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特開2022-168904炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法
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  • 特開-炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168904
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/06 20060101AFI20221101BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20221101BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20221101BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H01L29/78 652P
H01L29/78 652T
H01L29/78 658A
H01L29/78 658E
H01L29/78 658G
H01L29/78 652J
H01L29/78 653A
H01L29/06 301M
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074572
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】木下 明将
(57)【要約】
【課題】少ない工程数で形成され所定耐圧を安定して確保可能な耐圧構造を備えた安価な炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】エッジ終端領域2に、活性領域1の周囲を同心状に囲むフローティング電位の複数のFLR31からなるFLR構造30が設けられている。FLR構造30は、所定のFLR31を境(変化点b1,b2)に2つ以上のFLR区分30a~30cに分けられている。互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnは、p+型延在部22aと最も内側のFLR31との間の第1間隔x1よりも広い(nは2~FLR31の総本数)。互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnは、外側に配置されるほどFLR区分30a~30cごとの一定の増加幅で等差数列的に広くなっており、当該増加幅は外側のFLR区分30b,30cほど広くなっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素からなる半導体基板に設けられた活性領域と、
前記半導体基板に設けられ、前記活性領域の周囲を囲む終端領域と、
前記活性領域から前記終端領域にわたって前記半導体基板の内部に設けられた第1導電型の第1半導体領域と、
前記活性領域において前記半導体基板の第1主面と前記第1半導体領域との間に設けられた第2導電型の第2半導体領域と、
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域とのpn接合を含み、前記pn接合を通過する電流が流れる素子構造と、
前記素子構造と前記終端領域との間において前記半導体基板の第1主面と前記第1半導体領域との間に設けられ、前記素子構造の周囲を囲む第2導電型外周領域と、
前記半導体基板の第1主面に設けられ、前記第2半導体領域および前記第2導電型外周領域に電気的に接続された第1電極と、
前記半導体基板の第2主面に設けられ、前記第1半導体領域に電気的に接続された第2電極と、
前記半導体基板の第1主面に平行な方向に前記第2導電型外周領域の外側に対向して、前記終端領域において前記半導体基板の第1主面と前記第1半導体領域との間に、前記活性領域の周囲を囲む同心状に互いに離れて設けられFLR構造を構成するフローティング電位の複数の第2導電型のFLRと、
を備え、
前記FLR構造は、所定の前記FLRを境に2つ以上のFLR区分に分けられており、
互いに隣り合う前記FLR間の間隔は、前記第2導電型外周領域と最も内側の前記FLRとの間隔より広く、外側に配置されるほど、前記FLR区分ごとの一定の増加幅で等差数列的に広くなっており、
前記増加幅は、外側に配置された前記FLR区分内ほど内側に隣接する前記FLR区分内よりも広くなっていることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【請求項2】
前記半導体基板の第1主面と前記FLRとの間に設けられた第1導電型の第3半導体領域をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項3】
前記FLRの本数は、30本以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項4】
前記FLRの不純物濃度は、1×1018/cm3以上1×1021/cm3以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項5】
前記FLRの幅は、2μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項6】
前記第2導電型外周領域と最も内側の前記FLRとの間隔は、0.1μm以上1.0μm以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項7】
前記第3半導体領域の厚さは、0.4μm以下であることを特徴とする請求項2に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項8】
前記増加幅は、0.05μm以上0.12μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項9】
2つ以上の前記FLR区分のうち、最も内側の第1FLR区分と、前記第1FLR区分の外側に隣接する第2FLR区分との境界は、内側から2本目以降外側のFLRと当該FLRの内側FLRとの間であることを特徴とする請求項1~8のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項10】
2つ以上の前記FLR区分のうち、最も外側の第3FLR区分と、前記第3FLR区分の内側に隣接する第2FLR区分との境界は、外側から3本目以降内側のFLRと当該FLRの内側FLRとの間であることを特徴とする請求項1~9のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項11】
前記第2導電型外周領域の不純物濃度は、
前記半導体基板の第1主面側で前記第2半導体領域の不純物濃度と同じであり、
前記第1半導体領域側で前記FLRの不純物濃度と同じであることを特徴とする請求項1~10のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項12】
前記素子構造は、
前記半導体基板の第1主面と前記第2半導体領域との間に選択的に設けられ、前記第1電極に電気的に接続された第1導電型の第4半導体領域と、
前記第4半導体領域および前記第2半導体領域を貫通して前記第1半導体領域に達するトレンチと、
前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域との間に、前記第2半導体領域と離れて、前記トレンチの底面よりも前記第2電極側に選択的に設けられ、深さ方向に前記トレンチの底面に対向する、前記第2半導体領域よりも不純物濃度の高い第2導電型の第1高濃度領域と、
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域との間に、前記トレンチおよび前記第1高濃度領域と離れて選択的に設けられ、前記第2半導体領域に接し、前記トレンチの底面よりも前記第2電極側に達する、前記第1高濃度領域と同じ不純物濃度の第2導電型の第2高濃度領域と、
を備え、
前記FLRの不純物濃度は、前記第1高濃度領域の不純物濃度と同じであることを特徴とする請求項1~11のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置の製造方法であって、
前記第1半導体領域となる第1の第1導電型半導体層を形成する第1工程と、
前記第1の第1導電型半導体層の表面領域に、前記第2導電型外周領域の第1部分と、前記FLRと、をそれぞれ選択的に形成する第2工程と、
前記第1の第1導電型半導体層の上に、前記第1半導体領域となる第2の第1導電型半導体層を形成する第3工程と、
前記第2の第1導電型半導体層の、深さ方向に前記第1部分に対向する位置に、前記第1部分に達する前記第2導電型外周領域の第2部分を選択的に形成する第4工程と、
前記活性領域において前記第2の第1導電型半導体層の上に第2導電型半導体層を形成し、前記第2導電型半導体層の、深さ方向に前記第2部分に対向する部分を前記第2導電型外周領域の第3部分とし、残りの部分を前記第2半導体領域とする第5工程と、
前記第2半導体領域および前記第2導電型外周領域に電気的に接続された前記第1電極を形成する第6工程と、
前記第1半導体領域に電気的に接続された前記第2電極を形成する第7工程と、
を含むことを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記素子構造は、
前記半導体基板の第1主面と前記第2半導体領域との間に選択的に設けられ、前記第1電極に電気的に接続された第1導電型の第4半導体領域と、
前記第4半導体領域および前記第2半導体領域を貫通して前記第1半導体領域に達するトレンチと、
前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域との間に、前記第2半導体領域と離れて、前記トレンチの底面よりも前記第2電極側に選択的に設けられ、深さ方向に前記トレンチの底面に対向する、前記第2半導体領域よりも不純物濃度の高い第2導電型の第1高濃度領域と、
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域との間に、前記トレンチおよび前記第1高濃度領域と離れて選択的に設けられ、前記第2半導体領域に接し、前記トレンチの底面よりも前記第2電極側に達する、前記第1高濃度領域と同じ不純物濃度の第2導電型の第2高濃度領域と、を備え、
前記第2工程では、前記第1の第1導電型半導体層の表面領域に、前記第1部分と、前記FLRと、前記第1高濃度領域と、前記第2高濃度領域の第4部分と、をそれぞれ選択的に形成し、
前記第4工程では、前記第2の第1導電型半導体層の、深さ方向に前記第1部分および前記第4部分にそれぞれ対向する位置に、前記第1部分に達する前記第2部分と、前記第4部分に達する前記第2高濃度領域の第5部分と、をそれぞれ選択的に形成することを特徴とする請求項13に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体装置の耐圧構造は、活性領域と半導体基板(半導体チップ)の端部との間のエッジ終端領域において半導体基板のおもて面に露出するn型ドリフト領域の表面領域に選択的に設けられた複数のp型領域で構成される。パワー半導体装置の半導体材料がシリコン(Si)よりも最大電界強度が1桁以上大きい炭化珪素(SiC)である場合、耐圧構造として、マルチゾーン接合終端拡張(JTE:Junction Termination Extension)構造や、空間変調JTE構造、フィールドリミッティングリング(FLR:Field Limiting Ring)構造が主に配置される。
【0003】
マルチゾーンJTE構造は、3つ以上のp型領域(以下、JTE領域とする)を、内側(活性領域(半導体チップの中央部:チップ中央)側)から外側(半導体基板の端部(チップ端部)側)へ離れた位置ほど不純物濃度の低いJTE領域が配置されるように、活性領域の周囲を囲む同心状に隣接して配置した構造である。電界強度は活性領域から外側へ離れるにつれて小さくなる傾向にある。このため、マルチゾーンJTE構造では、電界強度分布の傾向に合わせて、活性領域から外側へ離れた位置に配置されるほどJTE領域の不純物濃度を低くすることで、所定耐圧が安定して確保される。
【0004】
空間変調JTE構造は、JTE構造の改良構造であり、互いに隣り合うJTE領域(1つのJTE領域のみで構成される場合は、1つのJTE領域とその外側のn-型ドリフト領域)間に、これら2つの領域の中間の不純物濃度と空間的に等価な不純物濃度分布を有する空間変調領域を配置して、JTE構造全体の不純物濃度分布を外側へ向って緩やかに減少させた構造である。空間変調領域は、自身の両側それぞれに隣接する領域と略同じ不純物濃度の2つの小領域を所定パターンで交互に繰り返し隣接して配置してなる。空間変調領域全体の空間的な不純物濃度分布は2つの小領域の幅および不純物濃度比で決まる。
【0005】
空間変調JTE構造は、空間変調領域を有していない一般的なJTE構造と比べて、所定耐圧をより安定して確保可能である。FLR構造は、活性領域の周囲を囲む同心状に互いに離れて同じ不純物濃度の複数のp型領域(FLR)を配置した構造である。FLR構造では、互いに離して配置された複数のFLRにより電界を分散させて所定耐圧を確保している。このように、エッジ終端領域に所定の耐圧構造を配置して、エッジ終端領域の電界を緩和または分散させることで、エッジ終端領域の耐圧を向上させて、半導体装置全体の耐圧を向上させている。従来の炭化珪素半導体装置の構造について説明する。
【0006】
図13は、従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。図13に示す従来の炭化珪素半導体装置110は、炭化珪素からなる半導体基板(半導体チップ)140のエッジ終端領域102に、FLR構造130を備えたトレンチゲート構造の縦型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属-酸化膜-半導体の3層構造からなる絶縁ゲート(MOSゲート)を備えたMOS型電界効果トランジスタ)である。エッジ終端領域102は、MOSFETの主電流が流れる活性領域101の周囲を囲む。
【0007】
半導体基板140は、炭化珪素からなるn+型出発基板111上にn-型ドリフト領域112およびp型ベース領域113となる各炭化珪素層142,143を順にエピタキシャル成長させてなる。p型炭化珪素層143の、エッジ終端領域102の部分はエッチングにより除去され、半導体基板140のおもて面に段差124が形成されている。半導体基板140のおもて面は、段差124を境にして、チップ中央(半導体基板140の中央)側の第1面140aよりも外側(半導体基板140の端部側)の第2面140bでドレイン電極125側に凹んでいる。
【0008】
この段差124により、半導体基板140のおもて面(p型炭化珪素層143側の主面)の中央にp型炭化珪素層143がメサ状に残っている。半導体基板140のおもて面の第1,2面140a,140bは、それぞれp型炭化珪素層143およびn-型炭化珪素層142で形成されている。活性領域101の中央部101aにおいて半導体基板140のおもて面側に、MOSFETの各単位セルのp型ベース領域113、n+型ソース領域114およびp++型コンタクト領域115、トレンチ116、ゲート絶縁膜117およびゲート電極118からなるMOSゲートが設けられている。
【0009】
活性領域101の外周部101bにおいて半導体基板140のおもて面の第1面140aの表面領域に、p+型延在部122a、p型ベース延在部113aおよびp++型コンタクト延在部115aが選択的に設けられている。p+型延在部122a、p型ベース延在部113aおよびp++型コンタクト延在部115aは、それぞれ、活性領域101の中央部101aの単位セルを構成する最も外側のp+型領域122、p型ベース領域113および最も外側のp++型コンタクト領域115の延在部であり、活性領域101の中央部101aの周囲を囲む。
【0010】
+型延在部122a、p型ベース延在部113aおよびp++型コンタクト延在部115aは、外側へ延在して半導体基板140のおもて面の第1面140aと第2面140bとをつなぐ第3面(段差のメサエッジ)140cに達する。p+型延在部122aは、段差124よりも外側へ延在して、半導体基板140のおもて面の第2面140bに露出されている。符号121,122は、トレンチ116の底面のゲート絶縁膜117にかかる電界を緩和するp+型領域である。符号119,120,125,132は、それぞれ、層間絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極およびn+型チャネルストッパ領域である。
【0011】
エッジ終端領域102には、半導体基板140のおもて面の第2面140bの表面領域においてn-型炭化珪素層142の内部に、FLR構造130を構成するフローティング(浮遊)電位の複数のp型領域(FLR:ハッチング部分)131が選択的に設けられている。複数のFLR131は、p+型延在部122aよりも外側において、p+型延在部122aと離れた位置に、活性領域101の周囲を囲む同心状に互いに離れて設けられている。すべてのFLR131は法線方向(内側から外側へ向う方向)にp+型延在部122aに対向する。すべてのFLR131は、それぞれn-型ドリフト領域112に周囲を囲まれている。
【0012】
+型延在部122aと最も内側のFLR131との間の第1間隔をx101とし、i本目のFLR131とその内側に隣り合う(i-1)本目のFLR131との第i間隔を内側から外側へ順にxj,xj+1,…とする(但し、iは2~FLR131の総本数、j=i+100)。互いに隣り合うFLR131間の第i間隔xjは、p+型延在部122aと最も内側のFLR131との間の第1間隔x101よりも広く、外側に配置されるほど一定の増加幅(法線方向の幅)で等差数列的に広くなっている(xj+1-xj=一定)。すべてのFLR131は同じ不純物濃度および同じ幅w101を有する。
【0013】
従来の炭化珪素半導体装置として、互いに隣り合うFLR間の間隔を外側に配置されるほど一定の増加幅で等差数列的に広くしたFLR構造を備えた装置が提案されている(例えば、下記特許文献1,2参照。)。下記特許文献1では、活性領域とFLR構造との間のp型リサーフ領域によって、ドレイン・ソース間電圧が高電圧となったときに、p型リサーフ領域の直下でなく、FLR構造付近に電界を集中させている。下記特許文献2では、互いに隣り合うFLR間においてn-型ドリフト領域上に絶縁層を介して設けられたフィールドプレート(FP:Field Plate)によって阻止電圧を安定させている。
【0014】
また、従来の炭化珪素半導体装置として、エッジ終端領域に、活性領域の周囲を囲む同心状にかつ等間隔に配置された複数のFLRで構成されたFLR構造と、半導体基板のおもて面の第2面と複数の各FLRとの間に設けられたn型領域と、を備えた装置が提案されている(例えば、下記特許文献3参照。)。下記特許文献3では、半導体基板のおもて面の第2面と複数の各FLRとの間のn型領域によって、半導体基板のおもて面の第2面から離れた位置にFLRを配置することで、FLRのドーズ量の変動を低減させて、炭化珪素半導体装置の耐圧のばらつきを低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2011-101036号公報
【特許文献2】特開平8-088346号公報
【特許文献3】特開2014-232838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、一般的なJTE構造では、電界強度分布の傾向に合わせて不純物濃度分布を調整するために配置される不純物濃度の異なる複数のJTE領域(p型領域)の本数と同じ回数だけイオン注入を行う必要があり、工程数が増えて、コスト増につながる。空間変調JTE構造では、イオン注入の回数は減るが、電界強度分布の傾向に合わせて不純物濃度分布を調整することは必要であるため、工程数が増えて、コスト増につながる。
【0017】
従来のFLR構造130(図13参照)では、すべてのFLR131が同じ不純物濃度であるため、イオン注入を1回行えばよく、工程数が減ることで製造コストを抑制することができるが、所定耐圧を安定して確保するには広い面積(エッジ終端領域102の長さ)が必要となる。このため、ウエハ価格の高い炭化珪素を半導体材料として用いる場合、材料コストの増大がコスト増の大きな要因となる。
【0018】
この発明は、上述した従来技術による課題を解消するため、少ない工程数で形成され所定耐圧を安定して確保可能な耐圧構造を備えた安価な炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、次の特徴を有する。炭化珪素からなる半導体基板に、活性領域と、前記活性領域の周囲を囲む終端領域と、が設けられている。前記活性領域から前記終端領域にわたって前記半導体基板の内部に、第1導電型の第1半導体領域が設けられている。前記活性領域において前記半導体基板の第1主面と前記第1半導体領域との間に、第2導電型の第2半導体領域が設けられている。前記第1半導体領域と前記第2半導体領域とのpn接合を含み、前記pn接合を通過する電流が流れる素子構造が設けられている。
【0020】
前記素子構造と前記終端領域との間において前記半導体基板の第1主面と前記第1半導体領域との間に、第2導電型外周領域が設けられている。前記第2導電型外周領域は、前記素子構造の周囲を囲む。第1電極は、前記半導体基板の第1主面に設けられ、前記第2半導体領域および前記第2導電型外周領域に電気的に接続されている。第2電極は、前記半導体基板の第2主面に設けられ、前記第1半導体領域に電気的に接続されている。前記終端領域において前記半導体基板の第1主面と前記第1半導体領域との間に、フローティング電位の複数の第2導電型のFLRが設けられている。
【0021】
複数の前記FLRは、前記活性領域の周囲を囲む同心状に互いに離れて設けられFLR構造を構成する。前記FLRは、前記半導体基板の第1主面に平行な方向に前記第2導電型外周領域の外側に対向する。前記FLR構造は、所定の前記FLRを境に2つ以上のFLR区分に分けられている。互いに隣り合う前記FLR間の間隔は、前記第2導電型外周領域と最も内側の前記FLRとの間隔より広く、外側に配置されるほど、前記FLR区分ごとの一定の増加幅で等差数列的に広くなっている。前記増加幅は、外側に配置された前記FLR区分内ほど内側に隣接する前記FLR区分内よりも広くなっている。
【0022】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記半導体基板の第1主面と前記FLRとの間に設けられた第1導電型の第3半導体領域をさらに備えることを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記FLRの本数は、30本以上であることを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記FLRの不純物濃度は、1×1018/cm3以上1×1021/cm3以下であることを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記FLRの幅は、2μm以上5μm以下であることを特徴とする。
【0026】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第2導電型外周領域と最も内側の前記FLRとの間隔は、0.1μm以上1.0μm以下であることを特徴とする。
【0027】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第3半導体領域の厚さは、0.4μm以下であることを特徴とする。
【0028】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記増加幅は、0.05μm以上0.12μm以下の範囲内であることを特徴とする。
【0029】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、2つ以上の前記FLR区分のうち、最も内側の第1FLR区分と、前記第1FLR区分の外側に隣接する第2FLR区分との境界は、内側から2本目以降外側のFLRと当該FLRの内側FLRとの間であることを特徴とする。
【0030】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、2つ以上の前記FLR区分のうち、最も外側の第3FLR区分と、前記第3FLR区分の内側に隣接する第2FLR区分との境界は、外側から3本目以降内側のFLRと当該FLRの内側FLRとの間であることを特徴とする。
【0031】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第2導電型外周領域の不純物濃度は、前記半導体基板の第1主面側で前記第2半導体領域の不純物濃度と同じであり、前記第1半導体領域側で前記FLRの不純物濃度と同じであることを特徴とする。
【0032】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記素子構造は、第1導電型の第4半導体領域と、トレンチと、ゲート電極と、第2導電型の第1高濃度領域と、第2導電型の第2高濃度領域と、を備える。前記第4半導体領域は、前記半導体基板の第1主面と前記第2半導体領域との間に選択的に設けられ、前記第1電極に電気的に接続されている。前記トレンチは、前記第4半導体領域および前記第2半導体領域を貫通して前記第1半導体領域に達する。前記ゲート電極は、前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられている。前記第1高濃度領域は、前記第1半導体領域と前記第2半導体領域との間に設けられている。
【0033】
前記第1高濃度領域は、前記第2半導体領域と離れて、前記トレンチの底面よりも前記第2電極側に選択的に設けられ、深さ方向に前記トレンチの底面に対向する。前記第1高濃度領域は、前記第2半導体領域よりも不純物濃度が高い。前記第2高濃度領域は、前記第1半導体領域と前記第2半導体領域との間に、前記トレンチおよび前記第1高濃度領域と離れて選択的に設けられ、前記第2半導体領域に接し、前記トレンチの底面よりも前記第2電極側に達する。前記第2高濃度領域の不純物濃度は、前記第1高濃度領域の不純物濃度と同じである。前記FLRの不純物濃度は、前記第1高濃度領域の不純物濃度と同じであることを特徴とする。
【0034】
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した炭化珪素半導体装置の製造方法であって、次の特徴を有する。前記第1半導体領域となる第1の第1導電型半導体層を形成する第1工程を行う。前記第1の第1導電型半導体層の表面領域に、前記第2導電型外周領域の第1部分と、前記FLRと、をそれぞれ選択的に形成する第2工程を行う。前記第1の第1導電型半導体層の上に、前記第1半導体領域となる第2の第1導電型半導体層を形成する第3工程を行う。前記第2の第1導電型半導体層の、深さ方向に前記第1部分に対向する位置に、前記第1部分に達する前記第2導電型外周領域の第2部分を選択的に形成する第4工程を行う。前記活性領域において前記第2の第1導電型半導体層の上に第2導電型半導体層を形成し、前記第2導電型半導体層の、深さ方向に前記第2部分に対向する部分を前記第2導電型外周領域の第3部分とし、残りの部分を前記第2半導体領域とする第5工程を行う。前記第2半導体領域および前記第2導電型外周領域に電気的に接続された前記第1電極を形成する第6工程を行う。前記第1半導体領域に電気的に接続された前記第2電極を形成する第7工程を行う。
【0035】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、次の特徴を有する。前記素子構造は、第1導電型の第4半導体領域と、トレンチと、ゲート電極と、第2導電型の第1高濃度領域と、第2導電型の第2高濃度領域と、を備える。前記第4半導体領域は、前記半導体基板の第1主面と前記第2半導体領域との間に選択的に設けられ、前記第1電極に電気的に接続されている。前記トレンチは、前記第4半導体領域および前記第2半導体領域を貫通して前記第1半導体領域に達する。前記ゲート電極は、前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられている。前記第1高濃度領域は、前記第1半導体領域と前記第2半導体領域との間に設けられている。前記第1高濃度領域は、前記第2半導体領域と離れて、前記トレンチの底面よりも前記第2電極側に選択的に設けられ、深さ方向に前記トレンチの底面に対向する。
【0036】
前記第1高濃度領域は、前記第2半導体領域よりも不純物濃度が高い。前記第2高濃度領域は、前記第1半導体領域と前記第2半導体領域との間に、前記トレンチおよび前記第1高濃度領域と離れて選択的に設けられ、前記第2半導体領域に接し、前記トレンチの底面よりも前記第2電極側に達する。前記第2高濃度領域の不純物濃度は、前記第1高濃度領域の不純物濃度と同じである。前記第2工程では、前記第1の第1導電型半導体層の表面領域に、前記第1部分と、前記FLRと、前記第1高濃度領域と、前記第2高濃度領域の第4部分と、をそれぞれ選択的に形成する。前記第4工程では、前記第2の第1導電型半導体層の、深さ方向に前記第1部分および前記第4部分にそれぞれ対向する位置に、前記第1部分に達する前記第2部分と、前記第4部分に達する前記第2高濃度領域の第5部分と、をそれぞれ選択的に形成することを特徴とする。
【0037】
上述した発明によれば、耐圧構造をFLR構造とすることで、耐圧構造を1回のイオン注入で形成することができるため、耐圧構造をJTE構造とする場合と比べてマスク枚数および工程数を減らすことができ、製造コストを低減させることができる。また、上述した発明によれば、終端領域の長さを短くすることができるとともに、イオン注入用マスクの寸法ばらつきのマージンをとることができ、長時間動作によって終端領域における半導体基板のおもて面上の絶縁層に蓄積される電荷による耐圧変動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明にかかる炭化珪素半導体装置によれば、少ない工程数で形成され所定耐圧を安定して確保可能な耐圧構造を備えた安価な炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】実施の形態1にかかる半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。
図2図1の切断線A-A’における断面構造を示す断面図である。
図3図2の互いに隣り合うFLR間の間隔の寸法例を示す図表である。
図4】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
図5】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
図6】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
図7】従来例の耐圧特性をシミュレーションした結果を示す特性図である。
図8】従来例の耐圧特性をシミュレーションした結果を示す特性図である。
図9】従来例の耐圧特性をシミュレーションした結果を示す特性図である。
図10】従来例の耐圧特性をシミュレーションした結果を示す特性図である。
図11】検討例1の耐圧特性をシミュレーションした結果を示す特性図である。
図12】検討例2の耐圧特性をシミュレーションした結果を示す特性図である。
図13】従来の炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0041】
(実施の形態)
実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。図1は、実施の形態にかかる半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。図2は、図1の切断線A-A’における断面構造を示す断面図である。図3は、図2の互いに隣り合うFLR間の間隔の寸法例を示す図表である。図1,2に示す実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10は、炭化珪素(SiC)からなる半導体基板(半導体チップ)40の活性領域1にトレンチゲート構造(素子構造)を備えた縦型MOSFETであり、エッジ終端領域2に、耐圧構造としてFLR構造30を備える。
【0042】
活性領域1は、MOSFETのオン時に主電流(ドリフト電流)が流れる領域であり、中央部1aに同一構造の複数の単位セル(素子の機能単位)が隣接して並列接続の配置がされる。活性領域1は、略矩形状の平面形状を有し、半導体基板40の略中央に配置される。活性領域1は、後述するp+型延在部22aの外側(半導体基板40の端部(チップ端部)側)の端部から内側(半導体基板40の中央(チップ中央)側)の部分である。エッジ終端領域2は、活性領域1とチップ端部との間の領域であり、活性領域1の周囲を略矩形状に囲む。エッジ終端領域2のFLR構造30については後述する。
【0043】
半導体基板40は、炭化珪素からなるn+型出発基板41のおもて面上にn-型ドリフト領域12およびp型ベース領域13となる各炭化珪素層42,43を順にエピタキシャル成長させてなる。半導体基板40の、p型炭化珪素層43側の主面をおもて面(第1主面)とし、n+型出発基板41側の主面を裏面(第2主面)とする。p型炭化珪素層43の、エッジ終端領域2の部分はエッチングにより除去され、半導体基板40のおもて面に段差24が形成されている。この段差24により、活性領域1にp型炭化珪素層43がメサ状に残っている。半導体基板40のおもて面は、段差24を境に、活性領域1の部分(第1面)40aよりもエッジ終端領域2の部分(第2面)40bでn+型ドレイン領域11側に凹んでいる。
【0044】
半導体基板40のおもて面の第1面40aと第2面40bとをつなぐ部分(段差24のメサエッジ以下、第3面とする)40cで、活性領域1とエッジ終端領域2とが素子分離される。半導体基板40のおもて面の第2面40bは、段差24の形成時に露出したn-型炭化珪素層42の露出面である。段差24の形成時に、p型炭化珪素層43とともにn-型炭化珪素層42が若干除去されてもよい。半導体基板40のおもて面の第3面40cは段差24の形成時に露出したp型炭化珪素層43の側面(露出面)である。半導体基板40のおもて面の第2,3面40b,40cに露出とは、半導体基板40のおもて面の第2,3面40b,40c上の層間絶縁膜19に接することである。
【0045】
活性領域1の中央部1aにおいて半導体基板40のおもて面の第1面40a側に、p型ベース領域(第2半導体領域)13、n+型ソース領域(第4半導体領域)14、p++型コンタクト領域15、トレンチ16、ゲート絶縁膜17およびゲート電極18からなるトレンチゲート構造が設けられている。n+型出発基板41はn+型ドレイン領域(第1半導体領域)11である。n-型ドリフト領域(第1半導体領域)12は、n-型炭化珪素層42の、後述する、第1,2p+型領域21,22、n型電流拡散領域(不図示)、FLR31、およびn+型チャネルストッパ領域32を除く部分であり、これらの領域とn+型出発基板41との間に、これらの領域に接して、活性領域1からエッジ終端領域2にわたって設けられている。
【0046】
p型ベース領域13は、p型炭化珪素層43の、n+型ソース領域14およびp++型コンタクト領域15を除く部分である。p型ベース領域13は、半導体基板40のおもて面の第1面40aとn-型ドリフト領域12との間に設けられている。n+型ソース領域14およびp++型コンタクト領域15は、半導体基板40のおもて面の第1面40aとp型ベース領域13との間にそれぞれ選択的に設けられ、p型ベース領域13に接し、かつ半導体基板40のおもて面の第1面40aに露出されている。半導体基板40のおもて面の第1面40aに露出とは、後述する層間絶縁膜19のコンタクトホールで後述するソース電極20に接することである。
【0047】
++型コンタクト領域15は設けられていなくてもよい。この場合、p++型コンタクト領域15に代えて、p型ベース領域13が半導体基板40のおもて面の第1面40aに露出される。n-型ドリフト領域12とp型ベース領域13との間において、トレンチ16の底面よりもn+型ドレイン領域11側に深い位置に、キャリアの広がり抵抗を低減させる、いわゆる電流拡散層(CSL:Current Spreading Layer)であるn型電流拡散領域(不図示)が設けられていてもよい。また、トレンチ16の底面よりもn+型ドレイン領域11側に深い位置には、第1,2p+型領域(第1,2高濃度領域)21,22が設けられている。
【0048】
第1,2p+型領域21,22は、トレンチ16の底面にかかる電界を緩和させる機能を有する。第1p+型領域21は、p型ベース領域13と離れて設けられ、深さ方向にトレンチ16の底面に対向する。第1p+型領域21は、図示省略する部分でソース電極20に電気的に接続されている。第2p+型領域22は、互いに隣り合うトレンチ16間に、第1p+型領域21およびトレンチ16と離れて設けられ、かつp型ベース領域13に接する。トレンチ16は、深さ方向にn+型ソース領域14およびp型ベース領域13を貫通してn-型ドリフト領域12に(n型電流拡散領域が設けられている場合はn型電流拡散領域)に達する。
【0049】
トレンチ16は、例えば、半導体基板40のおもて面に平行な方向にストライプ状に延在して、活性領域1の後述する外周部1bに達する。互いに隣り合うトレンチ16間において、p型ベース領域13、n+型ソース領域14、p++型コンタクト領域15および第2p+型領域22は、トレンチ16に平行に直線状に延在している。p++型コンタクト領域15は、トレンチ16に平行に点在していてもよい。トレンチ16の内部には、ゲート絶縁膜17を介してゲート電極18が設けられている。すべてのゲート電極18は、活性領域1の外周部1bのゲートランナー(ゲート配線層:不図示)を介して電気的に接続されている。
【0050】
層間絶縁膜19は、半導体基板40のおもて面全面に設けられ、活性領域1においてゲート電極18を覆い、活性領域1の外周部1bおよびエッジ終端領域2において、半導体基板40のおもて面を覆う。活性領域1の外周部1bおよびエッジ終端領域2において、半導体基板40のおもて面と層間絶縁膜19との間に、フィールド酸化膜が設けられてもよい。ソース電極(第1電極)20は、層間絶縁膜19のコンタクトホールを介してn+型ソース領域14およびp++型コンタクト領域15にオーミック接触して、p型ベース領域13に電気的に接続されている。ドレイン電極(第2電極)25は、半導体基板40の裏面(n+型出発基板41の裏面)全面に設けられ、n+型ドレイン領域11に電気的に接続されている。
【0051】
活性領域1の外周部1bは、活性領域1の中央部1aの周囲を略矩形状に囲む。活性領域1の外周部1bにおいて半導体基板40のおもて面の第1面40aとn-型ドリフト領域12との間の全域に、n-型ドリフト領域12側からp+型延在部22a、p型ベース延在部13aおよびp++型コンタクト延在部15aが順に積層されてなるp型領域(第2導電型外周領域)が設けられている。p+型延在部22a、p型ベース延在部13aおよびp++型コンタクト延在部15aは、活性領域1の中央部1aの周囲を略矩形状に囲む。p+型延在部22a、p型ベース延在部13aおよびp++型コンタクト延在部15aの外側端部は、半導体基板40のおもて面の第3面40cに露出されている。
【0052】
+型延在部22a、p型ベース延在部13aおよびp++型コンタクト延在部15aは、活性領域1の外周部1bにおいて半導体基板40のおもて面の第1面40aの面内での電界を均一にする機能を有する。p+型延在部22a、p型ベース延在部13aおよびp++型コンタクト延在部15aは、MOSFETのオフ時にエッジ終端領域2のn-型ドリフト領域12で発生して活性領域1へ向かって流れるホール(正孔)電流をp++型コンタクト延在部15aからソース電極20へ引き抜くための領域であり、エッジ終端領域2でのアバランシェ降伏時の正孔電流集中を抑制する機能を有する。
【0053】
+型延在部22aは、活性領域1の中央部1aの最も外側の単位セルの第2p+型領域22の延在部である。p+型延在部22aは、半導体基板40のおもて面の第2面40bよりもn+型ドレイン領域11側に深い位置に達する。p+型延在部22aは、段差24よりも外側へ延在して、半導体基板40のおもて面の第2面40bと第3面40cとの境界を全周にわたって囲む。p型ベース延在部13aは、p型ベース領域13の延在部である。p型ベース延在部13aは、半導体基板40のおもて面の第1面40aとp+型延在部22aとの間に設けられている。
【0054】
++型コンタクト延在部15aは、活性領域1の中央部1aの最も外側の単位セルのp++型コンタクト領域15の延在部である。p++型コンタクト延在部15aは、半導体基板40のおもて面の第1面40aとp型ベース延在部13aとの間に設けられている。p++型コンタクト延在部15a(p++型コンタクト延在部15aを設けない場合はp型ベース延在部13a)は、層間絶縁膜19のコンタクトホールを介してソース電極20にオーミック接触している。p+型延在部22aおよびp型ベース延在部13aは、p++型コンタクト延在部15aを介してソース電極20に電気的に接続されている。
【0055】
エッジ終端領域2には、半導体基板40のおもて面の第2面40bとn-型ドリフト領域12との間に、FLR構造30を構成するフローティング(浮遊)電位の複数のp+型領域(FLR:ハッチング部分)31と、n+型チャネルストッパ領域32と、がそれぞれ選択的に設けられている。FLR構造30は、半導体基板40のおもて面側の電界を緩和して耐圧を保持する機能を有する。耐圧とは、炭化珪素半導体装置10が使用電圧で誤動作や破壊を起こさない上限側の電圧である。FLR構造30は、後述するように所定のFLR31を境(後述する第1,2変化点b1,b2)に2つ以上のFLR区分(後述するFLR区分30a~30c)に分けられている。
【0056】
複数のFLR31は、p+型延在部22aよりも外側において、p+型延在部22aと離れた位置に、活性領域1の周囲を囲む同心状に互いに離れて設けられている。最も内側(内側から1本目)のFLR31は、法線方向(内側から外側へ向う方向)にp+型延在部22aの外側に隣り合う。すべてのFLR31はn-型炭化珪素層42にイオン注入により形成され、それぞれn-型ドリフト領域12に周囲を囲まれている。p+型延在部22aと最も内側のFLR31と、すべての互いに隣り合うFLR31間と、にn-型ドリフト領域12が位置する。FLR31の総本数は、例えば30本以上程度であることがよい。すべてのFLR31は同じ不純物濃度および同じ幅(法線方向の幅)w1を有する。
【0057】
FLR31の不純物濃度は、FLR31とn-型ドリフト領域12とのpn接合に炭化珪素半導体装置10の耐圧に近い高電圧が印加されても完全に空乏化しない例えば1×1018/cm3以上程度であり、かつ1×1021/cm3以下程度であることがよい。FLR31の不純物濃度が上記上限値を超えると、不純物拡散により、FLR31の幅w1が広くなりすぎたり、FLR31同士が連結されるため、好ましくない。FLR31の幅w1は、例えば2μm以上5μm以下程度である。図2では、p+型延在部22aと最も内側(内側から1本目)のFLR31との第1間隔をx1とし、n本目のFLR31とその内側に隣り合う(n-1)本目のFLR31との第n間隔を内側から外側へ順にxn,xn+1,…とする(但し、nは2~FLR31の総本数)。
【0058】
+型延在部22aと最も内側のFLR31との間の第1間隔x1は、不純物拡散を考慮して例えば0.1μm以上1.0μm以下程度であってもよく、好ましくは例えば0.6μm以上程度であることがよい(図11,12参照)。互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnは、p+型延在部22aと最も内側のFLR31との間の第1間隔x1より広く、外側に配置されるほど、FLR区分30a~30cごとの一定の増加幅(法線方向の幅)で等差数列的に広くなっている。p+型延在部22aの幅およびFLR31の幅w1は不純物拡散によりイオン注入用マスクの開口幅よりも内側および外側にそれぞれ0.2μm~0.3μm程度広くなるため、第m間隔xm(但しmは1~FLR31の総本数)はイオン注入用マスクの残し幅(開口部間の幅)よりも狭くなる。
【0059】
互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnの増加幅は、1カ所以上の所定のFLR31を境に分けられた各FLR区分内で一定であり、外側に配置されたFLR区分内ほど内側に隣接するFLR区分内よりも広くなっている。具体的には、例えば、互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnの増加幅を、2カ所のFLR31を境(内側から外側へ順に第1,2変化点b1,b2とする)にそれぞれ変化させる場合、FLR構造30は3つのFLR区分(内側から外側へ順に符号30a~30cを付す)に分けられる。互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnの増加幅は、第1変化点b1よりも内側(最も内側)のFLR区分30a内よりも、FLR区分30aの外側に隣接する第1,2変化点b1,b2間のFLR区分30b内で広くなっている。
【0060】
互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnの増加幅は、第1,2変化点b1,b2間のFLR区分30bよりも、FLR区分30bの外側に隣接する第2変化点b2よりも外側のFLR区分30c内で広くなっている。同一のFLR区分30a~30c内において、互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnの増加幅は一定である(xn+1-xn=一定)。同一のFLR区分30a~30c内で外側に配置されるほど、互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnは一定の増加幅で等差数列的に広くなっている。互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnの増加幅は、例えば0.05μm以上0.12μm以下程度の範囲内であることがよい(図7,8,11参照)。
【0061】
互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnの増加幅の最も内側の第1変化点b1は、内側から2本目のFLR31の位置を下限とし、内側から2本目以降外側のFLR31に設定される。したがって、最も内側のFLR区分(第1FLR区分)30aには、p+型延在部22aと最も内側のFLR31との間の第1間隔x1の部分と、互いに隣り合う1,2本目のFLR31間の第2間隔x2の部分と、が少なくとも含まれる。第1変化点b1よりも外側のFLR区分(第2FLR区分:ここではFLR区分30b)に、内側から3つ目(互いに隣り合う2,3本目のFLR31間の第3間隔x3)以降の外側の第n間隔xnの部分が含まれる。
【0062】
互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnの増加幅の最も外側の変化点(ここでは第2変化点b2)は、外側から3本目のFLR31(ここで例えばFLR31の総本数を30本とすると28本目のFLR31)の位置を上限とし、外側から3本目以降内側のFLR31に設定される。したがって、最も外側のFLR区分(第3FLR区分:ここではFLR区分30c)に外側から2つの第n間隔xn(例えば第29,30間隔x29,x30)の部分が少なくとも含まれ、最も外側の変化点よりも内側のFLR区分(第2FLR区分:ここではFLR区分30b)に外側から3つ目(例えば第28間隔x28)以降の内側の第n間隔xnの部分が含まれる。
【0063】
FLR構造30は、3つ以上のFLR区分に分けられていることが好ましい。FLR構造30の各FLR区分にそれぞれ含まれる互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnの部分の個数(最も内側のFLR区分30aはp+型延在部22aと最も内側のFLR31との間の第1間隔x1の部分も含めた個数)は同じであることがよい。その理由は、活性領域1の主接合(p型ベース領域13、第1,2p+型領域21,22およびp+型延在部22aとn-型ドリフト領域12とのpn接合)からn-型ドリフト領域12内を外側へ延びる空乏層の広がりかたを、FLR構造30の内側、中央および外側それぞれで適宜設定(調整)することができるからである。
【0064】
炭化珪素半導体装置10の長時間動作によって半導体基板40のおもて面の第2面40bを覆う絶縁層(フィールド酸化膜および層間絶縁膜19)が正(プラス)に帯電したときに、絶縁層中のプラス電荷によってn-型ドリフト領域12内の空乏層の広がりが抑制されることでエッジ終端領域2の内側に生じる電界集中を、FLR構造30の内側のFLR区分(ここではFLR区分30a)で分散させる。炭化珪素半導体装置10の長時間動作によって半導体基板40のおもて面の第2面40bを覆う絶縁層が負(マイナス)に帯電したときに、絶縁層中のマイナス電荷によってn-型ドリフト領域12内の空乏層が外側へ延びやすくなることで生じる耐圧低下を、FLR構造30の外側のFLR区分(ここではFLR区分30c)で抑制する。
【0065】
半導体基板40のおもて面の第2面40bを覆う絶縁層が帯電していない通常時(電荷ゼロ)には、FLR構造30の中央付近のFLR区分(ここではFLR区分30b)でn-型ドリフト領域12内の空乏層を外側へ延びやすくして、エッジ終端領域2の中央付近で負担する耐圧を分散させることがよい。上記第m間隔xm(但しmは1~FLR31の総本数)の寸法例を、p+型延在部22aおよびFLR31を形成するためのイオン注入用マスクの残し幅(開口部間の幅)で図3に示す。図3の「No.」はFLR31の内側からの本数である。図3では、FLR31の総本数が30本であり、内側から10,20本目のFLR31の位置が第m間隔xmの増加幅の第1,2変化点b1,b2である。
【0066】
最も内側のFLR区分30aには、p+型延在部22aと最も内側のFLR31との間の第1間隔x1の部分から、互いに隣り合う9,10本目のFLR31間の第10間隔x10の部分までが含まれる。第1間隔x1を例えば1μmとし、最も内側のFLR区分30a内において互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnの増加幅を0.05μmとする。この場合、互いに隣り合う1,2本目のFLR31間の第2間隔x2は1.05μm(=1μm+0.05μm)であり、外側に配置されるほど0.05μmの増加幅で等差数列的に広くなり、FLR区分30aにおいて最も外側の互いに隣り合う9,10本目のFLR31間の第10間隔x10は1.45μm(=1μm+0.05μm×9)である。
【0067】
第1,2変化点b1,b2間のFLR区分30bには、互いに隣り合う10,11本目のFLR31間の第11間隔x11の部分から、互いに隣り合う19,20本目のFLR31間の第20間隔x20の部分までが含まれる。第1,2変化点b1,b2間のFLR区分30b内において、最も内側のFLR区分30a内よりも、互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnの増加幅を広くして0.08μmとする。この場合、互いに隣り合う10,11本目のFLR31間の第11間隔x11は1.53μm(=1.45μm+0.08μm)であり、外側に配置されるほど0.08μmの増加幅で等差数列的に広くなり、FLR区分30bにおいて最も外側の互いに隣り合う19,20本目のFLR31間の第20間隔x20は2.25μm(=1.45μm+0.08μm×10)である。
【0068】
最も外側のFLR区分30cには、互いに隣り合う20,21本目のFLR31間の第21間隔x21の部分から、互いに隣り合う29,30本目のFLR31間の第30間隔x30の部分までが含まれる。最も外側のFLR区分30c内において、第1,2変化点b1,b2間のFLR区分30b内よりも、互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnの増加幅を広くして0.12μmとする。この場合、互いに隣り合う20,21本目のFLR31間の第21間隔x21は2.37μm(=2.25μm+0.12μm)であり、外側に配置されるほど0.12μmの増加幅で等差数列的に広くなり、FLR区分30cにおいて最も外側の互いに隣り合う29,30本目のFLR31間の第30間隔x30は3.45μm(=2.25μm+0.12μm×10)である。
【0069】
半導体基板40のおもて面の第2面40bを覆う絶縁層中がプラスおよびマイナスのいずれに帯電したとしても、当該絶縁層が帯電していない通常時の耐圧特性とほぼ同じ耐圧特性が得られるようにn-型ドリフト領域12内の空乏層の広がりかたを設定することができればよく、FLR区分の個数と、FLR構造30の各FLR区分にそれぞれ含まれる互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnの部分の個数と、は適宜変更可能である。したがって、FLR31の総本数を30本とした場合、FLR構造30の中央付近のFLR区分で、互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnの部分の個数を相対的に多く例えば20個として、半導体基板40のおもて面の第2面40bを覆う絶縁層が帯電していないときのエッジ終端領域2の所定耐圧を確保することができればよい。
【0070】
FLR構造30の内側および外側の各FLR区分で、それぞれ、互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnの部分の個数を残りの5個ずつとする。そして、FLR構造30の内側のFLR区分内で外側に配置されるほど、互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnを一定の増加幅で等差数列的に広くすることで、エッジ終端領域2の内側で空乏層を外側へ延びやすくして、絶縁層中のプラス電荷によるエッジ終端領域2の内側での電界集中を分散させることができればよい。FLR構造30の外側のFLR区分内で内側に配置されるほど、互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnを一定の増加幅で等差数列的に狭くすることで、エッジ終端領域2の外側での空乏層の外側への延びを抑制して、絶縁層中のマイナス電荷による耐圧低下を抑制することができればよい。
【0071】
すべてのFLR31は、同じ深さ位置に配置され、かつ同じ厚さを有する。すべてのFLR31は、半導体基板40のおもて面の第2面40bに達して露出されていてもよい(不図示)が、半導体基板40のおもて面の第2面40bよりも深い位置に配置されていることがよい(図2)。すなわち、半導体基板40のおもて面の第2面40bとすべてのFLR31との間に、所定の厚さt1でn-型ドリフト領域(第3半導体領域)12が存在していることがよい。FLR31が半導体基板40のおもて面の第2面40bから離れていることで、炭化珪素半導体装置10の長時間動作によって半導体基板40のおもて面の第2面40bを覆う絶縁層に蓄積された電荷の悪影響を受けにくくすることができる。
【0072】
半導体基板40のおもて面の第2面40bとFLR31との間のn-型ドリフト領域12の厚さt1は、段差24を形成するためのエッチング深さのばらつき(0.2μm程度)を考慮して、例えば0.4μm以下程度であることがよい。FLR31は、活性領域1の第1p+型領域21と同時に形成されることがよい。FLR31とp+型延在部22aとが同じ深さ位置に配置されることで、p+型延在部22aの外側端部への電界集中が抑制されるからである。また、FLR31を第1p+型領域21のみと同時に形成することで、段差24を形成するためのエッチング深さのばらつきの影響を受けずに、FLR31の所定厚さ(深さ方向の長さ)を安定して確保することができる。
【0073】
+型チャネルストッパ領域32は、FLR構造30の外側に、FLR構造30と離れて設けられている。n+型チャネルストッパ領域32は、半導体基板40のおもて面の第2面40bおよびチップ端部に露出される。n+型チャネルストッパ領域32は、フローティング電位を有する。n+型チャネルストッパ領域32はn-型ドリフト領域12に周囲を囲まれており、n+型チャネルストッパ領域32と最も外側のFLR31との間は、n-型ドリフト領域12である。n+型チャネルストッパ領域32は、例えばn+型ソース領域14と略同じ不純物濃度であってもよい。半導体基板40のおもて面の第2面40bに、フィールドプレート(FP)やチャネルストッパ電極は設けられていない。
【0074】
実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10の動作について説明する。ソース電極20に対して正の電圧(順方向電圧)がドレイン電極25に印加された状態で、ゲート電極18にゲート閾値電圧以上の電圧が印加されると、p型ベース領域13のトレンチ16に沿った部分にチャネル(n型の反転層)が形成される。それによって、n+型ドレイン領域11からn-型ドリフト領域12およびチャネル(p型ベース領域13の内部にトレンチ16の側壁に沿って形成されるn型の反転層)を通ってn+型ソース領域14へ向かう電流が流れ、MOSFET(炭化珪素半導体装置10)がオンする。
【0075】
一方、ソース・ドレイン間に順方向電圧が印加された状態で、ゲート電極18にゲート閾値電圧未満の電圧が印加されたときに、活性領域1において、p型ベース領域13、第1,2p+型領域21,22およびp+型延在部22aとn-型ドリフト領域12とのpn接合(活性領域1の主接合)が逆バイアスされることで、MOSFETはオフ状態を維持する。このとき、当該pn接合からn+型ドレイン領域11側へn-型ドリフト領域12内に空乏層が広がることで、当該pn接合よりもソース電極20側に位置するトレンチ16の底面のゲート絶縁膜17にかかる電界が緩和される。
【0076】
さらに、MOSFETのオフ時、n-型ドリフト領域12内の空乏層がエッジ終端領域2を外側(チップ端部側)へ向かって延びた分だけ、炭化珪素の絶縁破壊電界強度および空乏層幅(法線方向の幅)に基づく所定耐圧を確保することができる。実施の形態においては、FLR構造30の互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnが外側に配置されるほどFLR区分30a~30cごとの一定の増加幅で等差数列的に広くなっていることで、エッジ終端領域2の長さw2を従来構造(図13)のエッジ終端領域102の長さw102よりも短くしても、従来構造と同程度の所定耐圧を安定して得ることができる。
【0077】
次に、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10の製造方法について説明する。図4~6は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。図4~6には、1つのチップ領域50aの活性領域1の外周部1bおよびエッジ終端領域2(図2参照)のみを示し、活性領域1の中央部1aについては図2を参照して説明する。チップ領域50aは、半導体ウエハ50のダイシング(切断)後に半導体チップ(半導体基板40)となる領域であり、半導体ウエハ50の中央部に例えば格子状のダイシングライン(切断線)50bに周囲を囲まれたマトリクス状に複数形成される。
【0078】
まず、図4に示すように、n+型出発基板41となるn+型出発ウエハ51のおもて面に、n-型ドリフト領域12となるn-型炭化珪素層(第1の第1導電型半導体層)42aをエピタキシャル成長させる(第1工程)。次に、フォトリソグラフィおよびp型不純物のイオン注入により、同一のイオン注入用マスクを用いて、n-型炭化珪素層42aの表面領域に、活性領域1の中央部1aの第1p+型領域21と、活性領域1の中央部1aの第2p+型領域22の下部(第4部分)と、活性領域1の外周部1bのp+型延在部22aの下部(第1部分)52と、エッジ終端領域2のFLR構造30のすべてのFLR31と、をそれぞれ選択的に形成する(第2工程)。
【0079】
FLR構造30のFLR31を第1p+型領域21と同時に形成することで、FLR31を形成するためだけのイオン注入工程を必要としないため、工程数を低減させることができる。また、同一のイオン注入用マスクで他の領域(第1p+型領域21、第2p+型領域22の下部およびp+型延在部22a)とFLR31とを同時に形成することで、イオン注入用マスクの枚数を減らすことができ、製造コストを低減させることができる。また、FLR構造30のFLR31をp+型延在部22aの下部52と同時に形成することで、p+型延在部22aと同じ深さ位置にFLR31を配置することができる。
【0080】
次に、図5に示すように、第1p+型領域21等の形成に用いたイオン注入用マスク(不図示)を除去した後、n-型炭化珪素層42a上にさらにn-型炭化珪素層(第2の第1導電型半導体層)42bをエピタキシャル成長させて厚さを増やすことで(第3工程)、製品(炭化珪素半導体装置10)厚さのn-型炭化珪素層42(42a,42b)を形成する。次に、フォトリソグラフィおよびp型不純物のイオン注入により、活性領域1の中央部1aにおいてn-型炭化珪素層42bに第2p+型領域22の上部(第5部分)を形成する。深さ方向に第2p+型領域22の上部と下部とが連結されて、第2p+型領域22が形成される。
【0081】
第2p+型領域22の上部と同時に、活性領域1の外周部1bにおいてn-型炭化珪素層42bにp+型延在部22aの上部(第2部分)53を形成する(第4工程)。深さ方向にp+型延在部22aの上部53と下部52とが連結されて、p+型延在部22aが形成される。エッジ終端領域2におけるn-型炭化珪素層42bにはイオン注入を行わない。このため、エッジ終端領域2においては、すべてのFLR31がn-型ドリフト領域12として残るn-型炭化珪素層42bで覆われた状態となる。次に、n-型炭化珪素層42の表面に、p型ベース領域13となるp型炭化珪素層43をエピタキシャル成長させる(第5工程)。
【0082】
ここまでの工程で、n+型出発ウエハ51のおもて面上にn-型ドリフト領域12およびp型ベース領域13となる各炭化珪素層42,43を順にエピタキシャル成長させた半導体ウエハ50が完成する。n型電流拡散領域(不図示)を形成する場合、n-型ドリフト領域12となるn-型炭化珪素層42a,42bをエピタキシャル成長させるごとに、フォトリソグラフィおよびn型不純物のイオン注入により、活性領域1の全域にわたって、n-型炭化珪素層42a,42bにそれぞれ深さ方向に連結されるようにn型電流拡散領域の下部および上部を形成すればよい。
【0083】
次に、図6に示すように、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、p型炭化珪素層43のエッジ終端領域2の部分を除去して、活性領域1にのみp型炭化珪素層43を残す。これによって、半導体ウエハ50のおもて面に、内側部分(第1面40a)よりも外側部分(第2面40b)をn+型出発ウエハ51側に低くした(凹ませた)段差24が形成され、エッジ終端領域2において半導体ウエハ50のおもて面の第2面40bにn-型炭化珪素層42bが露出される。半導体ウエハ50のおもて面の第2面40bに露出されたn-型炭化珪素層42bの表面領域が若干除去されてもよい。
【0084】
例えばn-型炭化珪素層42bの内部にFLR31を形成した場合、段差24を形成するためのエッチングによりn-型炭化珪素層42bの表面領域が若干除去されることで、FLR31の厚さが変わってしまう。一方、上述したようにn-型炭化珪素層42aの内部にのみFLR31を形成し、n-型炭化珪素層42bの内部にFLR31を形成しないことで、段差24の形成時にn-型炭化珪素層42bの表面領域が若干除去されたとしても、FLR31を所定の厚さで残すことができる。また、FLR31上に、n-型ドリフト領域12となるn-型炭化珪素層42bを残すことができる。
【0085】
次に、p型炭化珪素層43の部分除去に用いたエッチング用マスク(不図示)を除去する。次に、フォトリソグラフィ、イオン注入およびイオン注入用マスク(不図示)の除去を1組とする工程を異なる条件で繰り返し行って、半導体ウエハ50のおもて面(p型炭化珪素層43側の主面)の表面領域において、p型炭化珪素層43の内部にn+型ソース領域14、p++型コンタクト領域15およびp++型コンタクト延在部15aをそれぞれ選択的に形成する。n+型ソース領域14およびp++型コンタクト領域15の形成順序は入れ替え可能である。
【0086】
+型ソース領域14の形成と同時に、半導体ウエハ50のおもて面の第2面40bの表面領域(n-型炭化珪素層42の表面領域)に、互いに隣り合うチップ領域50aの端部間に跨ってn+型チャネルストッパ領域32を選択的に形成してもよい。n-型炭化珪素層42(42a,42b)の、第1、2p+型領域21,22、p+型延在部22a、FLR31およびn+型チャネルストッパ領域32を除く部分がn-型ドリフト領域12となる。p型炭化珪素層43の、n+型ソース領域14、p++型コンタクト領域15およびp++型コンタクト延在部15aを除く部分がp型ベース領域13およびp型ベース延在部(第3部分)13aとなる。
【0087】
次に、イオン注入した不純物を熱処理により活性化させる。次に、一般的な方法により、トレンチ16、ゲート絶縁膜17、ゲート電極18、層間絶縁膜19、ソース電極20(第6工程)、ドレイン電極25(第7工程)およびパッシベーション膜(ポリイミド保護膜:不図示)を形成する。次に、パッシベーション膜の、ダイシングライン50b上の部分を除去する。その後、半導体ウエハ50をダイシングライン50bに沿ってダイシングしてチップ領域50aを個々の半導体チップ(半導体基板40)に個片化することで、図1,2の炭化珪素半導体装置10が完成する。
【0088】
以上、説明したように、実施の形態によれば、エッジ終端領域に、活性領域の周囲を同心状に囲むフローティング電位の複数のFLRからなるFLR構造が設けられている。FLR構造は、所定のFLRを境に2つ以上のFLR区分に分けられている。互いに隣り合うFLR間の間隔は外側に配置されるほどFLR区分ごとの一定の増加幅で等差数列的に広くなっており、当該増加幅は外側のFLR区分ほど広くなっている。これによって、エッジ終端領域の長さを短くすることができるとともに、イオン注入用マスクの寸法ばらつきのマージンをとることができ、長時間動作によってエッジ終端領域における半導体基板のおもて面上の絶縁層に蓄積される電荷による耐圧変動が抑制される。
【0089】
また、実施の形態によれば、エッジ終端領域の長さが短くなることで、材料コストの増大を抑制することができる。また、実施の形態によれば、耐圧構造をFLR構造とすることで、1枚のイオン注入用マスクを用いて1回のイオン注入工程で耐圧構造を形成することができ、耐圧構造をJTE構造とする場合と比べてマスク枚数および工程数を減らすことができ、製造コストを抑制することができる。また、FLRを活性領域の第1p+型領域と同時に形成することで、さらにマスク枚数および工程数を減らすことができる。したがって、少ない工程数で形成され所定耐圧を安定して確保可能な耐圧構造を備えた安価な炭化珪素半導体装置を提供することができる。
【0090】
(検討例)
上述した実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10(以下、検討例1,2とする:図2参照)の耐圧特性について検証した。図7~10は、従来例の耐圧特性をシミュレーションした結果を示す特性図である。図11,12は、それぞれ検討例1,2の耐圧特性をシミュレーションした結果を示す特性図である。検討例1は、上述した図3の寸法条件でFLR構造30をFLR区分30a~30cに分けている。検討例2は、FLR31の総本数が検討例1と異なる。検討例1,2において、FLR31の不純物濃度および幅w1をそれぞれ1×1018/cm3および3μmとした。半導体基板40のおもて面の第2面40bとFLR31との間のn-型ドリフト領域12の厚さt1を0.2μmとした。
【0091】
比較として、従来の炭化珪素半導体装置110(以下、従来例とする:図13参照)のエッジ終端領域102の耐圧の信頼性について検証した。従来例が検討例1と異なる点は、エッジ終端領域102に一般的なFLR構造130を備える点である。したがって、従来例では、FLR構造130をFLR区分に分けておらず、FLR構造130の全域にわたって互いに隣り合うFLR131間の第i間隔xjの増加幅が一定である(但し、iは2~FLR131の総本数、j=i+100)。従来例において、FLR131の不純物濃度、FLR131の幅w101、および、半導体基板140のおもて面の第2面140bとFLR131との間のn-型ドリフト領域112の厚さt101は検討例1と同じである。
【0092】
まず、従来例のエッジ終端領域102の耐圧特性について説明する。従来例のFLR構造130の互いに隣り合うFLR131間の第i間隔xjの増加幅(横軸)を種々変更して、エッジ終端領域102の耐圧BVdss(縦軸)をシミュレーションした結果を図7,8に示す。図7,8には、それぞれ、p+型延在部122aと最も内側のFLR131との間の第1間隔x101を1.0μmおよび0.7μmとした場合を示す。図7,8の従来例は、FLR131の総本数を30本とした。図7,8には、半導体基板140のおもて面の第2面140bを覆う絶縁層(フィールド酸化膜および層間絶縁膜119)がプラスに帯電(プラス電荷が蓄積)した場合、絶縁層がマイナスに帯電(マイナス電荷が蓄積)した場合、絶縁層が帯電していない通常時(電荷ゼロ)を示す(図9,10においても同様)。
【0093】
図7,8に示す結果から、従来例では、高温度での長時間動作により半導体基板140のおもて面の第2面140bを覆う絶縁層(以下、単に絶縁層とする)に蓄積される電荷によって耐圧変動が生じることが確認された。具体的には、互いに隣り合うFLR131間の第i間隔xjの増加幅を狭くした設定(横軸の原点側)において絶縁層がマイナスに帯電すると、通常時と比べて耐圧が低下する傾向にある。互いに隣り合うFLR131間の第i間隔xjの増加幅を広くした設定(横軸の原点から離れた側)において絶縁層がプラスに帯電すると、通常時と比べて耐圧が低下する傾向にあることが確認された。また、互いに隣り合うFLR131間の第i間隔xjの増加幅を0.075μmとした設定で耐圧特性が最も安定したが、図7,8のすべての設定で通常時と比べて100V以上の耐圧変動が生じた。
【0094】
そこで、互いに隣り合うFLR131間の第i間隔xjの増加幅を0.075μmとし、p+型延在部122aと最も内側のFLR131との間の第1間隔x101(横軸)を種々変更して、エッジ終端領域102の耐圧(縦軸)をシミュレーションした結果を図9,10に示す。図9,10の従来例はそれぞれFLR131の総本数を30本および60本とした。図9,10において横軸は、p+型延在部122aと最も内側のFLR131との間の第1間隔x101の部分を形成するためのイオン注入用マスクの残し幅(第1間隔x101の部分を覆う幅)である。マスク寸法下限とは、p+型延在部122aと最も内側のFLR131との間の第1間隔x101の部分を不純物拡散により消失させないために必要なイオン注入用マスクの残し幅の下限値である。
【0095】
図9に示す結果より、図7,8の従来例の設定のうち耐圧特性が最も安定した図8の設定c1(互いに隣り合うFLR131間の第i間隔xjの増加幅を0.075μmとし、p+型延在部122aと最も内側のFLR131との間の第1間隔x101を0.7μmとした設定)と同じ設定c2の1点でのみ耐圧特性が安定することが確認された。p+型延在部122aと最も内側のFLR131との間の第1間隔x101を狭くした設定(横軸の原点側)においてマイナス電荷による耐圧変動が大きくなり、p+型延在部122aと最も内側のFLR131との間の第1間隔x101を広くした設定(横軸の原点から離れた側)においてプラス電荷による耐圧変動が大きくなることが確認された。
【0096】
図10に示す結果より、FLR131の総本数を図9の従来例の2倍の60本に増やすことで、p+型延在部122aと最も内側のFLR131との間の第1間隔x101を狭くした設定においてマイナス電荷による耐圧変動を抑制することができたが、p+型延在部122aと最も内側のFLR131との間の第1間隔x101を広くした設定においてプラス電荷による耐圧変動は改善されないことが確認された。なお、p+型延在部122aと最も内側のFLR131との間の第1間隔x101を狭くするほど、FLR131のイオン注入工程が難しくなることが本発明者により確認されている。また、図10の従来例のエッジ終端領域102の長さw102は355μmであり、図9の従来例のエッジ終端領域102の長さw102(=144μm)の2倍以上長くなることが確認された。
【0097】
一方、図11,12に示す結果より、検討例1,2においては、従来例と比べて、高温度での長時間動作により半導体基板40のおもて面の第2面40bを覆う絶縁層(フィールド酸化膜および層間絶縁膜19)に蓄積される電荷による耐圧変動が抑制され、通常時と比べて100V未満となることが確認された。検討例1,2において、p+型延在部22aと最も内側のFLR31との間の第1間隔x1(横軸)を種々変更して、エッジ終端領域2の耐圧BVdss(縦軸)をシミュレーションした結果を図11,12に示す。図11,12には、半導体基板40のおもて面の第2面40bを覆う絶縁層(以下、単に絶縁層とする)がプラスに帯電(プラス電荷が蓄積)した場合、マイナスに帯電(マイナス電荷が蓄積)した場合、帯電していない通常時(電荷ゼロ)を示す。
【0098】
図11,12において横軸は、p+型延在部22aと最も内側のFLR31との間の第1間隔x1の部分を形成するためのイオン注入用マスクの残し幅(第1間隔x1の部分を覆う幅)である。マスク寸法下限とは、p+型延在部22aと最も内側のFLR31との間の第1間隔x1の部分を不純物拡散により消失させないために必要なイオン注入用マスクの残し幅の下限値である。具体的には、検討例1,2(図11,12)においては、p+型延在部22aと最も内側のFLR31との間の第1間隔x1を1μm以下に設定することで絶縁層に蓄積された電荷による耐圧変動が抑制され、図9,10の従来例と比べて安定した耐圧特性を得ることができることが確認された。
【0099】
したがって、p+型延在部22aと最も内側のFLR31との間の第1間隔x1を1μm以下に設定することで、FLR31を形成するためのイオン注入用マスクの寸法ばらつきのマージンをとることができる。さらに、図12の検討例2の結果からFLR31の総本数を増やすことで、耐圧特性をさらに安定させることができ、p+型延在部22aと最も内側のFLR31との間の第1間隔x1を0.6μm以上1.0μm以下とした設定において耐圧変動がほぼ生じないことが確認された。なお、検討例2では、3つのFLR区分30a~30cにそれぞれ12本ずつFLR31が配置され、互いに隣り合うFLR31間の第k間隔xkを検討例1と異なる寸法としている(k=2~36)。
【0100】
また、従来例(図10参照)では、FLR131の総本数を60本として、エッジ終端領域102の長さw102を355μmまで長くしても耐圧特性が安定しないのに対し、検討例2においては、エッジ終端領域2の長さw2を171μmまで短くしても安定した耐圧特性を得ることができる。
【0101】
以上において本発明は、上述した各実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、活性領域からエッジ終端領域にわたって半導体基板のおもて面が平坦になっている(段差が形成されない)場合にも本発明を適用可能である。また、本発明は、導電型(n型、p型)を反転させても同様に成り立つ。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上のように、本発明にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法は、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用されるパワー半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0103】
1 活性領域
1a 活性領域の中央部
1b 活性領域の外周部
2 エッジ終端領域
10 炭化珪素半導体装置
11 n+型ドレイン領域
12 n-型ドリフト領域
13 p型ベース領域
13a p型ベース延在部
14 n+型ソース領域
15 p++型コンタクト領域
15a p++型コンタクト延在部
16 トレンチ
17 ゲート絶縁膜
18 ゲート電極
19 層間絶縁膜
20 ソース電極
21,22 p+型領域
22a p+型延在部
24 半導体基板のおもて面の段差
25 ドレイン電極
30 FLR構造
31 FLR
30a~30c FLR区分
32 n+型チャネルストッパ領域
40 半導体基板
40a 半導体基板のおもて面の第1面(段差よりも内側の部分)
40b 半導体基板のおもて面の第2面(段差よりも外側の部分)
40c 半導体基板のおもて面の第3面(段差のメサエッジ)
41 n+型出発基板
42,42a,42b n-型炭化珪素層
43 p型炭化珪素層
50 半導体ウエハ
50a チップ領域
50b ダイシングライン
51 n+型出発ウエハ
52 p+型延在部の下部
53 p+型延在部の上部
b1,b2 互いに隣り合うFLR31間の第n間隔xnの増加幅の変化点
t1 半導体基板のおもて面の第2面とFLRとの間のn-型ドリフト領域の厚さ
1+型延在部と最も内側のFLRとの間の第1間隔
n 互いに隣り合うFLR間の第n間隔(nは2~FLRの総本数)
図1
図2
図3
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図10
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図13