部に取り付けると共にその底面が天井面Cに略面一になるよう配置する天井パネルユニット3とから成る。
【0014】
ファンコイルユニット2は、そのケーシング内に、下部に空気の吸入口21を有する吸気室22と、吸気室22の上方に配置された送風ファン23と、送風ファン23の下流側に隣接した熱交換器(コイル)24と、熱交換器24の下流側に隣接した送風室26を備えている。送風室26は下部に開口25を有する。
ファンコイルユニット2は、送風ファン23によって空気を吸気室22から熱交換器24に送り、熱交換器24では空気の熱交換を行う。熱交換された空気は送風室26に送られる。ファンコイルユニット2は、天井の内部から簡単には取り外しできないように室内の天井の内側に固定される。
【0015】
天井パネルユニット3は、図2図3に示す形状で、例えば合成樹脂で成型されている。天井パネルユニット3は、図示のように平面視で矩形をなし、矩形を構成する四辺のうち前後辺は壁体(前壁30a,後壁30b)であり、左右辺はそれぞれファンコイルユニット2から吐出された空気を室内側に送るための通気路となる左右の送風ダクト32a,32bで構成されている。また、その底面には底パネル33が取り付けられており、全体形状は上面が開放したケーシング(函)状である。
【0016】
底パネル33には、空気を空気調和機1内に吸い込むための吸引口34と、調整した(つまり清浄化及び熱交換した)空気を室内側に送風する送風口35が設けられている。さらに、前壁30aには、ファンコイルユニット2を点検するための上下に連通する点検口30cを形成する矩形の枠体30d、後壁30bには枠体30dと同じ高さで、枠体30dと共にファンコイルユニット2を天井に配置するときの位置決め手段となる凸状部分30eが一体に形成されている。
【0017】
右側送風ダクト32bは断面略矩形であり、その上下両端に開口(上部開口32c,下部開口32d)を有している。上部開口32cはファンコイルユニット2の送風室26下端の開口25と接続されている。右側送風ダクト32bは上部開口32cから右側送風ダクト32b内に送風された空気を底パネル33の開口(送風口)33aを介して室内に送風するための送風口35を有する。
左側送風ダクト32aは断面略矩形であり、その下端に供給された空気を底パネル33の開口(送風口)33bを介して室内に送風するための送風口35を有し、その上部は後述する連結用ダクト36と一体に連結されている。
【0018】
左右の送風ダクト32a,32bは、図示するように複数の前後方向に等間隔に設けられた連結用ダクト36(図では2つ)に一体に連結されており、右側送風ダクト32bに流入した空気が連結用ダクト36により左側送風ダクト32aに分岐されて、左側送風ダクト32aの下端から底パネル33の開口(送風口)33bを介して室内に送風される。この左右の送風ダクト32a,32b、連結用ダクト36中の空気の流れは、図2図3中において矢印Fで示す。
【0019】
天井パネルユニット3の内側には、図1、3に示すように、水平なパネル37が設けられており、このパネル37とこれを囲む外側部分30の前後壁30a,30bと、左右の送風ダクト32a,32bの内側の壁により、下方が開いた空間が形成されている。この下側が開いた空間を底パネル33で閉鎖することで、室内から吸い込んだ空気が流入する吸込室38が形成されている。
【0020】
水平なパネル37は連結用ダクト36の底壁を構成すると共に、連結用ダクト36間及び連結用ダクト36間の前後壁30a,30b間に開口が設けられている。この開口は、後述するように天井パネルユニット3内に吸い込んだ空気がファンコイルユニット2の吸気室22に流入する流路(入口通路39)を提供する。この入口通路39を通る空気の流れは、図2の中において矢印Eで示す。
【0021】
吸込室38の下端部、即ち天井パネルユニット3の底面に取り付けた底パネル33に設けた吸引口34には、吸い込んだ空気の埃などを除去するフィルター34aが備えられている。また、フィルター34aに隣接してその上側に紫外線ランプ40及び紫外線ランプ40から出る紫外線の照射方向を規制するリフレクター41等が設けられている。
【0022】
次に、紫外線ランプ40及びリフレクター41について説明する。
図4は、図1の中で示すA部の拡大断面図であり、図5Aは、リフレクターの側面図であり、図5Bは、リフレクターの平面図であり、図5Cは、リフレクターの正面図である。
紫外線ランプ40は棒状ランプである。紫外線ランプ40は、図4に示すように、天井パネルユニット3の内側部分31の吸込室38に、つまり底パネル33の吸引口34の上方に隣接し、吸引口34の左右の中央に対応する位置で、天井面Cに対して平行(図2の前後方向)に取り付けられている。この紫外線ランプ40により、吸引口から吸引した空気に紫外線を照射する。
【0023】
使用する紫外線ランプ40は、例えばUV-Cを発生するUV-Cランプである。UV-C(ultraviolet C:短波長紫外線)は、波長が180nm~280nmの紫外線であり、紫外線の中で最もエネルギーが大きく、生体に対して強い破壊力を持ち、細菌やウイルスの不活化の効果、つまり、除菌効果が非常に高い。また、紫外線ランプ40は、UV-Cランプに限らず、例えばUV-A(ultraviolet A:長波長紫外線)を発生するUV-Aランプ、UV-B(ultraviolet B:中波長紫外線)を発生するUV-Bランプでもよい。
【0024】
リフレクター41は、図5A図5B図5Cに示すように、左右中央に左右の幅が細い前後方向に延びた水平板41aと、この水平板41aの左右側で対称的に斜め上方に向かう反射板41b,41cを備えている。すなわち、リフレクター41は上に向かって開いた、つまり断面V字形に形成されており、紫外線ランプ40の下方と両側方を覆うように前後方向に延びている。これにより、この反射板41b,41cで紫外線ランプ40の両側方の紫外線を遮る。
【0025】
リフレクター41は、紫外線ランプ40の長さと同じか又はそれより長く、吸込室38内に設置した状態で、その上端は吸込室38の上部に達するように構成されている。
反射板41b,41cには、空気の通過を許容する羽根付きグリル42がそれぞれ設けられている。羽根付きグリル42はそれぞれスリット42aと羽根42bを複数組備えている。羽根42bは吸い込んだ空気をスリット42aに案内すると共に、スリット42aからの紫外線の漏洩を抑制する。この羽根付きグリル42は、反射板41b,41cに対し、その前後方向に所定の間隔で複数、例えば5個(図では2個)設ける。
【0026】
リフレクター41の水平板41aは、その前後方向の長さが反射板41b,41cの前後方向の長さより長い。リフレクター41は、天井パネルユニット3の底パネル33に保持される。
【0027】
リフレクター41の水平板41aの上側には、ランプホルダー43が取り付けられている。紫外線ランプ40は、このランプホルダー43により、紫外線ランプ40の下方と両側方がリフレクター41の反射板41b,41cによって覆われるようにリフレクター41の内側に取り付けられる。
【0028】
リフレクター41を用いることで、反射板41b,41cにより画成される断面V状の領域に流入する空気に紫外線を照射して除菌することができるが、リフレクター41は、さらに反射板41b,41cの内側に、紫外線ランプ40に沿って所定の高さを有する左右の反射板44a,44bからなるインナーリフレクター44を備えている。これにより、この反射板44a,44bで紫外線ランプ40の両側方の紫外線を遮る。このインナーリフレクター44の上下方向の長さ(高さ)は、リフレクター41の高さの略2/3程度であり、前後方向の長さはリフレクター41と同じである。インナーリフレクター44の高さをリフレクター41の高さの略2/3にしたのは、その高さがこれよりも高くなると空気に対する必要な紫外線の照射量が不足し、また、これよりも低くなると漏洩する紫外線量が好ましくない程度に増加するためである。
【0029】
インナーリフレクター44を設けたことにより、紫外線ランプ40から反射板41b,41c方向に向かう直接光(紫外線)は、インナーリフレクター44の反射板44a,44bによって大部分が遮断される。また、反射板44a,44bが空気流に対して邪魔板として作用し、左右の反射板44a,44bで空気の渦流を生じる等して流動する空気を攪拌する。これにより紫外線の漏洩を抑制しつつ、リフレクター41内に流入した空気に紫外線を万遍なく照射することができ、紫外線による細菌やウイルスを不活化し、除菌効果を高めることができる。
【0030】
さらに、図4に示すように、天井パネルユニット3の底面に取り付けた底パネル33に設けた吸引口34には、紫外線ランプ40の長手方向に沿って、複数の羽根34bがフィルター34aの下側に取り付けられている。つまり、吸引口34は、紫外線ランプ40と平行に間隔を隔てて取り付けた複数の羽根34bを有している。
羽根34bは、紫外線ランプ40の両側で上に向かって開くように互いに反対向きに傾斜して取り付けられている。この羽根34bの傾斜方向は、リフレクター41の反射板41b,41cの羽根付きグリル42の羽根42bの傾斜方向と上に向かって逆方向である。
これにより、吸引口34から吸い込んだ空気が吸込室38内で拡散する方向にスムーズに流動できるようにすると共に、傾斜した羽根34bで反射板41b、41c又は内側部分31内などで散乱された紫外線が下方、つまり室内側に漏洩するのを抑制している。
【0031】
次に、以上で説明した空気調和機1内での空気の流れ及びその除菌等について説明する。
図1に示すように、空気調和機1が動作すると、ファンコイルユニット2の送風ファン23によって、室内の空気は天井パネルユニット3の吸引口34から吸引される。吸い込んだ空気は、まず、フィルター34aによって埃などが除去されて吸込室38内に流入する。続いて、リフレクター41に達した空気は、その反射板41b,41cに設けた羽根付きグリル42の羽根42bに案内されてスリット42aから、リフレクター41内に流入する。
【0032】
リフレクター41内に流入した空気は紫外線の反射光と散乱光を受けつつ上方に流動し、インナーリフレクター44の上端に達して以降は、インナーリフレクター44の作用で攪拌されつつ紫外線ランプからの直接光の照射をも受ける(一部の空気はインナーリフレクター44内に流入してそこで紫外線の直接光の照射を受ける)。このように紫外線照射されて満遍なく除菌された空気は、入口通路39を通って、ファンコイルユニット2の吸気室22中に流入する。
【0033】
吸気室22に流入した空気は、送風ファン23で熱交換器24に吐出され、熱交換器24において熱交換される。熱交換された空気は、送風室26、送風室26に接続された右側送風ダクト32bに流入する。右側送風ダクト32bに流入した空気はその一部が連結用ダクト36で分流されて左側送風ダクト32aに流入する。このようにして除菌されかつ熱交換された空気は、空気調和機1の天井パネルユニット3の底パネル33に設けた送風口35から室内に送風される。送風口35から送風される空気は、送風口35に設けたガイド板35aにガイドされて吐出方向を斜め下方に変更されて送風される。
【0034】
以上述べたように、本実施形態に係る空気調和機1では、その天井パネルユニット3に、吸引口34の上方に取り付けた紫外線ランプ40の下方と両側方の紫外線を遮る断面V字形のリフレクター41が備えられているとともに、断面V字形のリフレクター41の内側にインナーリフレクター44が備えられているため、紫外線ランプ40の紫外線が空気調和機1より外部(室内)に漏洩するのを大幅に低減することができる。また、吸引口34において羽根34bを取り付けたことで、断面V字形のリフレクター41から漏洩した紫外線が室内に漏洩することがさらに抑制できる。このため、空気調和機1より外部に紫外線ランプ40の紫外線が漏洩するのを大幅に低減することができる。
【0035】
また、紫外線ランプ40の下方と両側方の紫外線を遮るV字形のリフレクター41において、反射板41b,41cには羽根付きグリル42を設けられており、空気はこの羽根付きグリル42の羽根42bで案内されてスリット42aをスムーズに通過できるため、空気の流れは妨げられることがなく、空気調和機1を流れる空気を所定の通気量に維持することができ、これにより、空気調和機1の送風能力を維持することができる。
【0036】
また、紫外線ランプ40及び断面V字形のリフレクター41などは、天井パネルユニット3内に備えられているため、既存の空気の除菌機能を有しない空気調和機1を、空気中の細菌やウイルスを不活化する空気の除菌機能を備えた空気調和機1に交換する場合、室内の天井の内部に固定したファンコイルユニット2は交換する必要はなく、ファンコイルユニット2の下部に着脱可能に取り付ける天井パネルユニット3を交換するだけで済む。つまり、既存の空気の除菌機能を有しない空気調和機1を空気の除菌機能を備えた空気調和機1に簡単かつ安価に交換することができる。
【0037】
なお、空気調和機1は、前述の実施形態では、ファンコイルユニット2と天井パネルユニット3の2つのユニットから構成するものであったが、これに限定されるものではなく、これらを一体化したものなど他のものでもよい。
【0038】
次に、本実施形態の空気調和機1において、空気調和機1より外部(室内)に漏洩する紫外線の量を調べる実験を行ったので、これについて説明する。
【0039】
実験では、空気調和機1より外部に漏洩する紫外線の量を調べた。
空気調和機1より外部に漏洩する紫外線の量は、図6に示すように、空気調和機1の下方の4ヶ所(P1・P2・P3・P4)で紫外線の量を測定した。測定する位置はすべて空気調和機1の天井パネルユニット3の下面より200mm離れた位置である。
また、空気調和機1の天井パネルユニット3内に、断面V字形のリフレクター41とインナーリフレクター44を備えていないものを比較例として、この比較例における外部に漏洩する紫外線の量も測定した。測定する位置は、前述した位置と同様、空気調和機1の下方の4ヶ所(P1・P2・P3・P4)の位置である。
その結果を、以下の表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1に示すように、本実施形態に係る空気調和機1では、外部に漏洩する紫外線の量が0.027~0.083(μW/cm)であり、4ヶ所のすべてで、紫外線の量が0.1(μW/cm)以下であり、紫外線(UV-C)の安全基準値の0.1(μW/cm)を超えることはなかった。
これに対し、断面V字形のリフレクター41とインナーリフレクター44を備えていない比較例の空気調和機では、外部に漏洩する紫外線の量が2.788~5.346(μW/cm)であり、4ヶ所のすべてで、紫外線の量が安全基準値の0.1(μW/cm)を大幅に超えていた。
以上の通り、本実施形態の空気調和機1では、紫外線ランプ40の紫外線が室内に漏洩するのを大幅に低減でき、空気調和機1を安全に使用できることが確認できた。
【符号の説明】
【0042】
1…空気調和機、2…ファンコイルユニット、3…天井パネルユニット、21…吸入口、22…吸気室、23…送風ファン、24…熱交換器、25…開口、26…送風室、30…外側部分、30a…前壁、30b…後壁、30c…点検口、30d…枠体、30e…凸状部分、31…内側部分、32a…送風ダクト、32b…送風ダクト、32c…上部開口、32d…下部開口、33…底パネル、33a…開口(送風口)、33b…開口(送風口)、34…吸引口、34a…フィルター、34b…羽根、35…送風口、35a…ガイド板、36…連結用ダクト、37…パネル、38…吸込室、39…入口通路、40…紫外線ランプ、41…リフレクター、41a…水平板、41b…反射板、41c…反射板、42…羽根付きグリル、42a…スリット、42b…羽根、43…ランプホルダー、44…インナーリフレクター、44a…反射板、44b…反射板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明は、送風ファン及び熱交換器を内部に備えるとともに、吸引口及び送風口を下面に備えた空気調和機であって、吸引口に隣接して、吸引口から吸引した空気に紫外線を照射する棒状の紫外線ランプ及び紫外線ランプの下方と両側方の紫外線を遮る反射板により、上に向かって断面V字形に形成されたリフレクターを備え、リフレクターの反射板は空気の通過を許容する複数の羽根付きグリルを備えるとともに、吸引口に紫外線ランプと平行に間隔を隔てて取り付けた複数の羽根を有し、羽根は紫外線ランプの両側で上に向かって開くように互いに反対向きに傾斜して取り付けられている空気調和機である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風ファン及び熱交換器を内部に備えるとともに、吸引口及び送風口を下面に備えた空気調和機であって、
吸引口に隣接して、吸引口から吸引した空気に紫外線を照射する棒状の紫外線ランプ及び紫外線ランプの下方と両側方の紫外線を遮る反射板により、上に向かって断面V字形に形成されたリフレクターを備え、リフレクターの反射板は空気の通過を許容する複数の羽根付きグリルを備えるとともに、
吸引口に紫外線ランプと平行に間隔を隔てて取り付けた複数の羽根を有し、羽根は紫外線ランプの両側で上に向かって開くように互いに反対向きに傾斜して取り付けられていることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載された空気調和機において、
羽根の傾斜方向は、リフレクターの反射板の羽根付きグリルの羽根の傾斜方向と上に向かって逆方向である空気調和機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された空気調和機において、
リフレクターの反射板の内側に紫外線ランプに沿って所定の高さのインナーリフレクターを備え、インナーリフレクターが紫外線ランプの両側方の紫外線を遮る空気調和機。
【請求項4】
請求項に記載された空気調和機において、
インナーリフレクターの高さが反射板の高さの略3分の2の高さである空気調和機。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載された空気調和機において、
紫外線ランプは、UV-Cランプである空気調和機。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
請求項3に記載された空気調和機において、
インナーリフレクターの高さがリフレクターの高さの略3分の2の高さである空気調和機。