(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168906
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/87 20060101AFI20221101BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20221101BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20221101BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
A61K8/87
A61K8/81
A61Q11/00
A61P1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074582
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】391066490
【氏名又は名称】日本ゼトック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】大村 幸平
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 みずき
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC122
4C083AC302
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD352
4C083BB55
4C083CC41
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE07
4C083EE31
(57)【要約】
【課題】乾燥してもフィルム化せずに可塑性を十分に保持し、口腔内の清掃性を阻害せず、長期にわたって口腔内の乾燥を抑制することが可能な口腔用組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係る口腔用組成物は、疎水変性ポリエーテルウレタンからなる成分Aと、ポリアクリル酸及び/又はポリアクリル酸塩からなる成分Bとを含むものである。また、本発明に係る口腔用組成物では、前記成分Aの含有量は、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましい。また、本発明に係る口腔用組成物では、前記成分Bの含有量は、0.001質量%以上3質量%以下であることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水変性ポリエーテルウレタンからなる成分Aと、ポリアクリル酸及び/又はポリアクリル酸塩からなる成分Bとを含む、口腔用組成物。
【請求項2】
前記成分Aの含有量は、0.01質量%以上10質量%以下である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
前記成分Bの含有量は、0.001質量%以上3質量%以下である、請求項1または2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
前記成分Aの含有量をX[質量%]、前記成分Bの含有量をY[質量%]としたとき、0.0033≦X/Y≦10000の関係を満足する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ストレス、加齢、薬物の副作用等の影響によって、唾液分泌が減少し、ドライマウス症候群を発症するケースが増えている。
ドライマウス症候群を発症すると、口の中が乾き、様々な不快症状が出て、ひどくなると舌がヒビ割れたり、食べ物の味がわかりにくくなる味覚障害が生じる場合がある。
また、唾液には、抗菌作用や自浄作用などがあり、健康を守る重要な働きがあるため、唾液が少なくなると口臭が強くなり、虫歯や歯周病、口内炎などの病気にかかりやすくなる。
【0003】
ドライマウス症候群の改善技術として、例えば、口腔内の乾燥を抑制する口腔用組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の口腔用組成物では、一時的には口腔内の乾燥を抑制することができるが、一定時間経った際に製剤がフィルム化する場合があり、口腔内の清掃性が低下する問題もあった。また、フィルム化してしまうと、十分に口腔内の乾燥を抑制するのが困難であった。
【0006】
そこで、本発明では、乾燥してもフィルム化せずに可塑性を十分に保持し、口腔内の清掃性を阻害せず、長期にわたって口腔内の乾燥を抑制することが可能な口腔用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る口腔用組成物は、疎水変性ポリエーテルウレタンからなる成分Aと、ポリアクリル酸及び/又はポリアクリル酸塩からなる成分Bとを含む。
【0008】
また、本発明に係る口腔用組成物では、前記成分Aの含有量は、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る口腔用組成物では、前記成分Bの含有量は、0.001質量%以上3質量%以下であることが好ましい。
また、本発明に係る口腔用組成物では、前記成分Aの含有量をX[質量%]、前記成分Bの含有量をY[質量%]としたとき、0.0033≦X/Y≦10000の関係を満足することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、乾燥してもフィルム化せずに可塑性を十分に保持し、口腔内の清掃性を阻害せず、長期にわたって口腔内の乾燥を抑制することが可能な口腔用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の口腔用組成物の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明に係る口腔用組成物は、疎水変性ポリエーテルウレタンからなる成分Aと、ポリアクリル酸及び/又はポリアクリル酸塩からなる成分Bとを含むものである。
【0012】
このような成分A及び成分Bを含むことにより、口腔用組成物の口腔内への滞留性が高いものとなり、口腔内の乾燥を抑制することができる。さらに、両成分を含むことで、乾燥しても口腔用組成物の可塑性を保持し、口腔内の清掃性を阻害せず、長期にわたって口腔内が乾燥するのを抑制することができる。
すなわち、本発明に係る口腔用組成物は、口腔湿潤剤として機能する製剤である。
【0013】
なお、本明細書中における口腔用組成物の性状は、液状、ジェル状、練状等、いかなるものであってもよいが、ジェル状であるのが好ましい。
【0014】
以下、各成分について説明する。
<成分A>
本発明の口腔用組成物は、成分Aとして疎水変性ポリエーテルウレタンを含む。
疎水変性ポリエーテルウレタンは、ポリオキシエチレン化された親水性鎖によって分離された少なくとも2つのC6-C30アルキル鎖を含むグラフト又はシーケンシャルポリマーである少なくとも1つの会合ポリウレタンである。より具体的には、疎水変性ポリエーテルウレタンとしては、例えば、ポリエチレングリコールとジイソシアネートとポリオキシエチレンアルキルエーテルの反応物(共重合体)が挙げられる。
【0015】
一般に、ポリエチレングリコールは、エチレンオキシドを重合して得られる物質であり、粘稠性を有し、刺激がなく、水に溶け、しかも潤滑性があるその独特な性質から、水性ペイント、ペーパーコーティング、接着剤、印刷インキ、その他界面活性剤などに広く利用されている化合物である。ポリエチレングリコールは、薬物に対する溶解性、相溶性に優れていることより、生体関連分野である医薬品業界、化粧品業界では、医薬品製造、化粧品製造の重要な原料となっている化合物であり、特に、日本薬局方医薬品「マクロゴール」として、分子量の違いにより、種々の薬物の溶解剤や、賦形剤、化粧品原料として利用されている化合物でもある。上述したようなポリエチレングリコールの中でも、重合度が200~2000のポリエチレングリコールが好ましく、重合度が200~300のポリエチレングリコールがより好ましい。
【0016】
ジイソシアネートとしては、脂肪族ジイソシアネートを用いるのが好ましい。脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジプロピルエーテルジイソシアネート、2,2-ジメチルペンタンジイソシアネート、3-メトキシヘキサンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルペンタンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、3-ブトキシヘキサンジイソシアネート、1,4-ブチレングリコールジプロピルエーテルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、パラキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0017】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、HO-(CH2CH2O)n-Rで表され、nは平均重合度を表し、5~25の重合度が好ましく、15~20がより好ましい。またRはアルキル基を表す。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ターシャリペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル、イソステアリル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチル、2-オクチルドデシル、2-ドデシルヘキサデシル、2-テトラデシルオクタデシル、2-デシルテトラデシルなどが挙げられる。
【0018】
本発明の口腔用組成物に使用する疎水変性ポリエーテルウレタンとしては、市販品を使用することもできる。そのような市販品の例として、例えば、アクゾ社の商品名「ダプラルT210」及び「ダプラルT212」、並びに、ロームアンドハース社の商品名「アクリソル」などが挙げられる。
【0019】
本発明の口腔用組成物における成分Aの含有量は、0.01質量%以上10質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であるのがより好ましく、0.5質量%以上3質量%以下であるのがさらに好ましい。これにより、乾燥した際の口腔用組成物のフィルム化をより効果的に抑制することができる。
【0020】
<成分B>
本発明の口腔用組成物は、成分Bとしてポリアクリル酸及び/又はポリアクリル酸塩を含む。
このような成分を含むことにより、ジェル状を維持することができるとともに、乾燥によってフィルム化するのを防止することができる。
【0021】
ポリアクリル酸塩としては、一価塩であることが好ましく、アルカリ金属塩又はアンモニウム塩であることがより好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩であることがさらに好ましく、ナトリウム塩であることが特に好ましい。
本発明の口腔用組成物における成分Bの含有量は、0.001質量%以上3質量%以下であるのが好ましく、0.005質量%以上2質量%以下であるのがより好ましく、0.01質量%以上1質量%以下であるのがさらに好ましい。これにより、乾燥した際の口腔用組成物のフィルム化をより効果的に抑制することができる。
【0022】
また、成分Aの含有量をX[質量%]、成分Bの含有量をY[質量%]としたとき、0.0033≦X/Y≦10000の関係を満足するのが好ましく、0.05≦X/Y≦1000の関係を満足するのがより好ましく、0.5≦X/Y≦300の関係を満足するのがさらに好ましく、4≦X/Y≦12の関係を満足するのが特に好ましい。このような関係を満足することにより、口腔用組成物の口腔内への滞留性をさらに高いものとすることができ、口腔内の乾燥をより効果的に抑制することができる。さらに、両成分の配合比を上記範囲とすることで、乾燥しても口腔用組成物の可塑性をより確実に保持することができ、長期にわたって口腔内が乾燥するのを効果的に抑制することができる。さらに、口腔内の清掃性が低下するのをより効果的に抑制することができる。
【0023】
<その他の成分>
本発明の口腔用組成物には、その剤型等に応じて、種々の成分を配合してもよい。例えば、本発明の口腔用組成物には、研磨剤、湿潤剤、粘結剤、発泡剤、甘味剤、防腐剤、香料成分、薬用成分等を配合することができる。
研磨剤としては、シリカゲル、沈降性シリカ、火成性シリカ、含水ケイ酸、無水ケイ酸、ゼオライト、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、結晶セルロース、第二リン酸カルシウム二水和物、第二リン酸カルシウム無水和物、ピロリン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、合成樹脂研磨剤等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
研磨剤の配合量は、特に限定されないが、3~60質量%が好ましく、10~45質量%であるのがより好ましい。
【0024】
湿潤剤としては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、マルチトール、還元水あめ、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、キシロース、トレハロース、グルコース、ラクトース、マンノース、マルトース、フルクトース、イノシトール、ペンタエリスリトール、マルトトリオース、澱粉分解糖、澱粉分解糖還元アルコール等の多価アルコール等が挙げられ、これらの内、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
湿潤剤の配合量は、特に限定されないが、1~60質量%が好ましく、5~50質量%であるのがより好ましい。
【0025】
また、粘結剤は、成分Bの機能を損なわない範囲で、添加することができる。
粘結剤としては、カラギーナン(ι、λ、κ)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルシウム含有アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩及びその誘導体、キサンタンガム、グァーガム、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
粘結剤の配合量は、特に限定されないが、0.1~5.0質量%が好ましく、0.5~3.0質量%であるのがより好ましい。
【0026】
発泡剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸モノグリセリンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、N-アシルグルタメート等のN-アシルアミノ酸塩、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、マルチトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
発泡剤の配合量は、特に限定されないが、0.1~10.0質量%が好ましく、0.5~5.0質量%であるのがより好ましい。
【0027】
甘味剤として、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、トレハロース、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
甘味剤の配合量は、特に限定されないが、0.005~5.0質量%が好ましく、0.01~3.0質量%であるのがより好ましい。
【0028】
防腐剤として、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなどのパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
防腐剤の配合量は、その種類等によって異なるが、0.005~5.0質量%であるのが好ましく、0.01~3.0質量%であるのがより好ましい。
【0029】
香料成分として、l-メントール、アネトール、メントン、シネオール、リモネン、カルボン、メチルサリシレート、エチルブチレート、オイゲノール、シンナミックアルデヒド、トランス-2-ヘキセナールなどの中から1種又は2種以上を併用することができる。これらの成分は単品で配合してもよいが、これらを含有する精油などを用いてもよい。
また、上記香料成分に加えて、脂肪族アルコールやそのエステル、テルペン系炭化水素、フェノールエーテル、アルデヒド、ケトン、ラクトンなどの香料成分、精油を本発明の効果を妨げない範囲で配合してもよい。上記香料の配合量は、0.02~2質量%の範囲が一般的である。
【0030】
また、本発明の口腔用組成物には、上記のほか、更なる有効成分を配合してもよい。そのような有効成分として、塩化リゾチーム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ゼオライト、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩類、クロルヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化デカリニウム、ビサボロール、酢酸トコフェロール、ε-アミノカプロン酸、トラネキサム酸、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントイン、乳酸アルミニウム、硝酸カリウム、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸塩類、銅クロロフィリン塩、塩化ナトリウム、グァイアズレンスルホン酸塩、デキストラナーゼ、塩酸ピリドキシン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を配合することができる。
【0031】
また、上述した成分の他にも、例えば、青色1号等の色素、酸化チタン等の顔料、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、エデト酸塩等のキレート剤、チャエキス、チャ乾留液等の矯味剤等を含んでいてもよい。
【0032】
また、本発明の口腔用組成物には、上記のほか、生薬抽出物を配合してもよい。
生薬抽出物としては、例えば、生薬エキスの例として、カミツレエキス、カノコソウエキス、ナツメエキス、ホップエキス、ラベンターエキス、リンデンエキス、カリンエキス、キンギンカエキス、クマザサエキス、グミエキス、チョウジエキス、デンシチニンジンエキス、サルビアエキス、ムクロジエキス、キキョウエキス、ジオウエキス、シャクヤクエキス、サンザシエキス、トウキエキス、チャエキス、ウラジロガシエキス、オオバクエキス、シラカバエキス、ニンジンエキス、アセンヤクエキス、ウコンエキス、ローズマリーエキス等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明の口腔用組成物には、上記のほか、水、エタノール等の溶剤を適量含んでいてもよい。
【0033】
本発明の口腔用組成物は、常法に準じて製造することができ、その製法は特に限定されるものではない。
また、得られた口腔用組成物の組成物は、アルミニウムチューブ、ラミネートチューブ、ガラス蒸着チューブ、プラスチックチューブ、プラスチックボトル、エアゾール容器等に充填して使用することができる。
【0034】
以上、本発明の口腔用組成物について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明の口腔用組成物には、前述した成分の他に、任意の機能を有する成分を配合することができる。
【実施例0035】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.口腔用組成物の製造
(実施例1~7、比較例1~4)
表1および2に示す成分を表1に示す含有量となるように調製し、口腔用組成物を常法に準じて製造した。
なお、表中の含有量の単位は質量%である。また、表中のX/Yは、成分Aの疎水変性ポリエーテルウレタンと成分Bのポリアクリル酸ナトリウム(ポリアクリル酸Na)の含有量比である。
【0036】
【0037】
2.評価方法
[安定性について]
各実施例および各比較例の口腔用組成物を、ラミネートチューブに100g充填し、60℃で1週間保存し、室温に戻した時の性状を、以下の3段階の基準に従い、目視にて評価した。
◎:性状に変化なし。
〇:わずかに分離及び/または軟化が見られる。
×:分離及び/または軟化が見られる。
【0038】
[べたつき感のなさについて]
各実施例および各比較例の口腔用組成物を充填したチューブから紙の上に試料を出し、当該試料を指で紙面上に伸ばして、以下の3段階の基準に従い評価した。
◎:べたつかず、滑らかである。
〇:べたつきがある
×:べたついており、さらに、曳糸性がある。
【0039】
[流動性について]
各実施例および各比較例の口腔用組成物を充填したチューブから試料を出し、以下の3段階の基準に従い評価した。
◎:適度な流動性である。
〇:垂れやすい、又は保存容器より取り出しにくい硬さである。
×:液体状または、保存容器より取り出すことのできない硬さである。
【0040】
[フィルム化しにくさについて]
1.シャーレの中央に直径3cmの円を描き、円の内側に、各実施例および各比較例の口腔用組成物の試料0.3gを乗せ、ガラス棒にて描いた円の大きさに広げた。
2.60℃の恒温器に入れ、終夜(約18時間)静置して乾燥させた。
3.恒温器から取り出し常温に戻した後、指で試料を塗り広げ、以下の3段階の基準に従い評価した。
◎:直径3cmの円よりも1cm以上広げることができる。
〇:直径3cmの円よりも1mm以上1cm以下の範囲に広げることができる。
×:固化(フィルム化)しており、全く(1mmも)広げることができない。
【0041】
[清掃性について]
1.シャーレの中央に直径3cmの円を描き、円の内側に、各実施例および各比較例の口腔用組成物の試料0.3gを乗せ、ガラス棒にて描いた円の大きさに広げた。
2.60℃の恒温器に入れ、終夜(約18時間)静置して乾燥させた。
3.恒温器から取り出し常温に戻した後、口腔用組成物の乾燥物上に、さらに口腔用組成物の試料0.3gをのせ乾燥物を覆うように広げた。
4.1分後、スポンジブラシにて口腔用組成物をぬぐいとり、以下の3段階の基準に従い評価した。
◎:シャーレ上の乾燥物が完全にとれる。
〇:シャーレ上の乾燥物がほぼ取れる。
×:シャーレ上の乾燥物が全く取れない
これらの結果を表1に合わせて示した。
【0042】
[総合点について]
◎:◎が4つ以上である。
〇:◎が4つ未満で×が1つもない。
×:×が1つ以上である。
【0043】
実施例の口腔用組成物では、表1で示すように、乾燥した際のフィルム化が抑制されており、口腔内の清掃性の低下が抑制され、さらに、口腔内の乾燥を長期にわたって抑制することができることが解る。さらに、実施例では、安定性、べたつき及び流動性にも優れていることが解る。これに対して、比較例では、満足いく結果が得られなかった。