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  • 特開-壁の下端部構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168919
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】壁の下端部構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20221101BHJP
   E04B 1/64 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
E04F13/08 101W
E04B1/64 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074606
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】390018463
【氏名又は名称】アイジー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】前田義弘
【テーマコード(参考)】
2E001
2E110
【Fターム(参考)】
2E001DA02
2E001DH25
2E001FA04
2E001FA32
2E001GA55
2E001HB01
2E110AA13
2E110AA28
2E110AB04
2E110AB06
2E110AB15
2E110AB22
2E110BA12
2E110DA03
2E110DC03
2E110DC08
2E110GA24Z
2E110GA33W
2E110GA33X
2E110GA42Z
2E110GB01W
2E110GB01X
2E110GB02W
2E110GB02X
2E110GB03W
2E110GB03X
2E110GB12Z
2E110GB29W
2E110GB32Z
2E110GB42Z
2E110GB43Z
2E110GB46Z
2E110GB49Z
2E110GB54Z
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、排湿機能、結露防止機能、断熱機能、防水機能、等を向上した壁の下端部構造に係るものである。
【解決手段】上下端に雌型連結部と雄型連結部を形成した長尺状の乾式壁材Bと、垂直平面状の固定部1と、固定部1の下端を外方に突出した底面と、底面の先端を、上方に突出した化粧面4と、化粧面4の先端を内方に傾斜して突出した傾斜化粧面と、傾斜化粧片の先端を下方に垂下した舌片とからなる化粧面部と、底面に凹状に形成した溝と、底面2の一部を一定間隔切り欠いて形成した流水孔8と、固定面1と底面と化粧面部とから空間Kを形成したスタータAと、断面矩形状の長尺状の胴縁Dとからなり、少なくとも土台部またはサッシなどの開口部上部のいずれか一方にスタータAを横に固定し、スタータAの空間内に胴縁Dが縦に挿入されると共に壁下地αに複数本固定され、胴縁Dにより形成された空間内に乾式壁材Aが挿入された壁の下端部構造である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下端に雌型連結部と雄型連結部を形成した長尺状の乾式壁材と、垂直平面状の固定部と、該固定部の下端を外方に突出した底面と、該底面の先端を、上方に突出した化粧面と、該化粧面の先端を内方に傾斜して突出した傾斜化粧面と、該傾斜化粧片の先端を下方に垂下した舌片とからなる化粧面部と、底面に凹状に形成した溝と、底面の一部を一定間隔切り欠いて形成した流水孔と、固定面と底面と化粧面部とから空間を形成したスタータと、断面矩形状の長尺状の胴縁とからなり、少なくとも土台部またはサッシなどの開口部上部のいずれか一方にスタータを横に固定し、スタータの空間内に胴縁が縦に挿入されると共に壁下地に複数本固定され、胴縁により形成された空間内に乾式壁材が挿入されたことを特徴とする壁の下端部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築、構築物に使用する乾式壁材の下端部に形成する、流水機能を付加した壁の下端部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から使用されている乾式壁材の下端部をカバーする構造としては、乾式壁材と水切りとの間に空間を形成し、水切りに貫通孔を形成して、雨水を外部に排出するものであった。(特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】実用新案登録3012289号
【特許文献2】特許登録3358474号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、芯材として合成樹脂発泡体を使用した乾式壁材を用いた場合には、水切り内部に浸入した雨水が跳ね上がり、乾式壁材端部木口の合成樹脂発泡体に接触し、水分が合成樹脂発泡体内に浸透してしまい、表面材の鉄板の錆発生、合成樹脂発泡体の腐食、濡れ雑巾化による断熱性の低下防止、等の悪影響を与える危険性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような欠点を除去するため、上下端に雌型連結部と雄型連結部を形成した長尺状の乾式壁材と、垂直平面状の固定部と、該固定部の下端を外方に突出した底面と、該底面の先端を、上方に突出した化粧面と、該化粧面の先端を内方に傾斜して突出した傾斜化粧面と、該傾斜化粧片の先端を下方に垂下した舌片とからなる化粧面部と、底面に凹状に形成した溝と、底面の一部を一定間隔切り欠いて形成した流水孔と、固定面と底面と化粧面部とから空間を形成したスタータと、断面矩形状の長尺状の胴縁とからなり、少なくとも土台部またはサッシなどの開口部上部のいずれか一方にスタータを横に固定し、スタータの空間内に胴縁が縦に挿入されると共に壁下地に複数本固定され、胴縁により形成された空間内に乾式壁材が挿入された壁の下端部構造を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る壁の下端部構造によれば、胴縁と乾式壁材を複数個の流水孔を形成したスタータの空間内に挿入して施工する構造のために(1)流水孔が内部に浸入した雨水を速やかに外部に排出する。(2)施工性が向上する。(3)発生した雨水などをスタータで受け止めるので止水性が向上する。(4)サッシなどの開口部上部などの乾式壁材の芯材を切り欠き、切り欠き面を形成して施工するために、乾式壁材の木口が内部に浸入した雨水と接触せず、乾式壁材の芯材が合成樹脂発泡体である場合に、合成樹脂発泡体の腐食防止、濡れ雑巾化による断熱性の低下防止、壁下地の腐食防止、乾式壁材の強度低下防止に有効である。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る壁の下端部構造の施工状態を示す説明図である。
図2】本発明に係る壁の下端部構造に使用するスタータの一実施例を示す説明図である。
図3】本発明に係る壁の下端部構造に使用する乾式壁材を示す断面図である。
図4】本発明に係る壁の下端部構造に使用する水切りを示す断面図である。
図5】本発明に係る壁の下端部構造に使用する胴縁を示す斜視図である。
図6】本発明に係る壁の下端部構造の施工順序を示す説明図である。
図7】本発明に係る壁の下端部構造の施工順序を示す説明図である。
図8】本発明に係る壁の下端部構造の施工順序を示す説明図である。
図9】本発明に係る壁の下端部構造の施工順序を示す説明図である。
図10】本発明に係る壁の下端部構造のその他の施工状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0008】
以下に図面を用いて本発明に係る壁の下端部構造の一実施例について詳細に説明する。すなわち、図1は本発明に係る壁の下端部構造の施工状態を示す断面図、図2(a)、(b)は本発明に係る壁の下端部構造に使用するスタータAを示す断面図と一部切り欠き斜視図である。また、図3(a)、(b)は乾式壁材Bの断面図、図4は水切りCの断面図である。
【0009】
スタータAは図2(a)、(b)に示すように、垂直平面状の固定部1と、固定部1の下端を外方に突出した底面2と、底面2の先端を、上方に突出した化粧面4と、化粧面4の先端を内方に傾斜して突出した傾斜化粧面5と、傾斜化粧片5の先端を下方に垂下した舌片6とからなる化粧面部3と、図では底面3に凹状に形成した溝7と、底面3の一部を一定間隔切り欠いて形成した流水孔8と、固定面1、底面2、化粧面部3とから空間Kを形成したものである。
【0010】
固定部1はスタータAを壁下地αに固定具βにより固定する部分である。
【0011】
化粧面部3は、乾式壁材Bの下端部の木口B1部分を覆い、乾式壁材Bの下端部分が外部に露出するのを防止する部分である。
【0012】
舌片6は、金属製板材により形成されたスタータAの端部により怪我をしないように形成した部分である。
【0013】
流水孔8は、底面2に一定ピッチで形成し、乾式壁材BとスタータAの化粧面部3間より浸入した雨水Rを外部に排出するためのものである。また、流水孔8の形成ピッチPは30~300mm位である。
【0014】
その素材としては、金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種を押出成形、ロール成形、プレス成形、等によって各種形状に成形したものである。
【0015】
乾式壁材Bは、例えば図3(a)、(b)に示すように表面材9と裏面材11間に芯材10を形成し、上下端に雌型連結部12と雄型連結部13を形成し、雄型連結部13内にパッキン14を形成したものであり、固定具βの打設と、雌型連結部15と雄型連結部16を嵌合することにより乾式壁材Bを連結するものである。勿論、スタータAは、図では縦張りの乾式壁材Bに使用しているが、横張りの乾式壁材Bにも使用できるものである。
【0016】
表面材9、裏面材11は金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をロール成形、プレス成形、押出成形等によって各種形状に成形したもの、あるいは無機質材を押出成形、プレス成形、オートクレーブ養生成形、押出-乾燥-焼成、等して各種任意形状に形成したものである。
【0017】
芯材10は例えばポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム、等の合成樹脂発泡体からなるものであり、例えばレゾール型フェノールの原液と、硬化剤、発泡剤を混合し、表面材9、もしくは裏面材11の裏面側に吐出させ、加熱して反応・発泡・硬化させて形成したものである。また、芯材10中には各種難燃材として軽量骨材(パーライト粒、ガラスビーズ、石膏スラグ、タルク石、シラスバルーン、水酸化アルミニウム等)、繊維状物(グラスウール、ロックウール、カーボン繊維、グラファイト等)を混在させ、防火性を向上させることもできる。
【0018】
さらに詳説すると、芯材10は主に断熱材、防火材、接着剤、補強材、緩衝材、吸音材、嵩上材、軽量化材、等として機能するものである。勿論、芯材10としてロックウール、グラスウール、セラミックウール等の無機材を使用しても良いものである。
【0019】
なお、スタータAの空間Kの開口幅≒乾式壁材Bの厚さ+胴縁Dの厚さである。
【0020】
次に、本発明に係る壁の下端部構造の施工順序について図1図10を用いて説明する。まず、図6に示すように、4に示すような長尺状の水切りCを図示しないが固定具βを介して固定する。その後、図6に示すように壁下地α上に防水シートEを全面形成する。
【0021】
防水シートEの施工が完了したら、図2(a)、(b)に示すようなスタータAを、図7に示すように固定部1を固定具βにより打設し、基礎γ部分の水切りC上の壁下地αに連続状で複数本固定する。
【0022】
スタータAの施工が完了したら、図8に示すようにスタータAの固定部1と防水シートE間を防水テープFにて連続状に接着する。
【0023】
防水テープFの施工が完了したら、図5に示すような胴縁DをスタータAの空間K内図9に示すようにスタータAの底面2上に間隙K1を形成して挿入し、縦に450mmピッチで固定具β(図示せず)を介して複数本、土台から軒まで施工し固定する。隙間K1は、スタータA内に雨水が浸入した際にスタータAの空間K内に雨水がたまり胴縁Dの下端部が浸からないように形成し、胴縁Dの腐食を防止し、万が一、上から胴縁を伝って流れてきた雨水を切るための空間である。
【0024】
最後に、図1に示すように図3(a)に示すような乾式壁材Bを横に、図3(b)に示すように順次連結すると共に、下端の乾式壁材Bの雄型連結部13を空間K内に挿入して横に、固定具βを介して固定し、土台から軒まで施工して完了するものである。
【0025】
勿論、出隅、入隅、開口部(窓、ドア、等)、軒、等には各種役物を使用するものである。
【0026】
なお、サッシγ1などの開口部は図10に示すように形成し、スタータA内の乾式壁材B」の下端部分はの木口B1部分は芯材10部分を切り欠いて切り欠き面B2を形成し、雨水が芯材10に浸入するのを防止して、乾式壁材Bの劣化を防止するものである。
【符号の説明】
【0027】
A スタータ
B 乾式壁材
B1 木口
B2 切り欠き面
C 水切り
D 胴縁
E 防水シート
F 防水テープ
K 空間
K1 間隙
α 壁下地
β 固定具
γ 基礎
γ1 サッシ
1 固定部
2 底面
3 化粧面部
4 化粧面
5 傾斜化粧面
6 舌片
7 溝
8 流水孔
9 表面材
10 芯材
11 裏面材
12 雌型連結部
13 雄型連結部
14 パッキン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10