(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168942
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】GPR109a活性化剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/19 20060101AFI20221101BHJP
A61K 31/225 20060101ALI20221101BHJP
A61K 31/366 20060101ALI20221101BHJP
A61K 31/351 20060101ALI20221101BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221101BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20221101BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20221101BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
A61K31/19
A61K31/225
A61K31/366
A61K31/351
A61P43/00 111
A61P29/00
A61P19/08
A61P1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074648
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 典敬
(72)【発明者】
【氏名】河野 早和子
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA07
4C086BA17
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA67
4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZC02
4C086ZC41
4C206AA01
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4C206ZC41
(57)【要約】
【課題】GPR109aを有効に活性化することのできるGPR109a活性化剤及び抗炎症剤に関するに関する。
【解決手段】フマル酸ジメチル、デヒドロ酢酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、カルミン酸アルミニウム、並びに安息香酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上を有効成分とする、GPR109a活性化剤、並びに抗炎症剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フマル酸ジメチル、デヒドロ酢酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、カルミン酸アルミニウム、並びに安息香酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上を有効成分とする、GPR109a活性化剤。
【請求項2】
フマル酸ジメチル、デヒドロ酢酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、カルミン酸アルミニウム、並びに安息香酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上を有効成分とする、抗炎症剤。
【請求項3】
フマル酸ジメチル、デヒドロ酢酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、カルミン酸アルミニウム、並びに安息香酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上を有効成分とする、歯槽骨吸収抑制剤。
【請求項4】
フマル酸ジメチル、デヒドロ酢酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、カルミン酸アルミニウム、並びに安息香酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上を有効成分とする、歯周病予防又は治療剤。
【請求項5】
有効成分の含有量が、0.01質量%以上5質量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フマル酸ジメチル等を有効成分とするGPR109a活性化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
GPR109aは、生体における情報伝達物質を結合するGタンパク質共役受容体であり、近年、これを活性化するための開発が始められている。例えば、特許文献1には、ビタミンB化合物又はその誘導体若しくは前駆体、又はGPR109a受容体リガンドと組み合わされたII型コラーゲン源を含む組成物が開示され、GPR109a受容体リガンドとして、ナイアシンやニコチン酸エステル等が挙げられており、かかる組成物によって関節痛の処置、及び胃腸菅や脳の健康の改善等が試みられている。
【0003】
一方、非特許文献1には、腸管細胞において、ナイアシン(ニコチン酸)や酪酸によりGPR109aが刺激され、患部へTregが誘導されて、腸の健康を維持する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Singh N, et al., "Activation of Gpr109a, receptor for niacin and the commensal metabolite butyrate, suppresses colonic inflammation and carcinogenesis", Immunity, 2014, 40(1), p.128-39
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、GPR109aの活性化は、生体内において有用性の高いものであることが認識されつつある。しかしながら、これを有効に活性化する成分については、未だ充分な検討がなされていない。
すなわち、本発明は、GPR109aを有効に活性化することのできるGPR109a活性化剤に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
新たな成分の出現がより一層求められるなか、本発明者らは、歯周組織においてもGPR109aが発現していることを新たに見い出した。そして、本発明者らは、これを契機にさらなる検討をすすめたところ、フマル酸ジメチル等の特定の成分がGPR109a活性化能を有することを新たに見い出し、本発明を想到するに至った。
【0008】
したがって、本発明は、フマル酸ジメチル、デヒドロ酢酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、カルミン酸アルミニウム、並びに安息香酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上を有効成分とする、GPR109a活性化剤を提供するものである。
また、本発明は、フマル酸ジメチル、デヒドロ酢酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、カルミン酸アルミニウム、並びに安息香酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上を有効成分とする、抗炎症剤、歯槽骨吸収抑制剤、並びに歯周病予防又は治療剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フマル酸ジメチル等の特定の成分を有効成分とすることにより、GPR109aを有効に刺激して活性化することができ、有用性の高いGPR109a活性化剤を実現することができる。
また、フマル酸ジメチル等の特定の成分を有効成分とすることにより、抗炎症剤としても活用することができる。
さらに、歯周組織においてもGPR109aが発現していることを新たに見出したことから、GPR109aを介したTreg誘導により、歯槽骨吸収抑制剤としても有用であり、歯周病予防又は治療剤としても活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例及び比較例における抗炎症性の評価の結果(Dunnettの方法に基づく統計解析結果を含む)を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の剤は、フマル酸ジメチル、デヒドロ酢酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、カルミン酸アルミニウム、並びに安息香酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上を有効成分とする、GPR109a活性化剤である。すなわち、本発明の剤であれば、中枢神経系の薬効成分や防腐剤又は着色剤として知られるに留まるこれらの有効成分を含有することにより、予想外にもGPR109aを有効に活性化することができる。したがって、例えば、本発明者らによりGPR109aが発現していることを新たに見い出された歯周組織においても、本発明の剤であればGPR109aを有効に活性化することができる。
なお、歯周組織とは、歯を支持するために歯の周辺に位置する組織を意味し、歯肉(歯茎)、歯根膜、セメント質、歯槽骨から構成される組織である。
【0012】
かかる有効成分のうち、デヒドロ酢酸塩、ソルビン酸塩、及び安息香酸塩の塩としては、具体的には、ナトリウム、又はカリウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。
これらの有効成分のなかでも、効果的にGPR109a活性化能を発現する観点から、フマル酸ジメチル、デヒドロ酢酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、カルミン酸アルミニウムから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、フマル酸ジメチル、デヒドロ酢酸及びその塩、並びにソルビン酸及びその塩から選ばれる1種又は2種がより好ましく、フマル酸ジメチル、並びにデヒドロ酢酸及びその塩から選ばれる1種又は2種がよりさらに好ましく、フマル酸ジメチルがさらに好ましい。
【0013】
有効成分の含有量は、効果的にGPR109a活性化能を発現する観点から、本発明の剤中に、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上であり、さらに好ましくは0.03質量%以上である。また、有効成分の含有量は、少ない量でありながらも有効かつ効果的にGPR109a活性化能を示す観点から、本発明の剤中に、5質量%以下であってもよく、3質量%以下であってもよく、さらに1.5質量%以下であってもよい。
【0014】
より具体的には、フマル酸ジメチルの含有量は、本発明の剤中に、好ましくは0.015質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、5質量%以下であってもよく、3質量%以下であってもよく、さらに2質量%以下であってもよい。
デヒドロ酢酸及びその塩の含有量は、本発明の剤中に、好ましくは0.02質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、5質量%以下であってもよく、3質量%以下であってもよく、さらに2質量%以下であってもよい。なお、デヒドロ酢酸塩を用いる場合、かかるデヒドロ酢酸塩のデヒドロ酢酸換算量が、上記含有量の範囲であればよい。
【0015】
ソルビン酸及びその塩の含有量は、本発明の剤中に、好ましくは0.04質量%以上であり、より好ましくは0.07質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、5質量%以下であってもよく、3質量%以下であってもよく、さらに2質量%以下であってもよい。なお、ソルビン酸塩を用いる場合、かかるソルビン酸塩のソルビン酸換算量が、上記含有量の範囲であればよい。
カルミン酸アルミニウムの含有量は、本発明の剤中に、好ましくは0.25質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上であり、さらに好ましくは0.35質量%以上であり、1質量%以下であってもよく、0.8質量%以下であってもよく、さらに0.7質量%以下であってもよい。
安息香酸及びその塩の含有量は、本発明の剤中に、好ましくは0.4質量%以上であり、より好ましくは0.45質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、2質量%以下であってもよく、1.5質量%以下であってもよく、さらに1質量%以下であってもよい。なお、安息香酸塩を用いる場合、かかる安息香酸塩の安息香酸換算量が、上記含有量の範囲であればよい。
【0016】
また、本発明の剤は、フマル酸ジメチル、デヒドロ酢酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、カルミン酸アルミニウム、並びに安息香酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上を有効成分とする、抗炎症剤である。
生体における炎症反応は、まず細菌が細胞に付着し、細胞の表面のToll like receptor等によって認識されて、その下流の種々の分子が活性化されることが契機となる。そして最終的には、転写因子であるNF-κBが活性化され、これが核内に移行することによってIL-6等の炎症性サイトカイン遺伝子の転写及び合成が始まり、炎症反応が誘発されることとなる。本発明の剤であれば、種々の生体組織においてGPR109aを刺激してこれを有効に活性化し、かかる活性化されたGPR109aを介してNF-κBが活性化するのを効果的に抑制することができるため、抗炎症剤として有用である。
【0017】
またさらに、本発明の剤は、フマル酸ジメチル、デヒドロ酢酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、カルミン酸アルミニウム、並びに安息香酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上を有効成分とする、歯槽骨吸収抑制剤、及び、歯周病予防又は治療剤である。
本発明の剤であれば、本発明者らによりGPR109aが発現していることを新たに見い出された歯周組織において、GPR109aを有効に活性化することができ、その結果、免疫応答を負に制御して組織修復的な役割を果たすregulatory T細胞(Treg)を誘導することにより、免疫応答を抑制し、疾患を完治することも可能となる。
【0018】
歯周組織において、歯周病関連細菌に感染すると、細菌感染症の一種である歯周病を発症することとなる。これに対し、生体内では種々の免疫応答が起こり、細菌を排除しようとしたり、生体への致命的な損傷ともなり得る歯槽骨への細菌感染を防ぐために、破骨細胞を分化させて歯槽骨を溶解し、細菌感染部位から歯槽骨を遠ざけようとしたりする。こうした免疫応答は、病原性細菌に対する生体の抵抗反応又は防御反応ではあるものの、歯周病においては歯槽骨の吸収を伴うため、歯周病に罹患して炎症が慢性化すると、最終的に歯が抜けてしまうおそれがある。
しかしながら、歯周組織においてTregが誘導されれば、歯周炎モデルにおいて歯周病に伴う歯槽骨の吸収が抑制されたこと(Andrew J. Glowcki et al., "Prevention of inflammation-mediated bone loss in murine and canine periodontal disease via recruitment of regulatory lymphocytes", 2013, PNAS, 110(46), p.18525-18530)や、歯周組織における炎症性細胞浸潤が抑制されたこと(Wang L. et al., "The significance of keratinized mucosa on implant health: a systematic review", J. Periodontol, 2013, 84(12), p.1755-1767)等が既に報告されている。
したがって、本発明の剤であれば、本発明者らによりGPR109aが発現していることを新たに見い出された歯周組織において、GPR109aを有効に活性化することにより、歯周病による歯槽骨の吸収抑制効果の発揮が充分に期待され、歯肉組織の炎症や破壊を未然に防止して歯周病の予防又は治療効果を発揮することも充分に可能である。
すなわち、本発明の剤であれば、歯周組織において、GPR109aを介したTregの誘導を可能とすることによる歯槽骨吸収抑制剤として活用することができる。そして、歯周病の主たる症状である歯肉の腫れや歯肉組織の破壊を充分に防止することができるため、歯周病予防又は治療剤としても充分に活用することができる。
【0019】
なお、本発明の剤を歯周組織に適用する場合、本発明の剤は、口腔内への適用に適した態様を有するのが望ましい。具体的には、例えば、練歯磨剤や粉歯磨剤等の歯磨組成物、或いは洗口液、液状又はジェル状歯磨剤、マウススプレー等の液体口腔用組成物等の態様が挙げられる。
したがって、本発明の剤は、上記有効成分のほか、歯磨組成物や液体口腔用組成物等の、口腔内に適用するための剤に通常用いられる成分を含有することができる。かかる成分としては、例えば発泡剤、発泡助剤、界面活性剤、研磨剤、増量剤、甘味剤、保存料、薬効成分、pH調整剤、粘着剤、顔料、色素、香料等が挙げられる。
【実施例0020】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。
【0021】
[実施例1~5、比較例1]
表1に示す各成分を含有する水溶液(水不溶成分の場合はDMSOに溶解後に水で希釈)を調製し、以下の方法によりGPR109a活性化能の評価を行った。
結果を表1に示す。
【0022】
《GPR109a活性化能の評価》
1)GPR109a遺伝子発現ベクターの作製とGαq/i発現ベクターの使用
ヒト唾液腺由来のcDNAを鋳型としてGPR109a遺伝子のクローニングを行い、Gateway pcDNA-DEST 40 Vector (サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)に挿入し、GPR109a発現ベクターを作製した。
【0023】
なお、GPCRに共役するGタンパク質は、そのαサブユニットの相同性と機能をもとに4つのファミリーに分けられ(Gs, Gi, Gq, G12/13)、そのうちGiはアデニル酸シクラーゼの抑制をもたらし、GqはホスホリパーゼCを活性化してCa2+の流入をもたらす。そして、GPR109aはGiと共役することから、GPR109a活性化能をCa2+流入活性で評価することとし、Gαq/i発現ベクターを使用することとした。
また、Gαq/i発現ベクターは、ヒトGαq遺伝子のC末端側6アミノ酸(GPCR結合部分)を、ヒトGαiのC末端6アミノ酸と置換してpME18Sベクターに組み込ませたものであり、発現するキメラタンパク質は、GiとしてGPCRに共役し、Gqの細胞内シグナル伝達(Ca2+の流入)を行うこととなる。そのため、Gαq/i発現ベクターをGPR109a発現ベクターと併せて強制発現させた。
【0024】
2)GPR109a遺伝子発現細胞の作製と細胞内Ca2+流入活性の測定
HEK293細胞(ATCC)を、DMEM/F12(Gibco)+10% FBSの培地を用いて、10cm dishに播種し、GPR109a発現ベクター又はLacZ発現ベクター4μg、Gαq/i発現ベクター2μgをTransIT-293(Mirus)を用いてトランスフェクションし、1日培養した。
その後、Detachin(Genlantis)により細胞をはがし、これを96well Optical bottom plate(Nunc 165305, Thermo Fisher Scientific)に1.67×104cells/90μL/wellとなるように播種し、さらに1日培養した。
【0025】
次いで、Calcium Kit II‐Fluo-4(同仁化学研究所社製)を用いて細胞内Ca2+流入活性を測定した。
具体的には、Fluo-4を含有する180μLのLoading bufferを添加し、37℃で1時間インキュベートした後、FDSS/μCELL(浜松ホトニクス社製)を用いて、Ex;480nm、Em;540nm、37℃での条件にて、0.5秒ごとに蛍光強度を測定した。そして、測定開始から30秒経過した時点で検体溶液を20μL添加し、さらに300秒経過するまで継続して蛍光強度を測定した。
【0026】
3)データ解析
測定した各蛍光強度(F)を測定開始時(0秒)の蛍光強度(F0)により除算し、蛍光強度比(F/F0)を求めた。そして、測定開始時から30秒間(0秒~30秒)でのF/F0の平均値(ベースライン)を求め、検体添加後から測定終了まで(30秒~300秒)の各時間におけるF/F0から、得られたF/F0の平均値を差し引いた値を算出し、GraphPad PRISM6を用いてEC50(μM:50%効果濃度)を算出した。
なお、EC50の値が10μM以上100μM未満であれば、GPR109a活性化能を有すると判断することができる。
【0027】
【0028】
《抗炎症性の評価》
予めGPR109aが発現しているRAW 264.7細胞を準備した。まず、DMEM(Gibco)+10% FBS(Gibco)を用い、37℃/5% CO2インキュベーター内にて、かかる細胞を24well plate(IWAKI(登録商標)、AGCテクノグラス社製)上でセミコンフルエントまで培養した。
培地を除去して得られた細胞をPBSで3回洗浄した後、炎症惹起物質としてのEscherichia coli由来のLipopolysaccharide(InvivoGen社製)を1μg/ml、及び表2に示す各成分を100μMとなるように調整したDMEMにて、24時間培養した。
【0029】
その後、RNeasy mini kit(キアゲン社製)を用いてtotal RNAを抽出し、High capacity RNA to cDNA(アプライドバイオシステム社製)を用いて逆転写反応を行った。次いで合成したcDNAを用い、Taqman probeによる定量的PCR法に基づき、IL-6及びハウスキーピング遺伝子としてGAPDHの遺伝子発現を解析した。得られたIL-6/GAPDHの値をコントロール(滅菌蒸留水:比較例2)の値と比較することにより、各成分の抗炎症性を評価した。
なお、遺伝子発現はコントロールの値との比較を、Dunnettの方法に基づく統計解析を採用し、有意水準を5%とした。
結果を表2及び
図1に示す。
【0030】