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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168917
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】筐体装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/40 20190101AFI20221101BHJP
   G07D 9/00 20060101ALI20221101BHJP
   G07F 9/00 20060101ALI20221101BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
G07D11/40
G07D9/00 A
G07F9/00 109A
H05K5/03 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074602
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】中川 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】中石 弘輔
【テーマコード(参考)】
3E044
3E141
4E360
【Fターム(参考)】
3E044FB01
3E044FB03
3E141AA08
3E141FA01
3E141FL01
3E141FL03
3E141GA10
4E360BA01
4E360BB02
4E360BB12
4E360BC02
4E360BC06
4E360BC08
4E360BD05
4E360EC14
4E360ED23
4E360GA44
4E360GA47
4E360GA52
4E360GB99
4E360GC02
(57)【要約】
【課題】コスト増を抑制することができる筐体装置を提供する。
【解決手段】筐体101の一面の開口部102に設けられて開口部102の一部を開閉する第一の開閉部材111と、開口部102に設けられて開口部102の残部を開閉する第二の開閉部材112と、第一の開閉部材111が閉位置にあるときに退避位置に位置し、第一の開閉部材111が閉位置に無いときに第二の開閉部材112の閉位置への移動を阻止する規制位置に位置する規制部材144と、第二の開閉部材112が閉位置に位置することを検出する検出手段171と、を有する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の一面の開口部に設けられて該開口部の一部を開閉する第一の開閉部材と、
前記開口部に設けられて該開口部の残部を開閉する第二の開閉部材と、
前記第一の開閉部材が閉位置にあるときに退避位置に位置し、前記第一の開閉部材が閉位置に無いときに前記第二の開閉部材の閉位置への移動を阻止する規制位置に位置する規制部材と、
前記第二の開閉部材が閉位置に位置することを検出する検出手段と、を有する筐体装置。
【請求項2】
さらに、前記検出手段が前記第二の開閉部材が閉位置に位置することを検出しているときに、筐体内の駆動機構を駆動可能とする制御手段を有する請求項1に記載の筐体装置。
【請求項3】
硬貨を処理する硬貨処理装置であり、前記開口部が前記筐体の上面開口であって前記第一の開閉部材には硬貨を投入する硬貨投入口が設けられるとともに、
前記硬貨処理装置の傍らには硬貨を供給する硬貨供給装置が配置され、該硬貨供給装置から前記硬貨処理装置の硬貨投入口へ向けて、硬貨が供給される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の筐体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上部位置にバラ硬貨がオペレータにより投入される投入口が設けられ、当該投入口より投入されたバラ硬貨を所定枚数集積させて包装紙で包装して棒金を作成する硬貨包装機が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5165260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような硬貨包装機では、上部が開口する箱型形状の筐体を有しており、該開口の全面を覆う一部材からなる上部カバーを有している。例えば硬貨の搬送不良(搬送ジャム)の発生の際には、オペレータは当該上部カバーを手動で開放して、搬送不良となっている硬貨の排除などの保守作業を行う。
【0005】
ここで、上部カバーが1つではなく、2分割したカバー構成を有する筐体装置とすれば、保守作業時に必要な一方のカバーのみを開放すれば良いため、オペレータが手動でカバーを開放する負担も少なくなる。また、一つのカバーとした場合、筐体装置の置かれている環境下によっては、他の機器と干渉してカバーを開くことができず、筐体装置を移動したり、他の機器を移動したりする必要がある。このような状況にならないように、開閉の頻度が高い場所を覆うカバーと、開閉の頻度が低い場所を覆うカバーとにカバーを2分割することも考えられる。
【0006】
しかしながら、複数のカバーを有する場合、それぞれのカバーが筐体に対してきちんとセットされているか否かを検知するカバーセット検知手段が、カバーの数に応じて必要となるため、コスト増となってしまう。
【0007】
したがって、本発明は、コスト増を抑制することができる筐体装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る態様は、筐体の一面の開口部に設けられて該開口部の一部を開閉する第一の開閉部材と、前記開口部に設けられて該開口部の残部を開閉する第二の開閉部材と、前記第一の開閉部材が閉位置にあるときに退避位置に位置し、前記第一の開閉部材が閉位置に無いときに前記第二の開閉部材の閉位置への移動を阻止する規制位置に位置する規制部材と、前記第二の開閉部材が閉位置に位置することを検出する検出手段と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コスト増を抑制することができる筐体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る筐体装置の第1実施形態である硬貨処理装置を示す斜視図である。
図2】本発明に係る筐体装置の第1実施形態である硬貨処理装置を示す斜視図である。
図3】本発明に係る筐体装置の第1実施形態である硬貨処理装置を含む硬貨処理システムを示す正面図である。
図4】本発明に係る筐体装置の第1実施形態である硬貨処理装置を含む硬貨処理システムを示す側面図である。
図5】本発明に係る筐体装置の第1実施形態である硬貨処理装置の棒金作成機構を概略的に示す斜視図である。
図6】本発明に係る筐体装置の第1実施形態である硬貨処理装置を示す左側カバーおよび右側カバーを共に開いた状態を示す部分斜視図である。
図7】本発明に係る筐体装置の第1実施形態である硬貨処理装置を示す左側カバーおよび右側カバーを共に開きホッパを取り外した状態を示す部分斜視図である。
図8】本発明に係る筐体装置の第1実施形態である硬貨処理装置を示す左側カバーを開いたまま右側カバーを閉じようとした状態を示す部分斜視図である。
図9】本発明に係る筐体装置の第1実施形態である硬貨処理装置を示す左側カバーを閉じた状態で右側カバーを閉じようとした状態を示す部分斜視図である。
図10】本発明に係る筐体装置の第1実施形態である硬貨処理装置を示す左側カバーおよび右側カバーを共に閉じた状態を示す部分斜視図である。
図11】本発明に係る筐体装置の第2実施形態である硬貨処理装置を示す左側カバーおよび右側カバーを共に開いた状態を示す部分斜視図である。
図12】本発明に係る筐体装置の第2実施形態である硬貨処理装置を示す左側カバーを開いたまま右側カバーを閉じようとした状態を示す部分斜視図である。
図13】本発明に係る筐体装置の第2実施形態である硬貨処理装置を示すセンサの配置を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
本発明に係る筐体装置の第1実施形態である硬貨処理装置を図1図10を参照して以下に説明する。
【0012】
図1および図2に示すように、第1実施形態の硬貨処理装置11には、一の側面にタッチセンサパネル式の操作表示部21が設けられている。以下の説明では、硬貨処理装置11において、操作表示部21が設けられた側を「前」、操作表示部21が設けられた側とは反対側を「後」、前方から見て左を「左」、前方から見て右を「右」とする。「前」は、硬貨処理装置11を操作するオペレータが主に対面する側である。
【0013】
硬貨処理装置11は、具体的には、操作表示部21を介して指定された単一の包装対象金種のバラ硬貨を所定の包装単位枚数(例えば50枚)集積して包装シートで包装することにより包装硬貨(以下、棒金と称す)を作成する硬貨包装装置である。硬貨処理装置11の上面の左側かつ後側には、装置外からバラ硬貨が投入される硬貨投入口22が上向きに開口して設けられている。
【0014】
硬貨処理装置11の前面には、左側の上部に上記した操作表示部21が設けられている。操作表示部21は、包装動作における金種指定情報などの各設定の入力、包装処理の開始・停止の操作入力がオペレータにより入力されると共に、硬貨処理装置11内でバラ硬貨を計数した結果、包装動作や印刷内容等の各種設定時の案内および設定内容等を表示する。また、前面の右側には、硬貨投入口22に投入されたバラ硬貨のうち、識別不能貨、汚損貨等の受け入れ不可な入金リジェクト硬貨を装置外に取り出し可能に排出する排除ボックス23が設けられている。排除ボックス23は、硬貨処理装置11の装置本体25にセットされた状態で装置本体25から送出されるバラ硬貨を収納することになり、装置本体25から前方に引き出されることで、収納しているバラ硬貨が装置外に取り出し可能となる。
【0015】
硬貨処理装置11の前面の右側には、排除ボックス23の下側に、硬貨投入口22に投入されたバラ硬貨のうち、指定された包装対象金種以外のバラ硬貨を装置外に取り出し可能に収納する選別ボックス27が設けられている。選別ボックス27は、装置本体25にセットされた状態で装置本体25から送出されるバラ硬貨を収納することになり、装置本体25から前方に引き出されることで、収納しているバラ硬貨が装置外に取り出し可能となる。
【0016】
硬貨処理装置11の前面の左側の下部には、所定の包装単位枚数に満たない枚数のバラ硬貨を集積して包装シートで包装することにより作成された端数棒金を装置外に取り出し可能に収納するクリアボックス28が設けられている。クリアボックス28は、装置本体25にセットされた状態で装置本体25から送出される端数棒金を収納することになり、装置本体25から前方に引き出されることで、収納している端数棒金が装置外に取り出し可能となる。尚、クリアボックス28については、端数棒金のみならず、集積したものの包装せずにバラ硬貨のまま排出させる場合にも当該バラ硬貨を収納する。
【0017】
硬貨処理装置11は、その前端に位置する前端構成部31に、排除ボックス23、選別ボックス27およびクリアボックス28が設けられている。前端構成部31は、前端構成部31よりも下側の下端構成部32よりも前方に突出している。硬貨処理装置11は、この前端構成部31における下部の左右方向の選別ボックス27とクリアボックス28との間の位置から下方に、作成した棒金のうち端数棒金以外の正常棒金を繰り出す。
【0018】
硬貨処理装置11は、例えば、主に現金処理センタで使用される装置仕様となっており、図3に示すように複数台が前後方向の位置を揃えて左右方向に並べられて硬貨処理システム41を構成する。硬貨処理システム41は、各硬貨処理装置11の図2に示す前端構成部31の鉛直下方において水平方向に延びるベルトコンベア42を有しており、このベルトコンベア42が各硬貨処理装置11から繰り出された正常棒金を搬送する。硬貨処理システム41は、このベルトコンベア42で搬送されてきた正常棒金を受け取って斜め上方に向けて搬送するベルトコンベア43と、ベルトコンベア43で搬送されてきた正常棒金を受け入れる受入台44とを有している。受入台44に搬送された正常棒金は、後工程で自動または手動で袋詰めまたは箱詰め等される。
【0019】
ここで、硬貨処理システム41は、図4に示すように、各硬貨処理装置11の傍らに配置される硬貨供給装置51を有している。硬貨供給装置51は、大量の所定金種のバラ硬貨を受け入れるとともに対応する硬貨処理装置11のバラ硬貨の残量に応じて対応する硬貨処理装置11にバラ硬貨を供給する。硬貨供給装置51は、大量の所定金種のバラ硬貨が投入されるホッパ台車52と、ホッパ台車52に投入されたバラ硬貨を硬貨処理装置11に供給するコインリフト53とを有している。コインリフト53は、バラ硬貨を自動で硬貨投入口22以上の高さまで搬送して硬貨投入口22へ投入するものである。このため、コインリフト53は、バラ硬貨を放出する末端の放出部54が、硬貨処理装置11の硬貨投入口22の鉛直上方に、硬貨投入口22に近接して対向するように設けられている。言い換えれば、コインリフト53は、硬貨投入口22を鉛直上方で覆うように配置されている。硬貨処理システム41では、硬貨供給装置51から対応する硬貨処理装置11の硬貨投入口22へ向けて、バラ硬貨が供給される。
【0020】
硬貨処理装置11には、内部に、図5に概略的に示す棒金作成機構61が設けられている。棒金作成機構61は、図1および図2に示す硬貨投入口22に投入されたバラ硬貨を集積させる集積機構62を有している。この集積機構62は、硬貨投入口22に投入されたバラ硬貨を受け入れる受入盤63と、受入盤63が回転することにより生じる遠心力で繰り出すバラ硬貨を受け入れる回転盤64と、回転盤64が回転することにより生じる遠心力でバラ硬貨を一枚ずつ繰り出す図示略の分別環と、分別環から繰り出されたバラ硬貨を受け入れて搬送する硬貨通路65とを有している。
【0021】
硬貨通路65は、その上部にバラ硬貨を一枚ずつ移送させる送りベルト71を有している。硬貨通路65の途中位置には、図示しない識別部が設けられており、硬貨通路65で搬送されるバラ硬貨の真偽および金種等が必要に応じて判別されるようになっている。ここで、硬貨通路65には図示しない排除孔および選別孔が設けられており、識別部で受け入れ不可と判別されたバラ硬貨は、排除孔から排除ボックス23に落下するようになっている。識別部で包装対象金種以外の金種と判別されたバラ硬貨は、選別孔から選別ボックス27に落下するようになっている。
【0022】
集積機構62は、硬貨通路65を経由した硬貨を集積させる一対の集積ドラム75を有している。これら集積ドラム75は、螺旋状の突条部76をそれぞれ有しており、相互の突条部76の高さ位置を一致させた状態で、硬貨通路65からのバラ硬貨の供給に同期させて、互いに反対方向に間欠的に回転駆動させられるようになっている。これにより、硬貨通路65を通じて供給されたバラ硬貨が両集積ドラム75の両突条部76に乗せられて一段下降させられ、その後に供給されたバラ硬貨が先のバラ硬貨の上に積み重ねられる結果、これら集積ドラム75間に、複数のバラ硬貨が上下方向に積み重ね状態に集積され、集積硬貨が形成されるようになっている。また、集積機構62は、これら集積ドラム75の下方位置に、これら集積ドラム75において所定枚数集積された集積硬貨をその上面に載置させる水平シャッタ77を有している。そして、水平シャッタ77は開放時に、その上面に載置させていた集積硬貨を落下させて、下方の包装機構81に受け渡すようになっている。
【0023】
包装機構81も棒金作成機構61を構成するものである。包装機構81は、水平シャッタ77から落下させられた集積硬貨を下から支える昇降可能な支持棒82と、支持棒82の周囲に鉛直方向に沿って配置される3本の平行な包装ローラ83と、これら包装ローラ83を回転駆動する図示略の包装モータとを有している。包装ローラ83は、そのうちの一つが残りの二つに対し近接・離間可能とされている。そして、包装ローラ83は、そのうちの一つが残りの二つに対し離間状態にあるとき、集積機構62から送られた集積硬貨を間に受け入れるようになっており、このように集積硬貨を受け入れた状態で前記一つが残りの二つに対し近接することにより、集積硬貨を三つで挟持することになる。そして、この状態で包装ローラ83を回転駆動し、かつ包装ローラ83と集積硬貨との間に包装シートSを挟み込むことで、集積硬貨の周面に包装シートSが巻回されるようになっている。また、包装機構81は、上記のように巻回された包装シートSの集積硬貨よりも上下に突出する両余剰部分を加締める加締爪84を上下に有している。
【0024】
包装機構81の側方には、包装機構81に透明ポリエチレンフィルム等の包装シートSを供給する包装紙供給機構91が設けられている。この包装紙供給機構91も、棒金作成機構61を構成するものである。包装紙供給機構91は、鉛直軸回りに回転自在に支持された包装紙ロールRから繰り出された包装シートSを挟持することにより、その回転量に応じた長さだけ包装シートSを包装紙ロールRから引き出して集積硬貨に向け供給する一対の紙送りローラ92と、これら紙送りローラ92を一定速度で回転駆動する図示略の紙送りモータと、紙送りモータの駆動で紙送りローラ92から送り出された包装シートSを包装ローラ83に向け案内する複数の案内ローラ93と、包装シートSを切断するカッタ94とを有している。なお、このカッタ94は、紙送りローラ92が停止しかつ包装ローラ83が回転駆動されている状態において包装シートSに生じる張力で包装シートSを切断するようになっている。
【0025】
棒金作成機構61は、集積機構62が、包装対象金種のバラ硬貨を所定の包装単位枚数(例えば50枚)集積し、包装機構81および包装紙供給機構91が、このように集積された集積硬貨の周囲に三つの包装ローラ83で包装シートSを巻回し、包装シートSをカッタ94で切断すると共に、集積硬貨よりも集積方向における両外側に突出する包装シートSの余剰部分を加締爪84で加締めることで棒金を作成する。
【0026】
図6に示すように、硬貨処理装置11は、筐体101の一面である上面の上方に開口する開口部102を開閉可能な上部カバー105を有している。上部カバー105は、筐体101の開口部102の左側部分を開閉可能な左側カバー111(第一の開閉部材)と、筐体101の開口部102の右側部分を開閉可能な右側カバー112(第二の開閉部材)とを有している。左側カバー111は、筐体101の開口部102に設けられて開口部102の左側の一部を開閉する。右側カバー112は、筐体101の開口部102に設けられて開口部102の残部を開閉する。
【0027】
左側カバー111は、筐体101の開口部102の後端縁部にヒンジ121を介して連結されており、ヒンジ121によって左右方向に沿う軸回りに回動する。左側カバー111は、開口部102を覆う閉位置にある閉状態での後端部の下端縁部がヒンジ121に連結されている。左側カバー111には、上記した硬貨投入口22が設けられている。
【0028】
硬貨処理装置11は、筐体101の開口部102内の左側に、硬貨投入口22に投入されたバラ硬貨を案内するホッパ122が設けられており、このホッパ122の下側に図7に示すように上記した受入盤63が配置されることになる。左側カバー111は、閉位置にある閉状態では、硬貨投入口22をホッパ122の鉛直上方に近接配置すると共に、開口部102内のホッパ122の周囲を覆う。左側カバー111は、開状態にあるとき、ホッパ122および筐体101の開口部102内のホッパ122の周囲を鉛直上方に開放する。ホッパ122が取り外されると、受入盤63が鉛直上方に開放される。左側カバー111は、閉状態にあるときに前端の下端縁部となる部分の内側に下方に突出する突起部123を有している。突起部123は、左側カバー111においてヒンジ121とは反対側の端部に設けられている。
【0029】
右側カバー112は、筐体101の開口部102の右端縁部にヒンジ131を介して連結されており、ヒンジ131によって前後方向に沿う軸回りに回動する。右側カバー112は、開口部102を覆う閉位置にある閉状態での右端の下端縁部がヒンジ131に連結されている。
【0030】
硬貨処理装置11は、筐体101の開口部102内の右側に、上記した硬貨通路65等が設けられている。右側カバー112は、閉位置にある閉状態では、硬貨通路65等の鉛直上方に位置して硬貨通路65等を覆うことになり、開状態にあるとき、硬貨通路65等を鉛直上方に開放する。右側カバー112は、閉状態にあるときに左端となる部分の内側に下方に突出する押圧片部132を有している。
【0031】
図8に示すように、筐体101の開口部102の前端縁部の内側には、ストッパ機構141が設けられている。ストッパ機構141は、筐体101に取り付けられる支持部材142と、支持部材142に前後方向に沿うように支持された支持軸143と、この支持軸143を中心に回動可能な規制部材144と、規制部材144を回動付勢する図示略のバネ部材とを有している。
【0032】
規制部材144は、バネ部材の付勢力で、図8に示すように左右方向に沿う規制位置に位置する。規制部材144は、板金ブロックであり、前後方向に対し直交して広がる状態で支持軸143に支持される一対の平行な側板部151と、規制位置に位置するとき一対の側板部151の上端縁部同士を結ぶように水平に広がる規制板部152と、規制位置に位置するとき規制板部152の右端縁部から上方に突出する突出部153とを有している。規制部材144は、規制位置に位置するとき、規制板部152の支持軸143よりも左側の部分が解除当接部161となっており、規制板部152の支持軸143よりも右側の部分が規制当接部162となっている。
【0033】
規制部材144は、図示略のバネ部材の付勢力で規制位置に位置する状態では、支持軸143よりも右側の規制当接部162を下方に移動させる方向の回転が支持部材142の当接部163に解除当接部161が下方から当接することで規制されている。規制部材144は、規制位置に位置するときの規制当接部162の水平方向の位置が、閉位置にある右側カバー112の押圧片部132の水平方向の位置と合う。よって、規制部材144が規制位置に位置するときに、右側カバー112を閉めようとしても、図8に示すように規制当接部162が押圧片部132に当接して右側カバー112が閉位置に位置するのを規制する。
【0034】
規制部材144は、規制位置に位置する状態から規制板部152の支持軸143よりも左側の解除当接部161が下方に押圧されると、図示略のバネ部材の付勢力に抗して支持軸143よりも左側の解除当接部161を下方に移動させるように回動する。規制部材144は、規制位置に位置するときの解除当接部161の水平方向の位置が、閉位置にある左側カバー111の図6に示す突起部123の水平方向の位置と合う。よって、図8に示すように規制部材144が規制位置に位置するときに、図6に示す左側カバー111を閉めると、左側カバー111の突起部123で解除当接部161が押圧されて解除当接部161が、図9に示すように下方に移動するように規制部材144が回動して略鉛直方向に沿う退避位置に位置する。
【0035】
規制部材144は、バネ部材の付勢力で若干抵抗するものの左側カバー111の閉作動を規制することはない。図9に示すように退避位置にあるとき、規制部材144は、規制当接部162の水平方向の位置が、閉位置にある右側カバー112の押圧片部132の水平方向の位置に対してずれる。よって、規制部材144が退避位置にあるときに、右側カバー112を閉めようとすると、規制部材144は押圧片部132に当接することなく、図10に示すように右側カバー112が閉位置に位置するのを許容する。
【0036】
言い換えれば、退避位置にある規制部材144は、規制当接部162が右側カバー112の押圧片部132の軌道から外れて、右側カバー112の押圧片部132と当接しなくなって、右側カバー112が、筐体101に対して閉状態になることが可能となる。さらに言い換えれば、左側カバー111が筐体101に対して開状態である場合には、図8に示すように規制部材144が有する解除当接部161が、左側カバー111の突起部123と当接しないため、規制部材144の姿勢は略水平方向の規制状態を維持し続ける。その結果、規制部材144が有する規制当接部162が右側カバー112の押圧片部132と当接する。これにより、右側カバー112は、筐体101に対して閉状態になることが不可となる。
【0037】
以上により、規制部材144は、左側カバー111が閉位置にあるときに右側カバー112の閉位置への移動を許容する退避位置に位置し、左側カバー111が閉位置に無いときに右側カバー112の閉位置への移動を阻止する規制位置に位置する。ストッパ機構141は、筐体101の開口部102の前側に設けられている。ストッパ機構141は、左側カバー111が閉状態にないときに右側カバー112の閉動作を阻止する規制部材144が回転する回転式ストッパ機構である。
【0038】
筐体101は、図9に示すように、開口部102の前部の内側に、右側カバー112が閉位置に位置することを検出するセンサ171(検出手段)を有している。センサ171は、具体的にはインターロックスイッチであり、右側カバー112に設けられた図示略の検出片部で遮光されることで右側カバー112が閉位置に位置することを検出する。すなわち、左側カバー111および右側カバー112からなる上部カバー105の閉状態を検出するセンサ171として、右側カバー112が閉状態にあるか否かを検出するセンサ171の1つだけを配置している。
【0039】
硬貨処理装置11は、筐体101内の駆動機構である棒金作成機構61等の作動を制御する図示略の制御部(制御手段)を有している。制御部は、センサ171が、右側カバー112が閉位置に位置することを検出しているときに、筐体101内の棒金作成機構61等を駆動可能とする一方、センサ171が、右側カバー112が閉位置に位置することを検出していないときには、筐体101内の棒金作成機構61等の駆動を規制する。
【0040】
上部カバー105は上記のように左側カバー111および右側カバー112の2分割式となっており、例えば、発生頻度の高い硬貨通路65等における硬貨詰まりなどの保守作業時には、アクセスに必要な箇所である硬貨通路65等を覆う右側カバー112のみを開く構成となっている。そして、エラー内容を操作表示部21に表示させ、作業者へジャム硬貨の排除を促すことになる。
【0041】
これに対して、左側カバー111は、作業者が硬貨投入口22と硬貨投入口22の下側に配置されている受入盤63、回転盤64および図示略の分別環の周辺へアクセスする際に、図6および図7に示すように開くことができる。この場合、図4に示す硬貨供給装置51のコインリフト53との干渉を防ぐため、コインリフト53を硬貨処理装置11から離すように移動させる必要が生じる。
【0042】
硬貨処理装置11では、上部カバー105を1枚とせずに2分割式とすることにより、保守作業時に開放の頻度が比較的多い右側カバー112みを、左側カバー111を閉じた状態のまま、開くことができる。このため、コインリフト53を移動させる手間を省けるとともに、上部カバー105の全面を開くよりも、楽に開くことが可能となる。
【0043】
以上に述べた第1実施形態の硬貨処理装置11によれば、規制部材144は、左側カバー111が閉位置にあるときに退避位置に位置し、左側カバー111が閉位置に無いときに右側カバー112の閉位置への移動を阻止する規制位置に位置するため、左側カバー111を閉じ忘れた状態で右側カバー112が閉じられてしまうことを規制する。このような規制部材144により、右側カバー112が閉じられていれば、左側カバー111も閉じられていることになるため、右側カバー112が閉位置に位置することを検出するセンサ171で、左側カバー111が閉位置に位置することも検出できる。したがって、上部カバー105が2分割になった場合においても、コスト増を抑制することができる。すなわち、上部カバー105が2分割式の場合であっても、1つのセンサ171のみで上部カバー105全体の閉状態を検知することが可能であるため、分割された左側カバー111および右側カバー112毎にそれぞれセンサを設けることに比べて、コスト増を抑制する効果を奏する。
【0044】
また、制御部は、右側カバー112が閉位置に位置することをセンサ171が検出しているときに、筐体101内の棒金作成機構61を駆動可能とするため、上部カバー105を閉め忘れた状態で棒金作成機構61が駆動されてしまうことを抑制できる。
【0045】
また、ストッパ機構141は、左側カバー111が閉位置に無いときに右側カバー112の閉位置への移動を、回転する規制部材144で阻止する構成のため、ストッパ機構141を、電気駆動部品を必要としない簡素なメカ部品で構成することができる。これによっても、コスト増を抑制できるとともに、大がかりな機構(駆動部品、制御基板、ハーネスなど)を別途組み込む必要がないため、装置の大型化を抑制できる。
【0046】
また、硬貨処理装置11は、開口部102が筐体101の上面開口であって左側カバー111にはバラ硬貨を投入する硬貨投入口22が設けられ、硬貨処理装置11の傍らにはバラ硬貨を供給する硬貨供給装置51が配置され、硬貨供給装置51から硬貨処理装置11の硬貨投入口22へ向けて、バラ硬貨が供給される。このため、上部カバー105を左側カバー111および右側カバー112に分割することで、右側カバー112が、硬貨供給装置51と干渉せず開放可能となり、メンテナンス性を向上できる効果が高い。
【0047】
[第2実施形態]
本発明に係る筐体装置の第2実施形態である硬貨処理装置11を図11図13を参照して第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
【0048】
第2実施形態では、図11に示すように、突起部123にかえて、左側カバー111の閉状態にあるときに後端の下端縁部となる部分の内側に突起部123Aを有している。突起部123Aは、左側カバー111においてヒンジ121側の端部に設けられている。また、第2実施形態では、押圧片部132にかえて、右側カバー112の閉状態にあるときに後端となる部分の内側に押圧片部132Aを有している。また、第2実施形態では、ストッパ機構141にかえて、筐体101の開口部102の後端縁部の内側にストッパ機構141Aが設けられている。ストッパ機構141Aは、筐体101に取り付けられる支持部材142Aと、支持部材142Aに左右方向にスライド可能に支持される規制部材144Aと、規制部材144Aをスライド付勢する図示略のバネ部材とを有している。
【0049】
図12に示すように、規制部材144Aは、左右方向に延びて支持部材142Aに支持される主体部151Aと、主体部151Aの左端部から上方に突出する解除当接部161Aと、主体部151Aの右端部から上方に突出する規制当接部162Aとを有している。解除当接部161Aは上端縁部が左右方向において規制当接部162Aに近づくほど上側に位置するように傾斜している。規制当接部162Aは上端縁部が水平に沿っている。図示略のバネ部材は、規制部材144Aを左方に付勢して図12に示す規制位置に位置させる。
【0050】
規制部材144Aは、規制位置に位置する状態では、規制当接部162Aの水平方向の位置が、閉位置にある右側カバー112の押圧片部132Aの水平方向の位置と合う。よって、図12に示すように、規制部材144Aが規制位置に位置するときに、右側カバー112を閉めようとしても、規制当接部162Aが押圧片部132Aに当接して右側カバー112が閉位置に位置するのを規制する。
【0051】
規制部材144Aは、規制位置に位置するときの解除当接部161Aの水平方向の位置が、閉位置にある左側カバー111の突起部123Aの水平方向の位置と合う。よって、規制部材144が規制位置に位置するときに、左側カバー111を閉めると、左側カバー111の突起部123Aで解除当接部161Aが押圧されてその傾斜により規制部材144Aはバネ部材の付勢力に抗して右方にスライドして退避位置に位置する。規制部材144Aは、バネ部材の付勢力で若干抵抗するものの左側カバー111の閉作動を規制することはない。退避位置にあるとき、規制部材144Aは、規制当接部162Aの水平方向の位置が、閉位置にある右側カバー112の押圧片部132Aの水平方向の位置に対して右側にずれる。よって、規制部材144Aが退避位置にあるときに、右側カバー112を閉めようとすると、規制当接部162Aが押圧片部132Aに当接することなく、右側カバー112が閉位置に位置するのを許容する。
【0052】
言い換えれば、退避位置に位置する規制部材144Aは、規制当接部162Aが、右側カバー112の押圧片部132Aの軌道から外れて、右側カバー112の押圧片部132Aと当接しなくなって、右側カバー112が、筐体101に対して閉状態になることが可能となる。さらに言い換えれば、左側カバー111が筐体101に対して開状態である場合には、規制部材144Aが有する解除当接部161Aが、左側カバー111の突起部123Aと当接しないため、規制部材144Aは規制位置に位置する状態を維持し続ける。その結果、規制部材144Aが有する規制当接部162Aが右側カバー112の突起部123Aと当接する。これにより、右側カバー112は、筐体101に対して閉状態になることが不可となる。
【0053】
以上により、規制部材144Aは、左側カバー111が閉位置にあるときに右側カバー112の閉位置への移動を許容する退避位置に位置し、左側カバー111が閉位置に無いときに右側カバー112の閉位置への移動を阻止する規制位置に位置する。ストッパ機構141Aは、筐体101の開口部102の後側に設けられており、左側カバー111が閉状態にないときに右側カバー112の閉動作を阻止する規制部材144Aが、スライドするスライド式ストッパ機構である。
【0054】
以上に述べた第2実施形態の硬貨処理装置11によれば、第1実施形態と同様、右側カバー112が閉位置に位置することを検出する図13に示すセンサ171で、左側カバー111が閉位置に位置することも検出できる。したがって、上部カバー105が2分割になった場合においても、1つのセンサ171のみで上部カバー105全体の閉状態を検知することが可能であるため、コスト増を抑制することができる。
【0055】
また、ストッパ機構141Aは、左側カバー111が閉位置に無いときに右側カバー112の閉位置への移動を、スライドする規制部材144Aが阻止する構成であるため、ストッパ機構141Aを、電気駆動部品を必要としない簡素なメカ部品で構成することができる。これによっても、コスト増を抑制できるとともに、大がかりな機構(駆動部品、制御基板、ハーネスなど)を別途組み込む必要がないため、装置の大型化を抑制できる。
【0056】
本発明は、硬貨を処理する硬貨処理装置11以外の種々の筐体装置に適用可能であり、例えば、紙幣を処理する紙幣処理装置にも適用可能である。言い換えれば、紙幣および硬貨のうちの少なくともいずれか一方を処理する貨幣処理装置に適用可能である。また、筐体101の開口部102の位置は問わず、装置の横に向く側面に設けられていても良い。また、規制部材144,144Aの配置位置が筐体101の前後のいずれであるかは問わない。
【符号の説明】
【0057】
11…硬貨処理装置(筐体装置、貨幣処理装置)、22…硬貨投入口、51…硬貨供給装置、61…棒金作成機構(駆動機構)、101…筐体、102…開口部、111…左側カバー(第一の開閉部材)、112…右側カバー(第二の開閉部材)、144,144A…規制部材、171…センサ(検出手段)。
図1
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