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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168943
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20221101BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H05K3/34 501F
H05K3/28 B
H05K3/34 502D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074652
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003029
【氏名又は名称】弁理士法人ブナ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 範征
【テーマコード(参考)】
5E314
5E319
【Fターム(参考)】
5E314AA27
5E314AA32
5E314BB06
5E314BB11
5E314CC15
5E314DD05
5E314DD07
5E314FF05
5E314FF17
5E314FF19
5E314GG26
5E319AA03
5E319AA07
5E319AC02
5E319AC18
5E319AC20
5E319CC22
5E319CD01
5E319GG20
(57)【要約】
【課題】優れたはんだ濡れ性および接続信頼性を有する配線基板を提供する。
【解決手段】本開示に係る配線基板は、絶縁層と、絶縁層上に位置するソルダーレジストと、絶縁層上に位置しており、ソルダーレジストに被覆された第1部分およびソルダーレジストに被覆されていない第2部分を含み、銅からなる配線導体と、第2部分を被覆するニッケル層とを有する。ソルダーレジストは、第2部分に離隔した位置において第2部分に隣接している隣接部を有する。第2部分は、絶縁層の表面からの高さが隣接部よりも高い。ニッケル層は、離隔している第2部分と隣接部との間を充填しているとともに、隣接部の上面まで被覆している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、
該絶縁層上に位置するソルダーレジストと、
前記絶縁層上に位置しており、前記ソルダーレジストに被覆された第1部分および前記ソルダーレジストに被覆されていない第2部分を含み、銅からなる配線導体と、
前記第2部分を被覆するニッケル層と、
を有し、
前記ソルダーレジストは、前記第2部分に離隔した位置において該第2部分に隣接している隣接部を有し、
前記第2部分は、前記絶縁層の表面からの高さが前記隣接部よりも高く、
前記ニッケル層は、離隔している前記第2部分と前記隣接部との間を充填しているとともに、前記隣接部の上面まで被覆している、配線基板。
【請求項2】
前記第2部分が半導体素子接続パッドである、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記ニッケル層の表面に、金層がさらに位置している、請求項1または2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記ニッケル層と前記金層との間に、パラジウム層がさらに位置している、請求項3に記載の配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板に形成されている配線導体のうち、配線基板の表面に位置する配線導体(例えば、パッド)には、はんだの濡れ性を向上させるために、ニッケル(Ni)層を介して金(Au)層が形成される場合がある(例えば、特許文献1)。このようなパッドには、特許文献1に記載のように、基部側がソルダーレジスト(充填部材)に埋没し、頂部側がソルダーレジストから突出しているパッドが存在する。
【0003】
基部側がソルダーレジストに埋没し、頂部側がソルダーレジストから突出しているパッドを備える配線基板に、半導体素子などを実装する場合、応力によってNi層とソルダーレジストとの間に隙間が形成されることがある。このような隙間が存在すると、実装後の洗浄工程において洗浄液が隙間に浸入し、コロージョン(腐食)が発生する。コロージョンが進み、Ni層を広く侵食してしまうとはんだとパッドとの接続性が低下する。その結果、配線基板と半導体素子との接続信頼性が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-239603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の課題は、半導体素子との接続信頼性を有する配線基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る配線基板は、絶縁層と、絶縁層上に位置するソルダーレジストと、絶縁層上に位置しており、ソルダーレジストに被覆された第1部分およびソルダーレジストに被覆されていない第2部分を含み、銅からなる配線導体と、第2部分を被覆するニッケル層とを有する。ソルダーレジストは、第2部分に離隔した位置において第2部分に隣接している隣接部を有する。第2部分は、絶縁層の表面からの高さが隣接部よりも高い。ニッケル層は、離隔している第2部分と隣接部との間を充填しているとともに、隣接部の上面まで被覆している。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る配線基板は、半導体素子との接続信頼性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(A)は本開示の一実施形態に係る配線基板の上面図であり、(B)は(A)に示すX-X線で切断した際の断面図である。
図2図1(A)および(B)に示す領域Aを説明するための拡大説明図である。
図3図2に示す第1配線導体の変形例を説明するための拡大説明図である。
図4】本開示の一実施形態に係る配線基板の製造工程を説明するための説明図である。
図5】本開示の一実施形態に係る配線基板の製造工程を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の一実施形態に係る配線基板を、図1および2に基づいて説明する。図1(A)は本開示の一実施形態に係る配線基板の上面図であり、図1(B)は図1(A)に示すX-X線で切断した際の断面図である。
【0010】
一実施形態に係る配線基板1は、図1(A)および(B)に示すように、絶縁層2および導体層3が交互に積層され、最表層にソルダーレジスト4が位置する構造を有している。具体的には、コア用絶縁層21の両面に、少なくとも1層の導体層3と少なくとも1層のビルドアップ用絶縁層22とが、交互に積層されている。
【0011】
絶縁層2(コア用絶縁層21およびビルドアップ用絶縁層22)は、例えば、エポキシ樹脂、ビスマレイミド-トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、液晶ポリマーなどの樹脂で形成されている。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。絶縁層2には、絶縁粒子が分散されていてもよい。絶縁粒子は限定されず、例えば、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、ガラス、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機絶縁性フィラーが挙げられる。コア用絶縁層21とビルドアップ用絶縁層22とは、同じ樹脂であってもよく、異なる樹脂であってもよい。絶縁層2を形成するための樹脂としては、例えば、味の素ビルドアップフィルム(ABF、味の素ファインテクノ株式会社製)などが市販されている。
【0012】
コア用絶縁層21は、例えば0.2mm以上2.5mm以下の厚みを有している。コア用絶縁層21は、コア用絶縁層21の上下面に位置する導体層3を電気的に接続するためのスルーホール導体21Tを有している。スルーホール導体21Tは、コア用絶縁層21の上下面を貫通するスルーホール内に位置している。スルーホール導体21Tは、例えば、銅めっきなどの金属めっきからなる導体で形成されている。スルーホール導体21Tは、コア用絶縁層21の両面の導体層3に接続されている。スルーホール導体21Tは、スルーホールの内壁面のみに形成されていてもよく、スルーホール内に充填されていてもよい。
【0013】
ビルドアップ用絶縁層22は、例えば15μm以上40μm以下の厚みを有している。ビルドアップ用絶縁層22は、同じ樹脂であってもよく、それぞれ異なる樹脂であってもよい。
【0014】
ビルドアップ用絶縁層22は、ビルドアップ用絶縁層22を介して上下に位置している導体層3同士を電気的に接続するためのビアホール導体3Vを有している。ビアホール導体3Vは、ビルドアップ用絶縁層22の上下面を貫通するビアホールに、例えば銅めっきなどを析出させることによって得られる。ビルドアップ用絶縁層22の上下面を貫通するビアホールは、例えば、COレーザー、UV-YAGレーザー、エキシマレーザーなどのようなレーザー加工によって形成される。ビアホール導体3Vは、ビアホール内を充填する状態で位置していてもよく、ビアホール導体3Vが、ビアホール内表面に被着しており、かつビアホール導体3Vが無い部分には樹脂が充填していても構わない。
【0015】
絶縁層2の主面、すなわちコア用絶縁層21の主面およびビルドアップ用絶縁層22の主面には、導体層3が位置している。導体層3は銅箔や銅めっきなどの銅で形成されている。導体層3の厚みは特に限定されず、例えば8μm以上25μm以下である。導体層3には、電源用導体3P、グランド用導体3G、信号用導体3Sを含む配線導体31が存在する。
【0016】
図1(A)および(B)に示すように、最表層に位置している配線導体31は、側面および上面がソルダーレジスト4に被覆された第1部分31aおよび少なくとも上面がソルダーレジスト4に被覆されていない第2部分31bを有している。第2部分31bは、例えば、配線基板1に半導体素子を実装する際に、半導体素子接続パッドとして機能する。第1部分31aは、第2部分31bを介して接続される半導体素子と、配線基板1が搭載される外部電気基板との間で、信号や電荷の伝送経路として機能する。第2部分31bを、図2に基づいて詳細に説明する。図2は、図1(A)および(B)に示す領域Aを説明するための拡大説明図である。
【0017】
図2に示すように、第2部分31bは、絶縁層2(ビルドアップ用絶縁層22)上に積層されたソルダーレジスト4の凹部41に、位置しており、側面の一部がソルダーレジスト4に被覆され、上面がソルダーレジスト4に被覆されていない。凹部41の深さは例えば10~20μm程度である。第2部分31bの幅は、ビルドアップ用絶縁層22側が、ビルドアップ用絶縁層22と反対側よりも大きく、第2部分31bのビルドアップ用絶縁層22からの高さは、ソルダーレジスト4の凹部41に収まる高さである。
【0018】
ソルダーレジスト4は、ビルドアップ用絶縁層22上面に位置しており、該上面および配線導体31を被覆している。ソルダーレジスト4は、例えば、半導体素子を実装するときや、マザーボードなどに接続するときに、溶融したはんだの熱から配線導体31などを保護する機能を有している。ソルダーレジスト4は、例えば、アクリル変性エポキシ樹脂で形成されており、例えば20~25μm程度の厚みを有している。
【0019】
一実施形態に係る配線基板1において、ソルダーレジスト4は、第2部分31bに離隔した位置において第2部分31bに隣接している隣接部43を有している。言い換えると、第2部分31bと隣接部43とは、隣接部43の上面からビルドアップ用絶縁層22までの範囲内で離隔している。第2部分31bは、ビルドアップ用絶縁層22からの高さが隣接部43よりも高い。第2部分31bは、隣接部43よりも例えば5~10μm程度高い。
【0020】
第2部分31bの下面は、絶縁層2(ビルドアップ用絶縁層22)と密着して位置している。さらに、第2部分31bの側面の一部は、ソルダーレジスト4と密着しており、水分等の浸入を防いでいる。
【0021】
ニッケル層(Ni層)5は、第2部分31bの表面を被覆している。ニッケル層5の厚みは限定されず、例えば、2μm以上10μm以下である。
【0022】
ニッケル層5は、離隔している第2部分31bとソルダーレジスト4の隣接部43との間を充填しているとともに、ソルダーレジスト4の隣接部43の上面も被覆している。このように、ソルダーレジスト4の隣接部43の上面にもニッケル層5が位置していることによって、第2部分31bと隣接部43との間に洗浄液などの処理液が浸入しにくくなる。そのため、コロージョン(腐食)が発生しにくくなる。
【0023】
第2部分31bとソルダーレジスト4の隣接部43とが離隔している深さは限定されず、図2に示すように、絶縁層2(ビルドアップ用絶縁層22)まで非貫通であってもよく、図3に示すように、絶縁層2(ビルドアップ用絶縁層22)まで貫通していてもよい。
【0024】
ニッケル層5の表面には、パラジウム層7が位置している。パラジウム層7の厚みは限定されず、例えば、0.01μm以上1.0μm以下である。パラジウム層7は、後述の金層6に、はんだを被着した際に脆弱な金属間化合物が生成することを低減するために、設けられている。
【0025】
パラジウム層7の表面には、金層6が位置している。金層6の厚みは限定されず、例えば、0.01μm以上1.0μm以下である。金層6が位置していることによって、優れたはんだ濡れ性が発揮される。その結果、半導体素子を実装する際に、はんだと半導体素子の電極との接続信頼性が向上する。さらに、ニッケル層5は、第2部分31bとソルダーレジスト4の隣接部43との間を充填しているとともに、ソルダーレジスト4の隣接部43の上面も被覆している。そのため、コロージョン(腐食)が発生しにくく、半導体素子との接続信頼性が高い配線基板を提供することができる。
【0026】
一実施形態に係る配線基板1を製造する方法は限定されず、例えば、図4および5に示すような製造工程によって得られる。
【0027】
まず、コア用絶縁層21の両面にビルドアップ層が形成された積層体を得る。この積層体は、例えば次の方法によって得られる。まず、スルーホールを有するコア用絶縁層21を用意する。次にコア用絶縁層21のスルーホール内にスルーホール導体21Tおよび表面に導体層3を銅めっきにより形成する。次に、コア用絶縁層21の両面に、各々ビルドアップ用絶縁層22を形成する。次に、ビルドアップ用絶縁層22に、ビアホールを形成して、ビアホール内にビアホール導体3Vおよび表面に導体層3を形成する。
【0028】
図4(A)は、上記の方法でビルドアップ用絶縁層22に形成された導体層3(配線導体31)を示す。
【0029】
次いで、図4(B)に示すように、この配線導体31全体をソルダーレジストシート4aで被覆する。ソルダーレジストシート4aは光硬化性を有し、光を照射することによって硬化する。
【0030】
配線導体31全体をソルダーレジストシート4aで被覆した後、図4(C)に示すように、凹部41となる領域をマスキングして露光する。光が照射された部分はソルダーレジストシート4aが硬化して、ソルダーレジスト4が形成される。
【0031】
一方、マスキングされた領域はソルダーレジストシート4aが硬化しておらず、図4(D)に示すように、硬化していないソルダーレジストシート4aの一部を現像して除去する。このようにして、配線導体31が凹部41に露出する。
【0032】
次いで、図5(A)に示すように、現像せずに残した未硬化のソルダーレジストシート4aを硬化させるために露光する。この硬化させた凹部41の底部が、隣接部43に相当する。
【0033】
次いで、配線導体31にNiめっきを施す前に酸によって洗浄を行う。酸洗浄を行うことによって配線導体31の一部がエッチングされ、図5(B)に示すように、第2部分31bが形成される。このとき、第2部分31bと隣接部43との間に隙間が生じる。隙間の深さは、酸の種類や酸洗浄の時間(酸に曝される時間)などに依存する。
【0034】
次いで、図5(C)に示すように、第2部分31bの表面および第2部分31bとソルダーレジスト4の隣接部43との隙間に、ニッケル層5を形成する。ニッケル層5は、例えば無電解めっきなどめっきによって形成される。ニッケル層5は、第2部分31bと隣接部43との間を充填しているとともに、隣接部43の上面まで被覆している。
【0035】
次いで、図5(D)に示すように、ニッケル層5をパラジウム層7で被覆する。パラジウム層7は、例えば、無電解めっきなどめっきによって形成される。さらに、パラジウム層7を、ニッケルよりも優れたはんだ濡れ性を有する金層6で被覆する。金層6は、例えば、無電解めっきなどめっきによって形成される。このようにして、一実施形態に係る配線基板1が得られる。
【0036】
本開示の配線基板は、上述の実施形態に限定されない。一実施形態に係る配線基板1では、ニッケル層5と金層6との間に、パラジウム層7が位置している。しかし、本開示の配線基板において、パラジウム層は必ずしも形成しなくてもよく、ニッケル層の表面に金層が位置していてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 配線基板
2 絶縁層
21 コア用絶縁層
21T スルーホール導体
22 ビルドアップ用絶縁層
3 導体層
3V ビアホール導体
31 配線導体
31a 第1部分
31b 第2部分(半導体素子接続パッド)
3G グランド用導体
3P 電源用導体
3S 信号用導体
4 ソルダーレジスト
4a ソルダーレジストシート
41 凹部
43 隣接部
5 ニッケル層
6 金層
7 パラジウム層
図1
図2
図3
図4
図5