(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168907
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】情報表示システム、表示制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B61L 25/02 20060101AFI20221101BHJP
B61D 37/00 20060101ALI20221101BHJP
G09F 21/04 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
B61L25/02 Z
B61D37/00 G
G09F21/04 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074584
(22)【出願日】2021-04-27
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠山 康宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勤
【テーマコード(参考)】
5H161
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161BB02
5H161DD23
5H161GG04
5H161GG11
5H161GG22
(57)【要約】
【課題】列車の車窓から見える風景に関連付けて又は風景と重ね合わせて情報をより適切に表示することができる情報表示システム、表示制御装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】情報表示システム100は、列車の位置情報を取得する位置情報取得部(制御部21)と、列車の車窓Wに取付けられた表示部12と、表示部12に表示する情報を制御する表示制御部(制御部21)と、を備え、表示制御部は、位置情報に基づいたコンテンツを表示部12に表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記列車の車窓に取付けられた表示部と、
前記表示部に表示する情報を制御する表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記位置情報に基づいたコンテンツを前記表示部に表示することを特徴とする情報表示システム。
【請求項2】
前記表示部は、透過型であることを特徴とする請求項1に記載の情報表示システム。
【請求項3】
前記列車の速度情報を取得する速度情報取得部を備え、
前記表示制御部は、前記列車の速度情報が所定値以下の場合に、前記コンテンツを前記表示部に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報表示システム。
【請求項4】
前記コンテンツは、前記列車の車窓から見える風景に関連する内容であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の情報表示システム。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記位置情報を取得できない場合に、所定のコンテンツを前記表示部に表示することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の情報表示システム。
【請求項6】
天気情報を取得する天気情報取得部を備え、
前記表示制御部は、前記位置情報を取得時の当該位置情報に対応する前記天気情報が曇天または雨天の場合に、前記コンテンツとして晴天時の風景画像を前記表示部に表示することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の情報表示システム。
【請求項7】
前記列車の位置情報を検知する位置情報検知部を備え、
前記位置情報検知部は、GPSであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の情報表示システム。
【請求項8】
前記列車の位置情報を検知する位置情報検知部を備え、
前記位置情報検知部は、前記列車の車外の風景を撮影する撮影部を備え、
前記位置情報取得部は、前記撮影部により撮影された映像に基づいて前記位置情報を取得することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の情報表示システム。
【請求項9】
前記列車のチケットの購入情報から、前記列車の乗客の属性情報を抽出する乗客情報抽出部を備え、
前記表示制御部は、前記乗客の属性情報に基づいて、前記表示部に表示するコンテンツを選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報表示システム。
【請求項10】
列車の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、前記列車の車窓に取付けられた表示部に接続され、前記表示部に表示する情報を制御する表示制御装置であって、
前記位置情報に基づいたコンテンツを前記表示部に表示する表示制御部を備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項11】
列車の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、前記列車の車窓に取付けられた表示部に接続され、前記表示部に表示する情報を制御するコンピューターを、
前記位置情報に基づいたコンテンツを前記表示部に表示する表示制御部として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示システム、表示制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、列車客室内の乗客に対して、列車に搭載された表示装置の表示部に映像情報を表示させるシステムが開発、実用化されている。
【0003】
これに関して、特許文献1には、列車位置に応じて映像情報を表示するための割込みを発生させる割込み発生回路を備えた列車搭載映像情報配信表示システムが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、列車が停止中か否かを判定し、列車が停止中の場合、表示部の設置状態の検出結果に基づいて、表示部における表示データの表示方法を決定する表示装置が記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、列車内の表示部に表示する内容である広告コンテンツデータを列車上に送信する地上コンテンツ配信サーバーは、列車を利用する乗客に関する乗客情報に基づき、広告コンテンツデータを決定する列車内情報配信表示システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-127905号公報
【特許文献2】国際公開第2019/043922号
【特許文献3】国際公開第2011/034029号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、列車の乗客に向けて、列車の車窓から見える風景に関連付けて又は風景と重ね合わせて、列車が走行する地域の観光に関する情報等を表示したいという要望がある。
しかしながら、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載されている発明では、乗客が列車の車窓から見える風景と、それに関連付けて又は重ね合わせて表示される情報を同時に視認できるような構成ではなかった。
【0008】
本発明は、上記のような課題に着目してなされたもので、列車の車窓から見える風景に関連付けて又は風景と重ね合わせて情報をより適切に表示することができる情報表示システム、表示制御装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明の情報表示システムは、
列車の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記列車の車窓に取付けられた表示部と、
前記表示部に表示する情報を制御する表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記位置情報に基づいたコンテンツを前記表示部に表示する。
【0010】
上記のような構成を有する情報表示システムによれば、列車の車窓から見える風景に関連付けて又は風景と重ね合わせて情報をより適切に表示することができる。
【0011】
ここで、望ましくは、前記表示部は、透過型である。
かかる構成によれば、乗客は列車の車窓から見える風景と重ね合わせて表示された情報を視認することができる。
【0012】
さらに、望ましくは、前記列車の速度情報を取得する速度情報取得部を備え、前記表示制御部は、前記列車の速度情報が所定値以下の場合に、前記コンテンツを前記表示部に表示する。
かかる構成によれば、列車の速度が所定値以下であり、乗客が列車の車窓から見える風景を十分に視認できる場合に、列車の車窓から見える風景に関連付けた又は風景と重ね合わせた情報を表示することができる。
【0013】
また、望ましくは、前記コンテンツは、前記列車の車窓から見える風景に関連する内容である。
かかる構成によれば、乗客は列車の車窓から見える風景に関連する情報を得ることができる。
【0014】
さらに、望ましくは、前記表示制御部は、前記位置情報を取得できない場合に、所定のコンテンツを前記表示部に表示する。
かかる構成によれば、位置情報が取得できない場合でも、乗客に向けて情報を表示することができることができる。
【0015】
また、望ましくは、天気情報を取得する天気情報取得部を備え、前記表示制御部は、前記位置情報を取得時の当該位置情報に対応する前記天気情報が曇天または雨天の場合に、前記コンテンツとして晴天時の風景画像を前記表示部に表示する。
かかる構成によれば、天気が曇天または雨天の場合でも、乗客は晴天時の風景を楽しむことができる。
【0016】
さらに、望ましくは、列車の位置情報を検知する位置情報検知部を備え、前記位置情報検知部は、GPSである。
かかる構成によれば、GPSによる位置情報に基づいて列車の車窓から見える風景に関連付けて又は風景と重ね合わせて情報を表示することができる。
【0017】
また、望ましくは、前記列車の位置情報を検知する位置情報検知部を備え、前記位置情報検知部は、前記列車の車外の風景を撮影する撮影部を備え、前記位置情報取得部は、前記撮影部により撮影された映像に基づいて前記位置情報を取得する。
かかる構成によれば、列車の車外の風景の映像による位置情報に基づいて列車の車窓から見える風景に関連付けて又は風景と重ね合わせて情報を表示することができる。
【0018】
さらに、望ましくは、前記列車のチケットの購入情報から、前記列車の乗客の属性情報を抽出する乗客情報抽出部を備え、前記表示制御部は、前記乗客の属性情報に基づいて、前記表示部に表示するコンテンツを選択する。
かかる構成によれば、乗客の属性に応じたコンテンツ表示をすることができる。
【0019】
また、本発明の表示制御装置は、
列車の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、前記列車の車窓に取付けられた表示部に接続され、前記表示部に表示する情報を制御する表示制御装置であって、
前記位置情報に基づいたコンテンツを前記表示部に表示する表示制御部を備える。
かかる構成によれば、列車の車窓から見える風景に関連付けて又は風景と重ね合わせて情報をより適切に表示することができる。
【0020】
また、本発明のプログラムは、
列車の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、前記列車の車窓に取付けられた表示部に接続され、前記表示部に表示する情報を制御するコンピューターを、
前記位置情報に基づいたコンテンツを前記表示部に表示する表示制御部として機能させる。
かかる構成によれば、列車の車窓から見える風景に関連付けて又は風景と重ね合わせて情報をより適切に表示することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る情報表示システム、表示制御装置及びプログラムによれば、列車の車窓から見える風景に関連付けて又は風景と重ね合わせて情報をより適切に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る情報表示システムの一実施例を示すブロック図である。
【
図2】本発明に係る表示装置の表示部の一例を示す図である。
【
図3A】実施例の表示部に表示するコンテンツの一例を示す図である。
【
図3B】実施例の表示部に表示するコンテンツの一例を示す図である。
【
図4】実施例の表示制御処理を示すフローチャートである。
【
図5】変形例1の表示制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る情報表示システム100の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0024】
図1には、本発明に係る情報表示システム100の一実施例のブロック図が示されている。
図1に示されているように、情報表示システム100は、表示装置10と、表示制御装置20と、コンテンツ登録装置30を備える。表示制御装置20は、通信ネットワークを介して表示装置10及びコンテンツ登録装置30と通信可能となっている。
【0025】
表示装置10は、制御部11と、表示部12と、通信部13を備え、列車の車内に設置される。
制御部11は、表示装置10の動作を制御する部分であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、ROMに記憶されたプログラムデータとCPUとの協働により、表示装置10の各部を統括制御する。
表示部12は、制御部11の制御により、表示データを表示する。表示部12は、ディスプレイであり、例えば、有機ELで構成される。
図2に表示部12の取り付け位置を示す。
図2に示すように、列車の車窓Wは、複層ガラスとして車内側ガラスWaと車外側ガラスWbにより構成される。表示部12は、車窓Wの一部に重なるように、車内側ガラスWaと車外側ガラスWbの間に取り付けられる。
なお、表示部12は、車窓Wとほぼ同一の大きさに形成されていることが好ましい。
通信部13は、表示制御装置20との間の通信に用いられる。例えば、通信用IC(Integrated Circuit)及び通信コネクタなどを有する通信インターフェイスであり、通信ネットワークを介したデータ通信を行う。また、通信部13は、表示制御装置20から表示部12に表示する表示データを受信する。
表示部12と通信部13は、表示部12の下端部においてケーブル(コネクタ)で接続される。
車内側ガラスWa及び車外側ガラスWbの表示部12が設置される側の下部は、
図2に示すように、表示部12の下端部と通信部13とを接続するケーブル(コネクタ)を隠すために黒塗り等の処理が施されている。
制御部11と通信部13は、乗客の乗車に支障の無い箇所、例えば車窓W付近の椅子の下などに配置される。
【0026】
表示制御装置20は、例えば、列車の車掌等が所持する端末装置であり、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、操作表示部24と、位置情報検知部25を備える。
制御部21は、表示制御装置20の動作を制御する部分であり、例えば、CPU、ROM、RAM等を備えて構成され、記憶部22に記憶されたプログラムデータとCPUとの協働により、表示制御装置20の各部を統括制御する。
【0027】
また、制御部21は、列車の位置情報を取得する。ここで、制御部21は位置情報取得部として機能する。
また、制御部21は、表示部12に表示する情報を制御する。ここで、制御部21は表示制御部として機能する。
また、列車は、当該列車の走行速度を検知する速度検知部(図示無し)を備える。速度検知部は、例えば、速度センサー等を有する。制御部21は、通信部23を介して、当該速度検知部から列車の速度情報を取得する。ここで、制御部21は速度情報取得部として機能する。
また、制御部21は、天気情報を取得する。ここで、制御部21は天気情報取得部として機能する。制御部21は、天気情報取得部として、列車に備えられた車外の風景を撮影する撮影部(図示無し)によって撮影された映像を解析し、その解析結果に基づいて天気情報を取得する。撮影部によって撮影された映像から天気情報が取得できない場合、制御部21は、通信部23を介して、列車の走行区間あるいは列車の位置情報に対応する天気情報を外部サーバーから取得する。
【0028】
記憶部22は、表示制御装置20の運用に必要となる各種情報が記憶される部分であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリ等により構成され、プログラムデータ等の表示制御装置20の運用に必要となるデータを、制御部21から読み書き可能に記憶する。
また、記憶部22は、表示部12に表示するコンテンツの表示データを列車の位置情報に対応させて記憶する。
【0029】
通信部23は、表示装置10と、コンテンツ登録装置30と、その他外部サーバーとの間の通信に用いられる部分である。例えば、通信用IC及び通信コネクタなどを有する通信インターフェイスであり、制御部21の制御の下、通信ネットワークを介したデータ通信を行う。
【0030】
操作表示部24は、制御部21からの制御信号に応じて各種画面の表示を行い、列車の乗務員等のユーザーの操作を受け付けて制御部21に出力する。操作表示部24は、例えば、タッチセンサーが表示画面と重ねて設けられた液晶表示部を備える。
【0031】
位置情報検知部25は、GPS(Global Positioning System)を利用して、列車が走行する現在位置を示す位置情報を検知する。
【0032】
コンテンツ登録装置30は、例えば、駅事務室内に設置されており、制御部31と、記憶部32と、通信部33と、操作表示部34を備える。
制御部31は、コンテンツ登録装置30の動作を制御する部分であり、例えば、CPU、ROM、RAM等を備えて構成され、記憶部32に記憶されたプログラムデータとCPUとの協働により、コンテンツ登録装置30の各部を統括制御する。
記憶部32は、コンテンツ登録装置30の運用に必要となる各種情報が記憶される部分であり、例えば、HDD、半導体メモリ等により構成され、プログラムデータ等のコンテンツ登録装置30の運用に必要となるデータを、制御部31から読み書き可能に記憶する。
また、記憶部32は、操作表示部34を介して、列車の位置情報に対応させて登録された表示部12に表示するコンテンツを記憶する。
通信部33は、表示制御装置20と、その他外部サーバーとの間の通信に用いられる部分である。例えば、通信用IC及び通信コネクタなどを有する通信インターフェイスであり、制御部31の制御の下、通信ネットワークを介したデータ通信を行う。
また、通信部33は、制御部31の制御の下、登録されたコンテンツの表示データを表示制御装置20に送信する。
操作表示部34は、制御部31からの制御信号に応じて各種画面の表示を行い、列車の乗務員等のユーザーの操作を受け付けて制御部31に出力する。操作表示部34は、例えば、タッチセンサーが表示画面と重ねて設けられた液晶表示部を備える。
また、操作表示部34は、列車の位置情報に対応させて表示部12に表示するコンテンツを登録することを受け付ける。
【0033】
ここで、
図3A、
図3Bに表示部12に表示するコンテンツの一例を示す。
図3Aは、表示部12に車窓Wから見える風景を透過させて、観光におけるキャンペーンに関するコンテンツが表示される例である。この場合の表示部12は透過型ディスプレイである。表示部12が透過性を持つことにより、乗客は、列車の車窓Wから見える風景と、それに重ね合わせて表示部12に表示される情報を同時に視認できる。このコンテンツは、例えば、列車がキャンペーンを実施している観光地を走行しているときに表示される。このような場合、車窓Wから山が見える風景であれば、山の名前や標高等の山に関する説明等のコンテンツを表示してもよい。その他、景色の説明、島が見える風景であれば島の名前、町の名物等のコンテンツを表示してもよい。これにより、乗客は、列車が走行している地域の観光情報を得ることができる。
また、
図3Bは、表示部12に車窓Wから見える風景に重ねて、夕日の風景画像が表示される例である。このコンテンツは、例えば、列車が夕日の名所を日中に走行しているときに表示される。これにより、乗客は夕方以外のときにおいても夕日の景色を楽しむことができる。
また、列車が駅に停車している場合に、表示部12に列車が停車している駅やその駅周辺の飲食店等に関するコンテンツを表示してもよい。
【0034】
以下、本実施形態に係る情報表示システム100の動作について、
図4の表示制御処理を示すフローチャートに従って説明する。表示制御処理は、列車の走行中において定期的に実施される。
【0035】
表示制御処理において、まず、制御部21は、位置情報検知部25から列車が走行している現在位置を示す位置情報を取得する(ステップS1)。
次に、制御部21は、ステップS1において、位置情報は取得できたか否かを判断する(ステップS2)。
位置情報が取得できた場合(ステップS2;YES)、制御部21は、ステップS1において取得した列車の位置情報に対応したコンテンツの表示データを表示装置10に送信し(ステップS3)、処理を終了する。表示装置10の制御部11は、表示制御装置20から受信した表示データを表示部12に表示させる。当該表示データの内容は、
図3Aに示すようなコンテンツである。ここで、制御部21は、列車の位置情報に加えて、現在時刻を取得し、列車の位置情報と現在時刻に対応したコンテンツの表示データを表示部12に表示させてもよい。これにより、
図3Bのように乗客は夕方以外のときにおいても夕日の景色を楽しむことができる。
【0036】
また、列車の位置情報が取得できない場合(ステップS2;NO)、具体的には、列車がトンネル内を走行している場合等である。制御部21は、所定のコンテンツの表示データを表示装置10に送信し(ステップS4)、処理を終了する。表示装置10の制御部11は、表示制御装置20から受信した表示データを表示部12に表示させる。
ここで、所定のコンテンツとは、現在の列車の走行速度、列車が駅に到着する時刻、列車の乗り継ぎ情報、列車が走行する区間の天気情報等である。制御部21は、通信部23を介して、列車に備えられた速度検知部から列車の走行速度を取得し、当該列車の走行速度を表示部12に表示させる。または、制御部21は、通信部23を介して、外部サーバーから駅に到着する時刻、乗り継ぎ情報、あるいは列車が走行する区間の天気情報を取得し、表示部12に表示させる。
また、制御部21は、所定のコンテンツとして、列車が走行する区間で見られる風景の映像を表示部12に表示させてもよい。当該風景の映像は、記憶部22に予め記憶させておいてもよいし、通信部23を介して、外部サーバーから取得してもよい。
【0037】
<変形例1>
以下では、上記実施形態との差異を中心に説明する。
本変形例において、列車は、当該列車の加速度を検知する加速度検知部(図示無し)を備える。加速度検知部は、例えば、加速度センサー等を有する。制御部21は、通信部23を介して、当該加速度検知部から列車の加速度情報を取得する。
以下、本変形例の情報表示システム100の動作について、
図5の表示制御処理を示すフローチャートに従って説明する。
【0038】
本変形例の表示制御処理において、まず、制御部21は、上記実施形態の表示制御処理におけるステップS1及びステップS2と同様のステップS11及びステップS12を実施する。
位置情報が取得できた場合(ステップS12;YES)、制御部21は、通信部23を介して、列車に備えられた速度検知部から列車の走行速度を取得し、当該速度は所定値以下か否かを判断する(ステップS13)。例えば、観光地を走行する列車において、景色が美しい場所等では、その景色を乗客に楽しんでもらうために列車の速度を落として走行する場合がある。当該所定値は、速度を落として走行した場合の速度に設定すればよい。
列車の走行速度が所定値以下の場合(ステップS13;YES)、制御部21は、列車は停車しているか否かを判断する(ステップS14)。具体的には、制御部21は、通信部23を介して、列車に備えられた速度検知部から列車の走行速度を、加速度検知部から列車の加速度を取得し、当該走行速度と加速度が0の場合に列車が停車していると判断する。
列車が停車していない場合(ステップS14;NO)、制御部21は、列車に備えられた車外の風景を撮影する撮影部によって撮影された映像を解析し、その解析結果に基づいて天気情報を取得する。もしくは、制御部21は、通信部23を介して、ステップS11において取得した列車の位置情報と位置情報を取得した時間に対応する天気情報を外部サーバーから取得する。そして、制御部21は、列車が走行する位置の天気は晴れか否かを判断する(ステップS15)。制御部21は、列車の位置情報に対応する天気情報として、列車が走行する位置の数駅先の位置の天気を取得してもよい。
天気が晴れの場合(ステップS15;YES)、制御部21は、上記実施形態の表示制御処理におけるステップS3と同様のステップS16を実施し、処理を終了する。表示装置10の制御部11は、表示制御装置20から受信した表示データを表示部12に表示させる。
【0039】
また、列車の位置情報が取得できない場合(ステップS12;NO)、具体的には、列車がトンネル内を走行している場合等である。また、列車の走行速度が所定値より速い場合(ステップS13;NO)、制御部21は、上記実施形態の表示制御処理におけるステップS4と同様のステップS17を実施し、処理を終了する。表示装置10の制御部11は、表示制御装置20から受信した表示データを表示部12に表示させる。
【0040】
また、列車が停車している場合(ステップS14;YES)、制御部21は、停車用コンテンツの表示データを表示装置10に送信し(ステップS18)、処理を終了する。表示装置10の制御部11は、表示制御装置20から受信した表示データを表示部12に表示させる。
ここで、停車用コンテンツとは、上記したように、列車が停車している駅やその駅周辺の飲食店等に関するコンテンツである。制御部21は、ステップS11において取得した列車の位置情報に基づいて、列車が停車している駅を決定する。
【0041】
また、天気が曇天や雨天であり、晴れでない場合(ステップS15;NO)、制御部21は、ステップS11において取得した列車の位置情報に対応した晴天時の風景の映像の表示データを表示装置10に送信し(ステップS19)、処理を終了する。表示装置10の制御部11は、表示制御装置20から受信した表示データを表示部12に表示させる。当該晴天時の風景の映像は、記憶部22に予め記憶させておいてもよいし、通信部23を介して、外部サーバーから取得してもよい。
【0042】
<変形例2>
以下では、上記実施形態との差異を中心に説明する。
上記実施形態において、位置情報検知部25は、GPSを利用して、列車が走行する現在位置を示す位置情報を検知するとしたが、これに限らない。本変形例において、位置情報検知部25は、列車に備えられた車外の風景を撮影する撮影部(図示無し)を備え、位置情報取得部は、撮影部により撮影された映像を解析し、その解析結果に基づいて位置情報を取得する。
撮影部は、動画を撮影可能なビデオカメラ、あるいは静止画を撮影可能なスチールカメラである。
【0043】
<変形例3>
以下では、上記実施形態との差異を中心に説明する。
上記実施形態において、制御部21は、列車の位置情報に対応したコンテンツの表示データを表示部12に表示させるとしたがこれに限らない。
制御部21は、通信部23を介して、外部サーバーに記憶された列車のチケットの購入情報から、列車の乗客の属性情報を抽出する。ここで、制御部21は、乗客情報抽出部として機能する。制御部21は、抽出した乗客の属性情報に基づいて、表示部12に表示するコンテンツを選択し、その選択したコンテンツの表示データを表示装置10に送信することで、表示部12に表示させてもよい。具体的には、制御部21は、乗客の年齢に応じたコンテンツの表示データを表示部12に表示させる。例えば、乗客がお年寄りであればシニア世代向け割引切符の広告を表示する等である。
【0044】
以上、上記の実施形態に係る情報表示システム100は、列車の位置情報を取得する位置情報取得部(制御部21)と、列車の車窓Wに取付けられた表示部12と、表示部12に表示する情報を制御する表示制御部(制御部21)と、を備え、表示制御部は、位置情報に基づいたコンテンツを表示部12に表示する。
従って、列車の車窓から見える風景に関連付けて又は風景と重ね合わせて情報をより適切に表示することができる。
【0045】
また、上記の実施形態に係る情報表示システム100において、表示部12は、透過型である。
従って、乗客は列車の車窓から見える風景と重ね合わせて表示された情報を視認することができる。
【0046】
また、上記の実施形態に係る情報表示システム100は、列車の速度情報を取得する速度情報取得部を備え、表示制御部は、列車の速度情報が所定値以下の場合に、コンテンツを表示部12に表示する。
従って、列車の速度が所定値以下であり、乗客が列車の車窓から見える風景を十分に視認できる場合に、列車の車窓から見える風景に関連付けた又は風景と重ね合わせた情報を表示することができる。
【0047】
また、上記の実施形態に係る情報表示システム100において、コンテンツは、列車の車窓Wから見える風景に関連する内容である。
従って、乗客は列車の車窓から見える風景に関連する情報を得ることができる。
【0048】
また、上記の実施形態に係る情報表示システム100において、表示制御部は、位置情報を取得できない場合に、所定のコンテンツを表示部12に表示する。
従って、位置情報が取得できない場合でも、乗客に向けて情報を表示することができることができる。
【0049】
また、上記の実施形態に係る情報表示システム100は、天気情報を取得する天気情報取得部(制御部21)を備え、表示制御部は、位置情報を取得時の当該位置情報に対応する天気情報が曇天または雨天の場合に、コンテンツとして晴天時の風景画像を表示部12に表示する。
従って、天気が曇天または雨天の場合でも、乗客は晴天時の風景を楽しむことができる。
【0050】
また、上記の実施形態に係る情報表示システム100は、列車の位置情報を検知する位置情報検知部25を備え、位置情報検知部25は、GPSである。
従って、GPSによる位置情報に基づいて列車の車窓から見える風景に関連付けて又は風景と重ね合わせて情報を表示することができる。
【0051】
また、上記の実施形態に係る情報表示システム100は、列車の位置情報を検知する位置情報検知部25を備え、位置情報検知部25は、列車の車外の風景を撮影する撮影部を備え、位置情報取得部は、撮影部により撮影された映像に基づいて位置情報を取得する。
従って、列車の車外の風景の映像による位置情報に基づいて列車の車窓から見える風景に関連付けて又は風景と重ね合わせて情報を表示することができる。
【0052】
また、上記の実施形態に係る情報表示システム100は、列車のチケットの購入情報から、列車の乗客の属性情報を抽出する乗客情報抽出部(制御部21)を備え、表示制御部は、乗客の属性情報に基づいて、表示部12に表示するコンテンツを選択する。
従って、乗客の属性に応じたコンテンツ表示をすることができる。
【0053】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0054】
例えば、表示装置10は、操作部を備えてもよい。さらに、乗客は、当該操作部を操作することで表示部12に表示するコンテンツを選択できる構成であってもよい。また、表示装置10に操作部を設けずに、表示装置10の通信部13を介して、乗客の所持する端末装置と通信可能である構成とし、乗客は、自分が所持する端末装置を操作することで表示部12に表示するコンテンツを選択できる構成であってもよい。
【0055】
また、上記実施形態及び変形例において、位置情報検知部は、GPSである、または列車の車外の風景を撮影する撮影部を備えるとしたがこれに限らない。位置情報検知部は、列車が走行した距離に応じて位置情報を検知してもよい。この場合、表示制御処理において、制御部21は、ステップS2を省き、ステップS3に進む、または、ステップS12を省き、ステップS13に進む。
【0056】
また、上記実施形態及び変形例において、制御部21は、表示部12に風景画像を表示させるとしたが、当該風景画像は、動画でも静止画でもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 表示装置
11 制御部
12 表示部
13 通信部
20 表示制御装置
21 制御部(位置情報取得部、表示制御部、速度情報取得部、天気情報取得部、乗客情報抽出部)
22 記憶部
23 通信部
24 操作表示部
25 位置情報検知部
30 コンテンツ登録装置
31 制御部
32 記憶部
33 通信部
34 操作表示部
100 情報表示システム