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特開2022-168847センター・カムシャフト・スクロール・ポンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168847
(43)【公開日】2022-11-08
(54)【発明の名称】センター・カムシャフト・スクロール・ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/02 20060101AFI20221031BHJP
【FI】
F04C18/02 311M
F04C18/02 311X
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022071237
(22)【出願日】2022-04-25
(31)【優先権主張番号】63/179,967
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522165924
【氏名又は名称】ダビル サーフェシズ 、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アナトリー ニットサー
(72)【発明者】
【氏名】テリー チャン
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ジョバ
【テーマコード(参考)】
3H039
【Fターム(参考)】
3H039AA12
3H039BB28
3H039CC10
3H039CC12
3H039CC14
3H039CC31
(57)【要約】
【課題】ポンプの動作効率を改善する。
【解決手段】スクロールポンプは、第1のインボリュートを有する第1のスクロール部材、第2のインボリュートを有する第2のスクロール部材スクロール部材、並びに第1のスクロール部材及び第2のスクロール部材に回転可能に接続されたカムシャフトを含む。リンクは、第1のスクロール部材と第2のスクロール部材に枢動可能に接続されている。第1及び第2のスクロール部材は協働して、スクロールポンプの動作中に作動流体が加圧される作業容積を規定する。第2のスクロール部材は、そのエンドプレートの第1及び第2の対向する表面全体の圧力を等しくするように構成される。第2のスクロール部材は、第2のスクロール部材のエンドプレートの第1及び第2の対向する表面を横切る圧力に応答して、第2のスクロール部材を第1のスクロール部材に向かって付勢するように構成されたピストン及び空洞を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスクロール部材であって、第1のエンドプレートと、前記第1のエンドプレートの第1の側から軸方向に延在する第1のインボリュートとを備える、第1のスクロール部材と、
前記第1のスクロール部材と係合する第2のスクロール部材であって、第2のエンドプレートと、前記第2のエンドプレートの第1の側から軸方向に延在する第2のインボリュートとを含み、前記第1のインボリュートが前記第2のインボリュートと交互に配置される、第2のスクロール部材と、
前記第1のスクロール部材に枢動可能に接続され、前記第2のスクロール部材に枢動可能に接続されたリンクと、
第1の回転軸を有する第1のシャフト部分を有するカムシャフトであって、前記第1のシャフト部分が前記第1のスクロール部材に回転可能に接続され、前記カムシャフトはさらに、前記第1のシャフト部分に接続された第2のシャフト部分を有し、前記第2のシャフト部分が前記第1の回転軸に平行であり、前記第1の回転軸から半径方向にオフセットされた第2の回転軸を有し、前記第2のシャフト部分が前記第2のスクロール部材に回転可能に接続された、カムシャフトと、
を備え、
前記カムシャフトの回転により、前記第2のスクロール部材が前記第1のスクロール部材に対して軌道経路を移動し、それにより、前記第2のインボリュートが前記第1のインボリュートに対して軌道経路を移動する、
スクロールポンプ。
【請求項2】
前記第1のスクロール部材が第1のピボット点を含み、
前記第2のスクロールが第2のピボット点を含み、
前記リンクの第1の部分が前記第1のピボット点に枢動可能に接続されており、
前記リンクの第2の部分が前記第2のピボット点に枢動可能に接続されている、
請求項1に記載のスクロールポンプ。
【請求項3】
前記リンクが、前記第2のスクロール部材に対する前記第1のスクロール部材の回転を実質的に排除する、請求項2に記載のスクロールポンプ。
【請求項4】
前記第1のピボット点が、前記第1のインボリュートの半径方向外側に配置されている、請求項3に記載のスクロールポンプ。
【請求項5】
前記第2のピボット点が前記第2のインボリュートの半径方向外側に配置されている、請求項3に記載のスクロールポンプ。
【請求項6】
前記カムシャフトの前記第1のシャフト部分に接続され、回転するように構成されたモータをさらに備える、請求項3に記載のスクロールポンプ。
【請求項7】
前記第1のスクロール部材は、前記第1のエンドプレートの前記第1の側からではなく、前記第1のエンドプレートの前記第1の側の反対側の前記第1のエンドプレートの第2の側から、前記カムシャフトとの回転係合で前記カムシャフトの前記第1のシャフト部分を受け入れるように構成された第1のベアリングを受け取るように構成された第1のベアリングポケットを規定する、請求項1のスクロールポンプ。
【請求項8】
前記第1のインボリュートが前記第2のエンドプレートと密封係合し、前記第2のインボリュートが前記第1のエンドプレートと密封係合している、請求項1に記載のスクロールポンプ。
【請求項9】
前記第1のインボリュートの軸方向自由端部及び前記第2のエンドプレートと密封係合された第1のチップ・シールをさらに備える、請求項6に記載のスクロールポンプ。
【請求項10】
前記第2のインボリュートの軸方向自由端部及び前記第1のエンドプレートと密封係合された第2のチップ・シールをさらに備える、請求項9に記載のスクロールポンプ。
【請求項11】
第1のスクロール部材であって、第1のエンドプレートと、前記第1のエンドプレートの第1の側から軸方向に延在する第1のインボリュートとを備える、第1のスクロール部材と、
前記第1のスクロール部材と係合する第2のスクロール部材であって、第2のエンドプレートと、前記第2のエンドプレートの第1の側から軸方向に延在する第2のインボリュートとを備え、
前記第1のインボリュートは前記第2のインボリュートと交互に配置され、
カムシャフトの回転により、前記第2のスクロール部材が前記第1のスクロール部材に対して軌道経路を移動し、それにより、前記第2のインボリュートが前記第1のインボリュートに対して軌道経路を移動し、
前記第2のエンドプレートは、第1の側と前記第1の側の反対側の第2の側を有し、
前記第2のエンドプレートの前記第2の側は、側壁を有する空洞を規定し、
前記第2のエンドプレートは、前記第1の側から前記第2の側にそれを通って延在するベントホールを規定し、その結果、前記空洞が、前記第1のインボリュート及び前記第2のインボリュートの協働によって規定される作業容積と流体連通する、第2のスクロール部材と、
を備え、
前記スクロールポンプは、前記空洞の側壁内に、及び前記空洞の側壁と密封係合して受け入れられたピストンをさらに備え、
前記ピストンは前記カムシャフトの第2のシャフト部分に軸方向に固定されている、
スクロールポンプ。
【請求項12】
前記第2のエンドプレートの前記第1の側が、前記第1のエンドプレートに面する第1の露出表面積を規定し、前記第2のエンドプレートの前記第2の側が、前記空洞内の第2の露出表面積を規定する、請求項11に記載のスクロールポンプ。
【請求項13】
前記第2の露出表面積が前記第1の露出表面積よりも大きい、請求項12に記載のスクロールポンプ。
【請求項14】
前記第2のスクロール部材が、前記第1のスクロール部材及び前記カムシャフトに対して軸方向に浮く、請求項13に記載のスクロールポンプ。
【請求項15】
前記作業容積及び前記空洞内の流体圧力が前記第2のエンドプレートに正味の軸方向の力を加え、前記正味の軸方向の力が前記第2のエンドプレートを前記第1のエンドプレートに向かって軸方向に付勢する、請求項14に記載のスクロールポンプ。
【請求項16】
前記第2のエンドプレートに面する前記ピストンの第1の面が流体圧力に曝され、前記第1の面の反対側の前記ピストンの第2の面が前記流体圧力に曝されない、請求項15に記載のスクロールポンプ。
【請求項17】
前記ピストンが前記空洞内に密閉されており、前記ピストンが第2のベントホールを規定している、請求項15に記載のスクロールポンプ。
【請求項18】
前記第2のエンドプレートに面する前記ピストンの第1の面及び前記第1の面の反対側の前記ピストンの第2の面が流体圧力に曝される、請求項17に記載のスクロールポンプ。
【請求項19】
前記第2のスクロール部材を前記第1のスクロール部材に向かって付勢するように構成された付勢ばねをさらに備える、請求項11に記載のスクロールポンプ。
【請求項20】
前記第1のスクロールと前記第2のエンドプレートとの間に配置された第1のチップ・シールと、前記第2のスクロールと前記第1のエンドプレートとの間に配置された第2のチップ・シールと、をさらに備える、請求項19に記載のスクロールポンプ。
【請求項21】
前記付勢ばねは、前記第1のチップ・シールを前記第2のエンドプレートと密封係合し、前記第2のチップ・シールを前記第1のエンドプレートと密封係合するように、前記第2のスクロール部材を前記固定スクロール部材に対して予圧するように構成されている、請求項20に記載のスクロールポンプ。
【請求項22】
前記付勢ばねが、移動する前記スクロール部材と前記ピストンとの間に配置されている、請求項19に記載のスクロールポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、35U.S.C.§119の下で、その開示が参照により本明細書にその全体が組み込まれる2021年4月26日に出願された米国仮特許出願第63/179,967号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
スクロールポンプは当技術分野で知られている。スクロールポンプは、通常、それぞれの交互に配置された第1及び第2のインボリュートを有する第1及び第2のスクロール部材を含む。通常、第1及び第2のスクロール部材は、3つのカムシャフト及び第1のスクロール部材に対して軌道経路を通って第2のスクロール部材を移動させるように構成された偏心駆動機構によって接続される。
【0003】
そのようなスクロールポンプでは、第1のスクロール部材に対する第2のスクロール部材の動きは、4点、すなわち、3つのカムシャフト及び偏心駆動機構で制限され得る。この高レベルの制約は、いくつかの制約ポイント間において、ポンプの動作中に非効率、高摩耗率、及びその他の懸念をもたらし得る干渉を制御するために、前述のコンポーネントの正確な製造と組み立てを必要とする。
【0004】
また、スクロールポンプの作業容積内に蓄積された圧力は、本質的に、第1及び第2のスクロール部材を互いに軸方向に離すように強制する傾向がある。通常、この現象は、スクロール部材とカムシャフトとの製造及び組み立てにおける正確な公差を遵守することによって軽減される。ただし、時間の経過と共に、前述のコンポーネントは許容範囲外に摩耗し、それによってスクロールポンプの効率が低下する可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、製造及び組み立ての複雑さを低減するために制約点がより少ないスクロールポンプであって、第1及び第2のスクロール部材を軸方向に分離する傾向のある作動圧力を補償し、それによって摩耗を低減し、ポンプの動作効率を改善するように構成される、スクロールポンプを対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示による例示的なセンター・カムシャフト・スクロール・ポンプの上面斜視図である。
図2図1のセンター・カムシャフト・スクロール・ポンプの上面図である。
図3】セクションA-Aを通して取られた、図1のセンター・カムシャフト・スクロール・ポンプの正面断面立面図である。
図4】セクションB-Bを通して取られた、図1のセンター・カムシャフト・スクロール・ポンプの一部の拡大断面正面図である。
図5A図1のセンター・カムシャフト・スクロール・ポンプの周回スクロール部材の第1の側の斜視図である。
図5B図1のセンター・カムシャフト・スクロール・ポンプの周回スクロール部材の第2の側の斜視図である。
図6図1のセンター・カムシャフト・スクロール・ポンプの固定スクロール部材の第1の側の斜視図である。
図7図1のセンター・カムシャフト・スクロール・ポンプの第1の分解斜視図である。
図8図1のセンター・カムシャフト・スクロール・ポンプの第2の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面は、本開示によるスクロールポンプ10の例示的な実施例を示している。スクロールポンプ10は、第1の(又は固定された)スクロール部材12と、第2の(又は軌道を回る)スクロール部材14と、カムシャフト16であって、第1のシャフト部分16A、及び第1のシャフト部分16Aに接続され、第1のシャフト部分16Aから離間され、第1のシャフト部分16Aと平行である第2のシャフト部分16Bと、を有する、カムシャフト16と、リンク18と、原動機20、例えば、電気モータと、を含む。第1のスクロール部材12は、第2のスクロール部材14と軌道を回って係合している。カムシャフト16の第1のシャフト部分16Aは、第1のスクロール部材12に回転可能に接続されている。カムシャフト16の第2のシャフト部分16Bは、第2のスクロール部材14に回転可能に接続されている。リンク18の第1の端部18Aは、第1のスクロール部材12に枢動可能に接続され、リンク18の第2の端部18Bは、第2のスクロール部材14に枢動可能に接続される。モータ20は、第1のスクロール部材12及び第2のスクロール部材14に対してカムシャフト16を回転させるように構成されている。リンク18は、カムシャフト16が回転しているときに第1のスクロール部材12に対する第2のスクロール部材14の回転を実質的に妨げるので、カムシャフト16の回転により、第2のスクロール部材14は第1のスクロール部材12に対して軌道を回る。
【0008】
第1のスクロール部材12は、第1のエンドプレート22と、第1のエンドプレート22の第1の側から軸方向に延在する第1のインボリュート24とを含む。第1のエンドプレート22は、カムシャフト16の第1のシャフト部分16Aを受け入れるように構成された第1のシャフト受容開口部26を規定する。第1のエンドプレート22はまた、第1のエンドプレート22内に延在するベアリングポケット28を規定する。示されている実施例では、ベアリングポケット28は、第1のエンドプレート22の第1の側の反対側の第1のエンドプレート22の第2の側から第1のエンドプレート22の第1の側に向かって延在する。第1のベアリング30は、例えば、圧入係合において、第1のベアリングポケット28内に受け入れられる。ベアリングポケットの底にあるランド32は、ベアリング30が第1のエンドプレート22の第1の側からベアリングポケット28に挿入されたり、ベアリングポケット28から取り外されたりすることを妨げる。第1のベアリング30は、ランド32に隣接し得る。
【0009】
或いは、ベアリングポケット28は、第1のエンドプレート22の第1の側から第1のエンドプレート22の第2の側に向かって第1のエンドプレート22内に延在し得る。そのような実施例(図示せず)では、ランド32は、ベアリング30が第1のエンドプレート22の第2の側からベアリングポケット28に挿入され、ベアリングポケット28から取り外されることを妨げるであろう。
【0010】
他の実施例では、第1の開口部26及びベアリングポケット28は、単一の特徴に組み合わされ得、ランド32は省略され得る。このような実施例では、第1のベアリング32は、第1のエンドプレート22の第1の側又は第1のエンドプレート22の第2の側からベアリングポケット28に挿入され、ベアリングポケット28から取り外され得る。
【0011】
第1のベアリング30は、カムシャフト16の第1のシャフト部分16Aを回転、ベアリング係合で受け入れるように構成される。第1のベアリング30は、密封されたベアリングであり得、カムシャフト16の第1のエンドプレート22、第1のベアリング30、及び第1のシャフト部分16Aの間のインターフェースは、第1のベアリング32及び前述のインターフェースが実質的に気密であるように、実質的に密封されたインターフェースであり得る。
【0012】
上で示唆したように、第1のインボリュート24は、第1のエンドプレート22の第1の側から第1のエンドプレート22に垂直な方向に軸方向に延在する。第1のインボリュート24の周辺に近接する第1のインボリュート24の第1の端部24Aは、第1のインボリュート24の中間部分で閉じる。第1のインボリュート24の中心に近接する第1のインボリュート24の第2の端部24Bは自由である。したがって、以下でさらに議論されるように、第1のエンドプレート22及び第1のインボリュート24は協働して、第2のインボリュートを受け取るように構成された空間を規定する。第1のチップ・シール24Sは、第1のエンドプレート22の反対側の第1のインボリュート24の自由表面に設けられている。第1のインボリュート24の自由端は、チップ・シール24Sを受け入れて保持するように構成された窪み又は溝24Gを規定し得る。
【0013】
第1のスクロール部材12は、第1のインボリュート24の第1の端部24Aの周辺に近接する流体入口開口部又はポート34を規定する。流体入口開口部34は、それによって加圧するために、空気又は別の流体をスクロールポンプ10に入れるように構成される。流体入口ポート34は、第1のエンドプレート22及び第1のインボリュート24の一方又は両方を通って延在し得る。第1のスクロール部材12はまた、第1のインボリュート24の第2の端部24Bに近接する第1のエンドプレート22を通って延在する流体出口開口部又はポート36を規定する。流体出口ポート36は、スクロールポンプ10によって加圧された流体を排出するように構成される。
【0014】
第1のスクロール部材12はさらに、リンク18の第1の端部18Aを第1のスクロール部材12との旋回係合で接続する車軸又はピン40を受け入れるように構成された第1のピボット点38を規定する。示されるように、第1のピボット点38は、第1のエンドプレート22の周囲に近接するボスとして、及び/又は第1のインボリュート24の半径方向外側に具現化され得る。
【0015】
第1のスクロール部材12はまた、第1のスクロール部材12を別の構造(図示せず)に接続するための留め具(図示せず)を受け入れるように構成された1つ又は取り付けボス42を含み得る。
【0016】
側壁44は、第1のエンドプレート22の第2の側から軸方向に延在する。側壁44は、第1のエンドプレート22と協働して、原動機20、この場合は電気モータを受け入れるように構成されたハウジングを規定する。示されるように、側壁44は、モノリシックに形成されるか、又は第1のエンドプレート22と一体にされる。エンドキャップ46は、側壁44の開放端を覆う。ハウジングの内部が実質的に気密になるように、シール48、例えば、Oリングをハウジング壁とエンドキャップとの間に設けることができる。
【0017】
第2のスクロール部材14は、第2のエンドプレート52と、第2のエンドプレート52の第1の側から延在する第2のインボリュート54とを含む。第2のエンドプレート52は、その第1の側から第1の側の反対側の第2の側まで延在する第2のシャフト受容開口部56を規定する。第2のシャフト受容開口部56は、例えば、圧入係合において、その中に第2のベアリング58を受容するように構成される。第2のエンドプレート52はまた、以下でさらに議論されるように、第2のエンドプレート52の中心に近接して、それを通って延在する1つ又は複数のベントホール60を規定する。環状側壁62は、第2のエンドプレート52の第2の側から軸方向に延在し、これにより、第2のエンドプレートの第2の側から軸方向に延在する空洞64を規定する。空洞64は、以下でさらに議論されるように、ピストン66を受け入れるように構成される。空洞64は円筒形であり得る。
【0018】
上で示唆したように、第2のインボリュート54は、第2のエンドプレート52の第1の側からそれに垂直な方向に延在する。第2のインボリュート54の自由端に第2のチップ・シール54Sが設けられている。第2のインボリュート54の自由端は、第2のチップ・シール54Sを受け入れて保持するように構成された窪み又は溝54Gを規定し得る。
【0019】
第2のスクロール部材52は、リンク18の第2の端部18Bを第2のスクロール部材14にそれとの旋回係合で接続する第2の車軸又はピン70を受け入れるように構成された第2のピボット点68をさらに規定する。示されるように、第2のピボット点68は、第2のエンドプレート52の周囲に近接するボスとして具体化され得る。
【0020】
上記のように、カムシャフト16は、第1のシャフト部分16A及び第2のシャフト部分16Bを含む。第1のシャフト部分16Aは、第1の回転軸を規定する。第1の回転軸は、第1のエンドプレート22に垂直であり、第1のインボリュート24に平行である。第2のシャフト部分16Bは、第2の回転軸を規定する。第2の回転軸は、第2のエンドプレート52に垂直であり、第2のインボリュート54に平行である。第2の回転軸は、第1の回転軸から放射状にオフセットされ、平行になっている。第1のシャフト部分16Aは、原動機20の駆動シャフトに、それと共に回転するために接続するように構成される。実施例では、カムシャフト16は、原動機20の駆動シャフトと統合され、及び/又はモノリシックに形成され得る。
【0021】
第2のシャフト部分16Bは、シャフトシール74、例えば、Oリングを受け入れるように構成された円周方向の溝72を規定する。シャフトシール74は、第2のシャフト部分16Bと第2のベアリング58の内輪との間に係合される。第2のシャフト部分16Bの自由端は、以下でさらに議論されるように、ファスナ78を受け入れるように構成されたねじ状ボア76を規定し得る。
【0022】
第1のシャフト部分16Aは、それとの回転ベアリング係合において第1のベアリング30内に受け入れられる。第2のシャフト部分16Bは、それとの回転ベアリング係合において第2のベアリング58内に受け入れられる。第1のスクロール部材12は、第1のシャフト部分16Aに軸方向に固定されている。第2のスクロール部材14は、第2のシャフト部分16Bに対して軸方向に浮いている。
【0023】
第1のインボリュート24が第2のインボリュート54と交互に配置されるように、第1のスクロール部材12は第2のスクロール部材14と係合している。第1のスクロール部材12の第1のチップ・シール24Sは、第2のスクロール部材14の第2のエンドプレート52の第1の側と係合して、それと密封係合する。同様に、第2のスクロール部材14の第2のチップ・シール54Sは、第1のスクロール部材12の第1のエンドプレート22の第1の側と係合して、それと密封係合する。そのように組み立てられて、第1及び第2のスクロール部材12、14は、第1及び第2のエンドプレート22、52及び第1及び第2のインボリュート24、54によって実質的に境界付けられる作業容積Vを規定する。
【0024】
第1及び第2のスクロール部材12、14が一緒に組み立てられた状態で、第2のエンドプレート52の第1の露出表面積は、作業容積V内の流体圧力に露出される。第1の露出表面積は、第2の回転軸に垂直であり、第1のインボリュート24の半径方向内側にある第2のエンドプレート52の第1の側の表面積から、第2のインボリュート54によって占められ、第1のインボリュート24/第1のチップ・シール24Sによって覆われる第2の回転軸に垂直な第2のエンドプレート52の第1の側の表面積を差し引くことによって規定される。言い換えれば、第1の露出表面積は、第1のエンドプレート22の第1の側に対して突出する第2のエンドプレート52の第1の側の表面積から、第1のエンドプレートの第1の側に係合する第2のインボリュート54の自由端の表面積を差し引いた面積である。第2のエンドプレート52の第2の露出表面積は、空洞64内の流体圧力に露出されている。第2の露出表面積は、空洞64の範囲内の第2の回転軸に垂直な第2のエンドプレート52の第2の側の表面積によって規定される。第2の露出表面積は、第1の露出表面積よりも大きいので、第2のエンドプレート52の両側が同じ流体圧力に曝されると、第2の回転軸に平行な第2のエンドプレート52にかかる正味の力は、第2のスクロール部材14を第1のスクロール部材12に向かって偏らせる傾向があり、それにより、第1及び第2のチップ・シール24S、54Sをそれぞれの第2及び第1のエンドプレート52、22に対して圧縮する。
【0025】
上記のように、リンク18は、第1及び第2のスクロール部材12、14の両方に枢動可能に接続されている。より具体的には、リンク18の第1の端部18Aに近接していてもよいリンク18の第1の部分は、第1のスクロール部材12に枢動可能に接続されている。同様に、リンク18の第2の端部18Bに近接し得るリンク18の第2の部分は、第2のスクロール部材14に枢動可能に接続される。したがって、第1及び第2のスクロール部材12、14に接続されて、リンク18は、第2のスクロール部材14が第1のスクロール部材12に対して軌道を回ることを可能にする一方で、第2のスクロール部材14の第1のスクロール部材12に対する回転を実質的に排除する。図面に示されるように、カムシャフト16及びリンク18は、第1のスクロール部材12に対する第2のスクロール部材14の半径方向位置を拘束する唯一の構造である。
【0026】
上で示唆されたように、ピストン66は、第2のスクロール部材14によって規定された空洞64内に受け入れられる。ピストン66は、その中心に第3のベアリング受容開口部80を規定する。第3のベアリング82は、第3のベアリング受容開口部80に受容される。第3のベアリング82は、第2のスクロール部材14とは反対側を向いているピストン66の側から第3のベアリング受容開口部に受容されたフランジ付きベアリングとして示されている。第3のベアリング82は、それを通る流体の流れを実質的に妨げる密封されたベアリングであり得る。ピストン66はまた、その周囲の周りに溝84を規定する。溝84は、ピストンシール86、例えば、Oリングを受け入れるように構成される。ピストンシール86は、ピストン66と空洞64との間の流体の流れを実質的に妨げる。
【0027】
示されるように、ピストン66は、カムシャフト16によって規定されるスナップリング溝51内に受け入れられたスナップリング50によってカムシャフト16に対して軸方向に保持される。より具体的には、ピストン66及びそこに受け入れられた第3のベアリング82は、スナップリング50と第2のスクロール部材14との間に配置されている。したがって、スナップリング50は、第3のベアリング82、したがってピストン66の第2のスクロール部材14から離れる方向への軸方向の移動を制限する。カムシャフト16の第2のシャフト部分16Bの自由端は、第3のベアリング82の中心内に受け入れられ得る。第3のベアリング82は、カムシャフト16が第2のスクロール部材14に対して回転することを可能にするように構成され、ピストン66は、第2のスクロール部材14に対して回転的に固定されたままである。
【0028】
示されるように、第1のカウンターウェイト88は、カムシャフト16の第2のシャフト部分16Bの基部に近接し得、カムシャフトの第1のシャフト部分16Aは、カムシャフト16の第2の部分16Bに接続される。示されるように、第1のカウンターウェイト88は、第1のインボリュート24の内部範囲内に配置される。カムシャフト16の第2のシャフト部分16Bの自由端の近くに第2のカウンターウェイト90が設けられ得る。第2のカウンターウェイト90は、ファスナ78、例えば、カムシャフト16の第2のシャフト部分16Bの自由端によって規定されるねじ状ボア76内に延在するねじ状ファスナによってカムシャフト16の端部に接続され得る。示されるように、第2のカウンターウェイト90は、第2のエンドプレート52の反対側のピストン66の側にあるピストン66によって規定される空洞67の範囲内に配置される。第1及び第2のカウンターウェイト88、90のそれぞれは、カムシャフト16に回転的に固定され、それに軸方向に固定することもできる。
【0029】
第2のエンドプレート52の第2の側とピストン66との間に付勢ばね92が配置されている。示されるように、付勢ばね92は、複数の波形ワッシャの組立体である。実施例では、付勢ばね92は、複数の別個の波形ワッシャ、単一の波形ワッシャ、エラストマー、又は任意の他の適切な付勢部材であり得る。付勢ばね92は、第2のスクロール部材14をピストン66から離れて第1のスクロール部材12に向かって予圧し、それにより、第1及び第2のチップ・シール24S、54Sをそれぞれの対向する第2及び第1のエンドプレート52、22と係合させる。示されるように、付勢ばね92は、第2のエンドプレート52と第2のカウンターウェイト90との間に配置される。実施例では、付勢ばね92は、ピストン66と第2のカウンターウェイト90との間に配置され得る。
【0030】
エンドキャップ94は、空洞67とピストン66と、そこに受け入れられた第2のカウンターウェイト90とを覆う。エンドキャップシール96、例えば、Oリングは、エンドキャップ94と第2のスクロール部材14との間に設けられ得る。
【0031】
使用する場合、付勢ばね92は、第2のスクロール部材14を第1のスクロール部材12に向かって予圧し、それにより、第1及び第2のチップ・シール24S、54Sをそれぞれの対向する第2及び第1のエンドプレート52、22と係合させる。原動機20はカムシャフト16を回転させる。回転するカムシャフト16により、第2のスクロール部材14は、第1のスクロール部材12に対して軌道を回る。第1のスクロール部材12に対する第2のスクロール部材14の軌道により、空気又は別の流体が、流体入口ポート34を通って作業容積Vに引き込まれ、流体出口ポート36に向かってポンプで送られ、それにより、流体入口ポート34から流体出口ポート36への流体の圧力を増加させる。
【0032】
第2のエンドプレート52によって規定されるベントホール60がない場合、第1のエンドプレート22及び第2のエンドプレート52の第1の露出面に対して作用する流体圧力の前述の増加は、第1及び第2のスクロール部材12、14を互いに軸方向に離すように強制する傾向がある。そのような力に起因する第1のスクロール部材12からの第2のスクロール部材14の軸方向変位は、第1及び第2のチップ・シール24S、54Sの効果を減少させ、それによりスクロールポンプ10の効率を低下させる可能性がある。
【0033】
ベントホール60は、第2のエンドプレート52の第1及び第2の対向する側の流体圧力を均等化することによって、そして、この均等化された圧力を、第1の実施例では第2のエンドプレート52に面するピストン66の表面(及びピストンシール86)に、又は第2の実施例ではエンドキャップ94(及びエンドキャップシール96)に加えることによって、この現象を軽減する。
【0034】
第1の実施例では、均等化された圧力がピストン66に対して加えられる。力が圧力×面積に等しいので、第2のエンドプレート52の第2の側の第2の露出表面積が、第2のエンドプレート52の第1の側の第1の露出表面積よりも大きいので、そして、ピストン66が、第1のスクロール部材12に対して軸方向に固定されているので、作業容積V内の流体圧力及び空洞64によって第2のエンドプレート52に作用する正味の軸方向の力は、第2のエンドプレート52、したがって第2のスクロール部材14を第1のスクロール部材12に向かって付勢する傾向がある。この正味の軸方向の力は、作業容積V及び空洞64内の流体圧力の増加の関数として増加する傾向がある。また、第2のスクロール部材14は、カムシャフト16の第2のシャフト部分16B上に浮いているので、第2のスクロール部材14は、前述の軸方向付勢力に応答して、第1のスクロール部材12に向かってわずかに変位し得、それにより、第1及び第2のチップ・シール24S、54Sを、それぞれの対向する第2及び第1のエンドプレート52、22に対して圧縮し、それにより、スクロールポンプ10の動作効率を促進する。
【0035】
第2の実施例では、図7に示されるように、ピストン66は、ベントホール60と同様のオプションのベントホール98を備え得る(第1の実施例では、オプションのベントホール98は存在しない)。これは、第3のベアリング82が密封されたベアリングではない場合に望ましい場合がある。第3のベアリング82が密封されたベアリングではない用途では、第3のベアリング82の第1及び第2の側間の圧力差が第3のベアリング82からグリースを押し出し、第3のベアリング82の早期摩耗及び故障につながる可能性がある。ピストン66にベントホール98を設けることにより、ピストン66全体の圧力の均等化が可能になり、それにより、第3のベアリング82の両端の圧力差による第3のベアリング82からのグリースの押し出しを軽減する。そのような実施例では、第2のエンドプレート52及びピストン66を横切る均等化された圧力が、エンドキャップ94及びエンドキャップシール96を支える。そのような実施例では、使用中、第2のスクロール部材14は、上記と同様の方法で、第1のスクロール部材12に向かって付勢される。
【0036】
前述の実施例のいずれかにおいて、ピストン66と空洞64との協働は、カムシャフトの第2のシャフト部分16Bに半径方向の支持をもたらし得る。
【0037】
前述の説明及び対応する図面は、本開示によるスクロールポンプの1つ又は複数の例示的な実施例を指す。これらの実施例は例示的なものであり、限定するものではない。当業者は、開示された実施例が、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、多くの方法で変更され得ることを認識するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
【外国語明細書】