IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日置電機株式会社の特許一覧

特開2022-168760発光装置、電気機器および発光装置用の基板
<>
  • 特開-発光装置、電気機器および発光装置用の基板 図1
  • 特開-発光装置、電気機器および発光装置用の基板 図2
  • 特開-発光装置、電気機器および発光装置用の基板 図3
  • 特開-発光装置、電気機器および発光装置用の基板 図4
  • 特開-発光装置、電気機器および発光装置用の基板 図5
  • 特開-発光装置、電気機器および発光装置用の基板 図6
  • 特開-発光装置、電気機器および発光装置用の基板 図7
  • 特開-発光装置、電気機器および発光装置用の基板 図8
  • 特開-発光装置、電気機器および発光装置用の基板 図9
  • 特開-発光装置、電気機器および発光装置用の基板 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168760
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】発光装置、電気機器および発光装置用の基板
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/60 20100101AFI20221031BHJP
【FI】
H01L33/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074467
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100194858
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 久子
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 亮太
(72)【発明者】
【氏名】長井 秀行
(72)【発明者】
【氏名】横澤 駿介
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA04
5F142AA26
5F142AA56
5F142BA32
5F142CD16
5F142CD17
5F142CD18
5F142CE16
5F142CE32
5F142CG04
5F142CG05
5F142DA12
5F142DB24
5F142FA21
(57)【要約】
【課題】簡易な構成でありながら基板に実装した状態で視認性の高いLED光源を備えた発光装置を提供すること。
【解決手段】基板実装面側に発光部(11)を有する発光ダイオード(LED)チップ(1)と、前記LEDチップ(1)が実装されたときに前記発光部(11)を挿入する挿入孔(23)が設けられたLED実装領域(21)を有する透明基板(2)と、前記透明基板(2)の表面に設けられた光遮断性のソルダレジスト層(3)と、を備え、前記透明基板(2)は、前記LED実装領域(21)に隣接して、当該透明基板(2)の表面に前記ソルダレジスト層(3)が設けられていない光放出領域(22)を有する、発光装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板実装面側に発光部を有する発光ダイオード(LED)チップと、
前記LEDチップが実装されたときに前記発光部を挿入する挿入孔が設けられたLED実装領域を有する透明基板と、
前記透明基板の表面に設けられた光遮断性のソルダレジスト層と、を備え、
前記透明基板は、前記LED実装領域に隣接して、当該透明基板の表面に前記ソルダレジスト層が設けられていない光放出領域を有する、
発光装置。
【請求項2】
請求項1記載の発光装置であって、
前記透明基板は、前記光放出領域とは反対側において前記LED実装領域に隣接して設けられた貫通孔を有する、
発光装置。
【請求項3】
請求項2記載の発光装置であって、
前記貫通孔の内壁面は金属で覆われている、
発光装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の発光装置であって、
前記貫通孔は前記光放出領域に対応した長さを有する長孔形状に形成されている、
発光装置。
【請求項5】
請求項1記載の発光装置であって、
前記LED実装領域は、前記光放出領域で周囲を取り囲まれている、
発光装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載の発光装置であって、
前記光放出領域は、前記透明基板の端面から突出した基板領域として形成される、
発光装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載の発光装置と、
前記発光装置の前記透明基板に実装され、前記LEDチップと電気的に接続された表面実装電子部品と、
前記透明基板の前記光放出領域を露出した状態で、前記表面実装電子部品を実装した前記発光装置を収容する筐体と、を備える、
電気機器。
【請求項8】
LEDチップが実装されたときに当該LEDチップの発光部を挿入する挿入孔が設けられたLED実装領域を有する透明基板と、
前記透明基板の表面に設けられたソルダレジスト層と、を備え、
前記透明基板は、前記LED実装領域に隣接して、当該透明基板の表面に前記ソルダレジスト層が設けられていない光放出領域を有する、
発光装置用の基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関し、例えば、光源として発光ダイオードを用いた発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)のリード線をプリント基板の回路に半田付けする際に用いられるスペーサが記載されている。この文献に記載されたスペーサによれば、発光ダイオードを容易に装着することができ、かつ発光ダイオードのリード線の基部周辺の樹脂盛り上がりを回避し、発光ダイオードの浮きをなくすことができる。特許文献1に記載された発光ダイオード(LED)は、一般に、砲弾型LEDと呼ばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-324436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
砲弾型LEDは、例えば電気機器の状態変化を通知するために点灯する警告灯として電気機器において用いられている。砲弾型LEDは、砲弾形状に形成された発光部と、発光部からまっすぐに延びた2本のリードとにより構成されている。かかる砲弾型LEDは、リード部分を用いて筐体内部で基板に実装することにより、電気機器の他の表面実装電子部品(SMD:Surface Mount Device)と電気的に接続することができる。リード部分を用いて基板に実装された状態で発光部を電気機器の筐体の外に突出して設けることにより、視認性の高い発光部を介して電気機器の状態変化を知ることができる。
【0005】
しかしながら、砲弾型LEDを基板に実装する場合、引用文献1に記載されたように、砲弾型LED以外にもスペーサを必要とする。製造する際には、他のSMDを基板に実装するプロセスとは別の工程で、砲弾型LEDとスペーサとを手差しでマウントした状態でリードを基板に半田付けして実装する必要がある。
【0006】
図9は、砲弾型LEDが実装された基板を備えた電気機器の一部分の斜視図であり、図10図9の筐体を透過させて表示した斜視図である。図9に示すように、筐体41から突出した発光部61を有する砲弾型LED60を基板に実装した状態では、スペーサ62を含めてLEDを配置するスペースが必要である。これは、近年の電気部品の小型化の要請に沿ったものとはいえない。このように、基板に装着した状態で視認性の高くするためには構造が複雑にならざるを得なかった。
【0007】
本発明は上記従来の問題に鑑みなされたものであって、本発明の課題は、簡易な構成でありながら基板に実装した状態で視認性の高いLED光源を備えた発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の代表的な実施の形態に係る発光装置は、基板実装面側に発光部を有する発光ダイオード(LED)チップと、前記LEDチップが実装されたときに前記発光部を挿入する挿入孔が設けられたLED実装領域を有する透明基板と、前記透明基板の表面に設けられた光遮断性のソルダレジスト層と、を備え、前記透明基板は、前記LED実装領域に隣接して、当該透明基板の表面に前記ソルダレジスト層が設けられていない光放出領域を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る発光装置によれば、簡易な構成でありながら基板に実装した状態で視認性の高いLED光源を備えた発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る発光装置の斜視図である。
図2】本実施形態に係る発光装置の正面から見た構成を示す図である。
図3】本実施形態に係る発光装置の裏面から見た構成を示す図である。
図4】LEDチップの発光部が発光状態の時の光の拡散状態を示す平面図である。
図5図4図4のA-A断面図である。
図6】本実施形態の発光装置を搭載した電気機器の一例を示す外観図である。
図7図6の一部分における斜視図である。
図8図7の筐体を透過させて表示した図である。
図9】砲弾型LEDが実装された基板を備えた電気機器の一部分の斜視図である。
図10図9の筐体を透過させて表示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、図1における発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
【0012】
〔1〕代表的な実施の形態に係る発光装置は、基板実装面側に発光部(11)を有する発光ダイオード(LED)チップ(1)と、前記LEDチップ(1)が実装されたときに前記発光部(11)を挿入する挿入孔(23)が設けられたLED実装領域(21)を有する透明基板(2)と、前記透明基板(2)の表面に設けられた光遮断性のソルダレジスト層(3)と、を備え、前記透明基板(2)は、前記LED実装領域(21)に隣接して、当該透明基板(2)の表面に前記ソルダレジスト層(3)が設けられていない光放出領域(22)を有する。
【0013】
この態様によれば、砲弾型LEDのように、基板に実装する際にスペーサを必要としないので、簡易な構成とすることができる。一方で、基板に実装した状態で光放出領域を筐体の外に目立たせるように設けることができるので、LEDチップの発光部から拡散された光が視認性高く観察することができる。
【0014】
〔2〕上記〔1〕記載の発光装置において、前記透明基板は、前記光放出領域とは反対側において前記LED実装領域に隣接して設けられた貫通孔を有していてもよい。
【0015】
この態様によれば、LED実装領域に実装されたLEDチップの発光部から拡散され、光放出領域とは反対側の透明基板内を伝搬した光が貫通孔において、反射される。したがって、発光部からの光が光放出領域まで伝搬してから透明基板の外部に放出されるので、光放出領域から放出される光をより強くすることができる。
【0016】
〔3〕上記〔2〕記載の発光装置において、前記貫通孔の内壁面は金属で覆われていてもよい。
【0017】
この態様によれば、透明基板から貫通孔に向けて入射する光を金属でより確実に透明基板の内部に反射することができる。
【0018】
〔4〕上記〔2〕または〔3〕記載の発光装置において、前記貫通孔は前記光放出領域に対応した長さを有する長孔形状に形成されていてもよい。
【0019】
この態様によれば、長孔形状によって、レフ板のように透明基板2の内部を伝搬する光を反射して光放出領域に光が集まるようにすることができる。
【0020】
〔5〕上記〔1〕記載の発光装置において、前記LED実装領域は、前記光放出領域で周囲を取り囲まれていてもよい。
【0021】
この態様によれば、光放出領域の中にLEDを実装することができるので、より多くの光を光放出領域から放出することができる。
【0022】
〔6〕上記〔1〕から〔5〕のいずれかに記載の発光装置において、前記光放出領域は、前記透明基板の端面から突出した基板領域として形成されていてもよい。
【0023】
この態様によれば、端面から突出した基板領域として光放出領域を形成することにより、発光装置において外部に向けて発光する部分を目立たせる形状とすることができる。
【0024】
〔7〕代表的な実施の形態に係る電気機器は、上記〔1〕から〔6〕のいずれかに記載の発光装置と、前記発光装置の前記透明基板に実装され、前記LEDチップと電気的に接続された表面実装電子部品と、前記透明基板の前記光放出領域を露出した状態で、前記表面実装電子部品を実装した前記発光装置を収容する筐体と、を備える。
【0025】
この態様によれば、簡易な構成でありながら基板に実装した状態で視認性の高いLED光源を備えた発光装置を備えた電気機器とすることができる。
【0026】
〔8〕代表的な実施の形態に係る発光装置用の基板は、LEDチップが実装されたときに当該LEDチップの発光部を挿入する挿入孔が設けられたLED実装領域を有する透明基板と、前記透明基板の表面に設けられたソルダレジスト層と、を備え、前記透明基板は、前記LED実装領域に隣接して、当該透明基板の表面に前記ソルダレジスト層が設けられていない光放出領域を有する。
【0027】
この態様によれば、簡易な構成でありながら基板に実装した状態で視認性の高いLED光源を備えた発光装置を作成する際に用いられる透明基板が得られる。
【0028】
2.実施の形態の具体例
以下、本発明の実施の形態の具体例について図を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0029】
図1は、本実施形態に係る発光装置の斜視図である。図2は、本実施形態に係る発光装置の正面から見た構成を示す図であり、図3は、本実施形態に係る発光装置の裏面から見た構成を示す図である。
【0030】
本実施形態の発光装置10は、図1から3に示すように、発光ダイオード(Light Emitting Diode、以下、単にLEDともいう)チップ1と、透明基板2と、透明基板2の表面に設けられたソルダレジスト層3とを備えて構成される。なお、図1の発光装置10には、透明基板2に表面実装電子部品(SMD:Surface Mount Device)25が実装されている。
【0031】
LEDチップ1は、支持基板12と発光部11を有し、発光部11が基板実装面と同じ面に光を拡散するように形成された発光ダイオード(LED)チップを用いることができる。LEDチップ1は、所定の電圧が印加されると発光部11から光を拡散する。LEDチップ1は、基板実装面において半田などの接合材料を用いて支持基板12を透明基板2に固定されることにより実装することができる。砲弾型LEDでは実装する際にはスペーサが必要であったが、LEDチップ1ではスペーサなどの別の部品を必要としない。したがって、砲弾型LEDに比べて実装のための部品点数やスペースを削減することができる。
【0032】
透明基板2は、ガラスエポキシ樹脂などの光透過性の部材で構成された平板状の基板である。透明基板2の表面には、光遮断性のソルダレジスト層3が設けられている。ソルダレジスト層3は、透明基板2の表面に設けられた回路パターンを保護する絶縁膜である。透明基板2は、光透過性の部材で構成されているので、内部で光が伝搬することができる。ソルダレジスト層3は光遮断性であるので、ソルダレジスト層3が透明基板2の表面に設けられている領域では、透明基板2の内部を伝搬する光は、透明基板2の表面から放出されないようにすることができる。
【0033】
透明基板2は、LED実装領域21と光放出領域22とを有している。LED実装領域21は、LEDチップ1が実装された領域であって、LEDチップ1が実装されたときに発光部11が挿入される挿入孔23が設けられている。LEDチップ1が実装されたときにLED実装領域21の挿入孔23に挿入された発光部11は、周囲を透明基板2に取り囲まれた状態となる。挿入孔23に挿入された発光部11から拡散された光は、周囲を取り囲む透明基板2の内部に入射し、透明基板2の内部を伝搬する。挿入孔23の形状は、LEDチップ1の発光部11の輪郭に沿った形状に形成されることが好ましい。透明基板2との界面に空気が介在しないことによって拡散した光が透明基板2に入射しやすくなる。
【0034】
光放出領域22は、透明基板2の表面にソルダレジスト層3が設けられていない領域であり、LED実装領域21に隣接している。本明細書において、LED実装領域21に隣接するとは、LED実装領域21に接して設けられる場合に限らず、本実施形態のようにLED実装領域21に接することなくLED実装領域21の近傍に設けられることも含む。本実施形態ではLED実装領域21と光放出領域22との間に、透明基板2の表面にソルダレジスト層3が設けられた領域が存在している。透明基板2の表面にソルダレジスト層3が設けられていない光放出領域22では、透明基板2を伝搬する光が透明基板2の表面から放出される。
【0035】
本実施形態では、光放出領域22は、透明基板2の端面から突出した基板領域として形成されている。端面から突出した基板領域として光放出領域22を形成することにより、発光装置10において外部に向けて発光する部分を目立たせる形状とすることができる。
【0036】
透明基板2には、さらに、LED実装領域21に対して光放出領域22とは反対側においてLED実装領域21に隣接して設けられた貫通孔24を有している。貫通孔24は、光放出領域22とは反対側においてLED実装領域21を取り囲む基板位置に形成されている。図示の例では、複数の丸孔として貫通孔24が形成されている。例えば、透明基板2を構成するガラスエポキシ樹脂の屈折率は1.55から1.61であり、貫通孔24内部の空洞に存在する空気の屈折率は1程度であるので、屈折率の高いガラスエポキシ樹脂から屈折率の低い空気に進む光は、2つの物質の界面で反射が起こる。貫通孔24は、透明基板2を構成するガラスエポキシ樹脂と貫通孔24内部の空洞に存在する空気との屈折率の違いに基づいて、貫通孔24の壁面において光を反射させて、発光部11から拡散された光が光放出領域22とは反対の側に伝搬していかないようにすることができる。
貫通孔24の内壁面は、さらに図示しない金属で覆われていてもよい。用いられる金属としては、例えば銅、アルミなどがあげられるが光反射率が高い金属であれば限定されない。内壁面が金属で覆われた貫通孔24は、内壁面の金属により、透明基板2内部から貫通孔24に入射する光を空洞の場合よりもより高い反射率で反射するように機能することができる。
【0037】
本実施形態の発光装置10において、LEDチップ1の発光部11から拡散された光の伝搬について説明する。
【0038】
図4は、LEDチップ1の発光部11が発光状態の時の光の拡散状態を示す平面図であり、図5図4のA-A断面図である。図4においては、位置関係が明確になるように、基板の反対側における構成を破線で示している。図5においては、図2に示される側が上、図3に示される側が下となるように配置されている。
【0039】
本実施形態の発光装置10において、LEDチップ1は、その発光部11が透明基板2の挿入孔23に挿入されているので、発光部11から拡散された光の大半が透明基板2の内部を通って拡散する。このとき、透明基板2内部から表面に向かって拡散する光もあるが、透明基板2の表面には光遮断性のソルダレジスト層3が設けられているので、透明基板2の表面からは光が拡散しない。しかしながら、光放出領域22においては、透明基板2の表面にはソルダレジスト層3が設けられていないので、表面から光が放出される。すなわち、LEDチップ1の発光部11から拡散された光が透明基板2の内部において光放出領域22まで伝搬し、光放出領域22の表面から拡散される。
【0040】
さらに、透明基板2には、LED実装領域21に対して光放出領域22とは反対側においてLED実装領域21に隣接して設けられた貫通孔24が設けられている。LED実装領域21に対して光放出領域22とは反対側の領域においては、貫通孔24によって、LEDチップ1の発光部11から拡散されて透明基板2を伝搬した光が反射される。貫通孔24で光が反射されるので、透明基板2内部を伝搬する光は、光放出領域22の反対側の領域では基板の平面方向に伝搬することができない。したがって、LEDチップ1の発光部11から拡散された透明基板2を伝搬した光のほとんどは光放出領域22において透明基板2の表面から外部に放出されることとなる。
【0041】
本実施形態の発光装置によれば、基板端面に設けられた光放出領域22から光が放出されるので、LEDチップを実装した状態で筐体などでLEDチップを覆っても光の放出に影響しない。一方で、発光部11から拡散した光は透明基板2内部に閉じ込められたまま光放出領域22まで伝搬した光は、LEDチップとは離れた光放出領域22から放出されるので、基板に実装した状態でも視認性の高いLED光源となる。
【0042】
次に、本実施形態の発光装置を搭載した電気機器について説明する。
【0043】
図6は本実施形態の発光装置を搭載した電気機器の一例を示す外観図である。図7図6の一部分における斜視図である。図8図7の筐体を透過させて表示した図である。
【0044】
図6には、電圧測定器30と、保護アダプタ40と、接続端子50とが示されている。電圧測定器30は保護アダプタ40を介して接続端子50が接続されており、保護アダプタ40を介して入力される電圧が所定値以上となった場合に、LEDチップ1に所定の電圧が印加されてLEDチップ1の発光部11が発光する。
【0045】
図8に示すように、LEDチップ1を含む表面実装電子部品25を実装した発光装置10は、透明基板2の光放出領域22を露出した状態で筐体41に収容されている。光放出領域22以外が保護アダプタ40の筐体41によって覆われている状態にもかかわらず、筐体41から露出した光放出領域22から光が放出される。したがって、保護アダプタ40の筐体41内において、保護アダプタ40を介して入力される電圧が所定値以上となったという状態変化が起きたことを筐体の外部に露出された光放出領域22から光を放出することによりを知らせることができる。
【0046】
本実施形態の発光装置を搭載した電気機器では、光放出領域22は透明基板2の一部として構成することができる。したがって、砲弾型LEDのように、基板に対して取り付けられた構成ではないので、筐体外部に露出される光放出部に力が負荷されても、破壊されにくい。
【0047】
図1から図5により説明した本実施形態の発光装置を搭載した電子機器の作成工程について説明する。
【0048】
まず、表面にソルダレジスト層3を設けた透明基板2を用意する。透明基板2は、LEDチップ1が実装されたときにLEDチップ1の発光部11を挿入する挿入孔23が設けられたLED実装領域21を有するものを用いることができる。透明基板2の表面には、ソルダレジスト層3の他に、必要な回路パターンが形成されていてもよい。本実施形態においては、ソルダレジスト層3は、光放出領域22には形成されていないものを用いることができる。
【0049】
用意した透明基板2の表面にLEDチップ1を含む表面実装電子部品25を実装することにより、本実施形態の発光装置10が得られる。
【0050】
さらに、得られた発光装置10を電気機器の筐体41内に組み込み、製品を組み立てることにより、電気機器が完成する。
【0051】
このように、本実施形態の発光装置10は、他の表面実装電子部品25を実装する工程と同じ工程で実装することができる。LEDチップ1を含む表面実装部品の実装は、自動機で実行することが可能であるので、砲弾型LEDの実装と比較して人手がかからず、工数を削減できる。
【0052】
このように本実施形態によれば、簡易な構成でありながら基板に実装した状態で視認性の高いLED光源を備えた発光装置を作成することができる。
【0053】
(実施形態の変形例)
以上の実施形態の発光装置について具体的な例を挙げて説明したが、これに限定されず、様々な変形形態を採用することができる。例えば、貫通孔24は複数の丸孔により形成したが、孔の形状や数は限定されず、例えば1つの長孔形状に形成されていてもよい。具体的には、貫通孔24を光放出領域22に対応した長さを有する長孔形状に形成すれば、長孔形状によって、レフ板のように透明基板2の内部を伝搬する光を反射して光放出領域に光が集まるようにすることができる。
【0054】
以上の実施形態では、光放出領域22は、透明基板2の基板端面から突出した基板領域として形成されていたが、これに限定されない。透明基板2の基板端面において、ソルダレジスト層3を設けない領域を設けて、光放出領域22としてもよい。
【0055】
以上の実施形態では、LED実装領域21は、基板端面側の一部が光放出領域22に隣接している場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。LED実装領域21は、全体が光放出領域22に隣接しているように形成することができる。この場合、LED実装領域21は、光放出領域22の中に形成することができる。すなわち、LED実装領域21は、光放出領域22で周囲を取り囲まれているように形成することができる。光放出領域の中にLEDを実装することができるので、より多くの光を光放出領域から放出することができる。
【0056】
以上の実施形態では、発光装置を搭載した電気機器の例として、保護アダプタ40を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、電圧測定器30が保護アダプタ40を内蔵した電圧測定器として構成されてもよい。また、以上の実施形態では、保護アダプタ40が電圧測定器30に取り付けられた例を挙げて説明しているが、電圧測定器に限らず、抵抗測定器のように電圧測定機能を備えた別の測定器に取り付けられていたり、内蔵されていてもよい。さらに電気機器の機能も保護アダプタ40の機能に限定されない。
【符号の説明】
【0057】
1 LEDチップ、2 透明基板、3 ソルダレジスト層、10 発光装置、11 発光部、12 支持基板、21 LED実装領域、22 光放出領域、23 挿入孔、24 貫通孔、25 表面実装電子部品、30 電圧測定器、40 保護アダプタ、41 筐体、42 端子挿入部、50 接続端子、60 砲弾型LED、61 発光部、62 スペーサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10