IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロン株式会社の特許一覧

特開2022-168940点検支援システム、点検支援方法、及び点検支援プログラム
<>
  • 特開-点検支援システム、点検支援方法、及び点検支援プログラム 図1
  • 特開-点検支援システム、点検支援方法、及び点検支援プログラム 図2
  • 特開-点検支援システム、点検支援方法、及び点検支援プログラム 図3
  • 特開-点検支援システム、点検支援方法、及び点検支援プログラム 図4
  • 特開-点検支援システム、点検支援方法、及び点検支援プログラム 図5
  • 特開-点検支援システム、点検支援方法、及び点検支援プログラム 図6
  • 特開-点検支援システム、点検支援方法、及び点検支援プログラム 図7
  • 特開-点検支援システム、点検支援方法、及び点検支援プログラム 図8A
  • 特開-点検支援システム、点検支援方法、及び点検支援プログラム 図8B
  • 特開-点検支援システム、点検支援方法、及び点検支援プログラム 図8C
  • 特開-点検支援システム、点検支援方法、及び点検支援プログラム 図8D
  • 特開-点検支援システム、点検支援方法、及び点検支援プログラム 図9
  • 特開-点検支援システム、点検支援方法、及び点検支援プログラム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168940
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】点検支援システム、点検支援方法、及び点検支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20221101BHJP
【FI】
G05B23/02 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074645
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】西野 隆久
(72)【発明者】
【氏名】川西 康友
(72)【発明者】
【氏名】島川 智行
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA17
3C223AA21
3C223BA03
3C223BB08
3C223CC02
3C223CC03
3C223DD03
3C223FF09
3C223FF12
3C223FF15
3C223FF52
3C223HH02
3C223HH08
(57)【要約】
【課題】設備の点検作業の作業時間を短縮することが可能な点検支援システム、点検支援方法、及び点検支援プログラムを提供すること。
【解決手段】点検支援システム1は、設備の撮像画像を取得する取得処理部211と、取得処理部211により取得される前記撮像画像から前記設備を特定する特定情報を抽出する抽出処理部212と、抽出処理部212により抽出される前記特定情報に基づいて前記設備を特定する特定処理部213と、特定処理部213により特定される前記設備が、設備監視装置3が監視する監視対象設備に一致する場合に、当該設備又は当該設備の点検項目を点検対象から除外する一方、特定処理部213により特定される前記設備が前記監視対象設備に一致しない場合に、当該設備を点検対象として登録する登録処理部215と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備の撮像画像を取得する取得処理部と、
前記取得処理部により取得される前記撮像画像から前記設備を特定する特定情報を抽出する抽出処理部と、
前記抽出処理部により抽出される前記特定情報に基づいて前記設備を特定する特定処理部と、
前記特定処理部により特定される前記設備が、設備監視装置が監視する監視対象設備に一致する場合に、当該設備又は当該設備の点検項目を点検対象から除外する一方、前記特定処理部により特定される前記設備が前記監視対象設備に一致しない場合に、当該設備を点検対象として登録する登録処理部と、
を備える点検支援システム。
【請求項2】
前記特定処理部は、点検対象の設備及び点検項目を特定するための候補情報を記憶する第1記憶部を参照して前記撮像画像に含まれる前記設備を特定する、
請求項1に記載の点検支援システム。
【請求項3】
前記特定処理部は、さらに前記撮像画像から前記設備の設置場所を特定する、
請求項1又は2に記載の点検支援システム。
【請求項4】
前記特定処理部により特定される前記設備が前記監視対象設備に一致するか否かを判定する判定処理を実行する判定処理部をさらに備え、
前記判定処理部は、前記監視対象設備及び当該監視対象設備の監視項目の情報を互いに関連付けて記憶する第2記憶部を参照して前記判定処理を実行する、
請求項1~3のいずれかに記載の点検支援システム。
【請求項5】
前記判定処理部は、過去の点検結果の履歴情報に基づいて、前記特定処理部により特定される前記設備が前記監視対象設備に一致するか否かを判定する
請求項4に記載の点検支援システム。
【請求項6】
前記判定処理部は、過去の点検結果が前記設備監視装置による監視結果に略一致する場合に、前記特定処理部により特定される前記設備が前記監視対象設備に一致すると判定する、
請求項5に記載の点検支援システム。
【請求項7】
設備の点検結果を出力する点検処理部をさらに備え、
前記点検処理部は、点検者又は点検装置が前記登録処理部により点検対象に登録された前記設備を当該設備の設置場所で点検した結果と、前記設備監視装置が前記登録処理部により点検対象に登録されなかった前記設備又は当該設備の点検項目を監視した監視結果とを取得して、前記点検結果を出力する、
請求項1~6のいずれかに記載の点検支援システム。
【請求項8】
一又は複数のプロセッサーが、
設備の撮像画像を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得される前記撮像画像から前記設備を特定する特定情報を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにおいて抽出される前記特定情報に基づいて前記設備を特定する特定ステップと、
前記特定ステップにおいて特定される前記設備が、設備監視装置が監視する監視対象設備に一致する場合に、当該設備又は当該設備の点検項目を点検対象から除外する一方、前記特定ステップにおいて特定される前記設備が前記監視対象設備に一致しない場合に、当該設備を点検対象として登録する登録ステップと、
を実行する点検支援方法。
【請求項9】
設備の撮像画像を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得される前記撮像画像から前記設備を特定する特定情報を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにおいて抽出される前記特定情報に基づいて前記設備を特定する特定ステップと、
前記特定ステップにおいて特定される前記設備が、設備監視装置が監視する監視対象設備に一致する場合に、当該設備又は当該設備の点検項目を点検対象から除外する一方、前記特定ステップにおいて特定される前記設備が前記監視対象設備に一致しない場合に、当該設備を点検対象として登録する登録ステップと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための点検支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備の点検を支援する点検支援システム、点検支援方法、及び点検支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルなどの施設では、点検者が各種の設備を定期的に点検して点検結果を記録する点検作業を行っている。従来、設備の点検作業において、点検者によるヒューマンエラーの低減化を図る技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-78122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、設備の点検業務では、点検者が複数の設備を巡回しながら設備ごとに目視で確認して点検結果を記録するため、点検対象の設備の数に応じて作業時間が変動する。このため、例えば大型の施設では、点検対象の設備の数が多くなり、点検作業の作業時間が長くなる問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、設備の点検作業の作業時間を短縮することが可能な点検支援システム、点検支援方法、及び点検支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る点検支援システムは、設備の撮像画像を取得する取得処理部と、前記取得処理部により取得される前記撮像画像から前記設備を特定する特定情報を抽出する抽出処理部と、前記抽出処理部により抽出される前記特定情報に基づいて前記設備を特定する特定処理部と、前記特定処理部により特定される前記設備が、設備監視装置が監視する監視対象設備に一致する場合に、当該設備又は当該設備の点検項目を点検対象から除外する一方、前記特定処理部により特定される前記設備が前記監視対象設備に一致しない場合に、当該設備を点検対象として登録する登録処理部と、を備える。
【0007】
本発明の他の局面に係る点検支援方法は、一又は複数のプロセッサーが、設備の撮像画像を取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得される前記撮像画像から前記設備を特定する特定情報を抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにおいて抽出される前記特定情報に基づいて前記設備を特定する特定ステップと、前記特定ステップにおいて特定される前記設備が、設備監視装置が監視する監視対象設備に一致する場合に、当該設備又は当該設備の点検項目を点検対象から除外する一方、前記特定ステップにおいて特定される前記設備が前記監視対象設備に一致しない場合に、当該設備を点検対象として登録する登録ステップと、を実行する方法である。
【0008】
本発明の他の局面に係る点検支援プログラムは、設備の撮像画像を取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得される前記撮像画像から前記設備を特定する特定情報を抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにおいて抽出される前記特定情報に基づいて前記設備を特定する特定ステップと、前記特定ステップにおいて特定される前記設備が、設備監視装置が監視する監視対象設備に一致する場合に、当該設備又は当該設備の点検項目を点検対象から除外する一方、前記特定ステップにおいて特定される前記設備が前記監視対象設備に一致しない場合に、当該設備を点検対象として登録する登録ステップと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、設備の点検作業の作業時間を短縮することが可能な点検支援システム、点検支援方法、及び点検支援プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る点検支援システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る点検支援システムで使用される監視設備情報DBの一例を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る点検支援システムで使用される設備候補情報DBの一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る点検支援システムで使用される場所候補情報DBの一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る設備の撮像画像の一例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る点検支援システムで使用される点検リスト情報の一例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る点検者端末に表示される点検支援ページの一例を示す図である。
図8A図8Aは、本発明の実施形態に係る点検者端末に表示される点検支援ページの一例を示す図である。
図8B図8Bは、本発明の実施形態に係る点検者端末に表示される点検支援ページの一例を示す図である。
図8C図8Cは、本発明の実施形態に係る点検者端末に表示される点検支援ページの一例を示す図である。
図8D図8Dは、本発明の実施形態に係る点検者端末に表示される点検支援ページの一例を示す図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る点検支援システムで作成される点検結果レポートの一例を示す図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る点検支援システムで実行される点検支援処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
[点検支援システム1]
図1に示すように、本発明の実施形態に係る点検支援システム1は、点検支援装置2と設備監視装置3と点検者端末4とを含む。点検支援装置2、設備監視装置3、及び点検者端末4は、インターネット、LAN、WAN、又は公衆電話回線などの通信網NWを介して通信可能である。点検支援システム1は、複数の設備が設置される施設に導入される。前記施設は、商業ビルなどの商業施設、役所などの公共施設、ホテル、旅館等の宿泊施設、複合施設など種々の施設である。前記設備は、ボイラー、空調装置、冷凍機、冷却塔、冷温水発生機、送風機などの空調設備、受変電設備、発電設備、配線設備などの電気設備、警報設備、消火設備、避難設備などの消防設備など種々の設備である。本実施形態では、前記施設の一例として、商業ビルの施設B1を挙げる。
【0013】
施設B1に設置された設備の点検者は、点検対象の設備(以下、点検対象設備ともいう。)の点検作業を行う。具体的には、点検者は、点検者端末4(スマートフォン、モバイル端末など)を所持して、複数の設備を巡回して点検し、点検結果(正常、異常、実測データなど)を点検者端末4に登録する。例えば、点検者は、点検支援装置2から提供されて点検者端末4に表示される操作画面(点検支援ページ)において点検対象の設備を確認し、当該設備の点検結果を登録する操作を行う。点検者が複数人の場合、各点検者は、個別に点検者端末4を所持しながら自身に割り当てられた設備の点検作業を行う。点検支援システム1には、一又は複数の点検者端末4が含まれる。
【0014】
設備監視装置3は、施設B1内の監視対象の設備(以下、監視対象設備ともいう。)を監視する。具体的には、設備監視装置3は、例えばBACnet(Building Automation and Control Networking Protocol)(「BACnet」;登録商標)を利用して監視対象設備の監視を行う。設備監視装置3は、所謂ビル自動管理制御システムに含まれてもよい。
【0015】
点検支援装置2は、各種施設に対して点検支援サービスを提供し、点検支援サービスサイトを運営する。具体的には、点検支援装置2は、点検者による点検者端末4における操作を受け付けて施設B1の点検作業を管理する。また、点検支援装置2は、点検作業に関する各種情報を点検者に提示する。点検支援装置2は、施設B1内に設置されてもよいし、施設B1外に設置されてもよい。また、点検支援装置2は、点検者による点検対象設備に対する点検作業の点検結果と、設備監視装置3による監視対象設備に対する監視結果とを含む点検結果レポートを作成する。
【0016】
本実施形態では、点検支援装置2単体が本発明に係る点検支援システムに相当するが、本発明に係る点検支援システムは、点検支援装置2、設備監視装置3、及び点検者端末4のうち一又は複数の構成要素を含むものであってもよい。例えば、点検支援装置2、設備監視装置3、及び点検者端末4の構成要素が協働して後述する点検支援処理(図10参照)を分担して実行する場合には、その処理を実行する複数の構成要素を含むシステムを本発明に係る点検支援システムとして捉えることが可能である。例えば、点検支援装置2、設備監視装置3、及び点検者端末4が本発明に係る点検支援システムを構成してもよい。
【0017】
[設備監視装置3]
図1に示すように、設備監視装置3は、制御部31、記憶部32、操作表示部33、及び通信I/F34などを備えるサーバーである。なお、設備監視装置3は、1台のコンピュータに限らず、複数台のコンピュータが協働して動作するコンピュータシステムであってもよいし、クラウドサーバーで構成されてもよい。また、設備監視装置3で実行される各種の処理は、一又は複数のプロセッサーによって分散して実行されてもよい。設備監視装置3は、BACnetを利用して施設B1内の監視対象設備の監視を行う。
【0018】
通信I/F34は、設備監視装置3を有線又は無線で通信網NWに接続し、通信網NWを介して点検支援装置2などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。また、通信I/F34は、監視対象設備との間でBACnetに従ったデータ通信を実行する。
【0019】
操作表示部33は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるマウス、キーボード、又はタッチパネルのような操作部とを備えるユーザーインターフェースである。
【0020】
記憶部32は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。具体的に、記憶部32には、監視設備情報データベース(以下、監視設備情報DBという。)321が含まれる。
【0021】
図2は、監視設備情報DB321の一例を示す図である。監視設備情報DB321には、施設B1に設置された設備のうち監視対象の設備ごとに、名称(監視設備名称)、監視項目、単位、分類などの情報が含まれる。監視設備情報DB321に登録される監視対象設備は、BACnetを利用可能な通信機能を備えており、前記監視項目に応じたデータ(計測値など)を制御部31に定期的に送信する。監視設備情報DB321に登録される各情報は、施設B1の管理者、前記点検支援サービスのサービス提供者などにより予め登録される。監視設備情報DB321は、本発明の第2記憶部の一例である。
【0022】
制御部31は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部31は、前記ROM又は記憶部32に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより設備監視装置3を制御する。
【0023】
具体的には、制御部31は、施設B1内の各監視対象設備から計測値などのデータを取得して記憶部32に記憶する。また、制御部31は、前記データに異常がある場合に、施設B1の管理者等に異常を通知する。
【0024】
設備監視装置3は、BACnetを利用したビル自動管理制御システムなど、周知の技術を適用することができる。
【0025】
[点検支援装置2]
図1に示すように、点検支援装置2は、制御部21、記憶部22、操作表示部23、及び通信I/F24などを備えるサーバーである。なお、点検支援装置2は、1台のコンピュータに限らず、複数台のコンピュータが協働して動作するコンピュータシステムであってもよいし、クラウドサーバーで構成されてもよい。また、点検支援装置2で実行される各種の処理は、一又は複数のプロセッサーによって分散して実行されてもよい。
【0026】
通信I/F24は、点検支援装置2を有線又は無線で通信網NWに接続し、通信網NWを介して設備監視装置3、点検者端末4などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0027】
操作表示部23は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるマウス、キーボード、又はタッチパネルのような操作部とを備えるユーザーインターフェースである。
【0028】
記憶部22は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどの不揮発性の記憶部である。具体的には、記憶部22には、設備候補情報データベース(以下、設備候補情報DBという。)221、場所候補情報データベース(以下、場所候補情報DBという。)222が含まれる。
【0029】
設備候補情報DB221には、施設B1に設置される設備及び当該設備の点検項目を特定するための候補情報が含まれる。図3は、設備候補情報DB221の一例を示す図である。図3に示すように、設備候補情報DB221には、点検対象の設備の名称(設備名称)を表す一又は複数の使用名称が登録される。例えば、「冷水ポンプ」を表す使用名称として、「冷水ポンプ」、「冷水Pump」、「Pc」、「PC」、…などが登録される。前記使用名称の設備表記名N1は、設備の本体、カバーなど点検者が視認し易い位置に表示される(図5参照)。また、設備候補情報DB221には、設備の点検項目が登録される。例えば「冷水ポンプ」の点検項目として、「一次圧」、「二次圧」、「温度」、「電流値」、「周波数」などが登録される。各設備の点検項目は、少なくとも法令により定められた点検項目を含んでいる。設備候補情報DB221には、例えば施設B1に設けられる全ての設備に関する候補情報が登録される。設備候補情報DB221に登録される各情報は、施設B1の管理者、前記点検支援サービスのサービス提供者などにより予め登録される。設備候補情報DB221は、本発明の第1記憶部の一例である。
【0030】
場所候補情報DB222には、施設B1内の設備が設置される設置場所を特定するための候補情報が含まれる。図4は、場所候補情報DB222の一例を示す図である。図4に示すように、場所候補情報DB222には、点検対象の設備の設置場所を表す複数の名称が登録される。前記設置場所の場所表記名N2は、設備の本体、カバーなど点検者が視認し易い位置に表示される(図5参照)。場所候補情報DB222には、例えば施設B1に設置される全ての設備の設置場所に関する候補情報が登録される。場所候補情報DB222に登録される各情報は、施設B1の管理者、前記点検支援サービスのサービス提供者などにより予め登録される。
【0031】
なお、他の実施形態として、設備候補情報DB221、場所候補情報DB222の一部又は全部が、点検支援装置2から通信網NWを介してアクセス可能な他のサーバーに記憶されてもよい。この場合、点検支援装置2の制御部21は、前記他のサーバーから前記情報を取得して、後述の点検支援処理(図10参照)などの各処理を実行してもよい。
【0032】
また、記憶部22には、点検者端末4に表示される点検支援ページP1(図7参照)、P2(図8及び図9参照)などの各種のウェブページを生成するためのレイアウトデータ及び画像データなども記憶される。なお、本実施形態において、点検支援装置2の制御部21は、前記各種のウェブページを生成してそのウェブページの情報を点検者端末4に送信することにより、点検者端末4に前記各種のウェブページを表示させることが可能である。また、他の実施形態として、点検支援装置2の制御部21は、点検者端末4に前記各種のウェブページを表示するために必要なデータを送信することにより、点検者端末4の制御部41に前記各種のウェブページの表示を実行させてもよい。
【0033】
さらに、記憶部22には、制御部21に後述の点検支援処理(図10参照)を実行させるための点検支援プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記点検支援プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、点検支援装置2が備えるCDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部22に記憶される。
【0034】
制御部21は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部21は、前記ROM又は記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより点検支援装置2を制御する。
【0035】
ところで、一般的に、設備の点検業務では、点検者が複数の設備を巡回しながら設備ごとに目視で確認して点検結果を記録するため、点検対象の設備の数に応じて作業時間が変動する。このため、例えば大型の施設では、点検対象の設備の数が多くなり、点検作業の作業時間が長くなる問題が生じる。これに対して、本実施形態に係る点検支援装置2によれば、設備の点検作業の作業時間を短縮することが可能である。
【0036】
具体的には、制御部21は、図1に示すように、取得処理部211、抽出処理部212、特定処理部213、判定処理部214、登録処理部215、点検処理部216などの各種の処理部を含む。なお、制御部21は、前記CPUで前記点検支援プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記点検支援プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0037】
取得処理部211は、設備の撮像画像を取得する。例えば施設B1の管理者は、カメラを搭載したカメラ装置(スマートフォン、モバイル端末など)により施設B1内の全ての設備を撮影する。図5には、設備Fを撮影する様子を示している。管理者は、設備Fに表示された設備表記名N1及び場所表記名N2を含む所定範囲をカメラ装置で撮影する。管理者は、施設B1内を巡回しながら全ての設備をカメラ装置で撮影する。なお、管理者は、施設B1内を巡回しながら全ての設備を動画撮影してもよい。また、前記カメラ装置は、点検者端末4であってもよい。取得処理部211は、前記カメラ装置から各設備の撮像画像を取得する。
【0038】
抽出処理部212は、取得処理部211により取得される前記撮像画像から設備を特定するための特定情報を抽出する。具体的には、抽出処理部212は、前記撮像画像をOCR処理してテキスト文字(特定情報)を抽出する。例えば、抽出処理部212は、図5に示す設備Fの撮像画像をOCR処理して、設備表記名N1の特定情報として「冷水ポンプ・PC-1」を抽出し、場所表記名N2の特定情報として「5F 熱源機械室」を抽出する。抽出処理部212は、各設備の撮像画像から前記特定情報を抽出する。
【0039】
特定処理部213は、抽出処理部212により抽出される前記特定情報に基づいて設備を特定する。具体的には、特定処理部213は、点検対象の設備及び点検項目を特定するための候補情報を記憶する設備候補情報DB221(図3参照)を参照して、前記撮像画像に表された設備を特定する。例えば、抽出処理部212が撮像画像(図5参照)から「冷水ポンプ・PC-1」を抽出した場合に、特定処理部213は、設備候補情報DB221に登録された複数の使用名称の中に、「冷水ポンプ・PC-1」の文字の少なくとも一部を含む使用名称が存在するか否かを判定する。そして、設備候補情報DB221に「冷水ポンプ・PC-1」の文字の少なくとも一部を含む使用名称が存在する場合に、特定処理部213は、当該使用名称に関連付けられた設備名称を、前記撮像画像に表された前記設備として特定する。図5に示す例では、特定処理部213は、設備候補情報DB221において前記使用名称に前記特定情報の「冷水ポンプ」及び「PC」が含まれるため、「冷水ポンプ」及び「PC」に関連付けられた設備名称「冷水ポンプ」を、前記撮像画像に表された設備として特定する。
【0040】
また、特定処理部213は、設備候補情報DB221(図3参照)を参照して、前記特定した設備に対応する点検項目を特定する。例えば、特定処理部213は、「冷水ポンプ」を特定した場合に、「冷水ポンプ」に関連付けられた「一次圧」、「二次圧」、「温度」、「電流値」、「周波数」を「冷水ポンプ」の点検項目として特定する。
【0041】
また、特定処理部213は、前記撮像画像から設備の設置場所を特定する。具体的には、特定処理部213は、点検対象の設備の設置場所を特定するための候補情報を記憶する場所候補情報DB222(図4参照)を参照して、前記撮像画像に表された設備の設置場所を特定する。例えば、抽出処理部212が撮像画像(図5参照)から「5F 熱源機械室」を抽出した場合に、特定処理部213は、場所候補情報DB222に登録された複数の設置場所の中に、「5F 熱源機械室」の文字の少なくとも一部を含む設置場所が存在するか否かを判定する。そして、場所候補情報DB222に「5F 熱源機械室」の文字の少なくとも一部を含む設置場所が存在する場合に、特定処理部213は、当該設置場所を、前記撮像画像に含まれる前記設備の設置場所として特定する。図5に示す例では、場所候補情報DB222の前記設置場所に「5F」及び「機械室」が含まれるため、「5F 熱源機械室」を前記撮像画像に表された設備の設置場所として特定する。
【0042】
判定処理部214は、特定処理部213により特定される設備が監視対象設備に一致するか否かを判定する判定処理を実行する。具体的には、判定処理部214は、監視対象設備及び当該監視対象設備の監視項目の情報を記憶する監視設備情報DB321(図2参照)を参照して前記判定処理を実行する。例えば、判定処理部214は、特定処理部213が特定した設備「冷水ポンプ」が監視設備情報DB321に含まれるか否かを判定する。ここでは、監視設備情報DB321に「CP-1-2-1 冷水ポンプ」が登録されているため、判定処理部214は、特定処理部213により特定された設備が監視対象設備に一致すると判定する。また、判定処理部214は、特定処理部213が特定した設備「冷水ポンプ」の点検項目「一次圧」、「二次圧」、「温度」、「電流値」、「周波数」の少なくとも一部が、監視設備情報DB321の監視項目に含まれるか否かを判定する。ここでは、監視設備情報DB321に「CP-1-2-1 冷水ポンプ」の監視項目「電流値」が登録されているため、判定処理部214は、特定処理部213により特定される設備の点検項目の少なくとも一部が監視対象設備の監視項目に一致すると判定する。
【0043】
登録処理部215は、特定処理部213により特定される設備が、設備監視装置3が監視する監視対象設備に一致する場合に、当該設備又は当該設備の点検項目を点検対象から除外する。一方、登録処理部215は、特定処理部213により特定される設備が前記監視対象設備に一致しない場合に、当該設備を点検対象として登録する。なお、本発明の点検対象とは、点検者又は点検装置(例えばロボット装置)が設備の設置場所に移動して、正常であるか否かを確認する作業、又は計測値を実測する作業の対象設備及び点検項目をいう。
【0044】
上述の例では、特定処理部213が特定した「冷水ポンプ」が監視設備情報DB321に含まれる「CP-1-2-1 冷水ポンプ」に一致し、「冷水ポンプ」の点検項目のうち「電流値」が一致するため、登録処理部215は、「冷水ポンプ」の「電流値」を、点検者が点検する点検対象から除外する。なお、特定処理部213が特定した設備が監視設備情報DB321に含まれる監視対象設備に一致し、当該設備の全ての点検項目が監視項目に一致する場合には、登録処理部215は、当該設備自体を点検対象から除外する。
【0045】
これに対して、特定処理部213が特定した「冷水ポンプ」が監視設備情報DB321に含まれる「CP-1-2-1 冷水ポンプ」に一致し、「冷水ポンプ」の点検項目のうち「一次圧」、「二次圧」、「温度」、「周波数」が一致しないため、登録処理部215は、「冷水ポンプ」を点検対象設備に登録するとともに、「電流値」を除く「一次圧」、「二次圧」、「温度」、「周波数」を点検項目に登録する。また、登録処理部215は、特定処理部213が特定した設置場所「5F 熱源機械室」を「冷水ポンプ」に関連付けて登録する。登録処理部215は、設置場所、設備名称、及び点検項目を互い関連付けた点検リスト情報D1(図6参照)を記憶部22に記憶する。なお、登録処理部215は、点検リスト情報D1に、前記撮像画像から抽出される設備名称(ここでは「冷水ポンプ・PC-1」)を登録する。
【0046】
登録処理部215は、前記撮像画像から抽出された設備であって監視対象設備に含まれない設備、又は、監視対象設備に含まれる設備であって監視対象の監視項目に含まれない点検項目を、点検リスト情報D1に登録する。
【0047】
点検処理部216は、点検者による点検作業に応じた処理を実行する。具体的には、点検者端末4において点検支援アプリケーションが実行されると、点検処理部216は、図7に示す点検支援ページP1を点検者端末4に表示させて、点検者の操作を受け付ける。図7に示す点検支援ページP1には、施設B1の点検対象設備の点検状況などが表示される。なお、点検者が点検支援ページP1において操作ボタンを押下すると詳細情報が表示される。点検処理部216は、点検リスト情報D1(図6参照)に登録された各点検対象設備に関する情報を点検者端末4に順次表示させて点検者による点検結果の登録を受け付ける。
【0048】
例えば、点検者が設備を点検して点検結果を登録する場合、点検処理部216は、点検リスト情報D1(図6参照)に登録された情報を含む点検支援ページP2(図8A図8D参照)を点検者端末4に表示させる。例えば図8Aに示す点検支援ページP2には、「冷水ポンプ・PC-1」の名称、設置場所「5F 熱源機械室」、点検項目「一次圧」が表示され、図8Bに示す点検支援ページP2には、「冷水ポンプ・PC-1」の名称、設置場所「5F 熱源機械室」、点検項目「二次圧」が表示され、図8Cに示す点検支援ページP2には、「冷水ポンプ・PC-1」の名称、設置場所「5F 熱源機械室」、点検項目「温度」が表示され、図8Dに示す点検支援ページP2には、「冷水ポンプ・PC-1」の名称、設置場所「5F 熱源機械室」、点検項目「周波数」が表示される。点検者は、「冷水ポンプ・PC-1」の各点検項目を点検すると、各点検支援ページP2において「正常」又は「異常」を登録する。なお、点検者は、各点検項目の実測データ(例えば図5の計測値M1)を点検支援ページP2に入力してもよいし、異常の点検項目についてのみ実測データを点検支援ページP2に入力してもよい。
【0049】
点検者が点検支援ページP2(図8A参照)において「一次圧」について「正常」又は「異常」を登録すると、点検処理部216は、「二次圧」の点検支援ページP2(図8B参照)を表示させ、点検者が点検支援ページP2(図8B参照)において「二次圧」について「正常」又は「異常」を登録すると、点検処理部216は、「温度」の点検支援ページP2(図8C参照)を表示させる。このようにして、点検処理部216は、一つの設備に複数の点検項目が登録されている場合に、順に点検項目の点検支援ページP2を表示させて点検結果の入力を受け付ける。なお、点検処理部216は、一つの設備に複数の点検項目が登録されている場合に、全ての点検項目を一つの点検支援ページP2をまとめて表示させて点検結果の入力を受け付けてもよい。
【0050】
点検者が各点検項目について点検結果を登録して確定ボタンを押下すると、点検処理部216は、点検リスト情報D1に含まれる次の点検対象設備の情報(設置場所、設備名称、点検項目など)を点検者端末4に表示させる。点検処理部216は、点検者端末4における操作に基づいて各点検対象設備の点検結果を集計する。
【0051】
また、点検処理部216は、設備監視装置3が監視する監視対象設備の監視結果を設備監視装置3から取得する。具体的には、点検処理部216は、特定処理部213により特定される設備であって監視対象設備に一致する設備、又は当該設備の監視項目の監視結果を設備監視装置3から取得する。例えば、点検処理部216は、点検対象の「冷水ポンプ・PC-1」について、設備監視装置3が監視した監視項目「電流値」の監視結果(正常、異常、実測データなど)を設備監視装置3から取得する。
【0052】
また、点検処理部216は、設備の点検結果を出力する。具体的には、点検処理部216は、点検者が登録処理部215により点検対象に登録された設備を当該設備の設置場所で点検した結果と、設備監視装置3が登録処理部215により点検対象に登録されなかった設備又は当該設備の点検項目を監視した監視結果とを取得して、前記点検結果を出力する。
【0053】
例えば、図8に示す例では、点検処理部216は、点検対象の「冷水ポンプ・PC-1」について、点検者が点検した点検項目「一次圧」、「二次圧」、「温度」、「周波数」の点検結果(正常、異常、実測データなど)を点検者端末4から取得し、設備監視装置3が監視した監視項目「電流値」の監視結果(正常、異常、実測データなど)を設備監視装置3から取得する。このように、点検処理部216は、一つの設備について、点検者による点検結果と、設備監視装置3による監視結果とを取得し、これらの結果を当該設備の点検結果として統合する。そして、点検処理部216は、統合した点検結果を含む点検結果レポートR1(図9参照)を作成して出力する。例えば点検処理部216は、点検結果レポートR1をプリンター(不図示)から印刷させてもよいし、ファイル形式にしたデータを施設B1の管理者端末(不図示)にメール送信してもよい。
【0054】
なお、点検処理部216は、点検結果レポートR1において、点検者による点検結果と、設備監視装置3による監視結果とを区別可能に表示させてもよい。また、点検処理部216は、一つの設備について、点検者による点検結果と、設備監視装置3による監視結果とを別々に出力してもよい。例えば点検処理部216は、点検者による点検結果のレポートと、設備監視装置3による監視結果のレポートとを別々に印刷する。
【0055】
[点検者端末4]
図1に示すように、点検者端末4は、制御部41、記憶部42、操作表示部43、及び通信I/F44などを備える。点検者端末4は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピューターのような情報処理装置である。
【0056】
通信I/F44は、点検者端末4を有線又は無線で通信網NWに接続し、通信網NWを介して点検支援装置2などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0057】
操作表示部43は、各種のウェブページなどの情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるマウス、キーボード、又はタッチパネルのような操作部とを備えるユーザーインターフェースである。
【0058】
記憶部42は、各種の情報を記憶するHDD、SSD又はフラッシュメモリーなどの不揮発性の記憶部である。例えば、記憶部42には、ブラウザプログラム等の制御プログラムが記憶される。具体的に、前記ブラウザプログラムは、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)などの通信プロトコルに従って点検支援装置2などの外部装置との間で通信処理を制御部41に実行させるための制御プログラムである。また、前記ブラウザプログラムは、点検支援装置2との間で予め定められた通信プロトコルに従って通信処理を実行するための専用アプリケーションであることも考えられる。
【0059】
制御部41は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部41は、前記ROM又は記憶部42に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより点検者端末4を制御する。
【0060】
具体的に、制御部41は、記憶部42に記憶されている前記ブラウザプログラムに従って各種の処理を実行することによりブラウザ処理部411として機能する。ブラウザ処理部411は、点検支援装置2から通信網NWを介して提供されるウェブページを操作表示部43に表示させ、操作表示部43に対する操作を点検支援装置2に入力するブラウザ処理を実行することが可能である。すなわち、点検者端末4は、制御部41によって前記ブラウザプログラムが実行されることにより、点検支援装置2の操作用端末として機能することが可能である。なお、制御部41に含まれる一部又は全部の処理部は電子回路で構成されていてもよい。
【0061】
例えば、点検者端末4では、点検支援システム1で提供される点検支援サービスの点検支援サービスサイトに対応する所定のURLへのアクセス要求を行うためのユーザー操作が行われた場合に、制御部41が、点検支援装置2から前記点検支援サービスサイトのウェブページのデータを取得して、操作表示部43に前記点検支援サービスサイトのウェブページを表示させる。なお、例えば前記所定のURLへのアクセス要求は、予め登録されたウェブサイトの一覧からの選択操作、情報検索サイトにおける検索結果からの選択操作、又はテキスト入力操作などによって行われる。また、点検者端末4に点検支援装置2に対応する専用アプリケーションがインストールされている場合には、点検者端末4の点検者が当該専用アプリケーションを起動する操作を行うことにより操作表示部43に前記点検支援サービスサイトのウェブページが表示される。
【0062】
例えば、施設B1の点検者は、前記点検支援サービスを利用する際に、点検者端末4に表示された前記点検支援サービスサイトのログインページ(不図示)にログイン情報(ID、パスワード)を入力する。前記ログイン情報が認証されると、制御部41は、点検者端末4に各種ウェブページ(例えば点検支援ページP1(図7参照),P2(図8A図8D参照))を表示させる。
【0063】
[点検支援処理]
以下、図10を参照しつつ、点検支援システム1において実行される点検支援処理について説明する。具体的に、本実施形態では、点検支援装置2の制御部21によって前記点検支援処理が実行される。
【0064】
なお、本発明は、前記点検支援処理に含まれる一又は複数のステップを実行する点検支援方法の発明として捉えることができる。また、ここで説明する前記点検支援処理に含まれる一又は複数のステップは適宜省略されてもよい。なお、前記点検支援処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部21が前記点検支援処理における各ステップを実行する場合を例に挙げて説明するが、一又は複数のプロセッサーが当該点検支援処理における各ステップを分散して実行する点検支援方法も他の実施形態として考えられる。前記点検支援方法は、本発明の点検支援方法の一例である。
【0065】
先ず、ステップS1において、制御部21は、設備の撮像画像を取得する。例えば施設B1の管理者がカメラ装置により施設B1内の全ての設備を撮影すると、制御部21は、前記カメラ装置から各設備の撮像画像を取得する。例えばステップS1において、制御部21は、一つの設備(設備F)の撮像画像(図5参照)を取得する。ステップS1は、本発明の取得ステップの一例である。
【0066】
次にステップS2において、制御部21は、前記撮像画像から設備を特定するための特定情報を抽出する。具体的には、制御部21は、前記撮像画像をOCR処理してテキスト文字を抽出する。例えば、制御部21は、図5に示す設備Fの撮像画像をOCR処理して、設備表記名N1の「冷水ポンプ・PC-1」と、場所表記名N2の「5F 熱源機械室」とを抽出する。ステップS2は、本発明の抽出ステップの一例である。
【0067】
次にステップS3において、制御部21は、抽出したテキスト文字(特定情報)に基づいて設備及び設備の設置場所を特定する。例えば、制御部21は、撮像画像(図5参照)から「冷水ポンプ・PC-1」を抽出した場合に、設備候補情報DB221(図3参照)に登録された複数の使用名称の中に、「冷水ポンプ・PC-1」の文字の少なくとも一部を含む使用名称が存在するか否かを判定する。そして、設備候補情報DB221に「冷水ポンプ・PC-1」の文字の少なくとも一部を含む使用名称が存在する場合に、制御部21は、当該使用名称に関連付けられた設備名称を、前記撮像画像に表された前記設備として特定する。図5に示す例では、制御部21は、設備候補情報DB221において前記使用名称に「冷水ポンプ」及び「PC」が含まれるため、「冷水ポンプ」及び「PC」に関連付けられた設備名称「冷水ポンプ」を、前記撮像画像に表された設備として特定する。
【0068】
また、制御部21は、設備候補情報DB221を参照して、前記特定した設備に対応する点検項目を特定する。例えば、制御部21は、「冷水ポンプ」を特定した場合に、「冷水ポンプ」に関連付けられた「一次圧」、「二次圧」、「温度」、「電流値」、「周波数」(図3参照)を「冷水ポンプ」の点検項目として特定する。
【0069】
また、制御部21は、前記撮像画像から設備の設置場所を特定する。例えば、制御部21は、撮像画像(図5参照)から「5F 熱源機械室」を抽出した場合に、場所候補情報DB222(図4参照)に登録された複数の設置場所の中に、「5F 熱源機械室」の文字の少なくとも一部を含む設置場所が存在するか否かを判定する。そして、場所候補情報DB222に「5F 熱源機械室」の文字の少なくとも一部を含む設置場所が存在する場合に、制御部21は、当該設置場所を、前記撮像画像に表された前記設備の設置場所として特定する。図5に示す例では、制御部21は、場所候補情報DB222において前記設置場所に「5F」及び「機械室」が含まれるため、「5F 熱源機械室」を前記撮像画像に表された設備の設置場所として特定する。ステップS3は、本発明の特定ステップの一例である。
【0070】
次にステップS4において、制御部21は、監視設備情報DB321(図2参照)を取得する。制御部21は、設備監視装置3から監視設備情報DB321を取得する。
【0071】
次にステップS5において、制御部21は、特定した設備及び点検項目が監視設備情報DB321に登録された監視対象(設備、監視項目)に一致するか否かを判定する判定処理を実行する。例えば、制御部21は、特定した設備「冷水ポンプ」が監視設備情報DB321(図2参照)に含まれるか否かを判定する。ここでは、監視設備情報DB321に「CP-1-2-1 冷水ポンプ」が登録されているため、制御部21は、特定した設備が監視対象設備に一致すると判定する。また、制御部21は、特定した設備「冷水ポンプ」の点検項目「一次圧」、「二次圧」、「温度」、「電流値」、「周波数」の少なくとも一部が、監視設備情報DB321に含まれるか否かを判定する。ここでは、監視設備情報DB321に「CP-1-2-1 冷水ポンプ」の監視項目「電流値」が登録されているため、制御部21は、特定した設備の点検項目の少なくとも一部が監視対象設備の監視項目に一致すると判定する。
【0072】
特定した設備が監視対象設備に一致し、かつ当該設備の点検項目の少なくとも一部が監視対象設備の監視項目に一致する場合(S5:Yes)、処理はステップS51に移行する。特定した設備が監視対象設備に一致しない場合、又は、特定した設備の全ての点検項目が監視対象設備の監視項目に一致しない場合(S5:No)、処理はステップS6に移行する。
【0073】
ステップS51では、制御部21は、特定した設備及び点検項目を点検対象から除外する。例えば、制御部21は、特定した「冷水ポンプ」が監視設備情報DB321に含まれる「CP-1-2-1 冷水ポンプ」に一致し、「冷水ポンプ」の点検項目のうち「電流値」が一致するため、「冷水ポンプ」の「電流値」を、点検者が点検する点検対象から除外する。なお、制御部21は、特定した設備が監視設備情報DB321に含まれる監視対象設備に一致し、当該設備の全ての点検項目が一致する場合には、当該設備自体を点検対象から除外する。ステップS51の後、処理はステップS1に戻る。
【0074】
ステップS6では、制御部21は、特定した設備及び点検項目を点検対象に登録する。例えば、制御部21は、特定した「冷水ポンプ」が監視設備情報DB321に含まれる「CP-1-2-1 冷水ポンプ」に一致し、「冷水ポンプ」の点検項目のうち「一次圧」、「二次圧」、「温度」、「周波数」が一致しないため、「冷水ポンプ」を点検対象設備に登録するとともに、「一次圧」、「二次圧」、「温度」、「周波数」を点検項目に登録する。また、制御部21は、特定した設置場所「5F 熱源機械室」を「冷水ポンプ」に関連付けて登録する。制御部21は、設置場所、設備名称、及び点検項目を互い関連付けた点検リスト情報D1(図6参照)を記憶部22に記憶する。なお、制御部21は、点検リスト情報D1に、撮像画像から抽出される設備名称(ここでは「冷水ポンプ・PC-1」)を登録する。ステップS51、S6は、本発明の登録ステップの一例である。
【0075】
制御部21は、前記撮像画像から抽出された設備であって監視対象設備に含まれない設備、又は、監視対象設備に含まれる設備であって監視対象の監視項目に含まれない点検項目を、点検リスト情報D1に登録する。ステップS6の後、処理はステップS1に戻る。
【0076】
ステップS1に戻ると、制御部21は、他の設備の撮像画像を取得して、上述の処理(ステップS2~S6)を実行する。制御部21は、施設B1内の各設備について、ステップS1~S6を処理を繰り返し実行することにより、点検リスト情報D1(図6参照)を登録する。
【0077】
制御部21は、点検リスト情報D1を登録すると、点検リスト情報D1に基づいて点検者による点検作業に関する処理を実行する。例えば、制御部21は、点検支援ページP1(図8A図8D参照)を点検者端末4に表示させて、各点検対象設備について点検者により登録される点検結果を取得する。また、制御部21は、点検リスト情報D1に登録されていない設備又は点検項目について、設備監視装置3から監視結果を取得する。そして、制御部21は、これらの結果を統合した点検結果レポートR1(図9参照)を作成して、施設B1の設備の点検結果として出力する。なお、制御部21は、点検者により登録される点検結果と、設備監視装置3から取得する監視結果とを別々に出力してもよい。
【0078】
以上説明したように、本実施形態に係る点検支援システム1は、設備の撮像画像を取得し、取得した前記撮像画像から前記設備を特定する特定情報を抽出し、抽出した前記特定情報に基づいて前記設備を特定する。また点検支援システム1は、特定した前記設備が、設備監視装置3が監視する監視対象設備に一致する場合に、当該設備又は当該設備の点検項目を点検対象から除外する一方、特定した前記設備が前記監視対象設備に一致しない場合に、当該設備を点検対象として登録する。また、点検支援システム1は、特定した前記設備が、設備監視装置3が監視する監視対象設備に一致する場合であって、当該設備の点検項目が当該監視対象設備の監視項目に一致しない場合に、当該監視項目を点検対象として登録する。
【0079】
これにより、設備監視装置3の監視対象となっている設備又は点検項目については、設備監視装置3の監視結果を流用することができるため、点検者による点検対象から除外することができる。このため、点検者が点検すべき設備及び点検項目を削減することができる。よって、設備の点検作業の作業時間を短縮することが可能となる。
【0080】
本発明の点検支援システムは、上述の実施形態に限定されない。
【0081】
本発明の他の実施形態として、判定処理部214は、過去の点検結果の履歴情報に基づいて、特定処理部213により特定される設備が監視対象設備に一致するか否かを判定してもよい。例えば、点検者が点検対象設備を点検して登録した実測データが、設備監視装置3が監視対象設備を監視して取得した実測データと略同一である場合には、当該点検対象設備と当該監視対象設備とは同一の設備である可能性が高い。そこで、判定処理部214は、点検対象設備の過去の点検結果の実測データが、監視対象設備の監視結果の実測データと略同一である場合には、当該点検対象設備と当該監視対象設備とを同一の設備であると判定する。この場合、登録処理部215は、前記設備又は前記設備の点検項目を点検対象から除外し、点検処理部216は、前記設備又は前記設備の点検項目に関する点検結果(実測データなど)を設備監視装置3から取得する。これにより、点検者による点検対象を削減することができるため作業時間を短縮することができる。
【0082】
本発明の他の実施形態として、点検者端末4に前記点検支援処理を実行する専用アプリケーション(点検支援アプリケーション)がインストールされている場合には、点検者端末4の制御部41が、前記点検支援アプリケーションを起動させて前記点検支援処理を実行してもよい。この場合、点検者端末4の制御部41が、点検支援装置2の取得処理部211、抽出処理部212、特定処理部213、判定処理部214、登録処理部215、及び点検処理部216(図1参照)の機能を備える。すなわち、点検者端末4単体が、本発明に係る点検支援システムを構成してもよい。この構成によれば、オフライン環境においても、各点検者は点検者端末4を使用して設備の点検作業を行うことができる。
【0083】
本発明の他の実施形態として、点検対象設備の点検作業は、人が目視により行ってもよいし、ロボット装置が行ってもよい。前記ロボット装置は、予め設定された走行ルートを自律走行しながら各設備の点検を行ってもよい。前記ロボット装置は、本発明の点検装置の一例である。
【符号の説明】
【0084】
1 :点検支援システム
2 :点検支援装置
3 :設備監視装置
4 :点検者端末
211 :取得処理部
212 :抽出処理部
213 :特定処理部
214 :判定処理部
215 :登録処理部
216 :点検処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10