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特開2022-16885マスク用パッド及びそれを備えたマスク
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  • 特開-マスク用パッド及びそれを備えたマスク 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022016885
(43)【公開日】2022-01-25
(54)【発明の名称】マスク用パッド及びそれを備えたマスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220118BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020119856
(22)【出願日】2020-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100187506
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 優子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 等
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185CC32
(57)【要約】
【課題】使用者の鼻孔や口などの呼吸部における不快感やマスク本体への汚れを防止するとともに装着状態が視覚的に良好となるマスク用パッド及びそれを備えたマスクを提供する。
【解決手段】マスク本体2の内側に配置され、使用者の鼻に被せて装着される鼻用パッド10と、前記マスク本体の内側に配置され、使用者の顎先に被せて装着される顎用パッド11とを備え、前記鼻用パッドにより前記マスク本体上における鼻先の頂部は、より前方且つ下方に移動し、前記顎用パッドにより前記マスク本体上における顎先の頂部は、より前方に移動し、前記顎先の頂部よりも前記鼻先の頂部が前方に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布により形成されたマスク本体と、前記マスク本体の左右両側に設けられた耳掛け紐とを備えるマスクに用いるマスク用パッドであって、
前記マスク本体の内側に配置され、使用者の鼻に被せて装着される鼻用パッドと、前記マスク本体の内側に配置され、使用者の顎先に被せて装着される顎用パッドとを備え、
前記鼻用パッドにより前記マスク本体上における鼻先の頂部は、より前方且つ下方に移動し、前記顎用パッドにより前記マスク本体上における顎先の頂部は、より前方に移動し、前記顎先の頂部よりも前記鼻先の頂部が前方に位置することを特徴とするマスク用パッド。
【請求項2】
前記鼻用パッドと前記顎用パッドの頂部を含む所定領域に設けられ、前記マスク本体の内側面に対し繰り返し着脱可能な接着材を備えることを特徴とする請求項1に記載されたマスク用パッド。
【請求項3】
前記鼻用パッドと前記顎用パッドとを連結するアタッチメント布を備え、
前記アタッチメント布は、中央に形成された縦長の孔の上部に前記鼻用パッドが固定されて下部に顎用パッドが固定され、該アタッチメント布の上端と下端に前記マスク本体の内側面に対し繰り返し着脱可能な接着材を備えることを特徴とする請求項1に記載されたマスク用パッド。
【請求項4】
前記アタッチメント布において、前記鼻用パッドと前記顎用パッドとを繋ぐ連結部は、伸縮自在に形成されていることを特徴とする請求項3に記載されたマスク用パッド。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたマスク用パッドを備えるマスクであって、
布により形成されたマスク本体と、
前記マスク本体の左右両側に設けられた耳掛け紐とを備えることを特徴とするマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマスク用パッド及びそれを備えたマスクに関し、鼻孔や口などの呼吸部における不快感や汚れを防止するとともに装着時に視覚的に良好となるマスク用パッド及びそれを備えたマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
感染症防止、或いは花粉症対策等のために多くの人がマスクを使用している。従来一般的なマスクにあっては、口や鼻孔部分とマスク本体(布部分)とが接触しやすく、使用者が不快感(息苦しさなど)を覚えやすいという欠点がある。また、特に化粧をする女性にとっては、口紅やファンデーションなどがマスク本体に付着してマスク本体が汚れやすいという欠点があった。
【0003】
そのような課題に対し、特許文献1では、マスク内側面に撥水撥油加工して汚れが付着し難くするとともに、図5に示すように横方向のプリーツ加工によりマスク本体50を立体的に形成したマスクが開示されている。
特許文献1に開示されるマスクによれば、マスク本体50が立体的であるため、唇がマスク本体50に接触せずに使用者にとって快適に保たれ、マスク本体50が肌に触れても撥水撥油加工により口紅やファンデーションの付着、汚れの付着を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-118960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記したように特許文献1に開示されるマスクにあっては、横方向のプリーツ加工によりマスク本体を立体的に形成している。このとき図5に示すように使用者の口先において最も広くマスク内空間Sが確保される。
しかしながら、マスク本体50において、図示するように口先周りが立体的に膨らんでいると、下膨れの状態となり、視覚的に良好ではないという課題があった。
【0006】
本願発明者は、鋭意研究の結果、前記特許文献1に開示されたマスクのように下膨れの状態になると視覚的に良好ではないことの他に、図6に示すように鼻先の頂部と顎先の頂部との距離Bが鼻先の頂部と眉毛下との距離Aよりも長いと、マスク60を装着した際の顔全体のバランスが崩れ、視覚的に良好でないことを知見した。
そこで、本願発明者は、マスクを装着した際に、下膨れ状態にならず、鼻先の頂部と顎先の頂部との距離Bを、鼻先の頂部と眉毛下との距離Aよりも短くすることを前提として本発明をするに至った。
【0007】
本発明は、前記した点に着目してなされたものであり、使用者の鼻孔や口などの呼吸部における不快感やマスク本体への汚れを防止するとともに装着状態が視覚的に良好となるマスク用パッド及びそれを備えたマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した課題を解決するために、本発明に係るマスク用パッドは、布により形成されたマスク本体と、前記マスク本体の左右両側に設けられた耳掛け紐とを備えるマスクに用いるマスク用パッドであって、前記マスク本体の内側に配置され、使用者の鼻に被せて装着される鼻用パッドと、前記マスク本体の内側に配置され、使用者の顎先に被せて装着される顎用パッドとを備え、前記鼻用パッドにより前記マスク本体上における鼻先の頂部は、より前方且つ下方に移動し、前記顎用パッドにより前記マスク本体上における顎先の頂部は、より前方に移動し、前記顎先の頂部よりも前記鼻先の頂部が前方に位置することに特徴を有する。
尚、前記鼻用パッドと前記顎用パッドの頂部を含む所定領域に設けられ、前記マスク本体の内側面に対し繰り返し着脱可能な接着材を備えることが望ましい。
また、前記鼻用パッドと前記顎用パッドとを連結するアタッチメント布を備え、前記アタッチメント布は、中央に形成された縦長の孔の上部に前記鼻用パッドが固定されて下部に顎用パッドが固定され、該アタッチメント布の上端と下端に前記マスク本体の内側面に対し繰り返し着脱可能な接着材を備えることが望ましい。
また、前記アタッチメント布において、前記鼻用パッドと前記顎用パッドとを繋ぐ連結部は、伸縮自在に形成されていることが望ましい。
【0009】
このように構成されたマスク用パッドによれば、マスク本体の下に鼻用パッドと顎用パッドとを装着することにより鼻先の頂部がより高く(前方に)且つ下方に移動し、顎先の頂部がより高く(前方に)移動する。また、顎先の頂部よりも鼻先の頂部が前方に位置する状態となる。それにより鼻先の頂部と顎先の頂部との距離が鼻先の頂部と眉毛下との距離よりも短くなり、マスクを装着した際の顔全体のバランスがとれ、下膨れ状態にならず、見た目を良好とすることができる。
また、鼻用パッドと顎用パッドとの上にマスク本体が配置されるため、マスク本体の下に空間を形成することができて呼吸が快適となり、また、唇や肌とマスク本体との接触領域を大きく低減することができるため、マスク本体への汚れの付着を抑制することができる。
【0010】
また、前記した課題を解決するために、本発明に係るマスクは、前記したマスク用パッドを備えるマスクであって、布により形成されたマスク本体と、前記マスク本体の左右両側に設けられた耳掛け紐とを備えることに特徴を有する。
【0011】
このようなマスクによれば、鼻先の頂部と顎先の頂部との距離が鼻先の頂部と眉毛下との距離よりも短くなり、マスクを装着した際の顔全体のバランスがとれ、下膨れ状態にならず、見た目を良好とすることができる。
また、鼻用パッドと顎用パッドとの上にマスク本体が配置されるため、マスク本体の下に空間を形成することができて呼吸が快適となり、また、唇や肌とマスク本体との接触領域を大きく低減することができるため、マスク本体への汚れの付着を抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、使用者の鼻孔や口などの呼吸部における不快感やマスク本体への汚れを防止するとともに装着状態が視覚的に良好となるマスク用パッド及びそれを備えたマスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明に係るマスク及びマスク用パッドの断面図である。
図2図2(a)(b)は、図1のマスクが備えるマスク用パッドとしての鼻用パッドの斜視図、図2(c)は側面図、図2(d)は断面図である。
図3図3(a)(b)は、図1にマスクが備えるマスク用パッドとしての顎用パッドの斜視図、図3(c)は側面図、図3(d)は断面図である。
図4図4は、本発明の変形例であって、鼻用パッドと顎用パッドとを連結するアタッチメント布の斜視図である。
図5図5は、従来のマスクの断面図である。
図6図6は、従来の他のマスクの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るマスクの実施の形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明に係るマスク及びマスク用パッドの断面図であり、図2(a)(b)は図1のマスクが備えるマスク用パッドとしての鼻用パッドの斜視図、図2(c)は側面図、図2(d)は断面図である。また、図3(a)(b)は図1にマスクが備えるマスク用パッドとしての顎用パッドの斜視図、図3(c)は側面図、図3(d)は断面図である。
【0015】
図1に示すように、マスク1は、マスク本体2と、マスク本体2の左右両側に設けられた耳掛け紐3、4とを備える。
マスク本体2は、図示するように例えば一層の不織布により形成されている。尚、本発明に係るマスク1はこの形態に限定されるものではなく、マスク本体2が複数層により形成されてもよく、素材として不織布の他、綿、マイクロファイバー布を用いてもよい。
【0016】
図1に示すようにマスク本体2の内側において使用者の鼻に対応して鼻用パッド10が配置される。鼻用パッド10は、材質が不織布や発泡素材により立体的に形成され、使用者の少なくとも鼻先を覆うように形成されている。鼻の穴にかかる部分には鼻の穴に対応して孔が形成されている。図示しないが、鼻用パッド10の内側にシリコン樹脂などの滑り止め材を設けてもよい。
また、鼻用パッド10の外側には、マスク内部の湿度状態の変化を視認可能な水変色性積層体を設けてもよい。水変色性積層体を設けることで、マスク内の湿気上昇による不快状態を確認でき、パッドやマスクの乾燥のための交換を容易に視認することができる。
【0017】
水変色性積層体とは、乾燥状態では鮮明な色調を視認でき、湿気を帯びた吸水状態では消色するものである。具体的には、電子供与性呈色性有機化合物としてフタリド類、フルオラン類から選ばれる化合物、前記電子供与性呈色性有機化合物を呈色させる平均粒子径が0.1~20μm、且つ、平均細孔径が1~50nmであり、平均細孔径(nm)/平均粒子径(μm)>1.7を満たす珪酸及び/又はその塩、消石灰から選ばれる顕色性無機質粒子とからなり、顕色性無機質粒子と電子供与性呈色性有機化合物の重量比が1:0.0001~1:0.05であり、前記顕色性無機質粒子表面に電子供与性呈色性有機化合物を吸着させてなる水変色性粒状体とバインダー樹脂とからなる乾燥状態で発色し、吸水状態で消色する水変色層をポリエステル生地等の支持体上又は直接鼻用パッド10の表面に設けてなるものである。
【0018】
電子供与性呈色性有機化合物を呈色させる機能を有する顕色性無機質粒子と、電子供与性呈色性有機化合物とからなり、前記顕色性無機質粒子表面に、電子供与性呈色性有機化合物を吸着させてなる。
前記顕色性無機質粒子表面に電子供与性呈色性有機化合物を吸着させた状態の水変色性粒状体は発色した状態であり、該粒状体に水分子が付着すると、無機質粒子表面にある電子供与性呈色性有機化合物と結合する官能基に水分子が結合することにより、電子供与性呈色性有機化合物と官能基の結合は外れて電子供与性呈色性有機化合物は消色状態になる。その後、水分子が蒸発等により消失すると、再び無機質粒子表面の官能基と電子供与性呈色性有機化合物とが結合し、発色する機能を有する。
【0019】
前記電子供与性呈色性有機化合物としては、ジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類が挙げられる。
前記顕色性無機質粒子としては、珪酸及び/又はその塩、炭酸カルシウムが挙げられる。なお、前記珪酸の塩としては、珪酸アルミニウム、珪酸アルミニウムカリウム、珪酸アルミニウムナトリウム、珪酸アルミニウムカルシウム、珪酸カリウム、珪酸カルシウム、珪酸カルシウムナトリウム、珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウムカリウム等が挙げられる。
【0020】
前記顕色性無機質粒子は平均粒子径が0.1~20μm、且つ、平均細孔径が1~50nmの顕色性無機質粒子が用いられ、水を吸液すると良好な消色性を示す。前記顕色性無機質粒子の平均粒子径は、0.1~20μmのものが用いられる。また、前記顕色性無機質粒子の平均細孔径は、1~50nmのものが用いられる。前記無機質粒子の平均粒子径はコールターカウンター法により測定する。平均細孔径は、公知の方法、即ち、窒素吸着等温線より算出される。具体的には、公知のBJH法、BET法、t法、DFT法等により算出される。なお、平均細孔径が直接測定できない場合は、平均細孔径(nm)=4×(細孔容積(ml/g))/(比表面積(m/g))×103で算出した数値を平均細孔径とした。
【0021】
ここで、顕色性無機質粒子として屈折率が1.4~1.8の範囲の粒子を用いると、水を吸液した際に良好な透明性を示すことができる。顕色性無機質粒子が前記平均粒子径と平均細孔径を満たすことにより、印刷インキや樹脂加工への適用時に生じる粒状体とバインダー樹脂との影響を少なくすることができる。更に、乾燥状態における高濃度の発色と、吸水状態における良好な消色性を満足させることができる尚、好適に用いられる顕色性無機質粒子としては珪酸が挙げられる。前記珪酸は、湿式法により製造される珪酸(以下、湿式法珪酸と称する)が好適である。湿式法珪酸は乾式法珪酸に比べて粒子表面にシラノール基として存在する水酸基が多く、親水性の度合いが大であり、電子供与性呈色性有機化合物に対する呈色性も高いことから好適に用いられる。尚、前記湿式法珪酸と他の顕色性無機質粒子を併用することもできる。
【0022】
前記顕色性無機質粒子と電子供与性呈色性有機化合物の混合比率は、顕色性無機質粒子1重量部に対して電子供与性呈色性有機化合物0.0001~0.05重量部である。顕色性無機質粒子1重量部に対して電子供与性呈色性有機化合物が0.0001重量部未満では乾燥状態において十分な発色を示し難くなり、顕色性無機質粒子1重量部に対して電子供与性呈色性有機化合物が0.05量部を超えると、発色濃度もうすくなり、且つ変色感度が悪くなり、水が付着しても早期に変色し難くなる。
【0023】
前記のようにして得られる水変色性粒状体をバインダー樹脂中に固着して支持体上に水変色層を設けて水変色性積層体を得ることができる。
前記水変色性積層体は、乾燥状態で水変色性粒状体が発色しているため、鮮明な色調の水変色層が視認され、吸水状態では水変色性粒状体が消色して無機質粒子の色調が視認されたり、或いは、支持体の色調が視認される。
前記水変色性積層体は、水変色層が乾燥した状態と吸水した状態における明度差がマンセル表色系で0.1以上であることが好ましく、乾燥状態と吸液状態での色変化を明瞭に視認できる。
【0024】
前記バインダー樹脂としては、ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル-ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、及び前記各樹脂エマルジョン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、フェノール樹脂等のバインダー樹脂が挙げられる。
【0025】
前記顕色性無機質粒子とこれらのバインダー樹脂の混合比率は、1重量部に対してバインダー樹脂固形分0.5~2重量部であり、より好ましくは、0.8~1.5重量部である。顕色性無機質粒子1重量部に対してバインダー樹脂固形分が0.5重量部未満の場合には、形成される塗膜の実用的な皮膜強度を得ることが困難であり、2重量部を越える場合には、前記塗膜内部への水の浸透性が悪くなる。
【0026】
前記塗膜は、一般的な塗膜と比較して着色剤に対するバインダー樹脂の混合比率が小さいため、十分な皮膜強度が得られ難い。そこで、前記のバインダー樹脂のうち、ナイロン樹脂又はウレタン系樹脂を用いて耐擦過強度を高めることが好ましい。
前記ウレタン系樹脂としては、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂等があり、2種以上を併用することもできる。又、前記樹脂が水に乳化分散したウレタン系エマルジョン樹脂や、イオン性を有するウレタン樹脂(ウレタンアイオノマー)自体のイオン基により乳化剤を必要とすることなく自己乳化して、水中に溶解乃至分散したコロイド分散型(アイオノマー型)ウレタン樹脂を用いることもできる。特にウレタン系エマルジョン樹脂やコロイド分散型ウレタン系樹脂が好適に用いられ、固形分比率で30重量%以上含有させることが好ましい。
【0027】
使用者がこの鼻用パッド10を自身の鼻に被せて装着した際には、使用者の鼻先の高さ(前方への位置)が、より高くなり、且つより下方に位置するように移動する。即ち、マスク1使用時には、鼻用パッド10の上にマスク本体2が配置されるが、マスク本体2上において鼻先の頂部2aは、使用者自身の鼻先位置よりも前方且つ下方の位置となる。
尚、鼻用パッド10とマスク本体2とが接触する領域10aには、マスク本体2の内側面に対し繰り返し着脱可能な接着材、例えば面ファスナーが設けられている。
【0028】
また、マスク本体2の内側において使用者の顎に対応して顎用パッド11が配置される。この顎用パッド11は、鼻用パッド10と同材料により形成され、使用者の顎先を覆うように形成されている。使用者がこの顎用パッド11を自身の顎先に装着した際には、使用者の顎先の高さ(前方への高さ)が、より高くなる。即ち、マスク1使用時には、顎用パッド11の上にマスク本体2が配置されるが、マスク本体2上において顎先の頂部2bは、使用者自身の顎先位置よりも前方の位置となる。顎先の高さが低く頂部が目立たない使用者にとっては、顎先の頂部の位置が明確になる。
尚、顎用パッド11とマスク本体2とが接触する領域11aには、マスク本体2の内側面に対し繰り返し着脱可能な接着材、例えば、面ファスナーが設けられている。また、図示しないが、顎用パッド11の内側にシリコン樹脂などの滑り止め材を設けてもよい。
【0029】
このマスク1を装着する際は、先ず使用者が鼻用パッド10を鼻にあてるとともに、顎用パッド11を顎先にあてがい、その上からマスク本体2を配置する。このとき鼻用パッド10の領域10aと顎用パッド11の領域11aとがマスク本体2の裏面に接触し、領域10a及び領域11aに設けられた接着材によりマスク本体2に対し接着される(位置固定される)。また、使用者は耳掛け紐3、4を自身の耳にかけ、マスク本体2が落ちないようにしてマスク1を装着する。
尚、二回目以降のマスク1の装着時には、鼻用パッド10と顎用パッド11の位置は固定されているため、使用者はそのままマスク1を装着することができる。
【0030】
図1に示すように上記鼻用パッド10及び顎用パッド11を備えるマスク1を装着すると、マスク本体2上において鼻先の頂部2aと顎先の頂部2bとの距離Bが鼻先の頂部2aと眉毛下との距離Aよりも短くなる。また、顎先の頂部2bよりも鼻先の頂部2aが前方に位置する状態となる。それによりマスク1を装着した際の顔全体のバランスがとれ、下膨れ状態にならず、見た目を良好とすることができる。
また、鼻用パッド10と顎用パッド11を装着していることにより、マスク本体2の下に空間Sが形成され、マスク本体2と唇や肌との接触を極力少なくすることができ、マスク本体2の汚れを防止することができる。
【0031】
以上のように本発明に係る実施の形態によれば、マスク本体の下に鼻用パッドと顎用パッドとを装着することにより鼻先の頂部がより高く(前方に)且つ下方に移動し、顎先の頂部がより高く(前方に)移動する。また、顎先の頂部よりも鼻先の頂部が前方に位置する状態となる。それにより鼻先の頂部と顎先の頂部との距離が鼻先の頂部と眉毛下との距離よりも短くなり、マスクを装着した際の顔全体のバランスがとれ、下膨れ状態にならず、見た目を良好とすることができる。
また、鼻用パッドと顎用パッドとの上にマスク本体が配置されるため、マスク本体の下に空間を形成することができて呼吸が快適となり、また、唇や肌とマスク本体との接触領域を大きく低減することができるため、マスク本体への汚れの付着を抑制することができる。
【0032】
尚、前記実施の形態においては、マスク本体2(の裏側)に対し鼻用パッド10と顎用パッド11とを直接接着する構成としたが、本発明にあっては、その構成に限定されるものではない。
例えば、図4に示すように鼻用パッド10と顎用パッド11とを連結する伸縮自在なアタッチメント布20を設けてもよい。このアタッチメント布20は、材質が例えばポリウレタンのスパンデックス生地により形成され、縦長の孔20aの上部に鼻用パッド10が固定され、下部に顎用パッド11が固定される。鼻用パッド10と顎用パッド11とを繋ぐ部分20b、20cは少なくとも上下方向に伸縮自在に形成されている。また、アタッチメント布20の上端20dと下端20eには、それぞれマスク本体2に対し着脱可能な粘着材、例えば面ファスナーが設けられ、アタッチメント布2をマスク本体2に固定可能となされている。
【0033】
このようなアタッチメント布20を用いてマスク1を装着する場合、アタッチメント布20に固定された鼻用パッド10を鼻にあてるとともに、顎用パッド11を顎先にあてがい、その上からマスク本体2を配置する。このときアタッチメント布20の上端20dと下端20eとがマスク本体2の裏面に接触し、前記上端20dと下端20eに設けられた接着材によりマスク本体2に対し接着される(位置固定される)。また、使用者は耳掛け紐3、4を自身の耳にかけ、マスク本体2が落ちないようにしてマスク1を装着する。
尚、二回目以降のマスク1の装着時には、アタッチメント布20はマスク本体2に固定され、鼻用パッド10と顎用パッド11の位置も固定されているため、使用者はそのままマスク1を装着することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 マスク
2 マスク本体
2a 鼻先の頂部
2b 顎先の頂部
3 耳掛け紐
4 耳掛け紐
10 鼻用パッド
11 顎用パッド
20 アタッチメント布
図1
図2
図3
図4
図5
図6