IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電力変換システム 図1
  • 特開-電力変換システム 図2
  • 特開-電力変換システム 図3
  • 特開-電力変換システム 図4
  • 特開-電力変換システム 図5
  • 特開-電力変換システム 図6
  • 特開-電力変換システム 図7
  • 特開-電力変換システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168752
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】電力変換システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/46 20060101AFI20221031BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/38 130
H02J3/38 170
H02J3/38 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074457
(22)【出願日】2021-04-26
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】名合 佑介
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066AA01
5G066HB03
5G066HB06
5G066HB07
5G066HB09
5G066JB03
5G066KA06
5G066KB03
(57)【要約】
【課題】 第1電力変換ユニット及び第2電力変換ユニットが適切に動作することを可能とする電力変換システムを提供する。
【解決手段】 電力変換システムは、第1分散電源に接続された第1電力変換ユニットと、第2分散電源に接続された第2電力変換ユニットと、を備え、前記第1電力変換ユニットは、前記第1電力変換ユニット及び前記第2電力変換ユニットを有する施設の逆潮流電力を第1閾値に近づけるように、前記第1電力変換ユニットの出力電力を制御する第1制御を実行する第1制御部を備え、前記第2電力変換ユニットは、前記施設の逆潮流電力を第2閾値に近づけるように、前記第2電力変換ユニットの出力電力を制御する第2制御を実行する第2制御部を備え、前記第2閾値は、前記第1閾値よりも小さい。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1分散電源に接続された第1電力変換ユニットと、
第2分散電源に接続された第2電力変換ユニットと、を備え、
前記第1電力変換ユニットは、前記第1電力変換ユニット及び前記第2電力変換ユニットを有する施設の逆潮流電力を第1閾値に近づけるように、前記第1電力変換ユニットの出力電力を制御する第1制御を実行する第1制御部を備え、
前記第2電力変換ユニットは、前記施設の逆潮流電力を第2閾値に近づけるように、前記第2電力変換ユニットの出力電力を制御する第2制御を実行する第2制御部を備え、
前記第2閾値は、前記第1閾値よりも小さい、電力変換システム。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記施設の逆潮流電力が目標電力を超えないように制限された第1特定期間において前記第1制御を実行し、
前記第2制御部は、前記第1特定期間において前記第2制御を実行し、
前記第1閾値及び前記第2閾値は、前記目標電力に基づいて特定される、請求項1に記載の電力変換システム。
【請求項3】
前記第1閾値は、前記目標電力以下の値である、請求項2に記載の電力変換システム。
【請求項4】
前記第1制御部は、前記施設の逆潮流電力を要請電力に近ける制御が要請された第2特定期間において前記第1制御を実行し、
前記第2制御部は、前記第2特定期間において前記第2制御を実行し、
前記第1閾値及び前記第2閾値は、前記要請電力に基づいて特定される、請求項1に記載の電力変換システム。
【請求項5】
前記第1閾値は、前記要請電力よりも大きな値である、請求項4に記載の電力変換システム。
【請求項6】
前記第2電力変換ユニットは、所定条件が満たされたか否かに応じて前記第2閾値を変更する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電力変換システム。
【請求項7】
第1分散電源に接続された第1電力変換ユニットを有する施設において、第2分散電源に接続された第2電力変換ユニットを少なくとも備え、
前記第2電力変換ユニットは、前記第1電力変換ユニットが前記施設の逆潮流電力を第1閾値に近づけるように前記第1電力変換ユニットの出力電力を制御する場合において、前記施設の逆潮流電力を前記第1閾値よりも小さい第2閾値に近づけるように、前記第2電力変換ユニットの出力電力を制御する制御部を備える、電力変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1分散電源に接続された第1DC/DCコンバータと、第1DC/DCコンバータに接続された第1インバータと、第2分散電源に接続された第2DC/DCコンバータと、第2DC/DCコンバータに接続された第2インバータと、を備えるパワーコンディショナが知られている。このようなパワーコンディショナにおいては、第1DC/DCコンバータと第2DC/DCコンバータとを接続するDCリンク部を設けることによって、第2分散電源の出力電力をAC電力に変換することなく、第1分散電源(例えば、太陽電池パネル)から第2分散電源(例えば、蓄電セル)への電力供給が実現されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-110635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、第1分散電源用の第1電力変換ユニットと第2分散電源用の第2電力変換ユニットとが別々に設置され、第1電力変換ユニット及び第2電力変換ユニットが独立して動作するケースが考えられる。
【0005】
このようなケースにおいて、第1電力変換ユニット及び第2電力変換ユニットが互いに連携することが想定されない。例えば、第1分散電源が太陽電池パネルであるケースについて考えると、第1電力変換ユニットの出力電力が制限された状態において、第2電力変換ユニットが適切に動作することが難しく、その影響で第1電力変換ユニットも適切に動作することが難しくなり、太陽電池パネルの出力電力を有効に利用することができないことが想定される。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、第1電力変換ユニット及び第2電力変換ユニットが適切に動作することを可能とする電力変換システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の一態様は、電力変換システムであって、第1分散電源に接続された第1電力変換ユニットと、第2分散電源に接続された第2電力変換ユニットと、を備え、前記第1電力変換ユニットは、前記第1電力変換ユニット及び前記第2電力変換ユニットを有する施設の逆潮流電力を第1閾値に近づけるように、前記第1電力変換ユニットの出力電力を制御する第1制御を実行する第1制御部を備え、前記第2電力変換ユニットは、前記施設の逆潮流電力を第2閾値に近づけるように、前記第2電力変換ユニットの出力電力を制御する第2制御を実行する第2制御部を備え、前記第2閾値は、前記第1閾値よりも小さい、電力変換システムである。
【0008】
開示の一態様は、電力変換システムであって、第1分散電源に接続された第1電力変換ユニットを有する施設において、第2分散電源に接続された第2電力変換ユニットを少なくとも備え、前記第2電力変換ユニットは、前記第1電力変換ユニットが前記施設の逆潮流電力を第1閾値に近づけるように前記第1電力変換ユニットの出力電力を制御する場合において、前記施設の逆潮流電力を前記第1閾値よりも小さい第2閾値に近づけるように、前記第2電力変換ユニットの出力電力を制御する制御部を備える、電力変換システムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1電力変換ユニット及び第2電力変換ユニットが適切に動作することを可能とする電力変換システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る施設1Aを示す図である。
図2図2は、実施形態に係る電力変換システム1を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る電力変換システム1を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る適用シーン1を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る適用シーン2を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る動作例を示す図である。
図7図7は、変更例4に係る適用シーンを示す図である。
図8図8は、変更例5に係る施設1Aを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものである。
【0012】
[実施形態]
(施設)
以下において、実施形態に係る施設1Aについて説明する。
【0013】
第1に、施設1Aは、図1に示すように、PV10(PV10A~PV10C)と、BT20と、負荷機器30と、EMS(Energy Management System)40と、PCS(Power Conditioning System)100と、PCS200と、を有する。
【0014】
PV10は、受光に応じて電力を出力する太陽電池パネルである。図1では、PV10として、PV10A~PV10Cが例示されている。実施形態では、PV10は、第1分散電源の一例である。図1では、PV10として3つのPV10が例示されているが、PV10の数は特に限定されるものではない。
【0015】
BT20は、電力を蓄積する蓄電セルである。実施形態では、BT20は、第2分散電源の一例である。図1では、BT20として1つのBT20が例示されているが、BT20の数は特に限定されるものではない。
【0016】
負荷機器30は、電力を消費する機器である。例えば、負荷機器30は、エアーコンディショナ、IHクッキングヒータ、洗濯乾燥機などである。
【0017】
EMS40は、施設1Aの電力を管理する装置である。EMS40は、PCS100及びPCS200を制御してもよい。
【0018】
PCS100は、PV10に接続された電力変換ユニットである。実施形態では、PCS100は、第1電力変換ユニットの一例である。PCS100の詳細については後述する(図2を参照)。
【0019】
PCS200は、BT20に接続された電力変換ユニットである。実施形態では、PCS200は、第2電力変換ユニットの一例である。PCS200の詳細については後述する(図2を参照)。
【0020】
第2に、施設1Aは、電力ライン71と、電力ライン72と、電力ライン73と、電力ライン74と、電力ライン75と、電力ライン76と、電力ライン77と、を有する。
【0021】
電力ライン71は、電力系統70と接続された電力ラインである。電力ライン71は、主幹電力ライン71と称されてもよい。
【0022】
電力ライン72は、PCS100を接続点81で電力ライン71と接続する電力ラインである。電力ライン72は、PV電力ライン72と称されてもよい。電力ライン71が接続点81で電力ライン72及び電力ライン73に分岐するため、接続点81は、分岐点81と称されてもよい。
【0023】
電力ライン73は、接続点81と接続された電力ラインである。電力ライン73は、電力ライン71と同様に、主幹電力ライン73と称されてもよい。
【0024】
電力ライン74は、PCS200を接続点82で電力ライン73と接続する電力ラインである。電力ライン74は、BT電力ライン74と称されてもよい。電力ライン73が接続点82で電力ライン74及び電力ライン75に分岐するため、接続点82は、分岐点82と称されてもよい。
【0025】
電力ライン75は、接続点82に接続される電力ラインである。電力ライン75は、電力ライン71と同様に、主幹電力ライン75と称されてもよい。
【0026】
電力ライン76は、負荷機器30を接続点83で電力ライン75と接続する電力ラインである。電力ライン77は、EMS40を接続点83で電力ライン75と接続する電力ラインである。電力ライン75は接続点83で電力ライン76及び電力ライン77に分岐するため、接続点83は、分岐点83と称されてもよい。例えば、接続点83は、コンセントであってもよく、電力ライン77は、ACアダプタを有していてもよい。
【0027】
ここで、電力ライン71~電力ライン77は、屋内配線と称されてもよい。図1に示す屋内配線の形態は特に限定されるものではない。例えば、PCS200は、屋内配線上においてPCS100よりも電力系統70に近い側で屋内配線と接続されてもよい。負荷機器30は、屋内配線上においてPCS200よりも電力系統70に近い側で屋内配線と接続されてもよい。
【0028】
第3に、施設1Aは、計測装置91と、計測装置92と、を有する。
【0029】
計測装置91は、PCS100を制御するための電力を計測する。例えば、計測装置91は、計測装置91によって計測された計測結果をPCS100に対して出力する。計測装置91は、電力系統70から施設1Aへの潮流電力及び施設1Aから電力系統70への逆潮流電力を計測可能な位置に設置されればよい。実施形態では、計測装置91は、電力ライン71に取り付けられる。特に限定されるものではないが、計測装置91は、カレントトランスを含んでもよい。
【0030】
計測装置92は、PCS200を制御するための電力を計測する。例えば、計測装置92は、計測装置92によって計測された計測結果をPCS200に対して出力する。実施形態では、計測装置92は、計測装置91と同様の電力を計測可能な位置に配置される。実施形態では、計測装置92は、電力ライン71に取り付けられる。特に限定されるものではないが、計測装置92は、カレントトランスを含んでもよい。
【0031】
このような背景において、施設1Aの逆潮流電力の上限について説明する。ここでは、PCS100(すなわち、PV10)及びPCS200(すなわち、BT20)の双方の出力電力について逆潮流が認められるケースについて説明する。
【0032】
逆潮流電力の上限は、PV10の設備認定容量及び合計定格容量の小さい方の値であってもよい。合計定格容量は、PCS100及びPCS200の定格容量の合計である。例えば、PV10の設備認定容量が5kWであり、PCS100の定格容量が3kWであり、PCS200の定格容量が3kWであるケースについて考える。このようなケースにおいて、逆潮流電力の上限は、5kW及び6kW(3kW+3kW)の小さい方の値であるため、5kWである。
【0033】
さらに、電力事業者から施設1Aに対して指示される逆潮流電力の制限について説明する。なお、「制限」という用語は、「抑制」と読み替えてもよい。電力事業者は、発電事業者、送配電事業者或いは小売事業者、リソースアグリゲータなどの事業者であってもよい。電力事業者は、逆潮流電力の上限に対する割合によって、施設1Aに対して逆潮流電力の制限を指示してもよい。例えば、電力事業者が、電力事業者によって管理される電力管理サーバから50%の逆潮流電力の制限を指示する場合には、施設1Aの逆潮流電力は目標電力(2.5kW=5kW-(5kW×50%))以下に制限される。
【0034】
このような前提下において、EMS40は、PCS100に対して、計測装置91によって計測される電力に関する第1閾値を通知し、EMS40は、PCS200に対して、計測装置92によって計測される電力に関する第2閾値を通知してもよい。第1閾値及び第2閾値は、目標電力に基づいて算出されてもよい。第1閾値は、上述した目標電力以下の値であってもよい。第2閾値は、目標電力よりも小さく、かつ、第1閾値よりも小さな値であってもよい。実施形態では、第1閾値及び第2閾値は、電力で直接的又は明示的に表される形式でEMS40から通知されるケースが想定されてもよい。
【0035】
さらに、実施形態では、逆潮流において、PCS100の出力電力がPCS200の出力電力よりも優先して逆潮流に用いられる制御(以下、PV優先制御)が適用されるケースについて説明する。例えば、PCS100の出力電力の価値がPCS200の出力電力の価値よりも高いケースが想定される。価値は、逆潮流電力の買電価格であってもよく、二酸化炭素の排出量の削減などを伴う環境価値であってもよい。或いは、BT20の劣化がPV10の劣化よりも進みやすい場合に、BT20の劣化度(充放電回数など)を抑制するケースが想定されてもよい。
【0036】
(電力変換システム)
以下において、実施形態に係る電力変換システム1について説明する。電力変換システム1は、少なくともPCS200を含めばよい。電力変換システム1は、PCS100を含んでもよい。
【0037】
図2及び図3に示すように、PCS100は、DC/DC110と、INV120と、リレー130と、コンデンサ140と、制御装置150と、を有する。PCS100は、連系出力161と、自立出力162と、を有する。
【0038】
DC/DC110は、PV10に接続されたDC/DCコンバータである。DC/DC110は、PV10の出力電力の電圧を変換する。例えば、DC/DC110は、PV10の出力電力の電圧を昇圧する。
【0039】
INV120は、DC/DC110にDCリンク部171を介して接続されたインバータである。INV120は、DC/DC110から出力される直流電力(以下、DC電力)を交流電力(以下、AC電力)に変換する。DC/DC110AとINV120を接続するDCリンク部171は、DC/DC110Aと接続点181とを接続する電力ライン171Aと、接続点181とINV120とを接続する電力ライン171Eと、を含む。DC/DC110BとINV120を接続するDCリンク部171は、DC/DC110Bと接続点181とを接続する電力ライン171Bと、接続点181とINV120とを接続する電力ライン171Eと、を含む。DC/DC110CとINV120を接続するDCリンク部171は、DC/DC110Cと接続点181とを接続する電力ライン171Cと、接続点181とINV120とを接続する電力ライン171Eと、を含む。
【0040】
リレー130は、連系出力161と自立出力162との間でINV120が接続される出力を切り替える。すなわち、PCS100の運転状態が連系状態である場合には、リレー130は、INV120を連系出力161に接続し、PCS100の運転状態が自立状態である場合には、リレー130は、INV120を自立出力162に接続する。連系状態とは、PCS100が電力系統70と連系された状態であり、自立状態とは、PCS100が電力系統70から解列された状態である。
【0041】
コンデンサ140は、DCリンク部171に接続されたコンデンサである。例えば、コンデンサ140は、DC/DC110から出力されるDC電力の平滑化に用いられてもよい。コンデンサ140は、キャパシタと称されてもよい。
【0042】
制御装置150は、PCS100を制御する。制御装置150は、通信モジュールを有していてもよい。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n、ZigBee、Wi-SUN、LTE、5Gなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3、RS485などの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0043】
例えば、制御装置150は、DC/DC110と信号ラインによって接続されてもよい。制御装置150は、INV120と信号ラインによって接続されてもよい。制御装置150は、リモートコントローラ300と信号ラインによって接続されてもよい。これらの信号ラインは、有線の信号ラインを含んでもよく、無線の信号ラインを含んでもよい。
【0044】
例えば、図3に示すように、制御装置150は、PV10の出力電力の電圧(VPV1)及び電流(Idc1)を取得する。制御装置150は、DC/DC110の出力電力の電圧(Vdc1)を取得する。制御装置150は、INV120の出力電力の電圧(Vinv1)及び電流(Iu1)を取得する。
【0045】
制御装置150は、少なくとも1つのプロセッサを有してもよい。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuits)など)によって構成されてもよい。
【0046】
例えば、制御装置150は、PCS100を有する施設1Aの逆潮流電力を第1閾値に近づけるように、PCS100の出力電力を制御する第1制御を実行する第1制御部を構成してもよい。実施形態では、制御装置150は、逆潮流電力が第1閾値を超えないように、PCS100の出力電力を制御してもよい。具体的には、制御装置150は、計測装置91によって計測された電力が第1閾値を超えないように、PCS100の出力電力を制御する。逆潮流電力が制限された期間である第1特定期間以外の期間において、第1閾値は適用されなくてもよい。逆潮流電力が制限された期間である第1特定期間において、第1閾値は、上述した目標電力以下の値であってもよい。逆潮流電力が制限された第1特定期間は、PCS100の出力電力が制限された第1特定期間と読み替えてもよい。
【0047】
実施形態では、制御装置150は、PCS200と連携する機能を有しておらず、PCS200とは独立して動作することに留意すべきである。例えば、制御装置150は、PCS200の出力電力を考慮せずに、計測装置91によって計測された電力に基づいてPCS100の出力電力を制御する。
【0048】
連系出力161は、PCS100の運転状態が連系状態である場合に用いられる出力である。連系出力161は、電力系統70(U相及びW相)に接続される。例えば、連系出力161の電圧は202Vであってもよい。
【0049】
自立出力162は、PCS100の運転状態が自立状態である場合に用いられる出力である。例えば、自立出力162の電圧は202Vであってもよい。実施形態では、自立出力162は、電力変換システム1(ここでは、PCS100)の出力電圧が第1出力電圧(例えば、202V)である第1自立出力の一例であってもよい。このようなケースにおいて、自立出力162は、電力系統70に接続されずに、202Vで動作する負荷機器30(例えば、エアーコンディショナ、IHクッキングヒータ、洗濯乾燥機など)に接続される。但し、自立出力162は、電力変換システム1(ここでは、PCS100)の出力電圧が第1出力電圧よりも低い第2出力電圧(例えば、101V)である第1自立出力の一例であってもよい。このようなケースにおいて、自立出力162は、電力系統70に接続されずに、101Vで動作する負荷機器(例えば、携帯電話、パーソナルコンピュータなど)に接続される。
【0050】
PCS200は、DC/DC210と、INV220と、リレー230と、コンデンサ240と、制御装置250と、を有する。PCS200は、連系出力261と、自立出力262と、を有する。
【0051】
DC/DC210は、BT20に接続されたDC/DCコンバータである。DC/DC210は、BT20の出力電力の電圧を変換する。例えば、DC/DC210は、BT20の出力電力の電圧を昇圧する。或いは、DC/DC210は、INV220の出力電力の電圧を降圧する。
【0052】
INV220は、DC/DC210にDCリンク部271を介して接続された双方向インバータである。INV220は、DC/DC210から出力されるDC電力をAC電力に変換する。又は、INV220は、電力系統70から入力されるAC電力をDC電力に変換する。
【0053】
リレー230は、連系出力261と自立出力262との間でINV220が接続される出力を切り替える。すなわち、PCS200の運転状態が連系状態である場合には、リレー230は、INV220を連系出力261に接続し、PCS200の運転状態が自立状態である場合には、リレー230は、INV220を自立出力262に接続する。連系状態とは、PCS200が電力系統70と連系された状態であり、自立状態とは、PCS200が電力系統70から解列された状態である。
【0054】
コンデンサ240は、DCリンク部271に接続されたコンデンサである。例えば、コンデンサ240は、DC/DC210から出力されるDC電力の平滑化に用いられてもよい。コンデンサ240は、キャパシタと称されてもよい。
【0055】
制御装置250は、PCS200を制御する。制御装置250は、通信モジュールを有していてもよい。通信モジュールは、IEEE802.11a/b/g/n、ZigBee、Wi-SUN、LTE、5Gなどの規格に準拠する無線通信モジュールであってもよく、IEEE802.3、RS485などの規格に準拠する有線通信モジュールであってもよい。
【0056】
例えば、制御装置250は、DC/DC210と信号ラインによって接続されてもよい。制御装置250は、INV220と信号ラインによって接続されてもよい。制御装置250は、リモートコントローラ300と信号ラインによって接続されてもよい。これらの信号ラインは、有線の信号ラインを含んでもよく、無線の信号ラインを含んでもよい。
【0057】
例えば、図3に示すように、制御装置250は、BT20の出力電力の電圧(VBT2)及び電流(Idc2)を取得する。制御装置250は、DC/DC210の出力電力の電圧(Vdc2)を取得する。制御装置250は、INV220の出力電力の電圧(Vinv2)及び電流(Iu2)を取得する。
【0058】
制御装置250は、少なくとも1つのプロセッサを有してもよい。少なくとも1つのプロセッサは、単一の集積回路(IC)によって構成されてもよく、通信可能に接続された複数の回路(集積回路及び又はディスクリート回路(discrete circuits)など)によって構成されてもよい。
【0059】
例えば、制御装置250は、PCS200を有する施設1Aの逆潮流電力を第2閾値に近づけるように、PCS200の出力電力を制御する第2制御を実行する第2制御部を構成してもよい。実施形態では、制御装置250は、逆潮流電力が第2閾値を超えないように、PCS200の出力電力を制御する。具体的には、制御装置250は、計測装置92によって計測された電力が第2閾値を超えないように、PCS200の出力電力を制御する。第2閾値は、第1閾値よりも小さな値である。PCS200(すなわち、BT20)の出力電力について逆潮流が認められる場合には、第2閾値は以下に示す値であってもよい。逆潮流電力が制限された第1特定期間以外の期間において、第2閾値は適用されなくてもよい。逆潮流電力が制限された第1特定期間において、第2閾値は、上述した目標電力よりも小さく、かつ、第1閾値よりも小さな値であってもよい。逆潮流電力が制限された第1特定期間は、PCS100の出力電力に加えて、PCS200の出力電力が制限された第1特定期間と読み替えてもよい。
【0060】
実施形態では、制御装置250は、PCS100と連携する機能を有しておらず、PCS100とは独立して動作することに留意すべきである。例えば、制御装置250は、PCS100の出力電力を考慮せずに、計測装置92によって計測された電力に基づいてPCS200の出力電力を制御する。
【0061】
連系出力261は、PCS200の運転状態が連系状態である場合に用いられる出力である。連系出力261は、電力系統70(U相及びW相)に接続される。例えば、連系出力261の電圧は202Vであってもよい。
【0062】
自立出力262は、PCS200の運転状態が自立状態である場合に用いられる出力である。例えば、自立出力262の電圧は101Vであってもよい。実施形態では、自立出力262は、電力変換システム1(ここでは、PCS200)の出力電圧が第1出力電圧(例えば、202V)よりも低い第2出力電圧(例えば、101V)である第2自立出力の一例であってもよい。このようなケースにおいて、自立出力262は、電力系統70に接続されずに、101Vで動作する負荷機器(例えば、携帯電話、パーソナルコンピュータなど)に接続される。但し、自立出力262は、電力変換システム1(ここでは、PCS200)の出力電圧が第1出力電圧(例えば、202V)である第2自立出力の一例であってもよい。このようなケースにおいて、自立出力262は、電力系統70に接続されずに、202Vで動作する負荷機器(例えば、エアーコンディショナ、IHクッキングヒータ、洗濯乾燥機など)に接続される。
【0063】
リモートコントローラ300は、PCS100の制御に用いられる。例えば、リモートコントローラ300へのユーザ入力に応じて、PCS100の電源のオン/オフが切り替えられてもよい。リモートコントローラ300へのユーザ入力に応じて、PCS100の運転状態が切り替えられてもよい。同様に、リモートコントローラ300は、PCS200に用いられてもよい。
【0064】
(適用シーン)
以下において、実施形態に係る適用シーンについて説明する。適用シーンでは、説明を簡潔にするために、負荷機器30の消費電力については考慮しない。
【0065】
第1に、適用シーン1について図4を参照しながら説明する。適用シーン1では、時刻tと時刻tとの間の第1特定期間(第1特定期間内の時刻として時刻t~時刻tn+2を例示)において、逆潮流電力の上限が2.5kWに制限されるケースについて例示する。時刻tm+2において日射が悪化し、時刻tm+3において日射が劣悪であり、時刻tm+4以降において日射が回復し、時刻tn+2以降において日射が良好であるケースについて考える。このようなケースにおいて、PCS100に適用される第1閾値として2.5kWが用いられ、PCS200に適用される第2閾値として2.4kWが用いられる。ここでは、第1閾値(2.5kW)が目標電力(2.5kW)と同じであるケースが想定されている。
【0066】
このようなケースにおいて、時刻tm+2において日射が悪化するため、PCS100の出力電力が1.5kWに減少すると、PCS200は、逆潮流電力を第2閾値(2.4kW)に近づけるようにPCS200の出力電力を0.9kWに増大する。時刻tm+3において日射が劣悪であるため、PCS100の出力電力が0kWに減少すると、PCS200は、逆潮流電力を第2閾値(2.4kW)に近づけるようにPCS200の出力電力を2.4kWに増大する。
【0067】
さらに、時刻tm+4において、日射が回復するため、PCS100は、逆潮流電力を第1閾値(2.5kW)に近づけるようにPCS100の出力電力を0.1kWに増大することによって、逆潮流電力が2.5kWに増大する。従って、時刻tm+5において、PCS200は、逆潮流電力を第2閾値(2.4kW)に近づけるようにPCS200の出力電力を2.3kWに減少する。時刻tm+6以降において、同様の処理が繰り返されるため、第1閾値と第2閾値との差異(0.1kW)を単位として、PCS200の出力電力の減少及びPCS100の出力電力の増大が繰り返される。結果として、時刻tn+2において、PCS200の出力電力が0kWに減少する一方で、PCS100の出力電力が2.5kWに増大し、逆潮流電力も2.5kWに達する。
【0068】
なお、図4では、時刻tm+4以降において日射が継続的に回復するケースを例示しているが、日射が悪化する場合には、時刻tm+2と同様に、PCS100の出力電力の減少に応じてPCS200の出力電力が増大する。
【0069】
このように、適用シーン1では、第1閾値と第2閾値との差異が0.1kWであり、0.1kWを単位としてPCS200の出力電力の減少及びPCS100の出力電力の増大が繰り返される。従って、PCS100とPCS200との間の連携を必要とせずに、逆潮流電力の減少を抑制しながら、PCS100の200の出力電力をPCS100の出力電力に置き換えることができる。
【0070】
第2に、適用シーン2について図5を参照しながら説明する。適用シーン2では、時刻tと時刻tとの間の第1特定期間(第1特定期間内の時刻として時刻t~時刻tm+12を例示)において、逆潮流電力の上限が2.5kWに制限されるケースについて例示する。時刻tm+2において日射が悪化し、時刻tm+3において日射が劣悪であり、時刻tm+4以降において日射が回復し、時刻tm+12以降において日射が良好であるケースについて考える。このようなケースにおいて、PCS100に適用される第1閾値として2.5kWが用いられ、PCS200に適用される第2閾値として2.0kWが用いられる。ここでは、第1閾値(2.5kW)が目標電力(2.5kW)と同じであるケースが想定されている。
【0071】
このようなケースにおいて、時刻tm+2において日射が悪化するため、PCS100の出力電力が1.5kWに減少すると、PCS200は、逆潮流電力を第2閾値(2.0kW)に近づけるようにPCS200の出力電力を0.5kWに増大する。時刻tm+3において日射が劣悪であるため、PCS100の出力電力が0kWに減少すると、PCS200は、逆潮流電力を第2閾値(2.0kW)に近づけるようにPCS200の出力電力を2.0kWに増大する。
【0072】
さらに、時刻tm+4において、日射が回復するため、PCS100は、逆潮流電力を第1閾値(2.5kW)に近づけるようにPCS100の出力電力を0.5kWに増大することによって、逆潮流電力が2.5kWに増大する。従って、時刻tm+5において、PCS200は、逆潮流電力を第2閾値(2.0kW)に近づけるようにPCS200の出力電力を1.5kWに減少する。時刻tm+6以降において、同様の処理が繰り返されるため、第1閾値と第2閾値との差異(0.5kW)を単位として、PCS200の出力電力の減少及びPCS100の出力電力の増大が行われる。結果として、時刻tm+12において、PCS200の出力電力が0kWに減少する一方で、PCS100の出力電力が2.5kWに増大し、逆潮流電力も2.5kWに達する。
【0073】
なお、図5では、時刻tm+4以降において日射が継続的に回復するケースを例示しているが、日射が悪化する場合には、時刻tm+2と同様に、PCS100の出力電力の減少に応じてPCS200の出力電力が増大する。
【0074】
このように、適用シーン2では、第1閾値と第2閾値との差異が0.5kWであり、0.5kWを単位としてPCS200の出力電力の減少及びPCS100の出力電力の増大が繰り返される。従って、PCS100とPCS200との間の連携を必要とせずに、適用シーン1よりも速やかにPCS100の200の出力電力をPCS100の出力電力に置き換えることができる。従って、PCS100(言い換れば、PV10)の出力電力を施設1Aの逆潮流電力として速やかに利用することができ、PCS100(言い換れば、PV10)の出力電力が施設1Aの逆潮流電力として用いられない損失を抑制することができる。
【0075】
(動作例)
以下において、実施形態に係る動作例について説明する。ここでは、電力事業者によって管理される電力サーバとして電力サーバ400を例示する。
【0076】
図6に示すように、ステップS10において、EMS40は、設定情報を電力サーバ400に送信する。設定情報は、PV10の設備認定容量、PCS100の定格容量、PCS200の定格容量などを含む。
【0077】
ステップS11において、電力サーバ400は、設定情報を登録する。電力サーバ400は、設定情報に基づいて施設1Aの逆潮流電力の上限を特定することができる。電力サーバ400は、施設1Aの逆潮流電力の上限を登録してもよい。なお、設定情報が更新されない場合に、次回の動作においてステップS10及びステップS11の処理が省略されてもよい。
【0078】
ステップS20において、電力サーバ400は、逆潮流電力の制限を指示する制御メッセージをEMS40に送信する。
【0079】
ステップS21において、EMS40は、PCS100に適用する第1閾値を決定し、PCS200に適用する第2閾値を決定する。上述したように、第1閾値は、目標電力以下の値である。第2閾値は、目標電力よりも小さく、かつ、第1閾値よりも小さな値である。
【0080】
ステップS22において、EMS40は、第1閾値を示す制御メッセージをPCS100に送信する。
【0081】
ステップS23において、EMS40は、第2閾値を示す制御メッセージをPCS200に送信する。
【0082】
ステップS24において、PCS100は、第1特定期間において、計測装置91によって計測された電力が第1閾値を超えないように、PCS100の出力電力を制御する(PV制御)。第1閾値は、ステップS22で通知される制御メッセージによって特定される。PV制御は、所定周期(例えば、0.5s)毎に実行されてもよい。
【0083】
ステップS25において、PCS200は、第1特定期間において、計測装置92によって計測された電力が第2閾値を超えないように、PCS200の出力電力を制御する(BT制御)。第2閾値は、ステップS23で通知される制御メッセージによって特定される。BT制御は、所定周期(例えば、0.5s)毎に実行されてもよい。
【0084】
(作用及び効果)
実施形態では、PCS100は、施設1Aの逆潮流電力が第1閾値を超えない範囲で、施設1Aの逆潮流電力を第1閾値に近づけるようにPCS100の出力電力を制御し、PCS200は、施設1Aの逆潮流電力が第1閾値よりも小さい第2閾値を超えない範囲で、施設1Aの逆潮流電力を第2閾値に近づけるようにPCS200の出力電力を制御する。このような構成によれば、PCS100とPCS200との連携を必要とせずに、第1閾値と第2閾値との差異を単位として、PCS200の出力電力をPCS100の出力電力に置き換えることができる。
【0085】
[変更例1]
以下において、実施形態の変更例1について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について説明する。
【0086】
実施形態では、電力事業者によって施設1Aの逆潮流電力の制限が指示される場合において、目標電力によって特定される第1閾値及び第2閾値が用いられるケースについて説明した。これに対して、変更例1では、電力事業者によって施設1Aの逆潮流電力を要請電力に近ける制御が要請されるケースについて説明する。逆潮流電力を要請電力に近ける制御は、VPP(Virtual Power Plant)制御と称されてもよい。
【0087】
このようなケースにおいて、第1閾値及び第2閾値は、要請電力に基づいて算出されてもよい。第1閾値は、要請電力よりも大きな値であってもよい。第2閾値は、第1閾値よりも小さな値であってもよい。第2閾値は、要請電力以上の値であってもよく、要請電力以下の値であってもよい。例えば、第2閾値は、以下に示す所定範囲内の値であってもよい。
【0088】
例えば、VPP制御において、要請電力に対する誤差が所定範囲外であるケースにおいてペナルティが適用されてもよく、要請電力に対する誤差が所定範囲内であるケースにおいてリワードが適用されてもよい。このようなケースにおいて、第1閾値は、要請電力から所定範囲の上限であってもよい。第2閾値は、要請電力から所定範囲の下限であってもよい。
【0089】
PCS100は、VPP制御が要請された期間である第2特定期間において第1制御を実行してもよい。PCS200は、第2特定期間において第2制御を実行してもよい。第1閾値及び第2閾値の設定方法を除いて、第1制御及び第2制御の詳細は上述した実施形態と同様であるため、その詳細については省略する。
【0090】
変更例1では、第1閾値及び第2閾値の算出に用いる電力が要請電力と称されるが、要請電力は、目標電力と読み替えられてもよい。
【0091】
[変更例2]
以下において、実施形態の変更例2について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について説明する。
【0092】
実施形態では、電力事業者によって逆潮流電力の制限が指示される場合において、目標電力によって特定される第1閾値及び第2閾値が用いられるケースについて説明した。これに対して、変更例2では、電力事業者によって逆潮流電力の制限が指示されているか否かによらずに、予め定められる第1閾値及び第2閾値が用いられてもよい。
【0093】
具体的には、変更例1では、PCS200は、現在のタイミングが第1特定期間であるか否かによらずに、上述した第1制御及び第2制御を実行してもよい。
【0094】
このようなケースにおいて、第1閾値として、電力事業者と施設1Aとの間の契約によって予め定められた契約電力(例えば、10kW)が用いられてもよい。契約電力は、施設1Aの規模によって異なってもよい。但し、第2閾値が第1閾値よりも小さな値である点については実施形態と同様である。
【0095】
或いは、第1閾値としては、上述した逆潮流電力の上限が用いられてもよい。逆潮流電力の上限は、PV10の設備認定容量及び合計定格容量のいずれかの値であってもよい。但し、第2閾値が第1閾値よりも小さな値である点については実施形態と同様である。
【0096】
[変更例3]
以下において、実施形態の変更例3について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について説明する。
【0097】
実施形態では、第1閾値及び第2閾値が電力で直接的又は明示的に表される形式でEMS40から通知されるケースが想定される。これに対して、変更例3では、第1閾値及び第2閾値は、PCS100及びPCS200に対する指令値で間接的又は暗黙的に表される形式でEMS40から通知されてもよい。指令値は、逆潮流電力の上限から削減すべき割合に換算されて表されてもよい。指令値は、PCS100及びPCS200の定格容量に対する割合によって表されてもよい。
【0098】
例えば、第1閾値として2.5kWが用いられ、第2閾値として2.0kWが用いられるケースについて考える。このようなケースにおいて、PCS100について実際に制限される制限電力は、PCS100の定格容量(3kW)から第1閾値(2.5kW)を除いた電力(0.5kW)である。従って、PCS100に対する指令値は、16.7%(0.5kW/3kW×100)であってもよい。PCS100は、指令値に基づいて第1閾値を特定することが可能である。同様に、PCS200について実際に制限される制限電力は、PCS200の定格容量(3kW)から第2閾値(2.0kW)を除いた電力(1.0kW)である。従って、PCS200に対する指令値は、33.3%(1.0kW/3kW×100)であってもよい。PCS200は、指令値に基づいて第2閾値を特定することが可能である。すなわち、第1閾値及び第2閾値は、指令値で表される形式でEMS40から通知されてもよい。
【0099】
[変更例4]
以下において、実施形態の変更例4について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について説明する。
【0100】
変更例4では、外部要因によって出力電力が変動し得るPV10にPCS100が接続されるケースを想定する。このようなケースにおいて、PCS200は、所定条件が満たされたか否かに応じて第2閾値を変更する。
【0101】
所定条件は、PCS200がEMS40から外部指令を受信するという条件であってもよい。外部指令は、第2閾値として既に設定されている第2閾値と比べて相対的に大きな閾値(以下、第2閾値A)を用いる指令(以下、第1外部指令)を含んでもよい。第1外部指令は、PCS100の出力電力が安定的に増大していないと判断される場合に送信されてもよい。例えば、PCS100の出力電力の安定的な増大は、PCS100の出力電力が一定期間に亘って継続的に増大することを意味してもよい。EMS40は、PCS100の出力電力を監視することによって、PCS100の出力電力が一定期間に亘って継続的に増大しているか否かを判断することが可能である。第1外部指令は、PCS200の出力電力をPCS100の出力電力に置き換える動作(以下、置換動作)が所定時間内に完了すると判断された場合に送信されてもよい。EMS40は、置換動作の開始から経過した時間及び置換動作によって置き換えられる電力を監視することによって、置換動作が所定時間内に完了するか否かを判断することが可能である。外部指令は、第2閾値として既に設定されている第2閾値と比べて相対的に小さな閾値(以下、第2閾値B)を用いる指令(以下、第2外部指令)を含んでもよい。第2閾値Bは、第2閾値Aよりも小さな値である。第2外部指令は、PCS100の出力電力が安定的に増大していると判断される場合に送信されてもよい。第2外部指令は、置換動作が所定時間内に完了しないと判断された場合に送信されてもよい。
【0102】
所定条件は、PCS100の出力電力が安定的に増大しているか否かという条件を含んでもよい。PCS200は、PCS100の出力電力が安定的に増大していないと判断する場合に、第2閾値として相対的に大きな第2閾値Aを用いてもよい。PCS200は、PCS100の出力電力が安定的に増大していると判断する場合に、第2閾値として相対的に小さな第2閾値Bを用いてもよい。
【0103】
所定条件は、置換動作が所定時間内に完了するか否かという条件を含んでもよい。PCS200は、置換動作が所定時間内に完了すると判断する場合に、第2閾値として相対的に大きな第2閾値Aを用いてもよい。PCS200は、置換動作が所定時間内に完了しないと判断する場合に、第2閾値として相対的に小さな第2閾値Bを用いてもよい。
【0104】
ここで、PCS100の出力電力が安定的に増大しているか否かは、PCS100の出力電力によって施設1Aの逆潮流電力が第2閾値を超えた状態が継続するか否かによって判断されてもよい。施設1Aの逆潮流電力が第2閾値を超えた状態の継続は、施設1Aの逆潮流電力が第2閾値を超えた状態が短時間で繰り返されることを含む。逆潮流電力が第2閾値を超えた状態では、PCS200の出力電力が第2制御によって減少する一方で、PCS100の出力電力が第1制御によって増大する。逆潮流電力が第2閾値を超えた状態の継続は、PCS100の出力電力の安定的な増大を意味する。言い換えると、逆潮流電力が第2閾値を超えた状態の継続は、日射の安定的な回復を意味すると考えてもよい。
【0105】
例えば、図7に示すように、時刻tと時刻tとの間の第1特定期間(第1特定期間内の時刻として時刻t~時刻to+3を例示)において、逆潮流電力の上限が2.5kWに制限されるケースについて例示する。時刻tm+2において日射が悪化し、時刻tm+3において日射が劣悪であり、時刻tm+4以降において日射が回復し、時刻t以降において日射が良好であるケースについて考える。このようなケースにおいて、PCS100に適用される第1閾値として2.5kWが用いられ、PCS200に適用される第2閾値Aとして2.4kWが用いられ、第2閾値Bとして1.5kWが用いられるケースを例示する。ここでは、第1閾値(2.5kW)が目標電力(2.5kW)と同じであるケースが想定されている。
【0106】
このようなケースにおいて、時刻tm+2において日射が悪化するため、PCS100の出力電力が1.5kWに減少すると、PCS200は、逆潮流電力を第2閾値A(2.4kW)に近づけるようにPCS200の出力電力を0.9kWに増大する。時刻tm+3において日射が劣悪であるため、PCS100の出力電力が0kWに減少すると、PCS200は、逆潮流電力を第2閾値A(2.4kW)に近づけるようにPCS200の出力電力を2.4kWに増大する。時刻tm+4において日射が回復するため、PCS100は、逆潮流電力を第1閾値(2.5kW)に近づけるようにPCS100の出力電力を0.1kWに増大することによって、逆潮流電力が2.5kWに増大する。
【0107】
時刻tにおいて、時刻t以前の時刻において逆潮流電力が第2閾値を超えた状態が継続され、PCS100の出力電力の安定的な増大しており、所定条件が満たされる(例えば、第2外部指令を受信する)ため、PCS200は、第2閾値として第2閾値B(1.5kW)を適用する。従って、PCS200は、逆潮流電力を第2閾値B(1.5kW)に近づけるようにPCS200の出力電力を1.4kWに減少し、逆潮流電力は1.5kWに減少する。時刻tn+1において日射が良好であるため、PCS100は、逆潮流電力を第1閾値(2.5kW)に近づけるようにPCS100の出力電力を1.1kWに増大することによって、逆潮流電力が2.5kWに増大する。従って、時刻tn+2において、PCS200は、逆潮流電力を第2閾値B(1.5kW)に近づけるようにPCS200の出力電力を0.4kWに減少する。時刻tn+3において日射が良好であるため、PCS100は、逆潮流電力を第1閾値(2.5kW)に近づけるようにPCS100の出力電力を2.1kWに増大することによって、逆潮流電力が2.5kWに増大する。
【0108】
時刻tにおいて、時刻t以前の時刻において置換動作が十分に進んでおり、所定条件が満たされる(例えば、第1外部指令を受信する)ため、PCS200は、第2閾値として2.4kWを適用する。従って、PCS200は、逆潮流電力を第2閾値A(2.4kW)に近づけるようにPCS200の出力電力を0.3kWに減少し、逆潮流電力は2.4kWに減少する。時刻to+1において日射が良好であるため、PCS100は、逆潮流電力を第1閾値(2.5kW)に近づけるようにPCS100の出力電力を2.2kWに増大することによって、逆潮流電力が2.5kWに増大する。従って、時刻tn+2において、PCS200は、逆潮流電力を第2閾値(2.4kW)に近づけるようにPCS200の出力電力を0.2kWに減少する。以降、同様の処理が繰り返される。
【0109】
このような構成によれば、第2閾値として相対的に大きな第2閾値A及び相対的に小さな第2閾値Bを使い分けることによって、逆潮流電力の減少を抑制しながら、置換動作を速やかに実行することができる。
【0110】
[変更例5]
以下において、実施形態の変更例5について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について説明する。
【0111】
実施形態では、PCS100の制御に用いる計測装置91及びPCS200の制御に用いる計測装置92が設置されるケースについて説明した。これに対して、変更例5では、PCS100及びPCS200の制御に用いる計測電力は、EMS40からPCS100及びPCS200に提供される。
【0112】
図8に示すように、施設1Aは、計測装置91及び計測装置92に代えて、計測装置95を有する。計測装置95は、計測装置91と同様に、電力系統70から施設1Aへの潮流電力及び施設1Aから電力系統70への逆潮流電力を計測可能な位置に設置されればよい。変更例5では、計測装置95は、電力ライン71に接続される。
【0113】
このようなケースにおいて、EMS40は、計測装置95によって計測された電力をPCS100及びPCS200の双方に通知する。PCS100は、EMS40から通知された電力に基づいて、PCS100の出力電力を制御する。同様に、PCS200は、EMS40から通知された電力に基づいて、PCS100の出力電力を制御する。
【0114】
[変更例6]
以下において、実施形態の変更例6について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について説明する。
【0115】
実施形態では、施設1Aが2つのPCSを有するケースについて例示した。これに対して、変更例6では、施設1Aが3つのPCSを有するケースについて説明する。3つのPCSは、第1優先度のPCS、第1優先度よりも低い第2優先度のPCS、第2優先度よりも低い第3優先度を有するPCSを有する。
【0116】
第1優先度のPCSに適用する閾値は、目標電力以下の値であってもよい。第2優先度のPCSに適用する閾値は、第1優先度のPCSに適用する閾値よりも小さい。第3優先度のPCSに適用する閾値は、第2優先度のPCSに適用する閾値よりも小さい。
【0117】
このようなケースにおいて、第3優先度のPCSの出力電力は、第3優先度のPCSの出力電力がゼロになるまで、第1優先度のPCS又は第2優先度のPCSの出力電力に置き換えられる。第2優先度のPCSの出力電力は、第3優先度のPCSの出力電力がゼロになった後において、第1優先度のPCSの出力電力に置き換えられる。
【0118】
但し、第3優先度のPCSの制御周期よりも第2優先度のPCSの制御周期が短い場合には、第3優先度のPCSの出力電力がゼロになる前に、第2優先度のPCSの出力電力がゼロになることがあってもよい。
【0119】
[その他の実施形態]
本発明は上述した開示によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0120】
上述した開示では、第2閾値が第1閾値よりも常に小さいケースについて主として説明した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。例えば、第2閾値は、所定タイミングで第1閾値と同じ値に変更されてもよい。所定タイミングは、PCS100の出力電力とPCS200の出力電力とのバランスが所望バランスとなったタイミングであってもよい。例えば、PCS100が定格出力の逆潮流を行っている場合に、PCS200に適用される第2閾値は、第1閾値と同じ値に変更されてもよい。
【0121】
上述した開示では、第1閾値及び第2閾値がEMS40から明示的又は暗黙的に通知されるケースについて例示した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。例えば、目標電力がEMS40から通知される前提で、PCS100は、目標電力に適用する第1オフセットを予め記憶しており、第1オフセット及び目標電力に基づいて第1閾値を特定してもよい。例えば、目標電力から第1オフセットが減算される場合に、第1オフセットは0であってもよく、目標電力に第1オフセットが乗算される場合に、第1オフセットは1であってもよい。同様に、目標電力がEMS40から通知される前提で、PCS200は、目標電力に適用する第2オフセットを予め記憶しており、第2オフセット及び目標電力に基づいて第2閾値を特定してもよい。第2オフセットは、第2閾値が第1閾値よりも小さくなるように定められた値であればよい。例えば、目標電力から第2オフセットが減算される場合に、第2オフセットは0よりも大きな値であってもよく、目標電力に第2オフセットが乗算される場合に、第2オフセットは1よりも小さな値であってもよい。
【0122】
上述した開示では、第2電力変換ユニットとして、BT20に接続されるPCS200を例示した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。第2電力変換ユニットは、外部要因によって出力電力が変動しない分散電源に接続されたPCSであってもよい。例えば、第1電力変換ユニットは、燃料電池に接続されたPCSであってもよい。燃料電池は、固体酸化物型燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)であってもよく、固体高分子型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)であってもよく、リン酸型燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cell)であってもよく、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC:Molten Carbonate Fuel Cell)であってもよい。
【0123】
上述した開示では、第1電力変換ユニットとして、PV10に接続されるPCS100を例示した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。第1電力変換ユニットは、第2電力変換ユニットの出力電力よりも優先して逆潮流に用いられる電力を出力する電力変換ユニットであればよい。第1電力変換ユニットは、外部要因によって出力電力が変動し得る分散電源に接続されたPCSであってもよい。例えば、第1電力変換ユニットは、自然エネルギーを利用して電力を出力する分散電源(風力発電装置、地熱発電装置など)に接続されたPCSであってもよい。
【0124】
上述した開示では特に触れていないが、PCS200(BT20)の放電がスケジュールされた時間帯であっても、特定期間においては、PCS100(PV10)の出力電力に余剰がある場合には、逆潮流電力及び負荷機器30の消費電力は、PCS100の出力電力によって優先的に賄われてもよい(PV優先制御)。PCS200の出力電力よりもPCS100の出力電力を優先する切り替えは、リモートコントローラ300によって設定されてもよく、EMS40によって設定されてもよい。
【0125】
上述した開示では特に触れていないが、PCS100の出力電力及びPCS200の出力電力のいずれを優先するのかについては、予め定められたスケジュールによって切り替えられてもよい。このような切り替えは、逆潮流電力がゼロであるケースに適用されてもよい。
【0126】
上述した開示では特に触れていないが、第1閾値及び第2閾値は、計測装置91及び計測装置92の計測誤差に基づいて定められてもよい。例えば、第2閾値は、第1閾値に対して計測装置91の計測誤差を加味した下限値よりも小さくなるように定められてもよい。このようなケースにおいて、第2閾値に対して計測装置92の計測誤差を加味した上限値は、第1閾値に対して計測装置91の計測誤差を加味した下限値よりも小さくてもよい。
【0127】
上述した開示では、電力変換システム1がEMS40を有するケースについて例示した。しかしながら、上述した開示はこれに限定されるものではない。電力変換システム1はEMS40を有していなくてもよい。このようなケースにおいて、PCS100及びPCS200は、逆潮流電力の制限を指示する制御メッセージを電力サーバ400から受信してもよい。PCS100に送信される制御メッセージは、第1閾値を明示的又は暗黙的に示す情報要素を含み、PCS200に送信される制御メッセージは、第2閾値を明示的又は暗黙的に示す情報要素を含んでもよい。
【符号の説明】
【0128】
1A…施設、
1…電力変換システム、
10…PV、
20…BT、
30…負荷機器、
40…EMS、
71~77…電力ライン、
81~83…接続点、
91~92、95…計測装置、
100…PCS、
110…DC/DC、
120…INV、
130…リレー、
140…コンデンサ、
150…制御装置、
161…連系出力、
162…自立出力、
171…DCリンク部、
181…接続点、
200…PCS、
210…DC/DC、
220…INV、
230…リレー、
240…コンデンサ、
250…制御装置、
261…連系出力、
262…自立出力、
271…DCリンク部、
300…リモートコントローラ、
400…電力サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8