(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168832
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】アンテナ設置支援システム、アンテナ設置支援方法、アンテナ設置支援装置、サーバ
(51)【国際特許分類】
H04N 17/04 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
H04N17/04 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048409
(22)【出願日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2021074234
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000113665
【氏名又は名称】マスプロ電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 斉
(72)【発明者】
【氏名】足立 憲治
(72)【発明者】
【氏名】大野 まい
【テーマコード(参考)】
5C061
【Fターム(参考)】
5C061CC05
(57)【要約】
【課題】受信アンテナの設置作業における手間を軽減する技術を提供する。
【解決手段】位置取得部(S22)は、方向調整作業の対象となるアンテナの設置位置を表す情報を取得する。候補抽出部(S24~S31)は、位置取得部にて取得された取得位置情報および放送局情報記憶部に記憶された放送局情報に基づき、アンテナに受信させる放送波の送信元となる放送局の候補である候補局を抽出する。結果出力部(S32)は、候補抽出部での抽出結果を出力する。放送局情報は、放送局の位置を示す放送局位置情報および放送局が放送の提供に用いるチャンネルを示す送信チャンネル情報を少なくとも含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方向調整作業の対象となるアンテナの設置位置を表す地理空間情報を取得するように構成された位置取得部と、
前記アンテナで受信する放送波の送信元となる複数の放送局について、前記放送局の位置を示す放送局位置情報および前記放送局が放送の提供に用いるチャンネルを示す送信チャンネル情報を少なくとも含む放送局情報を記憶するように構成された放送局情報記憶部と、
前記位置取得部にて取得された前記地理空間情報である取得位置情報および前記放送局情報記憶部に記憶された前記放送局情報に基づき、前記アンテナで受信する放送波の送信元となる前記放送局の候補である候補局を抽出するように構成された候補抽出部と、
前記候補抽出部での抽出結果を出力するように構成された結果出力部と、
を備えるアンテナ設置支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナ設置支援システムであって、
前記結果出力部は、前記候補抽出部で抽出された前記候補局のうち、最も推奨される候補局を識別表示するように構成された
アンテナ設置支援システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のアンテナ設置支援システムであって、
前記候補抽出部は、前記取得位置情報が示す位置に近い順、又は前記放送局の送信電力が高い順に前記放送局を前記候補局として抽出する
アンテナ設置支援システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のアンテナ設置支援システムであって、
前記候補抽出部は、前記取得位置情報が示す位置を含んで設定される検索範囲内に位置する複数の前記放送局である抽出局の中から前記候補局を抽出するように構成された
アンテナ設置支援システム。
【請求項5】
請求項4に記載のアンテナ設置支援システムであって、
前記放送局情報には、前記放送局が属する地域区分を示す地域区分情報と、前記放送局が、前記地域区分毎に一つ以上設けられる親局、および前記親局からの放送波を中継する中継局のいずれであるかを示す放送局規模情報とが更に含まれ、
前記候補抽出部は、前記抽出局に加えて、前記抽出局と同一の前記地域区分に属する前記親局の中から前記候補局を抽出するように構成された、
アンテナ設置支援システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のアンテナ設置支援システムであって、
前記方向調整作業の結果として設定された前記アンテナの方位角を表す調整方位角情報と、該方向調整作業が実施された作業位置を表す作業位置情報とを対応づけた設定情報を蓄積する設定情報記憶部と、
前記取得位置情報が示す位置を含んで設定される近接範囲内の位置を、前記作業位置情報が示している前記設定情報を、近接設定情報として、前記設定情報記憶部から抽出するように構成された近接抽出部と、
前記近接設定情報を、前記取得位置情報が示す位置に設置される前記アンテナの推奨設定情報として出力するように構成された推奨設定出力部と、
を更に備えるアンテナ設置支援システム。
【請求項7】
請求項6に記載のアンテナ設置支援システムであって、
前記設定情報には、前記アンテナで受信する放送波の送信元となった前記放送局を表す放送局識別情報が更に含まれ、
前記近接抽出部にて前記近接設定情報が抽出されなかった場合、前記作業位置情報が前記近接範囲より広く設定された周辺範囲内の位置を示す前記設定情報を、周辺設定情報として、前記設定情報記憶部から抽出するように構成された周辺抽出部と、
同一の前記放送局識別情報を有する前記周辺設定情報を用いて、前記取得位置情報を前記作業位置情報とする新たな設定情報を生成するように構成された設定生成部と、
を更に備え、
前記推奨設定出力部は、前記設定生成部にて生成された前記設定情報を前記推奨設定情報として出力するように構成された、
アンテナ設置支援システム。
【請求項8】
請求項7に記載のアンテナ設置支援システムであって、
前記設定生成部は、前記周辺抽出部にて前記近接設定情報が抽出されなかった場合、前記取得位置情報にて示される位置での前記放送波の電界強度または受信レベルの推定値が、規定値以上となる前記放送局に関する新たな設定情報を生成するように構成された、
アンテナ設置支援システム。
【請求項9】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のアンテナ設置支援システムであって、
前記位置取得部および前記結果出力部を少なくとも備え、アンテナ設置作業を行う作業者に携帯される携帯装置を備え、
前記携帯装置は、
前記候補抽出部で抽出された前記候補局のいずれかを対象放送局として選択するように構成された選択部と、
当該携帯装置に設定された基準軸の向きである装置方位を検出するように構成された装置方位検出部と、
前記取得位置情報が示す位置から、前記対象放送局の前記放送局位置情報が示す位置への向きである局方位を算出するように構成された局方位算出部と、
前記装置方位と前記局方位とに基づき、前記局方位を指し示す画像を、当該携帯装置が有する表示画面に表示するように構成された指示方位表示部と、
を更に備えるアンテナ設置支援システム。
【請求項10】
請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載のアンテナ設置支援システムであって、
前記位置取得部および前記結果出力部を少なくとも備え、アンテナ設置作業を行う作業者に携帯される携帯装置を備え、
前記携帯装置は、
当該携帯装置に設定された基準軸の向きである装置方位を検出するように構成された装置方位検出部と、
前記推奨設定情報に含まれる前記調整方位角情報が示す向きを局方位として設定するように構成された局方位設定部と、
前記装置方位と前記局方位とに基づき、前記局方位を指し示す指示方位画像を、当該携帯装置が有する表示画面に表示するように構成された指示方位表示部と、
を更に備えるアンテナ設置支援システム。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載のアンテナ設置支援システムであって、
前記方向調整作業が終了した時点での前記装置方位を示す調整方位角情報、および該方向調整作業が実施された位置を表す作業位置情報を含む新たな設定情報を生成して蓄積する情報蓄積部を更に備える
アンテナ設置支援システム。
【請求項12】
請求項11に記載のアンテナ設置支援システムであって、
前記携帯装置から接続可能なネットワーク上に設けられたサーバを更に備え、
前記情報蓄積部は、前記サーバに設けられた、
アンテナ設置支援システム。
【請求項13】
請求項9から請求項12までのいずれか1項に記載のアンテナ設置支援システムであって、
前記携帯装置は、
前記表示画面を少なくとも含み、前記アンテナと一体に取り付けられる被取付部を備える
アンテナ設置支援システム。
【請求項14】
方向調整作業の対象となるアンテナの設置位置を表す地理空間情報を取得することと、
取得された前記地理空間情報である取得位置情報および前記アンテナで受信する放送波の送信元となり得る複数の放送局について用意された放送局情報に基づき、前記アンテナで受信する放送波の送信元となる放送局の候補である候補局を抽出することと、
前記候補局の抽出結果を出力することと、
を備え、
前記放送局情報は、前記放送局の位置を示す放送局位置情報および前記放送局が放送の提供に用いるチャンネルを示す送信チャンネル情報を少なくとも含む
アンテナ設置支援方法。
【請求項15】
アンテナの方向調整作業を支援するアンテナ設置支援装置であって、
前記方向調整作業の対象となる前記アンテナの設置位置を表す地理空間情報を取得するように構成された位置取得部と、
前記アンテナで受信する放送波の送信元となる複数の放送局について、前記放送局の位置を示す放送局位置情報および前記放送局が放送の提供に用いるチャンネルを示す送信チャンネル情報を少なくとも含む放送局情報を記憶するように構成された放送局情報記憶部と、
前記位置取得部にて取得された前記地理空間情報である取得位置情報および前記放送局情報記憶部に記憶された前記放送局情報に基づき、前記アンテナで受信する放送波の送信元となる前記放送局の候補である候補局を抽出するように構成された候補抽出部と、
前記候補抽出部で抽出された前記候補局のいずれかを対象放送局として選択するように構成された選択部と、
当該アンテナ設置支援装置に設定された基準軸の向きである装置方位を検出するように構成された装置方位検出部と、
前記取得位置情報が示す位置から、前記対象放送局の前記放送局位置情報が示す位置への向きである局方位を算出するように構成された局方位算出部と、
前記装置方位と前記局方位とに基づき、前記局方位を指し示す画像を、当該アンテナ設置支援装置が有する表示画面に表示するように構成された指示方位表示部と、
を備えるアンテナ設置支援装置。
【請求項16】
アンテナの方向調整作業を支援するアンテナ設置支援装置であって、
前記方向調整作業の対象となる前記アンテナの設置位置を表す地理空間情報を取得するように構成された位置取得部と、
前記方向調整作業の結果として設定された前記アンテナの方位角を表す調整方位角情報と、該方向調整作業が実施された作業位置を表す作業位置情報とを対応づけた設定情報を蓄積する設定情報記憶部から、前記位置取得部にて取得された前記地理空間情報である前記取得位置情報が示す位置を含んで設定される近接範囲内の位置を、前記作業位置情報が示している前記設定情報を、前記取得位置情報が示す位置に設置される前記アンテナの推奨設定情報として取得するように構成された推奨設定取得部と、
当該アンテナ設置支援装置に設定された基準軸の向きである装置方位を検出するように構成された装置方位検出部と、
前記推奨設定情報に含まれる前記調整方位角情報が示す向きを局方位として設定するように構成された局方位設定部と、
前記装置方位と前記局方位とに基づき、前記局方位を指し示す指示方位画像を、当該アンテナ設置支援装置が有する表示画面に表示するように構成された指示方位表示部と、
を備えるアンテナ設置支援装置。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載のアンテナ設置支援装置であって、
前記アンテナ方向調整作業を行う作業者に携帯され、前記アンテナの受信レベルを計測するために使用されるレベルチェッカとしての機能を有する
アンテナ設置支援装置。
【請求項18】
アンテナの方向調整作業を実施する作業者によって操作される端末装置から接続可能なネットワーク上に設けられたサーバであって、
前記方向調整作業の結果として設定された前記アンテナの方位角を表す調整方位角情報と、該方向調整作業が実施された作業位置を表す作業位置情報とを対応づけた設定情報を蓄積する設定情報記憶部(31)と、
前記方向調整作業の対象となるアンテナの設置位置を表す地理空間情報である取得位置情報を含んだダウンロード要求を受信すると、前記設定情報記憶部から、前記作業位置情報が前記取得位置情報にて示される位置を含んで設定される近接範囲内の位置を示す前記設定情報を、近接設定情報として抽出するように構成された近接抽出部(S83)と、
前記近接設定情報を、前記取得位置情報が示す位置に設置される前記アンテナの推奨設定情報として、前記ダウンロード要求の送信元へ出力するように構成された推奨設定出力部(S93~S94)と、
を備えるサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放送波を受信するアンテナの設置を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、テレビ放送波を受信する受信アンテナの向きを調整する際に使用されるレベルチェッカが記載されている。
このレベルチェッカでは、チェック対象となるテレビ放送波を指定すると、当該レベルチェッカの位置と、指定されたテレビ放送波の送信元となる設備の位置とに基づいて、指定されたテレビ放送波の到来方向を、レベルチェッカの表示画面に表示する機能を有する。
【0003】
このレベルチェッカを用いたアンテナの方向調整では、まず、受信アンテナの向きを、上記機能によって表示された電波の到来方向に粗調整した後、受信アンテナの向きを細かく変化させながら、受信レベルが大きくなる方向を探すという作業が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、地上波デジタル(以下、地デジ)放送の送信元となる放送局には、都道府県単位で設置される親局だけでなく、親局からの電波を中継する多くの中継局が存在する。このため、従来のレベルチェッカを、地デジ放送の受信アンテナの方向調整に用いる場合、どの放送局からの電波を受信するのが適切であるかを把握するために、受信アンテナ設置場所付近に存在するすべての放送局についての情報が必要となる。また、受信レベル等はチャンネル毎に確認する必要があるが、地デジ放送の場合、隣接する放送局間で送信チャンネルが重ならないように設定される。つまり、放送局の指定や、受信レベルの測定には、放送局に関する専門的な知識が必要となり、簡単に作業を行うことが困難であるという課題があった。
【0006】
本開示は、受信アンテナの設置作業における手間を軽減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、アンテナ設置支援システムであって、位置取得部と、放送局情報記憶部と、候補抽出部と、結果出力部と、を備える。位置取得部は、方向調整作業の対象となるアンテナの設置位置を表す地理空間情報を取得するように構成される。放送局情報記憶部は、アンテナで受信する放送波の送信元となる複数の放送局について、放送局の位置を示す放送局位置情報および放送局が放送の提供に用いるチャンネルを示す送信チャンネル情報を少なくとも含む放送局情報を記憶するように構成される。候補抽出部は、位置取得部にて取得された地理空間情報である取得位置情報および放送局情報記憶部に記憶された放送局情報に基づき、アンテナに受信させる放送波の送信元となる放送局の候補である候補局を抽出するように構成される。結果出力部は、候補抽出部での抽出結果を出力するように構成される。
【0008】
このような構成によれば、アンテナを設置する際に、放送局に関する専門的な知識がなくても、アンテナの方向調整作業に用いる放送局を容易に選択でき、その放送に用いる送信チャンネル情報も得られるため、アンテナ設置作業における手間を軽減することができる。
【0009】
本開示の一態様では、結果出力部は、候補抽出部で抽出された候補局のうち、最も推奨される候補局を識別表示してもよい。識別表示は、例えば、候補局をリスト表示する際に先頭に表示してもよいし、他の候補局とは、文字種やフォントの大きさや色等を変えて表示してもよい。
【0010】
このような構成によれば、アンテナの方向調整作業に用いるのに適した放送局を、的確に作業者に選択させることができる。
本開示の一態様では、候補抽出部は、取得位置情報が示す位置に近い順、又は放送局の送信電力が高い順に放送局を候補局として抽出してもよい。
【0011】
このような構成によれば、アンテナの方向調整作業に用いるのに適した放送局を、的確に抽出できる。
本開示の一態様では、候補抽出部は、取得位置情報が示す位置を含んで設定される検索範囲内に位置する複数の放送局である抽出局の中から候補局を抽出するように構成されてもよい。
【0012】
このような構成によれば、検索範囲外の放送局、すなわち、比較的遠距離にある放送局が候補局として抽出されることを抑制できる。
本開示の一態様では、放送局情報には、放送局が属する地域区分を示す地域区分情報と、放送局が、地域区分毎に一つ以上設けられる親局、および親局からの放送波を中継する中継局のいずれであるかを示す放送局規模情報とが更に含まれてもよい。候補抽出部は、抽出局に加えて、抽出局と同一の地域区分に属する親局の中から候補局を抽出するように構成されてもよい。
【0013】
このような構成によれば、検出範囲外ではあるが抽出局と同一の地域区分に属する親局を候補局に含めることで、対象放送局の選択の幅を広げることができ、より的確な対象放送局をユーザに選択させることができる。つまり、親局は、中継局より実効放射電力が大きいため、検索範囲外の親局の方が、検索範囲内の中継局より、対象放送局として適している場合がある。
【0014】
本開示の一態様は、設定情報記憶部と、近接抽出部と、推奨設定出力部と、を更に備えてもよい。設定情報記憶部は、方向調整作業の結果として設定されたアンテナの方位角を表す調整方位角情報と、方向調整作業が実施された作業位置を表す作業位置情報とを対応づけた設定情報を蓄積する。近接抽出部は、取得位置情報が示す位置を含んで設定される近接範囲内の位置を、作業位置情報が示している設定情報を、近接設定情報として、設定情報記憶部から抽出するように構成される。推奨設定出力部は、近接設定情報を、取得位置情報が示す位置に設置されるアンテナの推奨設定情報として出力するように構成される。
【0015】
このような構成によれば、設定情報として蓄積された過去の方向調整作業の結果を、任意のユーザが利用できるため、アンテナの方向調整作業を効率よく実施することができる。
【0016】
本開示の一態様は、設定情報には、アンテナで受信する放送波の送信元となった放送局を表す放送局識別情報が更に含まれてもよい。アンテナ設置支援装置は、周辺抽出部と、設定生成部と、を更に備えてもよい。周辺抽出部は、近接抽出部にて近接設定情報が抽出されなかった場合、作業位置情報が近接範囲より広く設定された周辺範囲内の位置を示す設定情報を、周辺設定情報として、設定情報記憶部から抽出するように構成される。設定生成部は、同一の放送局識別情報を有する周辺設定情報を用いて、取得位置情報を作業位置情報とする新たな設定情報を生成するように構成される。推奨設定出力部は、設定生成部にて生成された設定情報を推奨設定情報として出力するように構成されてもよい。
【0017】
このような構成によれば、作業位置近傍で行なわれた調整作業に基づく設定情報が存在しない場合、より広い周辺範囲での作業結果に基づく設定情報から新たな推奨設定情報が生成される。従って、設定情報が十分に蓄積されていない地域であっても、推奨設定情報を提供する機能を、有効に働かせることができる。
【0018】
本開示の一態様では、設定生成部は、周辺抽出部にて近接設定情報が抽出されなかった場合、取得位置情報にて示される位置での放送波の電界強度または受信レベルの推定値が、規定値以上となる放送局に関する新たな設定情報を生成するように構成されてもよい。
【0019】
このような構成によれば、生成された新たな設定情報に基づいてアンテナの方位調整作業が行われた場合に、規定値に応じた最低限の受信品質を保証することができる。
本開示の一態様は、位置取得部および結果出力部を少なくとも備え、アンテナ設置作業を行う作業者に携帯される携帯装置を備えてもよい。携帯装置は、選択部と、装置方位検出部と、局方位算出部と、指示方位表示部と、を更に備えてもよい。選択部は、候補抽出部で抽出された候補局のいずれかを対象放送局として選択するように構成される。装置方位検出部は、当該携帯装置に設定された基準軸の向きである装置方位を検出するように構成される。局方位算出部は、取得位置情報が示す位置から、対象放送局の放送局位置情報が示す位置への向きである局方位を算出するように構成される。指示方位表示部は、装置方位と局方位とに基づき、局方位を指し示す画像を、当該携帯装置が有する表示画面に表示するように構成される。
【0020】
このような構成によれば、携帯装置の表示画面に表示される局方位を指し示す画像に従ってアンテナの向きを調整することによって、概ね正しい方向にアンテナを向けることができる。また、アンテナの向きを微調整する時にも、その方向を中心にして振ればよいため、調整作業の手間を大幅に軽減できる。なお、局方位として、候補局の中から選択された対象放送局に向かう方向が用いられる。
【0021】
本開示の一態様は、位置取得部および結果出力部を少なくとも備え、アンテナ設置作業を行う作業者に携帯される携帯装置を備えてもよい。携帯装置は、装置方位検出部と、局方位設定部と、指示方位表示部と、を更に備えてもよい。装置方位検出部は、当該携帯装置に設定された基準軸の向きである装置方位を検出するように構成される。局方位設定部は、推奨設定情報に含まれる調整方位角情報が示す向きを局方位として設定するように構成される。指示方位表示部は、装置方位と局方位とに基づき、局方位を指し示す指示方位画像を、当該携帯装置が有する表示画面に表示するように構成される。
【0022】
このような構成によれば、携帯装置の表示画面に表示される局方位を指し示す画像に従ってアンテナの向きを調整することによって、概ね正しい方向にアンテナを向けることができる。また、アンテナの向きを微調整する時にも、その方向を中心にして振ればよいため、調整作業の手間を大幅に軽減できる。なお、局方位として、推奨設定情報に含まれる調整方位角情報が示す向きが用いられる。
【0023】
本開示の一態様は、アンテナの方向調整作業が終了時点での装置方位を示す調整方位角情報、および方向調整作業が実施された位置を表す作業位置情報を含む新たな設定情報を生成して蓄積する情報蓄積部を更に備えてもよい。
【0024】
このような構成によれば、方向調整作業の結果として得られた設定情報を、様々な形で再利用することができる。
本開示の一態様は、携帯装置から接続可能なネットワーク上に設けられたサーバを更に備えてもよい。情報蓄積部は、サーバに設けられてもよい。なお、サーバは、クラウドサーバでもよいし、オンプレミスのようにサービスを提供する会社内に設けられたサーバでもよい。なお、この場合、サーバはインターネット回線を介して携帯装置と接続可能なネットワークを構成しておく必要がある。
【0025】
このような構成によれば、当該アンテナ設置支援システムを利用する他の作業者と設定情報を共有することができる。
本開示の一態様では、携帯装置は、表示画面を少なくとも含み、アンテナと一体に取り付けられる被取付部を備えてもよい。
【0026】
このような構成によれば、表示画面に表示される局方位を指し示す画像が、アンテナの向きに連動して変化するため、方向調整作業をより簡単に行うことができる。
本開示の一態様は、アンテナ設置支援方法であって、方向調整作業の対象となるアンテナの設置位置を表す地理空間情報を取得することと、取得された地理空間情報である取得位置情報およびアンテナで受信する放送波の送信元となり得る複数の放送局について用意された放送局情報に基づき、アンテナで受信する放送波の送信元となる放送局の候補である候補局を抽出することと、候補局の抽出結果を出力することと、を備える。放送局情報は、放送局の位置を示す放送局位置情報および放送局が放送の提供に用いるチャンネルを示す送信チャンネル情報を少なくとも含む。
【0027】
このような方法によれば、アンテナを設置する際に、放送局に関する専門的な知識がなくても、アンテナの方向調整作業に用いる放送局を容易に選択できるため、アンテナ設置作業における手間を軽減することができる。
【0028】
本開示の一態様は、アンテナの方向調整作業を支援するアンテナ設置支援装置であって、位置取得部と、放送局情報記憶部と、候補抽出部と、選択部と、装置方位検出部と、局方位算出部と、指示方位表示部と、を備える。位置取得部は、方向調整作業の対象となるアンテナの設置位置を表す地理空間情報を取得するように構成される。放送局情報記憶部は、アンテナで受信する放送波の送信元となる複数の放送局について、放送局の位置を示す放送局位置情報および放送局が放送の提供に用いるチャンネルを示す送信チャンネル情報を少なくとも含む放送局情報を記憶する。候補抽出部は、位置取得部にて取得された地理空間情報である取得位置情報および放送局情報記憶部に記憶された放送局情報に基づき、アンテナで受信する放送波の送信元となる放送局の候補である候補局を抽出するように構成される。選択部は、候補抽出部で抽出された候補局のいずれかを対象放送局として選択するように構成される。装置方位検出部は、当該アンテナ設置支援装置に設定された基準軸の向きである装置方位を検出するように構成される。局方位算出部は、取得位置情報が示す位置から、対象放送局の放送局位置情報が示す位置への向きである局方位を算出するように構成される。指示方位表示部は、装置方位と局方位とに基づき、局方位を指し示す画像を、当該アンテナ設置支援装置が有する表示画面に表示するように構成される。
【0029】
このような構成によれば、アンテナ設置支援装置の表示画面に表示される局方位を指し示す画像に従ってアンテナの向きを調整することによって、概ね正しい方向にアンテナを向けることができる。また、アンテナの向きを微調整する時にも、その方向を中心にして振ればよいため、調整作業の手間を大幅に軽減できる。なお、局方位として、候補局の中から選択された対象放送局に向かう方向が用いられる。
【0030】
本開示の一態様は、アンテナの方向調整作業を支援するアンテナ設置支援装置であって、位置取得部と、推奨設定取得部と、装置方位検出部と、局方位設定部と、指示方位表示部と、を備える。位置取得部は、方向調整作業の対象となるアンテナの設置位置を表す地理空間情報を取得するように構成される。推奨設定取得部は、設定情報記憶部から、位置取得部にて取得された地理空間情報である取得位置情報が示す位置を含んで設定される近接範囲内の位置を、作業位置情報が示している設定情報を、取得位置情報が示す位置に設置されるアンテナの推奨設定情報として取得するように構成される。なお、設定情報記憶部は、方向調整作業の結果として設定されたアンテナの方位角を表す調整方位角情報と、該方向調整作業が実施された作業位置を表す作業位置情報とを対応づけた設定情報を蓄積する。装置方位検出部は、当該アンテナ設置支援装置に設定された基準軸の向きである装置方位を検出するように構成される。局方位設定部は、推奨設定情報に含まれる調整方位角情報が示す向きを局方位として設定するように構成される。指示方位表示部は、装置方位と局方位とに基づき、局方位を指し示す指示方位画像を、当該アンテナ設置支援装置が有する表示画面に表示するように構成される。
【0031】
このような構成によれば、携帯装置の表示画面に表示される局方位を指し示す画像に従ってアンテナの向きを調整することによって、概ね正しい方向にアンテナを向けることができる。また、アンテナの向きを微調整する時にも、その方向を中心にして振ればよいため、調整作業の手間を大幅に軽減できる。なお、局方位として、推奨設定情報に含まれる調整方位角情報が示す向きが用いられる。
【0032】
本開示の一態様は、アンテナ設置支援装置であって、アンテナ方向調整作業を行う作業者に携帯され、アンテナの受信レベルを計測するために使用されるレベルチェッカとしての機能を有してもよい。
【0033】
このような構成によれば、アンテナの方位調整作業のために、アンテナ設置支援装置とは別に、レベルチェッカを用意する必要がないため、作業性を向上させることができる。
本開示の一態様は、サーバであって、アンテナの方向調整作業を実施する作業者によって操作される端末装置から接続可能なネットワーク上に設けられる。サーバは、設定情報記憶部と、近接抽出部と、推奨設定出力部とを備える。設定情報記憶部は、方向調整作業の結果として設定されたアンテナの方位角を表す調整方位角情報と、該方向調整作業が実施された作業位置を表す作業位置情報とを対応づけた設定情報を蓄積する。近接抽出部は、方向調整作業の対象となるアンテナの設置位置を表す地理空間情報である取得位置情報を含んだダウンロード要求を受信すると、設定情報記憶部から、作業位置情報が取得位置情報にて示される位置を含んで設定される近接範囲内の位置を示す設定情報を、近接設定情報として抽出するように構成される。推奨設定出力部は、近接設定情報を、取得位置情報が示す位置に設置されるアンテナの推奨設定情報として、ダウンロード要求の送信元へ出力するように構成される。
【0034】
このような構成によれば、設定情報として蓄積された過去の方向調整作業の結果を、任意の作業者が利用できるため、アンテナの方向調整作業を効率よく実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】アンテナ設置支援システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】放送局に関する放送局情報の内容を示す説明図である。
【
図4】レベルチェッカの制御部が実行するメイン処理のフローチャートである。
【
図7】指定された放送局の送信チャンネルに関する情報の表示例である。
【
図9】調整作業用表示処理のフローチャートである。
【
図10】アップロード処理のフローチャートである。
【
図11】レベルチェッカ側ダウンロード処理のフローチャートである。
【
図12】サーバ側ダウンロード処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.構成]
図1は、本実施形態のアンテナ設置支援システム1の全体構成を示すブロック図である。
【0037】
アンテナ設置支援システム1は、レベルチェッカ10と、サーバ群30とを備える。
レベルチェッカ10は、アンテナの受信レベルを計測する機能を有する。レベルチェッカ10は、地デジ放送の受信アンテナ2の設置作業等に用いられる。レベルチェッカ10は、この種の作業を行う作業者によって携帯される端末装置である。
レベルチェッカ10は、入力端子11と、表示部12と、電源スイッチ13と、操作部14と、外部機器インタフェース部15とを備える。
【0038】
入力端子11は、作業対象となる受信アンテナ2にて受信された地デジ放送の受信信号を伝送する伝送線路3に接続される。入力端子11は、テレビ受像機やチューナに設けられた放送信号の入力端子と同型のコネクタであってもよい。
【0039】
表示部12は、アンテナ設置作業に必要な情報や各種測定結果等を表示するための表示画面を有する。表示部12は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)を用いて構成される。
【0040】
電源スイッチ13は、当該レベルチェッカ10を起動または停止する際に操作される。
操作部14は、当該レベルチェッカ10に対する各種指令および情報を入力するために操作される。操作部14は、文字や数字の入力、表示部12の表示画面上に表示されたメニューの操作等に用いる汎用のキースイッチを備える。操作部14は、アップロードおよびダウンロード等特定の機能を実行する際に操作される専用スイッチを備えてもよい。操作部14は、表示部12の表示画面に設けられたタッチパネルを備えてもよい。
【0041】
外部機器インタフェース部15は、大容量の外部メモリ等の外部機器を接続するためのインタフェースであり、例えば、USBコネクタを備える。
レベルチェッカ10は、更に、分配器16と、レベル測定部17と、品質測定部18と、通信部19と、位置検出部20と、方位検出部21と、情報記憶部22と、制御部23と、電源回路24とを備える。
【0042】
分配器16は、入力端子11に接続された伝送線路3を介して入力される受信信号を2分配して、レベル測定部17および品質測定部18に供給する。分配器16は、受信アンテナ2が受信した信号を増幅するブースタ等の電源となる直流成分を入力端子11に接続された伝送線路3を介して供給すると共に、入力端子11に接続された伝送線路3を介して入力される受信信号を直流成分から分離するように構成されてもよい。
【0043】
レベル測定部17は、制御部23から指定される物理チャンネル(以下、指定チャンネル)の信号を受信信号から抽出して、抽出した信号の信号レベルを測定し、測定結果を制御部23に供給する。
【0044】
品質測定部18は、受信信号に対して復調を施して、復調時に得られる情報を用いて指定チャンネルの信号品質を測定する。測定の対象となる信号品質には、ビットエラーレート(BER)、変調誤差比(MER)、キャリア-ノイズ比(CN比)等が含まれてもよい。
【0045】
通信部19は、種々の携帯装置からの接続が可能なネットワーク上に設けられたサーバ群30との通信を行う。
位置検出部20は、GNSS(Global Navigation Satellite System:グローバルナビゲーションサテライトシステム)を利用して作業位置情報を取得する。たとえば、GNSSの一つであるGPS(Global Positioning System)(以下、GPS衛星という)を使用した例を示す。GPS衛星からの信号を受信して、GPS衛星から電波が送信された時刻を表す情報を抽出して、3点測量の原理に基づき、現在位置の緯度・経度・高度の情報を算出して、制御部23に供給する。但し、一定数以上のGPS衛星からの信号を受信している場合に受信成功、それ以外の場合に受信失敗を示す受信状態信号も制御部23に供給する。一定数は、緯度・経度を取得できればよい場合は3つ、更に高度情報が必要な場合は4つである。本実施例ではGPS衛星を利用した位置情報を検出する方法を示したが、GPS衛星に限定されるものではなく、GPS以外の衛星を利用してもよいし、GPS衛星とたとえば日本の準天頂衛星システム「みちびき」など、複数のシステムを同時に利用してもよい。このように複数のシステムを同時に利用することで現在位置情報の精度を改善することができる。
【0046】
方位検出部21は、磁気センサを含み、当該レベルチェッカ10に設定された基準軸方向(例えば、表示画面の上下方向)に対する磁北の傾きを検出する。
情報記憶部22は、地デジ放送の放送局に関する種々の情報(以下、放送局情報)を少なくとも記憶する。
図2に示すように、放送局情報には、地域区分情報、放送局規模情報、放送局位置情報、放送局識別情報、送信チャンネル/偏波面情報が少なくとも含まれる。地域区分情報は、放送局が設置された都道府県を示す情報である。放送局規模情報は、放送局の規模が、親局と中継局とのうちいずれであるかを示す情報である。なお、親局は、地域区分毎に少なくとも1つ設置される。中継局は、親局からの放送波を受信し、親局とは異なるチャンネルを使用した中継波を送信する。中継局は、出力の大きさに従って複数に分類して記憶される。例えば、等価等方放射電力(以下、EIRP)を用いて、EIRP≦1[W]である中継局を中継局Aとし、1[W]<EIRP≦3[W]である中継局を中継局Bとし、EIRP>3[W]より大きい中継局を中継局Cとすることで3つに分類する。中継局Aおよび中継局Bは、例えば、ビル影対策等で設置されるエリアの狭い低出力の中継局である。放送局位置情報は、放送局の位置を、緯度,経度,高度によって示した情報である。放送局識別情報は、放送局を一意に特定するための情報であり、例えば、放送局の名称が用いられる。送信チャンネル/偏波面情報は、放送局が放送の送信に用いる物理チャンネルと、送信に使用する偏波面と、その物理チャンネルに割り当てられた事業者名との対応関係を示す情報である。
【0047】
図1に戻り、制御部23は、CPU231、ROMやRAM等のメモリ232を備えたマイクロコンピュータを有する。制御部23は、表示部12の表示画面にメニュー画面を表示し、操作部14を介した入力を受け付ける等して、各種処理を実行する。メモリ232には、各種処理のプログラムが少なくとも記憶され、CPU231は、プログラムを実行することで種々の機能を実現する。
【0048】
電源回路24は、所定の電源PSに接続され、レベルチェッカ10が停止した状態で、電源スイッチ13が操作されると、電源PSから供給される電力を、適宜適切な電圧に変換する等して、当該レベルチェッカ10の各部に供給する。これにより、レベルチェッカ10が起動する。また、レベルチェッカ10が起動した状態で、電源スイッチ13が操作されると、当該レベルチェッカ10の各部への電力の供給を止めることで、レベルチェッカ10を停止させる。
【0049】
所定の電源PSは、レベルチェッカ10に内蔵される乾電池または蓄電池(二次電池)でもよいし、レベルチェッカ10の外部に設けられた電源(例えば、商用電源)であってもよい。
【0050】
サーバ群30は、データサーバ31と、機械学習サーバ32と、地図データサーバ33と、送信所諸元サーバ34と、受信アンテナ諸元サーバ35とを備える。
各サーバ31~35は、いずれもマイクロコンピュータを備える。サーバ31~35は、互いに通信する機能を備える。サーバ31~35のうち、少なくとも1つを統合サーバとする。統合サーバは、レベルチェッカ10と通信する機能を備える。本実施形態では、データサーバ31が統合サーバを兼ねる。
【0051】
データサーバ31には、レベルチェッカ10が受信アンテナ2の設置作業を行った結果として得られる設定情報を蓄積するサーバである。
図3に示すように、設定情報には、作業位置情報、対象放送局情報、受信アンテナ情報が少なくともと含まれる。作業位置情報は、アンテナ設置作業が行われた位置(緯度、経度、高度)を示す情報である。対象放送局情報は、アンテナ設置時にアンテナ方向の調整作業に用いた放送波の送信元となった放送局を特定する情報である。受信アンテナ情報は、型名情報と、調整方位角情報と、設置高情報とを含む。アンテナ型名情報は、作業の対象となったアンテナの型名であり、アンテナの動作利得を特定するための情報である。調整方位角情報は、アンテナ方向の調整作業によって設定されたアンテナの向きを表す情報であり、アンテナ基準軸方向を、真北を基準とする方位角で示す情報である。アンテナ基準軸方向は、例えば、アンテナの指向性の中心軸方向としてもよい。設置高情報は、アンテナ設置作業後のアンテナの設置高さを表す情報であり、地上からの高さで示される。
【0052】
設定情報には、更に、受信レベル/偏波面情報、および関連情報が含まれてもよい。
受信レベル/偏波面情報は、対象放送局の送信チャンネル毎に測定された受信レベルまたは/およびCN比等の受信品質データ、並びに受信した放送波の偏波面が含まれてもよい。関連情報には、日時情報、気象情報が含まれてもよい。日時情報は、アンテナ設置作業が行われた日時(ひいては、設定情報が生成された日時)を表す情報である。環境情報は、アンテナ設置作業が行われた時の天気、気温、湿度等を表す情報である。関連情報は、日時情報および環境情報に限らず、外部からの妨害電波やフェージング等の問題解決の手助けとなる可能性がある情報であればよい。日時情報や環境情報を用いるのは、季節、時間、気象によって電界強度が変化する可能性があるためである。
【0053】
図1に戻り、機械学習サーバ32は、指定された作業位置についての設定情報がデータサーバ31に蓄積されていない場合に、既存の設定情報から、指定された作業位置に適した設定情報を推定する処理を実行するサーバである。
【0054】
地図データサーバ33は、3次元の位置情報で表された地図データが蓄積されたサーバである。地図データには、地面の高さだけでなく、その位置に存在する建築物の高さを表す情報が含まれてもよい。
【0055】
送信所諸元サーバ34は、送信所(すなわち、放送局)に関する種々の情報が蓄積されたサーバであり、情報記憶部22に記憶される放送局情報と同様の情報に加えて、送信アンテナ情報が少なくとも含まれる。送信アンテナ情報には、送信アンテナの型名、および送信アンテナの地上からの設置高さが含まれてもよい。なお、送信アンテナ情報には、型名の代わりに型名から特定される送信アンテナの特性、例えば、動作利得、実効放射電力、指向性等が含まれてもよい。
【0056】
受信アンテナ諸元サーバ35は、使用される可能性があるすべての受信アンテナの型名と該受信アンテナの動作利得とを対応づけた情報を蓄積するサーバである。つまり、受信アンテナ諸元サーバ35を用いることで、受信アンテナの型名から、その受信アンテナの動作利得を知ることができる。なお、動作利得は物理チャンネルごとの利得が含まれてもよい。
【0057】
[2.処理]
受信アンテナの設置時に行われる受信アンテナの方向調整作業に関連して、レベルチェッカ10の制御部23、および統合サーバであるデータサーバ31が実行する処理について説明する。
【0058】
[2-1.メイン処理]
制御部23が実行するメイン処理を、
図4のフローチャートを用いて説明する。
メイン処理は、電源スイッチ13が操作されて制御部23が動作可能となると実行される。
【0059】
メイン処理が開始されると、S10にて、制御部23は、ユーザに機能を選択させるためのメニュー画面を、表示部12に表示させる。
続くS11では、制御部23は、操作部14にて、検索指示操作が行われたか否かを判定する。検索指示操作は、アンテナ方向調整作業の対象となる放送局(すなわち、対象放送局)の検索を指示する操作である。制御部23は、検索指示操作が行われていると判定した場合は処理をS12に移行し、検索指示操作が行われていないと判定した場合は処理をS13に移行する。
【0060】
S12では、制御部23は、候補抽出処理を実行することで、情報記憶部22から対象放送局に関する放送局情報を取得して、処理をS17に進める。
S13では、制御部23は、操作部14にて、ダウンロード指示操作が行われたか否かを判定する。ダウンロード指示操作は、データサーバ31に蓄積された設定情報のダウンロードを指示する操作である。制御部23は、ダウンロード指示操作が行われていると判定した場合は処理をS14に移行し、ダウンロード指示操作が行われていないと判定した場合は処理をS15に移行する。
【0061】
S14では、制御部23は、ダウンロード処理を実行することで、アンテナ設置作業が行われる位置における推奨設定情報を、通信部19を介してデータサーバ31からを取得して、処理をS17に進める。
【0062】
S15では、制御部23は、操作部14にて、アップロード指示操作が行われたか否かを判定する。アップロード指示操作は、方向調整作業を実施した結果に基づいて生成される設定情報のデータサーバ31へのアップロードを指示する操作である。制御部23は、アップロード指示操作が行われていると判定した場合は処理をS16に移行し、アップロード指示操作が行われていないと判定した場合は処理をS11に戻す。
【0063】
S16では、制御部23は、アップロード処理を実行することで、後述するS19の処理でメモリ232に保存された調整結果情報を含んで生成される設定情報を、通信部19を介してデータサーバ31にアップロードして、処理をS10に戻す。
【0064】
S17では、制御部23は、調整作業用表示処理を実行する。これにより、制御部23は、対象放送局からの電波が到来する方向、または、対象放送局が提供する各チャンネルでの受信レベルおよび受信品質の測定結果が表示部12に表示される。
【0065】
続くS18では、制御部23は、操作部14を介して作業終了操作が行われたか否かを判定する。制御部23は、作業終了操作が行われていると判定した場合は処理をS19に移行し、作業終了操作が行われていないと判定した場合は処理をS17に戻す。
【0066】
S19では、制御部23は、方向調整作業によって得られた調整結果情報をメモリ232に保存して、処理をS10に戻す。調整結果情報は、
図3を用いて説明した、データサーバ31に蓄積される設定情報のうち、作業位置情報、対象放送局情報、調整方位角情報、受信レベル/偏波面情報が含まれる。
【0067】
つまり、レベルチェッカ10では、対象放送局の情報を、情報記憶部22に記憶された放送局情報の検索、またはデータサーバ31に蓄積された設定情報のダウンロードのいずれかによって取得でき、取得した情報を利用して方向調整作業用の表示が行われる。
【0068】
ユーザは、調整作業用の表示を参照しながら、受信アンテナ2の方向調整作業を実施する。ユーザにより作業終了操作が行われると、方向調整作業による調整結果および調整時の条件を示す調整結果情報がメモリ232に記憶される。その後、ユーザによるアップロード指示操作があった場合に、メモリ232に記憶された調整結果情報から設定情報が生成され、データサーバ31にアップロードされる。
【0069】
なお、操作部14を介した各種操作、すなわち、検索指示操作、ダウンロード指示操作、アップロード指示操作、作業終了操作は、表示部12に表示されたメニュー画面において、対応する指示を選択する操作であってもよいし、特定の操作に対応づけて操作部14に設けられた専用キーに対する操作であってもよい。
【0070】
[3-2.候補抽出処理]
制御部23が先のS12にて実行する候補抽出処理を、
図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0071】
候補抽出処理が開始されると、S21では、制御部23は、ユーザに検索方法を選択させる画面を表示部12に表示し、操作部14を介してユーザによって選択された検索方法の種類を判定する。制御部23は、選択された検索方法が、「最寄検索」であれば処理をS22に移行し、「リスト検索」であれば処理をS33に移行する。
【0072】
S22では、制御部23は、位置情報取得処理を実行して、レベルチェッカ10の現在位置を取得する。位置情報取得処理の詳細については後述する。
続くS23では、制御部23は、情報記憶部22に記憶された放送局情報を検索し、S22で取得した現在位置を中心とする検索範囲(例えば、半径60km)内に存在する放送局を抽出する。以下、抽出された放送局を抽出局という。
【0073】
続くS24では、制御部23は、抽出局の地域区分情報を取得し、取得した地域区分情報に示された地域区分のそれぞれについて、対応する親局を抽出する。以下、抽出された親局を抽出親局とよび、抽出親局の数をNpで表す。つまり、親局については、検索範囲外であっても抽出される場合がある。
【0074】
この処理は、現在位置が所属する地域区分(以下、所属地域区分)の親局、地域区分をまたいで高出力の電波を出力している親局、海上伝搬してくる電波の送信元となる親局等が、抽出されるようにするための処理である。
【0075】
続くS25では、制御部23は、現在位置から最短距離に位置する直近の抽出局の地域区分を、所属地域区分とみなして、所属地域区分に紐づいた抽出親局のうち現在位置に最も近い抽出親局を、第1表示親局として設定する。なお、この処理は現在地の地域区分を近似する処理であり、レベルチェッカ―自身が行政区域データを保持し、取得した現在地から地域区分を特定してもよい。
【0076】
続くS26では、制御部23は、抽出親局の数Npが、閾値THpより大きいか否かを判定する。閾値THpは、例えば、THp=3に設定される。但し、THp=3に限定されるものではなく、任意の値に設定できる。制御部23は、Np>THpであると判定した場合は処理をS27に移行し、Np≦THpと判定した場合は処理をS28に移行する。
【0077】
S27では、制御部23は、第1表示親局を除く抽出親局のうち、現在位置からの距離が近い順にTHp-1個の抽出親局、および第1表示親局を候補親局として選択し、候補親局数SpをTHpに設定して、処理をS29に進める。
【0078】
S28では、制御部23は、第1表示親局を含む全ての抽出親局を候補親局として選択し、候補親局数SpをNpに設定して、処理をS29に進める。
S29では、制御部23は、候補親局をメモリ232に保存する。
【0079】
例えば、
図14に示すように、地域Iには、2つの親局P,Qが存在し、地域IIには、親局Rが存在し、地域IIIには親局Sが存在し、更に、直近の抽出局が地域Iに存在する場合を考える。また、現在位置から各親局までの距離がR<P<S<Qであるとする。この場合、地域Iが所属地域区分となり、地域Iに存在し、現在位置により近い親局Pが第1表示親局に設定される。そして、第1表示親局である親局Pを除いた親局の中から、R→S→Qの順で、候補親局が選択されることになる。
【0080】
続くS30では、制御部23は、抽出局からすべての親局を除いた結果を抽出中継局として、抽出中継局から、現在位置では受信が困難な低出力中継局を除去する。受信が困難な低出力中継局は、例えば、現在位置からの距離が6km以上である中継局Aおよび現在位置からの距離が15km以上である中継局Bのことをいう。
【0081】
この処理は、受信が困難な低出力の中継局が候補中継局として選択されてしまうことで、遠距離に位置する高出力の中継局が候補中継局から漏れてしまうことを抑制するための処理である。つまり、実務上ありえない候補中継局として抽出されることを排除し、かつ本来受信できる可能性が高い中継局を候補として残すことで抽出精度を向上させる処理である。
【0082】
続くS31では、制御部23は、低出力の中継局が除去された抽出中継局について、現在位置からの距離が近いものから順にSr個を候補中継局として選択する。Srは、候補中継局数であり、候補親局数Spとの合計が、予め設定された表示用閾値THd以下となるように設定される。
【0083】
続くS32では、制御部23は、候補親局および候補中継局のリスト(以下、候補リスト)を表示部12に表示させ、処理をS34に進める。候補リストには、
図6に示すように、放送局規模情報、放送局識別情報、現在位置からの距離、送信チャンネルが含まれる。表示方法は、放送局規模情報を第1優先、距離を第2優先とする順番でリスト表示される。第1優先の放送局規模情報の中でも、所属地域区分に属する親局である第1表示親局を優先させてもよい。
【0084】
表示方法は、これに限定されるものではなく、単純に距離の近い順に並べて表示してもよいし、単純に送信電力の高い順に並べて表示してもよい。また、表示部12に現在位置を中心とする地図を表示させ、地図上に候補親局および候補中継局の位置を、現在位置からの距離および放送局識別情報等と共に表示してもよい。候補リストにおける放送局規模の表示において、中継局は、単に「中継局」と表示されているが、出力に応じた分類もわかるように「中継局A/中継局B/中継局C」と表示されてもよい。また、候補リストに挙がった候補親局および候補中継局のうち、最も推奨される候補局である推奨候補局を、識別表示してもよい。識別表示の方法としては、推奨候補局をリストの先頭に表示してもよいし、推奨候補局の文字種、フォントの大きさ、色等を他の候補局とは変えて表示してもよい。また、推奨候補局の選定方法としては、例えば、データサーバ31に蓄積された設定情報を、作業の対象となるアンテナの設置位置を表す地理空間情報に基づいて層別し、ユーザによって実際に選択されたことのある放送局のうち、選択された頻度が最も高い放送局を推奨候補局としてもよい。
【0085】
S33では、制御部23は、情報記憶部22の放送局情報を参照して、ユーザ指定条件を満たす全ての放送局を、候補親局および候補中継局として抽出し、抽出結果に従った候補リストを表示部12に表示して、処理をS34に進める。ユーザ指定条件とは、例えば、ユーザに指定させた地域区分であってもよい。
【0086】
S34では、制御部23は、S32またはS33にて表示された候補リスト上で、いずれかの放送局(すなわち候補親局または候補中継局)が、操作部14の操作によって選択されたか否かを判定する。制御部23は、選択されていると判定した場合は処理をS35に移行し、選択されていないと判定した場合は同ステップを繰り返すことで待機する。
【0087】
S35では、制御部23は、選択された候補親局または候補中継局を対象放送局とし、対象放送局の局方位を算出すると共に、対象放送局の送信チャンネル/偏波面情報に示された物理チャンネルを、品質測定部18での測定対象チャンネルとしてプリセットして処理を終了する。なお、局方位は、S22で取得された位置情報が示す現在位置から、対象放送局の局位置に向かう方向、すなわち対象放送局から現在位置に到来する電波の到来方向を、真北を基準とする方位角で示した情報である。
【0088】
なお、S32、S33では、制御部23は、候補リストの表示に加えて、候補リスト上で、いずれかの放送局(すなわち、候補親局または候補中継局)が仮指定された場合に、
図7に示すように仮指定された放送局が提供するチャンネルの詳細が画面表示されてもよい。
【0089】
また、S31で用いる表示用閾値THdは、例えば、選択親局および選択中継局についての情報をリスト表示したときに、画面上で一覧できる数に設定されてもよい。
[3-3.位置情報取得処理]
制御部23が、先のS22にて実行する位置情報取得処理を、
図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0090】
位置情報取得処理が開始されると、S41では、制御部23は、位置検出部20を構成するGPS受信機を起動する。
続くS42では、制御部23は、GPS受信機による情報の取得を試みた回数を表す取得カウンタのカウント値iを1に初期化する。
【0091】
続くS43では、制御部23は、GPS受信機からGPS情報を取得する。GPS情報には、GPS受信機の受信状態、受信信号から抽出した時刻情報が含まれる。
続くS44では、制御部23は、GPS情報に含まれる受信状態を参照して受信に成功しているか否かを判定する。制御部23は、GPS情報の受信に成功していれば処理をS45に移行し、GPS情報の受信に失敗していれば処理をS46に移行する。
【0092】
S45では、制御部23は、取得したGPS情報に従って、当該レベルチェッカ10の現在位置を緯度、経度、高度で表した位置情報を算出し、メモリ232に記憶して、処理をS49に進める。制御部23は、位置情報の取得に成功したことを、算出した位置情報と共に表示部12に表示させてもよい。
【0093】
S46では、制御部23は、取得カウンタのカウント値iを1増加させる。
続くS47では、制御部23は、カウント値iが繰返上限値Nrp以上であるか否かを判定し、肯定判定した場合は、処理をS48に移行し、否定判定した場合は処理をS43に戻すことで、GPS情報の取得を再度試みる。
【0094】
S48では、制御部23は、GPS情報の取得に失敗したことを示すエラー表示を表示部12に表示させて処理をS49に進める。
S49では、制御部23は、GPS受信機を停止させて処理を終了する。
【0095】
[3-4.調整作業用表示処理]
制御部23が、先のS17で実行する調整作業用表示処理を、
図9に示すフローチャートを用いて説明する。
【0096】
調整作業用表示処理が開始されると、S51にて、制御部23は、操作部14を介してユーザによって設定される動作モードを確認する。制御部23は、動作モードが到来方向表示モードに設定されていると判定した場合は処理をS52に移行し、動作モードがレベル品質表示モードに設定されていると判定した場合は、処理をS55に移行する。
【0097】
S52では、制御部23は、調整対象となる受信アンテナ2の設置位置を緯度,経度,高度で表した位置情報を取得する。具体的には、既に位置情報が取得されていれば、取得済みの位置情報を取得し、位置情報が取得されていなければ、S22と同様の位置情報取得処理を実行することで位置情報を取得する。以下、位置情報が表す位置を装置位置という。
【0098】
続くS53では、制御部23は、方位検出部21での測定結果、即ち、当該レベルチェッカ10に設けられた基準軸の向きを、磁北を基準とする方位角で表した装置方位を取得する。更に、制御部23は、S52での取得した位置情報(特に、緯度,経度)に基づいて、磁気偏角を求め、その磁気偏角に従って、装置方位を、磁北を基準とする方位角から、真北を基準とする方位角に修正してメモリ232に記憶する。
【0099】
続くS54では、制御部23は、電波到来方向を示す指示方位画像を生成し、生成した指示方位画像を表示部12に表示させて処理を終了する。具体的には、制御部23は、S35で算出された局方位を示す方位角からS52で算出された装置方向を示す方位角を差し引くことで、電波到来方向を、真北を基準とした方位角から、レベルチェッカ10の基準軸方向を基準とした方位角に変換する。この変換後の方位角を、表示部12の表示画面上で指し示す画像(例えば、矢印)が指示方位画像である。制御部23は、指示方位画像の表示に加え、または表示の代わりに、受信アンテナ2の支柱を回転させる方向を、音声によって指示するように構成されてもよい。
【0100】
なお、後述するダウンロード処理によって推奨設定情報が取得されている場合は、推奨設定情報に含まれる調整方位情報が示す方位が、局方位として用いられる。
S55では、制御部23は、レベル測定部17が対象放送局の送信チャンネル毎に受信レベルを測定した結果を取得する。対象放送局の送信チャンネルは、S35または後述するS78にてプリセットされる。
【0101】
続くS56では、制御部23は、品質測定部18が対象放送局の送信チャンネル毎に受信信号の品質(BER、MER、CN比など)を測定した結果を取得する。
続くS57では、送信チャンネル毎に信号レベルおよび信号品質の測定結果をリスト表示するレベル品質表示画像を生成して、表示部12に表示させて、処理を終了する。
【0102】
つまり、アンテナ方向の調整作業では、まず、動作モードを到来方向表示モードに設定して、指示方位画像が指示する方向に、受信アンテナ2の基準軸方向が一致するように、受信アンテナ2の向きを粗調整する。その後、動作モードをレベル品質表示モードに切り替えて、許容値以上の信号レベルおよび信号品質が得られるように、受信アンテナ2の向きおよび設置高さを微調整する。
【0103】
[3-5.アップロード処理]
制御部23が、先のS16にて実行するアップロード処理を、
図10に示すフローチャートを用いて説明する。
【0104】
アップロード処理が開始されると、S61では、制御部23は、メモリ232に方向調整作業の結果として生成された調整結果情報が保存されているか否かを判定し、保存されていれば、処理をS62に移行し、保存されていなければ処理をS66に移行する。なお、調整結果情報が記憶されていても、調整結果情報に含まれる受信レベル/偏波面情報を参照して、良好な受信レベルまたは受信品質を有するチャンネルが一つも存在しない場合には、S61にて否定判定するように構成されてもよい。
【0105】
S62では、制御部23は、メモリ232から調整結果情報を読み出す。
続くS63では、制御部23は、調整結果情報に含まれていない、受信アンテナの型名の情報(以下、型名情報)、設置した受信アンテナの地上高の情報(以下、設置高情報)を取得する。これらの情報は、情報の入力を促す入力画面を表示部12に表示し、操作部14を介してユーザに入力させる。設置高情報は、必ずしも厳密に測定された値を用いる必要はなく、目測値を用いたり、場合によっては入力が省略されたりしてもよい。
【0106】
続くS64では、制御部23は、方向調整作業の作業結果に影響を与える可能性のある関連情報を取得する。関連情報には、作業日時、気象(天気、温度、湿度など)等が含まれてもよい。関連情報は、型名情報および設置高情報と同様に、ユーザに入力させることで取得する。但し、作業位置情報や作業日時情報を用いてWebを検索することで得られる情報(例えば、気象情報)については、ここでのユーザに入力させることによる取得を省略してもよい。
【0107】
続くS65では、制御部23は、S62~S64で取得した調整結果情報、型名情報、設置高情報、関連情報を一つにまとめたものを設定情報として通信部19を介してネットワーク上のデータサーバ31にアップロードして、処理を終了する。
【0108】
なお、S65では、制御部23は、更に、アップロードを行った旨を表示部12に表示させたり、アップロードした調整結果情報をメモリ232から消去したりしてもよい。
S66では、制御部23は、アップロードが可能なデータが無いことを表示部12に表示させて、処理を終了する。
【0109】
[3-6.レベルチェッカ側ダウンロード処理]
制御部23が、先のS14にて実行するレベルチェッカ側のダウンロード処理を、
図11に示すフローチャートを用いて説明する。
【0110】
レベルチェッカ側のダウンロード処理が開始されると、S71では、制御部23は、位置情報取得処理を実行する。ここでの位置情報取得処理は、S22で実行される処理と同じである。つまり、位置情報取得処理によって取得される位置情報は、受信アンテナ2の方向調整作業を実施する位置を表し、以下、作業位置情報という。
【0111】
続くS72では、制御部23は、方向調整作業の対象となる受信アンテナ2(以下、調整対象アンテナ)の型名情報および概略の設置高情報を取得する。この処理は、S63での処理と同様である。
【0112】
続くS73では、S71およびS72で取得した情報(すなわち、作業位置情報、型名情報、設置高情報)と共に、ダウンロード要求を、通信部19を介してサーバ群30に送信する。ダウンロード要求は、作業位置情報が示す位置で、調整対象アンテナの方向調整作業を実施する際に用いる推奨設定情報を、サーバ群30に要求するために送信される。
【0113】
続くS74では、制御部23は、通信部19を介して、サーバ群30からの応答を受信したか否か判定し、応答を受信していれば処理をS77に移行し、受信していなければ処理をS75に移行する。
【0114】
S75では、制御部23は、サーバ群30から、推奨設定情報の選択に必要な情報を要求する問い合わせを受信したか否かを判定し、問い合わせを受信していれば処理S76に移行し、問い合わせを受信していなければ処理をS74に戻す。
【0115】
S76では、制御部23は、問い合わせに対する回答の入力を促す入力画面を表示部12に表示させ、ユーザに操作部14を介して回答を入力させ、入力された回答を、通信部19を介してサーバ群30に送信して、処理をS74に戻す。
【0116】
S77では、制御部23は、サーバ群30からの応答に推奨設定情報が含まれているか否かを判定し、推奨設定情報が含まれていれば、処理をS78に移行し、推奨設定情報が含まれていなければ、処理をS79に移行する。
【0117】
S78では、制御部23は、推奨設定情報をメモリ232に保存し、推奨設定情報のダウンロードに成功したことを表示部12に表示させることでユーザに通知する。また、制御部23は、推奨設定情報に含まれる調整方位角情報が示す方位を、S54で使用する局方位として設定する。更に、制御部23は、対象放送局情報に示された放送局の放送局情報を情報記憶部22から取得して、放送局情報の送信チャンネル/偏波面情報に示された物理チャンネルを、品質測定部18での測定対象チャンネルとしてプリセットして処理を終了する。
【0118】
S79では、制御部23は、該当する推奨設定情報が存在しないことを表示部12に表示させることでユーザに通知して処理を終了する。
レベルチェッカ側のダウンロード処理により、指定した作業位置および調整対象アンテナに適合した推奨設定情報がサーバ群30からダウンロードされる。但し、推奨設定情報の選定に必要な情報が不足している場合は、ユーザは、サーバ群30からの問い合わせに対して回答する必要がある。
【0119】
[3-7.サーバ側ダウンロード処理]
レベルチェッカ10からのダウンロード要求を受信したサーバ群30が実行するサーバ側のダウンロード処理を、
図12に示すフローチャートを用いて説明する。つまり、サーバ側のダウンロード処理は、サーバ群30に属するいずれか一つのサーバが実行してもよいし、複数のサーバが分散して実行してもよい。
【0120】
サーバ側のダウンロード処理が開始されると、S81では、サーバ群30は、ダウンロード要求に添付された情報に、調整対象アンテナの設置高情報が含まれているか否かを判定する。サーバ群30は、設置高情報が含まれていないと判定した場合は処理をS82に移行し、設置高情報が含まれていると判定した場合は処理をS83に移行する。
【0121】
S82では、サーバ群30は、設置高情報を、予め用意された標準値に設定して、処理をS83に進める。
S83では、サーバ群30は、データサーバ31に蓄積された設定情報の中から、抽出条件を満たす設定情報を抽出する。抽出条件は、ダウンロード要求に添付された位置情報が示す作業位置からの距離が許容距離以下である近接範囲内にある放送局を対象放送局として生成された設定情報であることを条件とする。但し、抽出される設定情報が多過ぎる場合は、更に、ダウンロード要求に添付された設置高情報と同程度の設置高情報を有する設定情報であることを条件として、絞り込んでもよい。
【0122】
続くS84では、サーバ群30は、抽出条件を満たす設定情報が抽出されたか否かを判定し、抽出されていれば処理をS85に移行し、一つも抽出されていなければ処理をS92に移行する。
【0123】
S85では、サーバ群30は、抽出された設定情報の数が一つであるか否かを判定し、一つであれば処理をS93に移行し、複数であれば処理をS86に移行する。
S93では、サーバ群30は、抽出された設定情報を推奨設定情報として処理をS94に進める。
【0124】
S86では、サーバ群30は、設定情報に含まれる対象放送局情報を検索キーとして、抽出された設定情報を層別する。
続くS87では、サーバ群30は、層別の結果生成される、同じ放送局を対象放送局とする設定情報のグループの数が1つであるか否かを判定する。サーバ群30は、抽出されたグループの数が1であると判定した場合は処理をS88に移行し、抽出されたグループの数2以上であると判定した場合は処理をS89に移行する。
【0125】
S88では、サーバ群30は、抽出された複数の設定情報を用いて推奨設定情報を生成して、処理をS94に進める。具体的には、作業位置情報を、ダウンロード要求に貼付された作業位置情報に設定し、調整方位角情報を、抽出された複数の設定情報に示された調整方位角情報の中心値に設定した推奨設定情報を生成する。
【0126】
S89では、サーバ群30は、層別された設定情報のグループ毎に、対象放送局の送信チャンネル/偏波面情報を取得する。
続くS90では、サーバ群30は、ダウンロード要求の要求元となったユーザ(正確には、ユーザが所持するレベルチェッカ10)に、S89で取得した送信チャンネル/偏波面情報を添付した問い合わせを送信し、その回答を得ることで、ユーザが要求する送信チャンネルを把握する。
【0127】
続くS91では、サーバ群30は、ユーザが要求する送信チャンネルを満たすグループを選択し、選択したグループの抽出設定情報を用いて推奨設定情報を生成して、処理をS94に進める。ユーザの要求を満たすグループが複数存在する場合は、複数の推奨設定情報が生成されてもよい。
【0128】
S92では、サーバ群30は、データサーバ31に蓄積された設定情報を用い、機械学習によって作業位置に適した推奨設定情報を生成する学習処理を実行して処理をS94に進める。
【0129】
S94では、サーバ群30は、S88、S91、S92、S93のいずれかにて生成された推奨設定情報を貼付した応答を、要求元のレベルチェッカ10に送信して、処理を終了する。
【0130】
[3-8.学習処理]
サーバ群30が、S92で実行する学習処理を、
図13に示すフローチャートを用いて説明する。学習処理は、主に機械学習サーバ32にて実行されてもよい。
【0131】
学習処理が開始されると、S101では、サーバ群30は、ダウンロード要求に添付された作業位置情報が示す地点(以下、受信点)を中心として距離条件(半径ra[m]以内)を満たす周辺範囲内に位置する放送局の放送局情報を、送信所諸元サーバ34から抽出する。抽出された放送局を、Tn、但し、n=1,2,…,Nxで表し、受信点からの直線距離が短い順に連番を付すものとする。周辺範囲は近接範囲より広く設定される。
【0132】
続くS102では、サーバ群30は、抽出された放送局を識別するインデックスnを1に初期化する。
続くS103では、サーバ群30は、受信点と放送局Tnとを結ぶ直線上での最高点の高さを地図データサーバ33に問い合わせることで取得する。なお、建物が存在する地点は、建物の高さを、その地点の高さとする。
【0133】
続くS104では、サーバ群30は、放送局Tnからみて視界が遮られることのない見通距離内に受信点があるか否かを判定し、見通距離内にあれば処理をS105に移行し、見通距離内になければ、処理をS115に移行する。
【0134】
S105では、サーバ群30は、放送局Tnの送信アンテナの動作利得、実効放射電力を、送信所諸元サーバ34から取得する。
続くS106では、サーバ群30は、ダウンロード要求に添付された型名情報から特定される受信アンテナ2の動作利得を、受信アンテナ諸元サーバ35から取得する。なお、受信アンテナ2の動作利得は、放送局Tnの送信チャンネル/偏波面情報に従って周波数補正を行ってもよい。
【0135】
続くS107では、サーバ群30は、受信点における電界強度または受信レベルを公知の手法を用いて推定する。なお、推定には、受信点と放送局Tnとの間の直線距離L、放送局Tnの実効放射電力および動作利得、放送局Tnの送信アンテナの設置高さ、受信点に設置される受信アンテナ2の動作利得、設置高さ等の情報が用いられる。例えば、受信アンテナ2の動作利得の情報が得られる場合は、受信レベルを推定し、情報が得られない場合は、電界強度を推定してもよい。
【0136】
続くS108では、サーバ群30は、S107で推定された電界強度または受信レベルが、規定値以上であるか否かを判定し、規定値以上であれば処理をS109に移行し、規定値より小さければ処理をS112に移行する。規定値は、例えば、受信点に設置した受信アンテナ2に要求される受信品質レベルに応じて設定される。
【0137】
S109では、サーバ群30は、放送局Tnを対象放送局に設定する。
続くS110では、サーバ群30は、受信点にて放送局Tnを対象放送局として受信アンテナ2の方向調整作業を実施する場合の設定情報を生成し、データサーバ31に登録する。
【0138】
続くS111では、サーバ群30は、S110で生成された設定情報を推定設定情報として添付した応答を、ダウンロード要求の要求元となったユーザ(正確には、ユーザが所持するレベルチェッカ10)に送信して、処理を終了する。
【0139】
S112では、サーバ群30は、推定受信レベルが所定値以上となるために必要な受信アンテナ2の動作利得である必要利得を算出する。
続くS113では、サーバ群30は、必要利得を満たす受信アンテナが存在するか否かを受信アンテナ諸元サーバ35に問い合わせ、そのような受信アンテナが存在する場合には、処理をS114に移行し、存在しなければ処理をS115に移行する。ここで、1つのアンテナで所要の必要利得を得られない場合、複数のアンテナをスタック状に組み合わすなどアドバイス情報を生成してもよい。
【0140】
S114では、サーバ群30は、必要利得を満たす受信アンテナを表す型名情報を含んだ設定情報を生成し、データサーバ31に登録して、処理をS111に移行する。
S115では、サーバ群30は、放送局Tnを識別するインデックスnを1増加させる。
【0141】
続くS116では、サーバ群30は、nが抽出送信所数Nxより大きいか否かを判定し、n>Nxであれば処理をS117に移行し、n≦Nxであれば処理をS103に戻す。
【0142】
S117では、サーバ群30は、推奨設定情報が添付されていない応答、または、先のS113にて否定判定された場合に生成されるアドバイス情報が添付された応答を、ダウンロード要求の要求元となったユーザ(正確には、ユーザが所持するレベルチェッカ10)に送信して、処理を終了する。
【0143】
なお、S113にて否定判定されることなく、S116にて肯定判定された場合、アドバイス情報には、見通し距離による直接波の受信が困難であるため、反射波、回折波等の直接波以外での受信を試すことを勧める内容が含まれてもよい。また、推奨設定情報を抽出または生成できなかった旨の情報は、設定情報の一つとして、データサーバ31に蓄積されてもよい。
【0144】
[4.用語の対応]
本実施形態において、アンテナ設置支援システム1がアンテナ設置支援装置、レベルチェッカ10が被取付部、情報記憶部22が放送局情報記憶部、データサーバ31が設定情報記憶部に相当する。S14が推奨設定取得部、S16、S19が情報蓄積部に相当する。S22が位置取得部に相当し、S22で取得される位置情報が取得位置情報に相当する。S23~S31が候補抽出部、S32が結果出力部に相当する。S34が選択部、S53が装置方位検出部、S35が局方位算出部、S78が局方位設定部、S54が指示方位表示部に相当する。S83が近接抽出部に相当し、S83で抽出される設定情報が近接設定情報に相当する。S93~S94、S111が推奨設定出力部に相当する。S101が周辺抽出部に相当し、S101にて抽出される放送局情報が周辺設定情報に相当する。S102~S110、S112~S116が設定生成部に相当する。
【0145】
[5.アンテナ方向調整作業の概要]
地デジ放送の受信アンテナ2を設置するときに、レベルチェッカ10を用いて受信アンテナ2の方向を調整する方向調整作業の手順について説明する。
【0146】
まず、受信アンテナ2に受信させたい放送波の送信元となる放送局(すなわち、対象放送局)が位置する方向を特定するための情報を取得する。取得する方法には、情報記憶部22に記憶された放送局情報を検索して取得する方法と、作業位置に適合した推奨設定情報を、データサーバ31からダウンロードする方法とがある。
【0147】
次に、検索して取得した放送局情報またはダウンロードした推奨設定情報に基づいて、対象放送局が位置する方向を、レベルチェッカ10の表示画面に表示させ、その表示された向きに受信アンテナ2の基準軸方向を一致させることで、受信アンテナ2の方向を粗調整する。
【0148】
更に、対象放送局の送信チャンネル毎に測定した受信レベルおよび受信品質を表示画面に表示させ、最良の品質が得られる向きに受信アンテナ2の方向を微調整する。
調整が終了すると、調整作業に関する条件および調整結果を保存し、ユーザからのアップロード指示に従って、調整結果に基づいて生成される設定情報をデータサーバ31にアップロードする。
【0149】
データサーバ31から推奨設定情報をダウンロードできなかった場合、作業者は、データサーバ31からの応答に添付されたアドバイス情報に従って、複数のアンテナをスタック状に組み合わせたり、直接波以外の受信を試みたりすることで、再度アンテナの方向調整を実施する。この場合、調整結果と共に生成される調整作業に関する条件には、通常とは異なるアンテナ構成を用いることや直接波以外を受信した旨が示される。これらの条件も、調整結果と共に設定情報としてデータサーバ31にアップロードされる。
【0150】
[6.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(6a)アンテナ設置支援システム1では、受信アンテナ2の向きを調整する際に、レベルチェッカ10の表示画面に電波到来方向を示す指示方位画像を表示させる。従って、指示方位画像が指し示す方向に受信アンテナ2を向けることによって、概ね正しい方向に受信アンテナ2を向けることができる。また、受信アンテナ2の向きを微調整する時にも、その方向を中心にして振ればよいため、調整作業の手間を大幅に軽減することができる。
【0151】
(6b)アンテナ設置支援システム1では、指示方位画像の生成に必要な、対象放送局が位置する方向についての情報を、レベルチェッカ10が備える情報記憶部22に記憶された放送局情報の検索、または、サーバ群30からのダウンロードによって取得する。従って、レベルチェッカ10を利用して受信アンテナ2の設置を実施する作業者は、放送局に関する専門的な知識がなくても、受信アンテナ2の方向調整作業を的確に且つ容易に行うことができる。
【0152】
(6c)アンテナ設置支援システム1では、レベルチェッカ10は、サーバ群30との通信により、受信アンテナ2の方向調整作業に関わる設定情報のアップロードおよびダウンロードを行う。従って、レベルチェッカ10を利用する作業者は、他の作業者が実施した方向調整作業で得られた情報を共有することができる。
【0153】
(6d)アンテナ設置支援システム1では、レベルチェッカ10からのダウンロード要求に対して、要求に示された作業位置近傍で行なわれた調整作業に基づく設定情報が存在しない場合、より広い周辺範囲での作業結果に基づく設定情報から新たな推奨設定情報を生成して、レベルチェッカ10に提供する。従って、設定情報が十分に蓄積されていない地域であっても、サーバ群30から推奨設定情報をダウンロードする機能を、有効に働かせることができる。
【0154】
(6e)アンテナ設置支援システム1では、候補局を抽出する際に、検索範囲内に位置する放送局である抽出局だけでなく、抽出局が属する地域区分(以下、自地域区分)の親局も抽出する。つまり、作業位置が地域区分の境界(県境など)付近である場合、作業位置から検索範囲内には、自地域区分および隣接する地域区分(以下、隣接地域区分)の中継局のみが存在する場合がある。このような場合でも、自地域区分の親局を、候補局に含ませることで、作業者に対して対象放送局をより的確に選択させることができる。つまり、親局は、中継局より実効放射電力が大きいため、検索範囲外の親局の方が、検索範囲内の中継局より、対象放送局として適している場合があるためである。
【0155】
[7.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0156】
(7a)上記実施形態では、作業者がレベルチェッカ10を手に持って作業を行う場合を想定しているが、レベルチェッカ10を、所定の状態となるように受信アンテナ2の支柱に取り付けて作業を行ってもよい。所定の状態とは、例えば、レベルチェッカ10の基準軸方向と受信アンテナ2の基準軸方向とが一致し、かつ、受信アンテナ2の支柱を軸回転させたときに、レベルチェッカ10が支柱と一体に動く状態をいう。レベルチェッカ10の基準軸方向は、例えば、表示部12の表示画面に文字等が表示されたときに上側となる方向が用いられる。この場合、レベルチェッカ10の全体が被取付部に相当する。
【0157】
そして、制御部23は、S17の調整作業用表示処理を実施する前に、レベルチェッカ10が所定の状態で受信アンテナ2の支柱に取り付けられているか否かを確認する確認処理を実施する。確認処理では、例えば、作業者にレベルチェッカ10の取り付け状態の確認を促す画面表示を行い、その後、操作部14を介して、予め決められた取付確認操作が行われた場合に、所定状態での取り付けが確認されたものとして、S17の処理を開始する。
【0158】
この場合、レベルチェッカ10の表示画面に表示される指示方位画像の指し示す方向が、表示画面中の真上方向となるように受信アンテナ2を向けることによって、概ね正しい方向に受信アンテナ2を向けることができ、アンテナ向きの粗調整をより簡易に行うことができる。
【0159】
なお、受信アンテナ2の支柱には、必ずしも、レベルチェッカ10の全体を取り付ける必要はなく、例えば、レベルチェッカ10の表示部12を、レベルチェッカ10本体に対して着脱可能に構成し、本体から取り外された表示部12だけを受信アンテナ2の支柱に取り付けるように構成されてもよい。この場合、表示部12内に方位検出部21を備えさせておく必要がある。また、この場合、表示部12が被取付部に相当する。
【0160】
(7b)上記実施形態では、レベルチェッカ10のユーザからの指示によってサーバ群30に設定情報がアップロードされるが、方向調整作業の終了が確認されると、自動的にアップロードされるように構成されてもよい。自動的にアップロードすることにより、ユーザの手間を省くことができ、アップロード指示忘れ等によるデータのアップロードロスを防止でき、サーバ群30に設定情報を効率良く蓄積することができる。
【0161】
(7c)上記実施形態では、レベルチェッカ10が、サーバ群30と通信を直接行っているが、例えば、スマートホン等の携帯端末を利用したデザリングにより、携帯端末の通信機能を利用してサーバ群30との通信を行ってもよい。この場合、レベルチェッカ10と携帯端末との接続は、Bluetooth(登録商標)による無線接続でもよいし、外部機器インタフェース部15を介した有線接続でもよい。
【0162】
(7d)上記実施形態では、候補局を検索する機能をレベルチェッカ10が備えているが、この検索機能は、スマートホン等の携帯端末やパーソナルコンピュータ(以下、PC等)またはPC等からアクセス可能なサーバ群30が備えていてもよい。この場合、PC等は、作業者が直接使用してもよいし、アンテナ設置作業を行う作業者のサポート業務を行う補助者が使用してもよい。サポータが使用するPC等を介して検索機能を利用する場合、作業者は、検索機能を備えない通常の携帯電話等を介して、サポータに検索条件を知らせ、サポータから検索結果の通知を受ける。これにより、作業者は、検索機能を備えない既存のレベルチェッカを用いて作業する場合でも、検索機能を利用したアンテナ設置作業を行うことができる。
【0163】
(7e)上記実施形態では、候補局は、現在位置からの距離に基づいて設定される検索範囲から抽出されるが、この検索範囲に加えて放送局のアンテナ指向性を考慮して抽出されてもよい。更に、候補局毎に、放送局の諸元情報を用いて自由空間損失を算出することで得られる現在位置の電界強度の目安を、候補リストの一項目に加えてもよい。
【0164】
(7f)上記実施形態では、アンテナ設置支援システム1が、レベルチェッカ10とサーバ群30とによって構成されているが、レベルチェッカ10とサーバ群30との間での機能分担は、任意に設定してもよい。アンテナ設置支援システム1は、必ずしもレベルチェカを必要とせず、PC等のみで構成されてもよいし、サーバ群30と、サーバ群30との通信が可能なPC等とで構成されてもよい。この場合、PC等とサーバ群30との間での機能分担は、レベルチェッカ10とサーバ群30との間での機能分担と同様に、任意に設定してもよい。
【0165】
(7g)上記実施形態では、レベルチェッカ10の動作モードとして、到来方向表示モードと、レベル品質表示モードとが設けられているが、これら以外の動作モードを有してもよい。例えば、単純に磁北または磁北から補正した真北の方向を表示画面に表示する方位測定モードが設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0166】
1…アンテナ設置支援システム、2…受信アンテナ、3…伝送線路、10…レベルチェッカ、11…入力端子、12…表示部、13…電源スイッチ、14…操作部、15…外部機器インタフェース部、16…分配器、17…レベル測定部、18…品質測定部、19…通信部、20…位置検出部、21…方位検出部、22…情報記憶部、23…制御部、24…電源回路、30…サーバ群、31…データサーバ、32…機械学習サーバ、33…地図データサーバ、34…送信所諸元サーバ、35…受信アンテナ諸元サーバ、231…CPU、232…メモリ、PS…電源、Tn…放送局。