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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168951
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/79 20110101AFI20221101BHJP
   H01R 13/629 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
H01R12/79
H01R13/629
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074671
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(72)【発明者】
【氏名】古平 善彦
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA11
5E021FA16
5E021FB02
5E021FB05
5E021FB08
5E021FC25
5E021FC29
5E021HB03
5E223AB35
5E223AB43
5E223AC21
5E223BA04
5E223BA07
5E223BA08
5E223BB01
5E223BB12
5E223CA15
5E223CB22
5E223CB39
5E223CB46
5E223CB47
5E223CB48
5E223CD01
5E223CD02
5E223DA05
5E223DB09
5E223DB11
5E223DB25
5E223EA02
5E223EA12
5E223EA13
5E223EC12
5E223EC22
5E223EC32
5E223EC47
5E223EC78
(57)【要約】
【課題】本開示は、コンタクトと平形ケーブルとが安定した接触圧力で接触できる電気コネクタを提供すること。
【解決手段】本開示の電気コネクタ10におけるコンタクト20Rは、平形ケーブル300に対向して設けられる第1ビーム23Rと、第1ビーム23Rと間隔を空けて設けられる第2ビーム25Rと、第1ビーム23Rに設けられ、平形ケーブル300に押圧される電気的な接点231Rと、を備える。接点231Rは、第1接触部233Rと、前記第1接触部233Rに連なり、第1接触部233Rよりも平形ケーブル300に接触する面積が大きい第2接触部235Rと、を備える。本開示の電気コネクタ10は、第1接触部233Rの少なくとも一部と第2接触部235Rの少なくとも一部のいずれかまたは双方が平形ケーブル300に押圧される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平形ケーブルを受け入れる、電気絶縁性材料により構成されるハウジングと、
前記ハウジングの幅方向に沿って複数配列され、前記平形ケーブルと電気的に接続される、導電性材料で構成されるコンタクトと、を備え、
前記コンタクトは、
前記平形ケーブルに対向して設けられる第1ビームと、
前記第1ビームと間隔を空けて設けられる第2ビームと、
前記第1ビームに設けられ、前記平形ケーブルに押圧される電気的な接点と、を備え、
前記接点は、
第1接触部と、前記第1接触部に連なり、前記第1接触部よりも前記平形ケーブルに接触する面積が大きい第2接触部と、を備え、
前記第1接触部の少なくとも一部と前記第2接触部の少なくとも一部のいずれかまたは双方が前記平形ケーブルに押圧される、
ことを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記第1接触部の前記平形ケーブルへの押圧を経てから、前記第2接触部の前記平形ケーブルへの押圧がなされる、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記第1ビームの弾性変形により、前記第1接触部の前記平形ケーブルへの押圧を経てから、前記第2接触部の前記平形ケーブルへの押圧がなされる、
請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
受け入れるのが相対的に薄い前記平形ケーブルである場合に、前記第1接触部のみが前記平形ケーブルに押圧され、
受け入れるのが相対的に厚い前記平形ケーブルである場合に、前記第2接触部が前記平形ケーブルに押圧される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記平形ケーブルに前記接点を押圧する押圧状態と、前記平形ケーブルから前記接点が離れる開放状態のいずれかに前記コンタクトを切り替えるカムを有するアクチュエータ、を備え、
前記カムは、
前記第1ビームと前記第2ビームの間に設けられる、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記第1ビームは、前記第2ビームに比べて、前記カムによる荷重を受ける向きZの剛性が小さい、
請求項5に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記コンタクトは、
前記第1ビームと前記第2ビームを支持するベースと、
前記ベースと前記第1ビームとを繋ぎ、前記第1ビームを片持ち状に支持する第1支持片と、
前記ベースと前記第2ビームとを繋ぎ、前記第2ビームを片持ち状に支持する第2支持片と、を備え、
前記第1支持片は、前記荷重を受ける向きZとは交差する向きXにおける剛性が前記第2支持片の前記交差する向きXにおける剛性よりも小さい、
請求項6に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、FPC(Flexible Printed Circuits:フレキシブル印刷回路)やFFC(Flexible Flat Cable:フレキシブルフラットケーブル)等の可撓性を有する平形ケーブルが接続される電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
FPCやFFC等の可撓性を有する平形ケーブルと接続される電気コネクタは、一例としてプリント配線板上に実装される。電気コネクタのハウジング内には、プリント配線板に電気的に接続されるコンタクトが複数設けられている。これらコンタクトを平形ケーブルの導体部に電気的に接続することで、平形ケーブルがプリント配線板と電気的に接続される。
この電気コネクタにおいて、コンタクトと平形ケーブルの導体との電気的な接続状態を維持するには、例えば特許文献1に開示されるように、コンタクトで平形ケーブルを挟み込み、コンタクト自体の弾性を利用してコンタクトを平形ケーブルの導体に押圧させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5391104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気コネクタが受け入れる平形ケーブルの厚さが一定であれば、平形ケーブルの厚さに応じてコンタクトによる接触圧力を設定することにより、適切な接触圧力を得ることができる。ところが、同じ仕様の電気コネクタが受け入れる平形ケーブルの厚さの公差が大きいことがある。したがって、公差の下限の厚さを基準にして接触圧力を設定すると、公差の上限の厚さの平形ケーブルの接触圧力が高くなりすぎることがある。逆に、受け入れる範囲において、公差の上限の厚さの平形ケーブルを基準にして接触圧力を設定すると、公差の下限の厚さの平形ケーブルの接触圧力が低くなりすぎることがある。このように、接触圧力が異なると、コンタクトと平形ケーブルの電気的な接触性能または機械的な接触性能が不安定になる。
【0005】
以上より、本開示は、厚さが異なる平形ケーブルであっても安定した接触性能でコンタクトと接触できる電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電気コネクタは、平形ケーブルを受け入れる、電気絶縁性材料により構成されるハウジングと、ハウジングの幅方向に沿って複数配列され、平形ケーブルの平形ケーブルと電気的に接続される、導電性材料で構成されるコンタクトと、を備える。
本開示におけるコンタクトは、平形ケーブルに対向して設けられる第1ビームと、第1ビームと間隔を空けて設けられる第2ビームと、第1ビームに設けられ、平形ケーブルの平形ケーブルに押圧される電気的な接点と、を備える。
本開示における接点は、第1接触部と、第1接触部に連なり、第1接触部よりも平形ケーブルに接触する面積が大きい第2接触部と、を備え、第1接触部の少なくとも一部と第2接触部の少なくとも一部のいずれかまたは双方が平形ケーブルに押圧される。
【0007】
本開示の電気コネクタにおいて、好ましくは、第1接触部の平形ケーブルへの押圧を経てから、第2接触部の平形ケーブルへの押圧がなされる。
【0008】
本開示の電気コネクタにおいて、好ましくは、第1ビームの弾性変形により、第1接触部の平形ケーブルへの押圧を経てから、第2接触部の平形ケーブルへの押圧がなされる。
【0009】
本開示の電気コネクタにおいて、好ましくは、受け入れるのが相対的に薄い平形ケーブルである場合に、第1接触部が平形ケーブルに押圧される。また、本開示の電気コネクタにおいて、好ましくは、受け入れるのが相対的に厚い平形ケーブルである場合に、第2接触部が平形ケーブルに押圧される。
【0010】
本開示の電気コネクタにおいて、好ましくは、平形ケーブルに接点を押圧する押圧状態と、平形ケーブルから接点が離れる開放状態のいずれかに切り替えるカムを有するアクチュエータ、を備える。
このカムは、第1ビームと第2ビームの間に設けられる。
【0011】
本開示の電気コネクタにおいて、好ましくは、第1ビームは、第2ビームに比べて、カムによる荷重を受ける向きZの剛性が小さい。
【0012】
本開示の電気コネクタのコンタクトにおいて、好ましくは、第1ビームと第2ビームを支持するベースと、ベースと第1ビームとを繋ぎ、第1ビームを片持ち状に支持する第1支持片と、ベースと第2ビームとを繋ぎ、第2ビームを片持ち状に支持する第2支持片と、を備える。第1支持片は、好ましくは、荷重を受ける向きZとは交差する向きXにおける剛性が前記第2支持片の交差する向きXにおける剛性よりも小さい。
【発明の効果】
【0013】
本開示の電気コネクタによれば、大きい接触荷重が平形ケーブルに加わる場合には接触面積を拡大させ、小さい接触荷重が平形ケーブルに加わる場合には接触面積を縮小させることができる。これにより、本開示の電気コネクタによれば、厚さの異なる平形ケーブルを受け入れても、コンタクトと平形ケーブルとの間に安定した接触性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の実施形態に係る電気コネクタを示す斜視図であり、(a)はコンタクトが装着されたハウジングを示し、(b)は(a)に対してアクチュエータを装着した状態を示し、(c)は(b)に対してペグが装着された状態を示す。
図2図1(a)の電気コネクタの断面図を示し、(a)はフロントコンタクトを含む部分の断面図であり、(b)はリアコンタクトを含む部分の断面図である。
図3図1(b)の電気コネクタの断面図を示し、(a)はフロントコンタクトを含む部分の断面図であり、(b)はリアコンタクトを含む部分の断面図である。
図4図1(c)の電気コネクタの断面図であり、ペグを含む部分の断面図である。
図5図1の電気コネクタのアクチュエータの操作開始前の状態を示す断面図であり、(a)はフロントコンタクトを含む部分を示し、(b)はリアコンタクトを含む部分を示し、(c)はペグを含む部分を示す。
図6図5に続いて、アクチュエータの操作途中の状態を示す断面図であり、(a)はフロントコンタクトを含む部分を示し、(b)はリアコンタクトを含む部分を示し、(c)はペグを含む部分を示す。
図7図6に続いて、アクチュエータの操作完了の状態を示す断面図であり、(a)はフロントコンタクトを含む部分を示し、(b)はリアコンタクトを含む部分を示し、(c)はペグを含む部分を示す。
図8】薄い平形ケーブルを受け入れてアクチュエータを操作するときの、リアコンタクトの平形ケーブルへの接触の様子を示す図である。
図9】厚い平形ケーブルを受け入れてアクチュエータを操作するときの、リアコンタクトの平形ケーブルへの接触の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付する図1図9を参照しながら、本開示の実施形態に係る電気コネクタ10について説明する。
電気コネクタ10は、導電パターンおよび接地パターンを備えるプリント配線板(図示省略)上に実装される。電気コネクタ10は、可撓性を有する平形ケーブル300の端部が挿入されることで平形ケーブル300とプリント配線板を電気的に接続する。電気コネクタ10は、挿入される平形ケーブル300の厚さにある程度の差があったとしても、大きい接触荷重が平形ケーブルに加わる場合には接触面積を拡大させ、小さい接触荷重が平形ケーブルに加わる場合には接触面積を縮小させることができる。これにより、平形ケーブル300に対する安定した接触性能を得ることができる。
なお、電気コネクタ10において、図1などに示されるように、前後方向X、幅方向Yおよび高さ方向Zが定義される。前後方向Xについては平形ケーブル300が挿入される側を前、前方とし、それとは反対側を後、後方とする。また、高さ方向Zについては、図1の状態における下側を下、下方(L)とし、それとは反対側を上、上方(H)とする。この前後、上下は相対的な意味を有する。
【0016】
〔電気コネクタ10の構成:図1図2
電気コネクタ10は、図1および図2に示すように、ハウジング11と、ハウジング11のキャビティ12(図5参照)に収容される複数のコンタクト20と、これらのコンタクト20を操作するためのアクチュエータ15と、を備える。電気コネクタ10は、平形ケーブル300がハウジング11の前方からキャビティ12に向けて挿入される。
【0017】
[ハウジング11:図1図2
ハウジング11は、樹脂等の電気的な絶縁材料から形成されている。ハウジング11には、平形ケーブル300の端部の各導体と電気的接続をなすための複数のコンタクト20が幅方向Yに沿って一列に配列されている。それぞれのコンタクト20は、ハウジング11に保持される。
【0018】
[アクチュエータ15:図1図3
アクチュエータ15は、樹脂等の電気絶縁性材料から形成されており、ハウジング11に設けられている。アクチュエータ15は、幅方向Yの両方の端部15B、15Bがハウジング11に軸支されて、ハウジング11の幅方向Yと平行な回転軸の回りに回動可能とされている。なお、回動可能とは正転および逆転が可能であることを意味する。
【0019】
図1に示すように、アクチュエータ15は、その回転軸に沿って延びるカム軸15Aを有している。カム軸15Aには、図3に示すように、各コンタクト20の中でフロントコンタクト20Fおよびリアコンタクト20Rのそれぞれに対応した位置にフロントカム17Fおよびリアカム17Rが形成されている。フロントカム17Fは、フロントコンタクト20Fにおける第1ビーム23Fと第2ビーム25Fとの間に設けられる。また、リアカム17Rは、リアコンタクト20Rにおける第1ビーム23Rと第2ビーム25Rとの間に設けられる。フロントカム17Fとリアカム17Rは共通するカム軸15Aに固定されている。
また、アクチュエータ15は、図4に示すように、アクチュエータカム軸18を備えている。このアクチュエータカム軸18は、フロントカム17Fおよびリアカム17Rと一体的に設けられ、幅方向Yに延びる。
【0020】
図5(a)~図5(c)に示すように、アクチュエータ15のレバー16をハウジング11に対して立った起立状態において、フロントコンタクト20Fおよびリアコンタクト20Rは開放状態とされ、ハウジング11への平形ケーブル300の挿入が可能となる。起立状態からアクチュエータ15を、図6図7に示すように、回動操作して前方に倒れる平臥状態にすると、それに応じてフロントカム17F、リアカム17Rが傾転し、フロントコンタクト20Fおよびリアコンタクト20Rが平形ケーブル300を押圧する押圧状態となる。このように、アクチュエータ15を操作することにより、平形ケーブル300をコンタクト20で押圧しない開放状態と、平形ケーブル300をコンタクト20で押圧する押圧状態に切り替え操作できる。
【0021】
[コンタクト20:図2図3
コンタクト20は、銅合金等の導電性材料からなる薄板を打ち抜き加工(stamping)することで形成される。コンタクト20は、その表面に金、錫等のめっきが施されている。
コンタクト20には、図1および図2に示されるハウジング11のキャビティ12に前方から挿入されるフロントコンタクト20Fと、図1および図2に示されるハウジング11のキャビティ12内に後方から挿入されるリアコンタクト20Rとがある。各々複数のフロントコンタクト20Fとリアコンタクト20Rとは、ハウジング11の幅方向に沿って交互に配列されている。フロントコンタクト20Fおよびリアコンタクト20Rは、ともに信号伝送用のコンタクトである。
【0022】
[フロントコンタクト20F:図1図2図3
フロントコンタクト20Fは、図1および図2(a)に示すように、ハウジング11に装着された状態でハウジング11の前端から後端に向けて延びる第1ベース21Fと、第1ビーム23Fと、第2ビーム25Fと、を備える。フロントコンタクト20Fは、第1ベース21Fと第1ビーム23Fを繋ぐ第1支持片27Fと、第1ベース21Fと第2ビーム25Fとを繋ぐ第2支持片29Fと、を備える。
【0023】
第1ベース21Fはその前端部に、ハウジング11の前端に係止されるストッパ爪211Fを備えている。ハウジング11の前端にストッパ爪211Fが係止されることにより、フロントコンタクト20Fの後方および上方への移動が規制される。そして、このストッパ爪211Fよりも前方側の第1ベース21Fには、プリント配線板の導電パターン(図示せず)に電気的に接続されるタイン213Fが形成される。
【0024】
第1ビーム23Fは、第1ベース21Fから所定の間隔を空けて、第1ベース21Fと概ね平行に設けられている。第1ビーム23Fは、第1ベース21Fと第2ビーム25Fの間に配置される。第1ビーム23Fは、その前端と第1支持片27Fとの中間に、平形ケーブル300と電気的に接触される接点231Fが下向きに形成される。第1ビーム23Fは、その後端が第1支持片27Fに片持ち状に支持されている。
【0025】
第2ビーム25Fは、第1ビーム23Fから所定の間隔を空けて、第1ベース21Fと概ね平行に設けられている。第2ビーム25Fは、その前端にフロントカム17Fが係止される係止突起251Fが下向きに形成される。
【0026】
第1ビーム23Fと第2ビーム25Fの間には、図3(a)に示すように、カム17が配置される。第2ビーム25Fは、第1ビーム23Fに比べて特に第2支持片29Fに近い側に向けて幅(高さ方向Zの寸法)が大きく、第1ビーム23Fに比べて荷重を受ける向き(高さ方向Z)の剛性が大きい。「剛性」とは、曲げやねじりの力に対する、寸法変化(変形)のしづらさの度合いのことをいう。本開示の一実施形態において、剛性とは、必ずしも計測機器で測定するものである必要はなく、例えば寸法で決まる場合もある。例えば同じ金属材料、つまり機械的強度(引張強さ)が同じ材料で構成される部材でも、肉厚の大きい部材の剛性は大きくなる。本開示における剛性は、その場合、例えば、断面二次モーメントで大小を比較できる。同図において、高さ方向Zは、フロントカム17Fにより荷重を受ける向きに対応する。これは、フロントカム17Fを用いて第1ビーム23Fを下方に撓ませる際に、第2ビーム25Fが撓むのを最小限に抑えるためである。同様の理由により、第1ビーム23Fを支持する第1支持片27Fに比べて第2ビーム25Fを支持する第2支持片29Fの幅(前後方向X)が大きい。
【0027】
第2支持片29Fの上端部には、ハウジング11の抜け止め突起13Fと係止される抜け止め突起291Fが形成されている。抜け止め突起291Fがハウジング11の抜け止め突起13Fと係止されることで、フロントコンタクト20Fはハウジング11から抜け止めされる。
【0028】
[リアコンタクト20R:図2図3
リアコンタクト20Rは、図2(b)に示すように、ハウジング11に装着された状態でハウジング11の後端から前端に向けて延びるリアベース21Rと、第1ビーム23Rと、第2ビーム25Rと、を備える。リアコンタクト20Rは、リアベース21Rと第1ビーム23Rを繋ぐ第1支持片27Rと、リアベース21Rと第2ビーム25Rとを繋ぐ第2支持片29Rと、を備える。
【0029】
リアベース21Rはその後端部に、ハウジング11の後端に係止されるストッパ爪211Rを備えている。ハウジング11の後端にストッパ爪211Rが係止されることにより、リアコンタクト20Rの前方および上方への移動が規制される。そして、このストッパ爪211Rよりもリアベース21Rの後端側には、プリント配線板の導電パターン(図示せず)に電気的に接続されるタイン213Rが構成される。
【0030】
第1ビーム23Rは、リアベース21Rから所定の間隔を空けて、リアベース21Rと概ね平行に設けられている。第1ビーム23Rは、リアベース21Rと第2ビーム25Rの間に配置される。第1ビーム23Rは、その前端に、平形ケーブル300と電気的に接触される接点231Rが下向きに形成される。第1ビーム23Rは、その後端が第1支持片27Rに片持ち状に支持されている。
【0031】
第2ビーム25Rは、第1ビーム23Rから所定の間隔を空けて、リアベース21Rと概ね平行に設けられている。第2ビーム25Rは、その前端にリアカム17Rが係止される係止突起251Rが下向きに形成される。また、第2ビーム25Rは、その後端が第2支持片29Rに片持ち状に支持されている。
【0032】
第1ビーム23Rと第2ビーム25Rの間には、図3(b)に示すように、リアカム17Rが配置される。第2ビーム25Rは、第1ビーム23Rに比べて特に第2支持片29Rに近い側に向けて幅(高さ方向Zの寸法)が大きく、第1ビーム23Rに比べて高さ方向Zの剛性が大きい。これは、リアカム17Rを用いて第1ビーム23Rを下方に撓ませる際に、第2ビーム25Rが撓むのを最小限に抑えるためである。同様の理由により、第1ビーム23Rを支持する第1支持片27Rに比べて第2ビーム25Rを支持する第2支持片29Rの幅(前後方向X)が大きい。
【0033】
第2支持片29Rの上端部には、ハウジング11の抜け止め突起13Rと係止される抜け止め突起291Rが形成されている。抜け止め突起291Rがハウジング11の抜け止め突起13Rと係止されることで、リアコンタクト20Rはハウジング11から抜け止めされる。
【0034】
[ペグ40:図1図4
ペグ40は、ハウジング11の幅方向Yの両端のそれぞれに設けられ、図示を省略するプリント配線板に電気コネクタ10を固定する。
ペグ40は、金属等の導電性材料からなり、プリント配線板の表面に形成される接地パターンに半田付けされて電気的に接続される。ペグ40は、前端部から後方に向けて延びるビーム41を有しており、ハウジング11の圧入孔14にビーム41が圧入されることで、ハウジング11とプリント配線板とを固定する。
【0035】
〔コンタクト20の平形ケーブル300への押圧:図5図6図7
次に、アクチュエータ15を操作することにより、挿入された平形ケーブル300にコンタクト20を押圧する手順を説明する。この手順は、平形ケーブル300のハウジング11への挿入工程(図5)、アクチュエータ15の操作工程(図6)および押圧の完了工程(図7)を備えている。以下、この順に説明する。なお、図5図7を用いて説明するのは、厚さの如何に関わらずに、平形ケーブル300へコンタクト20を押圧する手順であり、厚さに応じた押圧は追って説明する。
【0036】
[平形ケーブル300のハウジング11への挿入工程:図5
平形ケーブル300のハウジング11への挿入に先立って、図5(a),(b),(c)に示すように、アクチュエータ15は高さ方向Zに沿った起立状態とされる。アクチュエータ15が起立状態にあると、図5(a),(b)に示すように、アクチュエータ15にしたがって駆動されるフロントカム17Fおよびリアカム17Rは前後方向Xに沿った平臥状態とされる。
【0037】
フロントコンタクト20Fについて、図5(a)に示すように、平形ケーブル300は、第1ベース21Fと第1ビーム23Fとの間であって、キャビティ12(図3(a))の奥の第1支持片27Fの近くまで挿入される。この時点においては、接点231Fは平形ケーブル300から離れている。また、この時点において、フロントカム17Fは第1ビーム23Fと第2ビーム25Fの間にあって、第1ビーム23Fの上面と第2ビーム25Fの下面に接している。
【0038】
リアコンタクト20Rについて、図5(b)に示すように、平形ケーブル300は、リアベース21Rと第1ビーム23Rとの間であって、キャビティ12(図3(b))の奥の第1支持片27Rの近くまで挿入される。この時点においては、接点231Rは平形ケーブル300から離れている。また、この時点において、リアカム17Rは第1ビーム23Rと第2ビーム25Rの間にあって、第1ビーム23Rの上面と第2ビーム25Rの下面に接している。
【0039】
ペグ40においては、ハウジング11の圧入孔14にビーム41が圧入されることで、図5(c)に示すように、アクチュエータカム軸18にペグ40の一部が接する。これによりアクチュエータカム軸18の前後方向Xへの移動が規制され、アクチュエータ15の回動動作中のアクチュエータカム軸18の位置が安定する。また、アクチュエータ15がハウジング11から外れるのを防止できる。これは、アクチュエータ15が停止しているとき(図5)だけでなく、回動動作をしているときに(図6図7)にも同様に当てはまる。
【0040】
[アクチュエータ15の操作工程:図6
以上のように所定位置まで挿入された平形ケーブル300をフロントコンタクト20Fおよびリアコンタクト20Rで押圧するには、起立状態のアクチュエータ15を傾転操作する。
【0041】
フロントコンタクト20Fについて、図6(a)に示すように、アクチュエータ15を傾転させると、この傾転に追従して、それまで平臥状態であったフロントカム17Fが傾転する。そうすると、対向する押圧角Af1が第1ビーム23Fの上面を下向きに押すとともに、対向する押圧角Af2が第2ビーム25Fの下面を上向きに押す。ここで、前述したように、第1ビーム23Fは第2ビーム25Fに比べて高さ方向Zの剛性が小さい。したがって、押圧角Af1が第1ビーム23F下向きに押し、押圧角Af2が第2ビーム25Fを上向きに押したとしても、第2ビーム25Fはほとんど上向きに撓むことなく、専ら第1ビーム23Fが下向きに撓む。第1ビーム23Fが下向きに撓むことにより、接点231Fは平形ケーブル300に接触する。
ここで、アクチュエータ15が図7(a)に示される操作完了位置に至るまでの途中の図6(a)の段階において、接点231Fの平形ケーブル300に対する接触圧力がピークとなることが好ましい。これは、アクチュエータ15を操作する者に対して、アクチュエータ15の回動動作の途中に、クリック感を与えるためである。
【0042】
リアコンタクト20Rについて、図6(b)に示すように、アクチュエータ15を傾転させると、この傾転に追従して、それまで平臥状態であったリアカム17Rが傾転する。そうすると、対向する押圧角Ar1が第1ビーム23Rの上面を下向きに押すとともに、対向する押圧角Ar2が第2ビーム25Rの下面を上向きに押す。ここで、前述したように、第1ビーム23Rは第2ビーム25Rに比べて高さ方向Zの剛性が小さい。したがって、押圧角Ar1が第1ビーム23Rを下向きに押し、押圧角Ar2が第2ビーム25Rを上向きに押したとしても、第2ビーム25Rの上向きの撓みに比べて第1ビーム23Rの下向きの撓みが大きい。第1ビーム23Rが下向きに撓むことにより、接点231Rは平形ケーブル300に接触する。
ここで、アクチュエータ15が図7(b)に示される操作完了位置に至るまでの途中の図6(b)の段階において、接点231Rの平形ケーブル300に対する接触圧力がピークとなることが好ましい。これは、アクチュエータ15を操作する者に対して、アクチュエータ15の回動動作の途中に、クリック感を与えるためである。
【0043】
[アクチュエータ15の操作完了工程:図7
アクチュエータ15が図7に示すように平臥状態になるまで傾転操作すると、この操作は完了し、平形ケーブル300の図示を省略する導電パターンは、フロントコンタクト20Fおよびリアコンタクト20Rにより押圧される。
【0044】
フロントコンタクト20Fについて、図7(a)に示すように、アクチュエータ15を平臥状態まで傾転すると、カム17は起立状態となる。そうすると、押圧面Ff1が第1ビーム23Fの上面を下向きに押すとともに、押圧面Ff1に対向する押圧面Ff2が第2ビーム25Fの下面を上向きに押す。第1ビーム23Fは第2ビーム25Fに比べて高さ方向Zの剛性が小さいので、従前に比べてさらに第1ビーム23Fが下向きに撓み、接点231Fが平形ケーブル300を押圧する。平形ケーブル300は第1ベース21Fの上に置かれているので、平形ケーブル300は第1ベース21Fと第1ビーム23Fの接点231Fにより挟み込まれる。これで、フロントコンタクト20Fは、平形ケーブル300に接点231Fを押圧する押圧状態となる。
【0045】
リアコンタクト20Rについて、図7(b)に示すように、アクチュエータ15を平臥状態まで傾転すると、カム17は起立状態となる。そうすると、押圧面Fr1が第1ビーム23Rの上面を下向きに押すとともに、押圧面Fr1に対向する押圧面Fr2が第2ビーム25Rの下面を上向きに押す。第1ビーム23Rは第2ビーム25Rに比べて高さ方向Zの剛性が小さいので、従前に比べてさらに第1ビーム23Rが下向きに撓み、接点231Rが平形ケーブル300を押圧する。平形ケーブル300はリアベース21Rの上に置かれているので、平形ケーブル300はリアベース21Rと第1ビーム23Rの接点231Rにより挟持される。これで、リアコンタクト20Rは、平形ケーブル300に接点231Fを押圧する押圧状態となる。
【0046】
〔厚さの異なる平形ケーブル300の押圧:図8,図9
次に、相対的に薄い、例えば厚さの公差の下限の平形ケーブル300を押圧する例と、相対的に厚い、例えば厚さの公差の上限の平形ケーブル300を押圧する例と、を説明する。本実施形態においては、許容範囲内であれば、平形ケーブル300が薄くても厚くても、平形ケーブル300が受ける圧力を制御できる。以下においては、リアコンタクト20Rの第1ビーム23Rにおける接点231Rを例にして説明する。
【0047】
[薄い平形ケーブル300の押圧:図8
図8(a)に示すように起立状態にあるアクチュエータ15を図8(b)に示すように平臥状態の操作完了位置に傾転することにより、第1ビーム23Rの接点231Rが平形ケーブル300に押圧される。なお、薄い平形ケーブル300の厚さをT1とし、アクチュエータ15の操作完了位置における平形ケーブル300とリアカム17Rの押圧面Fr1との間の距離をD1とする。
【0048】
図8(c)は、平形ケーブル300と接点231Rとの接触部分の拡大図である。
図8(c)に示すように、接点231Rは、第1接触部233Rと、第1接触部233Rに連なり第1接触部233Rに隣接する第2接触部235Rと、を備える。第1接触部233Rにおける表面積をa1、第2接触部235Rにおける表面積をa2(>a1)とする。表面積a1は第1接触部233Rが平形ケーブル300と接触する面積であり、表面積a2は第2接触部235Rが平形ケーブル300と接触する面積である。
接点231Rが前端に設けられる第1ビーム23Rは、幅(高さ方向Zの寸法)が小さい。したがって、リアカム17Rが第1ビーム23Rに下向きに押し付けられると、接点231Rは第1ビーム23Rに対して、図中の実線矢印の向きに変位し得る。しかし、平形ケーブル300が薄いために、リアカム17Rは押圧面Fr1と平形ケーブル300の表面との間隔がD1の位置にあり、接点231Rは図8(c)に示すように、第1接触部233Rが平形ケーブル300に接触した状態に留まる。この状態におけるカム17が第1ビーム23Rを押す荷重を押圧荷重L1とする。
ここで示される第1接触部233Rの表面が円弧面からなる曲面から構成され、第2接触部235Rはその表面が平坦面から構成されるが、本開示はこれに限らない。例えば、第1接触部233Rの表面を平坦面とし、第2接触部235Rの表面を円弧面にしてもよい。第1接触部と第2接触部235Rの両方の表面を円弧面にする場合は、第2接触部235Rの円弧面の曲率半径が第1接触部233Rよりも大きくなる。
【0049】
[厚い平形ケーブル300の押圧:図9
図9(a)に示すように起立状態にあるアクチュエータ15を図9(b)に示すように平臥状態の操作完了位置に傾転することにより、第1ビーム23Rの接点231Rが平形ケーブル300に押圧される。なお、厚い平形ケーブル300の厚さをT2(T2>T1)とし、アクチュエータ15の操作完了位置における平形ケーブル300とカム17の押圧面Fr1との間の距離をD2(D2<D1)とする。
【0050】
図9(c)は、平形ケーブル300と接点231Rとの接触部分の拡大図である。
図9(c)においては、平形ケーブル300がT2と厚いために、平形ケーブル300の表面からカム17の押圧面Fr1までの間隔D2が薄い平形ケーブル300の間隔D1よりも狭くなる。したがって、接点231Rは図8(c),(d)に示すように、第1接触部233Rを中心として接点231Rが図中の時計回りに回動することで、第2接触部235Rが平形ケーブル300の表面に平行に接触する。このように、第1接触部233Rの平形ケーブル300への押圧を経てから、第2接触部235Rの平形ケーブル300への押圧がなされる。なお、接点231Rが回動するのは、接点231Rを支持する第1ビーム23Rが弾性変形するからである。この状態におけるカム17が第1ビーム23Rを押す荷重を押圧荷重L2(>L1)とする。
【0051】
[薄い平形ケーブル300と厚い平形ケーブル300の接触圧力の比較:図8図9
図8に示される薄い平形ケーブル300における押圧荷重L1に比べて、図9に示される厚い平形ケーブル300における押圧荷重L2は大きい。したがって、厚い平形ケーブル300を押圧すると、平形ケーブル300の導電パターン表面の例えば金めっきを接点231Rが破るおそれがある。しかし、厚い平形ケーブル300を押圧すると、接点231Rの第2接触部235Rが平形ケーブル300に接面する。第2接触部235Rは第1接触部233Rの表面積a1よりも相当程度に表面積a2が大きい。平形ケーブル300が受ける接触圧力P1,P2は、押圧荷重L1,L2を表面積a1,a2で除した値である。表面積a2は表面積a1よりも相当程度大きいので、押圧荷重L2が押圧荷重L1よりも大きくても、接触圧力P2を接触圧力P1と同等にできる。
【0052】
[効 果]
以下、電気コネクタ10が奏する効果を説明する。
本実施形態に係るリアコンタクト20Rの第1ビーム23Rに設けられる電気的な接点231Rは、第1接触部233Rと、第1接触部233Rよりも平形ケーブル300に接触する面積が大きい第2接触部235Rと、を備える。そして、第1接触部233Rと第2接触部235Rのいずれか一方が選択的に平形ケーブル300に押圧される。したがって、薄い平形ケーブル300を受け入れるときには面積の小さい第1接触部233Rが平形ケーブル300に押圧され、厚い平形ケーブル300を受け入れるときには面積の大きい第2接触部235Rが平形ケーブル300に押圧されるようにすれば、接触圧力またはヘルツ圧力を所定の範囲に収めることができる。これにより、第1ビーム23Rの接点231Rの平形ケーブル300への接触圧力が小さすぎて十分な接触性能が得られない、あるいは、第1ビーム23Rの接点231Rの平形ケーブル300への接触圧力が大ききすぎて金めっきが削り取られるといった不具合が是正され、安定した接触性能が得られる。
【0053】
次に、本実施形態に係る接点231Rは、第1接触部233Rと第1接触部233Rに隣接する第2接触部235Rを備え、第1接触部233Rの平形ケーブル300への押圧を経てから、第2接触部235Rの平形ケーブル300への押圧がなされる。したがって、電気コネクタ10によれば、第1接触部233Rと第2接触部235Rの選択的な平形ケーブル300への押圧が容易になしうる。
そして、第1接触部233Rの平形ケーブル300への押圧を経てから、第2接触部235Rの平形ケーブル300への押圧が、本実施形態に係る第1ビーム23Rの弾性変形により容易になしうる。
【0054】
本実施形態は、この弾性変形をアクチュエータ15が備えるリアカム17Rで実現する。このアクチュエータ15は、平形ケーブル300に接点231Rを押圧する押圧状態と、平形ケーブル300から接点231Rが離れる開放状態のいずれかにリアコンタクト20Rを切り替える機能を有する。このように、アクチュエータ15のリアカム17Rは、第1ビーム23Rの弾性変形による第1接触部233Rと第2接触部235Rを選択する第1機能と、押圧状態と開放状態を切り替える第2機能という、二つの機能を実現する。
【0055】
第1機能について、第1ビーム23Rは、第2ビーム25Rに比べて、カム17による荷重を受ける向きの剛性が小さい。また、第1ビーム23Rを支持する第1支持片27Rは、第2ビーム25Rを支持する第2支持片29Rに比べてカム17による荷重を受ける向き(この場合、X方向であり、Z方向とは交差する方向)の剛性が小さい。これにより、リアカム17Rの操作による第1ビーム23Rの弾性変形が容易にできる。
【0056】
上記以外にも、本開示の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
例えば、上記実施形態においては、フロントコンタクト20Fとリアコンタクト20Rの二種類のコンタクトを備える電気コネクタを対象として説明したが、本開示はこれに限らない。例えば、フロントコンタクト20Fに対応する一種類のコンタクトだけを備える電気コネクタに適用できるし、リアコンタクト20Rに対応する一種類のコンタクトだけを備える電気コネクタに適用できる。ただし、いずれの場合においても、平形ケーブル300をコンタクトで押圧することを前提とする。
【0057】
また、上記実施形態においては、アクチュエータ15を、平形ケーブル300の挿入方向に対して前方側で回動させる、いわゆるフロントフリップタイプとしたが、平形ケーブル300の挿入方向に対して後方側に回動させる、バックフリップタイプとすることもできる。また、アクチュエータ15の位置も、ハウジング11の前端側に限らず、後端側等に設けてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 電気コネクタ
11 ハウジング
12 キャビティ
13F,13R 抜け止め突起
15 アクチュエータ
15A カム軸
15B 端部
16 レバー
17 カム
17F フロントカム
17R リアカム
18 アクチュエータカム軸
20 コンタクト
20F フロントコンタクト
20R リアコンタクト
21F フロントベース
21R リアベース
23F,23R 第1ビーム
25F,25R 第2ビーム
27F,27R 第1支持片
29F,29R 第2支持片
40 ペグ
41 ビーム
42 係止孔
211F,211R ストッパ爪
213F,213R タイン
231F,231R 接点
233R 第1接触部
235R 第2接触部
291F,291R 抜け止め突起
300 平形ケーブル
a1,a2 表面積
Af1,Af2,Ar1,Ar2 押圧角
D1,D2 間隔
Ff1,Ff2,Fr1,Fr2 押圧面
L1,L2 押圧荷重
P1,P2 接触圧力
X 前後方向
Y 幅方向
Z 高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9