(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022168953
(43)【公開日】2022-11-09
(54)【発明の名称】回転力発生機構
(51)【国際特許分類】
F01D 1/34 20060101AFI20221101BHJP
F16H 41/00 20060101ALI20221101BHJP
F01D 1/20 20060101ALI20221101BHJP
【FI】
F01D1/34
F16H41/00
F01D1/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021074674
(22)【出願日】2021-04-27
(71)【出願人】
【識別番号】520314098
【氏名又は名称】田中 冨美雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】田中 冨美雄
(57)【要約】
【課題】流体を受ける構成の剛性を向上することが可能な回転力発生機構を提供する。
【解決手段】回転力発生機構は、流路50を流れる流体によって回転体1を回転させ、回転力を得るものであって、回転体1は、流路50を、流体の上流と下流とに仕切る位置に、回転可能に設けられ、上流側に面する第1面10aと、下流側に面する第2面10bと、を有し、第1面10aから第2面10bに向かって円弧形状に延びる複数の孔11が形成され、複数の孔11は、回転体1の回転の中心線Cから所定寸法離れた位置に配列され、複数の孔11に、第1面10a側から第2面10b側に、流体が流通することで回転する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を流れる流体によって回転体を回転させ、回転力を得る回転力発生機構であって、
前記回転体は、
前記流路を、流体の上流と下流とに仕切る位置に、回転可能に設けられ、
前記上流側に面する第1面と、前記下流側に面する第2面と、を有し、
前記第1面から前記第2面に向かって円弧形状に延びる複数の孔が形成され、
複数の前記孔は、前記回転体の回転の中心線から所定寸法離れた位置に配列され、
複数の前記孔に、前記第1面側から前記第2面側に、流体が流通することで回転することを特徴とする回転力発生機構。
【請求項2】
前記孔は、
所定の内径を有する円形状に形成され、
前記回転体の前記中心線から所定距離離れた位置で、水平方向に対して所定角度傾斜して延びる螺旋曲線を中心に延びていることを特徴とする請求項1に記載の回転力発生機構。
【請求項3】
前記流路を、流体の上流と下流とに仕切る位置に、前記回転体の前記上流側に固定され、前記回転体の前記第1面に対面して配置される固定体を、更に備え、
前記固定体は、
前記上流側に面する固定体第1面と、前記下流側に面する固定体第2面と、を有し、
前記固定体第1面から前記固定体第2面に向かって円弧形状に延びる複数の固定体孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転力発生機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転力発生機構に関する。さらに詳細には、本発明は、第流路を流れる流体によって回転体を回転させ、回転力を得る回転力発生機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の回転力発生機構としては、例えば、特許文献1等で提案されているものが知られている。
特許文献1に開示されたタービンは、各回転羽根が径方向外側のケーシング内周面に沿って配設され、作動油のエネルギーを回転動力に変換し、この回転動力は軸に伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されたタービンのような回転力発生機構は、作動油等の流体を受ける構成が、羽根で形成されており、このような羽根はタービン本体から突出して設けられており、流体からの負荷が上がると、この羽根が破損するおそれがある。一方、回転力発生機構は、流体からの負荷が上がると、より大きい回転力を得ることができる。
【0005】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、流体を受ける構成の剛性を向上することが可能な回転力発生機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明に係る回転力発生機構の構成は、
(1) 流路を流れる流体によって回転体を回転させ、回転力を得る回転力発生機構であって、
前記回転体は、
前記流路を、流体の上流と下流とに仕切る位置に、回転可能に設けられ、
前記上流側に面する第1面と、前記下流側に面する第2面と、を有し、
前記第1面から前記第2面に向かって円弧形状に延びる複数の孔が形成され、
複数の前記孔は、前記回転体の回転の中心線から所定寸法離れた位置に配列され、
複数の前記孔に、前記第1面側から前記第2面側に、流体が流通することで回転することを特徴とする。
【0007】
本発明の回転力発生機構の上記(1)の構成によれば、回転力発生機構は、流路を流れる流体によって回転体を回転させ、回転力を得る。
回転体は、流路を、流体の上流と下流とに仕切る位置に、回転可能に設けられ、上流側に面する第1面と、下流側に面する第2面と、を有し、第1面から第2面に向かって円弧形状に延びる複数の孔が形成されている。
これらの複数の孔は、回転体の回転の中心線から所定寸法離れた位置に配列されている。
そして、回転体は、複数の孔に、第1面側から第2面側に、流体が流通することで回転する。
【0008】
このような構成によれば、回転体の第1面から第2面に向かって円弧形状に延びる複数の孔を形成する側壁で、流体を受けることで、回転体を回転させ、回転力を得ることができる。
これにより、従来のタービン等のように、回転体から突出する部分で流体を受ける場合に比べ、流体を受ける構成の剛性を向上することが可能となる。
したがって、流体を受ける構成の剛性を向上することが可能な回転力発生機構を提供できる。
【0009】
本発明の回転力発生機構の上記(1)の構成においては、以下の(2)のような構成にすることが好ましい。
【0010】
(2) 前記孔は、
所定の内径を有する円形状に形成され、
前記回転体の前記中心線から所定距離離れた位置で、水平方向に対して所定角度傾斜して延びる螺旋曲線を中心に延びている。
【0011】
このような構成によれば、回転体の中心線を中心とする螺旋曲線に沿って延びる孔を形成する側壁で、流体を受けることで、回転体を回転させ、回転力を得ることができる。
これにより、流路を流れる流体の流れを、回転体の中心線を中心とする螺旋方向に向け、回転体が、この螺旋方向に向かう流体から、回転力を得ることができるので、より効率的に、流体の流れから、回転力を得ることが可能となる。
【0012】
本発明の回転力発生機構の上記(1)又は(2)の構成においては、以下の(3)のような構成にすることが好ましい。
【0013】
(3) 前記流路を、流体の上流と下流とに仕切る位置に、前記回転体の前記上流側に固定され、前記回転体の前記第1面に対面して配置される固定体を、更に備え、
前記固定体は、
前記上流側に面する固定体第1面と、前記下流側に面する固定体第2面と、を有し、
前記固定体第1面から前記固定体第2面に向かって円弧形状に延びる複数の固定体孔が形成されている。
【0014】
本発明の回転力発生機構の上記(3)の構成によれば、
回転力発生機構は、流路を、流体の上流と下流とに仕切る位置に、回転体の上流側に固定され、回転体の第1面に対面して配置される固定体を、更に備える。
固定体は、上流側に面する固定体第1面と、下流側に面する固定体第2面と、を有し、固定体第1面から固定体第2面に向かって円弧形状に延びる複数の固定体孔が形成されている。
【0015】
このような構成によれば、流路の下流側から流れる流体を、円弧形状に延びる複数の固定体孔で集約して、これらの複数の固定体孔から、上流側に設けられている回転体の複数の孔に集約した流体を吹き出させることができる。
これにより、流体より得られる力を、より効率的に、回転体の回転力に変換できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、流体を受ける構成の剛性を向上することが可能な回転力発生機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態における回転力発生機構を説明する図である。
【
図2】本発明の一実施形態における回転体を説明する図である。
【
図3】本発明の一実施形態の応用例における回転力発生機構を説明する図である。
【
図4】本発明の一実施形態の応用例における回転体を説明する図である。
【
図5】本発明の一実施形態の応用例における固定体を説明する図である。
【
図6】本発明の一実施形態の応用例における回転力発生機構の動作を説明する図である。
【
図7】本発明の一実施形態の応用例における回転力発生機構の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、好適な実施形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記の実施形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
[回転力発生機構の構成]
まず、本発明の一実施形態における回転力発生機構100の概要について、
図1を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態における回転力発生機構を説明する図である。
【0021】
本実施形態の回転力発生機構100は、流体(例えば、液体、気体等)の流れ(
図1に示す斜線を付した矢印は、流体の流れを模式的に示すものである。)を利用して、回転力で駆動する装置に設けられ、流路50を流れる流体によって回転体1を回転させ、回転力を得る。
回転力発生機構100は、例えば、熱膨張により発生した流体の流れを利用して、回転力を得て、この回転力を利用して発電する発電装置や、爆発により発生した流体の流れを利用して、回転力を得て、この回転力を利用して駆動力を得るエンジン等の装置に利用することができる。
【0022】
[回転体]
回転体1は、断面形状が円形状である円筒形状に形成され、内部を流体が上流側から下流側に流れる流路50の内壁に、例えば、ベアリング等を介して、回転可能に設けられ、流路50の内部を、上流側と下流側とに仕切る。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態における回転体を説明する図である。
回転体1は、円板形状に形成された本体10と、本体10に設けられた回転力伝達部20と、を備える。
【0024】
本体10は、上流側に面する第1面10aと、下流側に面する第2面10bと、を有する。また、本体10には、第1面10aから第2面10bに向かって円弧形状に延びる複数(
図2に示す例では、3つ)の孔11が形成されている。
【0025】
複数の孔11は、
図2に示す例では、所定の内径を有する円形状に形成され、本体10の中心を通り、上流・下流方向に延びる中心線Cから所定距離離れた位置で、水平方向に対して所定角度傾斜して延びる螺旋曲線Rを中心に延びている。複数の孔11は、本体10における中心線Cを中心とする仮想円上に、等間隔で形成されている。
【0026】
図2に示す例では、本体10は、半径が125mm、厚さが50mmである。複数の孔11は、中心線Cから所定距離の一例として85mm離れた位置で、水平方向に対して所定角度として35°傾斜して延びる螺旋曲線Rを中心に延び、中心線Cを中心とする半径85mmの仮想円上に、等間隔(
図2に示す例では、120°間隔)で形成されている。複数の孔11は、螺旋曲線Rと直交する仮想面上において、半径15mmの円形状の断面を有する。
【0027】
回転力伝達部20は、例えば、本体10に中心が配置され固定され、中心線C(回転軸)上を延びる軸部材で形成され、本体10とともに回転する。このような回転力伝達部20は、回転力により駆動する装置における回転力を受ける部材(例えば、発電機やエンジンの駆動軸等)に接続される。なお、回転力伝達部20は、
図2に示すような軸部材に限らず、本体10の回転力を、上記部材に伝達できれば、例えば、本体10の外縁に設けられ、上記部材に歯合するギヤ等の任意の構成としてもよい。
【0028】
[回転力発生機構の動作]
図1を参照して、回転力発生機構100の動作について説明する。
回転力発生機構100において、流路50の内部には、熱膨張や爆発により、流体が、上流側から下流側に流れている(
図1に示す斜線を付した矢印は、流体の流れを模式的に示すものである。)。このような流体は、回転体1の本体10の第1面10a側から、複数の孔11内に流入し、第2面10b側から流出する。このとき、回転体1は、孔11の円弧形状に延びる内壁により、上流側から下流側に流れる流体を受けることで、中心線Cを中心に回転して回転力を得る。この回転力は、回転力伝達部20により、回転力により駆動する装置(例えば、発電機やエンジンの駆動軸等)における回転力を受ける部材に伝達される。
【0029】
〈応用例〉
[応用例の回転力発生機構の構成]
次に、本発明の一実施形態の応用例における回転力発生機構200の概要について、
図3を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、上述した実施形態の回転力発生機構100と同様の構成には、同様の符号を付し、その説明を省略又は簡略する。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態の応用例における回転力発生機構を説明する図である。
【0031】
応用例の回転力発生機構200は、実施形態の回転力発生機構100と同様に、流体の流れ(
図3に示す斜線を付した矢印は、流体の流れを模式的に示すものである。)を利用して回転力を得るための装置に設けられ、流路50を流れる流体によって回転体1Aを回転させ、回転力を得る。
【0032】
応用例の回転力発生機構200は、回転体1Aの上流側に、流体の流れを集約する固定体3を備える点が、実施形態の回転力発生機構100と異なる。
【0033】
[応用例の回転体]
回転体1Aは、回転力発生機構100の回転体1と同様に、断面形状が円形状である円筒形状に形成され、内部を流体が上流側から下流側に流れる流路50の内壁に、例えば、ベアリング等を介して、回転可能に設けられ、流路50の内部を、上流側と下流側とに仕切る。
【0034】
図4は、本発明の一実施形態の応用例における回転体を説明する図である。
回転体1Aは、円板形状に形成された本体10Aと、本体10Aに設けられた回転力伝達部20と、を備える。
【0035】
本体10Aは、上流側に面する第1面10aと、下流側に面する第2面10bと、を有する。また、本体10Aには、第1面10aから第2面10bに向かって円弧形状に延びる複数(
図4に示す例では、6つ)の孔11Aが形成されている。
【0036】
複数の孔11Aは、
図4に示す例では、所定の内径を有する円形状に形成され、本体10Aの中心を通り、上流・下流方向に延びる中心線Cから所定距離離れた位置で、水平方向に対して所定角度傾斜して延びる螺旋曲線Rを中心に延びている。複数の孔11Aは、本体10Aにおける中心線Cを中心とする仮想円上に、等間隔で形成されている。
【0037】
図4に示す例では、本体10Aは、半径が75mm、厚さが40mmである。複数の孔11Aは、中心線Cから所定距離の一例として50mm離れた位置で、水平方向に対して所定角度として75°傾斜して延びる螺旋曲線Rを中心に延び、中心線Cを中心とする半径50mmの仮想円上に、等間隔(
図4に示す例では、60°間隔)で形成されている。複数の孔11Aは、螺旋曲線Rと直交する仮想面上において、半径15mmの円形状の断面を有する。
【0038】
[固定体]
図3に戻って、固定体3は、断面形状が円形状である円筒形状に形成され、内部を流体が上流側から下流側に流れる流路50の内壁に固定され、流路50の内部を、上流側と下流側とに仕切る。
【0039】
図5は、本発明の一実施形態の応用例における固定体を説明する図である。
固定体3は、円板形状に形成され、外縁が流路50の内壁に固定される固定体本体30を備える。
【0040】
固定体本体30は、上流側に面する第1面30aと、下流側に面する第2面30bと、を有する。また、固定体本体30には、第1面30aから第2面30bに向かって円弧形状に延びる複数(
図5に示す例では、5つ)の固定体孔31が形成されている。固定体本体30は、第2面30bが、回転体1Aの本体10Aの第1面10aに対面するように配置され、第2面30bが回転体1Aの第1面10aに、例えば、ベアリング等を介して、当接又は近接して配置される。
【0041】
複数の固定体孔31は、
図5に示す例では、所定の内径を有する円形状に形成され、固定体本体30の中心を通り、上流・下流方向に延びる中心線Cから所定距離離れた位置で、水平方向に対して所定角度傾斜して延びる螺旋曲線Rを中心に延びている。複数の固定体孔31は、固定体本体30における中心線Cを中心とする仮想円上に、等間隔で形成されている。
【0042】
図5に示す例では、固定体本体30は、半径が75mm、厚さが40mmである。複数の固定体孔31は、中心線Cから所定距離の一例として50mm離れた位置で、水平方向に対して所定角度として75°傾斜して延びる螺旋曲線Rを中心に延び、中心線Cを中心とする半径50mmの仮想円上に、等間隔(
図5に示す例では、72°間隔)で形成されている。複数の固定体孔31は、螺旋曲線Rと直交する仮想面上において、半径15mmの円形状の断面を有する。
【0043】
このように、回転体1Aの本体10Aと、固定体3の固定体本体30とは、ともに中心線Cを中心に配置され、同じ直径(流路50の内径)で形成されている。そして、本体10Aの孔11Aと、固定体本体30の固定体孔31とは、ともに同じ中心線Cから同じ所定距離離れた位置で、水平方向に対して同じ所定角度傾斜して延びる螺旋曲線Rを中心に延びている。なお、回転体1Aの本体10Aと、固定体3の固定体本体30とは、上記のように同様の構成とせずに、互いに異なる構成としてもよい。
【0044】
本応用例では、固定体本体30の複数の固定体孔31の数は5つであり、本体10Aの複数の孔11Aの数は6つである。すなわち、固定体本体30の複数の固定体孔31は、本体10Aの複数の孔11Aより少ない数で形成されている。しかしながら、これに限らず、固定体本体30の複数の固定体孔31の数は、本体10Aの複数の孔11Aの数と同じにしてもよいし、本体10Aの複数の孔11Aの数より多い数としてもよい。
【0045】
また、上述の実施形態や応用例で説明した、回転体や固定体の大きさを示す数値や、螺旋曲線Rの形状を特定する数値や、孔の半径や、孔の数は、あくまでも一例であり、回転力発生機構を用いる装置の用途に応じた値とすることができる。
【0046】
[応用例の回転力発生機構の動作]
図3を参照して、回転力発生機構200の動作について説明する。
回転力発生機構200において、流路50の内部には、熱膨張や爆発により、流体が、上流側から下流側に流れている(
図3に示す斜線を付した矢印は、流体の流れを模式的に示すものである。)。このような流体は、まず、固定体3の固定体本体30の第1面30a側から、複数の固定体孔31内に流入し、第2面30b側から流出する。これにより、流路50の内部全体で流れる流体を、円弧形状に延びる複数の固定体孔31で集約し、固定体孔31の形状に沿った流れにすることができる。そして、固定体3の固定体孔31から流出した流体は、回転体1Aの本体10Aの第1面10a側から、複数の孔11A内に流入し、第2面10b側から流出する。このとき、回転体1は、孔11Aの円弧形状に延びる内壁により、上流側から下流側に流れる流体を受けることで、中心線Cを中心に回転して回転力を得る。この回転力は、回転力伝達部20により、回転力により駆動する装置(例えば、発電機やエンジンの駆動軸等)における回転力を受ける部材に伝達される。
【0047】
図6及び
図7は、本発明の一実施形態の応用例における回転力発生機構の動作を説明する図である。
本応用例では、固定体本体30の複数の固定体孔31の数は5つであり、本体10Aの複数の孔11Aの数は6つである。このため、複数の孔11Aのいずれか1つが、複数の固定体孔31のいずれか1つと、全体的に連通する場合(第1面10aにおける孔11Aの外縁と、第2面30bにおける固定体孔31の外縁とが一致する場合)、他の孔11Aは全体的に連通しない。そして、この全体的に連通する孔11Aは、本体10Aの回転方向に向かって、順次移動する。具体的には、以下のとおりである。
【0048】
図6に示す状態では、本体10Aの孔11A-1と固定体本体30の固定体孔31-1とは、全体的に連通している。
一方、本体10Aの回転方向において孔11A-1に隣接する孔11A-2は、固定体本体30の固定体孔31-2と一部が連通しているものの、全体的には連通していない。また、孔11A-2は、本体10Aの回転方向において隣接する孔11A-3よりは、大きい範囲で、固定体孔31と連通している。
【0049】
そして、
図6に示す状態から、本体10Aが回転することで、
図7に示す状態となる。
図7に示す状態では、本体10Aの孔11A-2と固定体本体30の固定体孔31-2とは、全体的に連通している。
一方、本体10Aの回転方向において孔11A-2に隣接する孔11A-3は、固定体本体30の固定体孔31-3と一部が連通しているものの、全体的には連通していない。また、孔11A-1は、固定体孔31と連通している範囲が、
図6に示す状態より小さくなっている。
【0050】
このように、固定体本体30の複数の固定体孔31を、回転体1Aの複数の孔11Aより少ない数で形成することで、複数の固定体孔31から、複数の孔11Aに対して、回転方向において順次、回転体1Aの孔11Aと固定体本体30の固定体孔31の位置を一致させ、流体から力を最も受ける回転体1Aの孔11Aを変えていける。
これにより、回転力の変動のばらつきを抑え、より安定した回転力を得ることが可能となる。
【0051】
なお、上記実施形態及び応用例においては、回転体や固定体に形成する孔を、上流・下流方向に延びる中心線Cから所定距離離れた位置で、水平方向に対して所定角度傾斜して延びる螺旋曲線Rを中心に延びている形状とした。しかしながら、回転体や固定体に形成する孔は、このような形状に限らず、円弧状であれば任意の形状とすることができる。
【符号の説明】
【0052】
1,1A 回転体
3 固定体
10,10A 本体
10a 第1面
10b 第2面
11,11A 孔
20 回転力伝達部
30 固定体本体
30a 第1面
30b 第2面
31 固定体孔
50 流路
100,200 回転力発生機構