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特開2022-168918ねじり加工用ローラ、ねじり加工装置及びねじり加工方法
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  • 特開-ねじり加工用ローラ、ねじり加工装置及びねじり加工方法 図1
  • 特開-ねじり加工用ローラ、ねじり加工装置及びねじり加工方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168918
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】ねじり加工用ローラ、ねじり加工装置及びねじり加工方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 11/14 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
B21D11/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074604
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保木 孝
(72)【発明者】
【氏名】梶川 翔平
(72)【発明者】
【氏名】アバニシュ クマール
(57)【要約】
【課題】複雑な形状のねじり加工が簡単にできるようにする。
【解決手段】2つのねじり加工用ローラを対向して配置し、対向配置された2つのねじり加工用ローラの間に、板材を通過させて、板材をねじり加工する。2つのねじり加工用ローラは、同一直径に形成された平行部と、平行部に接続され、平行部の直径から徐々に太くなるテーパ部とを有する。そして、一方のねじり加工用ローラのテーパ部と、他方のねじり加工用ローラの平行部とを近接した状態にすると共に、他方のねじり加工用ローラのテーパ部と、一方のねじり加工用ローラの平行部とを近接した状態に配置して、配置した2つのねじり加工用ローラの間に、板材を通過させることで、板材をねじり加工する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延方式により板材をねじり加工するねじり加工用ローラであり、
同一直径に形成された平行部と、
前記平行部に接続され、前記平行部の直径から徐々に太くなるテーパ部と、
を有する
ねじり加工用ローラ。
【請求項2】
2つのねじり加工用ローラを対向して配置し、
対向配置された2つのねじり加工用ローラの間に、板材を通過させる圧延により、前記板材をねじり加工するねじり加工装置であり、
2つの前記ねじり加工用ローラは、
同一直径に形成された平行部と、
前記平行部に接続され、前記平行部の直径から徐々に太くなるテーパ部と、を有し、
一方の前記ねじり加工用ローラのテーパ部と、他方の前記ねじり加工用ローラの平行部とを近接した状態にすると共に、他方の前記ねじり加工用ローラのテーパ部と、一方の前記ねじり加工用ローラの平行部とを近接した状態として、2つの前記ねじり加工用ローラを保持する保持部を備える
ねじり加工装置。
【請求項3】
前記保持部は、2つの前記ねじり加工用ローラの間を通過させる前記板材の幅方向から、それぞれ所定のスキュー角を持たせて、2つの前記ねじり加工用ローラをずれた角度で配置する
請求項2に記載のねじり加工装置。
【請求項4】
さらに、2つの前記ねじり加工用ローラの前記平行部が、前記板材の幅方向に所定長重なった状態になるように、2つの前記ねじり加工用ローラが配置される
請求項3に記載のねじり加工装置。
【請求項5】
前記保持部は、2つの前記ねじり加工用ローラの前記スキュー角及び前記所定長を調整可能とする
請求項4に記載のねじり加工装置。
【請求項6】
2つのねじり加工用ローラを対向して配置し、
対向配置された2つのねじり加工用ローラの間に、板材を通過させて、前記板材をねじり加工するねじり加工方法であり、
2つの前記ねじり加工用ローラは、
同一直径に形成された平行部と、
前記平行部に接続され、前記平行部の直径から徐々に太くなるテーパ部と、を有し、
一方の前記ねじり加工用ローラのテーパ部と、他方の前記ねじり加工用ローラの平行部とを近接した状態にすると共に、他方の前記ねじり加工用ローラのテーパ部と、一方の前記ねじり加工用ローラの平行部とを近接した状態に配置して、配置した2つの前記ねじり加工用ローラの間に、前記板材を通過させる圧延により、前記板材をねじり加工する
ねじり加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板などの板材をねじり加工するのに好適な、ねじり加工用ローラ、ねじり加工装置及びねじり加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風車の羽やプロペラのような連続したねじれ形状の構造体を得るためには、金属体を該当する形状に切削加工するか、あるいは鋳造加工を行っていた。切削加工では切りくずが多く発生すると共に、必要な形状まで切削するのに多くの時間が必要である。鋳造加工では、1つ1つの製品を鋳造するごとに砂型が必要であり、製作に多大な手間を必要とする。
【0003】
特許文献1には、一部が欠けた形状のワッシャーを製造する際に、一対のテーパーローラで帯状の金属材を圧縮して、円形形状に湾曲したワッシャーを製造する工程の例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-297063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるように、円錐状に傾斜した面を有するテーパーローラの傾斜面同士を対向させた上で、金属材を圧縮することで、ワッシャーのような部材全体をほぼ一定の円形形状とすることは従来から知られている。
しかしながら、風車の羽やプロペラのような複雑なねじり形状を持った構造体を、圧縮加工で形成することは、従来の方法では極めて困難であった。
【0006】
本発明の目的は、複雑な形状のねじり加工を行うことができるねじり加工用ローラ、ねじり加工装置及びねじり加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のねじり加工用ローラは、圧延方式により板材をねじり加工するねじり加工用ローラであり、同一直径に形成された平行部と、その平行部に接続され、平行部の直径から徐々に太くなるテーパ部と、を有する。なお、本発明での圧延方式には板材の板厚が減少する場合と減少しない場合のいずれも含まれる。
【0008】
また本発明のねじり加工装置は、2つのねじり加工用ローラを対向して配置し、対向配置された2つのねじり加工用ローラの間に、板材を通過させて、板材をねじり加工するねじり加工装置であり、2つのねじり加工用ローラは、同一直径に形成された平行部と、平行部に接続され、平行部の直径から徐々に太くなるテーパ部とを有し、一方のねじり加工用ローラのテーパ部と、他方のねじり加工用ローラの平行部とを近接した状態にすると共に、他方のねじり加工用ローラのテーパ部と、一方のねじり加工用ローラの平行部とが近接した状態として、2つのねじり加工用ローラを保持する保持部を備える。
【0009】
また本発明のねじり加工方法は、2つのねじり加工用ローラを対向して配置し、対向配置された2つのねじり加工用ローラの間に、板材を通過させて、板材をねじり加工するねじり加工方法であり、2つのねじり加工用ローラは、同一直径に形成された平行部と、平行部に接続され、平行部の直径から徐々に太くなるテーパ部とを有し、一方のねじり加工用ローラのテーパ部と、他方のねじり加工用ローラの平行部とを近接した状態にすると共に、他方のねじり加工用ローラのテーパ部と、一方のねじり加工用ローラの平行部とを近接した状態に配置して、配置した2つのねじり加工用ローラの間に、板材を通過させることで、板材をねじり加工するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、2つのねじり加工用ローラを対向して配置し、対向配置された2つのねじり加工用ローラの間に、板材を通過させることで、板材を圧延方式によりねじり加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態例によるねじり加工状態の例を示す概念図である。
図2】本発明の一実施の形態例によるねじり加工用ローラと金属材との配置状態を示す平面図である。
図3】本発明の一実施の形態例によるねじり加工用ローラと金属材との配置状態を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施の形態例によるねじり加工用ローラの形状を示す平面図である。
図5】本発明の一実施の形態例による2つのねじり加工用ローラの配置例を示す平面図である。
図6】本発明の一実施の形態例によるねじり加工装置の例を示す構成図である。
図7】本発明の一実施の形態例によるねじり加工装置により加工される部材の例(例1)を示す図である。
図8】本発明の一実施の形態例によるねじり加工装置により加工される部材の例(例2)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態例(以下、「本例」と称する)を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本例のねじり加工状態の例を示す概念図である。
本例のねじり加工では、第1ねじり加工用ローラ10と第2ねじり加工用ローラ20とを用意して対向配置し、板材1aを、その2つのねじり加工用ローラ10,20の間を通過させて、通過時に圧延方式で、ねじり加工用ローラ10,20で圧力を加える。これにより、ねじり加工された板材1bが得られる。板材1としては、例えば金属材が使用される。なお、板材1a,1bは、ねじり加工の前後を区別する必要がない場合には、a,bの符号を付けない板材1と称する。
被圧延材である板材1は、圧延により板厚が薄くなる場合と、ねじり加工のみが行われて板厚が変化しない場合のいずれの場合でもよい。
【0013】
第1ねじり加工用ローラ10は、平行部11とテーパ部13とを有し、接続部12で平行部11とテーパ部13とが接続されている。
第2ねじり加工用ローラ20も、第1ねじり加工用ローラ10と同一の形状になっている。すなわち、第2ねじり加工用ローラ20は、平行部21とテーパ部23とを有し、接続部22で平行部21とテーパ部23とが接続されている。
【0014】
図1に示すように、第1ねじり加工用ローラ10のテーパ部13と、第2ねじり加工用ローラ20のテーパ部23とは、反対方向を向くように配置され、さらに各加工用ローラ10,20が後述するスキュー角度を持って配置されて、そのスキュー角度やテーパ部13,23の角度によって板材1のねじり状況が設定される。
なお、板材1をローラ10,20の間に押し込む方式としては、主として次に述べる3つの方法が考えられる。
第1の方法は、ローラ10,20を駆動し、摩擦力によって板材1を誘導する方法である。
第2の方法は、ローラ10,20を金属材1の動きに連動して回転する従動として、金属材1の後ろから板材1を押し込む方法である。
第3の方法は、ローラ10,20を駆動しつつ、後ろから板材1を押し込む方法である。
この3つの方法は、第1の方法では滑りが発生する可能性があり、第2の方法では板が座屈する可能性があり、第3の方法が最も安定してねじり加工が行える。
【0015】
図2及び図3は、第1ねじり加工用ローラ10及び第2ねじり加工用ローラ20と、板材1との具体的な配置関係を示す。ここでは、板材1の一例として金属材を使用した場合とし、以下の説明では、板材1を金属材1と述べる。
図2は平面図であり、図3は斜視図である。
図2及び図3に示すように、第1ねじり加工用ローラ10は、テーパ部13を金属材1の幅方向の一方(図2での左側)に配置され、第2ねじり加工用ローラ20は、テーパ部23を金属材1の幅方向の他方(図2での右側)に配置される。なお、図2で分かるように、各ねじり加工用ローラ10,20の平行部11,21が重なっている区間もある。この平行部11,21が重なっている区間の作用については、図5で説明する。
【0016】
これにより、第1ねじり加工用ローラ10のテーパ部13は、第2ねじり加工用ローラ20の平行部21と近接する。したがって、第1ねじり加工用ローラ10のテーパ部13と、第2ねじり加工用ローラ20の平行部21とが近接した箇所を通過した金属材1bは、テーパ部13により下側にねじ曲げられる。
【0017】
また、第2ねじり加工用ローラ20のテーパ部23は、第1ねじり加工用ローラ10の平行部11と近接する。したがって、第2ねじり加工用ローラ20のテーパ部23と、第1ねじり加工用ローラ10の平行部11とが近接した箇所を通過した金属材1bは、テーパ部13により上側にねじ曲げられる。
よって、第1ねじり加工用ローラ10と第2ねじり加工用ローラ20との間を通過した金属材1bは、左右の端が下側と上側の逆方向にねじられた状態になる。
【0018】
図4は、第1ねじり加工用ローラ10と第2ねじり加工用ローラ20を平面図で示したものである。
図4に示すように、それぞれのねじり加工用ローラ10,20のテーパ部13,23は、所定の角度θ1で傾斜している。角度θ1は、例えば5°~20°の範囲から選定した角度にする。また、第1ねじり加工用ローラ10のテーパ部13の角度θ1と、第2ねじり加工用ローラ20のテーパ部23の角度θ1は、同じ角度でもよいが、異なる角度としてもよい。異なる角度とした場合には、板が捻られながら板の中心軸が螺旋軌跡を描く螺旋階段状の成形品が得られる。
【0019】
テーパ部13,23の角度θ1を大きくすることで、金属材1bのねじり角度を大きくすることができる。但し、金属材1bのねじり角度は、テーパ角度θ1の他に、各ローラ10,20を配置するスキュー角度との組み合わせで決まる。
【0020】
図5は、第1ねじり加工用ローラ10と第2ねじり加工用ローラ20を配置する際のスキュー角度や2つのローラ10,20が重なっている区間の詳細を示す。図5では、第1ねじり加工用ローラ10には回転軸14が取り付けられ、第2ねじり加工用ローラ20には回転軸24が取り付けられている。図5において、一点鎖線で示す15と25は、それぞれ回転軸14,24の回転中心である。
【0021】
第1ねじり加工用ローラ10は、金属材1の幅方向を示す基準線31(圧延加工時に進行する方向と直交する方向の線)に対して、スキュー角度Φ1だけ、傾斜して加工装置に取り付けられている。また、第2ねじり加工用ローラ20は、基準線31に対して、スキュー角度Φ2だけ、傾斜して加工装置に取り付けられている。
【0022】
スキュー角度Φ1,Φ2は、例えば5°~20°の範囲から選定した角度にする。したがって、第1ねじり加工用ローラ10と第2ねじり加工用ローラ20は、Φ1+Φ2の角度R1だけシフトした状態で配置される。
なお、2つのスキュー角度Φ1,Φ2は、同じ角度でもよいが、異なる角度としてもよい。テーパ角と同様に、スキュー角を異なる角度とした場合には、板が捻られながら板の中心軸が螺旋軌跡を描く螺旋階段状の成形品が得られる。
【0023】
各ねじり加工用ローラ10,20が重なる点から見た平行部11,21が重なる長さd1,d2は、金属材1のねじり加工状態に応じて設定される。図5の例では、長さd1,d2を異なる値としてあるが、金属材1のねじり加工状態によっては等しい値としてもよい。また、例えば長さd1,d2はほぼないような双方のテーパ部13,23がほぼ近づいて配置されるようにしてもよい。長さd1と長さd2が等しい場合には、板の中心軸がブレずに捻られる成形品が得られ、長さd1と長さd2が異なる場合には、板が捻られながら板の中心軸が螺旋軌跡を描く螺旋階段状の成形品が得られる。
【0024】
図6は、ねじり加工用ローラ10,20を配置した、ねじり加工装置の構成を示す。
図6に示すねじり加工装置は、上側の保持部41,42で、第1ねじり加工用ローラ10の回転軸14の一端と他端を回転可能に保持し、下側の保持部51,52で、第2ねじり加工用ローラ20の回転軸24の一端と他端を回転可能に保持している。
ここで、第1ねじり加工用ローラ10の平行部11と第2ねじり加工用ローラ20の平行部21との間の距離hは、金属材1の厚さに応じて設定される。通常、距離hは、金属材1の厚さとほぼ等しくするが、金属材1の板厚を減少させる処理である一般的な意味での圧延を同時に行う場合には、金属材1の厚さよりも距離hを狭く設定してもよい。なお、本明細書で述べる圧延には、被圧延材である金属材1の板厚を減少させる場合の他に、被圧延材である金属材1の断面形状を変える場合も含まれる。
各保持部41,42,51,52で保持した2つのねじり加工用ローラ10,20は、駆動源により駆動させる方式と、金属板1の動きで従動する方式のいずれでもよい。また、金属材1を後方から押し込む場合には、金属材1の押し込み機構を備える。既に説明したように、2つのねじり加工用ローラ10,20を駆動源により駆動させながら、金属材1を後方から押し込む方式とするのが好ましいが、ねじり加工用ローラ10,20を駆動源により駆動させる方式や、金属材1を後方から押し込む方式としてもよい。
【0025】
なお、ねじり加工装置は、保持部41,42,51,52で保持した2つのねじり加工用ローラ10,20のスキュー角度Φ1,Φ2や、2つのねじり加工用ローラ10,20の平行部11,21が重なる長さd1,d2は、可変設定できる構成とするのが好ましい。
【0026】
図7及び図8は、図6に示すねじり加工装置で加工した金属材の例を示す。
図7は、金属材110aをねじり加工して、プロペラの羽を形成させた例を示す。
図7(a)に示すように、本例のねじり加工装置によって、ねじり加工した成形品である金属材110aが得られる。ここでのねじり加工は、比較的弱いねじり加工である。この図7に示すような弱いねじり加工は、テーパ部13,23の角度θ1,θ2やスキュー角度Φ1,Φ2を、弱いねじり加工に対応させて比較的小さな値とすることで実現することができる。
また、ねじり状態(ねじり角度)が途中で変化する場合には、スキュー角度Φ1,Φ2や長さd1,d2(図5)を加工途中で変化させることで実現できる。
【0027】
このようにねじり加工した金属材110aは、図7(b)に示すように切断ライン111で周囲を切断して、所望の羽の形状とした金属材110bとされる。
この図7(b)に示す金属材110bを複数枚用意して、組み立てることで、図7(c)に示すプロペラが得られる。
【0028】
図8は、金属材210をねじり加工して、スクリューを形成させた例を示す。
図8(a)は、ねじり加工した金属材210を端部から見た状態であり、図8(b)は、ねじり加工した金属材210を斜めから見た状態である。なお、図8(a)に示す仮想ラインL1,L2,L3,・・・は、図8(a)の左側の、ねじり加工前の金属材の仮想ラインL1,L2,L3,・・・が、ねじり加工後に対応している箇所を示す。
この図8の例は、図8(b)に示すように、金属材200を強くねじり加工する状態を連続させて行った場合である。
【0029】
そして、図8(a)に示すように、金属材210の中心に、中心軸用穴211を開ける加工を行う。さらに、図8(b)に示すように、中心軸用穴211に、中心軸部材212を嵌めて、スクリューとして完成させている。
【0030】
この図8に示すような強いねじり加工は、テーパ部13,23の角度θ1,θ2やスキュー角度Φ1,Φ2を、強いねじり加工に対応させて比較的大きな値とすることで実現することができる。
【0031】
以上説明したように、本例のねじり加工装置によると、金属材などの板材を圧延方式で所望の形状にねじり加工することができる。したがって図7に示すようなプロペラの羽や図8に示すようなスクリューなどの様々な所望の形状のねじり加工部品を、切削加工や鋳造加工を行うことなく容易に取得することができる。そして、この場合、テーパ部の角度やスキュー角度の設定で、ねじり状態を調整することができ、様々な形状の加工に対応することが可能になる。
【0032】
なお、ローラ10,20の間に板材である金属材を通過させる場合には、ローラ10,20を加熱して、ローラ10,20から板材に熱を加えて加工してもよい。あるいは、外部からトーチやレーザを用いて、ねじり加工される箇所の板材を加熱してもよい。
また、ここまでの実施の形態例では、板材である金属材をねじり加工する例について説明したが、本発明は、金属材以外の板材を同様にねじり加工してもよい。例えば、板材として、熱可塑性樹脂を含むFRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)や、焼結前のセラミックスを使用してもよい。熱可塑性樹脂を含むFRPの場合、上述したようにローラ10,20を加熱して、ローラ10,20から板材に熱を加えて加工する必要がある。
【符号の説明】
【0033】
1…板材(金属材:被圧延材)、1a…金属材(ねじり加工前)、1b…金属材(ねじり加工後)、10…第1ねじり加工用ローラ、11…平行部、12…テーパ端、13…テーパ部、14…回転軸、15…回転中心、20…第2ねじり加工用ローラ、21…平行部、22…テーパ端、23…テーパ部、24…回転軸、25…回転中心、31…基準線、41,42,51,52…保持部、100…プロペラ、110a…金属材、110b…金属材(切断加工後)、111…切断ライン、210…金属材、211…中心軸用穴、212中心軸部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8