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特開2022-168790車両制御装置、車両制御方法、車両制御プログラム、車両制御システム、及び通信端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168790
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法、車両制御プログラム、車両制御システム、及び通信端末
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/76 20150101AFI20221031BHJP
   E05F 15/77 20150101ALI20221031BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20221031BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20221031BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20221031BHJP
【FI】
E05F15/76
E05F15/77
E05B49/00 J
B60J5/00 G
B60J5/00 H
B60J5/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074505
(22)【出願日】2021-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉田 善哉
(72)【発明者】
【氏名】徳永 秀太郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 竜介
【テーマコード(参考)】
2E052
2E250
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052BA01
2E052BA07
2E052CA06
2E052EA09
2E052EB01
2E052EC01
2E052GA07
2E052GB02
2E052LA02
2E250AA21
2E250BB08
2E250DD06
2E250FF23
2E250FF27
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ03
(57)【要約】
【課題】車両用ドアを駆動させるためのドアスイッチが操作された際にユーザが保持する通信端末が車載システムと通信可能ではない領域に存在する場合であっても、車両用ドアが駆動しないという状態の発生を抑制する。
【解決手段】車両制御装置の一例であるECU18が、車両用ドアの一例であるバックドア11Aのドアスイッチ20が操作された場合に、ECU18と通信可能な通信端末の一例である電子キー16が、車両の車室外の所定領域である車室外領域内に存在するか否かを複数回判定する。そして、ECU18が、判定結果に基づいて、電子キー16が車室外領域に存在すると少なくとも1回以上判定された場合、ドアスイッチ20の操作に応じてバックドア11Aを駆動させるように制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ドアの駆動を制御する車両制御装置であって、
前記車両用ドアのドアスイッチが操作された場合に、車両制御装置と通信可能な通信端末が、車両の車室外の所定領域である車室外領域内に存在するか否かを複数回判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、前記通信端末が前記車室外領域に存在すると少なくとも1回以上判定された場合、前記ドアスイッチの操作に応じて前記車両用ドアを駆動させるように制御する制御部と、
を備える車両制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記判定部による判定結果に基づいて、前記通信端末が前記車室外領域に存在しないと少なくとも2回以上判定された場合、前記車両用ドアを駆動させないように制御する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記ドアスイッチが操作された場合に、所定の時間区間内において前記通信端末へ要求信号を複数回出力し、
前記通信端末から出力された前記要求信号に応答する応答信号を少なくとも1回以上受信した場合に、前記通信端末は前記車室外領域に存在すると判定する、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記ドアスイッチが操作された場合に、所定の時間区間内において前記通信端末へ要求信号を複数回出力し、
前記通信端末から出力された前記要求信号に応答する応答信号を少なくとも2回以上受信しなかった場合に、前記通信端末は前記車室外領域に存在しないと判定する、
請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記通信端末は、ユーザが所持している電子キーである、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の車両制御装置。
【請求項6】
車両用ドアの駆動を制御する車両制御装置が実行する車両制御方法であって、
前記車両用ドアのドアスイッチが操作された場合に、車両制御装置と通信可能な通信端末が、車両の車室外の所定領域である車室外領域内に存在するか否かを複数回判定し、
判定結果に基づいて、前記通信端末が前記車室外領域に存在すると少なくとも1回以上判定された場合、前記ドアスイッチの操作に応じて前記車両用ドアを駆動させるように制御する、
処理を車両制御装置が実行する車両制御方法。
【請求項7】
車両用ドアの駆動を制御する車両制御装置を構成するコンピュータに実行させるための車両制御プログラムであって、
前記車両用ドアのドアスイッチが操作された場合に、車両制御装置と通信可能な通信端末が、車両の車室外の所定領域である車室外領域内に存在するか否かを複数回判定し、
判定結果に基づいて、所定の時間区間内において前記通信端末が前記車室外領域に存在すると少なくとも1回以上判定された場合、前記ドアスイッチの操作に応じて前記車両用ドアを駆動させるように制御する、
処理をコンピュータに実行させるための車両制御プログラム。
【請求項8】
請求項1~請求項5の何れか1項に記載の前記車両制御装置と前記通信端末とを含む車両制御システム。
【請求項9】
前記車両制御装置が、前記車両用ドアのドアスイッチが操作された場合に、所定の時間区間内において前記通信端末へ要求信号を複数回出力し、
前記通信端末が、前記車両制御装置から出力された前記要求信号を受信した場合に、前記要求信号に応答する応答信号を前記車両制御装置へ出力し、
前記車両制御装置が、前記通信端末から出力された前記応答信号を受信した場合に、前記ドアスイッチの操作に応じて前記車両用ドアを駆動させるように制御する、
請求項7に記載の車両制御システム。
【請求項10】
車両用ドアの駆動を制御する車両制御装置と、前記車両制御装置と通信可能な通信端末とを含む車両制御システムにおける通信端末であって、
前記車両制御装置が、前記車両用ドアのドアスイッチが操作された場合に、所定の時間区間内において前記通信端末へ要求信号を複数回出力し、
前記通信端末が、前記車両制御装置から出力された前記要求信号を受信した場合に、前記要求信号に応答する応答信号を前記車両制御装置へ出力し、
前記車両制御装置が、前記通信端末から出力された前記応答信号を受信した場合に、前記ドアスイッチの操作に応じて前記車両用ドアを駆動させるように制御する、
通信端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制御装置、車両制御方法、車両制御プログラム、車両制御システム、及び通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のドアの閉作動予約の利便性を向上させる車両用開閉体制御装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示されているドア制御装置は、車両に設けられたスライドドアの閉作動予約を受け付ける。また、このドア制御装置は、スライドドアの周辺を含んで設定された判定エリア内に車両の乗員が位置するか否かを判定し、閉作動予約の受付後、乗員が判定エリア外に移動した場合に、スライドドアの閉作動制御及びドアロック制御を実行する。更に、このドア制御装置は、閉作動予約を受け付けた後の経過時間を計測する。そして、このドア制御装置は、その経過時間が所定時間を超えた場合に、ドアロック制御を実行することなく、そのスライドドアの閉作動制御を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-184728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示のドア制御装置は、スライドドアの周辺を含んで設定された判定エリア内に車両の乗員が位置するか否かを判定し、スライドドアの閉作動予約を受け付ける。なお、特許文献1に開示のドア制御装置は、車両の乗員が所持する携帯機と無線通信による照合判定を行うことにより、判定エリア内に車両の乗員が位置するか否かを判定する。
【0006】
しかし、特許文献1のドア制御装置は、そもそも車両の乗員が判定エリア内に位置していない場合には、スライドドアの閉作動予約を受け付けることができない(例えば、特許文献1の図1を参照)。そのため、上記特許文献1に開示の技術では、車両用ドアを駆動させるためのドアスイッチが操作された際、乗員であるユーザが保持している通信端末が車載システムと通信可能ではない領域にある場合には、車両用ドアを駆動させることができない、という課題がある。
【0007】
本開示は、以上の事実を考慮して成されたもので、車両用ドアを駆動させるためのドアスイッチが操作された際に、ユーザが保持する通信端末が車載システムと通信可能ではない領域に存在する場合であっても、車両用ドアが駆動しないという状態の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本開示の第1態様は、車両用ドアの駆動を制御する車両制御装置であって、前記車両用ドアのドアスイッチが操作された場合に、車両制御装置と通信可能な通信端末が、前記車両の車室外の所定領域である車室外領域内に存在するか否かを複数回判定する判定部と、前記判定部による判定結果に基づいて、前記通信端末が前記車室外領域に存在すると少なくとも1回以上判定された場合、前記ドアスイッチの操作に応じて前記車両用ドアを駆動させるように制御する制御部と、を備える車両制御装置である。
【0009】
本開示の第1態様の車両制御装置の判定部は、車両用ドアのドアスイッチが操作された場合に、車両制御装置と通信可能な通信端末が、車両の車室外の所定領域である車室外領域内に存在するか否かを複数回判定する。そして、車両制御装置の判定部は、判定部による判定結果に基づいて、通信端末が車室外領域に存在すると少なくとも1回以上判定された場合、ドアスイッチの操作に応じて車両用ドアを駆動させるように制御する。これにより、車両用ドアを駆動させるためのドアスイッチが操作された際に、ユーザが保持する通信端末が車載システムと通信可能ではない領域に存在する場合であっても、車両用ドアが駆動しないという状態の発生を抑制することができる。
【0010】
本開示の第2態様の車両制御装置の前記制御部は、前記判定部による判定結果に基づいて、前記通信端末が前記車室外領域に存在しないと少なくとも2回以上判定された場合、前記車両用ドアを駆動させないように制御する。本開示の第2態様によれば、通信端末が車室外領域に存在しないと少なくとも2回以上判定された場合、車両用ドアを駆動させないように制御することにより、車両用ドアの誤動作を抑制することができる。
【0011】
本開示の第3態様の車両制御装置の前記判定部は、前記ドアスイッチが操作された場合に、所定の時間区間内において前記通信端末へ要求信号を複数回出力し、前記通信端末から出力された前記要求信号に応答する応答信号を少なくとも1回以上受信した場合に、前記通信端末は前記車室外領域に存在すると判定する。本開示の第3態様によれば、複数回出力された要求信号のうち少なくとも1以上の要求信号に対する応答信号を受信したことに応じて、車両用ドアを駆動させることができる。
【0012】
本開示の第4態様の車両制御装置の前記判定部は、前記ドアスイッチが操作された場合に、所定の時間区間内において前記通信端末へ要求信号を複数回出力し、前記通信端末から出力された前記要求信号に応答する応答信号を少なくとも2回以上受信しなかった場合に、前記通信端末は前記車室外領域に存在しないと判定する。本開示の第4態様によれば、複数回出力された要求信号のうち少なくとも2以上の要求信号に対する応答信号が受信されなかった場合に車両用ドアを駆動させないように制御することにより、車両用ドアの誤動作を抑制することができる。
【0013】
本開示の第5態様の車両制御装置の前記通信端末は、ユーザが所持している電子キーである。本開示の第5態様によれば、ユーザが所持している電子キーが車室外領域に存在する場合であっても、車両用ドアが駆動しないという状態の発生を抑制することができる。
【0014】
本開示の第6態様は、車両用ドアの駆動を制御する車両制御装置が実行する車両制御方法であって、前記車両用ドアのドアスイッチが操作された場合に、車両制御装置と通信可能な通信端末が、前記車両の車室外の所定領域である車室外領域内に存在するか否かを複数回判定し、判定結果に基づいて、前記通信端末が前記車室外領域に存在すると少なくとも1回以上判定された場合、前記ドアスイッチの操作に応じて前記車両用ドアを駆動させるように制御する、処理を車両制御装置が実行する車両制御方法である。本開示の第6態様によれば、第1態様と同様に、車両用ドアを駆動させるためのドアスイッチが操作された際に、ユーザが保持する通信端末が車載システムと通信可能ではない領域に存在する場合であっても、車両用ドアが駆動しないという状態の発生を抑制することができる。
【0015】
本開示の第7態様は、車両用ドアの駆動を制御する車両制御装置を構成するコンピュータに実行させるための車両制御プログラムであって、前記車両用ドアのドアスイッチが操作された場合に、車両制御装置と通信可能な通信端末が、前記車両の車室外の所定領域である車室外領域内に存在するか否かを複数回判定し、判定結果に基づいて、所定の時間区間内において前記通信端末が前記車室外領域に存在すると少なくとも1回以上判定された場合、前記ドアスイッチの操作に応じて前記車両用ドアを駆動させるように制御する、処理をコンピュータに実行させるための車両制御プログラムである。本開示の第7態様によれば、第1態様と同様に、車両用ドアを駆動させるためのドアスイッチが操作された際に、ユーザが保持する通信端末が車載システムと通信可能ではない領域に存在する場合であっても、車両用ドアが駆動しないという状態の発生を抑制することができる。
【0016】
本開示の第8態様は、第1~第5態様の何れか1つに記載の前記車両制御装置と前記通信端末とを含む車両制御システムである。本開示の第8態様によれば、第1態様と同様に、車両用ドアを駆動させるためのドアスイッチが操作された際に、ユーザが保持する通信端末が車載システムと通信可能ではない領域に存在する場合であっても、車両用ドアが駆動しないという状態の発生を抑制することができる。
【0017】
本開示の第9態様は、前記車両制御装置が、前記車両用ドアのドアスイッチが操作された場合に、所定の時間区間内において前記通信端末へ要求信号を複数回出力し、前記通信端末が、前記車両制御装置から出力された前記要求信号を受信した場合に、前記要求信号に応答する応答信号を前記車両制御装置へ出力し、前記車両制御装置が、前記通信端末から出力された前記応答信号を受信した場合に、前記ドアスイッチの操作に応じて前記車両用ドアを駆動させるように制御する、車両制御システムである。本開示の第9態様によれば、第1態様と同様に、車両用ドアを駆動させるためのドアスイッチが操作された際に、ユーザが保持する通信端末が車載システムと通信可能ではない領域に存在する場合であっても、車両用ドアが駆動しないという状態の発生を抑制することができる。
【0018】
本開示の第10態様は、車両用ドアの駆動を制御する車両制御装置と、前記車両制御装置と通信可能な通信端末とを含む車両制御システムにおける通信端末であって、前記車両制御装置が、前記車両用ドアのドアスイッチが操作された場合に、所定の時間区間内において前記通信端末へ要求信号を複数回出力し、前記通信端末が、前記車両制御装置から出力された前記要求信号を受信した場合に、前記要求信号に応答する応答信号を前記車両制御装置へ出力し、前記車両制御装置が、前記通信端末から出力された前記応答信号を受信した場合に、前記ドアスイッチの操作に応じて前記車両用ドアを駆動させるように制御する、通信端末である。本開示の第10態様によれば、第1態様と同様に、車両用ドアを駆動させるためのドアスイッチが操作された際に、ユーザが保持する通信端末が車載システムと通信可能ではない領域に存在する場合であっても、車両用ドアが駆動しないという状態の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、車両用ドアを駆動させるためのドアスイッチが操作された際にユーザが保持する通信端末が車載システムと通信可能ではない領域に存在する場合であっても、車両用ドアが駆動しないという状態の発生を抑制することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る車両制御システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る車両制御システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図3】実施形態に係るECUの機能構成の一例を示すブロック図である。
図4】実施形態を説明するための図である。
図5】実施形態を説明するための図である。
図6】実施形態に係るECUで行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】実施形態に係るECUで行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態を詳細に説明する。
【0022】
図1に示されるように、本実施形態の車両制御システム12は、車載システム14と、ユーザが保持する通信端末の一例である電子キー16とを含んで構成されている。車載システム14は、車両10に搭載される。また、車両10は、車両後部のバックドア11Aとリアバンパ11Bとを有している。
【0023】
車載システム14は、車両制御装置の一例であるECU(Electronic Control Unit)18と、ドアスイッチ20と、アンテナ22とを含んで構成されている。ECU18は、例えば、車両10の最後部のピラーに設けられている。ECU18の構成については後述する。
【0024】
ドアスイッチ20は、バックドア11Aに設置されており、バックドア11Aを閉駆動させる際にユーザにより押下される。
【0025】
アンテナ22は、ECU18から出力された信号を電子キー16へ送信する。また、アンテナ22は、電子キー16から送信された信号をECU18へ出力する。アンテナ22は、例えば、リアバンパ11B内部に設置されている。
【0026】
なお、車載システム14は、電動駆動装置(図示省略)及びドアロック装置(図示省略)をさらに備えている。電動駆動装置(図示省略)は、バックドア11Aを閉駆動又は開駆動させる。ドアロック装置は、バックドア11Aの施錠を行う。
【0027】
図2に示されるように、ECU18は、CPU(Central Processing Unit)18A、ROM(Read Only Memory)18B、RAM(Random Access Memory)18C、及び入出力I/F(Inter Face)18Dを含んで構成されている。CPU18A、ROM18B、RAM18C及び入出力I/F18Dは、図示しない内部バスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0028】
CPU18Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU18Aは、ROM18Bからプログラムを読み出し、RAM18Cを作業領域としてプログラムを実行する。
【0029】
ROM18Bは、各種プログラム及び各種データを記憶している。本実施形態のROM18Bには、車両制御プログラム18B-1が記憶されている。車両制御プログラム18B-1は、ECU18を制御するためのプログラムである。また、ROM18Bには、電子キー16の認証処理を実行するためのID情報18B-2が記憶されている。
【0030】
RAM18Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。入出力I/F18Dは、ドアスイッチ20、アンテナ22、電動駆動装置(図示省略)、及びドアロック装置(図示省略)のそれぞれと通信するためのインタフェースである。
【0031】
なお、ECU18は、ROM18Bに加えて又はROM18Bに代えて記憶部としてのストレージを含んでいてもよい。このストレージは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成される。
【0032】
図3に示されるように、本実施形態のECU18では、CPU18Aが、車両制御プログラムを実行することで、判定部180及び制御部182として機能する。
【0033】
電子キー16は、車両10のユーザが携帯可能な電子デバイスである。電子キー16は、マイコン(図示省略)と、通信部(図示省略)と、を含む。マイコン(図示省略)は、少なくとも不揮発性のメモリ(図示省略)を含んで構成されている。メモリ(図示省略)には、電子キー16に固有の情報であるID情報が記憶されている。電子キー16は、ECU18から出力された要求信号を受信すると、その要求信号に応答する応答信号をECU18へ出力する。
【0034】
図4に、本実施形態を説明するための図を示す。図4に示されるように、ユーザUは、バックドア11Aが開いている状態からバックドア11Aを閉めようとするときに、ドアスイッチ20を押下する。ドアスイッチ20が押下されると、その操作に応じた操作信号がECU18へ出力される。
【0035】
ECU18は、操作信号を受け付けると、アンテナ22を介して、ユーザが所持している電子キー16に対して要求信号を出力する。電子キー16は要求信号を受信すると、要求信号に応答する応答信号をECU18に対して出力する。応答信号には電子キー16のID情報等が含まれている。ECU18は、アンテナ22を介して、電子キー16から送信された応答信号を受信する。ECU18は、応答信号に含まれているID情報とROM18Bに格納されているID情報18B-2とを照合し、電子キー16が車両10の車室外の所定領域である車室外領域11C内に存在するか否かを判定する。車室外領域11Cは、アンテナ22から出力される要求信号が到達する範囲内の領域である。
【0036】
そして、ECU18は、判定結果に基づいて電子キー16が車室外領域11Cに存在すると判定された場合、ドアスイッチ20の操作に応じてバックドア11Aを閉駆動させる。具体的には、ECU18は、バックドア11Aを閉駆動又は開駆動させるための電動駆動装置(図示省略)に対して、バックドア11Aの閉駆動を示す制御信号を出力する。電動駆動装置(図示省略)は、ECU18から出力された制御信号に応じて、バックドア11Aを閉駆動させる。
【0037】
この場合、図4に示されるように、ユーザUが所持している電子キー16が車室外領域11Cに位置している場合には、電子キー16はアンテナ22から出力された要求信号を受信することができる。一方、図5に示されるように、ユーザUが所持している電子キー16が車室外領域11Cに位置していない場合には、電子キー16はアンテナ22から出力された要求信号を受信することができない。図5に示される例では、ユーザUは、ドアスイッチ20を押下する手で電子キー16を保持している。このような場合、電子キー16は車室外領域11Cに位置していないことにより、電子キー16はアンテナ22から出力された要求信号を受信することができない。その他、何らかの事情によって電子キー16がアンテナ22から出力された要求信号を受信することができない場合もある。このような場合、電子キー16からは応答信号が出力されずECU18は応答信号を受信しない。そのため、ECU18から電動駆動装置(図示省略)へ制御信号が出力されないため、ユーザUがドアスイッチ20を押下したにもかかわらず、バックドア11Aが閉駆動しない状態となる。
【0038】
そこで、本実施形態の車両制御システム12のECU18は、ドアスイッチ20が操作された場合に、電子キー16が車室外領域11C内に存在するか否かを複数回判定する。具体的には、ECU18は、ドアスイッチ20が操作された場合に、所定の時間区間内において電子キー16へ要求信号を複数回出力する。ECU18は、所定の時間区間内において、所定の時間が経過する毎に要求信号を出力することにより、電子キー16へ要求信号を複数回出力する。そして、ECU18は、要求信号に応答する応答信号を少なくとも1回以上受信した場合に、電子キー16が車室外領域11Cに存在すると判定し、その判定結果に応じてバックドア11Aを閉駆動させる。
【0039】
図5に示される例では、ユーザUがドアスイッチ20を押下した瞬間には、ユーザUが所持する電子キー16は車室外領域11Cには存在していない。しかし、ユーザUがドアスイッチ20を押下した後は、ユーザUは電子キー16を持った手を下すことが予想される。または、ユーザUがドアスイッチ20を押下した後は、自身の体を動かすことなどが予想され、電子キー16を持った手も動かすことが予想される。
【0040】
このような場合には、ドアスイッチ20が操作された後に電子キー16は車室外領域11Cに存在することになる可能性が高い。このため、ECU18は、ドアスイッチ20が操作された後、所定の時間区間内において電子キー16へ複数回の要求信号を出力する。
【0041】
これにより、電子キー16は、複数回の要求信号のうちの少なくとも1つ以上の要求信号を受信する可能性が高くなる。そのため、電子キー16は、要求信号に応答する応答信号をECU18へ出力する可能性が高まり、結果としてバックドア11Aが閉駆動する可能性も高くなる。これにより、ドアスイッチ20が操作されたときに、ユーザUが保持する電子キー16がECU18と通信可能ではない領域に存在する場合であっても、バックドア11Aが駆動しないという状態の発生が抑制される。
【0042】
判定部180は、バックドア11Aのドアスイッチ20が操作された場合に、電子キー16が車室外領域11C内に存在するか否かを複数回判定する。具体的には、判定部180は、ドアスイッチ20が操作された場合に、所定の時間区間内において電子キー16へ要求信号を複数回出力する。例えば、判定部180は、所定の時間区間内において所定の時間が経過する毎に要求信号を出力することにより、電子キー16へ要求信号を複数回出力する。判定部180は、電子キー16から出力された応答信号を少なくとも1回以上受信した場合に、電子キー16が車室外領域11Cに存在すると判定する。
【0043】
制御部182は、判定部180による判定結果に基づいて、所定の時間区間内において電子キー16が車室外領域11Cに存在すると少なくとも1回以上判定された場合、ドアスイッチ20の操作に応じてバックドア11Aを駆動させるように制御する。
【0044】
(制御の流れ)
本実施形態のECU18において実行される処理の流れについて、図6のフローチャートを用いて説明する。ECU18における処理は、CPU18Aが、上述した判定部180及び制御部182として機能することにより実現される。
【0045】
まず、ユーザがドアスイッチ20を押下することにより、ドアスイッチ20から操作信号が出力される。そして、ECU18のCPU18Aは、ドアスイッチ20から出力された操作信号を受け付けると、図6のフローチャートを実行する。
【0046】
ステップS100において、CPU18Aは、電子キー16へ向けて要求信号を出力する。
【0047】
ステップS102において、CPU18Aは、電子キー16から応答信号を受け付けたか否かを判定することにより、電子キー16が車室外領域11C内に存在するか否かを判定する。応答信号を受け付けていない場合には、ステップS104へ進む。一方、応答信号を受け付けた場合には、ステップS106へ進む。
【0048】
ステップS104において、CPU18Aは、電子キー16へ向けて要求信号を所定回数出力したか否かを判定する。例えば、CPU18Aは、電子キー16へ向けて要求信号を5回出力したか否かを判定する。電子キー16へ向けて要求信号を既に5回出力している場合には、処理を終了する。電子キー16へ向けて要求信号を出力した回数が5回未満である場合には、ステップS100へ戻り、要求信号の出力を繰り返す。
【0049】
CPU18Aは、ステップS102及びステップS104の処理を実行することにより、電子キー16が車室外領域11C内に存在するか否かを複数回判定する。
【0050】
ステップS106において、CPU18Aは、ドアスイッチ20の操作信号に応じてバックドア11Aを閉駆動させるように制御する。具体的には、CPU18Aは、バックドア11Aの電動制御装置(図示省略)に対して制御信号を出力することにより、バックドア11Aを閉駆動させる。
【0051】
CPU18Aは、ステップS106の処理を実行することにより、電子キー16が車室外領域11C内に存在するか否かを複数回の判定結果に基づいて、電子キー16が車室外領域11Cに存在すると少なくとも1回以上判定された場合は、ドアスイッチ20の操作に応じてバックドア11Aを駆動させるように制御する。
【0052】
なお、バックドア11Aが閉まった状態となった後には、ドアロック装置(図示省略)によってバックドア11Aに対して施錠がされる。
【0053】
以上説明したように、実施形態に係る車両制御システムのうちのECUは、車両用ドアのドアスイッチが操作された場合に、ECUと通信可能な電子キーが、車両の車室外の所定領域である車室外領域内に存在するか否かを複数回判定する。そして、ECUは、判定結果に基づいて、電子キーが車室外領域に存在すると少なくとも1回以上判定された場合、ドアスイッチの操作に応じて車両用ドアを駆動させるように制御する。これにより、車両用ドアを駆動させるためのドアスイッチが操作された際に、ユーザが保持する通信端末が車載システムと通信可能ではない領域に存在する場合であっても、車両用ドアが駆動しないという状態の発生を抑制することができる。
【0054】
また、ユーザがドアスイッチを操作した際に車載システムと電子キーとが通信可能でない場合であっても、その後、車載システムと電子キーとの間において通信が可能となった場合に、車両用ドアを駆動させることができる。
【0055】
また、上記実施形態では、駆動対象の車両用ドアが車両後部のバックドア11Aである場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、車両側部の車両用ドア等の車両後部以外の車両用ドアを駆動対象とする形態としてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、ユーザによってドアスイッチ20が操作され、バックドア11Aを閉駆動させる場面において電子キー16が車室外領域11C内に存在するか否かを複数回判定する場合を例に説明したがこれに限定されるものではない。例えば、ドアスイッチ20の操作に基づく車両用ドアの閉駆動予約の受付後、ユーザが所持する電子キー16が車室外領域11Cに存在するか否かを判定し、電子キー16が車室外領域11Cの外へ移動した場合に、車両用ドアの閉駆動制御及びドアロック制御を実行する場面に本実施形態を適用してもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、ユーザが所持する通信端末が電子キー16である場合を例に説明したがこれに限定されるものではない。例えば、ユーザが所持するスマートフォン等の記憶部にデジタルキーが格納されており、そのデジタルキーのID情報とECU18のROM18Bに格納されているID情報18B-2とを照合し、その照合結果に応じて車両用ドアを駆動させるようにしてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、電子キー16が車室外領域11Cに存在すると少なくとも1回以上判定された場合、ドアスイッチ20の操作に応じてバックドア11Aを駆動させるように制御する場合を例に説明したがこれに限定されるものではない。例えば、電子キー16が車室外領域11Cに存在しないと少なくとも2回以上判定された場合に、バックドア11A等の車両用ドアを駆動させないように制御するようにしてもよい。この場合には、ECU18は、ドアスイッチ20が操作された場合に、所定の時間区間内において電子キー16へ要求信号を複数回出力し、電子キー16から出力される応答信号を少なくとも2回以上受信しなかった場合に、電子キー16は車室外領域11Cに存在しないと判定する。
【0059】
また、上記実施形態では、ECU18が図6のフローチャートを実行する場合を例に説明したがこれに限定されるものではない。例えば、ECU18は図7に示されるようなフローチャートを実行してもよい。図7に示されるフローチャートでは、ECU18は、1回目の要求信号の出力に対する応答信号が受信されなかった場合に、要求信号を電子キー16へ複数回出力する。そして、ECU18は、電子キー16が車室外領域11C内に存在するか否かを複数回判定する。
【0060】
具体的には、図7のステップS102において、CPU18Aが電子キー16からの応答信号を受け付けていない場合に、ステップS204へ進む。
【0061】
そして、ステップS204において、CPU18Aは、所定の時間区間内において電子キー16へ要求信号を複数回出力する。例えば、CPU18Aは、電子キー16へ要求信号を5回出力する。
【0062】
ステップS205において、CPU18Aは、少なくとも1以上の応答信号を電子キー16から受け付けたか否かを判定する。少なくとも1以上の応答信号を受け付けた場合には、ステップS106へ移行し、バックドア11Aを駆動させるように制御する。一方、応答信号を受け付けなかった場合には処理を終了する。なお、図7のステップS100~ステップS102及びステップS106の処理は、図6と同様に実行される。
【0063】
また、上記各実施の形態におけるECU18で行われる処理は、プログラムを実行することにより行われるソフトウェア処理として説明したが、ハードウェアで行われる処理としてもよい。また、ECU18で行われる処理は、ソフトウェア及びハードウェアの双方を組み合わせて行われる処理としてもよい。また、ROMに記憶されるプログラムは、各種記憶媒体に記憶して流通させてもよい。
【0064】
また、上記各実施の形態では、ECU18を各々マイクロコンピュータで構成する例を説明したが、これに限定されない。各ECUの機能を1つのマイクロコンピュータで実現してもよく、何れかの機能を他のECUに含ませてもよい。
【0065】
さらに、本発明は、上記の形態例に限定されるものではなく、上記の形態例以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
10 車両
11A バックドア
11B リアバンパ
11C 車室外領域
12 車両制御システム
14 車載システム
16 電子キー
18B-1 車両制御プログラム
20 ドアスイッチ
22 アンテナ
180 判定部
182 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7